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平成30年版障害者白書 [2018年07月21日(Sat)]
平成30年版障害者白書(2018年6月15日) 
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h30hakusho/gaiyou/index-pdf.html

第3章 社会参加へ向けた自立の基盤づくり
第1節 障害のある子供の教育・育成に関する施策
1.特別支援教育の充実
(1)特別支援教育の概要
→特別支援学校や小・中学校の特別支援学級、障害に応じた特別の指導(いわゆる「通級によ る指導」)においては、特別の教育課程や少人数の学級編制の下、 特別な配慮により作成された教科書、専門的な知識・経験のある教職員、障害に配慮した施設・設備等を活用して指導が行われている。近年、特別支援学校に在籍する幼児児童生徒の障害の重度・ 重複化が進んでおり、一層きめ細かな支援体制の整備が求められている。特別支援教育は、発達障害も含めて、特別な支援を必要とする子供が在籍する全ての学校において実施されるものであり、通常の学級に在籍する障害のある児童生徒に対しても、合理的配慮の提供を行いながら、必要な支援を行う必要がある。平成29(2017)年5月1日現在、特別支援学校及び小・中 学校の特別支援学級の在籍者並びに通級による指導を受けている幼児児童生徒の総数は約49万人となっており、増加傾向にある。平成30(2018)年度から開始した障害者基本計画(第4次)においては、基本的考え方として、共生社会の実現に向け、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に教育を受けることのできる仕組みの整備を進めるとともに、障害に対する理解を深めるための取組を推進すること等を掲げた。具体的には、個別の指導計画や個別の教育支援計画の活用を通じた、全ての学校における特別支援教育の充実、障害に対する理解や交流及び共同学習の推進、学校における外部人材の活用、医療的ケアや長期入院に係る教育機会確保、障害者の生涯を通じた多様な学習活動の充実について、記載を充実させている。また、小・中・高等学校等において通級による指導を受けている児童生徒数を毎年増加させていくことや、現状の体制整備状況を踏まえ、校内委員会の設置率や特別支援教育コーディネーターの指名率等の特別支援教育を行うための体制の整備及び必要な取組を全て行っている幼・小・中・ 高等学校等の割合をおおむね100%にすることなどを数値目標として盛り込んでいる。

(2)多様な学びの場の整備
ア 特別支援教育に関する指導の充実
@ 特別支援学校等における教育
→ 平成29(2017)年4月に新特別支援学校小学部・中学部学 習指導要領を公示し、@重複障害者である子供や知的障害者である子供の学びの連続性、A障害の特性等に応じた指導上の配慮の充実、Bキャリア教育の充実や生涯学習への意欲向上など自立と社会参加に向けた教育等を充実させた。また、 新特別支援学校学習指導要領等の円滑な実施のため、学習指導要領の趣旨を踏まえた教育課程の編成や、一人一人の障害の状態等に応じた指導方法の改善・充実について、先導的な 実践研究を実施。 通級による指導→高等学校段階において、小・ 中学校等のような通級による指導が制度化されていなかったことから、高等学校における特別支援教育の推進に関する調 査研究協力者会議において高等学校における通級による指導 の制度化に向けた検討を行い、平成28(2016)年に関係する省令等を改正した上で、平成30(2018)年度から開始することとした。また、障害のため通学して教育を受けることが困難な幼児児童生徒に対しては、教師を家庭、児童福祉施設や 医療機関等に派遣して教育(訪問教育)を行っている。平成 29年5月1日現在、小学部1,240人、中学部782人、高等部 806人の児童生徒が、この訪問教育を受けている。
A 障害のある児童生徒の教科書・教材の充実→ 特別支援学校の児童生徒にとっては、その障害の状態等によっては、一般に使用されている検定教科書が必ずしも適切ではない場合があり、特別な配慮の下に作成された教科書が必要となる。このため、文部科学省では、従来から、文部科学省著作の教科書として、視覚障害者用の点字版の教科書、聴覚障害者用の国語(小学部は言語指導、中学部は言語)及び音楽の教科書、知的障害者用の国語、算数(数学)及び音 楽の教科書を作成している。 なお、特別支援学校及び特別支援学級においては、検定教科書又は文部科学省著作の教科書以外の図書(いわゆる「一 般図書」)を教科書として使用することができる。 また、文部科学省においては、拡大教科書など、障害のある児童生徒が使用する教科用特定図書等の普及を図っている。 加えて、障害を補完し、学習を支援する補助手段として、 情報通信技術(ICT)などの活用を進めることが重要であることから、企業・大学等が学校・教育委員会等と連携して行う、ICTを活用した教材など、児童生徒の障害の状態等に応じた使いやすい支援機器等教材の開発の支援を実施した。
B 学級編制及び教職員定数→公立の特別支援学校及び小・中学校の特別支援学級におい ては、障害の状態や能力・適性等が多様な児童生徒が在籍し、一人一人に応じた指導や配慮が特に必要であるため、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律 (昭和33年法律第116号)及び公立高等学校の適正配置及び 教職員定数の標準等に関する法律(昭和36年法律第188号) に基づき、学級編制や教職員定数について特別の配慮がなされている。
C 教職員の専門性の確保→ 特別支援教育担当教師の養成は、現在、主として大学の特別支援教育関係の課程等において行われている。幼稚園、小・ 中学校及び高等学校の教員養成においても、教職に関する科目において、「障害のある幼児、児童及び生徒の心身の発達 及び学習の過程」について取り扱うこととしているほか、特別支援教育について学ぶ科目を開設している大学もある。また、教員免許更新制における免許状更新講習においても、 必修領域の事項の一つである「子どもの発達に関する脳科学、心理学等における最新の知見(特別支援教育に関するものを含む。)」の中で特別支援教育に関する内容を扱うことが規定されている。
D 免許制度の改善→ 平成19(2007)年度より、従来、盲学校・聾学校・養護学校ごとに分けられていた教諭の免許状が、特別支援学校の教諭の免許状に一本化。同時に、特別支援学校教諭 免許状の取得のためには、様々な障害についての基礎的な知識・理解と同時に、特定の障害についての専門性を確保することとなっている。また、大学などにおける特別支援教育に関する科目の修得状況などに応じ、教授可能な障害の種別を定めて授与することとしている。 ただし、特別支援学校教諭免許状については、教育職員免許法(昭和24年法律第147号)上、当分の間、幼・小・中・ 高等学校の免許状のみで特別支援学校の教師となることが可能とされているが、専門性確保の観点から保有率を向上させることが必要である。特別支援学校の教師の特別支援学校教諭等免許状の保有率は、全体で77.7%(平成29(2017)年5 月1日現在)であり、全体として前年度と比べ1.9ポイント 増加しているが、特別支援教育に関する教師の専門性の向上が一層求められている中で、専門の免許状等の保有率の向上は喫緊の課題となっていることから、特別支援学校教諭等免 許状の取得に資する取組や特別支援学校教員等に対する専門的な研究を実施した。

イ 学校施設のバリアフリー化→文部科学省では、学校施設の整備について、障害のある幼児児童生徒が支障なく学校生活を送るために障害の種類や程度に応じたきめ細かな配慮を行うよう、学校種ごとの学校施設整備指針において、施設の計画・設計上の留意点を示している。このほか、「学校施設バリアフリー化推進指針」を策定するとともに、具体的な取組を事例集として取りまとめている。報告書「災害に強い学校施設の在り方に ついて〜津波対策及び避難所としての防災機能の強化〜」では、 災害時に避難所となる学校施設におけるバリアフリー化の必要性について示している。これらの指針や事例集等は、地方公共団体等に配布するとともに、研修会等を通じて普及啓発に努めている。 さらに、学校施設におけるバリアフリー化の取組に対する支援の一つとして、エレベーターやスロープなどのバリアフリー化に関する施設整備について国庫補助を行っている。

ウ 専門機関の機能の充実と多様化
@ 独立行政法人国立特別支援教育総合研究所
→各都道府県等において指導的立場に立つ教職員等を対象に、「特別支援 教育専門研修」や「インクルーシブ教育システムの充実に関 わる指導者研究協議会」を実施しているほか、インターネットを通じて、通常の学級の教師を含め障害のある児童生徒等の教育に携わる幅広い教師の資質向上の取組を支援するための研修講義の配信や特別支援学校の教師の免許状保有率の向上に資する免許法認定通信教育を実施している。
A 特別支援教育センター→都道府県の特別支援教育センターにおいて、特別支援教育関係職員の研修、障害のある子供に係る教育相談、特別支援教育に係る研究・調査等が行われている。

(3)充実した支援体制の整備
ア 幼稚園から高等学校段階までの校内支援体制整備
→ 文部科学省では、学校や教育委員会などの取組を促進しており、障害のある子供への支援体制の整備、巡回相談や専門家チー ムによる支援、研修体制の整備・実施、関係機関との連携など、 支援体制整備の推進に係る経費の一部を補助。 平成29(2017)年度特別支援教育体制整備状況調査によると、 小・中学校においては、「校内委員会」の設置、「特別支援教育 コーディネーター」の指名といった基礎的な支援体制はほぼ整備、「個別の指導計画」の作成、「個別の教育支援計画」の作成についても着実な取組が進んでいる。 幼稚園段階からの支援の強化に向け、障害のある子供に対する早期からの教育相談及び支援体制の構築を推進するため、教育と保育、福祉、保健、医療等の連携推進、 情報提供等の取組に対する支援を実施。 また、発達障害を始め障害のある子供たちへの支援における教育と福祉の連携については、各自治体の教育委員会や福祉部局が主導し、支援が必要な子供やその保護者が、乳幼児期から 学齢期、社会参加に至るまで、地域で切れ目なく支援が受けられるよう、文部科学省と厚生労働省の両省による「トライアングル」プロジェクトを平成29年12月に設置し、家庭と教育と福祉のより一層の連携を推進するための方策について検討を行っ た。
イ 発達障害のある子供に対する支援→学校教育法(昭和22年法律第26号)の一部改正(平成18(2006) 年)により、幼稚園、小・中・高等学校等のいずれの学校においても、発達障害を含む障害のある幼児児童生徒に対する特別支援教育を推進することが法律上明確に規定された。 平成28(2016)年6月には発達障害者支援法(平成16年法律 第167号)の一部改正が公布され(同年8月施行)、発達障害児 がその年齢・能力に応じ、かつその特性を踏まえた十分な教育を受けられるよう、可能な限り発達障害児が発達障害児でない児童と共に教育を受けられるよう配慮することや、支援体制の整備として個別の教育支援計画・個別の指導計画の作成推進、 いじめの防止等のための対策の推進等が規定された。また、小・ 中学校、高等学校等における発達障害の可能性のある児童生徒等に対する支援に当たって、@特別支援教育の視点を踏まえた 学校経営構築の方法、A学習上のつまずきなどに対する教科指導の方向性の在り方、B通級による指導の担当教師等に対する研修体制の在り方や必要な指導方法、C指導や支援の内容等を適切に進学先等に引き継ぐための方法、D学校と福祉機関との連携支援、支援内容の共有方法に関する研究を実施した。
ウ 医療的ケアが必要な子供に対する支援→平成23(2011)年6月に公布された介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律(平成23年法律第 72号)による社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正により、 平成24(2012)年4月から一定の研修を受けた介護職員等は一 定の条件の下にたんの吸引等の医療的ケアができるようになったことを受け、特別支援学校等の教師等についても、制度上実施することが可能となった。 平成29(2017)年5月1日現在、医療的ケアを必要とする幼児児童生徒が特別支援学校に8,218人、小・中学校に858人在籍、文部科学省では、特別支援学校や小・中学校における医療的ケアを必要とする児童生徒の教育の充実を図るため、 看護師の配置に必要な経費の一部を補助している。また、学校において高度な医療的ケアに対応するため、医師と連携した校内支援体制の構築や、医療的ケア実施マニュアル等の作成など、 医療的ケアの実施体制の充実を図るモデル事業を実施した。
エ 私学助成→私立の特別支援学校、特別支援学級を置く小・中学校及び障 害のある幼児が就園している幼稚園の果たす役割の重要性から、これらの学校の教育条件の維持向上及び保護者の経済的負担の軽減を図るため、私立学校振興助成法(昭和50年法律第61 号)に基づき、国は経常的経費の一部の補助等を行っている。
オ 家庭への支援等→保護者の経済的負担を軽減し、その就学を奨励するため、就学のために必要な諸経費のち、教科用図書購入費、交通費、 寄宿舎居住に伴う経費、修学旅行費等について、保護者の経済的負担能力に応じて、その全部又は一部を助成する特別支援教 育就学奨励費が保護者に支給されている。

2.障害のある子供に対する福祉の推進
(1)障害児保育の推進
→厚生労働省においては、障害のある児童の保育所での受入れを 促進するため、昭和49(1974)年度より障害児保育事業において 保育所に保育士を加配する事業を実施。 当該事業については、事業開始より相当の年数が経過し、保育所における障害のある児童の受入れが全国的に広く実施されるようになったため、平成15(2003)年度より一般財源化し、平成19 (2007)年度より地方交付税の算定対象を特別児童扶養手当の対象児童から軽度の障害のある児童に広げる等の拡充をしている。 また、平成27(2015)年度より施行した子ども・子育て支援新制度においては、@障害のある児童等の特別な支援が必要な子供を受け入れ、地域関係機関との連携や、相談対応等を行う場合に、 地域の療育支援を補助する者を保育所、幼稚園、認定こども園に配置、A新設された地域型保育事業について、障害のある児童を受け入れた場合に特別な支援が必要な児童2人に対し保育士1人の配置を行っている。 さらに、保育現場におけるリーダー的職員を育成するため、平 成29(2017)年度より開始した「保育士等キャリアアップ研修」 の研修分野に「障害児保育」を盛り込み、障害児保育を担当する 職員の専門性の向上を図っている。 なお、障害児保育の研修分野を含めた保育士等キャリアアップ 研修を修了し、リーダー的職員となった者に対して、その取組に応じた人件費の加算を実施している。 加えて、障害児保育に係る地方交付税について、平成30(2018) 年度からは、措置額を約400億円から約800億円に拡充するとともに、障害児保育に係る市町村の財政需要を的確に反映するため、 各市町村の保育所等における「実際の受入障害児数」に応じて地方交付税を算定することとした。
(2)放課後児童クラブにおける障害のある児童の受入推進→年々、着実に増加しており、平成29(2017)年5月現在で、全 24,573クラブのうち約56%に当たる13,648クラブにおいて、36,493 人を受け入れている状況。障害のある児童を受け入れるに 当たっては、個々の障害の程度等に応じた適切な対応が必要なことから、障害のある児童を1人以上受け入れている放課後児童ク ラブに専門的知識等を有する職員を配置するために必要な経費を補助しているところ。 加えて、平成29年度からは、消費税財源を活用して、障害のある児童3人以上の受入れを行う場合について、更に1名の専門的 知識等を有する職員を配置するために必要な経費の上乗せ補助や 医療的ケア児の受入れを行う場合について、看護師等を配置するために必要な経費の補助を行っており、放課後児童クラブの利用を希望する障害のある児童が放課後児童クラブを適切に利用できるよう支援している。
(3)療育体制の整備
ア 福祉施設における療育機能の強化
→障害児支援については、平成24(2012)年4月から知的障害児施設等の障害種別に分かれていた施設体系について、通所による支援を「障害児通所支援」に、入所による支援を「障害児入所支援」にそれぞれ一元化し、障害児支援の強化を図っている。さらに、学齢期における支援の充実を図るために「放課後等デイサービス」を、保育所等に通う障害のある児童に対して 集団生活への適応を支援するために「保育所等訪問支援」を創設。 平成28(2016)年6月に改正された児童福祉法(昭和22年法 律第164号)により、重度の障害等により外出が著しく困難な 障害のある児童に対し、居宅を訪問して発達支援を提供する「居 宅訪問型児童発達支援」を創設。加えて、保育所等の障害のある児童に発達支援を提供する「保育所等訪問支援」について、訪問先を乳児院及び児童養護施設にも拡大した。
イ 地域における療育体制の整備→平成28(2016)年6月に改正された児童福祉法により、医療的ケアが必要な障害のある児童が適切な支援を受けられるよう、地方公共団体において、保健、医療、福祉等の連携促進を図ることが努力義務とされた。併せて、障害児支援の提供体制の計画的な構築を図るため、地方公共団体において、「障害児福祉計画」を策定することが義務付けられた。 平成29(2017)年7月には「児童発達支援ガイドライン」を発出し、提供すべき支援の内容や運営に関する基本事項を示すことにより、支援の質の向上を図っている。関係機関と連携を図り、円滑な児童発達支援の利用と適切な移行を図ることとしている。 さらに平成30(2018)年度からは、外部の看護職員が事業所を訪問し、障害のある児童に対して長時間の支援を行った場合等について新たに報酬上評価するなど、医療的ケア児に対する 支援を拡充している。

3.社会的及び職業的自立の促進
(1)特別支援学校と関係機関等の連携・協力による就労支援
→文部科学省では、厚生労働省と連携し、各都道府県教育委員会等に対し、就労支援セミナーや障害者職場実習推進事業等の労働関係機関等における種々の施策を積極的に活用することや、福祉関係機関と連携の下で就労への円滑な移行を図ることなど障害のある生徒の就労を支援するための取組の充実を促している。
(2)高等教育等への修学の支援→大学入試センター試験や各大学の個別試験において、点字・拡 大文字(大学入試センター試験においては、拡大文字問題冊子について、14ポイント版に加え、22ポイント版も作成)による出題、 筆跡を触って確認できるレーズライター(ビニール製の作図用紙 の表面にボールペンで描いた図形や文字がそのままの形で浮き上 がるため、描きながら解答者が筆跡を触って確認できる器具)による解答、文字解答・チェック解答(専用の解答用紙に選択肢の 数字等を記入・チェックする解答方式)、試験時間の延長、代筆 解答等の受験上の配慮を実施している。
3)地域における学習機会の提供→文部科学省では、公民館や図書館、博物館といった社会教育施 設について、それぞれの施設に関する望ましい基準を定めるなど、 障害の有無にかかわらず、全ての人々にとって利用しやすい施設となるよう促している。
(4)生涯を通じた学びの支援→文部科学省内に「特別支援総合プロジェクト特命チーム」を設置するとともに、平成29(2017)年度から生涯学習政策局に「障害者学習支援推進室」を新設した。また、平成30(2018)年度より新規で「学校卒業後における障害者の学びの支援に関する実践研究事業」として、学校から社会への移行期や人生の各ステージにおける効果的な学習プログラムや実施体制、関係機関・団体等との連携等に関する実証的な研究等に取り組むこととしている。

次回は、続き「第3章、第2節 雇用・就労の促進施策」からです。
平成30年版障害者白書 [2018年07月20日(Fri)]
平成30年版障害者白書(2018年6月15日) 
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h30hakusho/gaiyou/index-pdf.html

第2章 障害のある人に対する理解を深めるための基盤づくり

第2節 障害を理由とする差別の解消の推進
1.障害者差別解消法の制定経緯
→障害者の権利の実現に向けた措置などを規定した「障害者の権利に関する条約」が、平成18(2006) 年12月の第61回国連総会において採択され、平成20(2008)年5月に発効。我が国においては、平成19(2007)年9月に署名し、平成 26(2014)年1月に批准書を国連に寄託し、同年2月から効力が発生している。 障害者権利条約は、障害に基づくあらゆる形態の差別の禁止について適切な措置を求めており、我が国においては、平成23(2011)年の 障害者基本法の改正の際、障害者権利条約の趣旨を基本原則として取り込む形で、同法第4条に差別の禁止が規定された。 この規定を具体化するものが障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)であり、平成25(2013)年6月に成立、平成28(2016)年4 月から施行された。

2.障害者差別解消法の概要
(1)対象となる障害者
→障害者差別解消法第2条に規定された「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」。対象となる障害者は、いわゆる障害者手帳の所持者に限られない。なお、高次脳機能障害は、精神障害に含まれる。
(2)対象となる事業者及び分野→ 障害者差別解消法は、国や地方公共団体などの行政機関等のほか、事業者も対象に含まれ、対象となる事業者は、商業その他の事業を行う者であり、個人事業者やボランティアなどの対価を得ない無報酬の事業を行う者、非営利事業を行う社会福祉法人や 特定非営利活動法人なども、同種の行為を反復継続する意思をもって行っている場合は事業者として扱われる。 分野としては、教育、医療、福祉、公共交通、雇用など、障害 者の自立と社会参加に関わるあらゆるものを対象にしているが雇用分野についての差別の解消の具体的な措置(障害者差別解消 法第7条から第12条までに該当する部分)に関しては、「障害者の雇用の促進等に関する法律」(昭和35年法律123号)の関係規定に委ねることとされている。
(3)不当な差別的取扱いの禁止→不当な差別的取扱いとは、例えば、正当な理由なく、障害を理由に、財・サービスや各種機会の提供を拒否したり、制限したり、 条件を付けたりするような行為。このような行為は、行政機関等であるか事業者であるかの別を問わず禁止される。 正当な理由となるのは、障害を理由として、財・サービスや各種機会の提供を拒否するなどの取扱いが、客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、その目的に照らしてやむを得ないと言える場合である。
(4)合理的配慮の提供→合理的配慮とは、障害者やその家族、介助者等、コミュニケーションを支援する人から何らかの配慮を求める意思の表明があった場合には、その実施に伴う負担が過重でない範囲で、社会的障壁(障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁 となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもの)を取り除くために必要かつ合理的な配慮を行うこと。 過重な負担の有無については、行政機関等及び事業者において、個別の事案ごとに、事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か)、実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)、費用・負担の程度、事務・ 事業規模、財政・財務状況といった要素などを考慮し、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断することが必要。 ただし、合理的配慮は、一律に義務付けるのではなく、行政機関等には義務を課す一方で、事業者には努力義務とされている。
(5)環境の整備→障害者差別解消法第5条では、不特定多数の障害者を主な対象 として行われる事前的改善措置(公共施設や交通機関におけるバリアフリー化、意思表示やコミュニケーションを支援するためのサービス・介助者等の人的支援、障害者による円滑な情報の取得・利用・発信のための情報アクセシビリティの向上など)については、個別の場面において、個々の障害者に対して行われる合理的配慮を的確に行うための「環境の整備」として実施に努めることとしている。(これには、ハード面のみならず、職員に対する研修などのソフト面の対応も含まれる。)
(6)基本方針並びに対応要領及び対応指針→政府は、障害者差別解消法第6条に基づき、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」を平成27(2015)年2月 24日に閣議決定した。この基本方針に即して、国や地方公共団体などの行政機関等は、不当な差別的取扱いの禁止や合理的配慮の提供に関し、その職員が適切に対応するために必要な「対応要領」を定めることとされており(地方公共団体の策定は努力義務)、都道府県及び指定都市においては、平成29(2017)年度末までに全て策定済みとなっている。 また、事業を所管する各主務大臣においては、基本方針に即して、不当な差別的取扱いの禁止や合理的配慮の提供に関し、事業者が適切に対応するために必要な事項(相談体制の整備、研修・ 啓発等)や、各事業分野における合理的配慮の具体例等を盛り込んだ「対応指針」を定めている。

3.障害者差別解消法の施行に関する取組等
(1)合理的配慮の提供等事例集
→内閣府では、障害者差別解消法に基づく合理的配慮の提供や環境の整備に関する事例を関係省庁、地方公共団体、障害者団体などから収集し、障害種別や生活場面別に整理した上で、「合理的 配慮の提供等事例集」として取りまとめた。
(2)障害者差別解消支援地域協議会の設置の促進→障害者差別解消法第17条において、国及び地方公共団体の機関は、相談事例等に係る情報の共有・協議を通じて、各自の役割に応じた事案解決のための取組や類似事案の発生防止などを行うネットワークとして、「障害者差別解消支援地域協議会」(以下「地 域協議会」という。)を組織することができるとされている(平 成29(2017)年度末までに全ての都道府県及び指定都市において設置済み)。内閣府では、現在未設置の地方公共団体に対しても 取組を後押しするため、有識者等をアドバイザーとして派遣した。
(3)地域フォーラム→内閣府では、地域の障害のある人や関係者の意見を広く聴取し、 障害者差別解消法の円滑な施行を目指すとともに、各地域における取組の促進と気運の醸成を図ることを目的とする地域フォーラ ムを開催した。
(4)主務大臣等による行政措置→事業者における障害者差別解消に向けた取組は、主務大臣の定める対応指針を参考にして、各事業者により自主的に取組が行われることが期待されるが、適切な履行が確保されず事業者が法に反した取扱いを繰り返し、自主的な改善を期待することが困難である場合など、特に必要があると認められるときは、主務大臣又 は地方公共団体の長等は、事業者に対し、報告を求め、又は助言、 指導若しくは勧告をすることができるとされている(平成29 (2017)年度は主務大臣等による行政措置の実績なし)。

第3節  2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした取組
1.経緯
→平成27(2015)年11月に閣議決定された「2020年東京オリンピック 競技大会・東京パラリンピック競技大会の準備及び運営に関する施策の推進を図るための基本方針」において、2020年東京オリンピック・ パラリンピック競技大会を契機として、 障害の有無等にかかわらず、誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う「心のバリアフリー」を推進することや、全国展開を見据えつつ、東京においてユニバーサルデザインの街づくりを進めることで、共生社会を実現し、障害者等の活躍の機会を増やしていくことが位置づけられ、平成29(2017)年2月に「ユニバーサルデザイン2020行動計画」が決定された。

2.ユニバーサルデザイン2020行動計画の概要
(1)基本的な考え方
→障害のある選手たちが圧倒的なパフォーマンスを見せる2020年 東京パラリンピック競技大会は、共生社会の実現に向けて人々 の心の在り方を変える絶好の機会。「障害」は個人の心身機能の障害と社会的障壁の相互作用によって創り出されているものであり、社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障害の社会モデル」をすべての人が理解し、それを自らの意識に反映していくことが重要。この機を逃さず、国民全体を巻き込んだ「心のバリアフリー」の取組を展開するとともに、世界に誇れるユニバーサルデザインの街づくりを実現すべく取り組む。(本行動計画に記載された内容は、本白書に記載される様々な障害者にかかわる施策に反映されていくものである。) 等
(2)具体的な取組
ア 「心のバリアフリー
」→様々な心身の特性や考え方を持つすべての人々が、相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合うこと。そのためには、一人一人が具体的な行動を起こし継続することが必要、そのために重要なポイントとして、以下の3点を挙げた。@障害のある人への社会的障壁を取り除くのは社会の責務であるという「障害の社会モデル」を理解すること。A障害のある人(及びその家族)への差別(不当な差別的取扱い及び合理的配慮の不提供)を行わないよう徹底すること。B自分とは異なる条件を持つ多様な他者とコミュニケーションを取る力を養い、すべての人が抱える困難や痛みを想像し共感する力を培うこと。
イ ユニバーサルデザインの街づくり→街づくりは極めて幅広い分野であり、かかわる施策も多岐にわたる。このため行動計画においては、大きく@東京大会に向けた重点的なバリアフリー化とA全国各地における高い水準のユニバーサルデザインの推進という2つの観点から、幅広い施策をとりまとめた

3.ユニバーサルデザインの加速に向けた取組状況→この行動計画をもとに、関係省庁等が共生社会の実現に向けた諸施策を推進する中、2020年パラリンピック大会まで1000日を切った平成 30(2018)年1月に「ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議(第2 回)」を開催し、レガシーとしての共生社会の実現に向け、「心」と「街」の両分野における積極的な取組を共有し、施策の更なる進展を図り、 共生社会の実現に向けた取組の加速化を確認した。

次回は、「第3章 社会参加へ向けた自立の基盤づくり」からです。
平成30年版障害者白書 [2018年07月19日(Thu)]
平成30年版障害者白書(2018年6月15日) 
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h30hakusho/gaiyou/index-pdf.html

第2章 障害のある人に対する理解を深めるための基盤づくり
第1節 障害のある人に対する広報・啓発等の推進

・平成30(2018)年3月に閣議決定された「障害者基本計画(第4次)→U 基本的な考え方」として「理解促進・広報啓発に係る取組等の推進」を掲げ、障害のある者と障害のない者が、お互いに、障害の有無にとらわれることなく、支え合いながら社会で共に暮らしていくことが日常となるように、国民の理解促進に努めること、また、 本基本計画の実施を通じて実現を目指す「共生社会」の理念や、いわゆる 「社会モデル」の考え方について、必要な広報啓発を推進することとされている。
1.障害者週間
・障害者基本法(昭和45年法律第84号)第9条
→毎年12月3日か ら9日までの1週間を「障害者週間」と規定。この障害者週間は、同法の基本原則である「すべての国民が、相互に人格と個性を尊重し支え合う「共生社会」の理念の普及を図り、障害及び障害者に 対する国民の関心と理解を一層深めること」を目的として、我が国全体で実施するもの。
・内閣府→平成29(2017)年度における「障害者週間」行事→全国の小・中学生等から、障害のある人とのふれあい体験をつづった「心の輪を広げる体験作文」及び「障害者週間のポスター」を募集し、応募があった作品の中から最優秀賞作品として、作文3編及びポスター2点を選定した。なお、皇太子同妃両殿下の御臨席の下、12月 5日(火)に執り行われた「障害者週間」関係表彰式では、作文及び ポスターの最優秀賞受賞者(計5名)及び障害者関係功労者表彰の受賞者(計26名)に対し、安倍内閣総理大臣から内閣総理大臣表彰が授与された。また、その他の関連行事として、12月7日(木)及び12月 8日(金)に、一般国民を対象に障害又は障害者をテーマとする障害者週間「連続セミナー」を、障害者関係団体と連携して実施した。

2.各種の広報・啓発活動
(1)各種の週間・月間等の取組
→ 障害のある人への理解を深めるための広報・啓発活動として、 9月1日から30日までの「障害者雇用支援月間」、10月16日から 22日までの「第65回精神保健福祉普及運動」、12月4日から10日 までの「人権週間」等を実施した。また、世界自閉症啓発デーを含む4月2日から8日までの「発達障害啓発週間」においては、 全国の地方公共団体や関係団体等により様々な啓発活動が実施された。
(2)バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰→高齢者、障害のある人、妊婦や子供連れの人を含む全ての人が 安全で快適な社会生活を送ることができるよう、ハード、ソフト両面のバリアフリー・ユニバーサルデザインを効果的かつ総合的に推進する観点から、顕著な功績又は功労のあった個人・団体に 対して、内閣総理大臣表彰等を実施。平成29(2017)年度は、9 団体を表彰した。

3.障害者施策に関する情報提供等
内閣府に設置される審議会「障害者政策委員会」→会議 運営に当たり情報保障の観点から積極的な情報提供に配意しており、 具体的には、会議の全状況をインターネットによるオンデマンド配信として、動画、音声、手話及び要約筆記の文字情報により一定期間提供している。

4.障害者白書のマルチメディアデイジー化→障害者基本法第13条に基づき、障害者のために講じた施策の概況について、毎年、政府が国会に提出する年次報告書である「障害者白書」 については、平成28年版より、視覚障害者や普通の印刷物を読むこと が困難な人々のためのデジタル録音図書である「マルチメディアデイジー」版を作成し、内閣府のホームページにおいて公表している。

5.福祉教育等の推進
(1)学校教育における取組
−交流及び共同学習の推進 →幼稚園、小・中・高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等 において、交流及び共同学習の機会を設ける旨が規定、教育委員会が主体となり、学校において、各教科やスポーツ、文化・芸術活動等を通じた交流及び共同学習の機会を設 けることにより、障害者理解の一層の推進を図る取組等を行っている。また、「ユニバーサルデザイン2020行動計画」(平成29(2017) 年2月20日ユニバーサルデザイン2020関係閣僚会議決定)に基づき、「心のバリアフリー学習推進会議」を設置し、平成30(2018)年2 月に交流及び共同学習の推進方策について提言を取りまとめた。
(2)地域住民への広報・啓発→社会教育施設等における学級・講座等においては、障害のある人に対する理解を深めることを重要な学習課題の一つと位置付け、青少年の学校外活動や成人一般、高齢者の学習活動が展開されている。また、精神保健福祉センターや保健所では、精神障害のある人に対する正しい理解を促すため、住民に対する精神保健福祉に関する知識の普及・啓発を行っている。

6.ボランティア活動の推進
(1)学校におけるボランティア教育→学習指導要領において、道徳、総合的な学習の時間及び特別活動等において、思いやりの心や助け合いに関する指導、ボランティア活動の充実などを図っている。 また、高等学校等においては、生徒が行うボランティア活動などの学校外における学修について、校長が教育上有益と認めるときは合計36単位を上限として単位として認定することが可能となっている。
(2)地域福祉等ボランティア活動の促進→内閣府では、地域における共生社会の実現に向けた課題解決に対応できる人材育成を目的とした「地域課題対応人材育成事業『地域コアリーダープログラム』」を実施した。障害者関連分野については、平成29(2017)年度に、日本青年9名(団長含む)をニュー ジーランドに派遣し、翌30(2018)年2月にドイツ、ニュージー ランド及びオーストリアの青年リーダー計13名を日本に招へいした。

7.公共サービス従事者等に対する障害者理解の促進→警察では、警察学校や警察署等の職場において、新たに採用された 警察職員に対する採用時教育の段階から、障害者施設への訪問実習、 有識者による講話等、障害のある人の特性や障害に配慮したコミュニケーション等への理解を深めるための研修を行っている。 刑務所等矯正施設に勤務する職員に対しては、矯正研修所及び全国7か所の矯正研修所支所において、人権擁護、精神医学などの適切な対応の仕方について講義しているほか、社会福祉施設における介護等 体験実習を実施。 更生保護官署職員に対しては、各種研修において、障害のある人や障害特性に対する理解を含む人権全般に関する知識等を深めるための講義や精神障害のある人等が入所する施設の見学を実施。 法務省の人権擁護機関では、中央省庁等の職員を対象として、人権に関する国家公務員等の理解と認識を深めることを目的とした「人権 に関する国家公務員等研修会」を、また、都道府県及び市区町村の職員を対象として、その指導者として必要な知識を習得させることを目的とする「人権啓発指導者養成研修会」を実施。このほか、 検察職員、矯正施設職員、入国管理関係職員及び裁判官・家庭裁判所調査官に対する研修等に講師を派遣。日本司法支援センター(法テラス)では、本部の担当職員がサービス介助士の資格を取得し、全国の職員が参加する研修で、障害のある人への支援の方法や、利用者の立場を理解した丁寧かつ適切な対応方 法等の知識を伝達、各地の取組につなげている。

次回も、第2章の続き「第2節 障害を理由とする差別の解消の推進」からです。
平成30年版障害者白書 [2018年07月18日(Wed)]
平成30年版障害者白書(2018年6月15日) 
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h30hakusho/gaiyou/index-pdf.html
第1章 障害者施策の総合的かつ計画的な推進
−新たな障害者基本計画(第4次)の策定−


第4節 第4次基本計画の各分野における基本的考え方及び主な施策
1.安全・安心な生活環境の整備

【基本的考え方】→障害者がそれぞれの地域で安全に安心して暮らしていくことができる生活環境を実現するため、住環境の整備、移動しやすい環境の整備、アクセシビリティに配慮した施設等の普及促進、障害者 に配慮したまちづくりの総合的な推進等を通じ、障害者の生活環 境における社会的障壁の除去を進め、アクセシビリティの向上を推進する。 【主な具体的施策】→障害者向け公共賃貸住宅の供給の推進、障害者への配慮(優先入居の実施、保証人の免除等)の促進 ・ 新たな住宅セーフティネット制度(障害者等の住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度等)の創設 ・ 公共交通機関のバリアフリー化(段差解消、ホームドア等の転落防止設備の導入等)の推進 ・ 交通事業者等における教育訓練等の促進 ・ 障害者等の安全快適な移動に資する新たなシステム(信号情報活用運転支援システム、安全運転支援システム及び高度道路交通シ ステム)の研究開発、サービス展開 ・建築物のバリアフリー化の促進 ・ 日常生活製品等のユニバーサルデザイン化に関する標準化の 推進。また、国立・国定公園等におけるビジターセンター、園路等のバリアフ リー化 ・パーキングパーミット制度(※3)の普及促進 ・ ICTを活用した歩行者移動支援の普及促進(屋内外シームレスな 電子地図や屋内測位環境等の空間情報インフラの整備・活用等に よる民間事業者等が多様なサービスを提供できる環境づくりの推 進)、施設や製品等について、誰にとっても利用しやすいデザインにするという考え方。    障害者等用駐車スペースを利用できる対象者の範囲を設定し、条件に該当する希望者に地域の協力施設で共通に利用できる利用証を交付する制度。

2.情報アクセシビリティの向上及び意思疎通支援の充実
【基本的考え方】→障害者が必要な情報に円滑にアクセスできるよう、障害者に配慮した情報通信機器・サービス等の開発・提供等の促進や、障害者が利用しやすい放送・出版の普及等の様々な取組を通じて情報ア クセシビリティの向上を推進。障害者が円滑に意思表示やコミュニケーションを行うことができるよう、意思疎通支援を担う人材の育成・確保や支援機器の開発 等を通じて意思疎通支援の充実を図る。
【主な具体的施策】→障害者に配慮した情報通信機器、サービス等の企画・開発・提供の促進。アクセシビリティに関する国際規格に基づいた情報通信機器等の調達の実施。聴覚障害者が電話を一人でかけられるよう支援する電話リレーサービスの実施体制の構築。字幕放送、解説放送、手話放送等の普及の促進。アクセシビリティに配慮された電子出版の普及の一層の促進。手話通訳者等の育成・確保等を通じたコミュニケーション支援の充実。 アクセシビリティに配慮した行政情報の提供(ICT等の新技術も 積極的に利活用)

3.防災、防犯等の推進
【基本的考え方】→障害者が地域社会において安全に安心して生活することができる よう、災害に強い地域づくりを推進するとともに、災害発生時に、 障害特性に配慮した適切な支援や避難所・応急仮設住宅の確保等を行うことができるよう、防災や復興に向けた取組を推進する。障害者を犯罪被害や消費者被害から守るため、防犯対策や消費者トラブルの防止を推進する。
【主な具体的施策】→災害発生時における障害特性に配慮した情報伝達の体制整備の促進。 避難所、応急仮設住宅のバリアフリー化の推進、福祉避難所の確保の促進。スマートフォン等を活用した音声によらない119番通報システムの導入の推進。被災地における安定的な障害福祉サービスの提供(被災地の障害 福祉サービス事業者に対する支援等)。ファックスやEメール等による110番通報の利用の促進、関係機関や地域住民等と連携した障害者支援施設等の安全確保体 制の構築、障害者を含む性犯罪・性暴力の被害者等に対する支援体制の充実 (行政の関与する性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支 援センターの設置促進・運営の安定化等)、障害特性に配慮した消費生活相談体制の整備(ファックスやEメー ル等での消費者相談の受付、相談員等の障害者理解のための研修 等の促進)、     一般の避難所では生活することが困難な要配慮者のために特別な配慮がなされた避難所。

4.差別の解消、権利擁護の推進及び虐待の防止
【基本的考え方】→社会のあらゆる場面において障害を理由とする差別の解消を進めるため、障害者差別の解消に向けた取組を幅広く実施することにより、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25 年法律第65号)等の実効 性ある施行を図る。障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(平成23年法律第79号)の適正な運用を通じて障害者虐待を防止するとともに、障害者の権利侵害の防止や被害の救済を図るため、 障害者の権利擁護を着実に推進する。
【主な具体的施策】→相談支援専門員等による障害者虐待の未然防止、障害者に対する差別・権利侵害の防止や被害救済のための相談・ 紛争解決等の実施体制の充実、障害者差別の解消、合理的配慮の促進に向けたハード・ソフト両 面での環境整備の着実な推進(環境整備の具体的な考え方等を指 針等において具体化するなど、施策の円滑な実施に配意)。障害者差別解消法に基づく地域協議会の設置の促進。ハローワーク等における指導、第三者による調停等の雇用分野における紛争解決援助。書類の記入が必要な手続における記名捺印、代筆による対応等の 配慮の促進

5.自立した生活の支援・意思決定支援の推進
【基本的考え方】→自ら意思を決定・表明することが困難な障害者に対し、必要な意思決定支援を行うとともに、障害者が自らの決定に基づき、身近な地域で相談支援を受けることのできる体制を構築。障害者の地域移行を一層推進し、障害者が必要なときに必要な場 所で、地域の実情に即した適切な支援を受けられるよう取組を進める。在宅サービスの量的・質的な充実、障害のある子供への支援の充実、 障害福祉サービスの質の向上、アクセシビリティ向上に資する機 器の研究開発、障害福祉人材の育成・確保等に着実に取り組む。 【主な具体的施策】→自ら意思を決定・表明することが困難な障害者に対する支援等の推進、成年後見制度の適切な利用の促進(必要な経費の助成、成年後見 等の業務を適正に行うことができる人材の育成等)。様々な障害種別、年齢、性別、状態等に対応した総合的な相談支 援の提供体制の整備、発達障害児者やその家族に対する相談支援、発達障害者支援センターを中心とした地域生活支援体制の充実。高次脳機能障害児者への支援体制の整備、ピアサポートを行う人材の育成、ピアサポートの推進。利用者の障害特性に応じた専門職員による自立訓練(機能訓練、生活訓練)の取組の促進。障害者の一人暮らしを支える新たなサービスである自立生活援助の導入。医療的ケアが必要な障害児に対する地域における包括的な支援(保健・医療・福祉等の関係機関の連携促進)。障害福祉サービス等の提供者に指導を行う者の養成及び配置の促進、良質で安価な福祉用具に関する研究開発の推進、 身体障害者補助犬の育成、身体障害者補助犬を使用する身体障害者の施設等の利用の円滑化。福祉専門職、リハビリテーション等に従事する者、障害特性を理 解したホームヘルパーの養成・人材確保、障害福祉サービス従事 者の処遇改善や職場環境の改善。ピア(peer)は「仲間、同輩、対等者」の意。同じ課題や環境を体験する者がその体験から来る感情を共有することにより、専門職による支援 では得がたい安心感や自己肯定感を得ることなどを目的とする。

6.保健・医療の推進
【基本的考え方】→精神障害者への医療の提供・支援を可能な限り地域において行う。入院中の精神障害者の早期退院及び地域移行を推進し、いわゆる社会的入院の解消を進めるとともに、精神障害者の地域への円滑な移行・定着が進むよう、退院後の支援に関する取組を行う。障害者が身近な地域で必要な医療やリハビリテーションを受けられるよう、地域医療体制等の充実を図る。優れた基礎研究の成果による革新的な医薬品等の開発を促進するとともに、最新の知見や技術を活用し、疾病等の病因・病態の解 明、予防、治療等に関する研究開発を推進する。質の高い医療サービスに対するニーズに応えるため、革新的な医 療機器の開発を推進する。保健・医療人材の育成・確保や、難病に関する保健・医療施策、 障害の原因となる疾病等の予防・治療に関する施策を着実に進める。
【主な具体的施策】→地域における適切な精神医療提供体制の確立、相談機能の向上(専門診療科以外の診療科等と専門診療科との連携の促進、様々な救急ニーズに対応できる精神科救急システムの確立等。)精神障害に対する多職種によるアウトリーチ(訪問支援)の充実。「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築(精神科医療機関、その他の医療機関、地域援助事業者、市町村等との重層的な連携による支援体制の構築等)。精神障害者の退院後の地域生活への円滑な移行、定着を進める支援。障害者が身近な地域で必要な医療やリハビリテーションを受けられるようにするための地域医療体制の充実、障害者の健康増進に向けたサービスの提供や情報提供。障害者の生活や自立を支援する機器開発の支援、発達障害の診療・支援ができる医師の養成、巡回支援専門員等の支援者の配置の促進。難病患者が受ける医療水準の向上に向けた難病の研究の推進、難病患者の安定した療養生活の確保、日常生活の相談支援

7.行政等における配慮の充実
【基本的考え方】→障害者が権利を円滑に行使できるよう、司法手続や選挙等において必要な環境の整備や障害特性に応じた合理的配慮の提供を行う。行政機関の窓口等における障害者への配慮を徹底するとともに、 行政情報の提供等に当たっては、ICT等の積極的な導入を行うなど、アクセシビリティへの配慮に努める。いわゆる欠格条項について、各制度の趣旨も踏まえ、技術の進展、 社会情勢の変化等の必要に応じた不断の見直しを行う。 【主な具体的施策】→刑事事件の手続の運用における円滑な意思疎通等に向けた適切な配慮。罪を犯した知的障害者等の再犯防止の観点からの社会復帰支援の充実(社会復帰の障害となり得る法的紛争の解決等に必要な支援等)。障害特性に応じた選挙等に関する情報提供の充実(政見放送への 手話通訳・字幕の付与等)。投票所のバリアフリー化、代理投票の適切な実施等、行政機関の職員等に対する研修を通じた窓口等における障害者へ の配慮の徹底、アクセシビリティに配慮したウェブサイト等による情報提供(キー ボードのみで操作可能な仕様の採用、動画への字幕や音声解説の付与等)

8.雇用・就業、経済的自立の支援
【基本的考え方】→働く意欲のある障害者がその適性に応じて能力を十分に発揮することができるよう、多様な就業機会の確保や、就労支援の担い手 の育成等を図る。一般就労が困難な者に対しては福祉的就労の底上げにより工賃の 水準の向上を図るなど、総合的な支援を推進する。雇用・就業の促進に関する施策と福祉施策との適切な組合せの下、 障害者の経済的自立を支援する。
【主な具体的施策】→雇用前の雇入れ支援から雇用後の職場定着支援までの一貫した支援 、 事業主の障害者雇用への理解の促進(トライアル雇用の推進 等)。就業面及び生活面からの一体的な相談支援の実施(障害者就業・ 生活支援センターの設置の促進・機能の充実)。 障害者職業能力開発校における障害者本人の希望を尊重した職業 訓練の実施、就労に伴う生活面の課題に対する支援を行う就労定着支援による 職場定着の推進。精神障害者の雇用義務化も踏まえた精神障害者の雇用促進のため の取組を充実。ICTを活用したテレワークの一層の普及・拡大、農業分野における障害者の就労支援の推進(農業に取り組む障害 者就労施設や企業等に対する情報提供や支援)。就労継続支援A型事業所における就労の質の向上(安易な事業参 入の抑制、事業所の経営状況の把握等)

9.教育の振興
【基本的考え方】→可能な限り共に教育を受けることのできる仕組みの整備を進めるとともに、障害に対する理解を深めるための取組を推進する。障害学生に対する支援を推進するため、合理的配慮の提供等の一層の充実を図るとともに、適切な支援ができる環境の整備に努め る。 障害者が、学校卒業後も含めたその一生を通じて、自らの可能性を追求できる環境を整え、地域の一員として豊かな人生を送ることができるよう、生涯を通じて教育やスポーツ、文化等の様々な 機会に親しむための関係施策を横断的かつ総合的に推進する。
【主な具体的施策】→障害の有無にかかわらず可能な限り共に教育を受けられる条件整 備の推進、インクルーシブ教育システム(包容する教育制度)の 整備の推進。医療的ケアを必要とする子供や長期入院を余儀なくされている子供が教育を受けたり、他の子供と共に学んだりする機会の確保(医療的ケアのための看護師の配置等)。入学試験における配慮の充実(ICTの活用等)。個別の指導計画や個別の教育支援計画の策定・活用も通じた全ての学校における特別支援教育の体制の整備、全ての教職員が障害に対する理解や特別支援教育に係る専門性を 深める取組の推進、一人一人の教育的ニーズに応じた教科書、教材、支援機器等の活 用の促進(デジタル教科書等の円滑な制作・供給等)。各大学等における障害学生に対する支援体制の整備の推進(相談 窓口の統一、支援担当部署の設置、支援人材の養成・配置等)、障害学生の就職の支援(就職・定着支援を行う機関、就職先となる企業・団体等との連携やネットワークづくりの促進)。効果的な学習、支援の在り方等に関する研究や成果の普及等を通 じた障害者の各ライフステージにおける学びの支援。

10.文化芸術活動・スポーツ等の振興
【基本的考え方】→全ての障害者の芸術文化活動への参加を通じて障害者の生活を豊かにするとともに、国民の障害への理解・認識を深め、障害者の自立と社会参加の促進に寄与。 レクリエーション活動を通じ、障害者の体力の増強や交流、余暇の充実等を図る。地域における障害者スポーツの一層の普及に努めるとともに、競 技性の高い障害者スポーツにおけるアスリートの育成強化を図る。
【主な具体的施策】→特別支援学校における質の高い文化芸術の鑑賞・体験等の機会の提供。障害の有無にかかわらず文化芸術活動を行うことのできる環境の整備(障害者のニーズに応じた文化芸術活動に関する人材の養成、 相談体制の整備、関係者のネットワークづくり等)。障害者等が地域社会における様々な活動に参加するための支援等(各種レクリエーション教室や大会・運動会の開催等)。障害者が地域においてスポーツに親しむことができる施設・設備の整備。誰もが障害者スポーツ種目に親しめる機会の提供、国を挙げた障害者スポーツの振興 ・民間団体等が行う障害者スポーツに関する取組の支援、パラリンピック等の競技性の高い障害者スポーツにおけるアス リートの育成強化

11.国際社会での協力・連携の推進
【基本的考え方】→障害者権利委員会による審査等に適切に対応するとともに、障害分野における国際的な取組に積極的に参加する。開発協力の実施に当たっては、持続可能な開発目標(SDGs)の 達成に向けて取り組む。文化芸術活動やスポーツ等の分野を含め、障害者の国際交流等を推進する。
【主な具体的施策】→国連や地域の国際機関等の国際的な非政府機関における障害者のための取組への積極的な参加、障害者権利委員会による審査等への適切な対応。SDGsの達成に向けた「誰一人取り残さない」取組の推進。 障害者を含む社会的弱者に特に焦点を当てた開発協力の実施。文化芸術活動・スポーツ等の分野における障害者の国際的な交流の支援 ・障害者の文化芸術活動を含む日本の多様な魅力の発信。

次回は、「第2章 障害のある人に対する理解を深めるための基盤づくり」からです。
平成30年版障害者白書 [2018年07月17日(Tue)]
平成30年版障害者白書(2018年6月15日) 
http://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h30hakusho/gaiyou/index-pdf.html
第1章 障害者施策の総合的かつ計画的な推進
−新たな障害者基本計画(第4次)の策定−
第1節 第4次基本計画の策定の経緯
1.第4次基本計画の検討開始までの主な取組
→障害者施策に関する基本法→心身障害者対策基本法(昭和45年法律 第84号)が制定。心身障害があるため長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受けた者を「心身障害者」と位置付け、平成5(1993)年、同法は障害者基本法に改正、精神障害により長期にわたり日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者についても、新たに「障害者」と位置付けられることとなった。法の目的も、障害者の自立とあらゆる分野の活動への参加の促進に改められ、その後、平成16(2004)年の改正では、障害者差別等をしてはなら ない旨が基本的理念として新たに規定、中央障害者施策推進協議会が創設された。平成23(2011)年の改正では、 障害者権利条約の批准に向けた国内法整備の一環として、いわゆる「社会モデル」の考え方や「合理的配慮」の概念が新たに取り入れられるとともに、国内において障害者基本計画の実施状況を監視し、勧告を 行う機関として、障害者政策委員会が新たに設置された。 この障害者基本法に基づき、平成25(2013)年9月に「障害者基本計画(第3次)」が閣議決定。 第3次基本計画では、各分野に共通する横断的視点として、「障害者の自己決定の尊重及び意思決定の支援」、「当事者本位の総合的な支援」、「障害特性等に配慮した支援」、「アクセシビリティの向上」 及び「総合的かつ計画的な取組の推進」の5点が掲げられ、 10の分野ごとに基本的考え方や具体的な取組が示されており、障害者政策委員会における実施状況の監視を経ながら、それぞれの分野において、同計画に基づき着実に取組が進められた。

2.障害者政策委員会における検討 →第3次基本計画の計画期間が平成29(2017)年度をもって満了することを踏まえ、障害者政策委員会において、平成28(2016)年10月以降、「障害者基本計画(第4次)」の策定に向けた精力的な調査審議が行われた。2020年東京パラリンピック の開催決定、障害者権利条約の批准、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)の施行等の大きな動きがあり、障害者政策委員会における調査審議においては、こうした動向も踏まえつつ、第4次基本計画が第3次基本計画から質的な深化を遂げたものとなるよう、障害者施策の大きな方向性や取り組むべき政策課題等について、大局的・俯瞰的見地より議論が行われた。 その結果、計11回にわたる審議を経て、平成30(2018)年2月、「障害者基本計画(第4次)の策定に向けた障害者政策委員会意見」が取りまとめられた。

3.第4次基本計画の策定 →政府においては、障害者政策委員会の意見に即して第4次基本計画 の案を作成し、パブリックコメントを経て、平成30(2018)年3月30 日に第4次基本計画を閣議決定した。

第2節 第4次基本計画の位置付け及び構成
1.第4次基本計画の位置付け
→政府が講ずる障害者のための施策の最も基本的な計画。
2.第4次基本計画の対象期間→ 第4次基本計画は、平成30(2018)年度からの5年間。 3.第4次基本計画の構成→「T 障害者基本計画(第4次)について」、「U  基本的な考え方」及び「V 各分野における障害者施策の基本的な方向」で構成。 「U 基本的な考え方」では、計画全体の基本理念及び基本原則を 示すとともに、各分野に共通する横断的視点や、施策の円滑な推進に向けた考え方を示している。 「V 各分野における障害者施策の基本的な方向」では、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を11の分野に整理し、それぞれの分野について、第4次基本計画の対象期間に政府が講ずる施策の基本的な方向を示すとともに、関連する様々な施策を記載している。 第4次基本計画の概要については、図表1−1のとおり。【 図表1-1 第4次障害者基本計画 概要】参照。

第3節 第4次基本計画の基本的方向
1.2020年東京パラリンピックも契機とした社会的障壁の除去の強力な推進
→障害の有無にかかわらず、世界中からあらゆる人が集い、障害のある選手が繰り広げる圧倒的なパフォーマンスを直に目にすることのできるパラリンピック競技大会は、共生社会の実現に向けて社会の在り方を大きく変える絶好の機会となると考えられる。 このため、第4次基本計画では、2020年東京パラリンピックも契機として、障害者にとっての社会のバリア(社会的障壁)の除去に向けた取組を社会全体で強力に推進していくこと。 具体的には、各分野に共通する横断的視点として「社会のあらゆる場面におけるアクセシビリティの向上」を掲げ、社会のあらゆる場面でアクセシビリティ向上の視点を取り入れていくこと。また、 社会全体でICTが浸透しつつあることを踏まえ、社会的障壁の除去の観点から、様々な場面でアクセシビリティに配慮したICT等の新技術の積極的な導入を進めていくこととした。

2.障害者権利条約の理念の尊重及び整合性の確保→ 第4次基本計画は、我が国の障害者権利条約の批准(平成26(2014) 年)以降、初めて策定される障害者基本計画であり、同条約の理念を尊重するとともに、整合性を確保することとした。障害者を、施策の客体ではなく、必要な支援を受けながら自らの決定に基づき社会に参加する主体として捉えるとともに、障害者施策の検討及び評価に当たり、障害者が意思決定過程に参画し、障害者の視点を施策に反映させることが求められる旨を明記。その上で、障害者の政策決定過程への参画の促進や、当該政策決定過程において障害特性に応じた適切な情報保障その他の合理的配慮を行うことを盛り込んだ。

3.障害者差別の解消に向けた取組の着実な推進→ 第4次基本計画は、障害を理由とする差別の解消の推進に関る法律(平成25年法律第65号)の施行(平成28(2016)年度)以降、初めて策定される障害者基本計画であり、同法の実効性ある施行を図るため、ハード・ソフトの両面から、 各分野で障害者差別の解消に向けた環境の整備を着実に推進すること とした。障害者にも配慮した施設の整備やサービス・情報の提供等の一層の促進を図るとともに、地域において障害者差別の解消を推進するため、障害者差別解消支援地域協議会の設置を促進していくこととした。

4.成果目標の充実等→ 第4次基本計画を着実かつ効果的に実施していくため、全ての分野において成果目標を設定、成果目標数を大幅に充実させた(第3次基本計画は計45、第4次基本計画は計112)。主な成果目標 は、図表1−2のとおり。 さらに、各分野に共通する横断的視点として「PDCAサイクル等を 通じた実効性のある取組の推進」を掲げ、成果目標も活用しながら、 各分野において障害者施策のPDCAサイクルを構築し、着実に実行するとともに、当該サイクル等を通じて施策の不断の見直しを行っていくこととした。

5.障害のある女性、子供、高齢者の複合的な困難等への配慮
→各分野に共通する横断的視点として「障害のある女性、子供及び高齢者の複合的困難に配慮したきめ細かい支援」を掲げた。 とりわけ、障害のある女性については、それぞれの障害種別ごとの特性、状態により様々な支援が必要であることに加え、女性であることにより更に複合的に困難な状況に置かれている場合があることから、こうした点も念頭に置いて障害者施策を策定・実施する重要性についても明記した。

6.「命の大切さ」等に関する理解の促進→ 平成28(2016)年7月に発生した障害者施設における殺傷事件を踏まえ、「命の重さは障害の有無によって少しも変わることはない」という当たり前の価値観を社会全体で共有し、障害のある者と障害のない者が、お互いに、障害の有無にとらわれることなく、支え合いながら社会で共に暮らしていくことが日常となるように、国民の理解促進 に努めることとした。(図表1-2 第4次障害者基本計画 主な成果目標)

次回は、「第4節 第4次基本計画の各分野における基本的考え方及び主な施策」からです。
第12回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会 [2018年07月16日(Mon)]
第12回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会(平成30年6月22日)
≪議事≫中小企業における障害者雇用の推進 その他
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212888.html
◎資料1 事務局説明資料

○論点2 中小企業における障害者雇用の推進
・ヒアリング等において出された意見(中小企業における障害者雇用の推進等)→(中小企業における障害者雇用の推進→雇用の質に対する考え方の公的な評価は?事業活動上のインセンティブ措置の拡充は?複数の零細企業での雇用をカウントは?)、(障害者雇用納付金→)、(障害者雇用調整金・報奨金→支給額にメリハリは?)

・労働関係等の認証制度の事例(概略)→ユースエール認定(厚生労働省)、安全衛生優良企業(厚生労働省)、えるぼし認定(厚生労働省)、健康経営銘柄(経済産業省)
・労働関係の認証制度の事例(認証基準)→上記認定の基準となっています。

・中小企業に対する障害者雇用施策について→既存の中小企業に対する障害者雇用施策(5施策あり)。研究会において意見が出された中小企業支援(週20時間未満勤務への対応、障害者の働きやすい環境を整備する中小企業の認証制度の創設、在宅就業支援制度の見直し)
・障害者雇用納付金制度について→雇用率未達成企業(常用労働者100人超)から納付金を徴収し、雇用率達成企業などに対して調整金、報 奨金を支給するとともに、各種の助成金を支給。
・障害者雇用納付金制度の適用範囲について→適用範囲を設けた趣旨、適用範囲の変遷参照のこと。
・他国における調整金制度→フランス、ドイツにおける調整金制度参照。
・納付金の対象拡大による雇用状況への影響→納付義務のかからない100人以下の企業と比べ、義務拡大の時期等に、雇用状況が大きく改善する様子が見られる。企業規模別・実雇用率の推移、 企業規模別・達成企業割合の推移、の参照。

・常用労働者100人以下の企業における障害者雇用状況→<現行の法定雇用率2.2%で、昨年実績をもとに推計した場合>

・論点(中小企業における障害者雇用の推進)→中小企業における障害者雇用を推進する観点からは、障害者の働きやすい環境を整備する中小企業の認証制度を創設し、企業PRでの活用や、各種支援策の要件としていくこと等により、障害者雇用に取り組む企業の活動への後押しを進めることが考えられるのではないか。 加えて、これまでに議論されてきた週20時間未満勤務の障害者への対応や在宅就業障害者支援制度の見直し等については、フルタイムでの障害者雇用が困難であったりハードルが高いと感じる中小企業にとっても、障害者雇用や 就労への取組が進みやすくなるという側面もあるのではないか。100人以下の企業に対する調整金の支給及び納付金の納付についても検討を進めることが考えられるが、その際には、対象企業としては、50人以上の規模の企業に限定することが考えられるのではないか。

○論点3 その他、制度の在り方について
・ヒアリング等において出された意見(障害者雇用調整金)→就労継続支援A型については、通常の一般雇用とは異なることから、調整金・報奨金の対象から除外することが考えられる。

次回は、「平成30年版障害者白書」からです。
第1回 成年後見制度利用促進会議 [2018年07月15日(Sun)]
第1回 成年後見制度利用促進会議(平成30年6月21日)
≪議事≫成年後見制度利用促進会議の設置について
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212873.html
◎参考資料
≪参考資料4≫成年後見制度利用促進基本計画について(平成29年3月24日 閣議決定)
3 成年後見制度の利用の促進に向けて総合的かつ計画的に講ずべき施策


(4)制度の利用促進に向けて取り組むべきその他の事項
@任意後見等の利用促進→
行政、専門職団体、関係機関、各地域の相談窓口等において、任意後見契約のメリット等を広く周知するほか、各地域において、任意後見等を含め、本人の権利擁護の観点から相談などの対応が必要な場合の取組を進める。

A制度の利用に係る費用等に係る助成
・全国どの地域に住んでいても成年後見制度の利用が必要な人が制度を利用できるようにする観点から、地域支援事業及び地域生活支援 事業として各市町村で行われている成年後見制度利用支援事業の活用について、以下の視点から、各市町村において検討が行われること が望ましい→成年後見制度利用支援事業を実施していない市町村においては、その実施を検討すること。地域支援事業実施要綱において、成年後見制度利用支援事業が市町村長申立てに限らず、本人申立て、親族申立て等を契機とする場合をも対象とすることができること、及び後見類型のみならず保佐・ 補助類型についても助成対象とされることが明らかにされていることを踏まえた取扱いを検討すること。専門職団体が独自に行っている公益信託を活用した助成制度の例に鑑み、成年後見制度の利用促進の観点からの寄付を活用した助成制度の創設・拡充などの取組が促進されることが望まれる。

B市町村による成年後見制度利用促進基本計画(市町村計画)の策定→市町村は、国の基本計画を勘案して、当該市町村の区域における成年後見制度の利用の促進に関する施策についての基本的な計画を定めるよう努めるもの→@の地域連携ネットワークの三つの役割を各地域において効果的に実現させる観点から、具体的な施策等を定めるものであること。 上記(2)Aチームや協議会等といった地域連携ネットワークの 基本的仕組みを具体化させるものであること。 上記(2)C、D及びEを踏まえ、地域連携ネットワーク及び中核 機関の設置・運営、並びにそれらの機能の段階的・計画的整備について定めるものであること。既存の地域福祉・地域包括ケア・司法のネットワークといった地域 資源の活用や、地域福祉計画など既存の施策との横断的・有機的連携 に配慮した内容とすること。成年後見制度の利用に関する助成制度の在り方についても盛り込む こと。

(5)国、地方公共団体、関係団体等の役割
@市町村
→ 地域連携ネットワークの中核機関の設置等において積極的な役割を果たすとともに、地域の専門職団体等の関係者の協力を得て、地域連携ネットワーク(協議会等)の設立と円滑な運営においても積極的な役割を果たす。市町村は、上記(2)Cに掲げた地域連携ネットワーク・中核機関 に期待される機能の段階的・計画的整備に向け、市町村計画を定めるよう努める。また、市町村は、促進法第23条第2項において、条例で定めるところにより、当該市町村の区域における成年後見制度の利用の促進に関する基本的な事項を調査審議させる審議会その他の合議制の機関 を置くよう努めるものとされている。

A都道府県→人材の育成、必要な助言その他の援助を行うよう努めるもの。また、国との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、その地域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有するとされており、家庭裁判所が都道府県を基本単位とする機関であることや、都道府県全体の施策の推進や、国との連携確保等において、主導的役割を果たすことが期待される→各市町村の検討状況を確認しつつ、広域での協議会等・中核機関の 設置・運営につき市町村と調整する。 その際、家庭裁判所(本庁・支部・出張所)との連携や、法律専門職団体との連携等を効果的・効率的に行う観点に留意する。特に後見等の担い手の確保(市民後見人の研修・育成、法人後見の 担い手の確保等)や市町村職員を含めた関係者の資質の向上に関する施策等については、都道府県レベルで取り組むべき課題は多いと 考えられる。 都道府県は、国の事業を活用しつつ、市町村と連携をとって施策の 推進に努め、どの地域に住んでいても制度の利用が必要な人に対し、 身近なところで適切な後見人が確保できるよう積極的な支援を行う ことが期待される。

B国 → 国においては、都道府県・市町村からの相談に積極的に応じ、財源を確保しつつ、国の予算事業の積極的活用などを促すとともに、各地 域における効果的・効率的な連携の仕組みの具体的検討に資するため、 各地域の取組例を収集し、先進的な取組例の紹介や、連携強化に向けての試行的な取組への支援等に取り組む。
C関係団体→弁護士会・司法書士会・社会福祉士会等といった法律専門職団体や福祉関係者団体等は、地域における協議会等に積極的に参加し、地域連携 ネットワークにおける相談対応、チームの支援等の活動などにおいて積極的な役割が期待される。

(6)成年被後見人等の医療・介護等に係る意思決定が困難な人への支援等の検討
@ 経緯等
→医療や介護等の現場において、成年被後見人等に代わって判断をする親族等がいない場合であっても、円滑に必要な医療・介護等を受けられるようにするための支援の在り方と、その中における成年後見人等の事務の範囲について具体的な検討を進め、必要な措置が講じられる必要がある。厚生労働省の平成27年度「認知症の人の意思決定能力を踏まえた 支援のあり方に関する研究事業」、平成28年12月2日、その検 討状況が促進委員会に中間報告された。

A 中間報告の内容
→同中間報告では、成年後見人等に医療同意権を与えるかどうか(合法性)の観点のみならず、意思決定支援の視点から、適格性(支援に必要な資質と力量)及び適切性(権限行使が適切に行使される条件等)の確保の観点も踏まえ→成年後見人等には、本人の意思決定支援者の一員としての役割(情報 提供や、意思疎通・判断・意思形成の支援等)があり、本人の意思を推定する場合にも、より詳細に本人の意思を反映できるよう多職種の協議に参加したり、家族間の意見を調整するなどして、貢献できる場合がある。今後、臨床現場の意思決定支援の質の向上の観点から成年後見人等の 役割の拡充を考える場合には、意思決定支援等の認識向上や意思決定 支援の質の確保のための手順・運用プロセスの明示といった一般的な 施策と併せて、後見人の意思決定支援者としての役割を明示するとともに、教育及び運用の質を確保することが重要。特に、本人の意思決定が困難な場合においては、成年後見人等が身上監護面で十分な役割を果たし本人の置かれた状況やそれに伴う意思の経過等を熟知する必要があり、まずそうした環境整備が重要。そのためには、上記のような事例をまず共有しつつ、今後も、医療・ 介護等の現場における合意形成等、必要な対応を検討していく必要が ある。

B 今後の方向性→まずは、医療の処置が講じられる機会に立ち会う成年後見人等が医師など医療関係者から意見を求められた場合等においては、成年後見人等が、他の職種や本人の家族などと相談し、十分な専門的助言に恵 まれる環境が整えられることが重要であり、その上で、所見を述べ、又 は反対に所見を控えるという態度をとるといったことが社会的に受け 入れられるような合意形成が必要と考えられる。
今後、政府においては、このような考え方を基本として→人生の最終段階における医療に係る意思確認の方法や医療内容の決 定手続きを示した「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関 するガイドライン」等の内容や、人生の最終段階における医療や療養について患者・家族と医療従事 者があらかじめ話し合う自発的なプロセス(アドバンス・ケア・プラ ンニング)の考え方も参考に、医療や福祉関係者等の合意を得ながら、医療・介護等の現場において関係者が対応を行う際に参考となるような考え方を指針の作 成等を通じて社会に提示し、成年後見人等の具体的な役割等が明らかになっていくよう、できる限り速やかに検討を進めるべきである。

(7)成年被後見人等の権利制限に係る措置の見直し→成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度(いわゆる欠 格条項)については、成年後見制度の利用を躊躇させる要因の一つであると指摘。成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度について検討を加え、必要な見直しを行うこととされている。成年被後見人等であることを理由に不当に差別されないよう、今後、政府においては、成年被後見人等の 権利に係る制限が設けられている制度について検討を加え、速やかに必 要な見直しを行う。



(8)死後事務の範囲等→促進法第11条第4号においては、成年被後見人等の死亡後における 事務が適切に処理されるよう、成年後見人等の事務の範囲について検討を加え、必要な見直しを行うこととされている。成年被後見人等宛ての郵便物の成年後見人への転送や、成年後見人に よる死後事務(遺体の火葬・埋葬に関する契約の締結等)等については、 成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律が平成28年10月13日から施行されており、政府においては、その施行状況を踏まえつつ、適切に行われるよう、必要に応じて検討を行う。


4 その他→ 促進法附則第3条において、促進法施行の日から2年を超えない範囲内において政令で定める日に内閣府に置かれた成年後見制度利用促進会議及び促進委員会を廃止、新たに厚生労働省においてその庶務を処理する成年後見制度利用促進会議及び成年後見制度利用促進専門家会議を設けることが規定されている。 円滑な事務の引継ぎを行い、基本計画の推進に支障を来すことがないよう、 内閣府及び厚生労働省において緊密に連携を図り、関係省庁の協力を得て所 要の準備を進める。

<別紙>成年後見制度利用促進基本計画の工程表

≪参考資料5≫成年後見制度利用促進専門家会議 委員予定者名簿
(平成30年7月2日委嘱予定)→20名。

次回は、「第12回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」からです。

第1回 成年後見制度利用促進会議 [2018年07月14日(Sat)]
第1回 成年後見制度利用促進会議(平成30年6月21日)
≪議事≫成年後見制度利用促進会議の設置について
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212873.html
◎参考資料
≪参考資料4≫成年後見制度利用促進基本計画について(平成29年3月24日 閣議決定)

3 成年後見制度の利用の促進に向けて総合的かつ計画的に講ずべき施策
(1)利用者がメリットを実感できる制度・運用の改善
−制度開始時・開始後における身上保護の充実−
@高齢者と障害者の特性に応じた意思決定支援の在り方
→後見人は、できる限り本人の意思を尊重し、法律行為の内容にそれを反映させることが求められる。 後見人が本人の特性に応じた適切な配慮を行うことができるよう、 今後とも意思決定の支援の在り方についての指針の策定に向けた検討等が進められるべき。
A後見人の選任における配慮→家庭裁判所において適切な後見人を選任できるよう、地域連携ネットワークや中核機関が、本人を取り巻く支援の状況等を 家庭裁判所に的確に伝えることができるようにするための検討を進め特に、制度利用が長期にわたることが見込まれる障害者については、本人と後見人との間の信頼関係の構築が極めて重要であり、家庭 裁判所が本人の障害の特性を十分に踏まえた後見人を選任できるよう、適切な情報提供がなされることが望ましい。
B利用開始後における柔軟な対応→後見等が開始されると、本人の判断能力が回復しない限り、後見等が継続することになるが、相当期間が経過した後も、本人や本人を支える家族等と後見人との間に信頼関係が形成されていない場合にお いても、後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見等の任務に適しない事由がない限り、家庭裁判所が後見人を解任することはできないこととなっている。 ○ こうしたケースのうち、本人の権利擁護を十分に図ることができない場合については、今後、後見人の交代を柔軟に行うことを可能にする環境を整備するなどの方策を講ずる必要がある。地域連携ネットワーク及び中核機関には、後見等の開始後、チーム や関係機関と連携して後見人の事務の在り方についても必要な情報を把握し、本人やその支援者と後見人とが円滑な人間関係を構築できるよう支援する機能が期待される。 また、その関係の改善ができないことにより現在の後見人では本 人の適切な権利擁護を図ることができない場合等については、本人を取り巻く支援の状況等を踏まえ、適格な後任者を推薦するなど、柔軟な運用を可能とする方策を検討する。
C成年後見制度の利用開始の有無を判断する際に提出される診断書等の在り方→現行法は、家庭裁判所は、成年後見制度を利用しようとする人の精神の状況につき鑑定をしなければならないと定める一方で、明らか にその必要がないと認めるときは、この限りではない(家事事件手続 法(平成23年法律第52号)第119条)としており、鑑定書に代えて、より簡易な診断書の提出も許されるものとされている。 ○ 診断書の提出を認める運用は、家庭裁判所における迅速な審判に資するものである反面、成年被後見人とされることにより行為能力が制限されるなど、その効果が大きいこと等に鑑みれば、後見・保佐・ 補助の判別が適切になされるよう、医師が診断書等を作成するに当たっては、本人の身体及び精神の状態を的確に示すような本人の生活状況等に関する情報が適切に提供されることにより、十分な判断資料に基づく適切な医学的判断が行われるようにすることが望ましい。特に、障害者については、本人の障害の特性をより的確に踏まえた判断がなされることが望ましい。そこで、福祉関係者 等が有している本人の置かれた家庭的・社会的状況等に関する情報 も考慮できるよう、診断書等の在り方についても検討するとともに、 本人の状況等を医師に的確に伝えることができるようにするための 検討を進める。後述の地域連携ネットワークにおけるチームに医師も参加し、診断書等を作成した後の情報提供を受けることによって、継続的 な本人支援に関わることができるよう配慮すべきである。

(2)権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり
@地域連携ネットワークの三つの役割
ア)権利擁護支援の必要な人の発見・支援
→ 地域において、権利擁護に関する支援の必要な人(財産管理や必要なサービスの利用手続を自ら行うことが困難な状態であるにもかかわらず必要な支援を受けられていない人、虐待を受けている人など) の発見に努め、速やかに必要な支援に結び付ける。
イ)早期の段階からの相談・対応体制の整備→早期の段階から、任意後見や保佐・補助類型といった選択肢を含め、 成年後見制度の利用について住民が身近な地域で相談できるよう、窓口等の体制を整備する。
ウ)意思決定支援・身上保護を重視した成年後見制度の運用に資する支援体制の構築→ 成年後見制度を、本人らしい生活を守るための制度として利用できるよう、本人の意思、心身の状態及び生活の状況等を踏まえた運用を 可能とする地域の支援体制を構築する。

A地域連携ネットワークの基本的仕組み
ア)本人を後見人とともに支える「チーム」による対応
→権利擁護支援が必要な人を地域において発見し、必要な支援へ結び付ける機能を強化。 権利擁護支援が必要な人について、本人の状況に応じ、後見等開始前においては本人に身近な親族や福祉・医療・地域の関係者が、後見等開始後はこれに後見人が加わる形で「チーム」としてかかわる体制づくりを進め、法的な権限を持つ後見人と地域の関係者等が協力して日常的に本人を見守り、本人の意思や状況をできる限り継続的に把握し対応する仕組みとする。
イ)地域における「協議会」等の体制づくり→後見等開始の前後を問わず、成年後見制度に関する専門相談への対応や、後見等の運用方針等についての家庭裁判所との情報交換・調整等に適切に対応するため、個々のケースに対する「チーム」での対応に加え、地域において、法律・福祉の専門職団体や関係機関がこれらのチームを支援する体制を構築する。 このため、各地域において各種専門職団体・関係機関の協力・連携強化を協議する協議会等を設置し、個別の協力活動の実施、ケース会議の開催や、多職種間での更なる連携強化策等の地域課題の 検討・調整・解決などを行う。

B地域連携ネットワークの中核となる機関の必要性→各地域において、上記のような地域連携ネットワークを整備し、協議会等を適切に運営していくためには、その中核となる機関が必要と考えられる。 中核機関には、様々なケースに対応できる法律・福祉等の専門知 識や、地域の専門職等から円滑に協力を得るノウハウ等が蓄積され、 地域における連携・対応強化の推進役としての役割が期待される。

C地域連携ネットワーク及び中核機関が担うべき具体的機能等→各地域における連携ネットワーク及び中核機関については、以下に掲 げるア)広報機能、イ)相談機能、ウ)成年後見制度利用促進機能、エ) 後見人支援機能の4つの機能について、段階的・計画的に整備されることが求められるとともに、オ)不正防止効果にも配慮すべきである。
ア)広報機能→地域連携ネットワークに参加する司法、行政、福祉・医療・地域 などの関係者は、成年後見制度が本人の生活を守り権利を擁護する重要な手段であることの認識を共有し、利用する本人への啓発活動 とともに、そうした声を挙げることができない人を発見し支援につなげることの重要性や、制度の活用が有効なケースなどを具体的に 周知啓発していくよう努める。中核機関は、地域における効果的な広報活動推進のため、広報を 行う各団体・機関(弁護士会・司法書士会・社会福祉士会、市役所・ 町村役場の各窓口、福祉事業者、医療機関、金融機関、民生委員、 自治会等)と連携しながら、パンフレット作成・配布、研修会・セ ミナー企画等の広報活動が、地域において活発に行われるよう配慮 する。その際には、任意後見、保佐・補助類型も含めた成年後見制度の 早期利用も念頭においた活動となるよう留意する。
イ)相談機能→中核機関は、成年後見制度の利用に関する相談に対応する体制を構築する。その際には、地域の専門職団体や法テラス等の協力を得ることも想定される。

以下のような関係者からの相談対応、後見等ニーズの精査、見守り体制の調整を行う。
・ 市町村長申立てを含め権利擁護に関する支援が必要なケースについて→後見等ニーズに気付いた人、地域包括支援センター、障害者相談支援事業者等の関係者からの相談に応じ、情報を集約するとともに、必要に応じて弁護士会・司法書士会・社会福祉士会等の支援を得て、後見等ニーズの精査と、必要な見守り体制(必要な権利擁護に関する支援が図られる体制)に係る調整を行う。
・ その際、本人の生活を守り、権利を擁護する観点から、地域包括 支援センターや障害者相談支援事業者等とも連携し、後見類型だけではなく、保佐・補助類型の利用の可能性も考慮。
ウ)成年後見制度利用促進機能
(a)受任者調整(マッチング)等の支援→親族後見人候補者の支援、市民後見人候補者等の支援、受任者調整(マッチング)等、家庭裁判所との連携
(b)担い手の育成・活動の促進→市民後見人の研修・育成・活用、 法人後見の担い手の育成・活動支援
(c)日常生活自立支援事業等関連制度からのスムーズな移行→生活保護受給者を含む低所得者等で、成年後見制度の利用が必要 である高齢者・障害者についても、成年後見制度利用支援事業の更 なる活用も図りつつ、後見等開始の審判の請求が適切に行われるべきである。
エ)後見人支援機能→中核機関は、親族後見人や市民後見人等の日常的な相談に応じる とともに、必要なケースについて、 中核機関は、必要に応じて家庭裁判所と情報を共有し、後見人による事務が本人の意思を尊重し、その身上に配慮して行われるよう、 後見人を支援する。 地域連携ネットワークでのチームによる見守りにおいては、移行 型任意後見契約が締結されているケースのうち、本人の判断能力が 十分でなくなり、さらにはそれを欠く等の状況に至っても任意後見 監督人選任の申立てがなされず、本人の権利擁護が適切に行われない状態が継続しているようなケースがないか等にも留意し、チーム における支援の中でそうしたケースを発見した場合には、速やかに 本人の権利擁護につなげることとする。
オ)不正防止効果→成年後見制度における不正事案は、親族後見人等の理解不足・知識不足から生じるケースが多くなっているところ、地域連携ネットワークやチームでの見守り体制の整備により、親族後見人等が孤立することなく、日常的に相談等を受けられる体制が整備されていけば、不正の発生を未然に防ぐ効果が期待される。このようなチームの整備等により、本人や親族後見人等を見守る 体制が構築されれば、仮に親族後見人等が本人に対する経済的虐待や横領等の不正行為に及んだとしても、その兆候を早期に把握することが可能となり、その時点において、家庭裁判所等と連携して適切な対応をとることにより、被害を最小限に食い止めることも期待される。上記のような体制が整備されることにより、これまでは、後見人 において、財産の保全を最優先に硬直的な運用が行われていたケー スについても、本人の生活の状況等に応じ、必要な範囲で本人の財産を積極的に活用しやすくなるなど、より適切・柔軟な運用が広がるものと期待される。 ○ 家庭裁判所への報告や家庭裁判所による監督を補完する形で、後見人による不正の機会を生じさせない仕組みや監督などを行う機 能を家庭裁判所の外でもどのように充実させていくかについては、 法務省等において、最高裁判所や専門職団体、金融機関等とも連携し、地域連携ネットワーク及び中核機関の整備による不正防止効果 も視野に入れつつ、実効的な方策を検討する。

D中核機関の設置・運営形態
ア)設置の区域→中核機関の設置の区域は、住民に身近な地域である市町村の単位を基本とすることが考えられる。
イ)設置の主体→中核機関が行う権利擁護に関する支援の業務が、市町村の福祉部局が有する個人情報を基に行われることや、行政や地域の幅広い関係者を巻き込んでの連携を調整する必要性などから、市町村が設置することが望ましい。地域連携ネットワークや中核機関の業務については、専門的・広域的な対応が必要な内容も多く含まれていることから、都道府県は、各都道府県の実情に応じ、自主的かつ主体的に、広域的に対応することが必要な地域における 地域連携ネットワーク・中核機関の整備の支援及び人材養成や専門職団体との連携確保等広域的な対応が必要となる業務等につき、 市町村と協議を行い、必要な支援を行うものとする。
ウ)運営の主体→地域の実情に応じた適切な運営が可能となるよう、市町村による 直営又は市町村からの委託などにより行う。
エ)設置・運営に向けた関係機関の協力→特に、専門職団体 (弁護士会、司法書士会、社会福祉士会等)は、市町村と協力し、 協議会等の設立準備会に参画するとともに、地域連携ネットワーク の活動の中心的な担い手として、中核機関の設立及びその円滑な業 務運営等に積極的に協力することが期待される。

E優先して整備すべき機能等→全国どの地域に住んでいても成年後見制度の利用が必要な人が制 度を利用できるようにするという観点から、まずは、上記Cア)広報 機能やイ)相談機能の充実により、成年後見制度の利用の必要性の高い人を地域で発見し、適切にその利用につなげる機能の整備が優先されるべきである。保佐・補助の活用を含め、早期の段階から、本人に身近な地域において成年後見制度の利用の相談ができるよう、市町村においては、特に、各地域の相談機能(Cイ)の機能)の整備に 優先して取り組むよう努めるべきである。

(3)不正防止の徹底と利用しやすさとの調和 −安心して利用できる環境 整備−
・成年後見制度が利用者にとって、安心かつ安全な制度→監督機能の更なる充実・強化が必要、家庭裁判所のみならず関係機関においては、不正事案の発生を未然に抑止する ための仕組みについて、今後の積極的な取組が期待される。
・特に、地域における金融機関の役割→本人が成年後見制度を利用するに当たって、自己名義の預貯金口座を維持することを希望した場合には、後見人において、これを適切に管理・行使することができるような、後見制度支援信託に並立・代替する新たな方策を 金融関係団体や各金融機関において積極的に検討することが期待さ れる。

@金融機関による新たな取組→金融機関は、本人名義の預貯金口座について、後見人による不正な 引出しを防止するため、元本領収についての後見監督人等の関与を可 能とする仕組みを導入するなど、不正事案の発生を未然に抑止するための適切な管理・払戻方法について、最高裁判所や法務省等とも連携 しつつ、積極的な検討を進めることが期待される。
A親族後見人の成年後見制度への理解促進による不正行為の防止→本人の意思を尊重しつつ、後見人による不正防止等を含めた本人の権利擁護をより確実なものとするため、支援機能を担う法律専門職団体は、支援機能の一環として、後見人に対し、積極的に指導・助言を行うものとする。
B家庭裁判所と専門職団体等との連携→法務省等は、最高裁判所と連携し、地域の金融機関における自主的 取組等や専門職団体等における対応強化策の検討の状況を踏まえ、よ り効率的な不正防止のための方策を検討する。
C移行型任意後見契約における不正防止→移行型任意後見契約については、地域連携ネットワークのチームによる見守りにおける不適切なケースの発見・支援とともに、不正防止に向けた実務的な対応策について幅広い検討が行われるべきである。

次回も続き、3 成年後見制度の利用の促進に向けて総合的かつ計画的に講ずべき施策 「(4)制度の利用促進に向けて取り組むべきその他の事項」からです。

第1回 成年後見制度利用促進会議 参考資料4 [2018年07月13日(Fri)]
第1回 成年後見制度利用促進会議(平成30年6月21日)
≪議事≫成年後見制度利用促進会議の設置について
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212873.html
◎参考資料
≪参考資料4≫成年後見制度利用促進基本計画について(
平成29年3月24日 閣議決定)

1 成年後見制度利用促進基本計画について
(1)成年後見制度利用促進基本計画の位置付け→「基本計画」は、成年後見制度の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために策定されるもの、政府が講ずる成年後見制度利用促進策の最も基本的な計画として位置付けられる。市町村は、国の基本計画を勘案し、 当該市町村の区域における成年後見制度の利用の促進に関する施策についての基本的な計画を定めるよう努める。
(2)基本計画の対象期間→平成29年度から平成33年度までの概ね5 年間を念頭。
(3)基本計画の工程表→ 後述の2(2)「@今後の施策の目標」を達成し、基本計画に盛り込まれた施策が総合的かつ計画的に推進されることが重要。 国・地方公共団体・関係団体等は、≪別紙≫の工程表を踏まえ、相互に連携しつつ、各施策の段階的・計画的な推進に取り組むべき。


2 成年後見制度利用促進に当たっての基本的な考え方及び目標等
(1)基本的な考え方→ ノーマライゼーションや自己決定権の尊重等の理念と、本人保護の理念との調和の観点から、精神上の障害により判断能力が不十分であるために契約等の法律行為における意思決定が困難な人について、 成年後見人・保佐人・補助人がその判断能力を補うことにより、その人の生命、身体、自由、財産等の 権利を擁護するという点に制度趣旨があり、これらの点を踏まえ、国民にとって利用しやすい制度とすることを目指して導入されたもの。今後、認知症高齢者の増加や単独世帯の高齢者の増加が見込まれる中、成年後見制度の利用の必要性が高まっていくと考えられる。後見・保佐・ 補助と3つの類型がある中で、後見類型の利用者の割合が全体の約80%を占めている。 これらの状況からは、社会生活上の大きな支障が生じない限り、成年後見制度があまり利用されていないことがうかがわれる。このようなことから、成年後見制度の利用者が利用のメリットを実感できていないケースも多いとの指摘がなされており、今後の成年後見制度の利用促進に当たっては、@ノーマライゼーションA自己決定権の尊重の理念に立ち返り、改めてその運用の在り方が検討されるべき。B身上の保護の重視の観点から個々のケースに応じた適切で柔軟な運用が検討されるべきである。
今後、成年後見制度の利用促進を図っていくためには、@制度の広報・周知、A相談・発見、B情報集約、C地 域体制整備、D後見等申立て、E後見等開始後の継続的な支援、F後見等の不正防止、といった各場面ごとに、地域における課題を整理して、体制を整備し、対応を強化していくことが求められる。

2)今後の施策の目標等
@今後の施策の目標

ア)利用者がメリットを実感できる制度・運用へ改善を進める
(a)利用者に寄り添った運用 →後見人による財産管理の側面のみを重視するのではなく、認知症高齢者や障害者の意思をできるだけ丁寧にくみ取ってその生活を守り権利を擁護していく意思決定支援・ 身上保護の側面も重視し利用者がメリットを実感できる制度・運用とすることを基本とする。特に、障害者の場合は、長期にわたる意思決定支援、身上保護、 見守りが重要、施設や病院からの地域移行、就労や社会参加 等の活動への配慮、障害の医学モデルから社会モデルへの転換、合理的配慮の必要性を重視し、障害者の社会的障壁を除去していく環境や支援の在り方を継続的に考えていく必要があり、障害者の人生の伴走者として、利用者 の障害特性を理解し、継続的に支援を行っていくよう努めるべき→こうしたことを踏まえ、家庭裁判所が後見等を開始する場合、本人の生活状況等を踏まえ、本人の利益保護のために最も適切な後見人を選任することができるようにするための方策を検討。また、成年後見制度の利用及び類型の決定手続において、本人の精神の状態を判断する医師が、本人の生活状況や必要な支援の状況等を含め、十分な判断資料に基づき判断することができるよう、本人の状況等を医師に的確に伝えることができるようにするための方策について検討するとともに、その判断について記載する診断書 等の在り方についても検討する。
(b) 保佐・補助及び任意後見の利用促進→成年後見制度の利用者の能力に応じたきめ細かな対応を可能とする観点から、成年後見制度のうち利用が少ない保佐及び補助の 類型の利用促進を図るとともに、利用者の自発的意思を尊重する観点から、任意後見制度が適切かつ安心して利用されるための取組を進める。認知症の症状が進行する高齢者等について、その時々の判断能力の状況に応じ、補助・保佐・後見の各類型間の移行を適切に行う。このため、その時々の心身の状況等に応じた見守り等、適切な権利擁護支援を強化する。また、早期の段階からの制度利用を促進するため、利用者の個別のニーズを踏まえた周知活動・相談対応等も強化する。

イ)全国どの地域においても必要な人が成年後見制度を利用できるよう、各地域において、権利擁護支援の地域連携ネットワークの構築を図る。
(a)権利擁護支援の地域連携ネットワーク及び中核機関の整備→全国どの地域に住んでいても、成年後見制度の利用が必要な人が制度を利用できるような地域体制の構築を目指す。相談窓口を整備するとともに、成年後見制度の利用が必要な人を発見し、適切に必要な支援につなげる地域連携の仕組みを整備。また、本人の自己決定権を尊重し、身上保護を重視した運用を行うため、本人の状況に応じて、本人に身近な親族、福祉・医療・地域の関係者と後見人がチームとなって日常的に本人を見守り、本人の意思や状況を継続的に把握し必要な対応を行う体制を構築、福祉・法律の専門職が専門的助言・相談対応等の支援に参画する仕組みを整備する。このため、各地域において、専門職団体や関係機関が連携体制を強化するための協議会等を設立し、各専門職団体や各関係機関が自発的に協力する体制づくりを進め、さらに、専門職による専門的助言等の支援の確保や、協議会等 の事務局など、地域連携ネットワークのコーディネートを担う中核的な機関の設置に向けて取り組む。こうした取組は、市町村等が設置している「成年後見支援セン ター」や「権利擁護センター」などの既存の取組も活用しつつ、 地域の実情に応じて進めていく。
(b)担い手の育成→今後の需要に対応していくため、地域住民の中から後見人候補者を育成しその支援を図るとともに、法人後見の担い手を育成することなどにより、成年後見等の担い手を十分に確保する。
ウ)不正防止を徹底するとともに、利用しやすさとの調和を図り、安心して成年後見制度を利用できる環境を整備する。
(a)不正事案の発生を未然に抑止する仕組みの充実→不正事案の発生を未然に抑止する仕組みの整備が重要。このため、成年後見制度の利用者の利便性にも配慮しつつ、後見制度支援信託に並立・代替する預貯金の管理・運用方策の検討の促進等について検討を行う。各後見人の後見業務が適正に行われているかの日常的な確認、 監督の仕組みの充実については、専門職団体による自主的、積極的な取組に期待するとともに、法務省等は、最高裁判所と連携し、必要な検討を行う。
(b)地域連携ネットワークの整備による不正防止効果→地域連携ネットワークにおける支援を行う中で、不正の未然防止や早期発見への対応にも留意する。
エ)成年被後見人等の権利制限に係る措置を見直す→ 現在、成年被後見人・被保佐人・被補助人の権利に係る制限が設けられている制度(いわゆる 欠格条項)が数多く存在していることが、成年後見制度の利用を躊躇させる要因の一つになっているとの指摘がある。成年被後見人等の人権が尊重され、成年被後見人等であることを理由に不当に差別されないよう、 成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度について 検討を加え、必要な見直しを行うこととされていることを踏まえ、 これらの見直しを速やかに進める。

A今後取り組むべきその他の重要施策
ア)成年被後見人等の医療・介護等に係る意思決定が困難な人への支援等→円滑に必要な医療・介護等を受けられるようにする支援の在り方については、厚生労働省において検討が進められているが、近年、医療や救急等の現場において、本人に代わって判断をする親族等がいない場合に、必要な対応がなされないケースも生じているとの指摘がある。成年被後見人等であって医療・介護等を受けるに当たり意思を決定することが困難な人が、円滑に必要な医療・介護等を受けられるようにするための支援の在り方と、その中における成年後見人等の事務の範囲について、具体的な検討を進め、必要な措置が講じられる必要がある。
イ)死後事務の範囲等→ 平成28年10月、新たに成年被後見人宛ての郵便物の成年後見 人への転送等や、成年後見人による成年被後見人の遺体の火葬・埋葬に関する契約の締結等を規定した成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(平成28年法 律第27号)が施行された。同法律の施行状況を踏まえ、成年後見の事務が適切に処理されるよう、必要な検討を行う。

B施策の進捗状況の把握・評価等→ 基本計画に盛り込まれた施策については、随時、国においてその進捗状況を把握・評価し、目標達成のために必要な対応について検討する。 特に、基本計画の中間年度である平成31年度においては、各施策の進捗状況を踏まえ、個別の課題の整理・検討を行う。 平成34年度以降の取組については、各施策の進捗状況を踏まえ、別途検討する。

次回は、この続き≪参考資料4≫の「3 成年後見制度の利用の促進に向けて総合的かつ計画的に講ずべき施策」からです。
第1回 成年後見制度利用促進会議 [2018年07月12日(Thu)]
第1回 成年後見制度利用促進会議(平成30年6月21日)
≪議事≫成年後見制度利用促進会議の設置について
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212873.html
◎(資料1)成年後見制度利用促進会議の設置について(案)
(平 成30年6月 関係省庁申合 せ となっています。)

成年後見制度の利用の促進に関する法律(平成 28 年法律第 29 号。以下「促 進法」という。)第 13 条第 1 項の規定に基づき、関係行政機関相互の調整を行うことにより、成年後見制度の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な 推進を図るため、成年後見制度利用促進会議(以下「促進会議」という。)を 設置する。

1.組織 (促進会議)→法務大臣、 厚生労働大臣、 総務大臣
・必要があると認めるときは、構成員以外の関係府省その他 の関係者に出席を要請し、意見を聴くことができる。
2.意見聴取→関係府省は、関係府省間の調整を行うに際しては、促進法第 13 条第2項 に基づく成年後見制度利用促進専門家会議の意見を聴くものとする。
3.幹事会→促進会議を補佐するため、関係府省の局長等(別紙)を幹事とする幹事会を置く。
4.庶務→ 促進会議の庶務は、関係府省の協力を得て、厚生労働省社会・援護局地域福祉課成年後見制度利用促進室において処理。
5.促進会議の開催→促進会議は構成員の要請に応じて開催。
6.雑則→前各号に定めるもののほか、促進会議に関し必要な事項は促進会議において定める。
【別紙】→成年後見制度利用促進会議幹事会の開催について、 があります。

◎(資料2)成年後見制度利用促進専門家会議の設置について(案)
1.目的→成年後見制度利用促進基本計画における施策の進捗状況を把握・評価し、成 年後見制度の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進のため、必要な対応を検討することを目的として、成年後見制度の利用の促進に関する法律(平成 28 年法律第 29 号)第 13 条第2項の規定に基づき、成年後見制度利用促進専門家会議(以下「専門家会議」という。)を設置する。
2.委員→成年後見制度の利用の促進に関し専門的知識を有する者のうちから 厚生労働大臣が委嘱。
3.委員長→会議に委員長をおき、委員の互選により選任。委員長は、会務を総理する。
4.会議の公開 →議事は原則公開。必要があると認めるときは、関係者に出席を要請し、意見を聴くことができる。
5.事務局→厚生労働省社会・援護局地域福祉課成年後見制度利用促進室に置く。
6.雑則→前各項に定めるもののほか、専門家会議の運営に関し必要な事項は、委員長が会議に諮って定める。

◎参考資料
≪参考資料1≫成年後見制度の利用の促進に関する法律イメージ図

(平成28年4月8日成立、同年5月 13 日施行)
○基本理念(成年後見制度の理念の尊重)を説明するのが基本方針ですので、それぞれが対応しています。
○基本計画→市町村の措置として 国の基本計画を踏まえ た計画の策定「「成年後見制度利用促進基本計画」が策定されているものの、体 制として「この法律の施行後2年以内の政令で定める日(H30.4.1)に、これらの組織を廃止し、新たに関係行政機関で組織する成年後見制度利用促進会議及び有識者で組織する成年後見制度利用促進専門家会議を設ける(両会議の庶務は厚生労 働省に)。とありますので、今回の資料1・2へとつながってきます。

≪参考資料2≫成年後見制度利用促進基本計画のポイント
・成年後見制度の利用の促進に関する法律(平成28年法律第29号)に基づき策定 →計画の対象期間は概ね5年間を念頭(平成29年度〜33年度)→工程表を踏まえた各施策の段階的・計画的な推進 <別紙1参照>(市町村は国の計画を勘案して市町村計画を策定、計画に盛り込まれた施策の進捗状況の把握・評価等)
(1)利用者がメリットを実感できる制度・運用の改善 <別紙2参照>
・財産管理のみならず、意思決定支援・身上保護も重視
・適切な後見人等の選任、後見開始後の柔軟な後見人等の交代等
・診断書の在り方の検討
(2)権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり <別紙3参照>
・権利擁護支援が必要な人の発見と早期からの相談
・後見人等を含めた「チーム」(注1)による本人の見守り
・「協議会」等(注2)によるチームの支援
・地域連携ネットワークの整備・運営の中核となる機関の必要性
(3)不正防止の徹底と利用しやすさとの調和 <別紙4参照>
・後見制度支援信託に並立・代替する新たな方策の検討 (預貯金の払戻しについての後見監督人等の関与を可能とする仕組み)

○成年後見制度利用促進基本計画の概要
・基本計画について→(1)成年後見制度の利用の促進に関する法律(平成28年法律第29号)に基づき、成年後見制度の利用 促進に関する施策の総合的・計画的な推進を図るために策定。 (2)計画の対象期間は概ね5年間を念頭(平成29年度〜33年度)。 (3)国・地方公共団体・関係団体等は、工程表を踏まえた各施策の段階的・計画的な推進に取り組む。 ※市町村は国の計画を勘案して市町村計画を策定。 <別紙1参照>
・基本的な考え方及び目標等→(1)今後の施策の基本的な考え方(@〜B)、(2)今後の施策の目標(@〜C)、(3)施策の進捗状況の把握・評価等
・総合的かつ計画的に講ずべき施策→(1)〜(8)のそれぞれの項目別に対応した講ずべき施策あり。


≪参考資料3≫成年後見制度の利用の促進に関する法律(平成二十八年法律第二十九号)
○第一章 総則→(目的)第一条、(定義)第二条、(基本理念)第三条、(国の責務)第四条、(地方公共団体の責務)第五条、(関係者の努力)第六条、(国民の努力)第七条、(関係機関等の相互の連携)第八条、(施策の実施の状況の公表)第十条
○第二章 基本方針→ 第十一条(成年後見制度の利用の促進に関する施策は、成年後見制度の利用者の権利利益の保護に関する国際的動向を踏まえるとともに、高齢者、障害者等の福祉に関する施策との有機的な 連携を図りつつ、次に掲げる基本方針に基づき、推進されるものとする。→一〜十一・必要な措置や見直し)
○第三章 成年後見制度利用促進基本計画 →第十二条(「成年後見制度利用促進基本計画」)
○第四章 成年後見制度利用促進会議 →(設置及び所掌事務)第十三条
○第五章 地方公共団体の講ずる措置 →(市町村の講ずる措置)第十四条(成年後見制度の利用の促進に関する施策についての基本的な計画)、(都道府県の講ずる措置)第十五条(成年後見人等となる人材の育成、必要な助言その他の援助)
○附則(抄)→(施行期日)第一条、(検討)第二条(意志決定困難の者の必要な医療、介護等を受けられるようにするための支援の在り方)

次回も、参考資料「≪参考資料4≫成年後見制度利用促進基本計画について(平成29年3月24日 閣議決定)」となります。