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これからの労働時間制度に関する検討会 第16回資料 [2022年07月31日(Sun)]
これからの労働時間制度に関する検討会 第16回資料(令和4年7月15日)
《議題》 労働時間制度について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26794.html
◎資料1 これからの労働時間制度に関する検討会 報告書(案)
第4 裁量労働制について
1 現状認識
→ 裁量労働制の趣旨⇒業務の性質上その遂行方法を大幅に労働者の裁量に委ねる必要がある業務について、労働時間の状況の把握に基づく労働者の健康確保と、法 定時間を超える労働について、実労働時間数に比例した割増賃金による処遇以外の 能力や成果に応じた処遇を可能としながら、実労働時間規制とは別の規制の下、使用者による実労働時間管理から離れて、業務の遂行手段や時間配分等を労働者の裁量に委ねて労働者が自律的・主体的に働くことができるようにすることにより、労 働者自らの知識・技術を活かし、創造的な能力を発揮することを実現することにある。この趣旨は、専門型と企画型とで違いはない。 裁量労働制の適用労働者の割合(令和3(2021)年1月1日現在)は、専門型は 1.2%、企画型は 0.3%。 裁量労働制の運用状況と、それを踏まえた現状と課題は、裁量労働制実 態調査の結果から、次のとおり総括できると考えられる。
・ 裁量労働制適用労働者は概ね、業務の遂行方法、時間配分等について裁量をも って働いており、専門型・企画型ともに約8割が制度の適用に満足している又は やや満足していると回答するなど、裁量労働制が適用されていることにも不満は少ない。「仕事の裁量が与えられることで、メリハリのある仕事ができる」と回答する割合も、裁量労働制適用労働者の方が同様の業務に従事する非適用労働者 (「非適用労働者」)と比べて多くなっている。
・ 労働者調査による1日の平均実労働時間数は適用労働者が 9:00、非適用労働者 が 8:39 と適用労働者の方が若干長い。 回帰分析⇒労働者の個人属性等を制御した場合には、裁量労働制の適 用によって、労働時間が著しく長くなる、睡眠時間が短くなる、処遇が低くなる、健康状態が悪化するといった影響があるとはいえないという結果となった。
・ 専門型⇒本人同意は必須ではないが、5割弱の事業場で本人同意が制度の適用要件。回帰分析の結果⇒本人同意のある専門型適用労 働者の方が、実労働時間が週 60 時間以上となる確率が低く、健康状態がよくない・あまりよくないと答える確率も低くなっている。
・ 企画型で設置が義務付けられている労使委員会では対象業務や対象労働者の範 囲、使用者が講ずる健康・福祉確保措置等に関する決議を行うこととなっている。 回帰分析の結果⇒労使委員会の実効性があると労働者が回答した場合、 長時間労働となる確率や健康状態がよくない・あまりよくないと答える確率が低くなっている。 回帰分析の結果⇒専門型・企画型双方について業務の遂行方法、時間 配分等や出退勤時間の裁量の程度が小さい場合には、長時間労働となる確率や健 康状態が悪くなる確率が高くなっており、また、業務量が過大である等の場合には、裁量労働制が適用されていることの満足度も低くなっている。 他の制度と同様、年収が低くなるに従って裁量労働制が適用されていることの 満足度が低くなっており、所定労働時間をみなし労働時間に設定している事業場 において、特別手当制度を設けていないようなケースもみられる。
 裁量労働制が、裁量をもって自律的・主体的に働くにふさわしい業務に従事する 労働者に適切に適用され、制度の趣旨に沿った適正な運用が行われれば、労使双方 にとってメリットのある働き方が実現できるものと考えられる。本検討会で行った 企業や労働組合からのヒアリングでは、労使が十分に協議した上で、実際にそのよ うな働き方を実現していると考えられる企業もみられた。また、労働者からのヒアリングでも、今後も適用継続を希望する、能力発揮や生産性向上につながっている といった発言もあった。こうした労使双方にとってメリットのある働き方が、より多くの企業・労働者で実現できるようにしていくことが求められる。 一方で、業務の遂行手段や時間配分等についての裁量が労働者に委ねられていな いことが疑われる結果も一部みられるなど、前述のような制度の趣旨に沿ったもの とは必ずしもいえない制度の運用実態がみられた。また、労働者側との十分な協議 がないまま使用者によって残業代を削減する目的で制度が導入され、裁量がない状 態で長時間労働を強いられ、かつ低処遇といった運用がなされれば、労働者の健康 確保や処遇確保の観点からも問題がある。そのような裁量労働制の趣旨に沿ってい ない運用は、制度の濫用・悪用といえる不適切なものであり、これを防止する必要 がある。 以上を踏まえ、次の3点を軸に裁量労働制の検討を行うことが適当⇒ 第一に、裁量労働制の趣旨に沿った運用とするためには、まず、労働者が自らの 意思で自律的・主体的に働くことを選択すること、及び業務の遂行手段や時間配分 等についての裁量が労働者に委ねられることが当然の前提であり、これらを制度的 に担保する必要がある。  第二に、裁量労働制の下で働く労働者の健康と、処遇の確保を徹底することが必 要。健康確保⇒働き方改革関連法により労働時間の状況の把握義 務が設けられたことを土台とした上で、必要な措置を検討することが必要。 また、処遇の確保は、みなし労働時間の設定の考え方とも関連があること から、こうした点を含めて、労働者の相応の処遇を確保し、制度の趣旨に沿った運 用とするための方策について整理が必要である。  第三に、使用者による制度の濫用を防止する観点からは、労使双方が十分に協議 しながら、適正な制度運用の確保を継続的に図っていくことが必要。このため、労使コミュニケーションを通じた制度の運用状況の把握・改善を強化する等、 適切な措置を講じていく必要がある。

2 具体的な対応の方向性
(1)対象業務→
現行では、専門型は法令で限定列挙された業務から労使協定で、また、 企画型は「事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務」から労使委員会決議で、それぞれ対象業務の範囲を定めることとされている。裁量労働制の趣旨に沿った運用とするためには、労使が制度の趣旨を正 しく理解し、職場のどの業務に制度を適用するか、労使で十分協議した上でその 範囲を定めることが必要。 対象業務の範囲は、労働者が自律的・主体的に働けるようにする選択 肢を広げる観点からその拡大を求める声や、長時間労働による健康への懸念等 から拡大を行わないよう求める声がある。事業活動の中枢で働いているホワイト カラー労働者の業務の複合化等に対応するとともに、対象労働者の健康と能力や 成果に応じた処遇の確保を図り、業務の遂行手段や時間配分等を労働者の裁量に委ねて労働者が自律的・主体的に働くことができるようにするという裁量労働制の趣旨に沿った制度の活用が進むようにすべきであり、こうした観点から、対象業務についても検討することが求められる。 その際、まずは現行制度の下で制度の趣旨に沿った対応が可能か否かを検証の上、可能であれば、企画型や専門型の現行の対象業務の明確化等による対応を検 討し、対象業務の範囲は、前述したような経済社会の変化や、それに 伴う働き方に対する労使のニーズの変化等も踏まえてその必要に応じて検討することが適当。

(2)労働者が理解・納得した上での制度の適用と裁量の確保
ア 本人同意・同意の撤回・適用解除
→裁量労働制の下で労働者が自らの知識・技術を活かし、創造的な能力を発揮 するためには、労働者が制度等について十分理解し、納得した上で制度が適用 されるようにしていくことが重要。このことは、制度の濫用防止を図る 観点からも重要である。このため、専門型・企画型いずれについても、使用者は、労働者に対し、制度概要等について確実に説明した上で、制度適用に当た っての本人同意を得るようにしていくことが適当。また、裁量労働制の下で働くことが適切でないと労働者本人が判断した場合⇒制度の適用から外れることができるようにすることが重要。このため、本人同意が撤回されれば制度の適用から外れることを明確化することが適当。その際、同意をしなかった場合に加え、同意の撤回を理由とする不利益取扱 いの禁止や、同意撤回後の処遇等について、労使で取り決めをしておくことが 求められる。例えば、同意撤回の直後にはフレックスタイム制に移行し、その後業務量等の状況が変われば再び裁量労働制に戻るといったような、柔軟な制度運用とすることを、労使で取り決めておくことも考えられる。 また、業務量が過大である等により労働者の裁量が事実上失われるような蓋然性が高い場合⇒裁量労働制の適用を継続することは適当ではない。さらに、労働者に裁量は委ねられているものの、業務に没頭して働き過ぎとなり健康影響が懸念されるような場合も同様。このため、労働者の申出による 同意の撤回とは別に、一定の基準に該当した場合には裁量労働制の適用を解除する措置等を講ずるような制度設計を求めていくことが適当。
イ 対象労働者の要件→専門型⇒対象業務が法令で限定列挙され、当該業務に従事する者も一定の専門性を有することが前提となっているのに対して、企画型⇒対象労働者を「対象業務を適切に遂行するために必要となる具体的な知識、経験等を有する労働者」とする要件が設けられ、その範囲を労使委員会決議で定めることが制度の導入要件とされている。こうした要件は、自らの裁量により 自律的・主体的に働ける者が企画型の対象労働者となることを担保する上で重要。 企画型の対象労働者となり得る者の範囲⇒対象業務ごとに異なり得るものであり、その範囲を特定するために必要な職務経験年数、職能資格等の具体的な基準を明らかにすることが必要とされ、現行の企画型に係る 指針では、「少なくとも3年ないし5年程度の職務経験を経た上で、対象業務 を適切に遂行するための知識、経験等を有する労働者であるかどうかの判断の 対象となり得るものであることに留意することが必要」とされている。 こうした企画型の対象労働者の要件の着実な履行確保を図るため、職務経験等の具体的な要件をより明確に定めることが考えられる。専門型⇒企画型と異なり、対象労働者の範囲を労使協定で定めることが 制度の導入要件とはされていないが、裁量労働制の下で働くにふさわしい労働者に制度が適用されるようにする観点から、そのような労働者の属性について必要に応じ、労使で十分協議・決定することが求められる。 なお、裁量労働制を適用するに当たっては、裁量労働によるみなし労働時間 制を適用するにふさわしい処遇の確保が要請されると考えられるが、その方策 の一つとして、専門型を含め、対象労働者について年収要件を設けることも考 えられる。しかしながら、裁量労働制が企業規模を問わず広く適用され、また、 その年収水準も企業間で異なっている現状を踏まえると、まずは裁量労働制にふさわしい処遇が確保されるよう労使協議を促していくことが必要。その際、みなし労働時間制の適用により、時間外労働の時間数に比例した割増賃金による処遇以外の能力や成果に応じた処遇が可能になることも念頭に、賃 金・評価制度の運用実態等を労使協議の当事者に提示することを使用者に求める等、対象労働者を定めるに当たっての適切な協議を促すことが適当である。
ウ 業務量のコントロール等を通じた裁量の確保→裁量労働制の下で業務の遂行手段や時間配分等の決定に関する裁量が労働者に委ねられているとしても、業務量が過大である場合や期限の設定が不適切な場合には、当該裁量が事実上失われることがある。また、効率的に業務を進め て短時間で仕事を終えることができたとしても、それに応じて使用者から追加 業務の処理を命じられるのであれば、裁量が事実上失われることに加え、効率的に業務を進めようというインセンティブが失われる。このため、裁量が事実 上失われたと判断される場合には、裁量労働制を適用することはできないこと を明確化するとともに、そのような働かせ方とならないよう、労使が裁量労働 制の導入時点のみならず、制度の導入後もその運用実態を適切にチェックして いくことを求めていくことが適当。 併せて、実態調査結果等を踏まえると、労働者において始業・終業時刻の決 定に係る裁量がないことが疑われるケースがみられることから裁量労働制は、 始業・終業時刻その他の時間配分の決定を労働者に委ねる制度であることを改 めて明確化することが適当である。

(3)労働者の健康と処遇の確保
ア 健康・福祉確保措置
→裁量労働制⇒対象労働者の労働時間の状況を把握するとともに、その状 況に応じ、労使協定又は労使委員会決議で定めた健康・福祉確保措置を講ずる こととされている。企画型⇒その措置として考えられる内容(メニュー)が、指針で例示されており、専門型は、企画型と同等のものとすること が望ましいことが通達で示されている。 「1 現状認識」で述べたとおり、対象労働者の健康確保を徹底するため、 健康・福祉確保措置を見直していくことが必要であり、その際、分かりやすさ や制度間の整合性にも配慮することが適当である。 こうした観点から、まず、労働時間の状況の把握⇒現行の指針で 定めている内容や、労働安全衛生法に基づく義務の内容を踏まえ、これらの取 扱いを明らかにすることが適当。 次に、健康・福祉確保措置⇒一般労働者には時間外・休日労働の 上限規制が設けられ、また、当該規制が適用されない高度プロフェッショナル制度適用労働者には複数の措置の実施が制度の要件とされていることと比較すると、裁量労働制の対象労働者の健康確保を徹底するためには、措置の内容を充実させ、より強力にその履行確保を図っていく必要がある。このため、他制 度との整合性を考慮してメニューを追加することや、複数の措置の適用を求め ていくことが適当である。 なお、専門型の健康・福祉確保措置は、「企画型における同措置の内 容と同等のものとすることが望ましい」旨を通達で示しており、専門型と企画 型とで差異を設ける理由はないと考えられることから、できる限り同様のもの とすることが適当である。
イ みなし労働時間の設定と処遇の確保→現状においては、みなし労働時間は、専門型では「当該業務の遂行に必要とされる時間を定めること」と通達で示され、企画型では「対象業務の内容を十 分検討するとともに、対象労働者に適用される評価制度及びこれに対応する賃金制度(略)の内容を十分理解した上で、適切な水準のものとなるよう決議することが必要」と指針で示されている。 前述した裁量労働制の趣旨を踏まえると、みなし労働時間は、制度上は実労 働時間と必ずしも一致しなければならないものではない。例えば、所定労働時 間をみなし労働時間と定め、実労働時間が所定労働時間を上回る状況にある場 合に、その所定労働時間を上回る時間に見合った手当を裁量労働手当として支 給することも可能であり、このことは、専門型と企画型とで違いはない。 以上を踏まえて、裁量労働制におけるみなし労働時間の設定⇒次 の見直しを行うことが適当。 まず、みなし労働時間は、対象業務の内容と、対象労働者に適用される評価 制度及びこれに対応する賃金制度を考慮して適切な水準となるよう設定する必 要があること等を明確にすることが適当。 その際、前述のとおり、業務の遂行に必要とされる時間を踏まえ、法定労働 時間を超えるみなし労働時間を設定した場合は、当該超える時間に対する割増 賃金の支払が求められることになり、そのような方法で相応の処遇を確保する ことも可能である。一方で、制度上はみなし労働時間と実労働時間を一致させ ることは求められておらず、実労働時間とは切り離したみなし労働時間の設定 も可能である。その際、例えば所定労働時間をみなし労働時間とする場合には、制度濫用を防止し、裁量労働制にふさわしい処遇を確保するため、対象労働者 に特別の手当を設けたり、対象労働者の基本給を引き上げたりするなどの対応 が必要となるものであり、これらについて明確にすることが適当である。

(4)労使コミュニケーションの促進等を通じた適正な制度運用の確保
ア 労使委員会の導入促進と労使協議の実効性向上
→裁量労働制は、労使協定の締結又は労使委員会の決議を制度の導入要件としているが、導入時に設定された諸条件が想定されたとおりに運用されて初めて 当該裁量労働制は適切な制度として受容され定着することになる。このことを踏まえると、裁量労働制の導入時のみならず導入後においても、当該制度が労使で合意した形で運用されているかどうかを労使で確認・検証(モニタリング) し、必要に応じて制度の見直しをすることを通じて、適正な制度運用の確保を 継続的に図ることが期待される。 このため、使用者は労使協議の当事者に対し、裁量労働制の実施状況や賃 金・評価制度の運用実態等を明らかにすることや、労使協議の当事者は当該実 態等を参考にしながら協議し、みなし労働時間の設定や処遇の確保について制 度の趣旨に沿った運用になっていないと考えられる等の場合には、これらの事 項や対象労働者の範囲、業務量等を見直す必要があること等を明確にすること が適当。 企画型について、労使委員会委員に対し、決議の内容を指針に適合したもの にするよう促すとともに、指針の趣旨の正しい理解を促す観点から、行政官庁 が委員に対し適切に働きかけを行うことも考えられる。 専門型では、労使委員会決議ではなく労使協定の締結が制度の導入要件とされている。専門型では、企画型に比べて深夜・休日労働が多くみられるなど、 制度運用の適正化を図る必要がある。この点、現行制度の下でも、労使協定の 締結に代えて、労使委員会を設けて決議を行うことにより、行政官庁への届出 をせずに制度を導入することが可能となっている。裁量労働制では、労使当事 者が合意によって導入した制度が、合意した形で適切に運用されていることの 検証が重要であることを考慮すると、労使による協議を行う常設の機関である 労使委員会を積極的に活用していくことが、当該制度の適正化に資するものと 考えられる。このため、専門型においても、労使委員会の活用を促していくことが適当。さらに、労働者から苦情の申出があった場合など、制度運用上の課題が生じた場合に、適時に労使委員会を通じた解決が図られるようにすることや、労使 協議の実効性確保の観点から、過半数代表者や労使委員会の労働者側委員の選 出手続の適正化、過半数代表者等に関する好事例の収集・普及を行うことが適 当である。併せて、労使委員会の実効性向上のための留意点を示すことが適当 である。
イ 苦情処理措置→認知度や苦情申出の実績が低調である実態を踏ま え、本人同意を取る際の事前説明時等に苦情申出の方法等を積極的に対象労働 者に伝えることが望ましいことを示すことが適当。併せて、例えば労使 委員会に苦情処理窓口としての役割を担わせるなど、労使委員会を通じた解決 が図られるようにすることや、苦情に至らないような内容についても幅広く相 談できるような体制を整備することを企業に求めることが適当。
ウ 行政の関与・記録の保存等→企画型が制度として定着してきたことを踏まえ、現行では6か月以内ごとに 1回行わなければならないこととされている定期報告について、その負担を減 らすことが適当。行政による監督指導に支障が生じないよう、 健康・福祉確保措置の実施状況に関する書類の保存を義務付けることが適当。併せて、手続の簡素化の観点から、企画型の労使委員会決議・専門型の労使 協定の本社一括届出を認めることが適当。

第5 今後の課題等→働き方改革関連法は、長時間労働の是正や過労死等の防止を図りつつ、労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できるようにするため、柔軟な働き方がしやすい環境整備等を行ったもの、平成 31(2019)年4月から順次施行されている。 働き方改革の流れを止めるようなことがあってはならず、本検討会で検討を加えた事 項についても、裁量労働制に関する事項を中心に、可能なものは速やかに実施に移していくべき。
また、働き方改革関連法は、施行5年後に、施行状況等を踏まえた制度の 検討を行うこととされているが、これに加えて、労働時間法制について、前述したよ うな経済社会の大きな変化を十分に認識し、将来を見据えた検討を行っていくことが求められる。 その検討に当たっては、本報告書の基本的な考え方を踏まえるとともに、特に次の 課題や視点について議論を深めていくことが必要である。 ↓
(労働時間法制についての基本認識)→まず、労働時間法制の実効性を確保するためには、その必要性が労使をはじめ社会 に十分に理解され、広く受け入れられるものとすることが必要。多様な人材の 労働参加、労働者・使用者の意識・ニーズの変化、ICTやAI等の技術の進展、普及等による働き方そのものの変化等を受け止める制度として労働時間法制を考えていく際、各制度の対象となると考えられる労働者像を明確にすることが、労働者保護の観点からも、企業の適切なマネジメントの実現の観点からも必要である。
(シンプルで分かりやすい制度)→その上で、働き方に対する労使のニーズの多様化が今後も見込まれる中で、こうしたニーズに応えられるようにしつつ、労働時間法制が多様化・複雑化し、分かりにく いものとならないよう現行制度を横断的な視点で見直し、労使双方にとってシンプ ルで分かりやすいものにしていくことが求められる。そのためには、当事者の合意によっては変更できない枠組みとして法が設定すべき事項と、当該制度枠組みの中で具体的な制度設計を労使の協議に委ねてよい事項との整理が課題。後述のとおり、後者の場面では労使協議が労働者保護を確保しつつ実質的に行われるための体制整備が課題。 (IT技術を活用した健康確保の在り方等)→テレワーク、副業・兼業、フリーランスなど、働き方の多様化が今後も見込まれる中で、働く者の健康確保の重要性が一層増していくものと考えられる。個人情報の保 護に配慮しつつ、IT技術の活用などによる健康確保の在り方、多様な働き方に対応 した労働時間の状況の把握の在り方、労働者自身が行う健康管理を支援する方策等に ついて、検討を行っていくことが求められる。
(労働時間制度等に関する企業による情報発信)→現役世代の減少が進み、人材獲得競争の激化が見込まれる中で、企業が自らに適 した働き方を選択したいという労働者のニーズに応え、優れた人材を確保していくためには、企業が労働時間制度やその運用状況等に関する情報を積極的に発信し、その情報を基に、労働者が企業を選択できるようにすることが重要。このことは自分の働き方や労働環境が不適切なものとなっていないかを、労働者自身が確認できるようにする観点からも有効。労働時間制度やその運用状況等に関する情報を労使で共有し、協議することで、採用した制度の適正な運用の確保も期待。こうした観点から労働時間制度等に関する企業による情報発信を更に進めていくことが求められる。
(労使コミュニケーションの在り方等)→職場においていずれの労働時間制度を採用するかを決定するに当たっては、法令に基づき、労使協議を行うことが基本。労使双方が納得して制度を採用するためには、両者が対等の立場でそれぞれのニーズを反映しつつ、労働者保護を図ることができるよう、適切に労使協議を行うことが前提。このことから、職場の労働者の過半数を代表する労働組合等各企業の実情に応じて労働者の意見が適切に反 映される形でのコミュニケーションを図っていくことが重要。そのため過半数代表制や労使委員会の在り方についても中期的な課題。 今後の労働時間制度⇒適切な労使協議の場の制度的担保を前提として、対象範囲や要件等を法令で詳細に規定するといった手法から、制度が濫用されな いよう法令で一定の枠組みと手続を定めた上で、その枠内で労使の適切な労使協議により制度の具体的内容の決定を認める手法に比重を移していくという考え方もある。 経済社会の変化や働き方の多様化への対応を行いつつ、労働条件の確保を的確に行うためには、このような方向での見直しも、検討課題の一つになり得ると考えられる。

○これからの労働時間制度に関する検討会 開催要綱
○(別紙) これからの労働時間制度に関する検討会 参集者名簿
○これからの労働時間制度に関する検討会 開催経緯

次回も続き「資料2−1 これからの労働時間制度に関する検討会報告書(案)参考資料@」からです。

これからの労働時間制度に関する検討会 第16回資料 [2022年07月30日(Sat)]
これからの労働時間制度に関する検討会 第16回資料(令和4年7月15日)
《議題》 労働時間制度について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26794.html
◎資料1 これからの労働時間制度に関する検討会 報告書(案)
第1 労働時間制度に関するこれまでの経緯と経済社会の変化
1 労働時間制度に関するこれまでの経緯
→労働時間は、最も代表的な労働条件であり、労働保護立法の歴史のうえでも最も古い沿革をもっている。昭和 22(1947)年に制定された労働基準法(昭和 22 年法律第 49 号)⇒工場法(明治44 年法律第 46 号)や商店法(昭和 13 年法律第 28 号)等により規定されていた労働時間制度を統一したもの。労働時間法制⇒これまでも、時代の状況に合わせて累次の改正がなされており、昭和 62(1987)年改正⇒変形労働時間制を拡充、フレックスタイム制、事業場外みなし労働時間制、専門業務型裁量労働制(「専門型」)が創設。平成10(1998) 年改正では企画業務型裁量労働制(「企画型」)が創設された。 平成 30(2018)年には、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成 30 年法律第 71 号。「働き方改革関連法」)により、罰則付き の時間外労働の上限規制が設けられるとともに、高度プロフェッショナル制度が創設。労働者がその健康を確保しつつ、ワーク・ライフ・バランスを図り、能 力を有効に発揮することができる労働環境の整備が進められている。 仕事の進め方や時間配分を労働者の裁量に委ね、自律的で創造的に働くことを可能とする制度である裁量労働制⇒制度の趣旨に沿った対象業務の範囲や、労働者の裁量と健康を確保する方策等についての課題が以前より指摘、働き方 改革関連法の検討に併せ、見直しに向けた検討が進められていた。 そうした中で、平成 25 年度労働時間等総合実態調査の公的統計としての有意性・ 信頼性に係る問題が発生し、働き方改革関連法の国会審議を踏まえ、裁量労働制⇒現行の専門型及び企画型それぞれの適用・運用実態を再調査した上で、 制度の適正化を図るための制度改革案を検討することとされた。 このため、統計学、経済学の学識者や労使関係者からなる検討会における検討を経て、総務大臣承認の下、統計調査(「裁量労働制実態調査」)が改めて実施、令和3(2021)年6月 25 日に同調査結果の取りまとめ・公表がなされた。 同調査結果の労働政策審議会への報告を経て、裁量労働制を含めた労働時間法制 の在り方を検討することを目的として、本検討会が開催されるに至った。

2 経済社会の変化→少子高齢化や産業構造の変化が進む中で、近年ではデジタル化の更なる加速や、新型コロナウイルス感染症の影響による生活・行動様式の変容が、労働者の意識や働き方、企業が求める人材像にも影響を及ぼし、労働時間法制を、経済社会の変化に対応して見直すに当たっては、次のような変 化やその影響を考慮する必要がある。
(少子高齢化・生産年齢人口の減少)→我が国においては急速な少子高齢化が進んでおり、既に人口減少局面にある。特 に令和7(2025)年から令和22(2040)年⇒15〜64 歳の現役世代(生産 年齢人口)の減少が更に進むと見込まれ、人口構成に加えて産業構造の変化も加速しており、製造業で働く労働者は減り代わって第三次産業での就業者が増加。これらの人口構成や産業構造の変化の中でも、就業者の大部分が雇用者である状況は継続。長期的には非正規雇用労働者の割合が増加傾向にあり、近年は正規雇用労働者数も増加傾向。これから更に現役世代の減少が進む中で、産業や就業形態を問わず人材が必要とされると考えられることを踏まえれば、企業間の人材の獲得競争が激化することが 予想される。
(多様な人材の労働参加)→個々の労働者は、出産、育児や介護、病気治療との両立や、本業以外での活動を通じたキャリア形成等、ライフステージに応じて様々な事情を抱えている場合があり、それぞれの事情に応じて多様な働き方を志向する。このような様々な事情を抱 えている労働者が労働市場に参加し、働き続けられるよう、多様なニーズに対応できる環境を整備することが求められる。 このような環境の整備は、少子高齢化が進む中でも我が国の活力を維持・ 向上させていくことにも資するものと考えられ、これまで、女性や高齢者の労働 市場への参入と就業継続を希望する者の退出防止、外国人労働力の活用など が政策課題となり、実際、これらの労働力活用に向けた諸施策が展開されてきている。女性・高齢者・外国人をはじめとした多様な労働者の労働市場への参入が進むことにより、パートタイム、嘱託、長期に日本の労働市場に留まることを予定しない就労など、伝統的な長期雇用システムにおける正社員とは異なる雇用形態を選択する労働者が増加する可能性も高く、労働者像の多様化をさらに促進することが見込まれる。引き続き、多様な働き方を求める、多様な人材の労働市場への参画を可能とすることが要請されると考えられる。
(デジタル化、コロナ禍の影響等による労働者の意識や企業が求める人材像等の変化)→ 多様な働き方を求める、多様な人材の労働市場への参画が進むことに加え、こうした労働者の意識や働き方⇒デジタル化やコロナ禍の影響等により、今後更に多 様化していくことと考えられる。 ICTの進展や、令和2(2020)年初頭以降の新型コロナウイルス感染症拡大、 同年4月の緊急事態宣言等により、テレワークを実施する企業は急増した。企業の 導入意欲には一服感がある一方、テレワークを経験した労働者の大半が継続してテ レワークを行うことを希望している。今後、テレワークと職場に出勤しての就労の 双方を組み合わせた、ハイブリッド型の働き方が進行していくと見込まれ、このことを含め、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を求める労働者側のニーズが 強まっていくと考えられる。 労働者に対する「コロナ禍収束後、変化は起こり得るか」という設問に対し、「時間管理の柔軟化」が「起こり得る」「どちらかと言えば起こり得る」と回答した割合 が半数以上であった調査結果もあり、こうした働く側の意識やその変化にも対応し ていくことが求められる。 また副業・兼業を希望する労働者が増加傾向にあるなど、多様な働き方を希望する労働者も増加。こうした労働者や、自律的・主体的に働き、キャリア 形成を図ることを希望する労働者が自らの望む働き方ができるような企業の選択が進むものと考えられる。企業を取り巻く環境の変化⇒少子高齢化や経済のグローバル化が 進む中で、先進国との付加価値競争や新興国との価格競争に直面。今後の経済を維持・向上させていくためには、人材がその意欲を向上させ、能力を発揮することで、イノベーションを後押しするような労働環境整備が求められている。 こうした中、企業が求める人材像等⇒変化が見込まれる。まず、現状の 人手不足の状況⇒高度・専門人材の不足感が高くなっている。また、企業 は、「自ら考え、行動することの出来る能力」や「柔軟な発想で新しい考えを生み出 すことのできる能力」を今後の人生 100 年時代に求められる能力と認識。 企業の賃金制度⇒役割・職務給の導入率の増加や年齢・勤続給の割合の 低下がみられ、将来の人材戦略として、年齢に関わりなく能力・成果に応じた登用を進めることを考える企業が多くなっている。AI等の技術の進展・普及は、一部の業務の代替を進める反面、業務を増加させるものも存在。AIを使いこなし、人間はヒトならではの業務にシフトしていくといった働き方の変化が進んでいくことも予想される。こうした変化の中では、 デジタル化の進展に対応できる、創造的思考等の能力を有する人材や、AI等の技術と補完的なタスクを担う人材が求められていくこととなるが、前者の人材が担う業務の多くは、企業が具体的な指示を行うことが難しいものになっていくことも想定される。 企業には、企業の求める能力を持った多様な人材が活躍できるような魅力ある人 事労務制度を整備していくことが求められる。 本検討会⇒以上のような経緯や経済社会の変化を踏まえ、裁量労働制については裁量労働制実態調査の結果等を踏まえ、可能なものは速やかに対応していく観点から、その方向性について検討を加えるとともに、今後の労働時間制度の在り方全般について検討を加えた。

第2 これからの労働時間制度に関する基本的な考え方
(労働時間法制の意義と課題)
→労働者の健康確保のための最長労働時間規制から出発したが、労働から解放された時間の確保のための休憩や休日の規制、そして法定時間外労働や休 日労働に経済的負荷を課して抑制するとともに、負担の重い労働に対する金銭的補償 を行う割増賃金規制などが一般化した。これらは、使用者が、劣悪な労働条件を利用 して市場での競争で優位な立場に立つことを防ぐ、公正競争を保つためのルールともなっている。 労働者の多様化、企業を取り巻く情勢変化に伴って、働き方に対するニーズも多様化し、労働時間規制に対する社会的要請や担うべき政策目的も多様化してきた。これらに対応するために、労働時間規制は法改正を重ねて多様化し、新たな規制も導入されてきた。例えば、労働者の健康の確保を図ることを前提に、それに加え、ワーク・ライフ・バランスを改善すること等を目指して、働き方改革関連法では罰則付きの時 間外労働の上限規制が導入。また、ワーク・ライフ・バランスの実現などの新 たな社会的要請のために労働から解放された時間の確保も労働時間規制の新たな役割として注目されてきており、同法においては勤務間インターバル制度の導入が事業主の努力義務とされた。現在の労働時間法制が、新たに生じている労使のニーズや社会的要請に適切に対応し得ているのかは、労働者の健康確保という原初的 使命を念頭に置きながら、常に検証を行っていく必要がある。 (経済社会の変化に応じた労働時間制度の検討の必要性)→企業は、労働時間法制の枠内で労働時間制度を設計するが、その法制度は 労使の多様なニーズ、すなわち、@生活面も含めて様々な事情を有する労働者が、自らに適した働き方を選択したいという労働者側のニーズや、A経営戦略を踏まえた労 務管理上の必要という企業側のニーズに対応したものであることが要請される。実際、 労働時間法制は、こうした労使の多様なニーズに対応すべく、法改正を重ねてきた。 したがって、労使のニーズに沿った働き方は、これまでに整備されてきた様々な制度 の趣旨を正しく理解した上で制度を選択し、運用することで相当程度実現可能になる と考えられ、まずは各種労働時間制度の趣旨の理解を労使に浸透させる必要がある。 他方、少子高齢化や産業構造の変化、デジタル化による働き方の変化やコロナ禍等による労働者の意識変化が進む中で、働き方に対する労使のニーズもより一層多様化し、新たな働き方に対するニーズが生まれてきていると考えられる。労働時間法制が、 そのような変化に対応できていない場合には、必要な検討が行われていくべき。今後、労働力人口の減少が更に進み、企業間の人材獲得競争の激化が見込まれることを踏まえれば、我が国の活力を維持・向上させていくためには、これからの労働時間制度は、労働者にとっては、希望に応じて自律的・主体的に働けるようにすることで、より意欲の向上と能力の発揮ができるような制度とすることが、また、企業にと っては、働く側のニーズに寄り添うものとすることで、優れた人材を自社に惹きつけるためのツールの1つとして活用できる制度であることが求められる。こうした制度とすることで、多様な労働者の労働市場への参画と、就業継続を希望する者の退出防 止が可能となると考えられる。 これらを踏まえると、これからの労働時間制度は、次の視点に立って考えることを 基本としていくことが求められる。第一に、どのような労働時間制度を採用するにしても、労働者の健康確保が確実に 行われることを土台としていく必要がある。労働者が健康で充実して働き続けること は、労働者本人の意欲の向上と能力の発揮につながるのみならず、企業の活力や競争 力を高めることにも有効である。その際、健康確保を図るための手法は実労働時間の 把握・管理のみならず、例えば、労働から解放された時間の確保や、医師による面接 指導等、多様なアプローチがあり得ることに留意が必要。また、労働者の健康 確保と主体的な働き方の実現はトレードオフの関係にあるものではなく、両者を両立させていくことが求められる。 第二に、労使双方の多様なニーズに応じた働き方を実現できるようにすることが求 められる。特に、時代の変化の中で、自律的・主体的に働く労働者や、創造性を発揮 して働く労働者の存在が今後より一層重要になると見込まれることから、そのような 労働者が望む働き方を実現することや、そのことを通じて労働者が自らのキャリアを 形成していくことを、労働時間制度の面からも支えていく必要がある。現行の労働時間法制には、1日8時間・1週 40 時間を法定労働時間の原則とし、この法定労働時間 を柔軟化する制度として、一定の変形期間内であらかじめ定めた所定労働時間を平均 して法定労働時間内(1週 40 時間)に収まればよい(総枠管理)とする変形労働時間制、総枠管理を必要としながら時間配分について労働者に自律的・主体的判断を委ね るフレックスタイム制、これらの実労働時間を把握して法定労働時間を遵守させる一 般の労働時間制度とは異なる特別の労働時間制度(特別規制)として、事業場外労働で労働時間が算定し難い場合の労働時間みなし制度、業務遂行の手段と時間配分に関する裁量が労働者に委ねられ、一定の業務に従事する場合に一定の時間働いたものと みなす裁量労働制、一定の年収要件等を満たす労働者が高度の専門業務に従事する場合に健康確保措置等の実施を要件として労働時間等の規制を適用除外する高度プロフ ェッショナル制度等、様々な制度が用意されている。働き方に対する労使のニーズの多様化が今後も見込まれる中で、こうしたニーズに対応できる選択が可能となるよう、 労働時間制度の整備を進めることが求められる。そのことが、多様な働き方を求める、多様な人材の労働市場への参画と就業継続を希望する者の退出防止へとつながっていくものと考えられる。その際、労働時間法制がこれまで以上に多様化・複雑化し、分かりにくいものとなってしまっては、その履行確保が期待できなくなるおそれがある。 このため、労働時間法制は、多様化する労使のニーズに応えられるようにしつつ、可 能な限りシンプルで分かりやすいものにしていくことが求められる。 第三に、どのような労働時間制度を採用するかについては、労使当事者が、現場のニーズを踏まえ十分に協議した上で、その企業や職場、職務内容にふさわしいものを選択、運用できるようにする必要がある。労働時間制度の在り方⇒法定労働時間を原則とした上で、企業に対して交渉力の弱い労働者の立場や意見が損なわれる ことのないよう、法が枠組みを設定し、その枠内では、どのような労働時間制度を採用し、その場合の処遇をどのようにするかについては、労使自治に委ねられていくべ きものである。また、労使協議に際しては、労働時間制度だけでなく、企業の経営方針、目標管理等を含む組織のマネジメントの在り方等も考慮することが、労使双方に とってメリットある働き方の実現につながると考えられる。労使が十分に協議して設 計した労働時間制度であれば、その制度内容についても当該労使が熟知しており、制度趣旨に従った運用となっているかも当該労使が最も適切にチェックし得ることとなる。こうした労使による履行確保に加えて労働時間制度等に関し、企業による情報 の発信を促進することにより、労働者による選択や顧客等による評価など、市場の調 整機能を通じた労働環境の整備を図っていくことも重要になっていくと考えられる。

第3 各労働時間制度の現状と課題
1 法定労働時間、時間外・休日労働等
→労働基準法⇒1日8時間・1週 40 時間を超えて労働させてはならない ことを原則とする法定労働時間と、毎週少なくとも1回与えることを原則とする法定休日が定められている。法定労働時間を超えて時間外労働をさせる場合や、法定 休日に労働させる場合には、使用者は、労働者の過半数で組織する労働組合等との 間で協定(36(サブロク)協定)を締結し、行政官庁に届け出る必要があり、時間外労働や休日労働をさせた場合には、一定率以上の率で計算した割増賃金を支 払わなければならないこととされている。 これまで、36 協定で定める時間外労働⇒大臣告示によって上限の基準 が定められていたが、罰則による強制力がなく、臨時的な特別の事情がある場合に は 36 協定に特別条項を設けることで、上限なく時間外労働を行わせることが可能と なっていた。働き方改革関連法により、36 協定で定める時間外労働の上限は原則として月 45 時間・年 360 時間、臨時的な特別の事情があり労使が合意する場合(特別 条項)でも時間外労働は年 720 時間以内、また、36 協定の範囲内であっても個々の 労働者の時間外・休日労働は月 100 時間未満・複数月平均 80 時間以内とする上限規 制が設けられ、一部の適用猶予事業・業務を除き、平成 31(2019)年4月(中小企業は令和2(2020)年4月)から施行。 この上限規制は、前述した基本的考え方のうち主に健康確保の観点からの改正と 考えられる。働き方改革関連法で政府は、上限規制の施行後5年を経過し た際に検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を 講ずることから、施行の状況や労働時間の動向等を十分に把握し、上限規制の効果を見極めた上で検討を進めていくとともに、適用猶予事業・業務⇒着実な施行を図っていくことが求められる。

2 変形労働時間制→変形労働時間制は、季節等により業務に繁閑がある場合に、一定の期間を平均して法定労働時間を超えない範囲で、特定の日又は週で法定労働時間を超えて労働さ せることができる制度。 適用労働者の割合(令和3(2021)年1月1日現在)は、1か月単位では 21.5%、1年単位では 17.8%。後述するフレックスタイム制や事業場外みな し労働時間制の今後の実態把握に併せて、変形労働時間制についても実態把握を行 い、必要に応じ検討を進めていくことが求められる。
3 フレックスタイム制→フレックスタイム制⇒労働者が始業・終業時刻を自ら決めることによって、生 活と業務の調和を図りながら効率的に働くことができる制度。適用労働者の 割合は9.5%(令和3(2021)年1月1日現在)であり、近年増加している。コアタイ ム(勤務しなければならない時間帯)を設けるか否かは当事者に委ねられており、 コアタイムのないフレックスタイム制を導入する企業もみられるなど、生活と業務 の調和を図りながら柔軟に働くことを後押しする観点から、今後も制度の普及が期待される。 また、働き方改革関連法により、清算期間の上限を1か月から3か月とする改正 が行われ、平成 31(2019)年4月から施行されている。 この改正は、前述した基本的考え方のうち主に、労使双方の多様なニーズに応じた働き方の実現に資すると考えられ、働き方改革関連法において、政府は、改正 の施行後5年を目途として検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基 づいて所要の措置を講ずることとされていることから、施行の状況を十分に把握し た上で検討を進めていくことが求められる。

4 事業場外みなし労働時間制
→事業場外みなし労働時間制は、労働者が事業場外で業務に従事した場合で、労働 時間を算定し難いときに、原則として所定労働時間労働したものとみなし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合には、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす制度。適用労働者の割合(令和3(2021)年1月1日現在)は、6.7%。 この制度の適用が認められるのは「労働時間を算定し難いとき」であり、この制度を適用してテレワークを行う場合には、一定の要件を満たす必要があるとされている。労使双方の多様なニーズに応じた働き方の実現や情報通信技術の進展、コロ ナ禍によるテレワークの普及といった状況変化等も踏まえ、この制度の対象とすべ き状況等について改めて検討が求められる。

5 裁量労働制→裁量労働制については、第4のとおり。
6 高度プロフェッショナル制度
→職務の範囲が明確で一定の年収要件を満たす労働者が高度の専門的知識等を必要とする業務に従事する場合に、労使委員会決議や 本人同意、休日の確保、健康・福祉確保措置等を要件として、労働時間、休日、深夜の割増賃金等の規定を適用除外にできる制度。働き方改革関連法により設けられ、平成 31(2019)年4月から施行。 同制度では、働く時間帯の選択や時間配分の広範な裁量が対象労働者に 認められている必要があり、対象労働者の健康確保を図りながら、自律的に働くことを可能としている。同制度の創設⇒こうした働き方に対するニーズの実現に資するものと考えられるが、フレックスタイム制と同様、働き方改革関連法で施行後5年を目途とした検討が求められていることから、施行の状況等を十分に把 握した上で検討を進めていくことが求められる。

7 適用除外(管理監督者等)→労働基準法第 41 条は、農業、畜産・水産業従事者、管理監督者又は機密の事務を取り扱う者、監視又は断続的労働に従事する者で使用者が行政官庁の許可を受けたものは、労働時間、休憩、休日の規定を適用除外としている。 〇 このうち管理監督者は、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいい、適用労働者の割合(令和3(2021)年1月1日現在)は、 3.7%となっている。管理監督者は、その判断に当たっては、@労働時間等の規制の枠を超え て活動せざるを得ない重要な職務内容・責任・権限を有している、A現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないようなものである、B賃金等について、その地位にふさわしい待遇がなされている、といったことを踏まえて実態により判断す ることが通達により示されているものの、各企業においてどのような者がこれに該当するか、適切な判断が難しいのではないかといった指摘がある。 こうした判断を行うために参考となる裁判例が集積していることや、裁量労働制 や高度プロフェッショナル制度といった各種法規制が整備されてきたこと、産業実態の変化等を踏まえ、適用除外の在り方については改めて検討が求められる。

8 年次有給休暇→労働者が心身の疲労を回復させ、健康で充実した生活を送 ることができるよう、法定休日のほかに毎年一定日数の有給休暇を与える制度。 直近の年次有給休暇の取得率は 56.6%(令和3(2021)年1月1日現在)と、昭和 59(1984)年以降過去最高。働き方改革関連法により、年5日の確実な取得義務(使用者の時季指定義務)が 設けられ、平成 31(2019)年4月から施行されたが、このことも、年次有給休暇の取得率の上昇に影響していると考えられる。政府は、令和7(2025)年までに「年次有 給休暇の取得率を 70%以上とする」ことを目標として掲げていることから、更なる 取得率向上のため、例えば、年次有給休暇の完全消化を前提に年度当初に取得計画 を作成することや、そのために必要な要員配置を行うことを企業に推奨するなど、 より一層の取得率向上の取組が求められる。 年次有給休暇の時間単位取得⇒現行制度の下では年5日を限度。この限度を拡大・撤廃することは、まとまった休暇を取得するという本来の 制度趣旨に沿うものではないとの指摘や、育児・介護をしながら働いている労働者 がいるなどの各事業場の様々な事情に応じて限度日数を労使協議に委ねることも考 えられるとの指摘があった。年5日を超えて時間単位年休を取得したいという労働 者のニーズは、まずはこうしたニーズに応えるような各企業独自の取組を 促すことが必要。また、リフレッシュのための休暇とそれ以外の休暇を分けて考えるべきであり、 例えば病気休暇などについて検討すべき課題であるとの指摘等があった。 同制度についても、働き方改革関連法において、改正の施行後5年を目途とした 検討が求められていることから、使用者の時季指定義務の施行の状況等を十分に把 握した上で、本検討会で指摘があった点を含め、検討を進めていくことが求められ る。

9 その他 →勤務間インターバル制度⇒労働者の生活時間や睡眠時間を確保し、健康確保と 仕事と生活の調和を図るため、終業時刻から始業時刻までの間に一定時間の休息を 確保するものであり、働き方改革関連法により、その導入が努力義務とされ、平成 31(2019)年4月から施行されている。導入している企業の割合は 4.6%、導入を予定又は検討している企業の割合は 13.8%(いずれも令和3(2021)年1 月1日現在)。十分なインターバルの確保は労働者の健康確保等に資すると考えられ、時間外・休日労働の上限規制と併せ、その施行の状況等を十分に把握した上で 検討を進めていくことが求められる。当面は、引き続き、企業の実情に応じて導入 を促進していくことが必要。 テレワークが普及し場所にとらわれない働き方が実現しつつあり、またICTの 発達に伴い働き方が変化してきている中で、心身の休息の確保の観点、また、業務 時間外や休暇中でも仕事と離れられず、仕事と私生活の区分があいまいになること を防ぐ観点から、海外で導入されているいわゆる「つながらない権利」を参考にし て検討を深めていくことが考えられる。

次回も続き資料1の「第4 裁量労働制について」からです。

 たたかれていい子どもなんて、いないんだよ。【厚生労働省】 [2022年07月29日(Fri)]
◎たたかれていい子どもなんて、いないんだよ。【厚生労働省】 (令和4年7月14日)7/29
〜子どもの権利が尊重される子育ての実現のために〜
https://www.mhlw.go.jp/no-taibatsu/
○厚生労働省では、毎年11月を「児童虐待防止推進月間」と定め、児童虐待問題に対する社会的関心の喚起を図るため、集中的な広報・啓発活動を実施しています(平成16年度から実施)。↓
子どもの虐待防止推進・全国フォーラムwithかがわ(令和4年11月20日(日)14時〜17時)
令和4年度「児童虐待防止推進月間」標語募集 エントリー期間6/14〜7/22

○子どもが持っている4つの権利
○しつけと体罰の違いって?
→体罰が許されないものであることが法定化されました。
○子育て中の方へ→工夫のポイント↓
ポイント1 子どもの気持ちや考えに耳を傾けましょう
ポイント2「言うことを聞かない」にもいろいろあります
ポイント3子どもの成長・発達によっても異なることもあります
ポイント4子どもの状況に応じて、身の周りの環境を整えてみましょう
ポイント5注意の方向を変えたり、やる気に働きかけてみましょう
ポイント6肯定文でわかりやすく、時には一緒に、お手本に
ポイント7良いこと、できていることを具体的に褒めましょう
・上記ポイントの意味をよく考えましょう→確認は原文へ。

周囲の親族や地域住民、NPO、保育等の子育ての支援者、保健・医療・ 福祉・教育現場等で子育て中の保護者に接する方は、子育て中の保護者が孤立しないようにサポートしていくことが大切です。保護者だけで抱え込まないように、声かけや支援を行い、市区町村や児童相談所等とも連携をして、社会全体で支えていくことが必要です。


◎189〜「だれか」じゃなくて「あなた」から〜【厚生労働省】(令和4年7月14日)
https://www.mhlw.go.jp/189-ichihayaku/
○11月は「児童虐待防止推進月間」です。→2つのユーチュウブを見てネ!!
○映画「189」予告編
児童虐待による死亡事例は年間70件※を超えています。
○児童虐待とは

○全国児童相談所一覧(令和4年4月1日現在)↓
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/zisouichiran.html

○24時間子供SOSダイヤル(文部科学省)→0120-0-78310
○どもの人権110番(法務省)→0120-007-110

次回は新たに「これからの労働時間制度に関する検討会 第16回資料」からです。

女性活躍推進法の省令・告示を改正しました [2022年07月28日(Thu)]
女性活躍推進法の省令・告示を改正しました(令和4年7月8日)
〜大企業に男女の賃金の差異の情報公表を義務化します〜(301人以上)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26587.html
◎女性活躍推進法に基づく男女の賃金の差異の開示義務化は「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画〜人・技術・スタートアップへの投資の実現〜」(令和4年6月7日閣議決定)において、今夏の制度改正実施・施行が決まっていました。
 今回、常用労働者301人以上の事業主には、本日以降に終了する事業年度の次の事業年度の開始日からおおむね3か月以内に※、直近の男女の賃金の差異の実績を情報公表することが義務付けられます。


※例:事業年度が4月〜3月の場合  
   令和4年4月〜令和5年3月の実績を、おおむね令和5年6月末までに公表

 厚生労働省では、今回の改正を通じて、更なる女性活躍推進に取り組んでいきます。

○賃金差異の計算方法や公表に当たっての留意点などをまとめたパンフレットやリーフレットなどをウェブページで公表しています。 ↓
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html

◎【別添】リーフレット→ 000961793.pdf (mhlw.go.jp)
○事業主の皆様へ(2022(令和4)年7月8日施行)↓

女性活躍推進法に関する制度改正のお知らせ
女性の活躍に関する「情報公表」が変わります→今年7月8日の施行に伴い、初回「男女賃金の差異」の情報公表は、施行後に最初に終了する 事業年度の実績を、その次の事業年度の開始後おおむね3か月以内に公表していただきます。
○労働者が301人以上の事業主の皆さま→以下のA〜Cの3項目の情報を公表する必要があります。↓
・女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供に関する実績 A:以下の8項目から1項目選択 + B:H男女の賃金の差異(必須)*新設。
・職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績 C:以下の7項目から1項目選択
(常時雇用する労働者が101人以上300人以下の事業主→下記16項目から任意の1項目以上の情報公表が必要です。)
○上記項目の「各区分の情報公表項目」参照。


○「男女の賃金の差異」の情報公表のイメージ 参照
・「男女の賃金の差異」は、男性労働者の賃金の平均に対する女性労働者の賃金の平均を割合(パーセント)で示します。
・「全労働者」「正規雇用労働者」「非正規雇用労働者」の区分での公表が必要です。

○自社の実情を正しく理解してもらうために『説明欄』を有効活用しましょう。
「男女の賃金の差異」以外の情報を任意で追加的に公表できます
・任意の追加的な情報公表の例 参照。

○ 情報公表の際は、厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」を ご活用ください。 URL:https://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/
○「男女の賃金の差異」の情報公表に関する詳細を含め、女性活躍推進法の詳細は、 厚生労働省ウェブサイト(女性活躍推進法特集ページ)をご覧ください。 URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000091025.html
○一般事業主行動計画の策定等については、最寄りの都道府県労働局雇用環境・均等部(室)まで お問い合わせください。 →受付時間8時30分〜17時15分(土・日・祝日・年末年始を除く)⇒各都道府県の電話番号一覧表あり。

次回は新たに「たかれていい子どもなんて、いないんだよ。【厚生労働省】(令和4年7月14日)2本の発信」からです。

第16回 社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」(資料) [2022年07月27日(Wed)]
第16回 社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」(資料)(令和4年7月7日)
《議事》(1)「今後の福祉事務所における生活保護業務の業務負担軽減に関する調査研究」を踏まえた対応(2)就労支援のあり方(3)家計改善支援等のあり方(4)生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携のあり方について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26654.html
◎資料5 鈴木参考人提出資料
生活困窮者自立支援制度における 就労支援(準備・訓練等) 〜千葉の実践から〜
NPO法人ユニバーサル就労ネットワークちば 事務局長 鈴木 由美
兼務)社会福祉法人生活クラブ風の村 人事広報部ユニバーサル就労支援課 課長
○NPO法人ユニバーサル就労ネットワークちばとは?
→千葉県内に80ヶ所近くの事業所(高齢者介護・保育・児童養護・障害 者・困窮者相談支援等)を持ち従業員数1700名の法人。現在はユニバーサル就労(中間的就労)のプログラム評価や事業改善を 実施。全国で実施できるような効果的なユニバーサル就労の方法を研究 者と一緒に議論中。
○事業概要→「当事者・会社支援」など参照。「働きづらさを抱える人の就労支援」中心。
・@千葉市就労準備支援室 基本情報→常勤5名、非常勤1名。 ※非常勤は中間的就労を利用して就労したスタッフ。「実績」「特徴」の参照。働きづらさに対する自己理解を深めるためのアセスメントツールやグループワークを実 施。
・@-1 支援の特徴→【社会・地域への働きかけ】【本人への働きかけ】
・@-2 支援フロー
参考資料:職業適性検査について→(1)社会経験や就労経験が極端に少ないため、自己理解ができていない当事者が急増。 何をやりたいのか、何に興味があるのか、自分はどこまでできるのかといったことをきちんと把握し、これからどうやって行動していく参考や支援方針を作成する指標として適性検査を導入した。 (2)知的・発達障害ボーダーと思われる当事者の増加
・@-3 企業開拓について→【方法】@〜C。【参入しやすい業界】は? 
「企業とのネット ワークについて」→研究会を開催し、顔の見える 関係作りなど。
・@-4 定着支援→「メール、電話で様子を聞く」などその他あり。
・@-5 チャンス創造ファンド(独自)→必要なことに対する費用負担⇒(例)障害者手帳取得のための診断書費用、健康診断 ・ひとり最大約15万円まで支給可能。実績ベースだとおおよそ 一人4万円が最大。年間で20万円程度の原資で実施可能。
(参考)本人の自立を支える部分に寄り添う支援 〜伴走型/エンパワメント型〜→(クライエントのベクトル)「安心」⇒「自信」⇒「自由」への支援。

○生活困窮者の就労支援領域と支援スタイル↓(このメインテーマ)
【提案1】就労準備支援・就労訓練事業の必須事業化(就労支援全体の一体実施)が必要

→「生活自立」「 社会自立」の意識が「就労自立」へ発展。(考え方にあり)
<支援の捉え方> キャリアコンサルティングの流れと困窮者支援事業→「自己理解」「職業理解」⇒「啓発的経験」につながり「キャリア選択に係る意思決定」になる。
○【提案2】幅広い支援領域に対応できる就労支援員 の育成が急務
<支援の土台・基礎>主に相談員自身のことや当事者の個別支援⇒<支援メニューの開発> <企業開拓や地域づくり>⇒「創意工夫・独自展開へ」が必要。
・中間的就労の実践 ユニバーサル就労(UW)とは…→ユニバーサル就労の理念を実現する具体的な仕組み(システム)⇒<特徴> @対象者を限定しない Aスライド式の就労ステージを構築 B業務分解 C外部支援者とのチームによる定着支援⇒以下特徴A〜Cの説明。
○【提案3】多様なはたらき方を創造する支援が必要↓
・一般の労働市場から排除されている人を労働市場に戻そうとするのはもはや限界があり、当事者にとって は絶望感しかない。
→そこに押し戻そうとする支援でいいのか?現場は行き詰まっている。  はたらきづらさは手帳の有無だけではかれなくなってきている。グレーゾーンの人たちを受け止める社会 資源が失われている。はたらきづらさはどんどんグラデーションゾーンが広くなっている。  雇用市場に空いている隙間はどんどん大きくなっているが、制度はいつまでも変わらない。↓
「将来を決定する選択肢」
→中間的就労の活用右矢印1「特開金の活用の可能性」→令和4年5月30日の要件緩和はひとつのチャンス …生活困窮者支援の自立支援や就労準備・就労訓練事業、被保護者支援 の就労支援、就労準備支援事業での受給が可能となった!


◎資料6 行岡参考人提出資料
1.家計改善支援の始まりは多重債務対策
2. 家計改善支援とは
→「家計に問題を抱える生活困窮者からの相談に応じ、相談者とと もに家計の状況を明らかにして生活の再生に向けた意欲を引き出していく支援。相談者のエンパワメントを図る。更に相談者自身の家計を管理する力を高め、早期に生活が再生されることを支援する取り組み」のことを指す。
(1)相談者自身の力で解決するために
(2)相談支援で大切にしてきた家計改善支援のあり方→相談者本位の尊重、自己実現と自己決定ができるような相談支援を目指す
(3)借金や税金・保険料、家賃などを滞納し、生活に困っている状態→家計全体の収支を把握できるように。本人との対話で相談時家計表を作成し、生活の現状を 本人自身が把握できるよう支援する。
3.家計改善支援で見えること、その効果→@生活の現状を本人自身が把握できる。A他の支援者にも相談者の状況が見える。B生活を維持するためにいくら必要かが分かる。C収入を増やせない場合は、家計支出の減額を具体的な数字 で相談できる。
D債務整理や滞納解消には家計表とキャッシュフロー表が有効。 返済額や目標が定まり、 生活の不安が将来への希望につな がる。
4.支援が入る効果的なタイミング→税・公共料金・給食費等滞納から。<庁内の連携が重要>早期発見と困窮者支援窓口への早期のつなぎ・支援事業所での早期対処は、生 活困窮予防策として最大効果が得られる。
5.税金分納や貸付による伴走型支援事例(生活再生相談室から)
・相談者→70代後半女性 夫婦2人世帯(娘は独立)※夫は2020年に病死。
・相談時の状況と支援内容→相談者が施設に入所、現在は長女が家計管理をしている。
・支援の視点→ ・税金滞納分その他を貸付で解決を考えられていたが、家計表等の作成と税務課との相談、家計のやりくりで、貸付をせずに分納で解決することとした。 相談者は高齢夫婦の2人世帯だったが、独立した長女にも面談に同席して頂き、身近な見守りサポー ターとして関わってもらう事とした。 その後の急な出費⇒自宅訪問を繰り返し、必要最低限の貸付を行い、無理のない返済計画を一緒に考え、生活状況の変化に応じた支援を継続することで、生活の再生を目指した。
6.コロナ禍で失職の高齢者の支援事例(自立相談支援事業所から)
・相談者→ 70代女性 単身世帯(長男、長女は独立)
・支援の視点
→長男への支援が困窮に繋がっていることを家計表の作成で本人・長男に見える化し、理解を促す。 医療機関のMSWとの支払の相談。 本人に合った就労支援。
7.かさじぞう基金(独自事業)の活用状況と傾向
(1)利用者数の推移→2009年からグリーンコープの独自事業として
、生活再生貸付とは別に、組合員や企業等 からの寄付によるかさじぞう基金からの緊急対応のための貸付(1万円以内・無利子・証書なしの窓口即決の貸付)を実施。これまでのグリーンコープ全体の累計拠出金額は約2,500万円。コロナの影響により、2021年度のかさじぞう基金の利用者数は例年 の約2倍となっている。
(2)利用者の返済率→かさじぞう基金からの緊急貸付については、返済が可能になったら返済頂くようお願いし ている。コロナの影響により、2020年から返済率が落ちており、生活が再建できない人 が増えたものと考えられる。
(3)かさじぞう基金の利用事例→@〜G参照。G70代宮大工。大阪で仕事をして帰る途中に駅で携帯や現金・貴重品が入ったバックの盗難。警察に届けたが見付からない。3日間何も食べていない。自宅の長崎ま で帰るお金が無い。自宅までの交通費と夕食代。

8.委員の皆さまに検討いただきたいこと→ 1.今後家計の課題が更に深刻化し表面化する。家計改善支援の必須 事業化の必要性 2.家計改善支援事業が機能するために、適切な人員配置と専任化の 必要性 3.自立相談支援との役割分担と連携のあり方 4.庁内連携のあり方 5.特例貸付償還免除対象外の人への柔軟な対応と支援体制の強化 6.相談時に決済可能な相談支援付きの小口(1万円以内)の緊急貸 付の創設(かさじぞう基金の利用者は、コロナ禍以降例年の2倍以上から)

○2021年度社会福祉推進事業にて、家計改善支援の学習教材を作成し、 グリーンコープHP及び困窮者支援情報共有サイトに掲載しています。
・グリーンコープHP→ https://www.greencoop.or.jp
・困窮者支援情報共有サイトHP→ https://minna-tunagaru.jp


◎資料7 砂川参考人提出資料
川崎市金銭管理等支援事業について―生活保護受給者に対する金銭管理等支援の取組と課題―     川崎市健康福祉局生活保護・自立支援室 担当課長 砂川 康弘

T川崎市の生活保護の動向↓
1 市内福祉事務所の状況
→令和4年5月現在、被保護人員は約28,900人、被保護世帯数は約23,500世帯。保護率⇒幸区以南で高く、中原区以北では全国平均と同水準か平均以下。
2 被保護人員等の推移→平成20年の世界金融危機以降急増したものの、雇用環境の改善等により被保護人員数は平成25年、被保護世帯数は平成27年をピークに減少傾向で推移。
3 世帯類型別割合の推移→世界金融危機以降、急速な景気悪化の影響を強く受け、失業等により生活に困窮した、いわゆる稼働年齢層である「その他世帯」の割合が大きく上昇。「高齢者世帯」については、継続的に増加傾向となっている。
U事業開始の背景と推移↓
1 日常生活自立支援事業について
→金銭管理等の支援を必要とする被保護者に対しては、従来、市社会福祉協議会が設 置する「あんしんセンター」において、「日常生活自立支援事業」(日生事業)によ る支援を実施
2 被保護者の日常事業利用に係る課題→利用者や福祉事務所にとって 使いづらい制度となっている 一方で、社協にとっては業務 負担が課題となっており、事 業の見直しが必要⇒被保護者に対する 金銭管理等支援事業を創設
V金銭管理等支援事業の概要
1 事業概要(被保護者金銭管理等支援事業実施要綱)
→ (目的)心身の理由により適切な金銭管理等を行うことができず、支援を行わなければ生活に支障が生じると認められる被保護者に対して、本事業による支援を実施することで、保護基準の範囲内で 安定的な社会生活を営み、意欲や能力を向上させることにより、自立を促進することを目的。(対象者) 自立支援プログラムによる金銭管理等支援が必要と福祉事務所長が認める被保護者で、本事業 の利用に同意するもの者のうち、次の各号のいずれかに該当する者→ (1) 〜(5)。年間450人程度(令和4年度)。支援内容→(1) 〜(3)。(3)生活安定支援 @家計簿管理方法の提案や実施支援 A家電製品の買替え等に備えるための貯蓄支援。
2 支援開始までの流れ→@〜I 参照。
3 日常生活自立支援事業との違い→金銭管理等支援事業⇒日常生活自立のほか、就労による経済的自立や、社会生活自立を含めた支援。生活保護自立支援プログラムに基づく、金銭管理支援プログラムとして位置づけ(川崎市・無料)。
W支援事例↓
1 S・Yさん(東京都)の事例(40代/男性/単身世帯
)→躁うつ病を患っており、債務状況の洗い出しを行い、残金を可視化して金銭管理をしていくために、支援専用の銀行口座を開設。その後、支援計画を作成し、週1回の金銭 手渡しと、滞納している家賃の分割による支払代行、日々の支出状況を確認するため、レシート集計による 家計簿管理や、家庭訪問を通じての居住環境の確認など、幅広く支援を行った。家賃⇒継続的に滞納分の支払いを行い、半年後に完済したのち、代理納付に移行。また、これまで滞納家賃の支払いに充てていた金額を貯蓄に回すことで、支援終了時には約10万円の貯蓄もでき、段 階的に訪問頻度を減らしながら、最終的に支援終了とすることができた。
2 K・Kさん(川崎市)の事例(70代/男性/単身世帯)→<背景や支援開始時の状況><支援内容>⇒<支援終了に向けて> →支援開始直後かなりの困窮状態であり、債務もあったことから、スピーディに対応可能な支援体制の構築 に苦慮した。家賃の滞納については、生活の安定を優先して継続した支払ができるよう相談しながら支援し ている。今後施設に入所し、支援を終結する方向で調整中。

X課題と今後の取り組みについて→金銭管理支援の範囲を超えた対応を求められるケースについて(債務整理の支援、 家計改善に向けた支援、就労支援へのつなぎなど)どこまで対応していくか、対応で きない場合にどういった取扱いとすべきか、整理が必要。 潜在的には現在の利用定員以上のニーズがあるが、予算(国庫補助率1/2)などの理由から、利用定員の大幅な増員が難しい状況にある。被保護者の自立に向けた効果的 な取組として、補助率の見直しなどを求めていきたい


◎資料8 委員提出資料 (市川市生活サポートセンターそら 朝比奈 ミカ)
社会保障審議会 生活困窮者自立支援及び生活保護部会(第 16 回)への意見
1.就労支援について

@ 障害がある、疾患を抱えている、就労ブランクが長い、職場定着が難しい、子育て や介護の負担が大きい、高齢である等々、さまざまな要因で働きづらさを抱えた方に ついて、分野を超えた社会資源やノウハウを持ち寄って協働するための就労支援に関 わるプラットフォームづくりが必要。地域共生社会に向けた施策の観点からも、雇用 にどどまらない「働く」 場面づくりは、孤立しない・させない地域づくりにもつな がるもの。 一方、受け皿となる企業や地域の活動団体にとっては、さまざまな分野からのアプ ローチをバラバラに受けることとなり、就労支援の側が各分野の動きを相互に理解しておかなければ、結果としてパイを奪い合うようなことにもなりかねない。 就労支援を自治体の重要な施策と位置づけ、基礎自治体または都道府県に主導的な 役割を求めたい。
A 就労準備支援事業について、必須事業化に賛成である。被保護者就労準備支援事業 についても準じた扱いにすべきであり、そのためには国庫補助率の引き上げも検討を 求めたい。 小規模自治体については、障害者総合支援法における就労移行支援事業所や就労継 続支援事業所を活用し、同法における「基準該当サービス」の位置づけにならい、プラン対象者1件あたりの報酬(委託費用)を定めて支払うなどの方法を検討してはいかがか。 こうした施策の相互乗り入れを意識的に行うことにより、@に述べた分野を横断し た体制づくりの意識も浸透することになると思われる。

2.金銭管理支援について→成年後見制度や日常生活自立支援事業が想定する「判断能力」は有しているにも関わらず、依存症等の影響や適切な生活習慣を身につける機会が得られなかった結果として、金銭管理ができずに困窮してしまう方は多数存在している。これまでは一部、身近な親族が担ってきたとも考えられ、「身寄り」問題の一つの事象としてこの問題 は生活保護受給者にとどまらず、また、今後ともニーズは増大していくと思われる。 一時生活支援事業や家計再生支援事業を実施しているなかでも本人の希望を受けて一時的に金銭管理を実施する場面があり、この問題は避けて通れない。 ご本人の日常生活に関わる福祉や介護等の関係者が一定程度担っていくことが現実的な方策になるのではないかと考えるが、金銭管理を実施するにあたってのガイドラインづくりや地域におけるチェック体制を含め、判断能力の有無に関わらない地域 における権利擁護の仕組みづくりを議論していく必要がある


◎参考資料1 生活困窮者自立支援のあり方等に関する論点整理(令和4年4月26日)(抄)
2 個別論点
(3)就労支援のあり方
【現状の評価と課題】
→(基本的な考え方)(自立相談支援事業の就労支援・生活保護受給者等就労自立促進事 業等の利用状況・効果)(就労準備支援事業の利用状況・効果)(認定就労訓練事業の利用状況・効果)(ハローワーク等との連携)
【論点】→(基本的な考え方)(自立相談支援事業における就労支援)(就労準備支援事業)(認定就労訓練事業)(ハローワーク等との更なる連携の強化)(無料職業紹介事業の活用)

次回は新たに「女性活躍推進法の省令・告示を改正しました」からです。




第16回 社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」(資料) [2022年07月26日(Tue)]
第16回 社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」(資料)(令和4年7月7日)
《議事》(1)「今後の福祉事務所における生活保護業務の業務負担軽減に関する調査研究」を踏まえた対応(2)就労支援のあり方(3)家計改善支援等のあり方(4)生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携のあり方について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26654.html
◎資料3 家計改善支援等のあり方について
1.生活困窮者家計改善支援事業について
1−1.生活困窮者家計改善支援事業のあり方 について
○家計改善支援事業について
→自力で家計管理できるように、世帯としての家計基盤が整うこと、将来の収支変動にも 対応可能に。 滞納している税・公共料金等や債務等を解消することにより、生活が安定。
○家計改善支援事業の現状@→実施自治体数は毎年増加、令和4年度は8割を超える。委託先は社会福祉 協議会が約6割。
○家計改善支援事業の現状A→約9割は配置型となっている。 利用者像としては、「家計の収支バランスが悪い」、「債務整理や滞納に関する課題を抱えている」、「家計の 状態を把握できない」といった相談者が多い。
○自立相談支援事業における家計支援との比較→支援対象者に対して実施で きている家計支援の程度が充実している傾向
○家計改善支援事業の効果(支援効果の事例)→税・保険料の滞納が改善された。
○家計改善支援事業の課題(実施しない理由)→「自立相談支援機関で対応できているから」41.6% と最も高く、次いで「予算を確保するのが難しいから」が38.9%。 家計改善支援事業の利用ニーズの把握について、「していない」との回答が48.1%であった。
○家計改善支援事業の課題(広域実施の想定有無)→広域実施の想定について「想定している」、「必要性を 感じているが実施は難しい」は19.6%であった。


1−2.他制度との連携について
○生活福祉資金貸付制度の概要
→貸付対象⇒(低所得世帯)必要な資金を他から借り受けることが困難な世帯(市町村民税非課税相当)。(障害者世帯)身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者等の属する世帯。(高齢者世帯)65歳以上の高齢者の属する世帯。
○生活困窮者自立支援制度との連携→生活福祉資金貸付制度は、自立相談支援事業と密接な連携を図りながら対応することで、両制度が ともに、より効果的、効率的に機能することが期待されている⇒【総合支援資金・緊急小口資金の大まかな流れ】参照。
○家計改善支援事業の現状(生活福祉資金貸付事業との連携)→貸付決定⇒約9割。
○家計改善支援事業の活用事例 〜 特例貸付との連携 〜→コロナで収入が 35万円から0円になり、社協の特例貸付を申請、その際に自立相談支援 機関の面談をきっかけに家計改善支援事業を利用した。ほか、持続化給 付金等の制度を活用している。
○第二期成年後見制度利用促進基本計画における基本的考え方→「総合的な権利擁護支援策の充実」の項 参照。
○新たな連携・協力体制を構築するモデル事業の実施(生活困窮者就労準備支援事業等補助金:「持続可能な権利擁護支援モデル事業」)→第二期基本計画期間(令和4年度〜8年度)に2025年を迎え、認知症高齢者の増加などにより、成年後見制度の利用を含む 権利擁護支援のニーズの高まりが想定される。相続や不動産売却処分などの法律行為が必要な場合など、成年後見制度に よる支援が必要な方が適切に制度を利用できるようにするとともに、広範な権利擁護支援ニーズに対応していくためには、多 様な主体の参画を得て、権利擁護支援に係る新たな連携・協力による支援体制を構築する
○特に御議論いただきたい事項↓
・生活困窮者家計改善支援事業のあ り方
→必須事業化についてどのように考えるか。効果的な支援について、運用面も併せて検討する必要があるのではないか。
・他制度との連携→特例貸付を含め生活福祉資金の貸付との連携、社会福祉協議会が実施する日常生活自立支援事業や成年後見制度、これらの事業・ 制度との連携を進めることが重要、関係部局等との連携強化を進めるための方策についてどのように考えるか。

2.被保護者に対する家計改善支援等の あり方について
2−1.被保護者家計改善支援事業について
○被保護者家計改善支援事業について
→大学等への進学を検討している高校生等のいる世帯⇒進学に向けた費用についての相談や助言等を行う。大学等に進学する子どもがいる世帯⇒進学前の段階から進学に受けた各種費用の相談・助言、各種奨学金制度の案内等により子どもの進学や世帯全体の自立を促進することが期待。実施自治体数:77自治体(令和3年度実績)
○被保護者家計相談支援事業(H 3 0年度〜R3年度実績)→毎年増加、総自治体数に占める実施率は依然として低調である。
○被保護者家計改善支援事業事例→大学進学を検討している世帯へ支援している例など。

2−2. 金銭管理支援について
○個別支援プログラムでの金銭管理支援導入までの経緯→平成25年生活保護法改正→平成28年「金銭管理支援の個別支援プログラムの策定について(平成28年3月31日付け事務連絡)」金銭を適切に管理できず日常生活に支障をきたしている被保護者に対しては・・・。
○ケースワーカーの金銭管理への関与→現業員等による詐取、領得、事務け怠及び亡失の事態が発生⇒生活保護費の窓口払いの必要性を検討し、可能な限り縮減、事務処理方法の見直しを図るよう指導すること。
○被保護者の金銭管理支援が必要な者の状態像→「支払いの滞納がある」が87.5%、「多重債務・過剰債務がある」 65.7%、「依存症がある」が63.9%。「その他」が20.6%であった。
○日常生活自立支援事業 令和4年度予算額:生活困窮者自立支援法等関係予算594億円の内数→認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な者に対して、福祉サービスの利用に関する援助等を行うことで、地域自立した生活が送れるよう支援。
○個別支援プログラムでの金銭管理支援事例→複数の金銭管理方法を設定して支援している例、適切な金銭感覚の習得を支援している例 参照。

特に御議論いただきたい事項↓
○生活保護制度に関する国と地方の実務者協議 これまでの議論の整理(抜粋)@

3.就労支援等について(1)就労支援事業等について@A
・現状と基本的な方向
→今後、就労支援事業等自立支援関係事業⇒就労までに一定の時間を要する者(就労意欲を失い、日常生活自立や社会生活自立に向けた支援が必要な者等)が少なくないことも踏まえ、利用者の状態像に応じたきめ 細かな支援を行えるようにしていく。 就労準備支援事業や家計改善支援事業⇒その実施率の向上を図っていく必要。その他自立支援プログラムにおける社会生活自立や日常生活自立に係る取組についても、効果的な推進 を図っていく必要がある。
・具体的な議論→被保護世帯は家計のやりくりが不得手な場合も多く、特に、保護廃止後を見据えて中長期的な生活設計のスキルを身につ けるための支援や、子育て世帯における養育の支援、大学等に進学する子どもがおり進学費用等を用意する必要がある世 帯に対する支援等として、被保護者家計改善支援事業を行うことも有効。金銭管理支援⇒自立支援プログラムにおいて取り組むことも可能であるが、本人同意が必要であり、同意が取 れない場合、金銭管理につながらないことが少なくない。また、社会福祉協議会の日常生活自立支援事業も、事業定員の 問題もあり、なかなか利用できない状況。
○特に御議論いただきたい事項→(被保護者家計改善支援事業について)(金銭管理支援について)→どのように考えるか。

《参考資料》
○コロナ禍において顕在化した支援ニーズ
→「家計に関する相談」⇒8割以上必要と回答。
○家計改善支援事業の支援内容→家計状況の把握は9割以上。家計表の作成やレシート内容の確認などの把握は約8割、滞納解消のための徴収免除・猶予等の 検討は約7割。
○家計改善支援事業の支援期間→通算利用期間も5ヵ月以上の割合が最も高い。通算利用期間⇒1ヵ月以下から4〜5ヵ月の割合が支援方針期間と比べ30%程度増加している。
○家計改善支援事業を効果的に進める取組→「家計計画表やキャッシュフロー表の活用」と回答する 自治体の割合は8割弱。
○家計改善支援事業の支援効果→「債務・滞納の解消に役立った」や「世帯への包括的な支援」回答が多い。 利用者の見られた変化⇒「家計の改善」「債務の整理」の差が顕著。
○プラン作成対象者に係る状態像の変化(家計改善支援事業の効果)→効果が現れている。

○家計改善支援事業の活用事例 〜 伴走支援 〜→(3人世帯)本人は当時妊娠中、コロナの影響もあり失業。手当で生活をしていた が、特別児童扶養手当が該当しなくなり収入も減少、家計の管理が上手く いかなくなった。社協に貸付の相談をしたところ、生活保護を案内され た。市役所から自立相談支援機関につながる。⇒家計改善支援員が本人に伴走したことで、制度の利用や就職もできた。 月ごとの収入変動があるため、相談時家計表により、収入が多い月と少ない月の家計状況を明らか にすることが本人の「気づき」につながった。
○家計改善支援事業の活用事例 〜 外国籍と特例貸付 〜→世帯内で共有していなかった家計状況を見える化し、現状の把握ができた。 他制度利用のつなぎ、住まいの確保など生活の基盤を整えた。定期面談で収支を確認し、世帯収入 目標をたてたことから、就労支援につながった。
○家計改善支援事業の課題(参考となる主な取組み)→ポイント⇒@家計 改 善 支 援 員 の早 期介 入 A支援状況の可視化 B新型コロナウイル による影響の考慮

○ヒアリング調査から見える予算確保や実施に向けての工夫→予算確保に向けて工夫した自治体の声(埼玉県八潮市、神奈川県海老名市、福井県越前市、岐阜県美濃加茂市 あり)
○家計改善支援事業の課題(取組事例(長崎県の広域実施))→離島を含む県内3福祉事務所で広域的事業実施、他の地域の支援員同士の情報共有⇒相互の務改善につながっている。
○家計改善支援事業の課題(取組事例(茨城県の広域実施))→県全体で運営会議を定期的に開催し、事例報告や自治体職員同士の情報共有を図っている。
○生活福祉資金貸付制度の実施状況
○自立相談支援事業を利用した生活福祉資金貸付での家計改善支援事業の併用 の効果について→中長期的な見通しを立てることができ、状況確認や償還指導がしやすくなったという効果が見られた。
○個人向け緊急小口資金等の特例貸付の実施→償還時、なお所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還を免除することができる、生活に困窮された方の生活にきめ細かに配慮する。
○緊急小口資金、総合支援資金の申請件数の推移
○新 型 コロナウイルス感染症に よる相談支援の課題→9割以上の自治体が「緊急小口資金・総合支援資金の返済ができない相談者が急増する」ことが課題と感 じている。
○自治体・支援員向けコンサルティングの実施→「都道府県による市町村支援事業」が努力義務化されたことに伴い、都道府県が主体となって管内市町村に支援することとなるが、ノウハウが十分に蓄積されていない都道府県⇒引き続き国としてのサポートが求められ、必要に応じて国として市町村へ直接ノウハウの伝達・助言等を行うことも考えられる。
○日常生活自立支援事業 令和4年度予算額:生活困窮者自立支援法等関係予算594億円の内数→<援助内容>@〜Cあり。
○日常生活自立支援事業の支援の特色と制度のあり方・連携における課題のまとめ
○第二期成年後見制度利用促進基本計画における 地域共生社会実現に向けた権利擁護支援の推進
○テーマ@地域連携ネットワークにおいて 民間企業等が権利擁護支援の一部に参画する取組 < スキームの全体イメージ >→市町村社会福祉協議会が日常生活自立支援事業のサービス提供を受託することが難しい圏域、あるいは提供できるサー ビス件数が少ない圏域への支援として、都道府県の取組が期待される取組。⇒待機者が生じているなど地域による同事業の利用者数のばらつきの解消を目指す。
○テーマA簡易な金銭管理等を通じ、地域生活における意思決定を支援する取組 < スキームの全体イメージ >→意思決定支援の場面において、権利侵害や法的課題を発見した場合、専門職が必要な支援を助言・実施する、市町村の関与を求めるなど、司 法による権利擁護支援を身近なものとする方策についても検討。 このことにより、身寄りのない人も含め誰もが安心して生活支援等のサービスを利用することができるようにすることを目指す。
○「持続可能な権利擁護支援モデル事業」実施自治体等説明会の開催→令和4年度より「持続可能な権利擁護支援モデル事業」を実施。 モデル事業を実施予定の8自治体(2県・6市町)及びモデル事業に関心を持つ47自治体(6都道府県・4 1市町村)を対象に説明会(会場とオンラインのハイブリット形式)を開催した。 今後は、モデル事業の周知等を行うセミナーを各ブロック単位で開催する予定。
○1.貸金業者からの無担保無保証借入の1人当たり残高及び複数件の借入残高がある人数の推移(1)→5件以上 借入あり⇒減少傾向だが3件以上 借入ありは116万人いる。
○3.地方自治体に寄せられた「多重債務」に関する相談の概況(1)→地方自治体に寄せられた「多重債務」に関する相談件数の月別推移
○3.地方自治体に寄せられた「多重債務」に関する相談の概況(2)→相談者の借金をしたきっかけ⇒低収入・収入の減少が最多。
○6.自然人の自己破産事件の新受件数→令和3年で68,240件。


◎資料4 生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携のあり方について
○生活困窮者自立支援法と生活保護法の関
係→生活困窮者自立支援法は、生活保護に至る前の第2のセーフティネットとして制度化され、目的・対象者の規定ぶりや事務の性質が異なる法体系となっている。
○生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の自立の概念の共通性→自立の概念や本人の自立に向けた支援といった共通の基盤を 有している。
○生活保護制度における支援の実施体制について→保護の実施に際し、要保護者の生活状況に基づき、自立に向けた課題を分析し、援助方針を策定。その上で、最低生活保障としての保護費の支給と、自立の助長に即した相談援助・自立支援を一体的に実施。  福祉事務所のケースワーカーは、関係機関との連携を図りつつ、各種調査や保護の決定実施に加え、被保護者への相談・助言や、指導・指示等を通じ、必要な各種支援・サービスが利用できるよう総合調整する役割を担う。
○ケースワーカーの業務の在り方に関する過去の文献上の記述@→「新福祉事務所運営指針」(抄)→(1971年・全国社会福祉協議会発行・厚生省社会局庶務課監修)から。
○ケースワーカーの業務の在り方に関する過去の文献上の記述A→「生活保護制度の在り方に関する専門委員会 報告書(平成1 6 年1 2月 1 5日 )(抄) 第3 生活保護の制度・運用の在り方と自立支援について 1 自立支援の在り方について (1) 自立支援プログラムの導入 ア 自立支援プログラム の項参照。
○生活困窮者自立支援制度における支援の実施体制について→複合的な課題を抱える生活困窮者一人ひとりの状況に応じて必要な支援をコーディネートするため、アセスメントを行い、支援調整会議での検討を経たプランに基づき、本人に必要な支援を提供する。 支援の実施に当たっては、地域住民を含めた地域の多様な社会資源と連携することが重要。
○対象者別の事業の関係→本人が必要とする支援の内容を起点に、自立に向けた生活全般の支援等について、生活困窮者を対象とするもの と被保護者を対象とするものを整理⇒「自立に向けた生活全般の支援等」「生活困窮者を対象とするもの」「被保護者を対象とするもの」の3項で整理している。
○生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携に関する平成 3 0年改正時対応→元々基本的な考え方や具体的な運用方法が通知で示されていたが、連携をより実効的 なものとするため、平成30年改正時に両法に条文を新設し、法律上の明確化を図った。
○生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携について(通知概要)→@A参照。(フォローアップ)も参照。
○生活困窮者自立支援制度と生活保護制度との連携状況(生活困窮者自立支援部局へのアンケート)→相談受付窓口⇒約65%の自治体が別々に設置し、約32%の自治体が共通の窓口を設置。 連携状況⇒約92%の自治体が「よく連携している」と回答。連携のための取組内容⇒「日常的に意見・情報交換を行っている」が最も多く、逆に「勉強会等により、理念や支援方法への理解を深めている」、「就労訓練等の事業者や就労先等を共有している」は少ない。
○福祉事務所と自立相談支援機関等の関係機関との連携状況(生活保護部局へのアンケート)→福祉事務所の約半数の現業員が生活困窮者自立相談支援事業所と連携したことがあると回答。
○生活保護制度から生活困窮者自立支援制度に移行するケース→令和2年度中に生活保護を廃止したケースから困窮制度へ移行されたケースがある自治体は約33%、平均のケース数は4.7件。移行にあたっての課題⇒特に課題はないと回答した自治体が4割近くある一 方、約19%の自治体が「移行後の本人との関係性の構築が難しい」という課題を挙げた。
○連携強化に向けた取組や両制度の共通点・相違点(両部局へのアンケート)→連携強化に必要な取組⇒「両制度の担当者の相互の制度理解の深化」、「個別支援ケースの共有」、 「顔の見える関係の構築」の順に多かった。次いで、「就労準備支援事業の一体的実施」と「家計改善支援事業の 一体的実施」⇒4割近い回答があった。 困窮制度による支援と保護の実施⇒自立に向けた支援であるという点で共通する一方、金銭給付の有無や、指導指示等の強制力の有無、就労意欲、支援期間、支援体制等の面で相違がある。
○就労準備支援事業及び家計改善支援事業の実施状況について→全自治体ベースで見れば未実施自治体が約1/3を占めるものの、両事業を実施している自治体では、大半の自治体で事業を一体的に実施。 実施形態⇒被保護者向け事業を直営で実施している自治体も存在。
○地域居住の支援について→(事業内容) (1)入居に関する支援(2)地域での生活を継続するための支援 (3)入居しやすい住宅の確保等に向けた取組(@とAあり) 参照。
○生活困窮者自立支援制度と生活保護制度との連携体制の構築について→福井県 坂井市⇒重層的支援体制整備事業の施行を契機に福祉総務課を 設置し、生活困窮・生活保護を同じ課において実施。 就労準備支援事業及び家計改善支援事業⇒生活困窮・生活保護 の各事業を同じ委託先に委託し、一体的に実施しているほか、生活保護および生活困窮の会議に、行政の管理職と担当職員が参加。切れ目のない支援を行うことができる一方、制度が異なるため補助金の按分が必要、事務負担が生じているといった課題がある。「その他の事例・効果」→【千葉県富里市・フォローアップ支援】【大阪府守口市・事業の一体化で効率的な人員配置】も参照。
○生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の連携上の課題(例)→課題@ 就労準備支援事業等による連続的な支援が困難。課題A 自立相談支援機関の担当者からケースワーカーへの円滑な引継ぎに資料あり。
○特に御議論いただきたい事項→生活困窮者自立支援制度と生活保護制度との連携をどのように考えるか。(6つの○あり。)

《参考資料》
○生活保護制度から生活困窮者自立支援制度への移行・連携強化に必要な取組(生活保護部局へのアンケート)→令和2年度中に、生活保護を廃止したケースから困窮制度へ移行されたケースがある自治体は約24%あり、平均 のケース数は3.6件だった。連携強化に必要な取組としては、「両制度の担当者の相互の制度理解の深化」、「個別 支援ケースの共有」、「顔の見える関係の構築」の順に多かった。
○就労準備支援事業を効果的に進める取組→特に事業効果につながっている取組とし て、「被保護者就労準備支援事業との一体実施」と回答したのが自治体が43.5%と最も多かった。
○就労支援関係事業の実施状況→全自治体の約半数が、自立相談支援事業の就労支援と被保護者就労支援事業を一体的に実施。 就労準備支援事業⇒生活困窮者向け事業と被保護者向け事業の両事業を実施する自治体の9割以上が、 両事業を一体的に実施。
○家計改善支援事業の実施状況→実施自治体のうち約11%の自治体が、被保護者家計改善支援事業を実施、そのうち約90%が被保護者家計改善支援事業と一体的に実施している。

次回も続き「資料5 鈴木参考人提出資料」からです。

第16回 社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」(資料) [2022年07月25日(Mon)]
第16回 社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」(資料)(令和4年7月7日)
《議事》(1)「今後の福祉事務所における生活保護業務の業務負担軽減に関する調査研究」を踏まえた対応(2)就労支援のあり方(3)家計改善支援等のあり方(4)生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携のあり方について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26654.html
◎資料1「今後の福祉事務所における生活保護業務の業務負担軽減に関する調査研究」を踏まえた対応について
○生活保護における家庭訪問の基準について
・家庭訪問の基準
→世帯の状況に応じて必要な回数を訪問することとし、少なくても1年に2回以上訪問すること。各世帯の具体的な年間訪問計画は、各実施機関において生活保護受給世帯の世帯類型や助言指導の必要性等に応じ、 次の基準を踏まえ、策定⇒訪問頻度は(1)〜(3)で、項目ごとにその対象となる世帯の基準ア〜エの訪問調査実施。
※ 個別支援プログラムを活用している者⇒関係機関等との連絡等により必要な状況確認ができる場合→その連絡等を3回目以上の家庭訪問とみなすこと(さらに一定の要件を満たす高齢者世帯⇒上記の連絡等を2回目以上の家庭訪問とみなすこと)ができる。
・臨時訪問等について→世帯の状況に変化が認められる等の訪問計画外の訪問が必要である場合には、随時に訪問(臨時訪問)を行うこと
○家庭訪問の方法に関する取扱いの見直し@→現行上、訪問計画上の3回目以上の家庭訪問としてみなすことができる「@個別支援プログラムへの参加状況の 報告及び個別支援プログラムを実施する関係機関等との連絡」の要件と同様に、外部の専門機関と連携することに より、必要な状況が確認できる場合として、A、Bの要件を追加し、家庭訪問とみなすことができる範囲の拡大を 図るもの。⇒見直し(案)のA、Bの要件参照。
○家庭訪問の方法に関する取扱いの見直しA→訪問計画上の3回目以上の家庭訪問とみなすことができる要件を満たす(必要な状況確認ができる)高齢者世帯 であって、生活状況が安定しており大きな変化が生じにくい世帯として想定される(ア)又は緊急時に関係者との 連絡調整が可能な体制が整っている(イ)のいずれかの要件を満たす場合に家庭訪問とみなすことができるものと して取り扱うもの。

○家庭訪問の方法に関する取扱いの見直しに関する留意事項について
<今回の見直しの趣旨について>
→福祉事務所以外の他機関との連携によって、それらの機関が有する専門性を統合し支援に活用されることが望ましく、ケースワーカーが 専門性を活かして本来向き合うべき本来のケースワーク業務に充てられる時間を確保しやすくなることによって、生活保護における支援の質を高めることができるとともに、結果的にケースワーカーの業務負担軽減にもつながることが期待される。  家庭訪問とみなすことができる場合を示すものであり、該当するケースについて一律に家庭訪問とみなさなければならないものではない。
<必要な訪問が行われなくなるとの懸念について>→家庭訪問とみなすことができるのは、情報共有等により必要な状況確認ができる場合に限られる。福祉事務所において、状況確認が十分 にできないと判断される場合には、家庭訪問とみなすことはできない。 ・情報共有等により必要な状況が確認できていたとしても、福祉事務所において、対面による助言・指導等のために訪問が必要と判断した 場合⇒適切に訪問を行うことが適当である。
<会議体における情報共有について>→会議体に参加することのみをもって家庭訪問とみなすことができるとする趣旨ではなく、会議に参加している複数の参加者から多角的な 情報を共有すること等により、被保護者の必要な状況確認ができる場合に家庭訪問とみなすことができるもの。併せて関係機関との連携の促進にも留意すべきである。 会議体での情報共有⇒各地方公共団体の個人情報保護条例等を踏まえた被保護者の個人情報の取扱いについての配慮が必要 。


◎資料2 就労支援のあり方について
1.生活困窮者に対する就労支援について
○生活困窮者に対する就労支援
→就労までの段階的な支援施策の「R元→R2 実績」あり。

1ー1.自立相談支援事業における就労支援
○自立相談の就労支援の実施状況等
→自立相談支援事業の運営方法⇒直営方式との併用を含め約7割の自治体が委託実施。委託先は社会福祉協議会(78.0%)が最も多く次いでNPO法人(11.1%)。利用件数は年々増加⇒令和2年度は新型コロナの影響で大幅に増加した。
○自立相談支援機関における無料職業紹介事業の実施状況 及び生活保護受給者等就労自立促進事業の実施状況→無料職業紹介事業を「実施中」、 「申請中」、「実施予定」の自治体が27.5%。 生活保護受給者等就労自立促進事業⇒74.3%の自治体が実施と回答。

1−2.就労準備支援事業の現状と課題
○生活困窮者自立支援制度の概要(就労準備支援事業)
→体的実施の促進→最長1年間の集中的な支援を実施。(平成27年4月施行の生活困窮者自立支援法により創設)。平成30年10月就労準備支援事業を実施する努力義務を創設。
○就労準備支援事業の実施状況等→、622自治体で全体の約7割が実施、令和4年度には8割を超える見込み。運営方法⇒直営方式との併用を含めて、約9割の自治体が委託により実施。委託先は社会福祉協議会(32.7%)が最も多く、次いでNPO法人(27.0%)。
○就労準備支援事業の課題→実施しない理由⇒「予算を確保するのが難しいから」が33.0%、 「委託先となる事業者がいない・少ないから」が28.6%。就労準備支援事業の実施検討する場合、広域実施の想定⇒「想定している」が22.7%、「必要性を感じているが実施は難しい」が22.2%。実施率⇒都道府県・市と比べ、福祉事務所設置町村において低くなっている。

1−2.自立相談支援事業・就労準備支援事業・ 家計改善支援事業の一体的実施について
○自立相談支援事業・就労準備支援事業・家計改善支援事業の一体的実施の促進
→@ 就労準備支援事業と家計改善支援事業⇒その実施を努力義務。 A 国は、両事業の適切な推進を図るために必要な指針を策定し事業実施上の工夫等を図る。 B 両事業が効果的かつ効率的に行われている一定の場合には、家計改善支援事業の補助率を引き上げる(1/2→2/3)。 ※ 就労準備支援事業⇒生活困窮者の利用促進につながるようなインセンティブを補助の仕組みとして設ける。
・これらの取組を通じ、自治体の実情に留意しながら3年間の集中実施期間 での完全実施を目指 す
○実施状況→両事業を実施している割合は増加、令和3年度⇒532自治体が両事業を実施。令和2年度⇒両事業を実施している自治体のうち約9割が一体実施。両事業を実施している自治体の方が新規相談受付件数やプラン件数が多い。

1−3.認定就労訓練事業の現状と課題
○認定就労訓練の概要
→就労訓練事業の経営地の都道府県等において認定⇒(就労訓練事業)非雇用型・雇用型ともに就労支援担当者(※)による就労支援を実施・自立相談支援機関(就労支援員)による定期的・継続的なアセスメント⇒期待される効果へ。参照。
○認定就労訓練事業の利用状況→利用形態⇒「非雇用型のみ」が全体の約5割。 訓練内容ごとの利用状況は、清掃・警備、建設作業の利用が多くなっている。
○認定就労訓練事業に対する経済的支援の現状→認定就労訓練事業における経済的支援としては、 1.第二種社会福祉事業(※定員10人以上が要件)として認定就労訓練事業を実施する事業所に係る税制優遇 2.就労訓練事業の推進のための助成等(認定就労訓練事業所の立ち上げ支援等(国庫補助1/2)) 3.自治体が認定就労訓練事業所から物品を買い入れる場合等の随意契約の取扱い(優先発注) がある。
○認定就労訓練事業を巡る課題→認定就労訓練事業の利用実績がない理由⇒「地域に認定就労訓練事業所がない、あるいは少ない」が約7割。 認定就労訓練事業所の認定数や受入実績を増やすために必要なこととして、4割以上の自治体が「就労訓練事業の開拓を行う専門人材の育成・確保」、「対象者と就労訓練事業所のマッチングの支援」、「受入れ事業所に対する金銭的インセンティブ」と回答。
○就労訓練事業(就労訓練アドバイザー等)について→就労訓練事業の促進のため、都道府県に就労訓練アドバイザー(経営コンサルタント、中小企業診断士等の資格を有する者など)。福祉事務所設置自治体に就労訓練事業所育成員(キャリアコンサルタント、産業カウンセラー等の資格を有する者など) を配置し、就労訓練実施事業所の開拓・育成を推進。 補助率1/2(「生活困窮者自立支援法第7条第2項第3号に基づく事業」として実施 )

1−4.他制度との連携
○コロナ禍に伴い顕在化した支援ニーズ及び取組状況
→「ハローワークとの連携による 就労支援」が86.9%で最も高く、実施状況も46.1%と高い。
○特定求職者雇用開発助成金の要件の一部緩和について→2022年5月30日以降に雇い入れられた方で、以下@ Aのいずれかに該当する訓練・実習等を受けている場合は、3か月を超えていても、新たに支給対象⇒@生活困窮者自立支援法に基づく自立相談支援事 業、就労準備支援事業、就労訓練事業の一環として 実施するもの。A生活保護法に基づく被保護者就労支援事業、被保 護者就労準備支援事業の一環として実施するもの。
○人材開発分科会報告 〜関係者の協働による「学びの好循環」の実現に向けて〜(抄)
→中央において開催する協議会に社会・援護局地域福祉課生活困窮者自立支援室が参画、 地方において開催する協議会⇒通知を発出し都道府県の生活困窮者自立支援制度所管部局等の参加を促す予定。
○特に御議論いただきたい事項↓
・基本的な考え方(就労支援全般)
→すぐに働き収入を得ることができるという選択肢が、本人の動機付けを高め、自立の加速につながる場合があるとの指摘がある。多様な就労支援のあり方や柔軟な支援体制を確保⇒分野横断的な業務分解や仕事のメニュー化により、多種多様な仕事を創出し、様々な状態像の人が就労できる仕組みをつくっていくことが必要、そのための方策についてどのように考えるか。  経済的に困難 な利用者への交通費を含む移動の支援についてどのように考えるか。
・就労準備支援事業について→必須事業化についてどのように考えるか。小規模自治体においても事業を実施できるようにするための方策についてどのように考えるか。
・認定就労訓練事業について→認定就労訓練事業の実施を促進するための方策についてどのように考えるか。 (論点の例)あり。
・他制度との連携→自立相談支援事業の就労支援や就労準備支援事業の利用者に対し、職業訓練の利用を促進するための方策についてどのように考えるか

2.被保護者に対する就労支援について
○生活保護受給者に対する就労支援施策について
○被保護者就労支援事業について
→被保護者の自立の促進を図ることを目的とし、被保護者の就労支援に関する問題について、福祉事務所に配置された就労支 援員が被保護者の相談に応じ、必要な情報提供及び助言を行う。法第55条の7に基づく必須事業(平成27年4月施行)⇒事業の流れ(イメージ)  参照。
○被保護者就労支援事業(H 2 8年度〜R2年度実績)→近年減少傾向。
○被保護者就労準備支援事業について→就労意欲が低い者や基本的な生活習慣に課題を有する者など、就労に向けた課題をより多く抱える被保護者に対し、一般就労に向けた準備として、就労意欲の喚起や一般就労に従事する準備としての日常生活習慣の改善を、計画的かつ一貫して実施する。(平成27年4月9日社援保発0409第1号「被保護者就労準備支援事業(一般事業)の実施について」に基づく任意 事業)
○被保護者就労準備支援事業(H 2 8年度〜R2年度実績)→令和元年度と比 べ若干改善。 就労・増収率(就労・増収者数/参加者数)⇒令和2年度13.4%と低調となっている。
○被保護者就労準備支援事業実施自治体(H 2 8年度〜R3年度実績)→令和3年度で327自治体(実施率36.1%)と上昇傾向。
○被保護者就労準備支援事業事例→「就労と就労後の支援まで一貫した支援の例」「被保護者就労支援事業と一体的に実施している例」あり。
○就労自立給付金について(生活保護法第55条の4第1項)→再度保護に至ることを防止するため、保護受給中の就労収入のうち、収入認定された金額の範囲内で別途一定額を仮想的に積み立て、安定就労の機会を得たこと等により保護廃止 に至った時に就労自立給付金を支給。
○勤労控除の概要→就労収入のうち一定額を収入から控除し、収入の一部を手元に残すことにより、就労に伴う必要経費の補填や、就労 インセンティブの増進・自立助長を図ることを目的とする制度。【控除額(月額)】参照。
○就労活動促進費について→就労活動に必要な経費の一部を賄うことで、就労活動のインセンティブとし、早期の保護脱却 を目指す。
○生活保護受給者に対する就労支援の状況(令和2年度実績)→就労能力や就労意欲に応じて就労支援を実施しており、就労・増収に一定数繋がる 等の成果が見られる。
○就労支援事業等におけるKPIの設定について→2018年度(平成30年度)までに60% →2021年度(令和3年度)までに65%。他は目標値を維持45%。
○生活保護受給者に対する「就労支援」のあり方の見直しについて (生活保護受給者に対する就労支援のあり方に関する研究会 報告書概要) 平成31年3月 取りまとめ
→(見直しの考え方)「働くこと」は、労働の対価として収入を得ることの他にも、働くことを通じて、社会とのつながりや自己のやりがい、達成感を得る ことも重要な要素であり、生活保護受給者に対する就労支援についても、一般就労だけでなく、多様な働き方を通じて生活を豊かにする ための就労支援の充実を図る。
○就労におけるアセスメント機能について→(課題と対応)就労支援事業等への参加を促しても本人から拒否される事例やそもそも就労意欲を失っている者が少なくない状況があり、本人の状況や能力を踏まえた支援を行う必要がある。 このため、被保護者の情報や能力を把握して、多様な働き方も含めた支援プランや行動目標の策定に向け て被保護者の就労等に関するアセスメントを行う機能を追加することで、支援を効果的に行う。

○生活保護制度に関する国と地方の実務者協議 これまでの議論の整理(抜粋)@
3.就労支援等について(1)就労支援事業等について @

・現状と基本的な方向→今後、就労支援事業等自立支援関係事業⇒就労までに一定の時間を要する者(就労意欲を失い、日常 生活自立や社会生活自立に向けた支援が必要な者等)が少なくないことも踏まえ、利用者の状態像に応じたきめ細かな支援を行えるように。就労準備支援事業や家計改善支援事業⇒その実施率の向上を図っていく。その他自立支援プログラムにおける社会生活自立や日常生活自立に係る取組⇒効果的な推進を図っていく。
・具体的な議論→就労支援等自立支援関係事業⇒ひきこもりも含め、就労自立まで至らない社会生活自立や日常生活自立につなげていくような取組は有効。 ここ数年をみると、就労可能な被保護者の多くが就労し、保護脱却が図られている中で保護脱却が図られていない方は就労意欲が低いこと等により、就労に結びついていない状況。就労準備支援事業⇒本人の生活にある程度深く関わることができ、生活習慣の改善や社会参加のためには有効。
○生活保護制度に関する国と地方の実務者協議 これまでの議論の整理(抜粋)B
3.就労支援等について(2)就労インセンティブについて
・現状と基本的な方向
→各種就労インセンティブ⇒就労・増収等を通じた自立への意欲を高めることができるよう、効果的な 推進を図っていく必要がある。
・具体的な議論→保護廃止後の不安を解消できるようなインセンティブの方が、より重要になる。短期間での再就職の場合の給付等、就労意欲に訴求するインセンティブ⇒よりいっそうの推進が必要 という意見があった。

○特に御議論いただきたい事項
(就労支援について)
→就労意欲を失っている者や就労経験がない者等就労自立に一定程度の時間を要する者も含め、その推進を図るにあたっての課題をどのように考えるか。被保護者就労準備支援事業⇒その実施率が36%と低調にとどまっているが、必ずしも就労自立によらない日常生 活自立や社会生活自立に関する支援を行うものとして、その実施率の向上を図っていくための方策について、都道府県による 広域実施の推進等を含め、どのように考えるか。 被保護者就労準備支援事業⇒利用者のボランティア先や職場体験先の確保を含め、事業内容の推進方策につ いて、どのように考えるか。 現行、就労支援に関する指標として、事業参加率や就労・増収率を設定しているが、就労自立には一定程度の時間を要する 者が一定程度いることを踏まえ、日常生活自立や社会生活自立の観点も踏まえ、どのような指標が必要と考えられるか。
(就労インセンティブについて)→就労・増収等を通じた自立への意欲を高めることができるよう、効果的な推進を図っていくための方策、どのように考えるか。特に、短期間で再就職する場合など、より一層就労意欲を喚起する方策についてどのように考えるか。
(アセスメントについて)→多様な課題を抱える者が少なくない中、その課題を踏まえた適切な支援を 行っていくためには、その強化が必要と考えられるが、どのように考えるか。 その強化を図るための方策として、制度上どのようなことが考えられるか。


《参考資料》
○自立相談支援事業における就労支援→「実施頻度が高い」⇒「就労意欲喚起や自己理解の促進等、就労に向けた支援」が最も高く、次いで「コミュニケーション面の配慮」、「ハローワークや企業面接等への 同行支援」となっている。
○一般就労後の定着支援→実施期間で最も多いケースは「1〜3か月程度」で48.9%。
○就労準備支援事業の利用状況(利用期間・つなぎ先)→「福祉事務所(生活保護担当部署)」「障害者就労支援事業 所」「その他の障害者支援機関・施設」が多い。
○就労準備支援事業の支援効果→事業を利用していない者と比較する と、「自立意欲の向上・改善」「社会参加機会の増加」の変化幅が顕著
○プラン作成対象者に係る状態像の変化(就労準備支援事業の効果)→就労準備支援事業を利用している者は利用していな い者に比べて2割程度ステップアップ率が高い。
○就労準備支援事業を実施する上での課題→「協力事業所の開拓・連携が不十分」が最も多い。 約6割の自治体で事業の利用につながらなかったケースがあり、理由としては、本人の希望によるものが多い。

○就労準備支援事業におけるアセスメント機能について→評価指標⇒利用者本人がチェックする TS-59 セルフチェックシート、利用者本人と支援員がチェッ クする GN-25評価シートの 2種類、KPSビジュアライズツールで見える化する。(該当ページのURL)↓ https://www.mhlw.go.jp /stf/seisakunitsuite /bunya/0000059382.html
○就労準備支援事業の広域実施→広域実施の事例⇒奈良県(県+ 1 0 市) 広域コーディネーターの配置。その他2県あり。
○移動手段確保等の取組事例→京都府などあり。
○認定就労訓練事業所の認定状況(令和3年3月31日時点)→(4)法人種別の状況参照。
○認定就労訓練事業所の認定状況の推移→認定件数、認定あり自治体の割合は着実に増加。
○認定就労訓練事業の効果(認定就労訓練事業利用者の見られた変化)→利用後変化顕著。
○認定就労訓練事業所の拡大に向けた取組→周知状況、事業所開拓に当っての連携の状況。
○無料職業紹介事業を活用した就労支援(豊中市)
○企業と連携した就労支援(京都府)
○生活保護受給者等就労自立促進事業→ワンストップ型の就労支援体制を全国的に整備。地方公共団体にハローワークの常設窓口を設置するほか、福祉事務所や自立相談支援機関への巡回相談 等により、関係機関が一体となった就労支援を推進。 特に、新型コロナウイルス感染症の影響等により増加が見込まれる生活困窮者に対する就労支援を強化。
○生活保護受給者等就労自立促進事業の実績の推移(対象者別内訳)→支援対象者及び就職者数のいずれも、生活保護受給者が概ね半数を占め、次いで児童扶養手当受給者、生活困窮者となっている。 令和3年度⇒緊急事態宣言等の影響が大きかった2年度に比べ、支援対象者数は減少し、就職者数は増加してい る。
○生活保護受給者等就労自立促進事業における生活困窮者に対する就労支援の連携例→新型コロナウイルス感染症の影響により増加した生活困窮者⇒自立相談支援機関等との連携強化による就労支援を推進。
○求職者支援制度について→月10万円の生活支援の給付金。離職して収入がない者対象。
○コロナ禍で講じている特例措置(令和5年3月末までの時限措置)→上限の引き上げ。
○求職者支援制度との連携→ハローワークに求職申込みをする等要件に合致することを確認した上で、ハローワー クから訓練受講の指示を受けることが必要。生活困窮者のうち求職者支援制度の利用意向がある⇒自立相談支援機関からハローワークにつないだ上で 必要な手続を行い、訓練を受講する(自立相談支援機関は、訓練受講中の伴走支援を行う)。
○生活保護受給者等を雇い入れる事業主に対する助成措置 (特定求職者雇用開発助成金(生活保護受給者等雇用開発コース)の支給)→助成対象期間 1年、(3) 支給金額 短時間労働者以外の者 、短時間労働者 を区別して支給あり。
○トライアル雇用助成金 (一般トライアルコース) →(原則3か月)試行雇用する事業主に対して助成する制度。生活困窮者等月額4万円。母子家庭の母等(父子家庭の父含む) 月額5万円
○公共職業安定所(ハローワーク)の役割→雇用のセーフティネットの中心的役割。
○地方版ハローワーク→公的な主体として無料職業紹介を実施できる。
○職業訓練制度の説明・案内の実施状況→「支援対象者に職業訓練制度を説明・案内したことがある」が70.8%。説明・案内をした訓練 コースは、「基礎(ビジネスパソコン、オフィスワークなど)」が76.1%、「介護福祉(介護職員実務者研修、保育スタッ フ養成など)」が68.9%と高い割合。 職業訓練制度を説明・案内したことがない理由は、「相談者が希望しない」がもっとも高く61.7%、次いで「支援対象者に 案内できる適切な訓練プログラムがない」が45.0%となっている。
○地域就職氷河期世代支援加速化交付金→地域の経済団体、就労、福祉等の関係機関、当事者団体や支援団体等と連携しながら取組を進めること。 このため、先進的・積極的に就職氷河期世代への支援に取り組む地方公共団体等を強力に後押し、優良事例を横展開。
都道府県別の認定状況 (令和3年3月31日時点)あり

○認定就労訓練事業者に対する支援→税制面、財政面、ノウハウ面の支援を総合的に行う。
○事業の対象者数・参加者数等→約9.3万人。就労支援事業等に参加可能な者は48.7%。
○事業に参加していない者の稼働能力の活用状況等について→就労中の者で十分に稼働能力を活用している者77.7%。求職活動中の者で十分に求職活動をしている者28.1%。
○事業対象者における事業参加者等の内訳→事業対象者全体の35.1万人のうち、事業参加中の者が9.3万人。
○就労支援事業の実施状況の地域差→就労支援事業への参加率を都道府県別⇒最も高い県と低い県との間には約60ポイントの差。 就労支援事業を通じた就労・増収率を都道府県別に見ると、最も高い県と低い県との間には約32ポイントの 差がある。
○就労支援開始から就労開始までの期間→約7割が支援開始から6ヶ月未満で就労開始。 就労開始まで1年以上かかる者⇒全体では13.9%だが、被保護者就労準備支援事業では26.1%と約2倍
○事業参加者の状態像の変化→約25%の者の状態が改善
○就労自立給付金の支給状況→令和元年度と比べて若干低下。一方、就労自立給付金の支給率⇒令和2年度は60.4%と近年増加傾向。
○就労期間別 就労収入増加による保護廃止人員→最も多いのは就労期間0ヶ月、次いで就労期間 4ヶ月、3ヶ月、5ヶ月、6ヶ月の順、就労期間1ヶ月、2ヶ月⇒相対的に少ない。
○被保護者就労支援事業におけるアセスメントについて→就労支援の流れの中で位置づけ、対象者に関する現状の把握、自己理解への支援、職業理解への支援を挙げている。
○被保護者に対する就労支援時のアセスメントに関する調査研究事業 概要→アセスメントの統一的な様 式、手引き書を作成することを目的。
○就労におけるアセスメント機能について(背景)→対象者の「勤労意欲の低さ」を課題に挙げることが多い。 この「勤労意欲の低さ」は被保護者が置かれてきた社会環境、生育か過程で直面していた課題に起因するケースが 多くこの要因を解き明かしていくことが必要。「指導・指示」の中ではケースワーカーはこうした気付き持つことが 少ないため、アセスメントツールを活用して、丁寧な手法により解き明かしていくことが必要。 就労支援の目標が一般就労への就職とそれによる保護廃止におかれる場合が多いが、被保護者の実態に応じて社会参加の機 会を含め、就労体験、中間就労の場が更に増え、それが活用されることで、当事者のニーズに合った就労支援が可能である。

次回も続き「資料3 家計改善支援等のあり方について」からです。

2022年度 雇用政策研究会「議論の整理」の公表について [2022年07月24日(Sun)]
2022年度 雇用政策研究会「議論の整理」の公表について(令和4年7月7日)
〜コロナ禍の経験を踏まえた、不確実性に強いしなやかな労働市場の構築に向けて〜
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000204414_00015.html
○厚生労働省では、「議論の整理」を踏まえ、現下の厳しい雇用・失業情勢における必要な対応に全力で取り組むとともに、アフターコロナを見据え、社会経済構造や働き方の変化にも対応した雇用政策を推進してまいります。
◎資料1 2022年度 雇用政策研究会の開催趣旨等について↓
○雇用政策研究会→職業安定局長が学識経験者の参集を求めて開催するもの、様々な経済構造の変化等の下で生じて いる雇用問題に関して、効果的な雇用政策の実施に資するよう、現状の分析を行うとともに、雇用政策のあり方を検討する。

○検討の経緯↓
・前回の雇用政策研究会
→2020年度に計4回開催され、2020年12月「コロナ禍における労働市場のセーフティ ネット機能の強化とデジタル技術を活用した雇用政策・働き方の推進」と題した報告書の取りまとめを行った。その後も新型コロナウイルス感染症の感染状況は、第3波から第6波までが到来するなど、引き続き厳しい状況が続き、感染拡大に伴い、急事態宣言等は複数回の発令・延長が行われ、雇用情勢にも様々な影響が生じている。
・ 2022年度雇用政策研究会→前回の雇用政策研究会で指 摘された課題(「構造的課題」「コロナ禍において新たに顕在化した課題」)について、その後の変化について整理する とともに、アフターコロナを見据えた今後の政策の具体的な方向性について検討するために、2022年4月から6月にか けて、計3回にわたって議論を行った。
○議論の整理↓
・計3回の議論の中では、コロナ禍⇒感染への忌避 や宿泊業, 飲食サービス業を中心に多くの雇用機会が失われ たことにより、女性・高齢者が非労働力化の傾向にあること や、労働市場の調整機能の低下により、失業期間の長期化や 求職者数の高止まりがみられ、雇用のミスマッチが顕在化していること、また、企業規模等によってデジタル化の進展に 遅れがみられていることなどが指摘された。加えて、施策面⇒アフターコロナを見据え、労働市場の 基盤強化を進めることや、人材育成を加速させることの重要性などが確認された。  以上のような指摘を踏まえて、今般の研究会では、具体的に、 コロナ禍での労働市場を取り巻く新たな環境変化を整理する とともに、今後の政策の具体的方向性について議論の整理を 行った。

○コロナ禍の経験を踏まえた労働市場を取り巻く変化と課題→我が国の労働市場はコロナ前より、少子高齢化による労働供給制約がある中で、労働生産性の伸び悩みなどの構造的課題を抱えていた。コロナ禍の影響により、それらの構造的課題に加えて、雇用のミスマッチの悪化といった労働市場の問題や、テレワークの導入や不本意な非労働力化といった企業の取組や労働者の働き方等への影響など、新たな課題が健在化している
課題1労働供給制約とそれに 伴う人手不足→女性・高齢者の非労働力化が進行。今後、一層の人手不足も懸念されるため、非労働力化した方々の労働市場への復帰を促し、労働供給量 を確保することが必要。賃金の上昇が望まれる中、必要な人材を確保する観点からも、企業には処遇改善への取組の加速が求められている。   失業期間の長期化や求職者数の高止まりなど雇用のミスマッチの課題が顕在化。
課題2働き方の多様化→非正規雇用労働者を中心に多くの雇用が失われた一方、フリーランスやプラットフォームワーカーといった新しい働き方も注目。テレワー ク等を活用し、柔軟に働き方を変えて仕事を継続できる労働者とできない労働者といった新たな働き方の差もみられている。 • 働き方が多様化する中で、各企業・労働者が個々の状況に合わせて、ワーク・エンゲージメントを高める雇用管理の改善を図って行く必要。
課題3デジタル化への対応と労働生産性の向上→デジタル化に向けた動きが加速しており、デジタル化への対応の差が労働生産性、賃金、そして柔軟な働き方といった格差につながるおそれ。   デジタル化の進展により企業の成長に求められるスキル・能力が高度化していることを踏まえ、労働生産性の向上に資するようなOJTや OFF-JTを含む人的資本投資の見直しが求められている。
課題4豊かな人生を支える健康的な職業生活の実現→休業経験やテレワークなどの柔軟な働き方がメンタルヘルスなど労働者のウェル・ビーイングにも影響を与えたことが指摘。 生活時間と仕事の両立にも影響、テレワーク等の柔軟な働き方の下での家事、子育て、介護等も含む生活時間と仕事の両立の難しさや家庭内での男女間の格差が顕在化。
課題5都市部と地方部における地域間格差→感染拡大が都市部を中心に生じたこともあり、都市部への人口流入の緩和等の動き。一方、地方部においては地域に多様な産業がないこと の脆弱性や良質な雇用機会・人材が不足しているといった構造的課題も指摘。   都市部⇒緊急事態宣言等を契機に多くの企業でテレワーク制度の整備が進んだ。一方、地方部ではデジタル化に向けた動きに遅れ。

○コロナ禍の経験を踏まえた不確実性に強い「しなやかな労働市場」の構築→コロナ禍の経験を踏まえ、我が国の構造的な課題を克服⇒これまでの内部労働市場の強み(企業内での安定した人材育成や多様な人材活用など)を更に強化するとともに、外部労働市場の機能(多様な教育訓練機会やマッチング機能など)も活用しなが ら、コロナ禍のような不測の事態やグローバル化の更なる進展、急速な技術進歩やデジタル化による産業構造の変化に柔軟に対応でき、 かつ回復力を持つ、持続可能な労働市場(しなやかな労働市場)の構築に向け、I~IVの仕組みづくりを進めていくことが重要。↓
T. 労働者のワーク・エンゲージメントを高め、労働生産性と企業業績の向上につなげる 経済の仕組み
U. 多様なチャネルを活用した労働者のキャリア形成と企業の人材育成を促進する仕組み
V.ウェル・ビーイ ングへの取組が人 材確保と労働供給の増加につながる 仕組み
W. 労働市場の基盤強化と多様性に即したセーフティネットの構築を通じ最適な資源配分 を実現する仕組み
右矢印1「しなやかな労働市場」→ 短期的な経済情勢の変化や長期的な産業構造の変化に対して柔軟(フレキシブル)に対応でき、 かつ回復力(レジリエンス)を持つ、持続可能(サステイナブル)な労働市場

○「しなやかな労働市場」の構築に向けた仕組み作り@A↓
T. 労働者のワーク・エンゲージメントを高め、 労働生産性と企業業績の向上につなげる経済の仕組み→<課題><仕組みの考え方>あり。割愛する。
<政策の方向性>
→企業を取り巻く現在の状況を踏まえた上で、ワーク・エンゲージメン トを規定する要因やそれを向上させる方策について整理が求められる。 キャリア面談やセルフ・キャリアドック等を活用しながら、企業と労働者がコミュニケーションを密に行い、企業側が求める人材と労働者 が希望するキャリアの擦り合わせを行う。 労働者の主体的な人的投資を促進するため、企業内での能力・スキルの在り方とその評価について整理、労働者の取組を支援 するため、キャリアコンサルタントを効果的に活用する。 ワーク・エンゲージメントの向上⇒「仕事の資源」を充実させる 観点から、企業が就業に関係する家庭事情等を把握することが必要。 管理職の負担増加を踏まえ、1on1、エンゲージメントサーベイ等も活 用した組織的対応が重要。 これまで女性活躍推進法に基づき、女性に関わる企業の職場情報について、労働市場や資本市場での公開が進められてきたが、企業自身が 女性活躍に関する自社の状況を客観的にチェックするためにも重要であり、こうした取組が幅広く取り組まれていくことが望まれる。

U. 多様なチャネルを活用した労働者のキャリア形成と企業の人材育成を促進する仕組み→<課題><仕組みの考え方>あり。割愛する。
<政策の方向性>→企業における労働者の自律的・主体的かつ継続的な学び・学び直しを 促進するガイドラインの活用を進めることが重要。自律的キャリア形成を支援するため、キャリアコンサルタントの育成 や民間人材ビジネス等の活用等により、労働者の主体的な学び直しを 総合的に支える新たな仕組み作りが求められる。「人への投資」を抜本的に強化し、企業の人材育成や労働者の能力開 発の取組への支援を強化。産業界のニーズを踏まえながらデジタル分野の公的職業訓練を充実していくことや、地域のデジタル人材の確保の観点からも中小企業にお けるデジタル人材の育成促進にも力を入れていく必要がある。 労働者の職業選択の幅を広げる観点や企業の多様な人材育成を促進する観点から、在籍型出向や副業・兼業を活用する。

V.ウェル・ビーイングへの取組が人材確保と 労働供給の増加につながる仕組み→<課題><仕組みの考え方>あり。割愛する。
<政策の方向性>
→テレワークなどの柔軟な働き方であっても、労働者のウェル・ビーイ ングを高めることができるよう、先進的な企業の取組の横展開やテレワークガイドラインの周知などにより、ライフステージに合わせた働き方が可能な社会の実現に向けた取組が求められる。コロナ禍を契機に非労働力化した女性や高齢者に対して、ハローワー クを通じた伴走型のアウトリーチ支援を行う。再就職した方々が子育てをしながら働くことができる両立環境の整備や、再就職後には継続就業者と同様なキャリア形成をし、活躍できる 環境を整えること、高齢者を含め労働者の健康を重視した取組を行う。地方部や中小企業を中心にテレワークなど柔軟な働き方の遅れがみられるため、企業規模や地域にかかわらず使用者が適切に労務管理を行い、労働者が安心して働くことができるような支援が必要。

W. 労働市場の基盤強化と多様性に即したセーフティネットの構築を通じ最適な資源配分を実現する仕組み→<課題><仕組みの考え方>あり。割愛する。
<政策の方向性>→ハローワークのデジタル化を進め、民間人材ビジネスと連携を進めることなどにより、再就職支援を更に強化する。労働市場の見える化を推進し、マッチング機能を向上していく観点から、 企業での男女の賃金の差異、採用の際に求められる経験やスキル、スキル等に応じた賃金水準等の情報の充実が重要。また、そうした情報を活用したキャリアコンサルティングが行われることで、労働者がキャリア 形成のために必要な追加的な経験・スキルを把握できる環境整備が必要。 求職者支援制度等の支援を強化するとともに、フリーランスなどのセー フティネットの整備についても、これまでの雇用政策の範囲から視野を 広げつつ、労働者性について十分注意しながら、雇用に中立的な在り方 から総合的に検討を進めていくことが必要。コロナ禍で講じた雇用調整助成金の特例措置等の政策の効果検証を引き続き進めていくとともに、EBPMの観点からも、「人的投資」に関する 情報の開示や男女の賃金の差異の情報公表など、政策目的に照らした効 果が学術的な観点も含め検証されることも念頭に、必要な情報の整理が 行われることが望ましい。


◎資料2 2022 年度 雇用政策研究会「議論の整理」 〜コロナ禍の経験を踏まえた、不確実性に強い「し・な・や・か・な」労働市場の構築に向けて〜(本文です)
第1章 2022 年度雇用政策研究会の開催趣旨等について
(2020 年度雇用政策研究会について)
(2022 年度雇用政策研究会の開催趣旨について)
第2章 コロナ禍での労働市場を取り巻く環境変化とアフターコロナを見据えた課題
(コロナ禍での労働市場を取り巻く環境変化)
(コロナ禍での企業の取組や労働者の働き方への影響)
(労働市場の環境変化や働き方への影響等の現状と構造的課題)→課題1:「労働供給制約とそれに伴う人手不足」 課題2:「働き方の多様化」 課題3:「デジタル化への対応と労働生産性の向上」 課題4:「豊かな人生を支える健康的な職業生活の実現」
課題5:「都市部と地方部における地域間格差」
第3章 し ・ な ・ や ・ か ・ な労働市場の構築に向けて
(不確実性へのし ・ な ・ や ・ か ・ さが求められる雇用経済情勢
(し ・ な ・ や ・ か ・ な労働市場の構築に向けた基本的考え方)
→労働者の多様性やワーク・エンゲージメントを意識し、労働者の意欲と能力を高め、引き出すことが重要。
・労働者、企業、政府の取組⇒(ア)から(ウ)までにそ れぞれ整理し、(ア)から(ウ)までの取組を持続的なものとする観点からそれぞれが協力 して取り組むものとして重要なものを(エ)(オ)に整理した。→本文P10 (ア)〜(オ) 参照。

(し ・ な ・ や ・ か ・ な労働市場の実現のための4つの仕組み作りと政策の具体的方向性
I. 労働者のワーク・エンゲージメントを高め、労働生産性と企業業績の向上につなげる経 済の仕組み
<仕組みの考え方>→P11の4つの○。
<具体的な政策の方向性>→5つのクロポツ。
II. 多様なチャネルを活用した労働者のキャリア形成と企業の人材育成を促進する仕組み <仕組みの考え方>→P13の5つの○。
<具体的な政策の方向性>→5つのクロポツ。
III. ウェル・ビーイング向上への取組が人材確保と労働供給の増加につながる仕組み
<仕組みの考え方>→P15の6つの○。
<具体的な政策の方向性>→5つのクロポツ。
IV. 労働市場の基盤強化と多様性に即したセーフティネットの構築を通じ最適な資源配分を 実現する仕組み
<仕組みの考え方>→P17の4つの○。
<具体的な政策の方向性>→11のクロポツ。

第4章 まとめ →2022 年度雇用政策研究会では、2022 年4月より計3回にわたり、アフ
ターコロナを見据 えた雇用政策の方向性について議論を行った。 日本はコロナ前から「構
造的課題」を抱え、コロナ禍の影響で新たな問題も顕在化してい る。これらの課題は、相
互に複雑に関係しており、一対一対応で容易に解決できるものでは ない。また、今後、コ
ロナ禍のような不測の事態が再び起こることも想定されるほか、グロ ーバル化の更なる進
展、急速な技術進歩やデジタル化による産業構造の変化に伴い労働市 場が大きな影響を受
けることも考えられる。 今後は、こうした課題や不確実な変化に対して、柔軟に対応でき、
かつ回復力を持ち、持 続可能な労働市場である「し ・ な ・ や ・ か ・ な労働市場」
を構築していくことが求められる。こうし た考え方に基づき、今回、「4つの仕組み」作
りの提案を行った。⇒上記のI〜IVのこと。

今回は、本研究会の3回の議論を整理したが、コロナ禍は雇用に限らず、人々の暮らし
全 般に影響を及ぼしており、アフターコロナに向けては更に幾つかの議論すべき課題が
残さ れている。
また、コロナ禍から2年以上が経過し、足下では雇用情勢は緩やかに持ち直しの動きが見 られている。今後は、コロナ禍の経験を踏まえ、より構造的な課題を解決する方向に軸足を 移していく必要がある。 引き続き、可能な限りエビデンスを基にしながら、議論を進めていく


◎資料3 2022年度 第3回雇用政策研究会(参考資料集)
《コロナ禍の雇用情勢》

○雇用情勢について
○有効求人数や有効求職者数の動向について
○産業別の新規求人数の動向について
○求職理由別にみた新規求職者の動向について
○雇用形態別・性別でみた雇用者数の動向
○正規雇用労働者・非正規雇用労働者の推移
○性別・産業別にみた雇用者数の動向(男性)
○性別・産業別にみた雇用者数の動向(女性)
○失業期間別の完全失業者の動向
○非労働力人口の動向@(性別)
○非労働力人口の動向A(性別の前々年同月比に対する年齢別の寄与度)
○非労働力人口の動向C(就業希望の有無別・年齢別・男女別)

《コロナ禍での働き方や処遇等の変化について》
○テレワーク導入状況
○テレワークを実施している企業におけるテレワーク実施日数
○テレワーク実施状況@
○テレワーク実施状況A(産業別・職種別)
○テレワーク実施状況B(雇用形態・企業規模別)
○テレワーク実施状況C(都道府県別)
○労働力人口の推移と人手不足の動向
○転職者数・入職率・離職率の推移
○足下での賃金の動向
○東京圏への人口移動の推移(性別)→コロナ禍では幅広い年代で減少
○東京圏への労働者の流入→2020年はどちらも低下、労働移動が控えられた可能性

《労働市場基盤整備と人的資本投資に向けて》
○労働市場の拡大と雇用のミスマッチの動向
→長期的には増加傾向
○職業間のミスマッチ→職業毎で違い、「専門的・技術的職業」⇒有効求人数が有効求職者数を上回って推移、一方、「事務的職業」⇒有効求職者数が有効求人数を上回っている。
○外部労働市場の課題→企業側が抱える転職者を採用する際の問題⇒「必要な職種に応募してくる人が少ないこと」が全ての産業で高い。
○企業の人材投資の国際比較→先進国に比べて低い水準。かつ、近年更に低下傾向。
○企業によるOFF- J T・自己啓発支援の推移→令和2年度OFF-JT支援で1.5万円、自己啓発支援で0.3万円。
○計画的なO J T及びO F F- J Tの実施状況→正社員と正社員以外のいずれも低下。

○事業所におけるキャリアコンサルティングの導入状況

《施策集》
○雇用調整助成金の概要
○緊急事態宣言に伴う新型コロナウイルス感染症にかかる雇用調整助成金の特例措置の対応
○産業雇用安定助成金
○全国及び地域における在籍型出向等支援協議会の開催について
○産業雇用安定センターによる出向・移籍のあっせん
○求職者支援制度について
○コロナ禍で講じている特例措置(令和5年3月末までの時限措置)
○求職者支援制度の活用実績
○求職者支援制度による非正規雇用労働者の再就職、転職、能力開発への支援の強化
○トライアル雇用助成金 (一般トライアルコース) 令和4年度予算額 4.0億円(13.1億円)
○トライアル雇用助成金 新型コロナウイルス感染症対応(短時間)トライアルコースについて 令和4年度予算29億円(30億円)※令和3年度補正予算額50億円

○特定求職者雇用開発助成金 成長分野人材確保・育成コースについて(新設)令和4年度予算150億円
○教 育 訓 練 給 付 の 概 要
○コロナ禍での非正規雇用労働者等に対する労働移動支援事業【令和3年度補正予算:558億円】
○非正規雇用労働者等の新型コロナウイルス感染症の影響による離職者の再就職支援担当者制による就職支援就職 ハローワーク 令和4年度予算額 3,114,421( 3,056,354 )千円
○マザーズハローワーク事業の拡充 令和4年度予算額 3,960,753(4,015,909)千円
○求人の確保と求人充足サービスの充実 令和4年度予算額 3,925,865(4,660,670)千円
○就職支援セミナーのオンライン動画配信 実施方法 令和4年度予算額 97,785( 0)千円
○ハローワークにおける人材不足分野(特に、医療、介護をはじめとする福祉分野等)に係る就職支援の強化 令和4年度予算額 4,438,541(4,497,570)千円
○Job tag (職業情報提供サイト(日本版O-NET))
○高年齢退職予定者キャリア人材バンク事業 令和4年度予算額 449,443 (414,429)千円
○シルバー人材センターを活用した高齢者の介護就業促進による地域活性化  令和4年度予算額 560,326千円(0) (一般会計:452,074千円 雇用勘定:108,252千円)
○中途採用等支援助成金 UIJターンコース 令和4年度予算額 1.0億円(1.7億円)
○人への投資について→コロナ克服・新時代開拓のための経済対策(令和3年11月19日閣議決定)
○人材開発支援助成金(令和4年度)
○IT分野における職業訓練コースの設定促進  令和4年度予算額 4.6(0)億円
○中小企業におけるDX人材育成の推進  令和4年度予算額 1.9(0)億円
○キャリア形成サポートセンター事業 令和4年度予算額 1,484,063( 1,614,223 )千円
○ジョブ・カードのデジタル化について 〜マイジョブ・カードの構築〜 令和4年度予算額 494,317千円
○女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等 の一部を改正する法律(令和元年6月5日公布)の概要日(令和4年3月31日)までは努力義務)
○育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の 一部を改正する法律の概要(令和3年法律第58号、令和3年6月9日公布)
○両立支援等助成金  支給機関:都道府県労働局 令和4年度予算額(令和3年度予算額):106(119)億円
○テレワークの推進(政府目標と現状あり)
○令和4年度 雇用型テレワークの導入・定着促進のための施策概要
令和4度予算額 1,938,632千円

○労働市場の整備(職業安定法・職業能力開発促進法の改正)雇用保険法等の一部を改正する法律(令和4年法律第12号)→求人メディア等のマッチング機能の質の向上【職業安定法】 地域のニーズに対応した職業訓練の設定やキャリアコンサルティングの推進【職業能力開発促進法】
○副業・兼業に関する情報開示の促進について→令和4年5月20日 第7回新しい資本主義実現会議 資料16 後藤厚生労働大臣提出資料⇒今後の対応→労働者の多様なキャリア形成を促進する観点から、職業選択に資するよう、 各企業で副業・兼業を認めているか否かなどの対応状況について、情報公開を推奨する。
○男女間賃金格差について→令和4年5月20日 第7回新しい資本主義実現会議 資料16 後藤厚生労働大臣提出資料(今後の対応) 現在選択制となっている女性活躍推進法に基づく情報公表の仕組みを一部見直し、男女の賃金の差異そのものについて、大企 業に公表を義務付ける。

次回は新たに「第16回 社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」(資料)」からです。

これからの労働時間制度に関する検討会 第15回資料 [2022年07月23日(Sat)]
これからの労働時間制度に関する検討会 第15回資料(令和4年7月1日)
《議題》 労働時間制度について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26577.html
◎資料 1 これまでの議論の整理 骨子(案)
〈労働時間制度に関するこれまでの経緯と経済社会の変化〉↓
1 労働時間制度に関するこれまでの経緯
→労働時間法制⇒これまでも、時代の状況に合わせて累次の改正。裁量労働制⇒平成 25 年度労働時間等総合実態調査の有意性・信頼性に 係る問題が発生。働き方改革関連法の国会審議を踏まえ、実態を再調査した上で検討することとされた。統計調査が改めて実施され、令和3年6月に同調査結果の公表。同調査結果の労働政策審議会への報告を経て、裁量労働制を含めた労働時間法制の 在り方を検討することを目的として、本検討会が開催。
2 経済社会の変化→少子高齢化や産業構造の変化が進む中で、近年ではデジタル化の更なる加速や、新 型コロナウイルス感染症の影響による生活・行動様式の変容が、労働者の意識や働き方、企業が求める人材像にも影響。 コロナ禍でのテレワークの経験等により、労働者の意識も変化。時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を求めるニーズが強まっていく。 デジタル化の進展に対応できるような、創造的思考等の能力を有する人材が一層求められていく。企業は、企業の求める能力を持った多様な人材が活躍できるような魅 力ある人事労務制度を整備していく必要。
・本検討会⇒労働時間制度に関するこれまでの経緯や経済社会の変化を踏まえ、 裁量労働制とともに、労働時間制度の在り方全般について検討。

〈これからの労働時間制度に関する基本的な考え方〉↓
・労働時間法制は、労働者の健康確保のための最長労働時間規制から出発したが、労働から解放された時間の確保のための休憩や休日の規制、そして法定時間外労働や休日労働に経済的負荷を課して抑制するとともに、負担の重い労働に対する金銭的補償を行う 割増賃金規制などが一般化した。   労働者の多様化、企業を取り巻く状勢変化に伴って、働き方に対するニーズも多様化し、労働時間規制に対する社会的要請や担うべき政策目的も多様化。現在の労働時間法 制が、新たに生じている労使のニーズや社会的要請に適切に対応し得ているのかは、労働者の健康確保という原初的使命を念頭に置きながら、常に検証を行っていく必要があ るのではないか。   労使のニーズに沿った働き方は、これまでに整備されてきた様々な制度の趣旨を正しく理解した上で制度を選択し、運用することで相当程度実現可能なのではないか。まず は各種労働時間制度の趣旨の理解を労使に浸透させる必要があるのではないか。   他方、様々な変化が進む中で、働き方に対する労使のニーズもより一層多様化。労働時間法制がそのような変化に対応できていない場合には、必要な見直しが行われていく べきではないか。 これらを踏まえ、これからの労働時間制度は、次の視点に立って考えることを基本と していくことが求められるのではないか。
・ 第一に、どのような労働時間制度を採用するにしても、労働者の健康確保が確実に行 われることを土台としていくことが必要ではないか。 第二に、労使双方の多様なニーズに応じた働き方を実現できるようにすべきではないか。その際、可能な限り分かりやすい制度にしていくことが求められるのではないか。 第三に、どのような労働時間制度を採用するかについては、労使当事者が、現場のニ ーズを踏まえ十分に協議した上で、その企業や職場、職務内容にふさわしいものを選択、 運用できるようにするべきではないか。

〈各労働時間制度の現状と課題〉
・働き方改革関連法により設けられた時間外・休日労働の上限規制等⇒施行後5年経過時に検討することとされており、施行の状況や労働時間の動向等を十分に把握し、その効果を見極めた上で検討すべきではないか。  フレックスタイム制は、コアタイムのないフレックスタイム制を導入する企業もみ られるなど、今後も制度の普及が期待されるのではないか。 事業場外みなし労働時間制を適用してテレワークを行う場合には、一定の要件を満 たす必要があり、情報通信技術の進展等も踏まえ、この制度の対象とすべき状況等につ いて改めて検討が必要ではないか。 どのような者が管理監督者に該当するか各企業でより適切に判断できるようにする 観点等からの検討が必要ではないか。 働き方改革関連法により、年5日の確実な取得義務(使用者の時季指定義務)が設けられており、更なる取得率向上のため、より一層の取組が求められるのではないか。 時間単位年休の取得については、年5日を超えて時間単位年休を取得したいという労働者のニーズに応えるような各企業独自の取組を促すことが必要ではないか。 勤務間インターバル制度⇒時間外・休日労働の上限規制と併せ、その施行 の状況等を十分に把握した上で検討を進めていくことが求められ、当面は引き続き、企業の実情に応じて導入を促進していくことが必要ではないか。いわゆる「つながらない権利」を参考にして検討することが考えられるのではないか。

〈裁量労働制について〉
・裁量労働制が、制度の趣旨に沿った適正な運用が行われれば、労使双方にとってメリットのある働き方が実現できる一方で、制度の趣旨に沿っていない運用は濫用・悪用といえる不適切なものであり、これを防止する必要があるのではないか。 裁量労働制の見直しに当たっては、以下を軸として検討すべきではないか。⇒労働者が理解・納得した上での制度の適用及び裁量の確保 ・労働者の健康及び処遇の確保。労使コミュニケーションの促進等を通じた適正な制度運用の確保。

(対象業務)→対象業務の範囲⇒労働者が自律的・主体的に働けるようにする選択肢 を広げる観点からその拡大を求める声や、長時間労働による健康への懸念等から拡大 を行わないよう求める声がある。裁量労働制の趣旨に沿った制度の活用が進むようにする観点から、対象業務についても検討すべきではないか。 対象業務の範囲⇒経済社会の変化や、それに伴う働き方に対する労使のニーズの変化等も踏まえて見直される必要があるのではないか。

(本人同意・同意の撤回・適用解除)→裁量労働制の下で労働者が自らの知識・技術を活かし、創造的な能力を発揮する ために、労働者が制度等について十分理解し、納得した上で制度が適用されるようにしていく必要があるのではないか。 裁量労働制の下で働くことが適切でないと労働者本人が判断した場合には、制度の適用から外れることができるようにする必要があるのではないか。 裁量労働制の適用を継続することは適当ではないと認められる場合の対応を検討 すべきではないか。

(対象労働者の要件)→ 企画型での対象労働者を「対象業務を適切に遂行するために必要となる具体的な 知識、経験等を有する労働者」とする要件の履行確保をより図るべきではないか。 裁量労働制にふさわしい処遇が確保されるようにする必要があるのではないか。

(業務量のコントロール等を通じた裁量の確保)→裁量が事実上失われるような働かせ方とならないようにする必要があるのではな いか。 始業及び終業の時刻その他の時間配分の決定を労働者に委ねることを徹底すべき ではないか。

(健康・福祉確保措置)→労働時間の状況の把握⇒制度間の整合性をとるべきではないか。 健康・福祉確保措置について、裁量労働制の対象労働者の健康確保を徹底するた めの対応を検討すべきではないか。

(みなし労働時間の設定と処遇の確保)→みなし労働時間は、対象業務の内容と、対象労働者に適用される評価制度及びこれに対応する賃金制度を考慮して適切な水準となるよう設定する必要があること等 を徹底する必要があるのではないか。 例えば所定労働時間をみなし労働時間とする場合の、裁量労働制にふさわしい相応の処遇を確保し、制度濫用を防止するために求められる対応を明確にすべきではな いか。

(労使委員会の導入促進と労使協議の実効性向上)→労使協定又は労使委員会決議に際し、賃金・評価制度の運用実態等も参考にしながら、労使が協議を行うことを促進すべきではないか。 みなし労働時間の設定や処遇の確保⇒制度の趣旨に沿った運用になっていないと考えられる場合の対応を明確にすべきではないか。 専門型の制度運用の適正化を図るため、労使委員会の活用を促すべきではないか。 制度運用上の課題が生じた場合に、適時に労使委員会を通じた解決が図られるようにすることを検討する必要があるのではないか。

苦情処理措置)→苦情処理措置の認知度や苦情申出の実績が低調である実態を踏まえて対応する必 要があるのではないか。

(行政の関与・記録の保存等)→定期報告⇒企画型が制度として定着してきたことを踏まえ、 健康・福祉確保措置の実効性確保の観点から対応する必要があるのではないか。 企画型の労使委員会決議・専門型の労使協定⇒届出を簡素化する必要があ るのではないか。

〈今後の課題等〉→働き方改革関連法施行5年後の検討規定に基づく検討や、将来を見据えた検討に当たっての課題を整理する必要があるのではないか


◎参考資料 これまでの構成員のご指摘を踏まえた関連資料
○本人同意の有無が労働時間・健康状態に与える影響(専門型)
→本人同意がある場合は、1週当たりの労働時間が60時間以上となる確率が低くなっている。また、健康状態を「あ まりよくない」・「よくない」と答える確率が低くなっている。

○労使委員会の実効性が健康状態に与える影響(企画型)→労使委員会の実効性がある場合は、健康状態を「あまりよくない」・「よくない」と答える確率が低くなっている。

○労使委員会の実効性がメンタルヘルスに 与える影響(企画型)→労使委員会の実効性がある場合は、メンタルヘルスに係る全ての項目について「よくある」・「ときどきある」と 答える確率が低くなっている。

○特別手当の状況↓
・特別手当の有無【事業場調査※ 適用事業場のみ 】→専門(51.2%あり) 企画(64%あり)
・所定労働時間をみなし労働時間とする事業場における 特別手当の有無【事業場調査※ 適用事業場のみ 】→専門(52.9%あり) 企画(82.6%あり)

次回は新たに「2022年度 雇用政策研究会「議論の整理」の公表について」からです。

第11回社会保障審議会児童部会放課後児童対策に関する専門委員会 [2022年07月22日(Fri)]
第11回社会保障審議会児童部会放課後児童対策に関する専門委員会(令和4年6月30日)
《議事》(1)委員の改選について (2)放課後児童対策の現状について (3)今後の進め方について (4)ワーキンググループの設置について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26496.html
◎参考資料 8 こども政策の新たな推進体制に関する基本方針、こども家庭庁設置法・ 整備法概要、こども基本法概要
○こども政策の新たな推進体制に関する基本方針のポイント〜こどもまんなか社会を目指すこども家庭庁の創設〜
→常にこどもの最善の利益を第一に考え、こどもに関する取組・政策を我が国社会の真ん中に据えて(「こどもまんなか社会」)、 こどもの視点で、こどもを取り巻くあらゆる環境を視野に入れ、こどもの権利を保障し、こどもを誰一人取り残さず、健やかな成長 を社会全体で後押し。 そのための新たな司令塔として、こども家庭庁を創設。
《今後のこども政策の基本理念》
・こどもの視点、子育て当事者 の視点に立った政策立案→こどもの意見を年齢や発達段階に応じて政策に反映。若者の社 会参画の促進。子育て当事 者の意見を政策に反映。
・全てのこどもの健やかな成長、 Well-beingの向上→の居場所を持ちながら、様々な学びや体験ができ、幸せな 状態(Well-being)で成長できるよう、家庭、学校、職域、地域等が一体的に取り組む。
・誰一人取り残さず、 抜け落ちることのない支援→全てのこどもが、施策対象として取り残されることなく、当事者として持続可能な社会の 実現に参画できるよう支援。
・こどもや家庭が抱える様々な複合する課題に対し、制度や組織による 縦割りの壁、年齢の壁を克服した切れ目ない包括的な支援→問題行動はこどもからのSOS。保護者自身 にも支援が必要。18歳など特定の年齢で一律に区切ることなく、こどもや若者が円滑に社会生活 を送ることができるようになるまで伴走。
・待ちの支援から、予防的な関わりを強化するとともに、必要なこども・ 家庭に支援が確実に届くようプッシュ型支援、アウトリーチ型支援に転換→こどもにとって適切な場所 に出向いてオーダーメイドの支援を行うアウトリーチ型支援(訪問支援)の充実。
・データ・統計を活用したエビデンスに基づく政策立案、PDCAサイクル(評価・改善)→エビデンスに基づき多面的に政策を立案し、評価し、改善。
《こども家庭庁の必要性、目指すもの》→こどもが、自立した個人としてひとし く健やかに成長することができる社会の実現に向けて、こども と家庭の福祉の増進・保健の向上等の支援、こどもの権利利益 の擁護を任務とするこども家庭庁を創設。 こどもにとって必要不可欠な教育は文部科学省の下で充実。こ ども家庭庁と文部科学省が密接に連携。
《こども家庭庁の基本姿勢》→@こどもの視点、子育て当事者の視点 A地方自治体との連携強化 BNPOをはじめとする市民社会との積極的な対話・ 連携・協働
《強い司令塔機能》→司令塔機能をこども家庭庁に一本化し、就学前の全てのこどもの育ちの保障や 全てのこどもの居場所づくりなどを主導する。た総理を長とする閣僚会議を一体的に運営。勧告権等を有するこども政策を担当する内閣府特命担当大臣を必置化。
《法律・事務の移管・共管・関与》→こどもの権利利益の擁護、こどもや家庭の福祉・保健等の支援とそれ以外の政策分野を含んでいるものは共管。
《新規の政策課題や隙間事案への対応》→各省庁の間で抜け落ちることがないよう必要な取組を行うとともに、新規の政策課題に取り組む。
《体制と主な事務》→内閣総理大臣、こども政策を担当する内閣府特命担当大臣、こども家庭庁長官の下に「企画立案・総合調整部門」「成育部門」「支援部門」の3つ。移管する定員を大幅に上回る体制を目指し地方自治体職員や民間人材の積極登用。
《スケジュール》→令和5年度のできる限り早い時期に創設。
《こども政策を強力に進めるための安定財源の確保》→応能負担や歳入改革、企業を含め社会・経済の参加者全員 が広く負担していく新たな枠組みの検討。

○(参考1)こども家庭庁の組織・事務・権限について(イメージ)
○(参考2)こども家庭庁の創設について(イメージ)

◎(別紙) こども政策の新たな推進体制に関する基本方針
〜こどもまんなか社会を目指すこども家庭庁の創設〜    令和3年 12 月 21 日

1.はじめに
2.今後のこども政策の基本理念
(1)こどもの視点、子育て当事者の視点に立った政策立案→基本的に 18 歳までの者を念頭に置いているが、こどもが 大人として円滑な社会生活を送ることができるようになるまでの成長の過程、若者が円滑な社会生活を送ることができるようになるまで を社会全体で支え、伴走していく。
(2)全てのこどもの健やかな成長、Well-being の向上
(3)誰一人取り残さず、抜け落ちることのない支援
(4)こどもや家庭が抱える様々な複合する課題に対し、制度や組織による縦割りの壁、年 齢の壁を克服した切れ目ない包括的な支援→年齢の壁にこだわらず。
(5)待ちの支援から、予防的な関わりを強化するとともに、必要なこども・家庭に支援が 確実に届くようプッシュ型支援、アウトリーチ型支援に転換
(6)データ・統計を活用したエビデンスに基づく政策立案、PDCAサイクル(評価・改善)
3.こども家庭庁の設置とその機能
(1)こども家庭庁の設置の必要性、目指すもの
(2)こどもまんなか社会を目指すこども家庭庁の基本姿勢→@こどもの視点、子育て当事者の視点 A地方自治体との連携強化 BNPOをはじめとする市民社会との積極的な対話・連携・協働
(3)強い司令塔機能
(4)法律・事務の移管・共管・関与
(5)新規の政策課題や隙間事案への対
4.こども家庭庁の体制と主な事務
@成育部門→1)妊娠・出産の支援、母子保健、成育医療等 2)就学前の全てのこどもの育ちの保障 3)相談対応や情報提供の充実、全てのこどもの居場所づくり 4)こどもの安全(こどもの性的搾取の防止等)
A支援部門→1)様々な困難を抱えるこどもや家庭に対する年齢や制度の壁を克服した切れ目ない包 括的支援 2)社会的養護の充実及び自立支援 3)こどもの貧困対策、ひとり親家庭の支援 4)障害児支援 
B企画立案・総合調整部門→1)こどもの視点に立った政策の企画立案・総合調整 2)必要な支援を必要な人に届けるための情報発信や広報等 3)データ・統計を活用したエビデンスに基づく政策立案と実践、評価、改善 
5.こども家庭庁創設に向けたスケジュール
6.こども政策を強力に進めるために必要な安定財源の確保

○(別添)
1.こども家庭庁が所管等することとなる法律等
(移管する法律)
→地方青少年問題協議会法(昭和 28 年法律第 83 号)など20本。
(共管や一定の関与を行う法律)→就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成 18 年法律第 77 号)(内閣府の所管部分及び厚生労働省の所管部分をこども家庭庁に移管 し、主務大臣は内閣総理大臣及び文部科学大臣とする。)など24本。
(審議会等)2本。 (国立施設)きぬ川学院
2.こども家庭庁から地方厚生局に事務委任する事
・以下の補助金等に係る予算執行関係事務→13以上。
・児童扶養手当の監査関係事務
・保育、助産及び母子保護の実施に要する費用並びに児童福祉施設への入所又は通所に要する費用の監査関係事務
・児童福祉法に基づく指定障害児事業者等に対する監督・命令等関係事務
・障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス事業者等に対する監督・命令等関係事務
・児童福祉法に基づく緊急時の事務執行関係事務
・母子保健法に基づく緊急時の指定養育医療機関に対する事務執行等関係事務
・児童委員の委嘱等関係事務
・中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画(保育分野に限る)に係る認定事務
(注)詳細については、引き続き検討。
○こども家庭庁設置法(令和4年法律第75号)の概要→「趣旨」「概要」「6.施行期日等 ・令和5年4月1日 ・政府は、この法律の施行後5年を目途として」
○こども家庭庁設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律(令和4年法律第76号)の概要→「趣旨」「概要」「こども家庭庁設置法の施行の日(令和5年4月1日)」

○こども基本法(令和4年法律第 77 号)概要
・目的
→日本国憲法及び児童の権利に関する条約の精神にのっとり、 自立した個人としてひとしく健やかに成長することができ、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指して、こども施策を総合的に推進すること
・定義→「こども」……心身の発達の過程にある者。「こども施策」⇒@〜B 家庭における養育環境その他のこどもの養育環境の整備。参照。
・基本理念→@〜E 家庭や子育てに夢を持ち、子育てに伴う喜びを実感できる社会環境の整備。参照。
・責務等→国、地方公共団体の責務。事業主の努力(雇用環境の整備)・国民の努力(こども施策への関心と理解等)
・白書・大綱→年次報告(白書)、 こども大綱の策定。
・基本的施策→この法律・児童の権利に関する条約の周知。施策の充実及び財政上の措置等
・こども政策会議→会議は、会長(内閣総理大臣)及び 委員(こども政策担当の内閣府特命担 当大臣・内閣総理大臣が指定する大臣) をもって組織。
・附則→施行期日 令和5年4月1日


◎参考資料 9 児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第 66 号)の概要
○改正の趣旨
→児童虐待の相談対応件数の増加など、子育てに困難を抱える世帯がこれまで以上に顕在化してきている状況等を踏まえ、子育て世帯に対する包括的な支 援のための体制強化等を行う。
○改正の概要↓
1.子育て世帯に対する包括的な支援のための体制強化及び事業の拡充【児童福祉法、母子保健法】
→@市区町村は、全ての妊産婦・子育て世帯・子どもの包括的な相談支援等を行うこども家庭センター(※)の設置や、身近な子育て支援の場(保育所等)における相談機関の整備に努める。こども家庭センターは、支援を要する子どもや妊産婦等への支援計画(サポートプラン)を作成。※子ども家庭総合支援拠点と子育て世代包括支援センターを見直し。 A訪問による家事支援、児童の居場所づくりの支援、親子関係の形成の支援等を行う事業をそれぞれ新設。これらを含む家庭支援の事業について市区町村 が必要に応じ利用勧奨・措置を実施。 B児童発達支援センターが地域における障害児支援の中核的役割を担うことの明確化や、障害種別にかかわらず障害児を支援できるよう児童発達支援の類型 (福祉型、医療型)の一元化を行う。
2.一時保護所及び児童相談所による児童への処遇や支援、困難を抱える妊産婦等への支援の質の向上【児童福祉法】→@一時保護所の設備・運営基準を策定して一時保護所の環境改善を図る。児童相談所による支援の強化⇒民間との協働による親子再統合の事業の実施や、里親支援センターの児童福祉施設としての位置づけ等を行う。 A困難を抱える妊産婦等に一時的な住居や食事提供、その後の養育等に係る情報提供等を行う事業を創設。
3.社会的養育経験者・障害児入所施設の入所児童等に対する自立支援の強化【児童福祉法】→@児童自立生活援助の年齢による一律の利用制限を弾力化。社会的養育経験者等を通所や訪問等により支援する拠点を設置する事業を創設。 A障害児入所施設の入所児童等が地域生活等へ移行する際の調整の責任主体(都道府県・政令市)を明確化するとともに、22歳までの入所継続を可能。
4.児童の意見聴取等の仕組みの整備【児童福祉法】→児童相談所等は入所措置や一時保護等の際に児童の最善の利益を考慮しつつ、児童の意見・意向を勘案して措置を行うため、児童の意見聴取等の措置を講ずることとする。都道府県は児童の意見・意向表明や権利擁護に向けた必要な環境整備を行う。
5.一時保護開始時の判断に関する司法審査の導入【児童福祉法】→児童相談所が一時保護を開始する際に、 親権者等が同意した場合等を除き、 事前又は保護開始から7日以内に裁判官に一時保護状を請求する等の手続を設ける。
6.子ども家庭福祉の実務者の専門性の向上【児童福祉法】→児童虐待を受けた児童の保護等の専門的な対応を要する事項について十分な知識・技術を有する者を新たに児童福祉司の任用要件に追加。⇒※当該規定に基づいて、子ども家庭福祉の実務経験者向けの認定資格を導入。 ※認定資格の取得状況等を勘案するとともに、業務内容や必要な専門知識・技術、教育課程の明確化、養成体制や資格取得者の雇用機会の確保、といった環境を整備しつつ、 その能力を発揮して働くことができる組織及び資格の在り方について、国家資格を含め、施行後2年を目途として検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずる。
7.児童をわいせつ行為から守る環境整備(性犯罪歴等の証明を求める仕組み(日本版DBS)の導入に先駆けた取組強化)等【児童福祉法】→児童にわいせつ行為を行った保育士の資格管理の厳格化を行うとともに、ベビーシッター等に対する事業停止命令等の情報の公表や共有を可能とするほか、 児童福祉施設等の運営について、国が定める基準に従い、条例で基準を定めるべき事項に児童の安全の確保を加えるなど所要の改正を行う。

○こども家庭センターの設置とサポートプランの作成(1.@関係)→全ての妊産婦、子育て世帯、子どもへ一体的に相談支援を行う機能を有する機関(こども家庭センター)の設置に努めることとする。この相談機関では、妊娠届から妊産婦支援、子育てや子どもに関する相談を受けて支援をつなぐためのマネジメント (サポートプランの作成)等を担う。
○市区町村における子育て家庭への支援の充実(1.A関係)→(新設)子育て世帯訪問支援事業(訪問による生活の支援)、児童育成支援拠点事業(学校や家以外の子どもの居場所支援)、親子関係形成支援事業(親子関係の構築に向けた支援)。(拡充) 子育て短期支援事業、一時預かり事業の明確化。
○都道府県等・児童相談所による支援の強化(2.関係)→児童相談所の業務負荷が著しく増大する中で、民間と協働し、@ 措置解除等の際に親子の生活の再開等を図るため、親子再統合支援事業を制度に位置づける。 A 家庭養育の推進により児童の養育環境を向上させるため、里親支援センターを児童福祉施設として位置づける。  妊婦に対する寄り添いや心理的ケア、出産支援、産後の生活支援など支援を必要とする妊婦に対する包括的な支援事 業を制度に位置づける。<親子再統合支援事業(都道府県等の事業※都道府県、政令市、児相設置市)><里親支援センターの設置><妊産婦等生活援助事業(都道府県等の事業※都道府県、市、福祉事務所設置町村)>
○社会的養育経験者の自立支援(3.@関係)→施設入所等の措置等を解除された者等(措置解除者等)の実情を把握し、その自立のために必要な援助を行うこと⇒都道府県が行わなければならない業務にするとともに、 @ 児童自立生活援助事業の対象者等の年齢要件等を弾力化する、 A 生活・就労・自立に関する相談等の機会や措置解除者等の間の相互相談等の場を提供する事業を制度に位置づけ る。
○子どもの意見聴取等の仕組みの整備(4.関係)→都道府県等において、引き続き、子どもの権利擁護の取組みを推進するため、 @ 子どもの権利擁護の環境整備を行うことを都道府県等の業務として位置づけ、 A 都道府県知事又は児童相談所長が行う措置等の決定時において、子どもの意見聴取等を行うこととし、 B 子どもの意見表明等を支援するための事業を制度に位置づけ、その体制整備に努めることとする。

○一時保護の開始時の司法審査等(5.関係)↓
<一時保護開始時の適正手続の確保(司法審査)>
→一時保護の適正性の確保や手続の透明性の確保のため、一時保護開始の判断に関する司法審査を導入⇒裁判官が発付する一時保護状による方法(事前又は保護開始から7日以内に児童相談所は書面で請求)とする。対象として、親権者等が一時保護に同意した場合や請求までに一時保護を解除した場合等は除く。児童虐待のおそれがあるときなど、一時保護の要件を法令上明確化。その要件に該当するときは、明らかに一時 保護の必要がないと認めるときを除き、裁判官は一時保護状を発付する。一時保護状発付の請求が却下された場合、一時保護を解除した際に子どもの生命及び心身に重大な危害が生じるおそれがあるときには、児童相談所からの不服申立手続を設ける(却下の翌日から3日以内にその取消を請求)。親権者等の意に反する場合、延長 (2ヶ月ごと)に際し家裁の承認 が必要(家事審判)(H30.4施行)
<一時保護所の設備・運営基準の策定等>→ケアの困難度が高い子どもの入所という一時保護所の特性を踏まえ、新たに設備・運営基準を策定し、下記の内容 を規定。⇒平均入所率が100%を超えている一時保護所がある自治体は、定員超過解消のための計画を策定。その場合には、国が重点的に支援を実施し、 施設整備等を進めることにより、一時保護所の環境改善を目指す。 一時保護所におけるケアの質を外部の視点でチェックし、必要な改善につなげるため、一時保護所が第三者評価を受けることとする。  児童相談所が措置を講じるに当たって、地方自治体、医療機関、医学に関する大学、児童福祉施設、子どもが在籍 する学校など関係機関から、情報の提供や意見の開陳など必要な協力を求めることができることを明記する。

○子ども家庭福祉の実務者の専門性の向上(6.関係)→新たな認定資格の取得状況その他の施行の状況を勘案するとともに、下記(※)の環境を整備しつつ、児童の福祉に関し専門的 な知識及び技術を必要とする支援を行う者に関して、その能力を発揮して働くことができる組織及び資格の在り方について、 国家資格を含め、認定資格の施行(R6.4)後2年を目途として検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる。(◎) ※その者が実施すべき業務の内容、必要な専門的な知識・技術や教育課程の内容の明確化、養成するための必要な体制の確保、その者がその能力を発揮して働くことができる場における雇用の機会の確保。⇒子ども家庭福祉の認定資格取得までの流れ参照。

○児童をわいせつ行為から守る環境整備(7.関係) (性犯罪歴等の証明を求める仕組み(日本版DBS)の導入に先駆けた取組強化)↓(保育士(児童福祉法)(見直し案)のみ)
@ 欠格期間→禁錮以上の刑に処 せられた場合(期限なし)、罰金の刑(3年)、登録取消・免許状 失効等による場合(3年)。
A 登録取消等の事由→わいせつ行為を行ったと認められる 場合
Bわいせつ行為を行った者の再登録等の制限→わいせつ行為を行ったことにより登録 を取り消された者等については、その 後の事情から再登録が適当である場合 に限り、再登録することができる
Cわいせつ行為により登録取消・免許状失効した者の情報把握(データベースの整備)→わいせつ行為により保育士の登録を取 り消された者等の情報が登録された データベースを整備するなどわいせつ 行為を行った保育士の情報を、保育士 を雇用する者等が把握できるような仕 組みを構築する

○児童発達支援センターの役割・機能の強化(1.B関係)→<改正案の内容> @ 児童発達支援センターが、地域における障害児支援の中核的役割を担うことを明確化する。 ⇒ これにより、多様な障害のある子どもや家庭環境等に困難を抱えた子ども等に対し、適切な発達支援の提供につなげるとともに、地域全体の障害児支援の質の底上げを図る。<「中核的役割」として明確化する具体的な役割・機能のイメージ> @ 幅広い高度な専門性に基づく発達支援・家族支援機能 A 地域の障害児通所支援事業所に対するスーパーバイズ・コンサルテーション機能(支援内容等の助言・援助機能) B 地域のインクルージョン推進の中核としての機能 C 地域の障害児の発達支援の入口としての相談機能。
A 児童発達支援センターの類型(福祉型・医療型)の一元化を行う。 ⇒ これにより、障害種別にかかわらず、身近な地域で必要な発達支援を受けられるようにする。

○障害児入所施設からの円滑な移行調整の枠組みの構築(3.A関係)→<改正案の内容> @ 障害児入所施設から成人としての生活への移行調整の責任主体(都道府県及び政令市)を明確化する。A 一定年齢以上の入所で移行可能な状態に至っていない場合や、強度行動障害等が18歳近くになって強く顕在化して きたような場合等に十分配慮する必要があることから、22歳満了時(入所の時期として最も遅い18歳直前から起算し て5年間の期間)までの入所継続を可能とする。⇒【福祉型障害児入所施設に入所中の18歳以上で移行先が決定していない者の現状(年代別)】参照。


◎参考資料 10 令和4年度予算の概要(子ども家庭局子育て支援課分)
1 放課後児童対策

(1)放課後児童クラブ運営費等 981億円(922億円)
※内閣府予算 子ども・子育て支援交付金
(2)放課後児童クラブ施設整備費 84億円(170億円)
※内閣府予算 子ども・子育て支援整備交付金
(3)放課後児童対策の推進 9億円の内数(9億円の内数)
保育対策総合支援事業費補助金
2 地域子育て支援拠点事業等 1,800億円の内数(1,691億円の内数)
子ども・子育て支援交付金 ※内閣府予算 重層的支援体制整備事業交付金
3 その他の子育て支援  40億円(44億円)
(1)子育て支援員研修3.5億円(3.3億円) 子ども・子育て支援対策推進事業費補助金
(2)子ども・子育て支援の充実のための研修事業の推進 26億円(29億円)
子ども・子育て支援対策推進事業費補助金 子ども・子育て支援対策推進事業委託費
(3)子ども・子育て支援の充実のための調査研究事業等の推進 9億円(11億円)
子ども・子育て支援対策推進事業費補助金 子ども・子育て支援対策推進事業委託費(4)児童館における健全育成活動等開発事業(新規) 1億円(新規)
子ども・子育て支援対策推進事業費補助金
4 児童福祉施設等に係る施設整備等 61億円(65億円)
次世代育成支援対策施設整備交付金  独立行政法人福祉医療機構一般勘定運営費交付金
5 東日本大震災からの復旧・復興への支援
(1)児童福祉施設等の災害復旧に対する支援 11億円(2.5億円)
※復興庁予算 社会福祉施設等災害復旧費補助金
(2)被災した子どもへの支援 115億円の内数(125億円の内数)
※復興庁予算 被災者支援総合交付金

○放課後児童対策の推進について →放課後の子どもの居場所の確保や、放課後児童クラブの育成支援の内容の質の向上を図るなど、放課 後児童対策を推進する。
T 子どもの居場所の確保↓
1.児童館、公民館等の既存の社会資源を活用した放課後の子どもの居場所の確保
→待機児童が解消するまでの緊急的な措置として、待機児童が10人以上の市町村における放課後児童クラブを利用できない主として4年生以上の児童を対象に、児童館、公民館、塾、スポーツクラブ等の既存の社会資源を活用し放課後等に安全で安心な子どもの居場所を提供。 ※実施主体:市町村(市町村が適切と認めた者に委託可) 補助基準額:1,042千円 補助率:1/3
2.小規模・多機能による放課後の子どもの居場所の確保→地域の実情に応じた放課後の子どもの居場所を提供するため、小規模の放課後児童の預かり事業及び保育所や一時預かり、地域子育て支援拠点などを組み合わせた小規模・多機能の放課後児童支援を行う。
※実施主体:市町村(市町村が適切と認めた者に委託可) 補助基準額:1,042千円 補助率:1/3 等

U 育成支援の内容の質の向上(※保育対策総合支援事業について、放課後児童クラブも支援の対象として実施。)
1.放課後児童支援員の資質の向上
→利用児童の安全確保や、子どもの自主性、社会性等のより一層の向上が図られるよう、放課後児童クラブを巡回するアドバイザーを市町村に配置する【「若手保育士や保育事業者等への巡回支援事業」の中で実施】。
※実施主体:都道府県、市町村(都道府県等が適切と認めた者に委託可) 補助基準額:4,064千円 補助率:1/2
2.放課後児童支援員の人材確保→放課後児童支援員の専門性向上と質の高い人材を安定的に確保するため、保育士・保育所支援センター等において、 放課後児童支援員として就労を希望する者に対し、求人情報の提供や事業者とのマッチングを行う。また、同センター と連携し、市町村において就職相談等の支援を行う【「保育士・保育所支援センター設置運営事業」(都道府県)及び 「保育人材等就職・交流支援事業」(市町村)の中で実施】。 ※実施主体:都道府県、市町村(都道府県等が適切と認めた者に委託可) 補助基準加算額:1,219千円 補助率:1/2 等

○放課後児童支援員等に対する3%程度(月額9,000円)の処遇改善→1〜4の参照。
令和3年度補正予算:109億円 令和4年度予算案 :1,748億円の内数
※いずれも内閣府予算計上

次回は新たに「これからの労働時間制度に関する検討会 第15回資料」からです。

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