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第38回社会保障審議会生活保護基準部会 [2021年04月30日(Fri)]
第38回社会保障審議会生活保護基準部会  資料(令和3年4月27日)
≪議事≫(1)部会長選出及び部会長代理指名について (2)生活保護基準の検証に係る検討課題について (3)その他
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_18182.html
◎資料3−1 生活保護基準の検証に係る検討課題について(案)
◯令和3・4年における生活保護基準の検証の進め方(案)↓
(1)生活扶助基準の水準等の妥当性の検証
(2)生活保護基準の体系に関する検証
(3)前回(平成29年)検証後の生活保護基準見直しの影響分析
(4)その他(上記以外に検証が必要とされるもの)
◯生活保護基準の検証に係る検討課題(案)→(1)〜(4)までの検討事項が以下で展開。

≪検討事項≫↓
(1)生活扶助基準の水準等の妥当性の検証
ア 2019年全国家計構造調査のデータに基づいた検証方法について
@ 消費支出の季節性に関する評価
・検討事項
→使用するデータが検証の目的に照らして十分に国民の実態 を捉えているという前提が必要。 2019年全国家計構造調査のデータによって国民の消費実態を捉え、生活扶助基準の検証 を実施する場合、当該調査の対象月が10・11月の2か月間であることに関してどのよ うに評価するか。《検討にあたっての留意事項》→冬季における光熱費等の増加需要に対応するものとして冬季加算や、年末において増加 する食費・雑費等の経費を補填するものとして期末一時扶助が別途支給されている。
A データのサンプル数に関する評価
・検討事項
→生活保護受給世帯の約8割が単身世帯、この生活実態を把握することは重要。 全国消費実態調査→現在実施されている消費支出に関する調査の中ではサンプル数も多く、構造分析が可能な調査ではあるが、単身世帯のデータは、サンプルの確保な どに課題があると指摘。2019年全国家計構造調査においては、2014年全国消費実態調査から単身世帯の標本規模 が拡大され、統計精度の向上が図られたが、当該調査のデータを用いるにあたって、そのサ ンプル数の規模や統計精度をどのように評価するか。
B 2019年10月の消費増税等の影響に関する評価
・検討事項→
2019年10月には、消費税率が引き上げられ、同時に、軽減税率制度や幼児教育・保育無 償化などが実施された。2019年全国家計構造調査の調査対象期間は2019年10月・11月であり、当該調査結果は、 こうした制度改正の影響を受けている可能性があるが、これをどのように評価するか。
イ 水準の検証に用いるモデル世帯について
@ 高齢者のモデル世帯の設定のあり方について
・検討事項
→高齢者世帯は、モデル世帯として設定し、その生活実態を把握することを検討すべき。 生活扶助基準との比較対象とする高齢者世帯の範囲は、収入だけでなく資産の状況も踏まえて検討する必要。その際、対象世帯の設定方法はどのようにすべきか。
A 複数のモデル世帯を設定する場合の展開方法について
・検討事項
→各モデル世帯の生活扶助基準額の検証は、それぞれ の消費実態と比較して行うこととなるが、一方で、各モデル世帯の消費実態を基軸として展 開した水準同士には齟齬が生じる可能性がある。その場合、複数のモデル世帯の消費実態の水準の接続をどのように行うべきか。
ウ 調査実施時点以降の社会経済情勢の変化の反映について
・ 新型コロナウイルス感染症による影響等の評価
・検討事項
→社会経済情勢が反映されているものとなるが、2019年時点ではなく現 在の生活扶助基準について評価・検証を行う場合には、どのように実施すべきか。 特に、2020年以降は新型コロナウイルス感染症による影響等で社会経済情勢が変化して いる可能性があるが、これを踏まえてどのように生活扶助基準を評価すべきか。
エ 新たな検証手法の開発等について
@ 費目ごとの最低生活の水準についての検討

・検討事項→費目ごとの比較方法とその結果の評価→具体的にどのように行うか。
A 保護基準で踏まえるべき社会的経費の水準についての検討
・検討事項
→生活保護世帯の生活の質を把握する観点から「家庭の生活実態 及び生活意識に関する調査」について、これまで不定期の実施とされていたものを定期的な (3年ごとの)実施とするほか、社会的必需項目に関する調査項目を充実する等の見直しを することが提案されたが、上記の論点については、今後どのように検討を行うべきか。
B マーケットバスケット方式による最低生活費の試算の検討
・検討事項
→今回具体的な試算結果が 示されておらず、今後、今日の社会に即した形での算出可能性や、代替される手法を含め て、引き続き検討を行うことが必要ではないか。
今後どのように検討を行うべきか。

(2)生活保護基準の体系に関する検証
ア 生活保護基準における級地区分の検証について
@ 地域の生活水準を示す指標についての検討
・検討事項
→級地制度のあり方に関する検討に当たって、どのような指標により地域別の生活水準の 違いを評価することができるのか、生活水準の地域差の要因分析をどのように行うか。
A 各市町村の級地区分の指定の妥当性について
・検討事項
→各市町村の級地区分の指定の妥当性について、統計的にどのように検証するか。
B 級地の指定単位の妥当性について
・検討事項
→現行の指定単位が市町村単位であることについて、実際の生活の営みが行政区域にとどまらないことを踏まえ、指定単位の妥当性を検証する場合、どのような方法が考えられる か。
C 級地の階級数の妥当性について
・検討事項
→級地の階級数を現行通り6区分設けることの妥当性を検証する べきではないか。また、検証を行う場合、どういった方法が考えられるか。
イ 生活扶助基準の第1類・第2類の区分の検証について
・検討事項
→現在の生活扶助の第2類の基準は、級地及び世帯人員数に応じた額が設定、世帯人員の年齢区分については考慮されていない。 第2類の基準に年齢区分を設けないことの妥当性について検証する場合、どのような方 法が考えられるか。 また、仮に第2類の基準として世帯人員の年齢区分に応じた額が設定される場合、生活 扶助基準を第1類と第2類に区分することの妥当性について、どのような方法で検証するこ とが考えられるか。

(3)前回(平成29年)検証後の生活保護基準見直しの影響分析
ア 生活扶助基準(本体)の改定の影響分析
@ 生活保護世帯において生活の質が維持されているかの分析 
A 被保護者調査による保護の開始・停止・廃止の状況の分析
B 社会保障生計調査による生活保護世帯の消費支出の変化の分析
C 福祉事務所へのヒアリングによる影響把握
・検討事項
→上記の@〜Cの検討課題に、具体的にどのような方法で分析を行うか。
イ 有子世帯の扶助・加算見直しの影響分析
・検討事項
→有子世帯の扶助・加算の見直しとして、「児童養育加算」「母子加算」「教育扶助及び高等学 校就学費」の見直しを行った。上記の見直しの影響分析についてはどのように行うべきか。

(4)その他
ア 生活扶助以外の扶助や加算等の検証について
・検討事項
→「特に、各種加算については、生活扶助基準(第1類費及び第2類費)では賄 いきれない特別な需要に対応するためのものであり、特別な需要(生活課題)は何か、その 特別な需要に対応するためにはどのような費用が必要かという観点から、他法他施策との関 係にも留意しながら検証を行う必要がある」ことが指摘されている。今後、生活扶助以外の扶助や加算等の基準の検証が必要とされる場合には、厚生労働省 においてその検証手法を検討することとするが、上記のほかに留意点等はあるか。

次回も続き「資料3−2 社会保障審議会生活保護基準部会報告書」からです。

第38回社会保障審議会生活保護基準部会  資料 [2021年04月29日(Thu)]
第38回社会保障審議会生活保護基準部会  資料(令和3年4月27日)
≪議事≫(1)部会長選出及び部会長代理指名について (2)生活保護基準の検証に係る検討課題について (3)その他
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_18182.html
◎資料1 社会保障審議会生活保護基準部会 委員名簿 →8名。
◎資料2−1 生活保護基準部会について
◯生活保護基準の設定の概要
・生活保護の基準
→生活保護法に基づき厚生労働大臣が定める
⇒(基準及び程度の原則) 第8条。その者の金銭又は物品で満た すことのできない不足分を補う程度において行うものとする。 2 前項の基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最 低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえないものでなければならない。

・生活扶助基準→昭和59年度以降、一般国民の消費実態との均衡上の妥当な水準を 維持するよう設定している。⇒国民の消費水準との格差を縮めるため、民間最終消費支出の伸び率を基礎に、その伸び率以上に基準額を引き上げる「格差縮小方式」を導入し、その結果、国民の消費実態との均衡上、ほぼ妥当な水準に達したことから、昭和59(1984)年からは、その均衡した水準を維 持・調整する「水準均衡方式」となり、現在に至っている。
・また、生活扶助基準→平成16年の「生活保護制度の在り方に関する専門委員会」による報告書における提言を受け、平成19年以降、定期的に生活扶助基準の検証を実施しており、 その検証結果を踏まえて基準を定めている。⇒今後、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか否かを定期的に見極めるため、全国 消費実態調査等を基に5年に一度の頻度で検証を行う必要がある。

◯生活保護基準部会の設置の趣旨
・生活保護基準部会は、生活保護基準の定期的な評価・検証についてご審議いただく専門の部会として設置。 生活扶助基準の検証は、一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか否か を見極めるため、消費実態に係る統計調査のデータ等を用いて、専門的かつ客観的に実施する 必要がある。
・上記の評価・検証については、生活保護において保障すべき最低生活の水準が、一般国民の 生活水準との関連においてとらえられるべき相対的なものであるという基本的な考え方を踏まえて行うものである。


◎資料2−2 生活保護基準部会の設置について(平成 23 年 2 月 10 日)
1.部会の設置の趣旨及び審議事項 生活保護基準について
→5年に1度実施される全国消費実態調査の特別集 計データ等を用いて、専門的かつ客観的に評価・検証を実施する必要がある。 このため、社会保障審議会に、生活保護基準の定期的な評価・検証について ご審議いただく専門の部会を設置する。

2.当面のスケジュール→生活保護基準の評価・検証に当たり多面的なアプローチを可能とするよう、 速やかに部会を設置して、まずは評価・検証の方法等について議論を開始し、 月 1 回程度での開催を予定。 また、今秋を目途に平成 21 年全国消費実態調査の特別集計等のデータが まとまり次第、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に 図られているか否か等の検証を開始する。
(参考) ↓
・社会保障審議会運営規則(平成 13 年 1 月 30 日社会保障審議会決定)(抄)
(審議会の部会の設置)
第 2 条
  会長は、必要があると認めるときは、審議会に諮って部会を設置する ことができる。
・生活保護制度の在り方に関する専門委員会報告書(平成 16 年 12 月 15 日)
第 2 生活保護基準の在り方について 生活保護基準の評価・検証等について →(1)評価・検証(抜粋)  ⇒今後、生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切 に図られているか否かを定期的に見極めるため、全国消費実態調査 等を基に 5 年に一度の頻度で検証を行う必要がある。

次回は、「資料3−1 生活保護基準の検証に係る検討課題について(案)」からです。

外国人雇用対策の在り方に関する検討会(第2回)会議資料 [2021年04月28日(Wed)]
外国人雇用対策の在り方に関する検討会(第2回)会議資料(令和3年4月12日)
≪議題≫(1)新型コロナウイルス感染症等の影響を受け困窮する 外国人失業者等に対するハローワークの対応 (関係者からのヒアリング)
https://www.mhlw.go.jp/stf/projectteam_20210222_02_00005.html
◎資料5 松田 秀和氏提供資料
コロナ禍での当社取り組みのご紹介 →@ コロナの影響事例  A ゴーウェルタウン銀座の取り組み     ゴーウェルタウン銀座(外国人向け就職カフェ)
◯コロナの影響事例→コロナ禍における解雇や困難な状況の中から、当社利用または自力で就職をした例の紹介→外国人男女3人づつ計6名
・企業問合せの変化→コロナ前(2019)・コロナ禍(2020)では企業の問い合わせが一変。インバウンド関連が消失。
◯ゴーウェルタウン銀座の取り組み→2020年5月、緊急事態宣言下で困窮する外国人向けのスペースを緊急OPEN
・来店者数推移→来店者数1万人以上(2020.5〜2021.3まで)
・今後→フェーズ4 定着支援(・就職後の心の支援 ・国別エンゲージ ・全国へ)を目指す。
・救済→孤独対策
・就職支援→就職カフェで。
・主な出身国→インド・アジア諸国。
・属性→在留資格(留学・技人国で85%)。日本語能力試験(N1・N2が79%)。国籍()東南アジア出身者の相談・ 登録・会員が圧倒的。 南アジア出身者も増加傾向
・外国人同士のコミュニティを→来店×アプリ会員(無料)で不安や孤独を解消
・持続可能なビジネスモデルへ→@外国人A当社B企業のメリット(採用/スポンサー)
・全国の金融機関と連携開始→全国の12の都県
◯Contactの方法・場所・連絡先の電話番号など。


◎参考資料 OECD諸国等の外国人労働者の受入制度及びコロナ禍での 外国人労働者への特例措置の事例(OECD等文献レビュー)
1 OECD 諸国の外国人労働者の受入れに関する基本的な考え方

(1) 多くの OECD 諸国→中小企業に対する外国人労働者の供給は、生産性を高めることよりも小規模企業の継続を支援する趣旨であり、生産性の低い企業の継続性 を高めるための政策の一つと考えている。移民政策の背後にある重要な問題の一つ が、労働力需要が一時的なものであるのか、それとも構造的なものであるのかである。需要が構造的なものであり、国内で利用可能な労働力との補完性がほとんどな く、無期限に雇用できる可能性が高いのであれば、短期間の外国人労働者の受入を 擁護することは困難であるとしている(OECD (2009))。
(2) このため、OECD 諸国の短期間移民(temporal migration)の管理は、国内労働供 給のみでは達成できない労働市場ニーズであって、国内労働市場に悪影響を与える ことなく合理的時間枠では満たすことの難しいものについて、送り出し国の開発を 妨げることなく労働移民によって満たすことを支援することを中心的な目的として いる(OECD (2011))。  
(3) OECD では、技能水準(スキルレベル)→大卒、上位中等教育や高度職業 訓練修了者が高度技能労働者(skilled workers)、それらより低いレベルが非高度技 能労働者(non-skilled/low-skilled workers)の2つに分類している(OECD (2008) p.127)。理想的には、外国人労働者は自国民労働者の代替(substitute)や入れ替 え(displace)ではなく、補完(complement)であるべきであるが、実際には困難で あり(OECD(2014))、OECD, EU 諸国では、非高度技能の移民労働者は、低学歴の自国 民への悪影響が高いとされ、高度技能者に比較して、低学歴の非高度技能労働を目 的とする労働移民については、厳しい規制を行い、労働移民に対して、技能に関す る基準を設けている(OECD/EU (2016))。一部の国は、高度技能と非高度技能を区別 しないことで非高度技能も受け入れている(OECD 2019)。
(4) OECD は、短期間移民管理の枠組みには、次の要素を含めるべきとしている(OECD (2009))。↓
@ 満たされていない労働力ニーズを特定する手段
A 労働力ニーズの程度に応じた数の雇用許可
B 国内外で移民労働者と雇用をマッチングさせる手段
C 許可の効率的な処理及び発給手続き
D 雇用者が移民労働者候補者の資格を確認する手段
E 効果的な出入国管理と職場の執行手続き

2 OECD 諸国等の外国人労働者の労働需給調整の仕組み
(1) OECD, EU 諸国では、非高度技能移民の受入にあたり、受入企業に労働市場テスト(labour market test)の実施を求めるか、割当定数(quota)や上限(cap)などの 数的制限を定めている(OECD/EU (2016))。労働市場テストは、非高度技能労働者 の受入にあたり、国内労働者が悪影響を受けないことを確保する措置であり、実施 方法は国によって異なる。非高度技能労働向けの短期間受入制度では、上限を設けるよりも労働市場テストを行う国が大半である(OECD(2019)。
(2) 労働市場テストの目的は、国内労働者に応募の機会を与えることと、産業別の賃 金水準を守ることにある。労働市場テストを行う場合は、求人を広告することに加 え、契約内容が審査される。賃金は、最低賃金、平均賃金、又は団体交渉による合 意された賃金に合致することが求められる。さらに、国内労働市場を守るため、賃 金や労働条件に加え、住宅の確保、移動費の支給が求められることもある。労働者 の給与からこれら費用を天引きする場合には、制限を設けられることが一般的である(OECD (2008) p.138)。
(3) 短期間非高度技能労働者の受入に上限を設ける目的は、全体として、使用者の需 要を下回る程度に受入を抑え、国内労働者の労働市場を保護することである (OECD(2019))。更新可能な短期間高度技能労働(英国、米国)、短期間非高度技能 労働(イタリア、イスラエル、米国)、季節労働(イタリア、スペイン、NZ、米 国)に割当定数が設けられている。国によっては、非高度技能動労に職種別の割当 定数を設けている(韓国、英国、アイルランド)。高度技能労働の永住者に職種別 割当定数を設ける国もある(カナダ、オーストラリア)(OECD(2019))。
(4) 割当定数や上限は、人手不足職種リスト(List of shortage occupation :LSO) を作成し、それに基づき受け入れ枠を決定する国が多い (EMN(2015))。人手不足職 種リストは、市場調査によって人手不足を調査し、マクロモデルによる将来の需給 予測を行った上で、将来の人手不足を予測して作成する(HWWA(2004))。最終的な 配分は、使用者と政府が交渉して決定される(Chaloff(2019))。一部の国は、総雇 用数に占める割合で上限を設けている(エストニア、オーストリア)。

3 OECD 諸国等の新型コロナ禍での在留許可等緩和、労働移動促進措置
(1) 多くの EU 諸国では、在留許可や労働許可の緩和措置を講じた。スペインやドイ ツでは、コロナ禍によって失業した移民労働者の労働許可の取消を停止し、フラン スやイタリアは、労働許可を自動更新又は一定期間延長した(OECD/ILO/IOM/UNHCR 2020)。多くの欧州諸国では、一時入国のオーバーステイを将来のビザ申請におけ る不利益なしで認めた(EMN/OECD 2020)。
(2) OCED 諸国等では、コロナ禍により、特定の産業の労働需要が減少する一方、農 業、建設、医療、介護及び IT 関係の産業の労働需要が増加した。このため、保健 医療分野の資格について、臨時的な緩和が行われた。イタリアやカナダ、米国で は、外国の医師資格保有者に暫定の免許を与え、スペインでは、保健サービスの労 働移動を促進するため、農業分野の外国人労働者に制限のない労働許可と在留許可 の延長・更新を行い、ドイツは医療職の外国資格の認証を促進した(OECD 2020a)。
(3) 農業分野では、在留期間の延長、他分野の外国人労働者の労働許可、短期間外国 人労働者の導入が行われた。米国では、農業分野の外国人労働者のビザ(3年)を 一時的に延長し、オーストラリアでは農業分野の季節労働者の在留期間を延長した (ILO 2020a)。追加的な労働力の確保のため、スペインやベルギー等では、留学生 や亡命希望者に一定の条件下で就労を認めた。フランスやいくつかの EU 諸国で は、留学生の労働時間の制限を緩和し、カナダやオーストラリアは、エッセンシャ ルサービスに雇用されている留学生の労働時間の上限を撤廃した (OECD/ILO/IOM/UNHCR 2020)。  

4 OECD 諸国等の新型コロナ禍での外国人労働者の失業者に対する経済支援措置
(1) 外国人労働者は、最も脆弱な労働者のうちの一つである。OECD 諸国では、失業率の上昇が見られたが、外国人労働者における失業率の上昇の方が自国民労働者より大きかった。米国では、外国人労働者の失業率は自国民労働者より2%高くなり、スペインでは、自国民の雇用率が3%減少した中、外国人は9%の減少となっ た(OECD 2020b)。ASEAN 諸国では、調査に回答した外国人労働者の 32%が、雇 止め等によって非自発的な離職や無給休職を余儀なくされている(ILO 2020b)。
(2) 一方で、外国人労働者は新型コロナ禍の経済対策(賃金補助、失業給付や社会保 障)の対象となっていない場合が多い。非自発的な離職により収入を失うととも に、ビザや労働許可が失効して不法状態となった上、入国制限により、帰国できな い状況となっている(ILO 2020c)。
(3) これらに対応するため、G20-OECD 諸国では、不安定雇用の外国人労働者の失業 給付のアクセスや給付期間を改善しつつある。スペインでは、失業給付の条件(6 ヶ月で 360 日以上雇用)を一時的に停止した。多くの国では、外国人を含めた雇用 者に対する支援措置を実施した(OECD/ILO/IOM/UNHCR 2020)。
(4) ILO は、新型コロナ禍における外国人労働者の雇用の多くが非正規労働であるこ とから、ビザの延長、恩赦、労働許可・在留許可の延長の促進により、外国人労働 者がエッセンシャルサービスにアクセスし、不法状態となることを防ぐことができ るとしている(ILO 2020c)。さらに、外国人労働者の労働安全衛生の保護のため、 必要な情報の提供や、共同生活や寄宿舎生活による感染の特別な危険性にも対応する必要があるとしている(IOM 2020 a&b)。

◯↑上記の参考文献多数あり。

次回は、「第38回社会保障審議会生活保護基準部会 資料」からです。

外国人雇用対策の在り方に関する検討会(第2回)会議資料 [2021年04月27日(Tue)]
外国人雇用対策の在り方に関する検討会(第2回)会議資料(令和3年4月12日)
≪議題≫(1)新型コロナウイルス感染症等の影響を受け困窮する 外国人失業者等に対するハローワークの対応 (関係者からのヒアリング)
https://www.mhlw.go.jp/stf/projectteam_20210222_02_00005.html
◎資料3 坂本 久海子氏提供資料
特定非営利活動法人 愛伝舎
代表者:理事長 坂本久海子
住所:〒510-0211 三重県鈴鹿市東旭が丘 3-5-3 メロディハイツU102
TEL:080-3667-5129 活動エリア:三重県 設立年:2005 年


◯活動方針:人口減少が加速する中、外国人との共生は日本の社会の大きな課題です。外国人を地域 の構成員として社会を担う人材と捉え、総合的な支援を目指しています。多様性が豊かさにつながるような活力ある社会づくりを進めます。
◯活動概要→【教育支援】【生活支援】【就労支援】

◯就労支援について↓
・日系人介護人材育成研修
→2009年―2014年まで、JICAの事業(2009年)と三重県の緊急雇用対策(7 回)で日 系人を対象に介護ヘルパー2級の研修を行い、125人がヘルパー2級を取得。 リーマンショックで失業した人が、介護の仕事に就くきっかけを作りました。2009年の研修で 介護施設に就労した人は、勤続12年目になりますし、今の介護の仕事をしている人も多くいます。 正規雇用の仕事に就いて、生活面も子どもの教育も安定しているように思います。日本語ができる ようになれば、直接雇用に就ける機会は増えていくので、大人の日本語教育を充実させてほしいと 思います。

・就労支援 (中部圏地域創造ファンド休眠口座事業)→コロナ禍で雇用が不安定になっていますが、人材不足の業種があり、建設、運輸の仕事に直接雇 用のニーズがあります。昨年運送会社と建設会社に日系ブラジル人男性を紹介し、正規雇用されま した。運送業は荷受、荷下ろしの際の日本語力と大型免許があれば、求人はあります。また建設業も 人手不足で求人はありますが、運輸業より求められる日本語能力は高くなります。次回は5月29 日に三重県トラック協会の四日市支部で、会社説明会を開催します。経済危機によって簡単に解雇 される派遣雇用でなく、介護の資格や大型免許など技術や資格を取得して、直接雇用されるように 日本語学習と職業訓練の機会を増やしてほしいと思います。外国人の不安定な雇用状況は、子ども の教育にも影響を与え、虐待や学業不振になり、福祉の支援が必要な人を生み出していきます。 納税者、社会の担い手となる施策を進め、活躍できる人材にできるよう進めてほしいと思います。 同時にオンラインの日本語学習を行っています。日本語ができる人は、コロナ禍でも失業してい ないので、日本語の習得が安定した就労の基本になります。

◯日本の社会が人口減少で縮んでいく中、定住者は増えており、人材として活躍できるようにすることは、企業にも社会にも外国人にもメリットが大きい。↓
・日本での定住を希望する外国人は増えている。→ 構成員、担い手として活躍してもらう。
・派遣雇用でなく、直接雇用で長期的に働けるように支援が必要。
・直接雇用に就ける日本語力と、日本の環境で働くための知識の習得が必要。
・習慣、マナーの理解(履歴書、服装、挨拶、保険など)
・働き方に関する理解(直接雇用と間接雇用の違い、生涯賃金・社会保障など)
・お金の使い方(貯金の習慣、長期的な生活設計)
・企業の側の理解も必要。外国人を受ける準備、やさしい日本語、体制づくり。
・入国前の研修機会を設ける(技能実習生は日本語や生活習慣を学んでから来日するが、ずっと定 住できる日系人は、日本語も習慣も知らないまま定住し、地域の負担にもなる)
・外国人を雇用する企業の責務を求める。(いいとこ取り!?ではないか)
・日本語学習は、ボランティア任せにはしない。
・定住者は、日本語や習慣を学んでいるアジアの人材に居場所を奪われていく可能性が大きい。


◎資料4 吉水 慈豊氏提供資料
NPO 法人日越ともいき支援会の活動について 代表理事 吉水 慈豊
1 団体の来歴
→1963 年より、前住職が浄土宗の寺院・日新窟のベトナム支援活動を開始。 2011 年の東日本大震災で、ベトナム大使館からの要請で被災したベトナ ム人を受け入れ。 その後、ベトナム人技能実習生、留学生の数が急増し。在留ベトナム人 の「駆け込み寺」として、相談の枠を超え広く支援活動を行ってきた。 ベトナム人の命と人権を守る活動を通し、“ともにいきる”社会の実現を 目指している。

2 事業の内容
・人道支援活動 (令和元年度)支援 218 名、保護 46 名。
・広報・教育活動 (令和元年度)講演、勉強会@東京、神戸など。
・地域貢献支援活動 (令和元年度)ベトナム5都市現地調査など

3 本日のポイント
・コロナ禍は、ベトナム人の若者にどのような影響を与えているか。
・日越ともいき支援会に保護・支援を求めてくるベトナム人の若者は、 どのような人々か。
・日越ともいき支援会は、ベトナム人の若者をどのように支援しているか。
→ 衣食住に関する緊急の支援 ・ 時間をかけた丁寧な聴取り
→ 就職(復職や再就職)の支援 ・ 入管、警察、その他の行政機関への同行
→ 医療保健サービスの確保(病気・怪我の治療や出産(母子)に関する 支援等)
  →その他
・行政機関(国、地方公共団体、独立行政法人など)、企業、他の団体等と の連携について、どのように考え、また、どのように実践しているか。

◯NPO 法人日越ともいき支援会 PRバカフレットあり。

次回も続き「資料5〜参考資料」からです。

外国人雇用対策の在り方に関する検討会(第2回)会議資料 [2021年04月26日(Mon)]
外国人雇用対策の在り方に関する検討会(第2回)会議資料(令和3年4月12日)
≪議題≫(1)新型コロナウイルス感染症等の影響を受け困窮する 外国人失業者等に対するハローワークの対応 (関係者からのヒアリング)
https://www.mhlw.go.jp/stf/projectteam_20210222_02_00005.html
◎資料1 外国人雇用対策の在り方に関する検討会 構成員名簿 →10名の構成員。
◎資料2 新型コロナウイルス感染症等の影響を受け困窮する外国人失業者等に対するハローワークの対応
◯NPO法人等とハローワークとの連携事例@
→令和2年12月24日、25日に開催されたハローワーク新宿の面接会の周知を、困窮する外国人を支援す るNPO法人に依頼。 〇同法人からのヒアリング結果に基づき、ハローワーク新宿において@〜Eの取組を実施。
・ハローワーク新宿にベトナム語の通訳員を配置し、通訳員を介した相談を特定の日に試行的に実施 (2週に1回・半日実施)(@)。 ・厚労省本省職員より同法人のボランティアスタッフに対し、ハローワークのサービス内容やハロー ワークインターネットサービス(※)の操作方法等を説明(A)。説明を受けたスタッフが、日本語で の求職登録を補助(B)。 ・厚労省本省職員が、保護を受けていたベトナム人の方を新宿ハローワークに引率(C)。 ・通訳を介して職員、職業相談員が丁寧に聴き取りを行い(D)、正社員求人に応募(E)。
◯外国人求職者と企業の効果的なマッチングに向けた取組→課題に対してその対応あり。全国のハローワークに対し周知のため流す。
◯新型コロナウイルス感染症の影響下での在留資格の取扱いの変遷について→(参考)出入国在留管理庁公表資料を基に厚生労働省職業安定局において作成⇒5つの事実から取扱いの変遷を経て令和3年3月時点で現行の取扱いに取り組んでいる。

◯在留者数(留学)と外国人労働者数(留学生の資格外活動)の推移
・在留外国人統計における「留学」の在留者数及び外国人雇用状況届における「留学生による資格 外活動」の外国人労働者数の推移を示す。在留者数(留学)は、2019年末に34万6千人に達し たが、コロナ禍の影響により、直近では28万人に減少している。外国人労働者数(留学生による 資格外活動)は、2019年末に32万8千人となったが、直近では30万9千人に減少している。  国籍別では、在留者数では中国、ベトナム、ネパール、韓国の順であるが、労働者数では、ベト ナムが最多である。

◯在留者数(留学)に対する外国人労働者数(留学生による資格外活動)の比率
・ 在留外国人統計における在留者数(留学)に対する外国人雇用状況届における外国人労働者数(留学生による資格外活動)の比率※の水準は、国籍別で大きく異なる。いずれの国籍に ついても、直近では比率が上昇している。 ○ 国籍別では、ベトナムとネパールの比率が高く、直近ではそれぞれ1.92と1.78となって おり、一人の留学生が複数の仕事を掛け持ちしていることが多いとみられる。一方、中国と 韓国の比率は、直近でそれぞれ0.68と0.58に留まる。 ※ 外国人労働者数(留学生による資格外活動)を在留者数(留学)で除したもの

◯OECD諸国等のコロナ禍での様々な対応(OECD等文献レビュー)
1.コロナ禍での外国人労働者への在留許可等緩和、労働移動促進措置→(1)〜(3)
2.コロナ禍での外国人労働者の失業者に対する経済支援措置→(1)〜(3)
(2) 外国人労働者はコロナ禍の経済対策の対象となっていない場合が多い。 (ILO 2020c) G20-OECD 諸国では、多くの国で、外国人を含めた雇用者に対する支援措置を実施した。
◯(参考)前提となるOECD諸国の受入れや労働力需給調整の仕組み (OECD等文献レビュー)↓
1.OECD諸国の外国人労働者の受入れの考え方→(1)〜(3)あり。
2.OECD諸国等の外国人労働者の労働力需給調整の仕組み
(1) OECD, EU諸国では、非高度技能移民の受入にあたり、受入企業に労働市場テスト(labour market test)の実施を求めるか、割当定数(quota)や上限(cap)などの数的制限を定めている(OECD/EU (2016))。
(2) 短期間非高度技能労働者の受入に上限を設ける目的は、全体として、使用者の需要を下回る程度に 受入を抑え、国内労働者の労働市場を保護することである。(OECD(2019) 更新可能な短期間高度 技能労働(英国、米国)、短期間非高度技能労働(イタリア、イスラエル、米国)、季節労働(イ タリア、スペイン、NZ、米国)に割当定数が設けられている。国によっては、非高度技能動労に職 種別の割当定数を設けている(韓国、英国、アイルランド)。高度技能労働の永住者に職種別割当 定数を設ける国もある(カナダ、オーストラリア)(OECD2019) 。

≪本日ご議論いただきたい点について≫
◯(参考)→
・コロナの影響に対する政府の支援策 ・福祉分野における対応
◯新型コロナウイルス感染症の影響に対する外国人への支援策→[生活維持に係る支援][事業継続に係る支援][就労に係る支援][在留関係諸申請に係る取扱い]
◯生活困窮者自立支援制度の概要→本 人 の 状 況 に 応 じ た 支 援
◯生活に困窮する外国人への支援 (福祉分野の対応)→生活困窮者自立相談支援機関における多言語対応の強化。緊急小口資金等の特例貸付の実施。

≪参考資料 (前回提出した資料)≫
◯日本で就労する外国人労働者(在留資格別・国籍別)

・ ベトナムは「技能実習」が49.2%、次いで「資格外活動(留学等)」が30.8%。
・インドネシアは「技能実習」が62.3%。ネパールは「資格外活動(留学等)」が75.0%。
・ フィリピンやブラジル、ペルーは「身分に基づく在留資格」が多い。

◯外国人労働者に係る相談支援体制等の強化(令和2年度予算額(補正予算含む)31億円)
→外国人を雇用する事業主に対する雇用維持のための相談支援や、外国人求職者に対する相談支援への対応のため、ハローワークにお ける専門相談員等の配置等を通じ体制を強化するほか、外国人労働者に対し雇用等に係る情報を迅速かつ正確に提供するため、多言語 での情報発信体制を整備⇒第 2 次 補 正 等あり。

◯(参考)情報発信の例@:外国人向けのリーフレット→外国人が情報を知らないことにより不利益を受けることがないよう、外国人労働者に向けたメッ セージや支援策を多言語(16言語)に翻訳したうえで情報発信している。
◯(参考)情報発信の例A:地域コミュニティに向けた広報活動→より多くの外国人の方にハローワークを知っていただけるよう、日系人の集住地域を中心に発行しているポルトガル語のフリーペーパー に、ハローワークの取組を伝える広告を掲載している。
◯ハローワークにおける困窮する外国人に対する緊急対応→ハローワークの通訳員を増員した上で、困 窮する留学生等を支援しているNPO法人等とハローワークとが連携して丁寧な 就職支援を行う。令和2年12 月下旬、東京労働局において、留学生等を対象としたアルバ イト面接会を開催。ハローワークの就職支援の内容等について、周知に前向きな外国 人支援団体(在留ベトナム人の支援団体)や企業(海外送金事業者)に対して協力 依頼を行ったほか、各国大使館に対しても周知を行っている。
◯新型コロナウイルス感染症の影響を受ける留学生への就職支援→ハローワーク新宿 留学生対象アルバイト面接会を開催。⇒今回の面接会で特筆すべき点としては、普段のハローワー ク新宿の利用者はほとんどが中国籍の外国人だが、窓口では ほとんど見られないベトナム出身の留学生も多数参加してい たことだ。
◯ハローワーク新宿 留学生向けアルバイト面接会の概要について→3.成果及び今後の課題⇒中国、ネパールに比べハローワークを利用しないベトナムの求職者について、面接会に参加してもらうことができた。

◯NPO法人等とハローワークとの連携事例A→ハローワーク新宿にベトナム語の通訳員を配置し、通訳員を介した相談を特定の日に試行 的に実施(2週に1回・半日実施)(@)。 ハローワーク新宿より、上記について日本語学校に案内を行う(A)。案内を見た日本語学校の教員が、来日間もない外国人留学生を引率し、ハローワーク新宿 に来所(B)。ハローワーク新宿では、通訳を介して職員、職業相談員が丁寧に聴き取りを行い(C)、 アルバイト求人を紹介、応募(D)。
◯(参考)関連報道
・ハローワーク新宿にベトナム語の通訳員を配置
し、通訳員を介した相談を特定の日に試行 的に実施(2週に1回・半日実施)(@)。 ○ハローワーク新宿より、上記について日本語学校に案内を行う(A)。 〇案内を見た日本語学校の教員が、来日間もない外国人留学生を引率し、ハローワーク新宿 に来所(B)。 ○ハローワーク新宿では、通訳を介して職員、職業相談員が丁寧に聴き取りを行い(C)、 アルバイト求人を紹介、応募(D)。
・海外との往来がコロナ禍で途絶え、訪日外国人客(インバウンド)による消費が激減している。りそ な総合研究所によると、今年2〜12月の消費減は推計で計4兆円超と国内の旅行消費額の1割強に あたる。都道府県別にみると、上位5位までの減少額が全体の6割を占めており、地域的な影響の偏 りは大きい。
・新型コロナウイルスの感染拡大で国内の雇用環境は悪化しているが、追い風が吹く業種もある。その 1つがコンビニエンスストアだ。ここ数年は人手不足などを背景に成長力が鈍化した。ところが今は 販売スタッフの応募が急増。時短営業を決めた店で、24時間営業が復活するケースも出てきている

次回も続き「資料3 坂本 久海子氏提供資料」からです。

「ジョブ・カード作成支援サイト」(仮称)構築のための「WEBサイト基本方針書」を公表 [2021年04月24日(Sat)]
「ジョブ・カード作成支援サイト」(仮称)構築のための「WEBサイト基本方針書」を公表〜ジョブ・カードのデジタル化を進めています〜(令和3年3月30日)4/25
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_17457.html
◯厚生労働省は、ジョブ・カードをオンライン上で登録・更新できる新サービス(「ジョブ・カード作成支援サイト」(仮称))の、令和4年度の開始に向けた準備を行っています。
ジョブ・カードは、学生、求職者、在職者の方に、キャリア・プランニングや職業能力証明の内容を集約して見える化するツールとして、求職活動や職業能力開発などの幅広い場面で活用されています。令和4年度に予定しているジョブ・カードのデジタル化で利便性を高め、労働者等の長期にわたるキャリア形成をより一層サポートできるよう、このサイトを開設する予定。

◯【別紙1】ジョブ・カードのデジタル化の取組み(作成支援サイトの構築)→ジョブ・カードのデジタル化により「@ 利便性向上」「A 利用の継続性の確保」「B 運用側からの接点の増加」 を図る。
1. ジョブ・カードの現状と課題→キャリアコンサルティング時の相談支援ツールとして求職活動、職業能力開発 などの場面で活用。作成者数は着実 に伸長(令和2年10月末時点約263万人)。ジョブ・カードをオンライン上で登録・更新で きる新たな作成支援サイトを構築 (民間クラウドサービス活用)⇒令和3年7月 :設計開発開始、令和4年10月:試行運用開始、令和5年1月 :マイナポータルとの連携開始。

2. デジタル化に向けた取組み→1〜5参照。

◯【別紙2】ジョブ・カード作成支援サイト(仮称) WEBサイト基本方針書
T.本文書の位置づけ
ジョブ・カード制度
→職業能力形成機会の恵まれない者に対し、能力開発の機会を与え、安定的な 雇用への移行を促進することを目的(平成 20 年度に創設)。平成 27 年 10 月 新ジョブ・カード制度下において「生涯を通じたキャリア・プランニングツール」と「円滑な就職等の ための職業能力証明のツール」として普及。 現在、キャリアコンサルティング等の個人への相談支援ツールとして、求職活動 や職業能力開発などの場面で活用されており、ジョブ・カード作成者数については着実に実績を伸ばしているが、新ジョブ・カード制度下に おける活用場面として広がりを見せている学校や企業において、学生や労働者に幅広く普及することが 重点的な取組課題。
また、「マイナンバーの普及とマイナンバーの利活用の促進に関する方針」(令和元年6月4日デジタル・ガバメント閣僚会議決定)において、長期にわたるキャリア形成に 資するための方策の一つとして、ジョブ・カードのデジタル化及びマイナポータルを通じたマイナンバ ーカードとの連携が掲げられている、将来的なマイナンバーカードとの連携を視野に入れ たジョブ・カードのデジタル化を進める必要がある。
本文書は、上述の課題を達成するために実施する、ジョブ・カード作成支援サイトの構築に向けた、調査研究から設計開発、周知・広報、コンテンツの整備、運用保守 等を含めた「デジタル化のために必要な取組」(「本事業」)の内容を「WEBサイト基本 方針書」として取りまとめたもの。本文書では、令和4年度に稼働を予定している本サイト 構築に向けた本事業の取組やそれ以降の将来的な方針を整理し、今後の取組内容の検討や関係者間の認 識を揃えるための指針となることを想定している。 なお、本事業は経済及び雇用情勢や本サイトでの各種モニタリング結果を受け、必要に応じて見直しを図っていくことから、本文書においても適時での見直しを図り改版を加えることを想定している。

U概要→【別紙1】ジョブ・カードのデジタル化の取組み と同じ。参照のこと。

◯システム概要図
◯本事業のロードマップ
◯本事業のスケジュール→令和4年10月に試⾏運用開始、令和5年1月にマイナポータルとの連携開始を予定

V. 本文
1. 事業概要
→1.1. 背景、 1.2. 本事業の目的、 1.3. 本事業の実施概要、 1.4. 本事業のスケジュール、1.5. ロードマップ、1.6. 目標(@ これまでのジョブ・カードの目標、A 目標の設定方針、B 本事業の目標、C 将来的な目標設定)、1.7. 想定される支援対象層( @ 政策的ターゲットの考え方A 政策的ターゲットの設定)

2. デジタル化に向けた取組→2.1本章の全体像 (@「デジタル化に向けた取組」サマリ、A ジョブ・カード作成支援サイト(仮称)のシステム概要図、B本サイトの利用ケースの整理)、 2.2利用者向け機能・サービス(@ 本節の全体像 A現状の問題点の整理 B利用者向け機能・サービス等の概要 C各機能・サービス等の詳細 Dフェーズ 1 で実装予定の機能・サービスについて)、 2.3連携先システム(@ 稼働当初における連携先システムについて、A 将来的な連携における方針について)、 2.4利用者普及に向けた周知・広報(@周知・広報の方針 A周知・広報計画の概要 B重点的な周知・広報 Cその他周知・広報案)
 
3. 今後の課題等→「表 3-1 今後の課題」参照。
最後に
、キャリア形成支援施策の観点から見た場合、キャリアコンサルタントの国家資格化(2016 年〜)、セルフ・キャリアドックの普及推進、キャリア形成サポートセンターの事業展開(2020 年〜) など、キャリアコンサルティング関連施策が積極的に推進される中で、ジョブ・カードの更なる活用 の素地は整備・拡大されている。また、キャリアコンサルティング過程でジョブ・カードを活用することによるキャリア相談の支援効果アップは、各方面から報告されるところであり、更なる活用促進 が強く望まれる。
このたびの本サイトの構築を柱とするジョブ・カードのデジタル化及びマイナポータル連携に向け た取組は、アクセスのしやすさといった利便性向上や、作成のハードルを下げ利用継続性を高めると いった工夫に加え、他の外部サイトとの連携や、行政からのプッシュ 型のメッセージなど、これまで にない支援サービスを盛り込む構想にある。
本事業を通じて、ジョブ・カードの持つ政策的意義やその果たす機能は、再評価され得るものとな り、実際に支援内容の一層の充実と活用促進につながるものと考える。

次回は新たに「外国人雇用対策の在り方に関する検討会(第2回)会議資料」からです。

第11次職業能力開発基本計画を策定しました [2021年04月24日(Sat)]
第11次職業能力開発基本計画を策定しました(令和3年3月29日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_17632.html
◯厚生労働省は、去る3月29日、令和3年度から令和7年度までの5年間にわたる職業能力開発施策の基本方針を示した「第11次職業能力開発基本計画」を策定。企業における人材育成を支援するとともに、労働者の主体的なキャリア形成を支援する人材育成戦略としてこの基本計画を位置付け、職業能力開発施策の方向性を定めた。

◯【第11次職業能力開発基本計画のポイント】↓
1. 産業構造・社会環境の変化を踏まえた職業能力開発の推進
Society5.0の実現に向けた経済・社会の構造改革の進展を踏まえ、IT人材など時代のニーズに即した人材育成を強化するとともに、職業能力開発分野での新たな技術の活用や、企業の人材育成の強化を図る。
2. 労働者の自律的・主体的なキャリア形成の推進
労働市場の不確実性の高まりや職業人生の長期化などを踏まえ、労働者が時代のニーズに即したスキルアップができるよう、キャリアプランの明確化を支援するとともに、幅広い観点から学びの環境整備を推進する。
3.労働市場インフラの強化
中長期的な日本型雇用慣行の変化の可能性や労働者の主体的なキャリア選択の拡大を視野に、雇用のセーフティネットとしての公的職業訓練や職業能力の評価ツールなどの整備を進める。
4. 全員参加型社会の実現に向けた職業能力開発の推進
希望や能力等に応じた働き方が選択でき、誰もが活躍できる全員参加型社会の実現のため、すべての者が少しずつでもスキルアップできるよう、個々の特性やニーズに応じた支援策を講じる。
このほか、技能継承の促進、国際連携・協力の推進(技能評価システムの移転、技能実習制度の適正な実施)に関する施策を実施する。
また、新型コロナウイルス感染症の影響などで新たな施策が必要な場合には、本計画の趣旨などを踏まえて機動的に対応する。

◯(別添1)第11次職業能力開発基本計画(令和3年度〜令和7年度)(概要)↓
(上記の今後の方向性(1〜4)に対して、基本的施策の一覧表がまとめられています。)

・新型コロナウイルス感染症の影響によるデジタル技術の社会実装の進展や労働市場の不確実性の高まり、人生100年時代の到来による労働者の職業 人生の長期化など、労働者を取り巻く環境が大きく変化していくことが予想される中で、企業における人材育成を支援するとともに、労働者の主体的な キャリア形成を支援する人材育成戦略として、職業能力開発施策の基本的方向を定める。

◯(別添2) 職業能力開発基本計画 (目次のみ) ↓
第1部 総説
1 計画のねらい
2 計画の期間
第2部 職業能力開発をめぐる経済・社会環境の変化と課題
1 近年の労働市場の変化と課題
2 労働需要側の構造的な変化と課題
3 労働供給側の構造的な変化と課題
第3部 職業能力開発の方向性と基本的施策
1 産業構造・社会環境の変化を踏まえた職業能力開発の推進
(1) IT人材の育成強化
(2) ITや新たな技術を活用した職業訓練等の推進
(3) 企業・業界における人材育成の強化
2 労働者の自律的・主体的なキャリア形成支援
(1) キャリアコンサルティングの推進
(2) 自律的・主体的な学びの支援
3 労働市場インフラの強化
(1) 中長期の人材ニーズを踏まえた人材育成戦略
(2) 産業界や地域のニーズを踏まえた公的職業訓練等の実施
(3) 技能検定・職業能力評価や日本版O-NETの推進
(4) ジョブ・カードの活用促進
(5) 職業能力開発施策に関する情報発信の強化
4 全員参加型社会の実現に向けた職業能力開発の推進
(1) 非正規雇用労働者の職業能力開発
(2) 女性の職業能力開発
(3) 若者の職業能力開発
(4) 中高年齢者の職業能力開発
(5) 障害者の職業能力開発
(6) 就職やキャリアアップに特別な支援を要する方への支援
5 技能継承の促進
6 職業能力開発分野の国際連携・協力の推進

次回は、「「ジョブ・カード作成支援サイト」(仮称)構築のための「WEBサイト基本方針書」を公表」からです。

青少年雇用対策基本方針を策定しました [2021年04月23日(Fri)]
青少年雇用対策基本方針を策定しました(令和3年3月29日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000184815_00012.html
◯厚生労働省は、去る3月29日、今後5年間にわたる青少年の適職の選択ならびに職業能力の開発や向上に関する施策の基本となる方針を示した「青少年雇用対策基本方針※」を策定しました。

【青少年雇用対策基本方針のポイント】↓
今後の若年者雇用施策の柱の一つとして以下の点を位置づける。↓
・様々な事由により早期に離転職する場合でも長期的・安定的に職業人生を歩める
 ことが重要であることから、入職後早期に離転職する青少年に対するキャリア自
 律に向けた支援

・青少年の主体的なキャリア形成を促進する必要があるため、キャリア形成サポー
トセンターやオンラインの活用によるキャリアコンサルティングをより身近に受けられる環境整備  など 

また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響も含め、経済社会情勢の変化などに伴い、新たな施策が必要な場合には、本基本方針の趣旨などを踏まえて機動的に対応する。


◯青少年雇用対策基本方針→目次のみ
はじめに
第1 青少年の職業生活の動向

1 青少年を取り巻く環境の変化
2 青少年等の現状→ ⑴ 若年労働力人口の動向  ⑵ 青少年をめぐる雇用情勢  ⑶ 就業構造の変化及び就業形態の多様化並びに自立に困難を抱える青少年の増大  ⑷ 働くことに関する青少年の意識
第2 青少年について適職の選択を可能とする環境の整備並びに職業能力の開発及び向上 を図るために講じようとする施策の基本となるべき事項等
1 青少年雇用対策の方向性
2 学校卒業見込者等の就職活動、マッチング、職場定着等に向けた支援
⑴ 在学段階からの職業意識等の醸成→@ キャリア教育の推進を通じた職業意識の形成支援 A 関係者の連携によるキャリア教育推進の基盤整備 B 労働関係法令に関する知識等の周知啓発
⑵ マッチングの向上等による学校卒業見込者等の職業生活への円滑な移行、適職の 選択、職場定着等のための支援→@ 学校等から職業生活への円滑な移行のための支援 A 既卒者の応募機会の拡大に向けた取組の促進 B マッチングの向上に資するための労働条件等の明示の徹底及び積極的な情報 提供の促進 C 労働関係法令違反が疑われる企業への対応 D 就職後の職場適応・職場定着のための支援 E 入職後早期に離転職する青少年に対するキャリア自律に向けた支援
3 中途退学者・就職先が決まらないまま卒業した者に対する支援
4 フリーターを含む非正規雇用で働く青少年の正規雇用化に向けた支援
5 企業における青少年の活躍促進に向けた取組に対する支援 ⑴ 青少年の雇用管理の改善に向けた支援 ⑵ 青少年の採用及び育成に積極的な中小企業の情報発信のための支援 ⑶ 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の改善、多様なニーズに対応 した働き方の実現
6 職業能力の開発及び向上の促進→ ⑴ 職業訓練の推進 ⑵ 職業能力検定の活用の促進 ⑶ 職業人生を通じたキャリア形成支援
7 ニート等の青少年に対する職業生活における自立促進のための支援
8 地域における青少年の活躍促進
9 青少年福祉施策の実施


◯はじめに→ 青少年雇用対策基本方針では、青少年の職業生活に関する動向を明らかにするとともに、経済・社会の変化、少子高齢化の進行や青少年に 求められる社会の期待等を踏まえ、青少年が、仕事・人・社会への積極的な関わりを通じて自信と意欲を備え、適職の選択並びに職業能力の開発及び向上を通じて継続的なキャリア形成を図り、社会の構成員として自立して健全に成長することを促すため 、また、これを支える関係機関の連携による社会的ネットワークの整備を図るため、 施策の基本となるべき事項を示すこととする。
本方針において「青少年」とは、35 歳未満の者をいう。ただし、個々の施策・事業 の運用状況等に応じて、おおむね「45 歳未満」の者についても、その対象とすること は妨げないものとする。 また、青少年の雇用の促進等に関する法律(昭和 45 年法律第 98 号。以下「法」と いう。)第2条及び第 3条に規定するとおり 、青少年雇用対策は、 青少年が、その意欲や能力に応じて、有 為な職業人として成育するよう、就職支援、 職業生活における 自立促進等の必要な支 援を行うこととしている。なお、法第3条の 「青少年である労働者」は、現に働いている者に限らず、求職者やいわゆるニート等 の青少年も含まれるものである。 本方針の運営期間は、令和3年度から令和7年度までの5か年とする。 なお、令和2年からの新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を含め、経済社 会情勢の変化等に伴い 、本方針の運営期間中 に新たな施策が必要と なる場合は、本方 針の趣旨等を踏まえて機動的に対応するものとする。

◯以下、目次の7〜9の抜粋↓
7 ニート等の青少年に対する職業生活における自立促進のための支援 ↓

将来の労働力を確保する等の観点から、就業、通学及び職業訓練の受講のいずれ もしていない青少年であって、職業生活を円滑に営む上での困難を抱えるニート等 と呼ばれる青少年に対し、その特性に応じた適職の選択等の職業生活に関する相談 の機会の提供、職業生活における自立を支援するための施設の整備等の必要な質の 高い支援を継続的に提供する。 具体的には、ニート等の青少年の支援の拠点である地域若者サポートステーショ ンにおいて、公共職業安定所、地方公共団体等の関係機関との連携を通じた情報提 供等や職場体験の充実を図ることにより就職に向けた支援を行うとともに、就職し た者に対する職場定着支援等を実施する。 また、各地域若者サポートステーションが有するノウハウや経験の普及、研修体 制の整備、好事例の周知、支援を行う専門人材の育成等に努める。

8 地域における青少年の活躍促進
青少年が希望する地域において就職するよう、国、地方公共団体、事業主、大学等が連携し、地域の募集・求人情報の収集、提供等の必要な取組を進めることにより、いわゆる UIJ ターン就職を積極的に支援していく。なお、支援の際には、地域における良質な雇用機会の確保ほか、青少年自身による起業等も含めた多様な選択肢があり得ることに留意することが必要である。

9 青少年福祉施策の実施
青少年が自律的に職業生活設計を行い、仕事に対する意識改革に取り組み、充実した職業生活を送ることができるよう地域の関係者の意識啓発等を行っていくこと は、引き続き重要である。 こうしたことから、地方公共団体、勤労青少年福祉に係る支援機関等が中心となって、地域の実情を踏まえた青少年の福祉の増進に係る事業を実施していくことが 期待される。

次回は新たに報道関係者資料「第11次職業能力開発基本計画を策定しました」からです。

子どもの権利擁護に関するワーキングチーム(第9回)資料 [2021年04月22日(Thu)]
子どもの権利擁護に関するワーキングチーム(第9回)資料(令和3年3月29日)4/22
≪議事≫ とりまとめ(案)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_17720.html
◎資料2 とりまとめ案の子どもの意見聴取について
◯構成員と事務局が子どもの意見を聞く。↓

・5/21(金)第 11 回WT:意見聴取結果資料を基にとりまとめ案修正 ⇒セット


◎構成員提出資料  川瀬構成員、永野構成員、中村構成員提出資料
◯子ども中心で実効性のある権利擁護システムに向けて
―子どもの権利をまもるシステムのためのアンケート結果から↓
1.子ども時代に相談できたか?
・ 権利擁護機関に「相談」するまでに存在するハードル(言葉にできない、相談して良いと思えない、大人を信用できない、相談できる場所がない、相談後が心配 など)が解消されなければ、相談することは難しい。
・ 相談できる場所があること、相談後どのようになるのか等の見通しの説明・情報 提供が必要ではないか。
・ 子どもの安全性と秘密を守れる、子どもの意見や相談に専門性のある相談機関が求められる。

2.子ども期に行われた措置・行われるべきだった措置について
・ 措置解除後(18 歳以降)においても、自分の人生においてなされた決定(子ども期の保護・措置の経緯など)や記録(養育にまつわる記録など)について、知る権利がある
・ 満 25 歳になるまでの間:児童相談所運営指針に従って記録の保持・開示請求への対応、説明責任を果たすべき。それが難しい場合には、権利擁護機 関が対応してはどうか
・ 満 25 歳以上:記録保持・説明責任をどのように果たすかは、今後の検討が必須である
・ 措置解除前に、自身にかかわる決定や記録を知ることができる旨の情報 提供が必要

3.権利擁護システムに望むこと↓
・相談の手段として、子ども・若者の利用しやすさに応じた方法やアクセシビリ ティを考慮する必要がある
・ 子ども自身が子どもの権利を知る機会(子どもの権利条約 42 条)の保障が必要
・ 権利擁護のためには、子どもの置かれている状況の理解や心情の受容から権利 救済をはじめとする問題解決に至る聴聞まで、幅広い相談がある。子どもが相 談相手を選べる体制構築が大切である
・ 子どもの声を聴くことのできる専門性を持った人材の養成が求められる
・ 子どもを中心にした制度設計やシステムのあり方を基盤とするべきである


◎参考資料1 構成員名簿
◯子どもの権利擁護に関するワーキングチーム 構成員名簿→14名

次回は、報道資料「青少年雇用対策基本方針を策定しました」からです。

子どもの権利擁護に関するワーキングチーム(第9回)資料 [2021年04月21日(Wed)]
子どもの権利擁護に関するワーキングチーム(第9回)資料(令和3年3月29日)
≪議事≫ とりまとめ(案)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_17720.html
◎資料1 とりまとめ(素案)
◯子どもの権利擁護に関するワーキングチーム とりまとめ(素案)↓
3.権利擁護の枠組み・機関

 2.で述べた子どもの意見表明の機会の確保及び意見表明支援の仕組み が整備され、それらが機能してもなお、様々な場面で子どもの権利侵害が生じるおそれは否定できない。例えば、施設内での虐待は被措置児童等虐待として法律で禁止されているところ、令和元年度には都道府県において 290 件の 届出・通告が受理されており、同年度に虐待と認められたケースは 94 件ある。 一時保護所でも、過度の私語禁止や私物所持の禁止などに見られる管 理的な運営に関して、子どもの権利の観点から様々な問題が指摘されている。
施設や一時保護所における権利擁護→まずもって内部に苦情処 理の仕組みを整備する等により適切に対応するべきであるが、同時に、自分から声をあげられない子どもの権利が保障されているのかどうかは外部の目で見ていく必要もあり、第三者が関与する枠組みを整備していくべきである。 まず、児童相談所、里親、施設などが関わる個別具体のケースについて生じた権利侵害→子ども本人や子どもと関わる関係機関から申立てができ、中立的な立場の者によって調査・審議され、結果に応じて行政機関や施 設に対して意見具申や勧告をする等の機能を備えた権利擁護機関を整備する 必要がある。 また、個別具体的な権利侵害は、児童相談所や施設の運営方針に起因して いることも多いため、子どもの権利擁護に関する質の向上を図ることのできる 適切な第三者評価を通じて、個別事案への対応方法のみならず運営のあり方 そのものを見直していく仕組みも必要である。 さらには、自治体レベルや国レベルで子どもの権利擁護の状況を俯瞰して、 自治体や国に対して政策を提言したり、市民に対して子どもの権利に関する教育・啓発活動を行ったりする機能を備えたコミッショナー(・オンブズパーソン)についても検討する必要がある。

(1)個別の権利救済の枠組み↓
 平成 28 年報告書
→本来は 独立した第三者機関を設置するべきであるが、かかる機関の設置には時間を 要すると思われるため、当座、現存する児童福祉審議会を活用すると整理されている。いずれの方法を採るにせよ、社会的養護施策を立案・実施する主体である都道府県等において取り組んでいく必要がある。このため、児童福祉法上、都道府県等は、子どもの権利擁護の環境整備に努めなければならない旨 を規定するべき。 また、前述の「子どもの権利擁護に係る実証モデル事業」では、児童福祉審 議会等の機関を用いて権利擁護の枠組みを構築するために必要な経費に対して一定の予算措置がされており、実証モデル事業の更なる展開 やその拡充により、自治体の主体的な取組を後押ししていくべき。
 @児童福祉審議会→ 平成 28 年改正法では児童福祉審議会が子ども本人を含む関係者から意見 を聴くことができる旨の規定が整備され、具体的な活用方法が調査研究事業 や実証モデル事業で検討されてきた。 令和元年度に実施した調査研究事業によれば、調査に回答した 54自治体の うち 5 自治体(9.3%)に児童福祉審議会を活用した子どもの権利擁護の仕組みがあり、また、令和元年度末までにとりまとめた各自治体の社会的養育推進計 画によれば、全 70 自治体のうち 27 自治体(38.6%)が児童福祉審議会を活用した子どもの権利擁護の仕組みを検討していく考えを示している。 児童福祉審議会→全ての都道府県等に既に設置されているため 体制整備に着手しやすく、早期に仕組みを構築できるというメリットがある一方 で、対象が児童福祉法の範疇に限られ、学校で生じる問題など子どもの権利 全般を取り扱うことは困難になるというデメリットがある。 自治体においてはこうしたメリット・デメリットを踏まえて権利擁護の仕組みを 検討することが求められるが、子どもの権利擁護は喫緊の課題であることに鑑み、原則として全ての自治体において児童福祉審議会を活用した権利擁護の 仕組みが整備されるよう、取組を促進していくべきである。
【機能・対象児童】 児童福祉審議会は児童福祉法第8条第2項に基づいて児童、妊産婦及び 知的障害者の福祉に関する事項を調査審議することができ、同条第4項に基づいて関係行政機関に意見を具申することができることから、これらの権限を 行使して子どもの権利擁護を図ることになる。
児童福祉審議会が取り扱う事案→以下の3つのパター ンが想定される。
a.措置等の決定に先立つ子どもの意見聴取及びその尊重→
都道府県等による措置や一時保護の決定に先立ち、子どもが児童福祉審議 会に意見を申し立てる事が考えられる。この場合、児童福祉審議会が子ども からの意見聴取や必要な調査等を行ったうえで、必要な場合には都道府県等 に措置や一時保護の内容等に関する意見を具申することになる。 なお、現行制度では児童福祉法第27条第1項第1号(訓戒・誓約)、第2号 (在宅指導)、第3号(里親委託・施設入所)の措置を採る場合、又は同項第2 号、第3号の措置を解除、停止若しくは他の措置に変更する場合であって子どもの意向と当該措置が一致しないときは、都道府県知事等は児童福祉審議会 の意見を聴かなければならないこととされている。また、2(1)@で述べたよう に、今後は措置や一時保護を決定するに先立ち、子どもの意見聴取を義務付 けるべき。 今般検討する仕組みは子どもの側から意見を申し立て、児童福祉審議会から 措置権者に対して必要な働きかけを行うものと位置付けられる。
b.措置等の決定事項に対する意見表明→都道府県等による措置や一時保護の決定そのものに対して、不満等を抱え る子どもが事後的に児童福祉審議会に意見を申し立てることが考えられる。 こうした決定そのものを取り消す機能は行政不服審査法に基づく審査請求 に委ねられているため、それとは異なり、処分の決定後にも児童福祉審議会 が子どもの意見を受け止め、必要な場合には都道府県等に対して決定の再考 を促す機能として意見具申を位置付けることが考えられる。 なお、そもそも措置や一時保護の決定は、子どもの意見を適切に考慮して行 われるべきものであり、あくまで事前の意見聴取を重視すべきであることには 留意が必要である。 また、子どもが措置や一時保護を求めているにもかかわらず、児童相談所が そうした対応を行わない場合も想定される。このような場合にも、子どもが児童 福祉審議会に意見を申し立て、必要に応じて適切な措置や一時保護を行うよう都道府県等に対して意見具申を行うといった機能も考えられる。
c.里親家庭、施設、一時保護所等での生活に関する不満等がある場合→措置先や一時保護所などの生活の場において、里親や職員の対応に子どもが不満等を感じた場合、児童福祉審議会に意見を申し立てることが考えられる。この場合、児童福祉審議会は必要な場合には都道府県等に対して対応の 改善を求める意見を具申し、都道府県等は当該意見を里親、施設、一時保護 所等に伝え、意見を踏まえた対応を求めることが考えられる。 なお、現行制度では被措置児童等虐待に関して児童福祉審議会が調査審議 する枠組みがある。また、施設や一時保護所においては苦情受付窓口や第三 者委員の設置等の措置が講じられており、施設や一時保護所の内部で簡易・ 迅速に子どもの意見を聴いて対応することもある。こうした仕組みとの関係を 整理することが必要であるが、例えば、被措置児童等虐待については従前の 仕組みを活用し、施設内で迅速に解決されるべき意見(例:食事のメニューに 関する苦情)は苦情解決委員会等による現場での解決に委ね、これらに当た らない事案(例:児童間のいじめ)は権利擁護の枠組みで対処する、などの役割分担が考えられる。  
上記 a〜c の対応を前提とすれば、権利擁護の対象となるのは、措置や一時 保護を現に受けている子どもはもとより、在宅指導措置を受けている家庭にいる子ども、措置や一時保護の必要性を検討されている子どもも含めることが適当であり、児童福祉法上の要保護児童・要支援児童と設定することが考えられる。また、措置延長を受けて引き続き児童養護施設等で生活している 20 歳未 満の者や、社会的養護自立支援事業の適用を受けて引き続き児童養護施設 等で生活している 22 歳未満の者については、生活環境の継続性に鑑み、18 歳未満の児童と同様に対象として位置付けることが適当。 なお、18 歳を超えたケアリーバーがインケアの時に受けた過去の対応についても権利擁護機関の扱う対象にすべきとの意見もあった。他方、例えば謝罪や 慰謝料による解決を図るのであれば民事訴訟に委ねるほうが馴染むとの意見があった。少なくとも、児童相談所としてはケアリーバーが過去の経緯等を知り たいと思ったときに適切に対応できるよう、児童相談所運営指針に定められて いる児童記録票の保存期間(施設入所等の措置をとった児童は満 25 歳になる まで、将来的に児童記録票の活用が予想される場合は長期保存)を遵守して いくべきであるとの意見もあった。
また、上記 a〜c のいずれの場合も、→子ども本人が、必要に応じて意見表明支援員のサポートを得ながら、自ら 児童福祉審議会に申し立てることに加えて、 子どもに関わる関係機関(例えば、要対協の構成機関、医療機関、教育委 員会、児童福祉施設等)が児童福祉審議会に申し立てる といった申立て経路も考えられる。 さらに、意見具申後の子どもへのフィードバックも重要であり、意見具申の内 容は子ども本人にも伝えるとともに、一定の期間を設けて児童相談所や施設 等から対応結果の報告を求め、その結果を子どもに伝えるといったフォローアップも行うべきである。 調査・審議の結果によっては、児童福祉審議会としての判断やその後の児童 相談所等の対応結果について、子どもがなお不満を感じることもある。そのような場合であっても、意見表明支援員や後述の調査員など子どもと直接関わる役割を担う者を通じて理由等をしっかりと説明し、子どもの納得が得られるよう努めるべき。
【児童福祉審議会の体制等】
a.独立性 権利擁護機関は
、都道府県等に対して意見を具申し、児童相談所や施設な どに対応の改善を求める機能を有することから、それらの主体との間に利害関 係が無いことが大前提となる。 児童福祉審議会で子どもの権利擁護に関する事案を一定の独立性をもって 扱うためには、審議会の下に権利擁護部会(仮称)を設けて対応することが考えられる。既存の児童福祉審議会には、都道府県等から措置に関して意見を 求められた場合に審議する権限が付与されており、そのための部会が設置されている自治体も多い。このため、子どもの意見を受けて権利擁護を図る仕組 みが形骸化しないよう、権利擁護部会(仮称)はそのような既存の部会からは 独立させ、委員も異なる人選をすることが適当。 そもそも児童福祉審議会の委員は児童福祉法上「児童福祉審議会の権限 に属する事項に関し公正な判断をすることができる者」と定められている。権利 擁護部会(仮称)の委員に関しては、児童相談所の措置や支援、施設や一時 保護所での支援等について審議することから、例えば、児童相談所や施設関係者、児童相談所・一時保護所に配置されている弁護士等は委員としては望 ましくないことに留意が必要である。 なお、児童福祉審議会の部会の設置の仕方は自治体ごとに様々であり、全国統一的なあり方を決めることはできないが、仮に既存の部会を活用する場 合でも、審議事項に応じて、例えば措置等を検討する場合に部会の委員の中 に児童相談所関係者が含まれている、里親に関する事項を審議する場合に里 親関係者が含まれているといった場合は、当該委員は審議から外れる、又は 他の委員を立てることにより独立性を確保する必要がある。 いずれにしても、各自治体の既存の部会の設置状況に応じて役割分担を整理することが必要であり、国としては標準的な設置運営要綱を示すなど、自治 体の参考となる資料を作成するべきである。 この他、設置運営要綱において、特段の事情が無い限り委員を解任しない との定めを置くことや、都道府県等が意見具申を尊重するとの定めを置くこと などにより、独立性を高めることも考えられる。
b.迅速性 子どもの権利擁護事案は不定期に発生し、かつ、迅速な対応が重要である ことから、臨機応変かつ速やかに調査審議が行われることが必要である。この ため、会議の日程調整がしやすいように一定の少人数で委員を構成すること、 場合によってはオンラインや持ち回りなどの形式で会議を開催することなど、 迅速な対応を確保するための運用上の工夫が必要である。現在の児童福祉 審議会の運用を見ると、年に2〜3回程度しか開催されない自治体も見られる ことから、少なくとも予め開催スケジュールを固定するのではなく、必要な時に 速やかに開催できるように要綱等を整備しておく必要がある。 また、迅速な事務処理を行うために、事務局の体制も一定の規模が必要。特に、現地調査や関係者からの聞き取りには一定の労力を要することから、適時・迅速に対応できるよう、調査のための要員を確保しておくことが重要。この場合、調査の要員についても一定の独立性が担保されていること が望ましく、例えば、調査対象となる児童相談所や施設の関係者は調査の要 員として望ましくないことに留意が必要。さらに、独立性を高めるために は、権利擁護調査員(仮称)を配置することとし、弁護士等を部会の事務局に 雇用する、若しくは外部の団体(例えば地域の弁護士会等)に委託するなどの 手法も有効であると考えられる。 なお、自治体によっては児童福祉審議会の事務局を児童相談所職員が担当 しているケースもあるが、権利擁護部会については児童相談所からの独立性 が重要であり、担当は避けることが適当である。
c.アクセシビリティ→子どもからの意見表明を担保するためには、子どもからアクセスできるルートが整備されていることが前提。 まず、子どもが単独で意見を表明することには心理的なハードルもあること から、意見表明支援員が一時保護所や児童養護施設などを定期的に訪問するなどのアウトリーチの手法により、子どもに対して意見を表明してもよいこと を伝え、権利擁護機関の仕組みについてわかりやすく説明することが重要。これに加え、電話、はがきのほか、施設職員を通じた意見表明支援員の呼 び寄せなどの多様なアクセス方法を整備しておく必要がある。 いずれにしても、子どもが仕組みや利用方法・窓口等を理解できるように、 わかりやすい説明資料を作成するなどの工夫が必要となる。
d.専門性→ 権利擁護機関は里親委託、施設入所、一時保護等に関する子どもの不服 や生活上の悩みなど幅広い事案を扱うことから、委員は子どもの権利擁護や 児童福祉法の制度に精通している者が担うことが必要である。 児童相談所や一時保護所、児童福祉施設とは異なる立場で議論が可能と なり、かつ、専門性を有する者としては、学識経験者のほか、法的な権利擁護の観点から弁護士、心理的観点から医師・心理職、福祉制度の観点から福祉職といった者が考えられる。 また、権利擁護に係る専門性を担保する→これらの者が委員に就くうえで、子どもの権利に関する一定の研修を受けるなどの対応も考えられる。
【その他】→ このほか、児童福祉審議会を活用するうえでは、設置運営要綱に盛り込む 事項の整理、子どものプライバシーへの配慮等、実務面での様々な検討事項 があることから、これまでに実施してきた調査研究や実証モデル事業の成果も 踏まえて、実務上の留意点等を整理して通知等で示していくことが必要である。 A児童福祉審議会以外の権利擁護機関 既に一部の自治体では、条例に基づいて児童福祉審議会とは別の子どもの 権利擁護機関を設置し、権利救済の申立てを受けて調査・審議・勧告を行った り、子どもからの相談を受理したりといった取組が行われている。 こうした独自の権利擁護機関のあり方は自治体によって様々であるが、おお むね、条例で所掌事務が定められ、首長が弁護士や福祉専門職などの有識者から委員を任命し、委員のもとに調査や相談を担う専門員及び事務局機能を有するといった特徴をもっている。 このような独自の権利擁護機関を設置する場合には、@で述べた児童福祉 審議会の機能を代替することができると考えられるため、自治体の選択に応じて整備を進められるよう後押しするべきであり、上述の実証モデル事業を拡充 して活用するなど、国としても支援していくべきである。 なお、このような条例に根拠を有する権利擁護機関は、取り扱う対象を必ず しも児童福祉法の範疇に限定する必要がないこと、先行事例を見ても広く子ど もの権利全般(例:学校で生じる問題、有害図書の問題など)を取り扱っている ことなどから、児童福祉審議会を活用する場合と比べて幅広い事案を扱うこと ができるというメリットがある。その反面、既存の人権擁護に関係する制度・機 関との関係の整理が必要となることから、児童福祉審議会を活用する場合と 比べて立ち上げに要する調整コストが大きいというデメリットがある。 自治体においては、こうしたメリット・デメリットを踏まえて検討する必要があ るが、いずれにしても、国としては先行事例である自治体オンブズパーソン等 のあり方を整理してモデルとして提示するなど、独自の権利擁護機関の設置を 目指す自治体の参考となるような対応を講じていくべき。 【機能・対象児童・体制等】→ 条例により権利擁護機関に付与される権限は、調査・勧告・意見表明・公表 といったものが考えられ、これらの権限を行使して都道府県等に対して対応の 改善などを求めていくことになる。 権利擁護機関が取り扱う事案は、@で述べたa〜cと同様に考えることができるが、それに加えて、社会的養護のもとにいる子どもや児童相談所の対応ケ ースとなっている子どもに限らず、幅広く子どもの権利に関わる事案を取り扱う ことが可能であると考えられる。 その他、独立性、迅速性、アクセシビリティ、専門性といった点は、@で述べ た児童福祉審議会に係る留意点と同様の考え方が妥当するため、設置運営 要綱や運用上の工夫によってこれらの要素を担保できるようにするべき。

(2)監視、評価、啓発、政策提言の機能 ↓
@第三者評価
→子どもの権利侵害が生じる原因は、単に個別の支援者の資質の問題にとど まらず、一時保護所の管理的な運営の慣行に見られるように、行政や施設の 構造的な問題であることが多い。
こうした状況に対しては、個別の権利救済を図るのみならず、外部の専門家 が一時保護所や施設の運営全般を点検・評価し、その結果を踏まえて改善を 図るサイクルを定着させる必要がある。 児童養護施設等の社会的養護関係施設には第三者評価の受審が義務づけ られている一方で、児童相談所は努力義務とされており、令和 2 年度時点で 第三者評価を受審した児童相談所は全国で9箇所(4%)、一時保護所は全国 で 34 箇所(24%)と、定着しているとは言えない状況にある。一時保護所→構造的に外部の目が届きにくい施設であることから、子どもの権利擁護 を中心とした運営のあり方に変えていくためにも、第三者評価を現在の努力義 務ではなく義務化することを検討するべき。 また、児童相談所・一時保護所の第三者評価の実効性を担保するために は、適切な評価者が実施することが必要となる。現状では、児童福祉審議会、 民間企業、社会福祉協議会、大学の研究者などの様々な主体が評価者として 活動しているが、地域によっては評価者の確保さえ困難な状況にあることが指摘されている。したがって、当面は、各自治体において専門的な視点からの評 価を行える体制(学識経験者・弁護士・医師・他の圏域の児童相談所での業務 経験者など)の整備を進めるとともに、評価指標について全国標準的なものを 定着させていくなどにより、評価の質の均てん化を図っていくべき。加えて、将来的には、国レベルの評価機構についても検討していくべきである。 さらに、社会的養護の質を評価する上では、当事者である子どもや経験者の 声を取り入れることが不可欠。この場合、現在進行形で施設等に暮らす インケアの子どもの視点と、ある程度客観的に過去を振り返って評価ができる ケアリーバーの視点は自ずと異なることから、それぞれの視点を取り入れて多 角的な評価がされることが望ましい。方法としては、既に子どもや退所者への アンケート調査を行っている自治体や施設もあるが、こうした手法に加え、聴き取り等の方法により、調査票への記入等が苦手な子どもの声も反映できるよう にすることが望ましい。
Aコミッショナー(・オンブズパーソン)→権利擁護機関の機能としては、個別事案の救済にとどまらず、 「自治体や国における権利擁護の状況の監視」「制度・政策の提言」「市民に対する権利擁護の教育・啓発 など」、自治体や国のシステム全体へ働きかける機能が考えられる。
【自治体レベル】↓
Aで述べた自治体における独自の権利擁護機関の中には、個別事案へ の対処の蓄積を活かして、首長に対して年次報告等の形で政策提言を行ったり、学校に出向いて子どもの権利に関する周知・啓発活動を行ったりしている 例がある。国としてはこのような権利擁護機関の事例を周知するなど、自治体 における取組が促進されるような対応をとるべき。また、児童福祉審議会には、児童福祉法第8条により、「児童、妊産婦及び 知的障害者の福祉に関する事項を調査審議する」権限(第2項)、都道府県知 事又は市町村長の「諮問に答え、又は関係行政機関に意見を具申する」権限 (第4項)が付与されている。これらの権限の行使の仕方によって、自治体に対 する監視や政策提言の機能を果たすことが可能であると考えられる。国→児童福祉審議会がコミッショナーに類する機能を果たす場合の具体的な運 用方法を通知等で示すなど、独自の権利擁護機関を直ちに創設することが難 しい自治体においては既存の制度を活用した取組が進むよう支援していくべき。
【国レベル】 →上記の監視・提言・教育啓発機能を整備する重要性は国においても同様である。他方で、例えば法務省の人権擁護機関では令和元年で 15,420 件の人 権侵犯事件に対応しており、その内訳として「学校におけるいじめ」(19.1%)や 「暴行・虐待」(14.9%)も相当程度の割合を占めていることに加え、電話による 人権相談や市民に対する人権啓発活動も行っている。こうしたことを考慮すれば、仮に国レベルでコミッショナー(・オンブズパーソン)の機関を創設するとしても、これら既存の枠組みとの間の役割分担の整理等が必要になり、省庁横断的な検討を重ねる必要が生じる。 そもそも国レベルでのコミッショナー(・オンブズパーソン)については、社会的 養護分野を対象とするのか、学校生活等も含めたすべての子どもを対象とす るのか、あるいは人権全般を対象とするのかといった根本的な課題について、 省庁横断的な検討が必要であり、引き続きの検討課題として位置付けていくべきである。

おわりに→市区町村や児童相談所の虐待相談対応件数が増加し、悲惨な死亡事例等 も後を絶たない中、子どもの最善の利益を社会全体で守っていくためには、個 別ケース対応・政策立案の両面において、子どもからの意見表明権を保障し、それをしっかりと受け止める権利擁護の枠組みを全国的に整備していくことが不可欠である。 今後、本とりまとめに沿って政府において具体的な検討を進め、制度的な対 応も含めた必要な措置が講じられるよう希求する。

次回は、「資料2 とりまとめ案の子どもの意見聴取について 」からです。

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