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労働基準法における「労働者」に関する研究会 第4回資料 [2025年12月03日(Wed)]
労働基準法における「労働者」に関する研究会 第4回資料(令和7年10月29日)
議題 (1)国際動向について (2)労働基準法における「労働者」について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_65316.html
◎資料No.2-1 「裁判例を事例単位で分析した資料」の作成方法
1 本資料作成の目的
→ 裁判例について、事例単位の全体的な文脈の中で、昭和60年報告で示す労働者性の判断要素がどのように参考とされていて、どの要素が重視されているか分析を行う。 労働者性の判断枠組や、判断要素の重み付けに関連する部分の分析を行うとともに、これまでの研究会で特に意見のあった以下については、どのように考慮・評価されているか分析を行う。⇒3例あり。
2 裁判例の抽出方法→第3回研究会資料2−2掲載の50の裁判例から、以下の基準により裁判例を抽出した。 @ 最高裁判例 A 最高裁判例以外で、上記の目的と整合的である裁判例
3 具体的な抽出条件と抽出した裁判例→・第3回研究会資料2−2掲載の50の裁判例のうち、労基法上の労働者性を判断した最高裁判例は以下の3件であり、いずれも抽出した。
・最高裁判例以外の裁判例については、昭和60年報告の各要素を幅広く考慮・評価 している裁判例のうち、上記1の目的に基づく検討に資する裁判例を抽出した。 以上の条件のもと、以下の裁判例を抽出した。⇒7事件あり。
4 本資料作成の方法→抽出した裁判例について、判断枠組みに関する部分、要素の重みづけに関連する部分及び上記1の各項目に関連する部分にマーキングをしたものが資料2−3、マーキング箇所を抜粋したものが資料2−4である。 なお、資料2−3及び資料2−4においては、以下のとおり分類し、色分けした。 ・@判断枠組みに関する部分、要素の重みづけに関する部分⇒青色 ・A「通常注文者が行う程度の指示」「業務の性質」等に関する部分⇒黄色 ・B「組織への組み入れ」「組織への組み込み」等の記載またはこれらの記載と類 似すると考えられる事実に関して言及がなされている部分、報酬の一方的決 定に関する部分⇒緑色


◎資料No.2-2 「裁判例を事例単位で分析した資料」の見方 →「裁判例を事例単位で分析した資料」 (資料2-3) 、「裁判例を事例単位で分析した資料(抜粋))」(資料2-4)に おける色分けの趣旨は、以下のとおり。 また、@〜Bの事項に関して、昭和60年報告における関連部分を示している。↓
@労働者性の判断枠組や、判断要素の重み付けに関する部分 ⇒青色
A「通常注文者が行う程度の指示」「業務の性質」等に関する部分 ⇒黄色
B「組織への組み入れ」「組織への組み込み」等の記載または使用者の具体的な指揮命令になじまない業務についての 一般的な指揮監督に関する事実について言及がなされている部分、報酬の一方的決定に関する部分 ⇒緑色


◎資料No.2-3 裁判例を事例単位で分析した資料
○【最高裁判例】 【 職 種 】傭車運転手 【労働者性】最高裁:否定/高裁:否定/地裁:肯定 【 争 点 】労災保険法上の労働者性 (労災保険給付) 【 判 示 】

(上告審)→・・・・右事実関係の下においては、Xは、業務用機材であるトラックを所有し、自己の危険と 計算の下に運送業務に従事していたものである上、Yは、運送という業務の性質上当然に 必要とされる運送物品、運送先及び納入時刻の指示をしていた以外には、Xの業務の遂行 に関し、特段の指揮監督を行っていたとはいえず、時間的、場所的な拘束の程度も、一般 の従業員と比較してはるかに緩やかであり、XがYの指揮監督の下で労務を提供していた と評価するには足りないものといわざるを得ない。そして、報酬の支払方法、公租公課の 負担等についてみても、Xが労働基準法上の労働者に該当すると解するのを相当とする事 情はない。そうであれば、Xは、専属的にYの製品の運送業務に携わっており、Yの運送 係の指示を拒否する自由はなかったこと、毎日の始業時刻及び就業時刻は、右運送係の指 示内容のいかんによって事実上決定されることになること、右運賃表に定められた運賃は、 トラック協会が定める運賃表による運送料よりも一割五分低い額とされていたことなど原 審が適法に確定したその余の事実関係を考慮しても、Xは、労働基準法上の労働者ということはできず、労働者災害補償保険法上の労働者にも該当しないものというべきである。
○【 職 種 】研修医 【労働者性】最高裁:肯定/高裁:肯定/地裁:肯定 【 争 点 】労基法・最賃法上の労働者性 (賃金未払等) 【 判 示 】
(上告審
)・・・・・→これを本件についてみると、前記事実関係によれば、本件病院の耳鼻咽喉科における臨 床研修のプログラムは、研修医が医療行為等に従事することを予定しており、X は、本件 病院の休診日等を除き、Yが定めた時間及び場所において、指導医の指示に従って、Yが 本件病院の患者に対して提供する医療行為等に従事していたというのであり、これに加えて、Yは、X に対して奨学金等として金員を支払い、これらの金員につき給与等に当たる ものとして源泉徴収まで行っていたというのである。 そうすると、X は、Yの指揮監督の下で労務の提供をしたものとして労働基準法9条所 定の労働者に当たり、最低賃金法2条所定の労働者に当たるというべきであるから、Yは、 同法5条2項により、X に対し、最低賃金と同額の賃金を支払うべき義務を負っていたものというべきである。
○【 職 種 】大工 【労働者性】最高裁:否定/高裁:否定/地裁:否定 【 争 点 】労災保険法上の労働者性 (労災保険給付) 【 判 示 】
(上告審)
→・・・・・(2)Xは、Yからの求めに応じて上記工事に従事していたものであるが、仕事の内容 について、仕上がりの画一性、均質性が求められることから、Yから寸法、仕様等につきある程度細かな指示を受けていたものの、具体的な工法や作業手順の指定を受けることは なく、自分の判断で工法や作業手順を選択することができた。 (3)Xは、作業の安全確保や近隣住民に対する騒音、振動等への配慮から所定の作業 時間に従って作業することを求められていたものの、事前にYの現場監督に連絡すれば、 工期に遅れない限り、仕事を休んだり、所定の時刻より後に作業を開始したり所定の時刻 前に作業を切り上げたりすることも自由であった。

○【最高裁判例以外の裁判例】 【 職 種 】映画撮影技師 【労働者性】高裁:肯定/地裁:否定 【 争 点 】労災保険法上の労働者性(労災保険給付) 【 判 示 】 (控訴審) 第四 当裁判所の判断 ……三 労災保険法上の「労働者」の意義について 労災保険法の保険給付の対象となる労働者の意義については、同法にこれを定義した規 定はないが、同法が労基法第八章「災害補償」に定める各規定の使用者の労災補償義務を コメントの追加 [A16]: 判断枠組みに関連する部分 補填する制度として制定されたものであることにかんがみると、労災保険法上の「労働者」 は、労基法上の「労働者」と同一のものであると解するのが相当である。そして、労基法 九条は、「労働者」とは、「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金 を支払われる者をいう。」と規定しており、その意とするところは、使用者との使用従属 関係の下に労務を提供し、その対価として使用者から賃金の支払を受ける者をいうと解されるから、「労働者」に当たるか否かは、雇用、請負等の法形式にかかわらず、その実態 が使用従属関係の下における労務の提供と評価するにふさわしいものであるかどうかによって判断すべきものであり、以上の点は原判決も説示するところである。 そして、実際の使用従属関係の有無については、業務遂行上の指揮監督関係の存否・内 容、支払われる報酬の性格・額、使用者とされる者と労働者とされる者との間における具 体的な仕事の依頼、業務指示等に対する諾否の自由の有無、時間的及び場所的拘束性の有 無・程度、労務提供の代替性の有無、業務用機材等機械・器具の負担関係、専属性の程度、 使用者の服務規律の適用の有無、公租などの公的負担関係、その他諸般の事情を総合的に 考慮して判断するのが相当である。
○【 職 種 】引越等業務従事者 【労働者性】肯定 【 争 点 】労働契約法上の労働者性(解雇) 【 判 示 】
第4 当裁判所の判断
→・・・・→・・・チャーター業務をみると、運送業務の性質上、運送物品、運送先及び納入時刻の指定は、 当然に必要となるものであり、また、Y の所有車両を使用して運送する場合、その性質上、 コメントの追加 [A27]: 「業務の性質」を業種、職種単 位で評価している部分 Y が使用車両を指示することは必要な行為といえる。しかし、チャーター業務においても、 Y が委託契約者に対し、横乗りの指示をすることがあり、また、Y は、委託契約者に割り 振る業務を一方的に定めていたことが認められる。

○【 職 種 】オペラ歌手 【労働者性】高裁:否定/地裁:否定 【 争 点 】労働契約法上の労働者性(更新拒否) 【 判 示 】
(控訴審) 第2 事案の概要   参照。
○【 職 種 】オペラ歌手 【労働者性】高裁:否定/地裁:否定 【 争 点 】労働契約法上の労働者性(更新拒否) 【 判 示 】
(控訴審) 第2 事案の概要
→・・・・契約メンバーは、個別契約を締結した公演については、Y から提示された確定スケジュールに従って、公演本番のみならず、種々の稽古に参加することが義務づけられ、その場所も新国立劇場内の舞台やリハーサル室という所定の場所であり、また、公演や稽古では、指揮者や音楽監督の指示に従って業務を遂行することになる(弁論の全趣旨)。 しかし、これは Y が主張するように、そもそもオペラ公演というものが多人数の演奏・ 歌唱・演舞等により構築される集団的舞台芸術であり、オペラの合唱団パートとしてその 一翼を担うという、契約メンバーの業務の特性から必然的に生じるものであって、そのような集団性から生じる指揮監督関係をもって直ちに、労働者性の判断指標となる労務提供 における指揮監督と同視することはできない。公演、稽古における場所的・時間的拘束性 も、同様に、オペラという舞台芸術の集団性から必然的に生じることがらであって、このことから直ちに指揮監督下の労務提供であることの根拠とすることはできない。
○【 職 種 】保険契約勧誘等の営業 【労働者性】肯定 【 争 点 】労働基準法上の労働者性(賃金未払等) 【 判 示 】
第3 当裁判所の判断
→・・・・@本件社員契約において、Xに対する報酬は完全歩合制となっており、所得税等の源泉徴 収や社会保険・雇用保険への加入もされていなかったこと、AXは、保険契約の勧誘業務 に必要な物品(自動車、パソコン、携帯電話、チラシ等)を自らの費用で準備し、その使 用に必要な費用も負担していたこと、BYは、本件解約後、Xが保険契約を勧誘した保険 契約者に係る保険代理店契約のうち、B生命との間の保険代理店契約をXの移籍先代理店に移管したことが認められ、上記各事実は、Xの使用従属性を弱める事情であるとはいえるものの、Xの使用従属性を直ちに否定するものとまではいえない。
○【 職 種 】バイシクルメッセンジャー 【労働者性】高裁:否定/地裁:否定 【 争 点 】労働契約法上の労働者性(解雇) 【 判 示 】
(第一審) 第三 当裁判所の判断
→・・・・以上によれば、本件業務委託契約書の規定内容は、被告の配送業務の請負に関する約定であると認められるところ、その使用従属性については、メッセンジャーが稼働日・稼働 時間を自ら決定することができ、配送依頼を拒否することも妨げられておらず、その自由度は比較的高いこと、被告がメッセンジャーに対し、一定の指示をしていることは認められるが、これらは受託業務の性質によるところが大きく、使用従属関係を肯認する事情として積極的に評価すべきものがあるとはいえないこと、拘束性の程度も強いものとはいえないことを指摘することができ、これをたやすく肯認することはできない。そして、メッセンジャーの報酬の労務対償性についても、労働契約関係に特有なほどにこれがあると認めることは困難である。もとより、メッセンジャーの事業者性が高いとまで評価することができないことは上記説示のとおりであるが、さりとてメッセンジャーの事業者性がないともいえず、また、専属性があるともいえず、むしろ、上記のとおり稼働時間を含めてメッセンジャーが比較的自由にこれを決定し、労働力を処分できたと評価し得ることに照らせば、少なくとも本件契約A締結後の原告らメッセンジャーについて、労基法上の労働者に該当すると評価することは相当ではないというべきである
○【 職 種 】英会話講師 【労働者性】高裁:肯定/地裁:肯定 【 争 点 】労働基準法上の労働者性(年休権・健康保険被保険者資格) 【 判 示 】
(控訴審) 第3 当裁判所の判断
→・・・・レッスンの時間、レッスンを行う校舎は、予め契約によって決められており、その意味で勤務場所・時間の拘束が認められる。この点については、Yが指摘するように、業務の性質によるものとも解され得るが、レッスンがなくなった場合でも、その時間、当該校舎の販促業務や清掃業務等に従事しなければならなかったことも加味すると、やはり指揮監督関係を肯定する方向に働く一事情とみるのが相当である。
○【 職 種 】大学の非常勤講師 【労働者性】否定 【 争 点 】労働契約法上の労働者性(更新拒否) 【 判 示 】
第3 当裁判所の判断
→・・・・以上によれば、上記アの事情をXに有利に考慮しても、Xが本件契約に基づき Y の指揮監督の下で労務を提供していたとまでは認め難いといわざるを得ないから、本件契約に関し、X が労契法2条1項所定の「労働者」に該当するとは認められず、 本件契約は労契法19条が適用される労働契約には該当しないものというべきである。


◎資料No.2-4 裁判例を事例単位で分析した資料(抜粋)
○横浜南労基署長(旭紙業)事件(最判平8.11.28)
→事案の概要 自己の所有するトラックを持ち込んで特定の会社の製品の運送業務に従事していた運転手(傭車運転手)である原告が、 作業中に傷害を負う事故を起こしたため、労働基準監督署に療養補償給付等の支給を請求したところ、労災保険法上の労 働者には該当しないとして不支給処分を受けたため、その処分の取消しを求めた事案。
<最高裁(最判平8.11.28)労働者性否定> (要素の重みづけに関連する部分)→「専属的にYの製品の運送業務に携わっており、Yの運送係の指示を拒否する自由はなかったこと」、「毎日の始業時 刻及び就業時刻は、右運送係の指示内容のいかんによって事実上決定されることになること」、「右運賃表に定められた 運賃は、トラック協会が定める運賃表による運送料よりも一割五分低い額とされていた」ことなどの事情にかかわらず、 労働者性を否定している。   (「業務の性質」を業種、職種単位で評価している部分)参照。
<控訴審(東京高判平6.11.24)労働者性否定> (判断枠組みに関連する部分)(要素の重みづけに関連する部分)→「Yから一定の指示を受け」ていたこと、「場所的時間的にもある程度拘束」があったこと、「報酬も、業務の履行に 対し払われ、毎月さほど大きな差のない額が支払われていたこと」などから、労働者としての側面を有するといえるとしながらも、「場所的時間的拘束も一般の従業員よりは弱」いこと、「報酬も出来高払いであ」ること、「業務用器材を所 有して業務の遂行につき危険を負担し」ていること等を理由に労働者性を否定している
<第一審(横浜地判平5.6.17)労働者性肯定> (判断枠組みに関連する部分)(要素の重みづけに関連する部分)→「YのXに対する業務遂行に関する指示や時間的場所的拘束は、請負契約に基づく発注者の請負人に対する指図やその 契約の性質から生ずる拘束の範疇を超えるものであって」あったこと、「Y以外の事業所と運送契約をしたり、第三者に 運送業務を代替させることは不可能であった」こと、「報酬額が一般の運転手の賃金と比較して、労働者性を否定するほ どに特に高額であると」いえないこと、「報酬は労務の対価の要素を多分に含むものである」ことを理由に労働者性を肯定している

○関西医科大学研修医(未払賃金)事件(最判平17.6.3)
→事案の概要 大学付属病院の臨床研修医であった者が、労務の対価として最低賃金法所定の最低賃金額を下回る金額(の「奨学金」 等)しか支払を受けなかったとして、その両親である原告らが、最低賃金額と実際に受給した金額の差額及びこれに対する遅延損害金の支払を請求した事案。
<最高裁(最判平17.6.3)労働者性肯定> (判断枠組みに関連する部分)(要素の重みづけに関連する部分)→「Yが定めた時間及び場所において、指導医の指示に従って、Yが本件病院の患者に対して提供する医療行為等に従事 していた」という事情、「Yは、Xに対して奨学金等として金員を支払い、これらの金員につき給与等に当たるものとして 4 源泉徴収まで行っていた」という事情を理由に労働者性を肯定している
<第一審(大阪地堺支判平13.8.29)労働者性肯定>(判断枠組みに関連する部分) 参照。

○藤沢労基署長(大工負傷)事件(最判平19.6.28)→事案の概要 工事業者と請負契約を締結して内装工事に従事していた大工である原告が、マンションの内装工事に従事中負傷したため、 労働基準監督署に療養補償等の支給を請求したところ、労災保険法上の労働者には該当しないとして不支給処分を受けた ため,その処分の取消しを求めた事案。
<最高裁(最判平19.6.28)労働者性否定>(「業務の性質」を業種、職種単位で評価している部分)(要素の重みづけに関連する部分)→「Xが職長の業務を行い、職長手当の支払を別途受けることとされていたこと」については、労働者性の判断を左右しないと判断している  参照。
<第一審(横浜地判平16.3.31)労働者性否定> (判断枠組みに関連する部分)(要素の重みづけに関連する部分)→使用従属性が認められないことから、労働者性が否定されるとした上で、事業者性の有無、専属性の程度等判断を覆す 事情は認められないと判断している

○新宿労基署長(映画撮影技師)事件(東京高判平14.7.11)→事案の概要 映画撮影技師(カメラマン)であった者が、映画撮影に従事中、宿泊していた旅館で脳梗塞を発症して死亡したことについて、その子である原告が、労働基準監督署に遺族補償給付等の支給を請求したところ、労災保険法上の労働者には該当しないとして不支給処分を受けたため,その処分の取消しを求めた事案。
<控訴審(東京高判平14.7.11)労働者性肯定>(判断枠組みに関連する部分)(業務の性質や特殊性を重視せずに判断している部分)(要素の重みづけに関連する部分)→「Xへの専属性は低」いこと、「Yの就業規則等の服務規律が適用されていないこと」、「Xの本件報酬が所得申告上事業所 得として申告され、Yも事業報酬である芸能人報酬として源泉徴収を行っていること」などの事情があるものの、「撮影 技師は監督の指示に従う義務があること」、「報酬も労務提供期間を基準にして算定して支払われていること」、「個々 の仕事についての諾否の自由が制約されていること」、「時間的・場所的拘束性が高いこと」、「労務提供の代替性がないこと」、「撮影機材はほとんどがYのものであること」、「YがXの本件報酬を労災保険料の算定基礎としていること」等を理由に労働者性を肯定している
<第一審(東京地判平13.1.25)労働者性否定> (判断枠組みに関連する部分)(「業務の性質」や特殊性を重視して判断している部分)(要素の重みづけに関連する部分)→「個々の仕事についての諾否の自由が制約されていること」、「時間的・場所的拘束性が高いこと」については業務の性 質上当然の制約として指揮監督とは認めがたいとしたうえで、「撮影機材はYのものであること」、「YがXの本件酬を労災 保険料の算定基礎としていること」などの事情にかかわらず、労働者性を否定している

○アサヒ急配(運送委託契約解除)事件(大阪地判平18.10.12)→事案の概要 運送委託契約により、車両での荷物の運送・集配、引越業務等に従事していた原告らが、解雇されたとして、労働契約 上の地位確認と契約終了通告以降の賃金の支払等を請求した事案。
<労働者性肯定> (「業務の性質」を業種、職種単位で評価している部分)(報酬の一方的決定を「事業者性の有無」で評価している部分)(判断枠組みに関連する部分) 参照。

○新国立劇場運営財団事件(東京高判平19.5.16)→事案の概要 被告との間で期間を1年とする出演基本契約を締結・更新し、合唱団のメンバーとして被告の主宰するオペラ公演等に出演していた原告が、次シーズンの出演基本契約を締結しないとの通知を受けたため、出演基本契約は労働契約であり、その更新拒絶は労働基準法18条の2(現労働契約法第16条)、労働組合法7条1号に違反し無効であると主張して、労働契約上の地位確認と契約期間満了後の賃金の支払を請求した事案。
<第一審(東京地判平18.3.30)労働者性否定>(判断枠組みに関連する部分)(「業務の性質」を業種、職種単位で評価している部分)(「代替性の有無」の判断において、「業務の性質」の考えを用いている部分)(要素の重みづけに関連する部分)  参照。

○株式会社MID事件(大阪地判25.10.25)→事案の概要 保険代理業等を営む株式会社である被告との間で業務委託契約を締結し、保険契約勧誘の営業に従事していた原告が、 当該契約の解約の意思表示を受けたところ、当該契約は労働契約に該当するため、無効な解雇であるとして、当該契約 に基づき、未払の基本給等の支払を請求した事案。
<労働者性肯定> (要素の重みづけに関連する部分)→「本件社員契約において、Xに対する報酬は完全歩合制となっており、所得税等の源泉徴収や社会保険・雇用保険へ の加入もされていなかったこと」、「Xは、保険契約の勧誘業務に必要な物品(自動車、パソコン、携帯電話、チラシ 等)を自らの費用で準備し、その使用に必要な費用も負担していたこと」、「Yは、本件解約後、Xが保険契約を勧誘 した保険契約者に係る保険代理店契約のうち、B生命との間の保険代理店契約をXの移籍先代理店に移管したこと」という事情は使用従属性を弱める事情であるとしつつも、@XがYからの指示を拒絶することはできなかったこと、A業 務の遂行についてYの指揮監督を受けていたこと、B勤務時間及び勤務場所について管理されていたこと等を理由に労働者性を肯定している

○ソクハイ(契約更新拒絶)事件(東京高判平26.5.21)→事案の概要 バイシクルメッセンジャーとして稼働していた原告らが、業務委託契約を終了する旨の告知を受けたところ、被告との契 約が労働契約に該当するため、上記契約を終了する旨の告知は無効な解雇であるとして、労働契約上の地位確認と契約終 了告知以降の賃金の支払等を請求した事案。
<第一審(東京地判平25.9.26)労働者性否定>(判断枠組みに関連する部分)(「業務の性質」を業種、職種単位または個々の事業の契約(サービス)内容によって評価している部分)(「代替性の有無」の判断において、「業務の性質」の考えを用いている部分)(「事業者性の有無」の判断において、「業務の性質」の考えを用いている部分)(報酬の一方的決定を「事業者性の有無」で評価している部分)(要素の重みづけに関連する部分)→使用従属性について、諾否の自由度が比較的高いこと、一定の指示はあるものの受託業務によるところが大きく、使用 従属関係を肯認する事情として積極的に評価すべきものがあるとはいえないこと、拘束性の程度も強いとはいえないこと から肯定することができないとした上で、報酬の労務対償性、事業者性、専属性等も考慮して、労働者性を否定している

○NOVA事件(名古屋高判令2.10.23)→事案の概要 語学スクールにおいて英会話講師として稼働していた原告らが、業務委託契約が実質上労働契約であり、年次有給休暇請 求権の行使を違法に妨げた上、健康保険加入義務を懈怠したとして、不法行為責任に基づく損害賠償の支払等を請求した 事案。
<控訴審(名古屋高判令2.10.23)労働者性肯定> (業務の性質上具体的な指揮命令になじまない業務について、指揮監督の有無を判断した部分)→業務の性質上具体的な指揮命令になじまない業務であっても、指揮監督を受けていると判断している。
(「業務の性質」を業種、職種単位で評価している部分)(「業務の性質」を業種、職種単位で評価している部分)  参照。

○国立大学法人東京芸術大学事件(東京地判令4.3.28)→事案の概要 大学の非常勤講師を務めていた原告が、被告との間で締結していた期間を1年間とする有期の委嘱契約が更新されなかったことにつき、労働契約法19条により従前と同一の労働条件で労働契約が更新されたとみなされるとして、労働契約上 の地位確認と更新拒否後の賃金の支払を請求した事案。
<労働者性否定>(判断枠組みに関連する部分)(「業務の性質」を業種、職種単位で評価している部分)(「組織への組み入れ」「組織への組み込み」等の記載またはこれらの記載と類似すると考えられる事実に関して言及がなされている部分)
(要素の重みづけに関連する部分)→各講義の共通テーマはYによって決定されて授業計画書にも記載され、予定された講義日程に従い、指定された内容の 授業を行うことを指示されていたこと、講義の運営を主導していたD1講師の業務の補佐を指示されており、その一環と して、他の外部講師が担当していた授業にもオブザーバーとして出席していたこと、という事情があるものの、「Y大学 における講義の実施という業務の性質上当然に確定されることになる授業日程及び場所、講義内容の大綱を指示する以外 に本件契約に係る委嘱業務の遂行に関し特段の指揮命令を行っていたとはいい難」いこと、「Xに対する時間的・場所的 な拘束の程度もY大学の他の専任講師等に比べ相当に緩やかなものであった」こと等を理由に労働者性を否定している

次回も続き「参考資料No.1 労働基準法上の労働者に関する主要な裁判例集」からです。

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