第117回労働政策審議会障害者雇用分科会(資料) [2022年04月30日(Sat)]
第117回労働政策審議会障害者雇用分科会(資料)(令和4年4月26日)
《議題》(1)障害者雇用納付金制度、障害者雇用率制度の在り方について (2)その他 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25431.html ◎資料1 障害者雇用納付金制度、障害者雇用率制度の在り方について ○障害者雇用納付金制度の在り方について ・論点→障害者雇用を推進していくためには、納付金制度の財政の安定化はもとより、障害者を雇い入れる事 業主の具体的な取組に対して支援を充実させるなど、限られた財源を効果的に運用することが必要。第115回障害者雇用分科会では、支出の効率化、調整金・報奨金の上限設定、助成金の充実等、様々 な意見があった。 これらを踏まえ、以下のとおり対応してはどうか。⇒調整金・報奨金について上限を設けてはどうか。企業のニーズを踏まえる形で助成 金を充実させてはどうか。 ○障害者雇用調整金、報奨金の上限等について ・主な課題→助成金(雇用の質の支援)の支出が限られている。 調整金(雇用の数の評価)が支出の大半を占める。↓ ・対応の方向性→雇用の数から雇用の質へ⇒障害者雇用調整金及び報奨金の支給人数について上限を設定。 企業の取組支援のため、助成金を充実。 ○(別紙)障害者雇用調整金、報奨金の 上限に ついて→一般的に、障害者の雇用人数が増えるほど、障害者を新たに雇用するのに要する費用は逓減すると考えられる。 障害者雇用調整金⇒支給対象人数が10人を超える場合には、当該超過分に対しては支給額を50%とする。 報奨金⇒支給人数が35人を超える場合には、当該超過分に対して支給しない。 ○第115回障害者雇用分科会での主な意見@(障害者雇用納付金制度の在り方) (制度全般に関する意見)→4意見あり。納付金の目的自体も改めて整理する必要が生じているのではないか。納付金制度の趣旨は、障害者を雇用する企業とそうでない企業との不公平感の調整。そのため、ほとんどの企業が雇用率を達成すれ ば、調整金の必要性は減少し、助成金にシフトとしていくことが考えられる。ただし、現状では調整金は維持した方が良い。 (支出効率化に関する意見)→2つ。調整金・報奨金について、上限を設けることも必要だが、まずは各事業の事務・労務費用の効率化と、実施率が上がっていない助成 金の集約が必要。 (調整金に関する意見)→5つ。調整金・報奨金の支出を抑えるべき。障害者を多数雇用すれば調整金・報奨金によって儲かるという印象を持たせるべきではない。 (企業に対する助成に関する意見)→4つ。障害者の頭数で調整金・報奨金を払うというより、助成金による支援のほうが、多様な障害への支援ができる。調整金・報奨金に一定 の上限を設ける等により、助成金にまわすということもあるのではないか。 (納付金に関する意見)→2つ。障害者雇用0人が複数年続いた場合、納付金の額を増額する等の措置を検討してはどうか。 (その他)→4つあり。上限の設定については、就労継続支援A型を算定式から外す等、雇用率上の取扱いと併せて検討することが必要。 ○(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構の業務経費の見直しについて→障害者雇用納付金財政の安定化を図るためには、当該財政を運営する(独)高齢・障害・求職者 雇用支援機構の業務等経費⇒事務の効率化等により削減することが必要。⇒障害者雇用納付金システムの再構築(令和4年11月運用開始予定)による事務の効率化(4つあり)。Web方式を活用した事業主調査の実施(令和4年度〜)による移動経費の削減。 ○納付金制度に基づく障害者雇用関係助成金の実績(平成29年度〜令和3年度まで) ・障害者作業施設設置等助成金→ 障害者が作業を容易に行えるよう配慮された作業施設等の設置・ 整備・賃借を行う事業主に対して助成 ・障害者福祉施設設置等助成金→障害者が利用できるよう配慮された保健施設、給食施設等の福 利厚生施設の設置・整備を行う事業主に対して助成 ・障害者介助等助成金→障害特性に応じた適切な雇用管理のために必要な介助者等の 措置を行う事業主に対して助成 ・重度障害者等通勤対策助成金→障害者の通勤を容易にするための措置を行う事業主・団体に対して助成 ・重度障害者多数雇用事業所施設設置 等助成金 重度身体障害者、知的障害者又は精神障害者を多数継続して 雇用し、かつ、安定した雇用を継続することができると認められる事 業主であって、これらの障害者のために事業施設等の設置・整備 を行うものに対して助成 ○障害者雇用納付金助成金のこれまでの見直しについて→納付金制度に基づく障害者雇用関係助成金については、これまでも不断の見直しを実施してきた⇒H22.4〜R3.4(一覧表) ○制度改正に係る財政影響額について(1年分) ・10人超の障害者雇用調整金を半額→【財政影響額】 +約38億 ・35人超の報奨金を支給しない→ 【財政影響額】 +約4億 ⇒併せて、各企業の個々の取組を支援できるように、企業のニーズを踏まえる形で 助成金を充実させることを検討 ○中小企業における障害者雇用の促進について ・論点→ノウハウ不足等により、障害者の雇用数が0人である企業が多く、雇用率未達 成企業が半数以上となっている。第115回障害者雇用分科会では、納付金の適用範囲の拡大に対する賛否、中小企業のノウハウ不足に対する支援の必要性等、様々な意見があった。⇒常用労働者100人以下の企業における障害者雇用が進むよう、これらの企業が抱えるノウハウ 不足の課題に対して支援してはどうか。具体的には、中小企業に対するハローワークによる支援を強化するとと もに、中小企業の個別性やノウハウ不足の課題の多様性を踏まえ、コンサルティングを行う民間事業者を活用し、 個別企業に対する伴走型支援を行ってはどうか。 ○中小企業における障害者雇用に関する課題・対応の方向性について ・主な課題→障害者の雇入れ、雇用管理等に関するノウハウが不足。その課題は個別性が高いことから、中小企業の属性に応じたきめ細かな支援が必要。 社会保険の適用拡大や雇用保険料率の増加等、中小企業における負担は増加。 ・対応の方向性→ハローワーク⇒大企業に比べて障害者雇用の取組が遅れている中小企業に対し、企業ごとの属性やニーズを踏まえたチーム支援を積極的に実施。加えて、特に障害者の雇用を進めることが困難な障害者雇用0人企業を中心に、障害者雇用に関するコンサルティングを行う民間事業者から、雇入れから雇用管理まで一体的な伴走型の相談支援を受けることで、障 害者雇用の取組を促進する企業について支援する(助成金の新設)。 ○第115回障害者雇用分科会での主な意見@(中小企業における障害者雇用の促進)。 (納付金の適用範囲に関する意見)→7意見。中小企業の置かれている状況が厳しいということもあり、今は納付金の対象範囲を広げる時期ではないのでないか。 (中小企業への支援に関する意見)→12意見。ゼロ企業が1人雇用するとずいぶん雇用の状況は変わると思うので、ゼロ企業への支援というのがポイントになるのでは。 ○長期継続雇用の評価について ・論点→社会全体が高齢化していく中で、中高年齢者等、長期継続雇用されている障害者の活躍を推進していく ことが重要である。第115回障害者雇用分科会では、長期継続雇用されている障害者に一律に就労困難性 を認めることに対する賛否、長期継続に取り組む企業に対する支援の必要性等、様々な意見があった。⇒雇用率制度での評価を求める意見がある一方で、加齢による影響は職種・職場等の違 いを含め個人で異なるもの、年齢や勤続年数で一律に判断することはできないという意見。また、そもそも、障害者権利条約を批准している現在において、ダブルカウントという措置を継続すべきかどうか について議論が必要であるという意見もあった。こうした企業の取組に対して、支援してはどうか。 ○障害者の長期継続雇用に関する課題・対応の方向性について ・主な課題→個々に生じる体力・気力の低下に対して、勤務時間の 変更や職務内容の見直し、サポート体制の整備等の状況に応じた措置が必要。 雇用する障害者の高齢化や長期継続雇用に伴う課題に関する相談窓口や、適切な福祉サービスとの連携が 必要。 ・対応の方向性→中高年齢者であって継続して雇用されている障害者の活躍や雇用の継続のため、個々の障害者の状況に応 じて企業が実施する取組を支援する(助成金の新設)。 障害者就業・生活支援センター⇒関係機関との連携を強化し、地域の実情や個々の企業の 状況に応じて中高年齢者障害者を継続して雇用するための課題に関する相談機能を強化。 ○第115回障害者雇用分科会での主な意見@(長期継続雇用の評価) (総論)→3意見。長期継続雇用の増加は、障害者雇用における大きな前進であり、職場における支援が定着してきた証。 (雇用率制度における長期継続雇用の評価に関する意見)→9意見。一定の勤続年数を超えた場合には、雇用率を1.5カウントとしていただきたい。状態の変化にともなって仕事への支障が発生した場 合、本人の了解のもとで短時間勤務に移行したときは、現状の0.5カウントではなく1カウントとしていただきたい。 (企業への支援に関する意見)→6意見。各企業の個別の努力により、高齢化した障害者の継続雇用について検討していると考えるが、雇用から次へのステップとして、A型 事業所、B型事業所へ移行していくシステムをつくっていくべき。生活面での支援の問題があり、雇用だけでなく生活面も踏まえて 総合的に考える必要がある。 ○週所定労働時間2 0時間未満の短時間労働者の取扱いについて ・論点→障害特性で長時間の勤務が難しいこと等により、週所定労働時間20時間未満での雇用を希望 する者は、いずれの障害種別でも一定数存在し、特に精神障害者で多い。こうしたニーズを踏まえ、週20時間未満での雇用を希望する障害者や、週20時間以上での雇用が困難である障害者について、その雇用機会を確保することが重要。第116回障害者雇用分科会では、週20時間未満の短時間労働者について実雇用率算定を求める意見、他方で週20 時間未満の雇用に固定されないようにする必要性、特例給付金のインセンティブの低さ等、様々な意見があった。⇒精神障害者、重度身体障害者、重度知的障害者であって、その障害によって特に短い労働時間以外での労働が困 難な状態にある週10時間以上20時間未満の者について、特例的な取扱いとして、事業主が雇用した場合に、雇用 率において算定できるようにしてはどうか。 ○(別紙)短時間労働者(週所定労働時間20時間未満)に対する実雇用率算定等について ・対象となる障害者の範囲→週10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者、重度知的障害者 ・カウント数→1人をもって0.5人と算定する。 ・留意点→週20時間以上の雇用への移行に要する期間には個人差がある、中長期にわたり週20時間以上の雇用に移行できない者も 一定程度存在するため、本取扱いは一時的な対応としない。ただし、意思に反して週20時間未満の雇用に移行させられることがないように、本人が希望しており、かつ、ハローワークのアセスメ ントや医師の意見書等により、現時点では週20時間以上の雇用労働が困難であることを確認した場合に限って、当該取扱いを認める。また、週20時間未満の雇用に留め置かれないよう、本人が労働時間の延長を希望する場合、事業主に対しその有する能力に応じた労働時間の延長について努力義務を課した上で、不適切な事例を把握した場合は、ハローワークが事業所に対して雇用管理指導を行う。 ・特例給付金の取扱い→当該者に対する就業機会の拡大を 直接的に図ることが可能となることから、特例給付金は廃止する。 ○第116回障害者雇用分科会での主な意見(週所定労働時間20時間未満の短時間労働者の取扱い@) (総論)→11意見。週20時間未満の雇用を雇用率上で算定することに賛成。 (具体の制度設計に関する意見)→11意見。週20時間以上に移行できるか否かは人それぞれであり、個々の状況に応じて、時間を延長するか、そのままにするか決めるべき。 (特例給付金に関する意見)→特例給付金は企業へのインセンティブとしては不十分。 ○週20時間未満の障害者を雇用する事業主に対する特例給付金について ・基本的な考え方→雇用率制度のカウント対象とする常用労働者⇒職業的自立の目安である週20時間以上の労働者とする枠組みを維持。週20時間未満の雇用障害者数に応じて、納付金を財源とする特例給付金を支給。支給額の単価は、調整金・報奨金の単価、週20時間〜30時間の短時間労働者の雇用率カウント(0.5)との均衡等を踏まえ、調整金・報奨金の単価の4分の1程度とする。中長期にわたり20時間以上の勤務に移行できない者等も見られることを踏まえ、支給期間を限定しないこととする。週20時間未満の雇用に対する支援が、週20時間未満の安易な雇用促進にならないよう、支給対象となる雇用障害者の所定労働時間の下限について、トライアル雇用助成金 (障害者短時間トライアルコース)における下限が10時間であることを踏まえ、10時間とする。 ・改正障害者雇用促進法の規定(抜粋)→(納付金関係業務) 第四十九条 一の二 特に短い労働時間以外での労働が困難な状態にある対象障害者を 特定短時間労働者(短時間労働者のうち、一週間の所定労働時間が厚 生労働省令で定める時間の範囲内にある者)として雇い入れる事業主又は対象障害者である特定短時間労働者を 雇用する事業主に対して、これらの者の雇入れ又は雇用の継続の促進を図 るための特例給付金を支給すること。 ・申請・支給の時期・要領→申請対象期間 : 申請年度の前年度の4月1日から翌年の3月31日まで。支給 : 申請年度の10月1日から12月31日までの間に実施。 ・支給要件・額→事業主区分、 支給対象の雇用障害者、 支給額、支給上限人数 参照。 ・支給実績→令和3年度 →支給額1,595,062千円、支給決定件数 7,450件、支給対象人数 245,540人月。 ○就労継続支援A型の利用者の取扱いについて ・論点→当該事業が障害者総合支援法に基 づく障害福祉サービスに位置付けられている一方で、雇用労働者であるため、障害者雇用率制度の対象になっている。第116回障害者雇用分科会では、A型の利用者は雇用率制度の対象から除外するべきという意見、こうした見直しは、A型の利用者に与える影響を踏まえて議論するべきという意見等、様々な 意見があった。⇒実態把握に基づきA型が障害福祉制度に おいてどのように整理されるかも踏まえつつ、当該制度からの除外の可能性も視野に入れ、引き続き検討してい くこととしてはどうか。 ○第116回障害者雇用分科会での主な意見(就労継続支援A型の利用者の取扱い@) 14意見あり。 ・A型を雇用率制度から外すことに賛成。福祉から報酬があることへの批判も聞く。事業所数は増加傾向であり、障害者が一般就労に 移行せずA型に滞留しているのは、雇用からも財源が流れていることも要因ではないか。A型は、趣旨や、手帳不所持者も含む就労 困難性が高い障害者の雇用の受け皿としての機能を踏まえると、福祉の制度と整理すべき。 ・A型を雇用率制度の対象から除外することについて、制度理念から考えるのはよいが、代替性があるからといって因果関係があると は必ずしも言えない。A型を利用する障害者を中小企業が雇用するかは不明。結果的に障害者の雇用が減るという状況になりかねな いため、一般企業での雇用の促進を狙ってA型を雇用率から外すのは危険ではないか。 ◎参考資料1 労働政策審議会障害者雇用分科会委員名簿 (公益代表)6名。(労働者代表)5名。(使用者代表)5名。(障害者代表)4名。 ◎参考資料2 障害者雇用分科会における今後の主な論点 →これまでの障害者雇用分科会における議論を踏まえ、今後、以下の 論点を中心に議論を進めてはどうか。 ○ 障害者雇用率制度の在り方 ・ 障害者雇用率制度における障害者の範囲 ・ 精神障害者に関する雇用率カウント ・ 長期継続雇用の評価 ○ 障害者雇用納付金制度の在り方 ○ 障害者雇用と福祉の連携の促進 ○ 自宅や就労施設等での障害者の就業機会の確保 ○ 中小企業における障害者雇用の促進 ○ 除外率制度に関する対応 ◎参考資料3 今後の検討スケジュールについて ・障害者雇用分科会→令和4年5月上旬(予定) 雇用の質の向上。除外率制度に関する対応 。⇒令和4年5月下旬以降 取りまとめ(予定) ・社会保障審議会障害者部会⇒令和4年5月以降 取りまとめ(予定) ◎参考資料4 「職場適応援助者の育成・確保に関する作業部会」の開催につ いて 1 設置趣旨→「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会」⇒「基礎的研修」の確立に加え、障害者の就労支援に係る専門人材の高度化に向けた階層研修の再構築及び専門人材の社会的ステータスの向上とそれによる人材確保について検討することが必要であると結論づけられている。 その中で、特に職場適応援助者⇒更なる専門性の向上に向けた研修の見直しや、 一定の資格としての位置づけを検討してはどうかといった方向性が示されたところであり、 これを踏まえ、職場適応援助者が期待される役割を一層果たしていくため、改めて職場適応援助に係る支援の在り方及び人材育成・確保に向けた方策について検討を行うため、「職場 適応援助者の育成・確保に関する作業部会」を設置する。 2 主な論点→ 職場適応援助に係る支援の在り方及び人材育成・確保に向けた方策について、以下の事 項等について検討を行う。 ○ 職場適応援助者(「JC」)の役割、職域、支援の在り方 ○ JC養成研修体系の整理等(カリキュラム、階層研修の再整理、実施機関(高等教育 機関含む)・研修実施方針) ○ 訪問型 JC の活性化に向けた対応(利活用促進策、助成金制度の見直し) ○ 職場適応援助者に係る資格化の検討(例えば国家資格化を目指す場合、クリアすべき 課題、今後のロードマップ等) 3 参集者(別紙参照) 検討会の下に開催されたワーキンググループの構成員のうち座長が指名する者が、中心 的な役割を担う者として参画。その他に実務経験に長けた者等に出席を依頼。⇒ 学識・有識者(2名)。企業関係者(訪問型 JC 支援活用企業)(1名)。特例子会社関係者(企業在籍型 JC 活用企業)(1名)。訪問型 JC 支援実績を豊富に有する事業所関係者(1名)。訪問型 JC(1名)。企業在籍型 JC(1名)。JC 養成研修大臣指定機関関係者(1名)。高齢・障害・求職者雇用支援機構関係者(1名)。 4 その他 →令和 4 年4月に設置後、令和4年度内に必要な議論を行い、令和4年度末までに中間 とりまとめを行い、検討会に報告。 ◆労働政策審議会 (障害者雇用分科会) https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-rousei_126985.html 次回は新たに「「生活困窮者自立支援のあり方等に関する論点整理」を公表します」からです。 |