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10月1日から「里親月間」が始まります [2019年10月11日(Fri)]
10月1日から「里親月間」が始まります。(令和元年9月27日) 
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000178416_00003.html
(厚生労働省では、毎年10月を「里親月間」と位置づけ、里親等委託(ファミリーホームへの委託を含む)を推進するための集中的な広報啓発を実施しています。)
◎里親制度とは:
◆里親制度は、様々な事情で自分の家族と暮らせない子どもたちを、温かい愛情と正しい理解を持った家庭環境の下での養育する制度です。
 家庭での生活を通じて、子どもが成長する上で極めて重要な特定の大人との愛着関係の中で養育を行うことにより、子どもを健やかに育てます。
◆現在は、約7,000人の児童が里親等(ファミリーホームを含む)に委託されており 、里親等委託率( ※ )は約19.7%となっています。
 ※ 里親等委託率=(里親+ファミリーホーム)÷(児童養護施設+乳児院+里親+ファミリーホーム)
◆厚生労働省では、平成28年に成立した改正児童福祉法により、家庭と同様の環境における養育の推進(里親等への委託を優先して検討すること)が明確化されたことを踏まえ、都道府県等とも協力しながら、里親委託の飛躍的な拡大に向けて全国的な運動を展開していきます。

1 ポスター・リーフレットの配布・掲示
◇首都圏の公共交通機関(一部)にポスターを掲示。
◇都道府県等を通じて、全国の公共施設・公共機関でのポスター・リーフレットの掲示や配布を依頼。

2 全国里親大会の開催〈全国里親会との共催により実施
「子どもの最善の利益を追求し、里子の未来を応援する“里親人生”〜夢と希望をもって共に育ち合うために〜」を大会テーマとして、全国里親大会を開催。
【開催日】 令和元年10月12日(土)〜10月13日(日)
【開催地】 宮城県仙台市

3 広報媒体やSNSなどを活用した各種広報の実施
インターネット、新聞、Youtube動画等における里親制度の紹介、厚労省ツイッター、フェイスブックを活用した周知。

4 地方自治体における各種広報啓発の取組の展開
里親月間に合わせ、地方自治体において様々な取組を実施。

◆令和元年度における里親月間の取組の実施(予定)状況【地方自治体】
https://www.mhlw.go.jp/content/11923000/000552299.pdf

次回は、「子ども・子育て会議(第45回)」からです。
第154回労働政策審議会労働条件分科会(資料) [2019年10月10日(Thu)]
第154回労働政策審議会労働条件分科会(資料)(令和元年9月27)
《議題》(1)副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方 (2)賃金等請求権の消滅時効の在り方について (3)その他
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06964.html
◎資料No.1 副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方について
◯副業・兼業の促進に係る検討の経緯
→閣議決定文書等を受けて↓
・厚生労働省における動き→柔軟な働き方に関する検討会(副業・兼業の促進に関するガイド ライン、改定版モデル就業規則の策定(平成30年1月))→副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会→報告書の公表。(令和元年8月8日)
◯副業・兼業の促進に関するガイドライン(平成30年1月策定)→概要は↓
・1〜5あり→副業・兼業の促進の方向性から企業・労働者の対応について。副業・兼業に関わるその他の現行制度について
◯改定版モデル就業規則→常時10人以上の従業員を使用する使用者は、就業規則の作成・変更の際は、労働基準監督署長に届出が必要。 ○ 就業規則の作成・届出の参考のため、就業規則の規程例や解説(=モデル就業規則)厚生労働省HPに掲載。
・平成30年1月改定版→(副業・兼業)第67条労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。2〜3項もあり。
・参考:平成30年1月改定以前のもの→(遵守事項)第11条 労働者は、以下の事項を守らなければならない。(略) E 許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。(略)
◯副業・兼業をとりまく現行制度→P4「労働時間」参照(事業主Bにおいて法定外労働1時間発生→割増賃金の支払い義務がある)
◯副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会報告書骨子→議論の前提としての考え方→1.健康管理について、2.上限規制について、3.割増賃金について

◎資料No.2−1 賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する論点
@ 検討の前提→【検討会報告で提示された論点】 民法とその特別法である労働基準法の関係について、どのように考えるか。↓
A 賃金等請求権の消滅時効の起算点について
B 賃金請求権の消滅時効期間について
C 賃金請求権以外の消滅時効について

◎資料No.2−2 賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する論点についての資料
@検討の前提

・「賃金等請求権の消滅時効の在り方について(論点の整理)」(抄)→2.労基法第115条に規定する賃金等請求権の消滅時効等の在り方について (2)各論点についての検討 @検討の前提 B賃金請求権の消滅時効期間について
・改正民法により消滅時効関連規定を改正した趣旨→改正民法において短期消滅時効が廃止された趣旨、改正民法において主観的起算点からの5年の消滅時効期間が新設された趣旨
・賃金等請求権に関する消滅時効について→<概要>労働基準法の規定による請求権について、消滅時効を規定。 <趣旨>労働基準法の規定による請求権について、退職手当を除く請求権は2年間、退職手当の請求権 は5年間の消滅時効を定めたもの。
・賃金等請求権に関する消滅時効について→労働基準法第115条の対象となる請求権

A賃金等請求権の消滅時効の起算点について
・「賃金等請求権の消滅時効の在り方について(論点の整理)」(抄)→2.労基法第115条に規定する賃金等請求権の消滅時効等の在り方について (2)各論点についての検討 A賃金等請求権の消滅時効の起算点について
・消滅時効の起算点について(改正民法による時効期間と起算点に関する見直し)→知った時から5年で満了。
・消滅時効の起算点について(権利を行使することができることを知った時)→民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)による改正後の民法(抄) (債権等の消滅時効) 第166条。第193回国会平成29年4月25日 参議院・法務委員会(議事抜粋)。
・消滅時効の起算点について(権利を行使することができる時)→○民法(明治29年法律第89号)(抄) (消滅時効の進行等) 第166条 消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。
・賃金等請求権の消滅時効の起算点について→○労働基準法(昭和22年法律第49号)(抄) (労働条件の明示) 第15条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。○労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)(抄) 第15条 三 賃金(退職手当及び第五号に規定する賃金を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締 切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

B賃金請求権の消滅時効期間について
・「賃金等請求権の消滅時効の在り方について(論点の整理)」(抄)→2.労基法第115条に規定する賃金等請求権の消滅時効等の在り方について (2)各論点についての検討 B賃金請求権の消滅時効期間について(現行の労基法上の賃金請求権の消滅時効期間を将来にわたり2年のまま維持す る合理性は乏しく、労働者の権利を拡充する方向で一定の見直しが必要ではないか。消滅時効期間が5年の退職手当の請求権の消滅時効期間も併せて検討。)

C賃金請求権以外の消滅時効について
・「賃金等請求権の消滅時効の在り方について(論点の整理)」(抄)→2.労基法第115条に規定する賃金等請求権の消滅時効等の在り方について (2)各論点についての検討 C賃金請求権以外の消滅時効(ア年次有給休暇請求権 イ災害補償請求権も見直し検討)
・年次有給休暇について(現行説明)
・労働保険や社会保険関係法令との関係について→労働保険や社会保険関係法令の消滅時効期間あり(現行)。

◎参考資料No.1 労働政策審議会労働条件分科会委員名簿
◎参考資料No.2 副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会 報告書

・令和元年8月8日副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会→再掲のため割愛しますが、T.はじめに(抜粋) ↓↓
社会の状況が変化していく中で、労働者を含めた働き手が副業・ 兼業を希望する傾向が強まっているとともに、「働き方改革実行計画」(平成 29 年 3 月 28 日働き方改革実現会議決定)に副業・兼業の促進が盛り込まれるなど、 社会全体として副業・兼業に対する機運が高まっている。こうした中で、副業・ 兼業の場合の実効性のある労働時間管理を求める声が強くなってきている。 以上のような状況等を受けて、本検討会においては、雇用による副業・兼業を 行う場合の、実効性のある労働時間管理や健康確保措置のあり方について、検討 することとなったもの。

◎参考資料No.3 賃金等請求権の消滅時効の在り方に関する検討の参考資料
◯民法改正について→社会経済情勢の変化に鑑み、民法の一部を改正する法律(平成29年6月2日公布)により、 民法(明治29年法律第89号)について、消滅時効の期間の統一化等の時効に関する規定の整 備、法定利率を変動させる規定の新設等が行われた。 ※ 施行日は、令和2年4月1日。<民法における消滅時効>改正前と改正後。
・賃金について→紛争はどのくらい起きているか→【労働審判】【労働訴訟】(P15〜16参照)
・諸外国における賃金の時効について→フランス ドイツ イギリス 韓国
・諸外国の年次有給休暇
・賃金台帳等の保存について→3年間の保存義務
◯改正民法等の適用に関する経過措置
・民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)(抄)→附 則 (時効に関する経過措置) 第10条 従前の例による。
・民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律 (平成29年法律第45号)(抄)→(国民年金法の一部改正に伴う経過措置)

◯(参考)労働基準法
・労働基準法(昭和22年法律第49号)(抄)→(労働条件の明示)(退職時等の証明)(金品の返還)(賃金の支払)(非常時払)(休業手当)(出来高払制の保障給)(時間外、休日及び深夜の割増賃金、37条)(年次有給休暇)(未成年者の労働契約)(帰郷旅費)(療養補償)(休業補償)第76条、 (障害補償)(遺族補償)(葬祭料)
・(参考)労働基準法・民法→
◯(参考)民法の一部を改正する法律・同法による改正後の民法
・民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号)による改正後の民法(抄)→(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効・3年)(人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効・5年)
◯(参考)労働保険や社会保険関係法令との関係について→(P40参照)労働保険や社会保険関係法令の消滅時効期間
◯(参考)働き方改革関連法による各改正事項の施行・適用時期→各法律に合わせた内容と大・中企業の適用時期があります。

◎参考資料No.4 働き方改革関連法に関する制度解説動画の配信について
https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/000551623.pdf

次回は、「10月1日から「里親月間」が始まります」からです。
第89回労働政策審議会障害者雇用分科会(資料) [2019年10月09日(Wed)]
第89回労働政策審議会障害者雇用分科会(資料)(令和元年9月27日)
《議題》(1)中小事業主の認定基準について (2)障害者雇用対策基本方針の改正について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06943.html
◎参考資料1 労働政策審議会障害者雇用分科会委員名簿

◎参考資料2 国の行政機関の障害者の採用・定着状況等特別調査の集計結果
【集計結果の主なポイント】 Press Release
<国の行政機関>
平成 30 年 10 月 23 日〜令和元年6月1日までに採用された障害者を対象
・ 採用計画に対する進捗率 80.6%。
・ 採用者数 3,444.0 人、離職者数 161 人(定着率 94.9%)
・ 在職障害者に対する「職場等の満足度に関するアンケート調査」→「現在の府省で働いていることの全体評価」について、88.2%が「満足」、「やや満足」と回答。 また、仕事内容や職場環境などの各項目については、7割以上が「満足」、「やや満足」と回答

◎参考資料3 令和元年 国の機関における障害者任免状況の集計結果(速報値)
【集計結果の主なポイント】 Press Release
<公的機関>法に基づく障害者雇用率 2.5% ・国の機関 :雇用障害者数 7,577.0 人(3,902.5 人)、実雇用率 2.31%(1.22%) ※( )は前年の値

なお、地方公共団体、独立行政法人等及び民間企業における障害者の雇用状況につい ては、令和元年 12 月末までに公表する予定です。

◎参考資料4 障害者雇用分科会における検討項目とスケジュール→11 月末頃 省令公布(予定)、 基本方針・作成指針 告示(予定)。

次回は、「第154回労働政策審議会労働条件分科会(資料)」からです。
第89回労働政策審議会障害者雇用分科会(資料) [2019年10月08日(Tue)]
第89回労働政策審議会障害者雇用分科会(資料)(令和元年9月27日)
《議題》(1)中小事業主の認定基準について (2)障害者雇用対策基本方針の改正について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06943.html
◎資料1 中小事業主の認定基準について
◯障害者の雇用の状況(企業規模別)
→全体として実雇用率は順調に伸びているものの、特に中小企業の取組が遅れている。
◯企業規模別・業種別の実雇用率→300人未満の企業は、業種別の実雇用率のばらつきが大きい(0.9%〜3.1%)。 (300人以上の企業では、1.8%〜2.4%の範囲に収まっている。)
◯中小事業主の認定制度の創設の背景及び狙い→現状では取り組みの停滞。各認定事業主の取組・成果の可視化必要(障害のない者も含む採用・人材確保の円滑化等)
◯認定制度のグランドデザイン(イメージ)→全国的・総合的なロールモデル必要
◯障害者雇用優良事業所等 厚生労働大臣表彰について→障害者を積極的に雇用している事業所、障害者の雇用の促進と職業の安定に貢献した民間の団体又は個人、職業人とし て業績をあげている障害者に対して、厚生労働大臣表彰を行い、その努力を讃えるとともに、これを国民に広く周知し、 障害者の雇用の促進等に資する。毎年9月の「障害者雇用支援月間」に表彰式を実施。
◯【参考】(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)による好事例集等→毎年度テーマ別に好事例集を作成・公表。障害者雇用があまり進んでいない業種に着目し、主に中小事業主における障害者の職場定着、戦力化等 に関する好事例集も作成・公表。このほか、障害者雇用に関するハンドブック、マニュアル、Q&A集、動画、コミック等、事業主等のニーズを踏まえて作成・公表。
◯認定制度創設に当たってのポイント(案)→認定制度の狙いを可視化し、中小事業主の特徴を明確に。
◯認定基準の構造・具体的内容(案)→取り組み、成果、情報開示の観点から中項目、小項目@〜Pまでの評価項目例が記載されています。
◯中小事業主等へのヒアリング結果の概要@A→上記内容をヒアリング(69社。見学・インタビュー31社、アンケート38社)
◯【参考】改正障害者雇用促進法及び障害者雇用分科会意見書(抜粋)→改正障害者雇用促進法(2019年6月14日公布)(基準に適合する事業主の認定)(表示等)(認定の取消し)。労働政策審議会障害者雇用分科会意見書(2019年2月13日公表)障害者雇用に関する優良な事業主の認定制度の創設。


◎資料2 障害者雇用対策基本方針改正案
◯はじめに
1 方針の目的
2 方針のねらい↓↓

この計画においては、令和4年度に 43.5 人以上規模の企業で雇用さ れる障害者数を 58.5 万人とすること、平成 30 年度から令和4年度まで の累計で公共職業安定所を通じた障害者就職件数を 53.3 万件とすること等を目 指すこととしており、その目標の達成に努めることとする。
3 方針の運営期間
この方針の運営期間は、平成 30 年度から令和4年度までの5年間とする。

第1 障害者の就業の動向に関する事項
1 障害者人口の動向
→高齢化傾向。
(1) 身体障害者人口の動向
(2) 知的障害者人口の動向
(3) 精神障害者人口の動向
2 障害者の就業の動向
(1) 障害者の就業状況
(2) 障害者の雇用状況
→なお、公務部門について、国の機関(立法・司法・行政機関)の令和元年6月 1日時点における障害者の雇用状況(速報値)を見ると、雇用障害者数は 7,577.0 人、実雇用率は 2.31%となっている。障害種別毎の雇用状況を見ると、身体障害 者は 4,844.5 人、知的障害者は 248.5 人、精神障害者は 2,484.0 人となってい る。地方公共団体の機関(教育委員会を含む。)の平成 30 年6月1日時点にお ける障害者の雇用状況を見ると、雇用障害者数は 47,997.5 人、実雇用率は 2.24% となっている。障害種別毎の雇用状況を見ると、身体障害者は 43,586.0 人、知 的障害者は 1,304.5 人、精神障害者は 3,107.0 人となっている。

第2 職業リハビリテーションの措置の総合的かつ効果的な実施を図るため講じよ うとする施策の基本となるべき事項→精神障害者を中心に障害者の就労意欲が高まってきている中、就労を希望する障 害者の障害種別については、発達障害、難病等に起因する障害、高次脳機能障害、 若年性認知症、各種依存症等の多様化がみられる。これらに対応して、障害者や事業主の職業リハビリテーションに対する需要は多様化、複雑化しており、このよう な中で、福祉、教育、医療等の関係機関と連携しながら、障害の種類及び程度に応 じた職業リハビリテーションの措置を総合的かつ効果的に実施し、障害者の職業的 自立を進めていくことが重要となっている。今後は、こうした観点から、以下に重 点を置いた施策の展開を図っていくものとする。
1 障害の種類及び程度に応じたきめ細かな支援技法等の開発、推進
2 きめ細かな支援が必要な障害者に対する職業リハビリテーションの推進
3 職業能力開発の推進
4 実施体制の整備→なお、公務部門における障害者雇用に係る理解や採用を一層推進するため、各 府省等向けのセミナー・職場見学会等を開催するとともに、公共職業安定所等に 配置する職場適応支援者による職場訪問に加え、各機関の職員に対する障害者の 職場適応支援者の養成事業等を通じた定着支援等必要な支援体制の強化を図る。 また、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構のノウハウの活用も図る。
5 専門的知識を有する人材の育成
6 進展するITの積極的活用

第3 事業主が行うべき雇用管理に関して指針となるべき事項→事業主は、法の規定に基づき、障害者に対する差別の禁止及び合理的配慮の提供 を実施するとともに、関係行政機関や事業主団体の援助と協力の下に、以下の点に 配慮しつつ適正な雇用管理を行うことにより、障害者が男女ともにその能力や適性 が十分発揮でき、障害のない人とともに生きがいを持って働けるような職場作りを 進めるとともに、その職業生活が質的に向上されるよう努めるものとする。 なお、公務部門においては、以下の点に配慮した適正な雇用管理に必要な取組を 率先して行うこととした上で、法の規定に基づき、別に定める障害者活躍推進計画 作成指針に即して各機関が作成する障害者活躍推進計画に基づき、公務の特殊性も 踏まえながら、障害者の活躍を推進するものとする。
1 基本的な留意事項→ (1) 採用及び配置、(2) 教育訓練の実施、(3) 処遇、(4) 安全・健康の確保、(5) 職場定着の推進、(6) 障害及び障害者についての職場全体での理解の促進、(7) 障害者の人権の擁護、障害者差別禁止及び合理的配慮の提供

2 障害の種類別の配慮事項
(1) 身体障害者

イ 視覚障害者→通勤や職場内における移動ができるだけ容易にな るよう配慮する。
ロ 聴覚・言語障害者→個々の聴覚・言語障害者に応じて職務の設 計を行うとともに、光、振動、文字等、視覚等による情報伝達の設備の整備 や、手話のできる同僚等の育成を図ること等により職場内における情報の伝 達や意思の疎通を容易にする手段の整備を図る。そのほか、会議、教育訓練 等において情報が得られるよう、手話通訳者や要約筆記者の配置等職場にお ける援助体制の整備を図る。
ハ 肢体不自由者→通勤や職場内における移動ができるだけ容易に なるよう配慮するとともに、職務内容、勤務条件等が過重なものとならないよう留意。また、障害による影響を補完する設備等の整備を図る。
ニ 心臓機能障害者、腎臓機能障害者等のいわゆる内部障害者→職 務内容、勤務条件等が身体的に過重なものとならないよう配慮するとともに、 必要に応じて、医療機関とも連携しつつ職場における健康管理のための体制 の整備を図る。
ホ 重度身体障害者→職務遂行能力に配慮した職務の設計を行うと ともに、就労支援機器の導入等作業を容易にする設備・工具等の整備を図る。
ヘ 中途障害者→必要に応じて休職期間を確保した上、円滑な職場 復帰を図るため、全盲を含む視覚障害者に対するロービジョンケアの実施等、 パソコンやOA機器等の技能習得を図るとともに、必要に応じて医療、福祉 等の関係機関とも連携しつつ、地域障害者職業センター等を活用した雇用継 続のための職業リハビリテーションの実施、援助者の配置等の条件整備を計 画的に進める。

(2) 知的障害者→複雑な作業内容や抽象的・婉曲な表現を理解するこ とが困難な場合があること、言葉により意思表示をすることが困難な場合があ ること等と同時に、十分な訓練・指導を受けることにより、障害のない人と同 様に働くことができることを踏まえ、障害者本人への指導及び援助を中心とし て以下の事項に配慮する。
イ 作業工程の単純化、単純作業の抽出等による職域開発を行う。また、施設・ 設備の表示を平易なものに改善するとともに、作業設備の操作方法を容易にする。
ロ 必要事項の伝達→分かりやすい言葉遣いや表現を用いるよう 心がける。
ハ 日常的な相談の実施により心身の状態を把握するとともに、雇用の継続の ためには家族等の生活支援に関わる者の協力が重要であることから、連絡体制を確立する。
ニ 重度知的障害者→生活面での配慮も必要とされることを考慮し つつ、職場への適応や職務の遂行が円滑にできるよう、必要な指導及び援助 を行う者を配置する。
ホ 十分な指導と訓練を重ねることにより、障害のない人と同様に働くことが できることを考慮し、知的障害者の職業能力の向上に配慮する。 また、近年では、製造業のみならず、サービス業や卸売・小売業等、知的障 害者が従事する業種が拡大していることを踏まえ、知的障害者の特性や能力 に応じた就業が可能となるよう、職域の拡大を図る。

(3) 精神障害者 精神障害者→臨機応変な判断や新しい環境への適応が苦手である、 疲れやすい、緊張しやすい、精神症状の変動により作業効率に波がみられることがある等の特徴が指摘されていることに加え、障害の程度、職業能力等の個 人差が大きいことを踏まえ、労働条件の配慮や障害者本人への相談・指導・援 助を中心として以下の事項に配慮する。 イ 本人の状況を踏まえた根気強く分かりやすい指導を行うとともに、ある程 度時間をかけて職務内容や配置を決定する。
ロ 職務の難度を段階的に引き上げる、短時間労働から始めて勤務時間を段階 的に延長する、本人の状況に応じ職務内容を軽減する等必要に応じ勤務の弾 力化を図る。特に、当初は長時間の勤務が困難な精神障害者については、採用に当たり本人の適性や状況を見極めた上で職務内容や勤務時間を決定し、 採用後は常用雇用に移行できるよう、勤務時間を段階的に引き上げながら円 滑に職場に定着できるよう配慮する。
ハ 日常的に心身の状態を確認するとともに、職場での円満な人間関係が保て るよう配慮する。また、通院時間、服薬管理等の便宜を図る。
ニ 職場への適応、職務の遂行が円滑にできるよう、必要な指導及び援助を行 う者を配置するとともに、必要に応じて職場適応援助者(ジョブコーチ)の 活用も図る。
ホ 企業に採用された後に精神疾患を有するに至った者については、企業内の 障害者職業生活相談員や産業医等による相談・指導・援助のほか、地域障害 者職業センターによる職場復帰支援(リワーク支援)、産業保健推進センタ ーや精神保健福祉センターによる支援等の活用により、医療・保健機関や職 業リハビリテーション機関との連携を図りながら、円滑な職場復帰に努める。

(4) その他障害者→発達障害、難病等に起因する障害、高次脳機能障害、若年性認知症、各種依存症等により長期にわたり職業生活に相当の制限を受け、又は職業生活を営む ことが著しく困難な者→個々の障害の状況を十分に把握し、必要に 応じて障害に関する職場の同僚等の理解を促進するための措置を講じるとともに、職場内の人間関係の維持や当該障害者に対して必要な援助・指導を行う者 の配置、障害状況に応じた職務設計、勤務条件の配慮等を行う。

第4 障害者の雇用の促進及びその職業の安定を図るため講じようとする施策の基本となるべき事項→ 障害者の雇用の促進及びその職業の安定を図るに当たっては、今後とも社会全体 の理解と協力を得るよう啓発に努め、全ての国民が、障害の有無によって分け隔て られることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の理念を一層 浸透させるとともに、この理念に沿って、障害者が可能な限り一般雇用に就くこと ができるようにすることが基本となる。この点を踏まえ、公的機関・民間企業に対 して雇用率達成に向けた指導を行うとともに、更なる積極的な障害者雇用を図るた めの取組を推進する。また、精神障害者をはじめとして、個別性の高い支援が必要 な者に重点を置きつつ、障害の種類及び程度に応じたきめ細かな対策を総合的に講 ずることとする。さらに、障害者の解雇者数は減少傾向にあるものの、引き続き障害者の雇用の維持、解雇の防止及び再就職対策に取り組むとともに、中小企業における雇用の促進、雇用の継続や職場定着を図るなど、以下に重点を置いた施策の展 開を図っていくものとする。
1 障害者雇用率制度の達成指導の強化→法定雇用率の達成に向けて、公的機関令和4年度までにす べての機関における雇用率達成を図ることを目標として、未達成機関を公表する こと等により指導を強力に実施民間企業→障害者の雇用義務の ある企業のうち、障害者雇用義務があるにもかかわらず一人も障害者を雇用して いない企業(以下「障害者雇用ゼロ企業」という。)が約3割となっている状況 を踏まえ、達成指導を強力に実施する一方、企業の求人充足に向けた支援を推進する。その上で、雇用の状況が一定の基準を満たさない企業については、企業名の公表を実施する。 障害者雇用の更なる促進に当たっては、必要に応じて、特例子会社制度のほか、 事業協同組合等に係る算定特例や企業グループに係る算定特例といった制度の積 極的な周知を図り、その活用も促す。、除外率設定業種における障害者の雇用状況を把握するとともに、除外 率設定業種における雇用事例の収集・提供、職域拡大を図るための措置等を推進 することにより、縮小していく場合の障害者の雇用促進につき、支援を行う。

2 精神障害者の雇用対策の推進→障害者が希望する場合には、企業や支 援機関等において、支援対象者の障害特性等についての情報を共有し、適切な支 援や配慮を講じていくための情報共有の仕組みを整備し、雇用の促進及び職場定 着の促進を図る。
3 発達障害者、難病患者等に対する支援
4 中小事業主の認定その他事業主に対する援助・指導の充実等→法定雇用義務が課されているにも関わらず依然として 障害者を全く雇用していない企業(障害者雇用ゼロ企業)が多い等、障害者雇用 の取組が停滞している状況にある。このため、従来の制度的枠組みに加え、個々の中小事業主における障害者雇用の進展に対する社会的な関心を喚起し、障害者雇用に対する経営者の理解を促進するとともに、先進的な取組を進めている事業主が社会的なメリットを受けることができるような仕組みづくりが課題であった。 その中で、令和元年の法改正により、中小事業主の認定制度を創設することとさ れたため、令和2年度から認定事業を開始することとしており、その制度の普及 を着実に進める。 これと併せて、障害者雇用に関する好事例を積極的に周知するとともに、発達 障害、難病等に起因する障害、高次脳機能障害、若年性認知症、各種依存症等障 害が多様化してきていることも踏まえ、障害者の雇用管理に関する先進的な知識や情報の提供等により事業主の取組を促進する。

5 障害者の雇用の維持、解雇の防止と再就職対策の強化公共職業安定所において、在職中の障害者の状況の把握・確認に基づき、離職に至ることを未然に防止するよう、中途障害者を含め障害者に対する相談や事業 主に対する指導を実施するとともに、やむなく離職に至った場合には、再就職に 向けた相談援助の実施等の雇用支援の強化を行う。また、平成 25 年4月に施行された「国等による障害者就労施設等からの物品等 の調達の推進等に関する法律」(平成 24 年法律第 50 号。以下「障害者優先調達 推進法」という。)に基づき、公契約について、競争に参加する者に必要な資格 を定めるに当たって法定雇用率を満たしていること又は障害者就労施設等から相 当程度の物品等を調達していることに配慮する等障害者の就労を促進するために 必要な措置を講ずるよう努める。

6 重度障害者の雇用・就労の確保→助成金制度も活用しつつ重度障害者を 多数雇用する事業所の設置を促進し、職域の拡大及び職場環境の整備を図る。 また、福祉施設等や特別支援学校等から一般雇用に就くために特に支援が必要な場合→移行前の段階から障害者のキャリア形成に配慮した処遇がな されることも念頭に置いて、職場適応援助者(ジョブコーチ)の活用等福祉機関 等との連携による雇用支援体制の整備に努めるとともに、職務の見直し、職域の 拡大、施設・設備の改善の促進、障害者及び事業主に対する相談等の施策の充実を図る。

7 多様な雇用・就労形態の促進→短時間労働、在宅就労等の普及は障害者がその能力や特性に応じて働くための 機会の増大につながるものであり、必要な支援、環境作りに取り組むこととする。 特に通勤が困難な重度障害者等を念頭に在宅就業においてITを活用するととも に、自宅等で就業する障害者に対し、仕事の受発注や技能の向上に係る援助を行 う在宅就業支援団体の育成等の支援や障害者優先調達推進法に基づき、在宅就業 障害者等からの物品等の優先調達を着実に実施する。 また、短時間であれば就労可能な障害者等の雇用機会を確保するため、令和元 年の法改正により新設した、週 20 時間未満の障害者を雇用する事業主に対する 納付金制度に基づく特例給付金の運用を着実に実施する。

8 適切な雇用管理の確保等→雇用の継続のためには、障害特性に配慮した雇用環境を整えることが重要であることから、各種助成金も活用しながら、採用から配置、処遇、教育訓練等の様々な局面において、きめ細かな雇用管理が行われるよう、事業主の理解の促進を図るとともに、「雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会の確保等に関する指針」の周知や好事例の提供等を行うほか、必要に応じて公共職業安定所による助言・指導等を行うことにより、障害者と障害者でない者との均等 な機会及び待遇の確保並びに障害者の有する能力の有効な発揮を図る。 障害者雇用に知見を有する者の紹介・派遣等を行うことにより、障害特性を踏まえた適正な雇用管理や職場環境の提供を支援する。 加えて、中央障害者雇用情報センターにおいて、専門家による合理的な配慮を踏まえた雇用管理・就労支援機器の相談等への対応や、また、障害を理由とした 差別、障害者と障害者でない者との均等な機会及び待遇の確保並びに障害者の有 する能力の有効な発揮に問題が生じている場合について、障害者雇用調停会議等 による迅速な解決を図る。

9 関係機関との連携等→障害者基本計画に基づき、本人の意欲・能力に応じた一般雇用への移行を図るほか、特別支援学校等卒業生や精神障害者の雇用を促進するため、公共職業安定 所を中心とした「チーム支援」を推進することや、地域障害者職業センターにおける地域の就労支援を担う人材の育成その他の関係機関に対する助言・援助等を より積極的に行うこと等により、福祉、教育、医療等の関係機関との間の連携・ 支援を強化する。 また、特に、知的障害者や精神障害者は、職場環境を始めとする環境の変化に よる影響を受けやすいこと、地域における社会生活面での配慮が不可欠であるこ と等から、地域レベルにおいて、障害者就業・生活支援センターや地方公共団体、 社会福祉法人、NPO等の民間部門との連携も図りつつ、生活全般に関わる支援 を行うこととする。 このような点を踏まえ、障害者の職業生活に関わる社会環境を地域に根ざした 形で、住宅、交通手段等も含め総合的に整備していくことが重要であり、これに対する援助措置の充実に努める。

10 障害者雇用に関する啓発、広報→国民一人一人の障害 者雇用や障害者の職業能力開発、技能の向上の重要性に対する理解や、障害者が 一定の配慮・支援があれば就労や職場復帰が十分可能であることについての理解 を高めることが不可欠であることから、事業主団体、労働組合、障害者団体の協 力も得ながら、事業主、労働者、障害者本人及びその家族や福祉、教育、医療に 携わる者等を含め広く国民一般を対象とした啓発、広報を推進する。

11 研究開発等の推進→ 障害者雇用の実態把握のため、基礎的な調査研究や統計データの収集・整理を 計画的に推進する。また、職業リハビリテーションの質的向上、職業リハビリテ ーションに関する知識及び技術の体系化、障害者の職域拡大及び職業生活の向上を図るため、障害の種類及び程度ごとの障害特性、職業能力の評価、職域の開発・ 拡大、雇用開発等の障害者雇用に係る専門的な研究を事業主団体等の協力も得て 計画的に推進する。

12 国際交流、国際的な取組への対応等 障害者権利条約を踏まえ、雇用の分野における障害者に対する差別の禁止及び 障害者が職場で働くに当たっての支障を改善するための措置を定めること等を内 容とする法の規定の着実な実施を図る。 また、「アジア太平洋障害者の十年(2013−2022)」の行動計画として平成 24年 11 月に採択された「アジア太平洋障害者の権利を実現する仁川戦略」に基づ き、障害者問題に関する国際的な取組に参加することにより、我が国の国際的地 位にふさわしい国際協力を推進する。

次回は、「参考資料1〜4」で、最後の資料です

第8回働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会 [2019年10月07日(Mon)]
第8回働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会(令和元年9月20日) 10/7
《議事》 議論のとりまとめ その他
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000208525_00014.html
◎参考資料

1.基本的な考え方

◯適用拡大にかかるこれまでの経緯
◯適用拡大に関する検討規定
◯短時間労働者に対する適用拡大に関する最近の政府方針
◯現行の適用要件の考え方→@週の所定労働時間が20時間以上あること、A賃⾦が⽉額8.8
万円(年収106万円相当)以上であること、B勤務期間が1年以上⾒込まれること、C学生を適用対象外とすること、D規模501人以上の企業を強制適用対象とすること
◯社会保障審議会年金部会における主な意見@〜B
◯適用拡大を考えるに当たっての視点→1.被用者にふさわしい保障の実現、2.働き方や雇⽤の選択を歪めない制度の構築、3.社会保障の機能強化(適切な再分配機能の維持)、4.人生100年時代・一億総活躍社会・働き方改革への対応(多様な働き手による短時間就労も含めた多様な働き方を保障の体系)

2.これまでの適用拡大の結果及び影響
◯短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大の概要→B (2019年9月末までに)更なる適用拡大について検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を実施。
◯短時間被保険者数及び対象事業所の推移
◯被用者保険の適用状況の見取り図⇒ 雇用者全体=5700万人
◯短時間被保険者の性別・年齢階級別分布 →60〜69歳が多い。
◯社会保障審議会年金部会における主な意見@〜B
◯短時間被保険者の性別・年齢階級別分布
◯短時間被保険者の適用拡大以前の公的年金の加入状況
◯国民年金第1号被保険者の保険料納付状況
◯短時間被保険者の適用拡大前の被保険者区分
◯労使合意に基づく適用拡大の導入状況
◯厚生年金保険の適用促進にかかる取組
◯(参考)短時間労働者向けリーフレット

3.労働政策研究・研修機構( JILPT )による調査結果
◯(独)労働政策研究・研修機構(JILPT)調査の概要
◯適用拡大に伴う企業の雇用管理の見直し状況
◯短時間被保険者の適用拡大前の被保険者区分
◯労使合意に基づく適用拡大の利用状況
◯今後の更なる適用拡大への対応意向
◯(参考) 事業所が短時間労働者を雇用している理由
◯(参考) 必要な労働力を確保する上での就業調整の影響
◯適用拡大に伴う短時間労働者の働き方の変化
◯今後の更なる適用拡大への対応意向
◯被用者保険の加入・非加入を選択した理由
◯適用拡大に伴う短時間労働者の働き方の変化
◯適用拡大によって厚生年金適用となった元第1号被保険者の特徴 →適用拡大によって厚生年金加入となった者のうち、それまで国民年金第1号被保険者であった者には、「世帯主の妻」、 「未婚者」、「離婚・死別の女性」が多く含まれている。 • また、世帯年収はバラツキが大きいが、離婚・死別の女性や未婚者を中心に、低い年収帯に多く分布している。
◯第3号被保険者の適用拡大への対応の特徴 →年齢や社会保険加入の捉え方によって影響を受けていることが窺われる。 • また、適用を回避した者と比べて、適用を受容した者の中には世帯年収が少ない者が多く含まれている。
◯自身が働くのを辞めた場合に家計に及ぼす影響と働き方の変更状況の関係→自身が働くのを辞めると「日々の生活が維持できなくなる」とする短時間労働者ほど、今般の適用拡大に際しても社会保険 が適用されるように働き方を変更し、対して家計に余裕がある人ほど、適用を回避した傾向にある。 また、性別や年齢、適用拡大前の被保険者区分といった基礎的な属性をコントロールしても、自身が働くのを辞めると家計 に深刻な影響が及ぶ短時間労働者は、社会保険が適用されるように働き方を変更していることがロジスティック分析からも 確認できる。
◯(参考) 配偶者控除等の見直しに伴う働き方の変更意向

4.関係団体へのヒアリング結果
◯ヒアリングに御協力いただいた団体一覧
◯ヒアリング結果のまとめ →≪短時間労働者の多様性と保障の在り方≫≪短時間労働者の就労促進/抑制≫≪企業の社会保険料負担≫≪これまでの適用拡大の影響・効果≫≪短時間労働者に対する適用要件等≫≪適用事業所の範囲≫≪働き方の多様化≫
◯1−@短時間労働者に対する適用拡大についての意見(事業主団体分)
◯1−A短時間労働者に対する適用拡大についての意見(労働者団体分)
◯2適用事業所の範囲についての意見
◯3多様な働き方(副業・兼業、雇用的自営)についての意見

5.適用拡大企業に対するアンケート結果
◯企業に対するアンケートの概要
◯大企業からの回答例例@ (適用拡大が雇用・就労に与えた影響)
・大企業からの回答例A (企業規模要件に関する意見)
・大企業からの回答例B (賃金要件に関する意見)
・大企業からの回答例C (その他の要件等に関する意見)
◯中小企業からの回答例例@ (労使合意に基づく適用拡大の導入目的・契機)
・中小企業からの回答例A (短時間労働者の受け止め)
・中小企業からの回答例B (社会保険料負担の増加についての考慮)
◯(別紙1)大企業(500人超企業)へのアンケート結果一覧表
◯(別紙2)中小企業(労使合意に基づく適用拡大企業)へのアンケート結果一覧表

6.今後の対応の可能性
◯近年の雇用環境 →近年、パートタイムの有効求人倍率は年々上昇しており、長期的に見ても非常に高い水準にある。 • こうした中、企業の人手不足感が強まっており、特に短時間労働者を多く雇用する業界においてその傾向が顕著 となっている。また、企業規模が小さくなるほど、人手不足感が強い。
◯中小企業の経営環境
◯他制度における中小企業への適用の経緯
◯短時間被保険者の業種別分布及び企業の社会保険料負担規模 →短時間被保険者数の業種別分布をみると、卸売・小売業が突出しているほか、その他サービス業、医療・福祉にも多く分 布している
◯業種別のパート労働者の雇用状況→パート労働者は「卸売業・小売業」、「宿泊業・飲食サービス業」、「医療・福祉」といった一部の業種に偏在しており、こう いった業種は従業員に占める短時間労働者の比率も高い。 • このような特定の業種の企業に対して、短時間労働者に対する適用拡大の影響が大きい。
◯被用者保険適用となることによる給付・負担の主な変化
◯短時間労働者の社会保険制度への加入状況
◯国民年金第1号被保険者の就業状況
◯雇用者として働く国民年金第 1号被保険者の基本属性
◯母子世帯の就業状況等→、約8割が就業しており、そのうち、「パート・アルバイト等」が約半数。年間収 入を見ると、「正規の職員・従業員」の平均年間就労収入は305万円、「パート・アルバイト等」では、133万円となっている。また、社会保険の加入状況をみると、雇用保険に加入しているが厚生年金に加入していない者が一定数見られる。
◯国民年金第 3号被保険者の就労状況
◯個人の働き方と社会保険の適用区分
◯非正規雇用者の年収分布と就業調整の状況
◯短時間労働者による就業調整
◯月額賃金8.8万を挟んだ短時間労働者の属性の違い→月額賃金が8.8万円(現行の賃金要件)以上の者の半数近くは国民年 金第1号であるのに対して、8.8万円未満の者の過半数は、比較的適用回避を図る傾向が強い国民年金第3号とみられ、 月額賃金8.8万円を挟んで短時間労働者の属性には大きな違いが見られる。
◯税制の動向(配偶者控除等の見直しと本人の所得税負担)→上限額の見直し(103万円 → 150万円)。配偶者自身の給与収入の非課税限度額(103万円)は変更なし、超えた分は課税。
◯国年第3号被保険者にとっての被扶養者認定基準と被用者保険の適用基準の意味
◯賃金上昇と被扶養者認定基準の関係
・短時間労働者の賃金上昇の意味 →政府は、最低賃金→年率3%程度を目途として引き上げ、全国加重平均が1000円となることを目指す方針。時給単価が約1000円を超えてくると、週20時間(時間要件)の就労で、当然に月額賃金が賃金要件を上回る状態となる。
◯学生アルバイトの就労状況と学生除外要件→学生を扶養している親は、特定扶養控除(63万円)を受けられるが、その対象となる学生自身の給与収入の上限は103万円だ
◯勤務期間要件の実態

7.適用事業所の範囲
◯被用者保険の適用事業所について
◯適用業種・非適用業種の分類
◯被用者保険の適用事業所に関する国会答弁
◯被用者保険の強制適用事業所の変遷
◯非適用業種における個人事業所の規模

8.複数就業者に対する被用者保険適用のあり方
・働き方改革における雇用類似の働き方や副業・兼業の位置づけ
・副業・兼業の動向
・複数の事業所で被用者保険適用となっている者の実態
・短時間労働者が副業・兼業を行う理由等
・複数事業所で被用者保険の適用要件を満たす者の適用事務
・複数の事業所で雇用される者に対する雇用保険の適用に関する検討会
・同検討会の報告書の概要
・雇用保険の適用について

9.雇用類似の働き方への対応
・雇用類似の働き方に関する現状について
・雇用類似の働き方の者に関する試算結果
・「雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会」における意見
・社会保険制度上の事業主の取扱いについて

10.医療保険制度に関する資料
・医療保険制度の概要 →後期高齢者医療制度(・75歳以上 ・約1,750万人) 約16兆円、前期高齢者財政調整制度(約1,700万人)約7兆円
・医療保険の各保険者の比較
・被用者保険(医療保険)における各保険者の概要
・適用拡大に伴う医療保険における加入者移動(イメージ)
・適用拡大と医療保険の関係について
・(参考) 前回の適用拡大における健康保険組合への財政支援等
・(参考) 適用拡大に伴う補助金の交付組合について

11.年金制度に関する資料
・年金制度の仕組み
・公的年金制度における保険料負担と年金給付
・(参考) 私的年金の拠出限度額
12 .(令和元)年財政検証の結果について
・2019(令和元)年財政検証の結果のポイント
・オプション試算の内容

次回は、「第89回労働政策審議会障害者雇用分科会(資料)」からです。

令和元年『全社協福祉懇談会(5回目)』の開催 [2019年10月06日(Sun)]
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↑↑【講演会】猪熊 律子 氏「テーマ」スライド


「ともに生きる豊かな福祉社会をめざして」として
令和元年『全社協福祉懇談会(5回目)』が開催されました
(令和元年10月3日)

主催→社会福祉法人 全国社会福祉協議会
日時→令和元年10月3日(木)17時00分開会 18時30分まで

◎『全社協福祉懇談会』に先立ち【講演会】(15:30〜16:40)↓↓
◯テーマ「社会保障の未来」 読売新聞東京本社 編集局 編集委員 猪熊 律子 氏

<略歴> 猪熊 律子(いのくま りつこ)スライドで説明。
読売新聞東京本社編集局編集委員。専門は社会保障。年金、医療、介護、子育て、雇用などの取材に長く携わる。若者に社会保障について学んでもらう「社会保障教育」にも熱心に取り組む。社会保障部長を経て、2017年から現職。フルブライト奨学生兼読売新聞海外留学生として米国に留学。Stanford 大学のジャーナリスト向けプログラム「John S. Knight Journalism Fellowships at Stanford」修了。早稲田大学大学院法学研究科修士課程修了。著書に『#社会保障はじめました』。「社会保障のグランドデザイン−記者の眼でとらえた『生活保障』構築への新たな視点」(中央法規出版)など。
<概要>↓↓
・人生100年時代→女性が多く「おばあちゃんの時代」。2025年・2045年の人口減少社会を暗いイメージからポジティブに。「豊かな高齢社会を目指して」
・取材から女性刑務所のお話→一人一人に合った食事の提供の紹介。日常生活は人権に配慮されている。
・若い時から社会保障を学習→「公平とは何か?」「お金持ちに年金を給付することは必要なのか?」「『安心を得る』とはどういうことか?」・・・。実は「社会保障」は大変魅力的な語り合う「ネタ」の宝庫。
社会保障への不安や不信、世代間対立を煽るようなネタばかりではありません。まずは社会保障の“根っこ”の部分について身近に考え、知って、自分たちで話をすることから始めてみませんか。
・日本の社会保障制度→まさに難しい舵取りの時期を迎え平均寿命80年台という長寿時代を迎え、赤ちゃんからお年寄りまで安心して暮らせ、生涯を通じて必要なときに必要な給付が得られる社会保障のグランドデザイン、いわば「安心の設計」をどう描けばよいのか。
・全世代型社会保障は、それぞれ一人一人を大切にし、地域での生き方を尊重することとして、その環境づくりを今後ともわかりやすく伝えていくということ。

◎『全社協福祉懇談会』開催要綱から↓↓
少子高齢化の進行、就業構造の変化、地域における人間関係の希薄化等を背景に、人々が直面している福祉課題、生活課題は複雑・多様化し、また増大しています。社会的孤立や経済的困窮状態にあって支援が必要にもかかわらず、適切な支援につながっていない人も少なくありません。
国においては、すべての人々の安全・安心のために、持続性ある全世代型の社会保障の実現をめざした改革とともに、「地域共生社会」の実現に向けた取り組みを進めています。とくに地域共生社会の実現に向けては、改正社会福祉法に基づく市町村地域福祉計画の策定や見直し、また地域を基盤とした包括的な相談支援体制の整備が求められています。
地域共生社会の実現に向けてはこれまで長きにわたり福祉のまちづくりに取り組んできた社会福祉協議会、民生委員・児童委員、社会福祉法人・福祉施設がその力を発揮し、中心的な役割を果たすことが期待されています。地域包括ケアシステムの構築、生活困窮者自立支援制度の充実、社会福祉法人による地域貢献活動等、それぞれの取り組みを効果的に連携させ、地域におけるセーフティネット機能を高めていくことは、私たちが「全社協福祉ビジョン2011・第2次行動方針」において提起している取り組みでもあり、さらなる推進を図っていく必要があります。
同時に、高齢者、障害者、子ども・子育て支援等、社会福祉各分野の施策の充実とともに、公的責任を果たすためには関係予算の拡充が不可欠であり、全国の福祉関係者が一体となって国政・行政等への働きかけを進め、理解を得ていくことが必要です。
そこで、全国の福祉関係者が一堂に会し、これからの社会福祉のあり様について幅広く意見交換を行い、その思いを一つにしていくために、関係国会議員等のご参会も得て、第5回となる「全社協福祉懇談会」を開催いたします。

◯プログラムから↓↓
(1) 主催者挨拶→全国社会福祉協議会長・清家篤氏→160名もの参加に感謝。「地域共生社会」の実現に向けた取り組みを進める。その役割を一生懸命に果たしていきたい。
(2) 来賓挨拶→加藤厚労大臣、伊吹文明衆議院議員、衛藤晟一一億総活躍担当大臣
(3) 来賓紹介→塩崎泰久氏、柴山昌彦氏、他10名ぐらい。

(4) 代表発言(要望)磯経営者協議会長→「地域共生社会を推進するために」↓↓
一、「地域共生社会」の実現に向け、すべての福祉組織がより活発に活動できる環境整備(社会保障制度・社会福祉制度の拡充)
一、地域の多様なニーズに応えるため、社会福祉法人による地域公益活動を促進する環境(運営の弾力化と非課税制度堅持)
一、大規模災害発災時に被災者支援の実効性を高める法改正及び災害時福祉支援活動に備えた平時からの体制整備
一、地域の多様なニーズへの対応拠点としてさらなる専門人材の確保とIT技術の活用促進

(5) 乾杯→衆議院議員田村憲久氏
(6) 懇談
(7) 閉会挨拶→衛藤晟一一億総活躍担当大臣

◎感想から
・日本福祉施設士会より4人参加。高橋会長は「中国・四国ブロックセミナー」と日程が重なってしまい、そちらが優先されて欠席になっています。残念なことです。
・何よりもうれしかったことは、かつてお世話になっていた「塩崎泰久元厚労大臣」とお会いできたこと。私の印象は「児童養護の子供たちの権利」を一生懸命に考えてくれ、しかも最低基準アップに協力してくれた人と思っている。「児童の養護と未来を考える議員連盟」を組織し、自らその「会長」をされてよく頑張ってくれたことです。いつまでも、「子どもが望む自立支援と程遠い子供たちのこと」を特に経済的自立支援に向けて活躍してくれますようにと、念じお願いしてきました。今後ともよろしくご配慮のほど、お願いしたいと思っています。
・新しい収穫として、我々4人のテーブルに熊本県阿蘇郡・真和館理事長・藤本和彦氏が同席し、施設内容のお話を聞いたこと。救護施設でアルコール依存症に対するプログラムを聞いたことでした。「ひきこもり対策」にも通じており、氏の施設職員にプログラムについてのインターネット検索をしながらその方法を電話でまず学んでいこうと決意したことです。
・まだまだ認知症に対する接し方や、発達障害への地域での組織など、「地域共生社会の実現」に向けて専門性を発揮するための専門家には程遠いと感じていますが、ひるむことなく一歩いっぽ前進するのみと感じてきました。とにかく、実施できることからシステムを作り出さなければならないと感じてきたたものです。
・最後に、秋田県の県社協佐藤会長さん、高橋常務理事さんにお会いし、秋田県における経営協の役割をうかがって、法の谷間のニーズ発掘のための活動として組織的にうごこうとしているお話を伺い、心強く思いました。とにかく、できることから組織的に動いていくこと、という印象を強く抱いてきました。      
                     (おわり)

次回は、前回「懇談会」の最後の資料「参考資料」からです。


◆【講演会】猪熊 律子 氏「テーマ」スライド 
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◆全社協・清家会長の始まりのご挨拶 
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◆全社協元会長・斎藤十郎氏の今までのお礼のご挨拶
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◆懇談会会場の様子 
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◆加藤勝信厚労大臣挨拶
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◆伊吹文明氏・社会福祉推進議員連盟顧問
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◆全国経営協・磯会長の「要望書」説明(スライド使用)
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◆災害派遣チームの説明(スライド)
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◆乾杯後の会場で
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◆秋田県社協・佐藤会長と高橋常務理事 青森県社協・前田保会長(右側、兼全社協副会長)
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第8回働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会 [2019年10月05日(Sat)]
第8回働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会(令和元年9月20日) 
《議事》 議論のとりまとめ その他
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000208525_00014.html
◎資料1 「働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」における議論のとりまとめ(案)
I. はじめに
短時間労働者に対する健康保険及び厚生年金保険の適用範囲
→公的年金制度の 財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律(平成 24 年 法律第 62 号)の規定により、2019 年(令和元年)9月末までに検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずることとされている。 加えて、平均寿命が延伸し「人生 100 年時代」を迎え、「教育・仕事・引退」という3ステージの単 線型の人生からマルチステージの人生を送るようになる中で、働き方の多様化に向けた動きが生じている。 これらの動きを踏まえた社会保険制度としての課題や対応について、社会保障審議会医療保険 部会や年金部会における検討に資するよう、保険局長及び年金局長の招集により、関連分野の有 識者や労働者・使用者団体からなる懇談会を開催することとなった。
本懇談会(1)短時間労働者に対する社会保険の適用範囲のあり方、及び、(2)働き方の 多様化等を踏まえた社会保険の適用におけるその他の課題について、2018 年(平成 30 年)12 月 から8回にわたり議論を重ねてきた。 このうち第2回から第4回懇談会にかけて、適用範囲の見直しの影響が大きいと考えられる業種 の使用者団体のほか、被用者保険が非適用となっている業種の団体、働き方の多様化に関する団 体、労働者団体など、計 13 団体1に対してヒアリングを実施し、(1)雇用・就労の実態、(2)これまで の被用者保険の適用拡大の実施状況、(3)今後の制度見直しに関する意見等の聴取を行い、その結果については、第5回懇談会において整理を行った。
第5回懇談会以降、このほか、すでに適用拡大を実施した企業に対するアンケート調査の結果 や、これまでの被用者保険の適用拡大に関する労働政策研究・研修機構(JILPT)による調査の 結果も踏まえて議論・検討を行った。本稿はこれらの議論をとりまとめたもの
である。

II. 基本的な考え方
1.多様な働き方に対応した社会保険における対応の必要性

近年、これまで労働参加が比較的進んでいなかった女性や高齢者が働き手として定着、短時間就労の担い手には、いわゆる就職氷河期世代などやむを得ず非正規雇用の枠組で就 労する者、一人親で育児をしながら就労する者や、健康上の理由でフルタイム就労が困難な者等、多様な者が含まれていることを踏まえれば、短時間労働者を被保険者として被用者保険の適 用対象としていくことが、意欲ある働き手がさらに働きやすい環境を整えつつ、その現在及び将来 の生活の安定を図る上で重要な課題である。この点、「経済財政運営と改革の基本方針 2019」 (2019 年(令和元年)6月 21 日閣議決定)においても、「就職氷河期世代支援プログラム」として 「短時間労働者に対する年金などの保障を厚くする観点から、被用者保険(年金・医療)の適用拡大を進めていく」こと、「高齢者、女性をはじめとして多様な就労・社会参加を促進するため勤労者 が広く被用者保険でカバーされる勤労者皆社会保険制度の実現を目指して検討を行う」こととされている。
また、被用者保険が適用される事業所の範囲からは一部の個人の事業所が除かれている。こうした事業所の従業員については、たとえフルタイムに近い就労に従事する場合においても被用者保 険に加入できていないため、その生活の安定を図るために、適用事業所の範囲を拡大することが 長らく検討課題とされてきた。
更に、働き方が多様化し、副業・兼業や雇用類似の働き方といった、より柔軟な働き方が普及しつ つある。現行の被用者保険制度はこうした働き方が一般的に選択されうることまでを想定しておらず、こうした柔軟な働き方にどう対応していくかは、被用者保険制度における新たな課題である。
平成の時代において、我が国の社会保険制度は、急速な少子高齢化に対応して、制度の持続 可能性を維持することへの対応に追われる中で、働き方の多様性に対応した制度の見直しが十分であったとは言い難い。年金制度においては、1985 年(昭和 60 年)の改正において、全国民共通 の基礎年金が導入され、その下で、女性の年金権確立を目的とした第3号被保険者制度の導入 や、分立する被用者保険制度の格差・不均衡の是正が図られたほか、すべての法人の事業所が 厚生年金の適用事業所となるなど、現在の働き手を取り巻く年金制度の骨格が確立している。また、それ以後の平成の 30 年間においても、被用者年金の一元化や一部の短時間労働者に対す る適用拡大が行われるなど、一定の改革努力は払われてきた。しかし、新たな令和の時代においては、多様な働き方をする個人に着目した一層の制度の改善に取り組むべきであろう。

2.今後の検討の方向性に関する基本的な考え方
多様な働き方に対応した社会保険制度の見直しの方向性→まず、男性が主に働き、女性は専業主婦という特定の世帯構成や、フルタイム労働者としての終身雇用といった特定の働き方 を過度に前提としない制度へと転換していくべき。我が国の働き手は、近年、更に多様化してきている。ライフスタイルに対する考え方が多様化する中、生涯未婚の者や、離婚の経験を持つ者、一人親で家族的責任を果たしている就労者もいる。また、育児・家 事といった家庭の状況や自身の健康上の制約のため、自らの新たなキャリア形成のため、あるいは いわゆる就職氷河期世代などのようにやむを得ず、フルタイム雇用以外の働き方に従事する者が 増えている。社会保険制度は、こうしたライフスタイルの多様性を前提とした上で、働き方や生き方 の選択によって不公平が生じず、広く働く者にふさわしい保障が提供されるような制度を目指していく必要がある。
加えて、個人の働く意欲を阻害せず、むしろ更なる活躍を後押しするような社会保険制度として いくべきであり、特に、社会保険制度上の適用基準を理由として就業調整が行われるような構造は、早急に解消していかなければならない。こうした就業調整は、本人のキャリア形成や生活の安 定にとっても必ずしもプラスにならない。加えて、女性や高齢者を含めた多様な個人が、それぞれ が置かれた状況に応じて、積極的に労働市場に参加していける環境を整えることは、今後、生産年 齢人口が急速に減少する中、我が国経済における労働力の確保と生産性の向上を図り、その活力 を維持していく上でも欠かせない。 また、働き手の多様性を踏まえた制度の見直しを検討していく上では、社会的に厳しい状況に 置かれている人々への対応という視点も重要である。特に、被用者として働いているにもかかわらず、自営業や農林水産業などの個人事業主、無職等の者が加入する国民健康保険・国民年金に 加入している者については、被用者による支え合いの仕組みである被用者保険の適用対象とし、 保険料負担を負担能力に応じたものとするとともに、将来の給付の充実を図ることで、その生活の 安定を図っていくことが必要。こうした方向は、就職活動の時期に求人難に置かれたいわゆる就職氷河期世代を含め、現在被用者保険の適用対象とされていない層が、将来、高齢期におけ る生活困窮に陥ることをできるだけ防止する観点からも極めて重要である。 同時に、被用者保険制度のあり方を考える上では、労働者と並ぶ制度の支え手である企業の視 点も決して忘れてはならない。冒頭に述べたとおり、被用者保険は労働者とその家族のための制 度であるが、企業もその収益の中から保険料を負担し、また日々の適用事務を企業が担うことによ り制度が支えられている。従業員を新たに被用者保険に適用する際に生ずる企業の保険料負担 は決して軽いものではなく、被用者保険の適用範囲を広げていく上では、それが企業の経営に与 える影響について配慮する必要がある。

III. 短時間労働者に対する被用者保険の適用範囲のあり方
1.これまでの適用拡大の結果及び影響の検証
@ 適用拡大の施行状況について
→図1〜図7への参照。
A 労働政策研究・研修機構(JILPT)による調査結果→図8〜図14への参照。
B 関係団体に対するヒアリング結果 →計 13 団体の結果について整理。適用拡大により、短時間労働者の労働時間について延長・短縮双方の動きがあったこと、企業 への影響は業種によっても違いがあったことといった本ヒアリングの結果は、@・Aで行った分析と も整合する
C 適用拡大企業に対するアンケート結果 →i) 従業員 501 人以上企業における適用拡大の影響等、ii) 労使合意に基づく適用拡大を導入した企業の導入目的・経緯等、iii) アンケート結果に関する総括(アンケート全体の結果を見れば、適用拡大による影響については、短時間労働者の適用回避行 動が一定数見られたこと、そのことにより人手不足にさらなる影響を与えていること、社会保険料負 担の増加が経営に与える影響が大きいなど、企業経営に対する負の影響があることも否定できな い反面、従業員への丁寧な説明により適用回避行動をある程度解消できること、むしろ人員確保 や従業員の福利厚生向上に資することなど、負の影響が軽微・減殺可能、あるいは正の影響があ るという認識も確認された)

2.今後の検討の方向性
@ 基本的な考え方
→第一に、被用者にふさわしい保障の実現に資すること、第二に、働き方や雇用の選択を歪めない制度の構築に資すること、第三に、社会保障の機能強化に資すること、適用拡大によって厚生年金の適用対象とな った者は、定額の基礎年金に加え、報酬比例給付による厚い保障を受けられるようになる。加え て、適用拡大はどのような働き方であっても共通に保障される給付である基礎年金の水準の確保 につながり、これによる年金制度における所得再分配機能の維持にも資する。
A 適用拡大の対象企業の範囲 →企業規模要件については、被用者にふさわしい保障の確保や経済活動 への中立性の維持、法律上経過措置としての規定となっていることなどの観点から、本来的な制度 のあり方としては撤廃すべきものであるとの位置づけで対象を拡大していく必要性が示された。
B 適用対象となる短時間労働者の範囲 →(ア) 労働時間要件(週労働時間 20 時間以上の者への適用拡大の検討)、(イ) 賃金要件(制度の見直しの緊要性の程度も念頭に置いた検討の必要性が示された)、(ウ) 勤務期間要件、(エ) 学生除外要件
C 健康保険における対応 →健康保険との関係については、厚生年金との制度上の差異に係る指摘 があった一方、実務上の課題を踏まえ一体的適用を維持することの必要性も示された。併せて、医 療保険財政についても、考えられる影響について適切な試算を行った上で、所要の対応策を講じ る必要性が指摘された。
D 第3号被保険者制度 →働き方やライフスタイルの選択を阻害しない制度とするため、まずは更なる適用拡大を通じて、ある 程度働く短時間労働者については被用者保険に加入する形を目指しつつ、制度のあり方につい ての将来像を議論していく必要性が指摘された。

IV. 被用者保険の適用事業所の範囲
1.検討の背景
→こうした制度の下、@法定された 16 の業種以外の非適用業種(第一次産業、法務業等の専門サービス業、宿泊・飲食サービス業、生活関連サービス・娯楽業等)の個人事業所と、A常時使用する者が5人未満の個人事業所に使用される従業員については、当該事業所が任意包括適用事 業所でない限り、被用者保険に入ることができない状況となっている。雇用保険や労災保険といった労働保険においては、従業員を一人でも雇用して いれば、適用事業となっており、被用者保険の適用事業所の範囲は、同じく被用者を対象者とした 労働保険と比べて狭くなっている。
2.現状の課題と今後の検討の方向性 →労働者の保護や老後保障の観点から、現 代に合った合理的な形に見直す必要があるのではないか、具体的には、従業員数5人以上の個 人事業所は、業種ごとの状況を踏まえつつ原則強制適用とすべきではないかとの意見があった。

V. 複数事業所就業者に対する被用者保険の適用のあり方
1.検討の背景
→複数の事業所において「複数就業者」が増加傾向。 また、複数就業者の多くは、本業における所得が低い傾向にあり、生計維持のために短時間就 労を掛け持ちしている者が少なくないとみられる。こうした中、複数就業者に対する社会保険については、「働き方改革実行計画」(2017 年(平 成 29 年)3 月 28 日、働き方改革実現会議決定)において、「複数の事業所で働く方の保護等の 観点や副業・兼業を普及促進させる観点」から、労働法制と合わせて、社会保険についても「公 平な制度の在り方」について検討を進めることとされた。
2.現状の課題と今後の検討の方向性 →複数事業所で就業する者については、該当する労働者にふさわしい保 障を確保する方策について、実務上の実行可能性も踏まえて引き続き議論していく必要性や、 現行の適用の仕組みの効率化を図る必要性が指摘された。

VI. 雇用類似の働き方への対応
1.検討の背景→、雇用類似の働き方をする者は被用者としての保障を受けられない状況にあり、伝統的な自営業者と同様に、自ら国民健康保険・国民年金等に加入。現在、厚生労働省の「雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会」において分野横断的な議論が行われており、そこで は、「社会保障等」については、「対象者の範囲や人数規模、働き方の広がり等も踏まえつつ、必 要に応じて検討していくことが適当である」と整理されている 。
2.現状の課題と今後の検討の方向性→雇用類似の働き方をする者は、役務の対償として報酬を得ているため、被用者に近い性質を有するが、社会保険の適用において被用者と異なっている。この点、例えば、出産時や病気・怪我による休業時のセーフティネットの一つとして、健康保険における出産手当金や傷病手当金に対するニーズの高さが指摘されている。本懇談会においても、個人事業主のうち、被用者性が高い者については被用者保険適用による 保障を検討すべきとの意見や、今や柔軟な働き方を選べる時代であり、誰もがフリーランス的な働き方になる可能性があることから、働き方に中立な社会保険制度を目指すべきとの意見があった。 一方で、自営業者との公平性の問題も考慮し、均衡を失しない制度とすべきとの意見もあった。 こうした議論を通じて、雇用類似の働き方への対応については、被用者性の高い個人事業主の 保護を図る観点から、制度上・実務上の課題も踏まえつつ、働き方の多様化の進展に応じてどのよ うな対応ができるか、引き続き議論していく必要性が指摘された。

VII. 結びに
本懇談会は、
冒頭述べたとおり、(1)短時間労働者に対する社会保険の適用範囲のあり方、及び、(2)働き方の多様化等を踏まえた社会保険の適用におけるその他の課題について、近年進展 してきている短時間労働を含む多様な働き方を社会保険制度の対象としていくための検討に資する観点から、2018 年(平成 30 年)12 月から8回にわたって精力的に議論を行った。
構成員の間では、被用者として働く者については被用者保険に加入するという基本的考え方が示された。また、多様な働き方の労働者が増加していることを踏まえて、被用者保険の適用のあり方について見直しを図るという大きな方向性は時代の要請であるといえる。
一方、特に適用拡大の影響を受けやすい業種の団体を念頭に、具体的な適用拡大の進め方に ついては、人手不足や社会保険料負担を通じた企業経営への影響等に留意しつつ、丁寧な検討 を行う必要性が示された。
このような基本的な方向性の認識については共有の上、懇談会として、できるだけ中立的にこれまでの適用拡大の結果及び影響について分析・検証を行った上で、今後の更なる適用拡大の検討の方向性について意見集約を行ったものが本「議論のとりまとめ」である。
ここで提示された方向性を踏まえつつ、現実に適用拡大により影響を受ける者へも配慮しながら、社会経済の大きな変化に対応する形での社会保険の適用拡大をはじめ、働き方の多様化を踏 まえた社会保険の対応について、社会保障審議会医療保険部会、年金部会など適切な検討の場において検討を深め、積極的に推進していただくことを強く期待する。


(別添1)働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会 構成員名簿
(別添2)働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会 各回の主な議題

次回は、「令和元年『全社協福祉懇談会』の開催」からです。
第4回精神障害者等の就労パスポート作成に関する検討会(資料) [2019年10月04日(Fri)]
第4回精神障害者等の就労パスポート作成に関する検討会(資料)(令和元年9月24日)10/4
(議事次第)1就労パスポートの試行結果を踏まえた様式等の改訂案 2 意見交換
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06897.html
◎資料4:事業主向け就労パスポート活用ガイドライン(案)→ほぼ同じですが、事業主に対するポイント点があります。3-3説明と同意(インフォームド・コンセント)の適切な実施です。目次でポイント。
1 はじめに
1-1 就労パスポートとは
1-2 就労パスポートの作成・更新の標準的な流れ
2 目的
2-1 本人が自己理解を深めるために
2-2 支援機関と連携して定着支援を行うために
2-3 合理的配慮の提供にあたって本人と話し合うために

3 利活用上の留意点
3-1 採用の可否の判断に用いるものではない
3-2 様々な支援も一緒に活用するとより効果的
3-3 適切な情報管理・情報共有のために →説明と同意(インフォームド・コンセント)の適切な実施
@ 取得した情報を本人の希望に沿った就労支援に活用していくことについて、本人が 理解できるように説明し、本人の同意を得る。
A あらかじめ情報共有の目的と範囲を本人に知らせ、情報共有することを明らかに。
B 一旦情報共有に関する同意が取られていても、利用目的や利用範囲が変わった場合 には、改めて情報共有の目的と範囲を設定して、本人から同意を取得。

4 各項目について•
〔1 職務経験〕
〔2 仕事上のアピールポイント〕
〔3 体調管理と希望する働き方〕
〔4 コミュニケーション面〕
〔5 作業遂行面〕
〔就職後の自己チェック〕
〔参考:支援機関〕
5 提供された就労パスポートの活用例•
5-1 採用前
5-2 採用時〜雇用継続段階

就労パスポートの情報取得と情報共有に関する同意書(参考様式)

◎資料5−1:本人向けリーフレット(案) →「利用者の声」あり。→☞ ポイント!! • 就労パスポートを効果的に 作成・活用するポイントは、 支援者の客観的な意見を参考 にしながら自分の特徴を整理 していくことです。 • この整理には一定の時間を 要する場合もあります。

◎資料5−2:本人向け活用の手引き(案)
◯目次のみ↓↓

1本手引きの内容
2就労パスポートとは?
2-1 作成・活用のメリット
2-2 どのような人が使う?
2-3 いつ、どのように使う?
3作成・活用する時のポイント
3-1 作成するかどうかや共有先などを決めるのは皆さん自身
3-2 支援者と一緒に作成するのがオススメ
3-3 書けそうな項目から書いてOK
3-4 所定の項目に当てはまらない等の場合は「自由記述」欄を活用
3-5 記載したくない項目はそのままでOK
3-6 様式の各項目は部分的に活用可能
3-7 様々な支援も一緒に活用するとより効果的!
3-8 様式の原本は自分で保管
3-9 「個人情報の保護」について
4 作成・更新の方法•
5 各項目の書き方
〔1 職務経験〕
〔2 仕事上のアピールポイント〕•
〔3 体調管理と希望する働き方〕
〔4 コミュニケーション面〕
〔5 作業遂行面〕•
〔就職後の自己チェック〕
〔参考:支援機関〕••

◎参考資料1:就労パスポート様式(案)見え消し
◎参考資料2:支援機関向け就労パスポート活用ガイドライン(案)見え消し
◎参考資料3:事業主向け就労パスポート活用ガイドライン(案)見え消し
◎参考資料4:本人向け活用の手引き(案)見え消し

次回は、新たに「第8回働き方の多様化を踏まえた社会保険の対応に関する懇談会」からです。
第4回精神障害者等の就労パスポート作成に関する検討会(資料) [2019年10月03日(Thu)]
第4回精神障害者等の就労パスポート作成に関する検討会(資料)(令和元年9月24日)
(議事次第)1就労パスポートの試行結果を踏まえた様式等の改訂案 2 意見交換
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06897.html
◎資料3:支援機関向け就労パスポート活用ガイドライン(案)
◯はじめに ↓↓
・就労パスポート作成の経緯、趣旨
→近年、障害者雇用は着実に進展、本人の障害理解や支援機関同士での情報連携等を進めるととも に、事業主による採用選考時の障害理解や就職後の職場環境整備を促すために、就労に向け た情報共有フォーマットとして、「就労パスポート」を作成。就労パスポート(試行版)を就労支援機関や障害者を雇用している企業など 15 か所で試行していただき、その結果を踏まえて必要な改訂・修正を加え、完成版を作成したもの。この活用により、本人の特徴を整理すること、それを事 業主や他の支援機関と共有することで、より適切な支援を行う手助けとなると共に、事業主 にとって雇用管理に役立つことにつながり、本人にとっても就労パスポートの作 成を通じて、自分自身の理解をより深めるきっかけを得ることや、その後の職場適応に役立 つことにつながる。
・支援機関における作成支援(内容更新も含む)の標準的な流れ→〔就労パスポートを初めて作成する時〕、〔就労パスポートの記載内容を更新する時〕、P2参照の事。

1利活用の目的→「就労パスポート」−名称の意味合い− 参照。
・1-1 本人の自己理解促進→本人が安定して働き続けるためには、自分の力を発揮しやすい仕事内容・職場環境を選ぶことや、必要に応じて自分の特徴に合った支援・配慮を得ること等が重要、これらの実現には本人の自己理解が前提。就労パスポートに情報を整理し、事業主等にわかりやすく伝えるために活用することができる。
・1-2 情報の共有と有効活用→本人のニーズを中心として各機関の協力・連携関係、担当者同士の「顔の見える関係」の密接な情報共有が行われ、、就労パスポートを活用すること。
・1-3 他の支援ツールや支援策と組み合わせることで職場定着を推進→就労パスポートと各種支援ツール・支援策を組み合わせた支援(例)参照。
・1-4 合理的配慮についての整理→「合理的配慮の提供義務」→募集・採用時には本人からの申し出によるものですが、採用 後には本人からの申し出の有無に関わらず、事業主から“職場で支障となっている事情の有 無”を確認する必要あり→自分自身のアピールポイントや職業上の課題、自分自身で課題や支障の改善 に向けて対処の工夫をしていること、あるいは試して確認した対処方法を整理し、事業主に 説明できることが求められている一方、支援者は、本人の自己理解や希望する合理的配慮の整理に対する支援、また事業主への特徴や配慮に関する本人の希望の伝達をサポートするという役割がますます求められており、ポイントを絞ったサポートを行うために就労パスポートを活用することができる。

2利活用のメリット
・2-1 本人にとってのメリット→「自分自身の特徴等の理解をより深めるきっかけを得ること」「事業主に伝えたい自分の特徴や希望を整理し、わかりやすく伝える具体的な伝達手段」「支援者との信頼関係の形成」「自己理解の促進」「た課題や整理しなければならない事項の再確認」
・2-2 事業主にとってのメリット→「スムーズな 雇い入れや職場適応につなげること」「課題の整理や課題の再確認」「本人の体調変化のサインを把握することにより本人の変化に早期に対応でき、職場定着に役 立てること」
・2-3 支援機関にとってのメリット→「支援 のポイントをつかみやすくなりポイントを絞って事業主に伝えることがで きる。」「(説明と同意)から本人との間に信頼関係を形成」「より適切な支援計画の策定につなげることができる」

3 利活用上のルール等
・3-1 対象→多様な障害特性のある精神障害者や発達障害者、高次脳機能障害 者を主な対象。他の障害のある方も本人の希望があれば活用することが可能。
・3-2 作成と活用の主体→就労パスポートの作成(☞標準的な作成の流れについては、6-1、6-2 参照)。就労パスポートの活用(本人)
・3-3 作成・利活用にあたっての留意点→支援者はアセスメント等を通して本人の特徴を把握した上で支援する(☞ 標準的な作成の流れについては、6-2 参照)。様式の全項目への記載や順番どおりの作成にとらわれるものではない(☞ 標準的な作成の流れについては、6-2 参照)。様式の各項目は部分的に活用できる。一度作成したら終わりではない、更新するものである(☞標準的な作成の流 れについては、6-3 参照)。他の就労支援策と組み合わせて活用する(☞活用例については、7-2 参照)。就労の可否の判断に用いるものではない(☞考え方については、8 Q1 参照)。

4 適切な情報管理・情報共有のための留意点→個人情報を取り扱うこと、支援者の守秘義務、個人情報保護法等による個人のプライバシー保護の要請など。
・4-1 説明と同意→本人が理解できるように説明し本人の同意を得るという 「説明と同意(インフォームド・コンセント)」を適切に実施する必要→@〜Hまで。
・4-2 就労パスポートの記載情報の管理→「要配慮個人情報」→@〜Bまで。

5 構成、記載要領
・5-1 構成(就労パスポートの項目一覧)→@〜E<就労パスポートの項目一覧>
・5-2 記載要領→本人が自身の気づき・理解に基づいて主体的に作成していくもの。 その際、支援者は、「本人の気づきを促す、気づきを深める」ように支援することが重要。→本文では、書き方のポイント、<各項目の記載要領>を示しています。必要な方は参考に。
《 就労パスポートの記載例(1〜4ページ目)》があります。

6 支援機関における作成支援(内容更新も含む)の標準的な流れ→再掲です。
・6-1 本人に対する説明、活用に関する意向確認 →@ 就労パスポートの趣旨等についての説明、A 就労パスポートをどのように活用したいか本人の意向を確認
・6-2 アセスメント・各種支援・ふり返りを通じて作成支援 →本人の気づきを促し、深めるための支援(「職業準備性」に課題が見られた場合の対応 も参照)、実際の体験や支援者等の意見をもとに就労パスポートの内容についての客 観性を高めることの大切さ、就労パスポート更新時のやり取り(本人から更新の希望があった場合、周囲が更新の必要性を感じた場合、更新した就労パスポート、更新前の就労パスポートそれぞれの取扱い )

7 作成した就労パスポートの活用例•→就労パスポートを活用する際の留意点@〜A参照。
・7-1 就職活動段階→他支援機関の利用登録時、職場実習前、採用面接時、
・7-2 就職時〜職場定着段階→就職時、職場定着段階(、就職初期に講じられた配慮や整備された職場環境が維持されているか、就職 後の職場環境等の変化や本人の作業ぶりに応じて何らか見直す必要があるか等について は、本人・事業主・支援者との間で、就労パスポートの記載内容に基づいて随時確認)

8 Q&A→Q1〜Q3まで。これに対応したA1〜A3まで。

◯就労パスポートの情報取得と情報共有に関する同意書(参考様式)→○○(支援機関名)は、個人情報保護規程に基づき、就労パスポートを活用した支援を 希望する方の個人情報を以下のとおり取り扱います。→1〜9まで。

次回は、「資料4:事業主向け就労パスポート活用ガイドライン(案)」からです。
第4回精神障害者等の就労パスポート作成に関する検討会(資料) [2019年10月02日(Wed)]
第4回精神障害者等の就労パスポート作成に関する検討会(資料)(令和元年9月24日)
(議事次第)1就労パスポートの試行結果を踏まえた様式等の改訂案 2 意見交換
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06897.html
◎資料1:就労パスポートの試行について ↓↓
◯就労パスポートの試行について

1.協力機関:15機関→ハローワーク、地域障害者職業センター、・・・・など。
2.実施期間→ 6月中旬〜8月末
3.実施件数

(1)就労パスポート作成件数:95件→精神障害42.1%、発達障害20.0%、高次脳機能障害12.6%、その他・不明25.3%
(2)質問票回答件数:141件→障害のある方本人:79件 支援機関:47件 事業主:15件

◯試行での主な意見及び対応案↓↓
4.活用のしやすさについて
→活用しやすかった64.5%、活用しにくかった35.5%

<活用しやすかったと回答した具体的な理由>
・本人についての理解促進や共通認識の形成に つながった、自己理解の促進につながった⇒試行での意見からピックアップして、本人向けリーフレット及びガイドラインに掲載

<活用しにくかったと回答した具体的な理由/活用しやすくするための意見>↓↓
・項目や選択肢が分かりづらかった⇒以下の「様式の各項目について」の意見への対応案のとおり、対応可能な項目については修正
・選択肢にチェックする形式が分かりやすかった/自由記述形式がよいのでは⇒様式は選択式と自由記述式の組み合わせを維持し、ガイドラインや本人向け資料の記載要領及び記載 例において自由記述欄の使い方を分かりやすく示す
・自由記述欄は小項目ごとに書けた方がよい⇒「その他(自由記述)」と「自分で対処していること」の位置を入れ替え、小項目ごとに自由記述欄 に記載できるようにする
・支援機関と一緒に作成するのがよい⇒ガイドラインや本人向け資料において、支援者と一緒に作成することが望ましい旨を分かりやすく記 載する
・就労の可否の判断に影響するのではないか⇒ガイドラインや本人向け資料において、就労の可否の判断に用いるものではない旨を記載するととも に、事業主向けセミナー等で周知する
・優先順位の高いものを示せるとよい⇒「4 コミュニケーション面」「5 作業遂行面」については、特に配慮を希望する項目に○を付け られるように様式を修正
・どの程度できるかのレベル感を示すことについて⇒自由記述欄でどの程度できるか示す記載例を盛り込む。また、本人の希望を前面に出せるように文言 を修正(「必要あり」→「希望あり」)
・具体的にどう対応してよいのか分からない⇒ガイドラインや本人向け資料において、支援機関の様々な支援も一緒に活用することが効果的である 旨を分かりやすく記載する。また、「〜があればできる」との項目については、「〜があれば」の部分 を基に配慮事項の検討に活用可能である旨の説明を追記する
・変化を追うことができるとよい⇒ガイドライン及び本人向け資料において、就労パスポートを更新した際の更新前の就労パスポートの 取扱い、更新前の様式を残す趣旨などを分かりやすく記載する
・就労経験がないと書きづらい項目があった⇒ガイドライン及び本人向け資料において、様式は部分的に活用可能である旨、就職前と就職後のそれ ぞれの記載例を分かりやすく掲載
・支援機関が就労パスポートに習熟する必要がある⇒支援機関向けワークショップを開催し、普及を図る予定
・既存のツールとの関係について⇒ガイドラインにおいて、他の支援ツールと組み合わせて活用する際の具体例などを分かりやすく記載 する
・活用の仕方のイメージが分からなかった⇒ガイドラインや本人向けリーフレットの「利用者の声」に活用の事例等を掲載するとともに、事業主 向けセミナー等で周知を図る
・様式をデータで扱えるとよい⇒様式のデータは厚生労働省のホームページからダウンロードできるように対応予定
・支援機関が作成を支援したことが明示されるとよい⇒様式で一律に示すのではなく、支援機関が本人への支援の状況に応じて別途資料を添付する例につい て、ガイドラインに記載
5.様式の分量について→分量が多すぎる20.7%、分量はちょうどよい63.7%、分量が少なすぎる15.6%


◎資料2:就労パスポート様式(案)→資料1により案となるバスポート案
1 職務経験 (これまで職場や、福祉サービス事業所等で経験した職務または作業とその期間を記入(受障前のものも含む))
2 仕事上のアピールポイント(職場等でできていた(できている)ことや自分の強みが発揮できそうな職種・作業内容、培ってきたスキルを記入)
3 体調管理と希望する働き⽅→ストレス・疲労、通院のための休暇、服薬管理 のための 配慮、希望する働き方、自由記述
4 コミュニケーション面→4-1 相手とのやりとり、4-2 相手の気持ちや考えの読みとり(推察)、自分で対処して いること
5 作業遂⾏面→5-1 指示内容、5-2 理解しやすい方法、5-3 指示・報告の相手、自分で対処していること。5-4 2つ以上の指示への優先順位づけ、5-5 作業途中での 予定変更への 対応、自分で対処して いること。5-6 作業の正確さ、5-7 作業ペース、自分で対処して いること。5-8 安定した 作業の実施、5-9 作業に伴う 確認・質問・ 報告、5-10 他者との 共同作業、自分で対処して いること。5-11 結果のふり返り、目標設定。

◯就職後の自己チェック(「4 コミュニケーション⾯」、「5 作業遂⾏⾯」の記載内容のうち、変化したと感じる項⽬(番号)を記⼊→職場・⽀援機関の担当者と⼀緒にふり返りを)
◯〔参考︓⽀援機関〕(利⽤している就労⽀援機関、福祉機関、医療機関等のうち、職場定着にとって重要と考えており、情報共有しておきたい機関を記載)

次回は、「資料3:支援機関向け就労パスポート活用ガイドライン(案)」からです。