第29回社会保障審議会福祉部会 資料 [2025年10月17日(Fri)]
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第29回社会保障審議会福祉部会 資料(令和7年9月8日)
議事 (1)地域共生社会の更なる展開について (2)身寄りのない高齢者等への対応、成年後見制度の見直しへの対応 について https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63072.html ◎〔委員提出資料〕 鳥田委員提出資料 宮本委員提出資料 山下委員提出資料 ◎社会福祉法人東京都社会福祉協議会 副会長・常務理事 鳥田 浩平 「身寄りのない高齢者等への対応」について 先般、「地域共生社会の在り方検討会議」が公表した中間とりまとめでは、身寄りのない高齢者等への対応として、日常生活自立支援事業(以下、日自事業)に、入院・入所の手続支援や死後事務の支援を加えることで拡充・発展させた新事業を実施するとの方向性が示されているところです。 一方、身寄りのない高齢者等への対応を、福祉サービス利用援助事業である日自事業で実施することには、支援の対象、範囲及び支援に求められる専門性が大きく異なることから、都道府県・指定都市社会福祉協議会をはじめ、日自事業の委託先である市区町村社会福祉協議会より戸惑いや不安の声が多数寄せられているところです。 身寄りのない高齢者等への対応は、社会福祉協議会としても取り組むべき社会的な課題であると認識しておりますが、今後の検討にあたっては、以下の事項を考慮することが必要であると考えます。 1 身寄りのない高齢者等への対応は、福祉の領域を超えた多様な主体によって取り組むべき課題で あることを前提に検討する必要がある。 2 福祉における身寄りのない高齢者等への対応は、権利擁護支援体制の一環として取り組むべき課題であることから、市区町村を主体としながら、都道府県及び市区町村の実情に応じた支援体制を 構築するよう検討する必要がある。 3 身寄りのない高齢者等への対応について、現行の日自事業とは支援の対象や支援内容が異なり、 また、事業の実施には民事法等の高度な知識や専門性が求められることから、日自事業とは別の新たな枠組みによる実施も含めて検討する必要がある。 4 身寄りのない高齢者等が適切な支援を受けることができるよう、高齢者等終身サポート事業を実施する民間事業者に対する、都道府県や市区町村におけるチェック体制の構築を検討する必要がある。 5 現行の日自事業への予算確保にはご尽力いただいているところではあるが、市区町村社協では厳しい人員体制が続く他、委託契約を見直す動きも見られることから、今後の検討にあたっては、都道府県や市区町村の関わりも含めて、社会福祉協議会等へのヒアリング等によって、実態把握や意見聴取を引き続き丁寧に行う必要がある。 ※令和7年8月22日に関東甲信越静ブロック都県・指定都市社会福祉協議会一同として、厚生労働省社会援護局長宛に上記と同様の内容を要望書として提出しています。 ◎宮本太郎(中央大学) 1社会福祉法は新たなステージを迎えているのではないか ・1951〜社会福祉事業法の時代政府を補完する社会福祉法人→GHQによる公私分離の要請(憲法89条)、 公的な資金なしでは立ちゆかない事業状況⇒ 社会福祉法人および措置制度成立 ・2017〜能動的にサービスを担う事業者と利用者としての住民→家族の変化と福祉ニーズの多様化 社会福祉基礎構造改革⇒ 措置から契約 ・2000〜共にサービスを連携させ創造する住民・自治体・事業者→雇用と地域の抜本変化少子高齢化 地域共生社会と包括的支援体制のビジョン⇒ 契約そして共創へ? 2 生活困窮者自立支援制度・地域共生社会・包括的支援体制・重層的支援 体制整備事業の流れを振り返ると・・・「地域共生社会」閣議決定 (2016)→ 社会福祉法改正(2017)→ 106条3に包括的支援体制 社会福祉法改正(2020)→ 106条4に重層的支援体制整備事業へ。 3 包括的支援体制と重層的支援体制整備事業→すべての分野を包括ということではない 時々の課題に応じて、必要な分野が(つながりたい分野が)つながることが できることが大事 4 重層事業はどこでまちづくりと出会うか?→「重層事業をつくることが目的化すると失敗する。包括的な支援体制をどうつくるかをまず考える必要があり、その中で 財源の問題が出てきた時に重層事業を検討すれば、使い勝手はよいと思う」(愛媛県宇和島市からのヒアリング)(「社 会福祉法106条の3に定める包括的支援体制の多様なあり方に関する調査研究報告書」) 5包括的支援体制の諸機能(つながる・つなぐ・「場」をつくる)は制度 や事業者ごとにきれいに分かれない福祉分野に収まってはいけない→多くの事業所には相談の機会や「場」の役割、「場」につなぐ機能があるが事業として制度化され区分されているわけでない⇒各事業に関わる 専門職のつながり・ つなぐ機能は大きい 6 国と自治体、事業者、専門職、住民との新しいコミュニ ケーションのあり方を→•「中間とりまとめ」で、既存制度活用アプローチと機能集約化アプロー チというざっくりとした類型が提示された理由、 • Q and AとPDCAサイクルそして事業評価等のプロセスは大事だが、厳 密にすすめようとすればするほど当該分野に閉じてしまうという逆説も、 • 「共創」の時代であるからこそ、共に創っているものを再確認しつつ 「ご当地モデル」を育てるべき ◎公益社団法人 日本社会福祉士会 会長 山下 康 「(1)地域共生社会の更なる展開について、(2) 身寄りのない高齢者等への対応、成年後見制度の見直しへの対応」について、以下のとおり 意見を述べる。↓ (1)地域共生社会の更なる展開について ■「2 包括的な支援体制整備に向けた対応(論点@)」について(資料1 P.13)→ ○(市町村における包括的な支援体制の整備の推進)について、「重層的支援体制整備事業を実施していない市町村への支援を拡大(支援会議の活用を可能とする 等)」とある。 ○支援会議は、複雑化・重層化する生活課題に対する多機関連携による包括的支援の要であり、今後支援を拡大していくにあたり、市町村による地域間格差を是正していけるよう、財政的支援および人的支援により実効性を担保する必要がある。なお、人的支援においては、意思決定支援、関係調整、倫理的判断等の専門性の担保が求められ、社会福祉士等福祉専門職の配置が必要と考える。 ○また、生活保護受給者に対しては、支援機関同士が連携しながら支援を行うことが十分ではない状況も散見される。支援会議の対象拡大に際し、社会福祉法106条の6第5項で規定されている生活保護法上の調整会議、生活困窮者自立支援法上の支援会議との有機的な相互連携を一層推進することが必要である。 ■「2 包括的な支援体制整備に向けた対応(論点A)」について (資料1 P.14)→○(包括的な支援体制の中でのこども・若者支援)において、市町村に対し「こども期からの予防的支援や若者の特性に留意しアウトリーチや継続的な伴走支援を行うこと等」に留意した包括的な支援体制整備の必要性を周知、とある。 ○こども期から成人期への切り替わりの時期に、子ども家庭福祉領域の支援機関から生活困窮者自立相談支援機関等への支援機関間での情報共有や支援の引継が十分ではなく、連続性が担保されない課題が見受けられる。切れ目のない継続的な支援を行うために、年齢の壁にとらわれず複合的な課題を抱えたこども・若者に対しても相談支援を行う「子ども・ 若者総合相談センター」機能の充実と、支援機関間の有機的な連携のための体制整備の推進が求められる。 ■「3 過疎地域等における包括的な支援体制整備のための新たな仕組み(論点 @)」について (資料1 P.17)→○「地域活動コーディネート機能」として「住民ニーズ・住民発意を尊重した地域活動創出のコーディネートを行うため、コーディネーターを配置」し、「生活支援コーディネーターや生活困窮相談員等の福祉分野に加え、集落支援員等、まちづくり分野の役割も兼ねる」とある。 ○生活支援コーディネーターは、地域資源の開発・マッチング、社会参加支援等の機能を担 っており、地域学習会などを通じ、住民の気づきや関係性を育む場の創出を行っている。 それが、地域づくりに向けた住民意識の醸成につながると考える。 ○福祉分野の課題においても、このような機能をコーディネーターが持つことで、これまで「困ってからの支援」が中心であった生活困窮者、孤立している高齢者等と、より早い段階で、予防的な関わりを持つことができると考える。 ■「4 地域共生社会の理念の再整理・連携協働の強化(論点)」 福祉サービス提供等における「意思決定支援」への配慮について(資料1 P.22)→○(福祉サービス提供等における「意思決定支援』への配慮)として、「福祉サービスの提供等にあたっては、意思決定支援の配慮の必要性を明確化」とある。 ○本人を支えるチーム全体のプロセスとして、意思決定支援に関する各種ガイドラインを踏まえた対応が担保されるよう、意思決定支援については「配慮の必要性」にとどまらず、 社会福祉法において「義務」として規定する必要があると考える。 ■「4 地域共生社会の理念の再整理・連携協働の強化(論点)」 福祉以外の分野との連携・協働について(資料1 P.22)→◯(福祉以外の分野との連携・協働)として、「まちづくり・農業・住まい・交通・消費者行政・防災・司法等の他の分野とのそれぞれの役割を踏まえた連携・協働を推進するため、包括的な支援体制の整備にあたって、連携に努める対象分野を拡大」とある。 ○福祉以外の分野との連携・協働について、本会が実施した調査研究事業では、社会福祉士 がソーシャルワーク機能の1つである「ネットワーキング機能」等を発揮し、福祉分野にとどまらない他分野の地域資源、地域住民等と連携・協働する取り組みを展開しているこ とを明らかにしている(別紙1参照)。この報告書では、鰺ヶ沢町社協(法律専門職、裁判所等司法機関)、菊川市社協(自治体住宅部局、不動産会社等居住・住宅関係機関)等の取り組み事例を紹介している。福祉以外の分野との連携・協働による地域づくりを推進していくにあたっては、社会福祉士の活用の推進についてご検討いただきたい。 (参考)令和6年度社会福祉推進事業「ソーシャルワーク専門職である社会福祉士等の活用 状況の実態把握と更なる活用等に関する調査研究事業」事例集 ↓ https://www.jacsw.or.jp/citizens/josei/documents/2024suisinzirei.pdf ○別紙1 地域における社会福祉士の活動領域(例) (2)身寄りのない高齢者等への対応、成年後見制度の見直しへの 対応について ■「2 新たな事業について」(資料2 P11〜16) →○「地域共生社会の在り方検討会議中間とりまとめ」(以下「中間とりまとめ」と記載。)では、身寄りのない高齢者等が抱える生活上の課題に対する支援策の一環となる新たな事業について、「日自事業を拡充・発展させて、本人との契約に基づき、日常的な金銭管理や福祉サービス等利用に関する日常生活支援、円滑な入院・入所の手続き支援、死後事務支援などを提供するこ とができる新たな事業とし、第二種社会福祉事業として法に位置づけ、多様な主体が参画できるようにする必要がある」と方向が示されている。 ○「身寄りのない高齢者等」という表現は、あたかも本人の身寄りがないことが問題であるような印象を与えるため、異なる表現を考えるべきである。身寄りがあっても同様の課題を抱えざるをえない場合もある。「身寄りのない」ことが問題なのではなく、身寄りのことを問題にせざるを得ない現在の社会環境上の課題であると考える。 ○新たな事業が法に位置づけられ、多様な主体が新たな事業に関わっていくようになる場合には、 事業者の地域におけるネットワークへの参画の確保などの支援機能と、監督機能を中核機関の 役割に位置づけるなどの体制整備が必要になると考える。 ■ 「4 中核機関の位置づけ等について」(資料2 P26-28)→○中間とりまとめでは、市町村の業務を@権利擁護支援や成年後見制度に関する相談を受け、必要に応じて専門的助言を確保しつつ、権利擁護支援の内容の検討や支援を適切に実施するためのコーディネートを行う業務、A協議会の運営等、専門職団体・関係機関の協力・連携強化のために関係者のコーディネートを行う業務と定め、@Aの業務と家庭裁判所からの意見照会への対応を実施する機関として市町村は「中核機関」を設置すること、職員と会議体構成員に守秘義務を課すことについて、法令上の規定の整備を検討すべき、とされている。 ○市町村の業務と関係機関のコーディネートを行う中核機関に、法制上明確な位置づけを与え、 役割を明確化することは、欠かせないことであると考える。 ○2024 年度本会が実施した「中核機関の役割とソーシャルワーク機能に関する調査研究事業」においては、第二期成年後見制度利用促進基本計画で提示された「権利擁護の相談支援機能」「権利擁護支援チームの形成支援機能」「権利擁護支援チームの自立支援機能」や「地域福祉と家庭裁判所との連携機能の強化」など、中核機関が役割を果たすために、ソーシャルワーク機能の発揮が必要であることが明らかとなった。今後、中核機関が求められる役割を担っていくため には、中核機関の組織的強化に加え、中核機関に配置される人材が、地域連携ネットワークを最大限に活用して、地域の多様なリソースを結集させるソーシャルワークの実践を担うことが 不可欠である。ソーシャルワーク専門職である社会福祉士は、専門職後見人として身上保護の専門性を高く評価され、裁判所から数多くの後見等受任の審判を受けているとともに、司法分野の専門職・機関と社会福祉機関の間の調整や、地域の関係機関とのネットワーク構築を担ってきている。今後、法定化された中核機関が機能を発揮するために、専門職後見人等としての 知見と経験を有し、地域の各機関と連携してソーシャルワークを展開する社会福祉士を中核機関へ配置することが促進されるよう、施策の検討をいただきたい。 ○中核機関の法律上の名称案として「権利擁護支援推進センター」が提案されているが、これまで成年後見制度利用促進基本計画(第1期、第2期)等で、「中核機関」という名称で推進され、 浸透してきた名称であり、「中核機関」という文言を含めた名称を検討いただきたい。 ○法制審議会における民法(成年後見等関係)等の改正に関する中間試案において、法定後見の期間が論点となっており、開始の際に考慮した必要性がなくなれば、終了する案などが検討されている。本会調査研究事業では、複数の自治体・中核機関より、後見制度利用の終了を見据えて中核機関が後見の必要性を検討する場合、申立時から本人や環境がどのように変化したの かを検証するための資料(制度終了を受け止める行政・福祉関係者にとって必要な情報をまとめた「逆本人情報シート」、「逆ソーシャルリポート」等)が必要という意見がだされ、制度の 継続や終了の判断根拠となることを想定した「ソーシャルリポート」を作成しており、参考としていただきたい。 (参考)「中核機関の役割とソーシャルワーク機能に関する調査研究事業」 ソーシャルリポート(書式・解説・記載例)、報告書↓ https://www.jacsw.or.jp/citizens/seinenkoken/chukaku.html ■「成年後見制度の見直しへの対応について」(資料2)→○現在、虐待対応として本人の意思を十分に確認することができない、または困難であることを 理由として、保護を優先させるために法定後見が利用されている事例がある。この方法で法定後見の利用につながった者が、保護の必要がなくなっても見直しがなされず、強い介入が継続することが問題となっている。この問題の是正には、まず「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」及び「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」(以下、「高齢者・障害者虐待防止法)における公的保護を優先し、環境改善後に丁寧な意思決定支援を行い、その上で本人の同意と必要性の判断に基づき法定後見制度の利用となるべきである。そのため、高齢者・障害者虐待防止法における後見制度活用の条文見直しを行うとともに、セルフネグレクトの共通の定義や対応について、包括的権利擁護支 援のスキームの観点から、本福祉部会における社会福祉法にかかる議論においても求められる と考える。以下に、関係法文に関する改正の提案を参考までに提示する。 ○(参考) ↓ 【高齢者虐待防止法】↓ (通報等を受けた場合の措置) 第9条 1 (略) 2 市町村又は市町村長は、第7条第1項若しくは第2項の規定による通報又は前項に規定する届出があった場合には、当該通報又は届出に係る高齢者に対する養護者による高齢者虐待の防止及び当該高齢者の保護が図られるよう、養護者による高齢者虐待により生命又は身体に重大な危 険が生じているおそれがあると認められる高齢者を一時的に保護するため迅速に老人福祉法第 20 条の3に規定する老人短期入所施設等に入所させる等、適切に、同法第10条の4第1項若しくは 第11条第1項の規定による措置を講じ、又は、適切に、同法第32条の規定により審判の請求をするものとする。 <改正の提案> 老人福祉法第32条の規定見直しとあわせ、「適切に審判の請求をするものとする」について、 本人の同意が原則であること、同意が困難な場合であっても法定後見制度の審判の請求が必要 である場合を明記することが求められる、などの検討が必要。 (成年後見制度の利用促進) 第28条 国及び地方公共団体は、高齢者虐待の防止及び高齢者虐待を受けた高齢者の保護並びに 財産上の不当取引による高齢者の被害の防止及び救済を図るため、成年後見制度の周知のための 措置、成年後見制度の利用に係る経済的負担の軽減のための措置等を講ずることにより、成年後見制度が広く利用されるようにしなければならない。 <改正の提案> 第二期基本計画においては、「成年後見制度のみの利用促進」を目的としておらず、「権利擁護 支援全体の利用促進」としているので、その目的と合わせ、また、「成年後見制度が広く利用されるようにしなければならない」という表記も含めた見直しの検討が必要である。 【障害者虐待防止法】↓ (通報等を受けた場合の措置) 第9条 1 (略) 2 (略) 3 市町村長は、第七条第一項の規定による通報又は第一項に規定する届出があった場合には、当該通報又は届出に係る障害者に対する養護者による障害者虐待の防止並びに当該障害者の保護及び自立の支援が図られるよう、適切に、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法 律第123号)第51条の11の2又は知的障害者福祉法 第28条の規定により審判の請求をするも のとする。 <改正の提案> 高齢者虐待防止法と同様に、「適切に審判の請求をするものとする」について、本人の同意が原則であること、同意が困難な場合であっても法定後見制度の審判の請求が必要である場合を明記することが求められる、などの検討が必要である。 (成年後見制度の利用促進) 第44条 国及び地方公共団体は、障害者虐待の防止並びに障害者虐待を受けた障害者の保護及び自立の支援並びに財産上の不当取引による障害者の被害の防止及び救済を図るため、成年後見制度の周知のための措置、成年後見制度の利用に係る経済的負担の軽減のための措置等を講ずることにより、成年後見制度が広く利用されるようにしなければなら ない。 <改正の提案> 第二期基本計画においては、「成年後見制度のみの利用促進」を目的としておらず、「権利擁護 支援全体の利用促進」としているので、その目的と合わせ、また、「成年後見制度が広く利用されるようにしなければならない」という表記も含めた見直しの検討が必要である。 【介護保険法】 ↓ (地域支援事業) 第115条の45 1 (略) 2 市町村は、介護予防・日常生活支援総合事業のほか、被保険者が要介護状態等となることを予防するとともに、要介護状態等となった場合においても、可能な限り、地域において自立した日常生活を営むことができるよう支援するため、地域支援事業として、次に掲げる事業を行うものとする。 一 被保険者の心身の状況、その居宅における生活の実態その他の必要な実情の把握、保健医療、公衆衛生、社会福祉その他の関連施策に関する総合的な情報の提供、関係機関との連絡調整その他の被保険者の保健医療の向上及び福祉の増進を図るための総合的な支援を行う事業 二 被保険者に対する虐待の防止及びその早期発見のための事業その他の被保険者の権利擁護のため必要な援助を行う事業 <改正の提案> 上記第2項2号に、例えば、「被保険者に対する虐待及びセルフネグレクトの防止及びその早期発見のための事業その他の被保険者の権利擁護のため必要な援助を行う事業」といった文言を導入することの検討が必要である。 【障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律】 ↓ (市町村等の責務) 第2条 市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、この法律の実施に関し、次に掲げる責務 を有する。 1 (略) 2 (略) 3 意思疎通について支援が必要な障害者等が障害福祉サービスを円滑に利用することがで きるよう必要な便宜を供与すること、障害者等に対する虐待の防止及びその早期発見のために関係機関と連絡調整を行うことその他障害者等の権利の擁護のために必要な援助を行うこと。 <改正の提案> 上記法文に、介護保険法と同様の文言を導入する事の検討が必要である。 【セルフネグレクトの共通定義の必要性】 ↓ 「セルフネグレクト」という言葉が自己選択・自己責任ととられないよう、社会的ネグレクト であることを共通の認識と捉えられるような定義づけは、権利擁護支援全体の利用促進の観点から、包括的権利擁護支援のスキーム中で行うべきであり、本部会における社会福祉法にかかる議論においても求められると考える。 介護保険法においては、セルフネグレクトにおける必要な保護が老人福祉法11条等を根拠として実現することで、本人にとって必要な保護が適うことが期待される。 障害者虐待防止法においては、高齢者のように「虐待防止法のとり扱いに準じた対応」と まで明記されていないが、国の「市町村・都道府県における障害者虐待の防止と手引き(令和6年7月)」においては、「(セルフネグレクトの)サインが認められれば、支援が必要 な状態である可能性が高いので、市町村の障害者の福祉に関する事務を所管している部局等 は、相談支援事業所等の関係機関と連携して対応する必要があります。」と整理されている。 国の障害者虐待防止法に基づく令和5年度「市区町村における体制整備等に関する状況」においては、「いわゆるセルフネグレクトにより、必要な福祉サービス及び医療保険サービスを利用していない障害者に対する権利利益の擁護を図るための相談支援事業所など関係機関と連携した対応」の項目や、セルフネグレクトに関する特別調査も行われているため、高齢者虐待とあわせて整理されることが必要と考える。 (参考)一般財団法人日本総合研究所「令和6年度障害者虐待事案の未然防止のための調査 研究一式調査研究事業」報告書 https://www.mhlw.go.jp/content/001469011.pdf 以 上 次回は新たに「こども性暴力防止法施行準備検討会(第7回)」からです。 |



