外国人雇用対策の在り方に関する検討会(第6回) [2021年06月30日(Wed)]
外国人雇用対策の在り方に関する検討会(第6回)会議資料(令和3年6月16日)
≪議事≫(1)中間取りまとめ案について (2)その他 https://www.mhlw.go.jp/stf/projectteam_20210222_02_00011.html ◎資料1 外国人雇用対策の在り方に関する検討会中間取りまとめ(案) ―エビデンスに基づく外国人雇用対策の立案と 官民が連携した分野横断的な支援に向けて 第1 趣旨等 1.外国人雇用対策の在り方に関する検討会の開催趣旨→近年、我が国における外国人労働者の数は急激に増加し、この 10 年間で約 3倍となった。この間、産業構造も絶えず変化しており、国内では、様々な分野で、多様な技能を有する外国人労働者が活躍している。 こうした中で、平成 31 年には、生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお深刻な人手不足である分野に労働者を受け入れるため、新たな 在留資格「特定技能」が創設されるとともに、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」に基づき、我が国で共に働き、共に生きる存在として、外国人を受入れるための環境整備が政府全体で進められている。 一方で、足下に目を向けると、新型コロナウイルス感染症の影響により、国 際的な人の往来が一時的に停滞する等、社会活動に変化が生じ、様々な産業 が打撃を受ける中で、外国人労働者にも影響が確認されている。 このように、複雑化する社会経済情勢の中にあっては、学識経験者や労使の代表による意見を聞きながら、雇用情勢の変化に応じた適時・的確かつ柔 軟な外国人雇用対策を実施していくことが求められている。 このため、本検討会は、我が国の労働市場の動向や、その中における外国人 雇用の状況を確認しつつ、アフターコロナも見据えた外国人雇用の在り方と その対応策について、具体的な方向性を議論することを目的として開催した。 第2 検討結果 1 外国人雇用対策の在り方と方向性(総論) (1)我が国労働市場への外国人労働者の包摂の状況や国際的な労働移動を適 切に把握し、エビデンスに基づいた外国人雇用対策を講じるべき。 (2)新型コロナウイルス禍で起きている複層的な課題を解決するために、関係機関が得意とする分野を生かして、連携して対応していくべき。 (3)日本と母国の文化ギャップの克服や、専門的・技術的分野の外国人労働者の長期キャリアを前提とした就労環境を整備していくべき。 2 各課題とその対応に関する方向性(各論) (1)新型コロナウイルス感染症禍における外国人雇用の状況の把握 ア 課題(詳細は資料1及び2参照)→新型コロナウイルス感染症禍における外国人労働者の労働需給、労働移 動や求職者の状況等を踏まえると、外国人労働者は日本人と比べ相対的に 離職しやすく、再就職しにくいのではないか、景気の影響を受けやすいの ではないかということが考えられる。 また、在留資格の違いによって、賃金や雇用の状況に大きな違いがある ことが明らかになった半面、日本人との比較を行うための既存の統計を用 いた比較分析には一定の限界が認められた。 イ 対応の方向性 →引き続き、労働市場における外国人労働者の状況について、外国人に関する統計や届出等による分析を行うとともに、統計等の個別データを活用し、より詳細な状況の把握・分析に努めるべきである。 加えて、中長期的には、関係諸機関が連携し、日本人と外国人が比較可能な統計等を新たに整備することも含めて検討し、エビデンスに基づく外 国人雇用対策の立案の基盤整備を目指すべきである。 (2)新型コロナウイルス感染症等の影響を受け困窮する外国人労働者等に対するハローワーク等の対応 ア 課題(詳細は資料1及び2参照)→コロナ禍における外国人労働者の困窮状況は、(1)の就労面での課題 に加え、職場におけるコミュニケーション能力の不足や文化ギャップ、行 政サービスなど支援へのアクセスの難しさや在留資格の制約、個々人が抱 える事情など、様々な要因が重なって生じており、ハローワークによる就 労支援のみならず、地域福祉との連携も必要。さらに、地域には官民を問わず多様な支援が行われているが、支援主体間の連携が難しい状況 にある。 また、就労支援においては、在留資格の特例により、コロナ禍で帰国困 難な外国人の就労が認められているが、ハローワークに来所しない者が 多いことに加え、特例の内容への理解の不足、職場におけるコミュニケーション能力の不足、帰国困難な状況に相応しい短期求人の不足等から、ハ ローワークでの職業紹介が困難な状況にある。 イ 対応の方向性→これらを踏まえ、困窮する外国人に対して食糧や住居など生活支援を行 う NPO 法人や事業協同組合・企業組合等とハローワークの連携によりアウトリーチを強化し、通訳を介した丁寧な聴き取りを行うなど伴走型の支援を実施するとともに、地域の連携の基盤となる情報の一つとして好事例や ノウハウ等を全国に展開することで、雇用と生活の両輪で支援を進めるべき。外国人への支援策は、外国人を支援する日本人にも周知していく必要がある。 また、ハローワークにおいて、多言語での職業相談の体制整備や、地域コミュニティや学校、留学生団体等を通じた各種情報の発信を行うととも に、外国人雇用事業所毎のデータベースを整備することにより、外国人向け求人開拓を強化すべき。また、職場で求められるコミュニケーション能力の見える化を進め、マッチングの向上を図るべき。 加えて、帰国困難者を念頭に、外国人求職者と求人企業とのマッチングを促進するため、企業や民間職業紹介事業者等に対し、外国人向け求人の開拓や求められる職場のコミュニケーション能力の明示や、短期間でも就労可能な求人の提示等を働きかけるべきである。 中長期的には、デジタル化の取組の進展等も踏まえつつ、外国人が手続きを行う際の利便性の向上や関係機関の連携強化についても、検討課題と していくべきである。 (3)外国人労働者の職場・地域での定着 ア 課題(詳細は資料3参照)→外国人労働者の職場・地域での「良い定着」には、「良い受入れ」から 考えることが重要、関係者が連携して、入国前後から職場・地域へ の定着を見据えた支援を行う必要がある。 また、入国後の外国人労働者の雇用管理の改善に当たっては、労働関係法令の遵守を前提として、企業の外国人労働者に関する採用・育成能力を向上し、外国人と日本人がより働きやすい職場を構築していく必要がある。 イ 対応の方向性→「地域外国人材受入れ・定着モデル事業」において、モデル地域と共に 受入れから定着までの一貫した支援を実証し、その成果を関係者に周知する。また、外国人労働者の「良い定着」に繋がる「良い受入れ」を支援できる民間職業紹介事業者を増やすことや、そこで働く専門人材の育成等に向けた取組を検討する。 また、ハローワークにおいて、各種支援ツールも積極的に活用して、労 働条件の遵守や働きやすい職場の実現など雇用管理改善のための指導・援助を適切に行うとともに、外国人雇用に関する情報を事業所毎のデータベ ースに記録し、採用・育成能力の向上等に活用する。 (4)国際的な人の移動の中での外国人雇用対策 ア 課題(詳細は資料4参照)→外国人労働者は、送出し国の経済開発や教育水準等を背景に、それぞれ の学歴等に応じ、様々なルートにより就労や留学先となる国を選択している。そのような中、アジア諸国の中では、送出し先としての日本の比重が 高くなるなど、日本での就労に対する期待は高まっている。 外国人労働者の日本の職場・地域への定着のためには、受け入れた後の 在留資格制度や国内就労環境の整備にとどまらず、送出し国から見た労働移動の動向にも着目する必要がある。 イ 対応の方向性→国際的な労働移動の状況やその変化について、OECD等国際機関の活 動への積極的な参加等を通じて、引き続き情報を把握する。また、送出し 国の状況を継続的に把握するとともに、二国間取決め等の交渉に参画する。 また、ポストコロナも見据え、日本の労働市場が、日本で働くことを希望する外国人労働者にとって円滑かつ適正に機能するための職業紹介の あり方や資格の相互認証等について検討すべきである。 (5)留学生の国内就職支援及び外国につながる子どものキャリア支援 ア 課題(詳細は資料5及び6参照)→新型コロナウイルス感染症禍により、大学等留学生の新規求職者数は前 年度比で増加し、厳しい状況。一方、近年、大学等卒業者の国内企業への就職率は上昇傾向にあり、日本語学校の進学率も高い水準を維持している。しかし、国内企業への就職の希望者の半分程度しか国内就職できていない現状があり、企業が求める外国人の人材像や職場のコミュニケーション能力とのミスマッチ、留学生が日本独特の「就職活動」にうまく対 応できていないことが懸念される。 高度人材である在留外国人が在留資格「留学」から「技術・人文知識・ 国際業務(技人国)」による就労、「永住」や、場合によっては帰化等へと 選択を重ねていくことを踏まえると、キャリアアップのための支援が重要である。 また、日系人等定住外国人の子どもについて、在留資格上は就労に制限がない一方で、現実的には、親と同様の就労形態を選択し、キャリアアッ プしないという課題がある。また、就労目的で在留が認められる外国人の子ども→一般的に在留資格「家族滞在」を得て在留するが、来日時期など一定の要件の下で、高校卒業後に「定住者」等に在留資格変更を行い、週 28 時間以内の制限なく就労を行うことが可能なケースがある。 しかし、親がこうした制度の仕組みを知らないなどにより、子どもの学歴によっては 28 時間以内の制限のない就労に必要な在留資格を取得する見 通しが立たないことが、自己実現を図る上で障害となっている場合がある。 イ 対応の方向性→留学生の国内就職を促進するため、大学とハローワークとの連携協定の 締結等、大学に対する支援を強化するとともに、好事例等を全国の大学・ 関係機関等に横展開するべき。 留学生の就職活動や職場定着支援のための研修用モデルカリキュラム について、大学、企業、自治体等へ普及を図り、留学生に対する効果的な 支援を促す。また、キャリアコンサルタントの育成等を含めた外国人労働者へのキャリアアップ支援、企業における外国人労働者の就労環境の整備の支援を実施するべき。 外国人の子どもの適切な将来設計の実現を図るため、高校・ハローワー ク・関係機関が連携して、子どものキャリア形成支援を行う取組を試行的に実施すべき。その際、親への支援も含めた親と子供の一体的なキャリア 形成支援について理解を進められるよう、具体的な方法を検討するべき。 (6)就職や定着のための職場におけるコミュニケーションの改善と文化ギャップの克服の支援 ア 課題→外国人労働者の職場におけるコミュニケーションを改善する上では、文 法や語彙等にとどまらず、むしろ雇用慣行に関する知識の習得や文化ギャ ップの克服が優先的な課題となっている。 こうした中で、特に、新たな言語の習得が必ずしも容易ではない年齢層に達している者などが離職し、求職活動を行っている場合には、語学検定 試験向けの内容ではなく、日本の職場において、母語であれば可能な論理的な説明を行うことができるよう実践的ノウハウを身につけることや、求職者が自身の経験や能力を客観的に評価・認識した上で、安定就職へ向けた意欲を高めることについて重点を置いた取組が求められる。 また、職場におけるコミュニケーションの改善に当たっては、業務に必ずしも必要の無い高いコミュニケーション能力を求めている企業等もあることから、外国人労働者だけでなく、日本人労働者(企業)に対しても 求人条件を明確化するよう、働きかけを行うことが重要。加えて、こうした外国人の就労環境整備を支える専門的な担い手が限られていることから、人材育成に取り組んで行く必要がある。 イ 対応の方向性 →外国人労働者の就業能力の向上のため、職場で求められるコミュニケー ション能力の見える化と求められる能力に応じた研修や、雇用慣行に関する文化ギャップを克服するための就業体験などを促進するなど、定住者向けの研修事業を強化するべき。 また、外国人雇用管理指針の内容や各種の支援ツールについて、官民が連携して中小企業にわかりやすく伝えるとともに、地方公共団体にも周知 するなど、外国人雇用のノウハウを広げていくべき。 加えて、官民を問わず、外国人労働者の職業紹介や就業環境の向上支援を担う専門人材の育成の方法を検討するべき。 (7)主要先進国の施策・研究を踏まえた検討→ 本検討会では、国内事例やデータ分析に加え、OECD等の国際機関の報 告等についてもレビューを行ったところ、主要先進国の移民政策では、以下 の点が大きな課題となっていることが明らかとなった。引き続き諸外国の 施策・研究の動向を踏まえた議論を行うことが必要である。(詳細は資料7 参照) ア 国内労働者に悪影響を与えないための労働需給調整 イ 円滑適正な国際労働移動・職業紹介 ウ 大都市集中防止のための方策 エ 景気後退時の措置(失業者に対する就職支援等) オ 人権侵害等からの保護 カ 技能水準の向上支援 ◯(別紙1) 外国人雇用対策の在り方に関する検討会 構成員→10名。 ◯(別紙2) 外国人雇用対策の在り方に関する検討会の開催状況→第1回〜第6回まで。 ◯資料1 外国人雇用状況の概況→1外国人の在留資格の概要 2外国人労働者数の動向 ◯資料2 新型コロナウイルス感染症禍における外国人雇用の状況→ 第1新型コロナ感染症禍への主要な対応 第2外国人の労働需給の分析 第3外国人の労働移動の分析 第4 外国人求職者の分析 第5外国人労働者の賃金構造の分析 ◯資料3 外国人労働者の職場・地域での定着→1ブロック別外国人労働者数の年間増加数の動向 2在留資格別のブロック別外国人労働者数の年間増加数の動向 ◯資料4 国際的な労働移動の分析→ 1アジア諸国における労働移動の流れ 2 送出し労働者総数に占める日本行きの割合の動向 3外国人労働者の在留資格別・国籍別の動向 4 経済開発の程度に応じた在留資格割合の推移の国際比較 5国籍別の外国人労働者数の動向 ◯資料5 外国人留学生の国内就職状況等の分析→ 1外国人留学生(高等教育)の進路状況の動向 3外国人留学生(日本語教育機関)の進路状況の動向 4外国人留学生(高等教育機関)の国内就職の促進及び課題 5ハローワークにおける留学生新規求職者数(アルバイト除く)の動向 6留学生の資格外活動(アルバイト)の動向 ◯資料6 外国につながる子どものキャリアに関する分析→1外国につながる子どもの在留の動向 2外国人児童生徒への教育の動向 3外国につながる子どもの在留資格とキャリア形成の動向 ◯資料7 主要先進国の外国人労働者に関する施策・研究の概要(OECD等文献レビュー) ・第1 OECD諸国等の外国人労働者の受入制度及びコロナ禍での外国人労働者への特例措置の 事例→ 1OECD 諸国の外国人労働者の受入れに関する基本的な考え方 2OECD 諸国等の外国人労働者の労働需給調整の仕組み 3OECD 諸国等の新型コロナ禍での在留許可等緩和、労働移動促進措置 4OECD 諸国等の新型コロナ禍での外国人労働者の失業者に対する経済支援措置 ・第2 OECD諸国等の労働移動対策、人権侵害等保護及び技能水準向上支援の事例→1 円滑・適正な国際労働移動・職業紹介の確保 2 コロナ禍における送り出し国による帰国等支援 3 地域定着のための方策 4 人権侵害等からの保護 5非高度技能労働者に対する技能水準向上の支援 6 非高度技能外国人労働者の定住へ向けた選択肢 ・第3 技能水準(スキルレベル)の定義等について→1 はじめに 2 国際標準職業分類における技能水準(スキルレベル)の概念 3 日本標準職業分類における技能水準(スキルレベル)の扱い 4 国際標準分類における単純労働者の定義について 5 スキルレベルと外国人受入制度 (1) OECD, EU 諸国→非高度技能職の移民労働者は、低学歴の自国民への悪影響を避けるため、低学歴の非高度技能労働を目的とする労働移民については、高度技能者に比較して、 厳しい規制を行っている。多くの国が、労働移民に対して、技能に関する基準を設けている (OECD/EU (2016))。一部の国は、高度技能と非高度技能を区別しないことで非高度技能労 働者も受け入れている(OECD 2019)。 (2) OECD, EU 諸国→高度技能労働者か非高度技能労働者で受入制度を区分けしており、 中等技能者に焦点を当てた受入制度は見受けられない。 次回も続き「資料2 前回の検討会でいただいた御意見」からです。 |