プレコンセプションケアの提供のあり方に関する検討会 〜性と健康に関する正しい知識の普及に向けて〜(第5回) [2025年06月19日(Thu)]
プレコンセプションケアの提供のあり方に関する検討会 〜性と健康に関する正しい知識の普及に向けて〜(第5回)(令和7年5月21日)
議事(1) ワーキンググループからの報告(2)プレコンセプションケア推進5か年計画(案) https://www.cfa.go.jp/councils/preconception-care/e1d82425 ◎資料1 小宮構成員提出資料 「プレコンサポーターTEXTBOOK」について ○概要→「プレコンセプションケア・アドバイザー(仮称)養成 のためのマニュアル作成WG」において、「成育医療等 の提供に関するデータ分析・支援等推進事業」(女性の健康ナショナルセンター)と連携し、プレコンサポーターTEXTBOOK(以下「TEXTBOOK」という。)を作成。 ○プレコンサポーターについて→・プレコンサポーターは、「プレコンセプションケアを推進することを目的とし、自治体・企業・教育機関等において、性別を問わず、性や健康に関する正しい知識の普及を図り、健康管理を行うよう促す人材」と定義。 ・プレコンサポーターは専門職が中心となって活動する場合もあるが、職種に限定されず、研修を修了すれば、 希望する方は、誰でもプレコンサポーターになるものとして想定。 ・プレコンサポーターは、各自がプレコンセプションケアに 関する情報の発信や企画、多職種・多機関との連携 促進等の活動を行う ○プレコンサポーターTEXTBOOKの構成→・TEXTBOOKは、プレコンサポーターがプレコンセプションケアに関する取組を行うに当たって必要となる知識・情報を取りまとめたもので、総論・各論から構成。 ・総論では、全てのプレコンサポーターの方に理解しておいていただきたい内容として、プレコンセプションケアの概念や取 組の必要性、対象、主な内容、支援に関する事項等について記載。 ・各論では、プレコンセプションケアに関して想定される相談内容をQA方式で記載。特に、プレコンサポーターが行う情報発信においては、生活習慣や健康管理に関する知識や、妊娠と出産に向けて特に重要となる知識等、幅広い内容を取り扱い、企画や情報発信を検討する際の参考として活用できる。主な内容としては、小児・思春期における心身の状況や 健康に関わる知識の習得状況等、性成熟期における健康課題等及び想定される相談内容等について記載。 ○プレコンサポーターによる相談支援→・プレコンサポーター自身が専門職である場合は、専門的な個別相談の対応が行われることが想定される。TEXTBOOKの 内容を参考にしながら、必要に応じて、医療機関への受診や適切な支援につなげられるように対応。 ・また、専門職以外の場合でも、相談を受けることも想定されるが、専門的な質問については、こども家庭庁のホームページ やTEXTBOOKに記載されている信頼できる情報を紹介したり、適切な専門の相談窓口等へ相談することを勧める。 ◎資料2 荒田参考人提出資料 「プレコンセプションケア医療者用マニュアル」について ・概要→「医療機関等におけるプレコンセプションケア相談対応マニュアル作成WG」においては、「基礎疾患を持つ方に対するプレコンセプションケアの情報 提供の充実のための研究」(令和6年度こども家庭科学研究研究代表者:荒田尚子)と連携し、「プレコンセプションケア医療者用マニュア ル」を作成。 ・マニュアルの位置づけについて→・医療機関におけるプレコンセプションケアに関する相談対応等を進める手引書として作成し、医療機関におけるプレコンセプションケアに関する 相談外来において、産科・婦人科・小児科・内科等の外来の医師、助産師、看護師、保健師又は管理栄養士等が使用することを想定。 ・対象者(対象患者)としては、性別を問わず「思春期前後〜性成熟期」の年代で、基礎疾患をもっているまたはその既往がある、月経など性や 生殖に関する悩みを抱えている、以前の妊娠で問題があったまたは不安がある、現在の健康に不安がある人を想定。 ・マニュアルの方向性について→・プレコンセプションケアに精通していない医療者でも、問診票等を用いて、決まった方式でチェックし、スクリーニング検査と、対象者に対して長期的な視点を持ってコーチングを進めることができるような内容とした。 ・なお、妊娠や出産などに関して感情的な問題や、それに伴う過去のトラウマを扱う必要がある場合は、心理的なサポートを重視するカウンセリングが必要となることから、専門外来へ紹介する。 ・令和5年度に行った基礎疾患を持つ女性を対象としたフォーカスグループインタビューの結果や、関連学会へのアンケート結果などを踏まえ、4つの対象疾患に絞ってマニュアルを作成した。今後、基礎疾患に対する記載を順次増やしていく予定。 ・基礎疾患のない方に対しては、令和2〜4年度厚生労働科学研究費で作成された「プレコンノート」を相談外来で用いることを想定。 ・「プレコンセプションケアー基礎・共通ー」及び「プレコンセプションケアー疾患別ー」では、プレコンセプションケアに関する相談対応等の実施に当たって、 事前に理解しておくべき基本事項を概説。基礎疾患の有無にかかわらず全ての女性に共通する一般的なチェックポイントについて説明し、基礎疾 患やリスクを有する女性に対しては、より具体的なチェック項目や必要となるスクリーニング検査を提示し、実際の診療に活用できるよう構成。 ・マニュアルの具体的な内容→1.はじめに 2.プレコンセプションケアとは 3.プレコンセプションケア医療者用マニュアルの使い方 4.プレコンセプションケア–基礎・共通⇒リプロダクティブヘルス、感染症・ワクチン、ライフスタイル、体重・運動、メンタルヘルス、婦人科のかかりつけ医、子宮頚がん・乳がん 5.プレコンセプションケア–疾患別⇒ 糖尿病・高血圧・バセドウ病・関節リウマチに関するマニュアルを、WGとの連携の下、研究班において作成 6.参考資料⇒問診票、疾患別問診票、プレコンケアプラン及び疾患別プレコンケアプランを、WGとの連携の下、研究班において作成 ◎資料3−1 プレコンセプションケア推進5か年計画(案) 目 次 ↓ T.背景と経緯 →〇 女性の健診機会等を通じた妊娠前スクリーニング、アセスメント、ヘルスプロモーションの 重要性が提唱されたのは 1980 年代にさかのぼる。妊娠前の肥満や糖尿病等の健康問題 を抱えた妊娠が、周産期死亡率や母体死亡率等の増加要因として指摘されたことも踏まえ、 2006 年に米国疾病管理予防センター(CDC)が、「女性の健康や妊娠転帰に対する医学 的・行動的・社会的リスクを、予防と管理を通じて特定・修正することを目的とした一連の介入」を、プレコンセプションケアとして提唱した。 〇 2012 年には世界保健機関(WHO)が、プレコンセプションケアを「妊娠前の女性とカップルに医学的・行動学的・社会的な保健介入を行うこと」と定義し、対象者の健康状態を改善し、 母子健康アウトカムに影響しうる行動や個人的・環境要因を減らすことを目的とした。 〇 2012 年以降、英、豪等では、プレコンセプションケアを国家戦略や国家的目標に取り入れ、 サーベイランス指標を設定している。また、プレコンセプションケアに関する保健医療関係 者向けガイドラインを策定している国もある。 〇 プレコンセプションケアに関連する国内の課題は多い。1970年頃から2000年代にかけて 出生数における低出生体重児の割合が増加し、その後 9.5%前後で推移している。低出生体重児の原因のひとつに妊婦のやせの問題があるが、現在、20 歳代から 30 歳代の女性のやせは約 20%で中長期的には増加傾向にある。また、基礎疾患がある場合や出産年齢が高くなること等による周産期リスクの高い妊娠の増加や、予期せぬ妊娠の場合に妊産婦の自殺や児童虐待に至る可能性があることなど、妊娠に関係する様々な問題がある。 〇 このような状況も踏まえ、2018 年以降、プレコンセプションケアが政府の方針にも組み込まれた。「成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律」(平成30年12月14日公布)に基づく「成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針」(令和3年2月9日閣議決定)において、「安心・安全で健やかな妊娠・出産、産後の健康管理を支 援するため、プレコンセプションケアの実施などの支援を求める者や、支援が必要と認められる成育過程にある者等に対して適切に支援を実施するなど、需要に適確に対応した切れ目のない支援体制を構築する」ことや、「リプロダクティブ・ヘルス・ライツ(性と生殖に関する 健康と権利)の視点に基づく、成育医療等の提供が求められている」とされている。 〇 同基本方針は、令和5年3月 22 日の閣議決定で改定され、「男女を問わず、性や妊娠に関する正しい知識の普及を図り、健康管理を促すプレコンセプションケアを推進する」こととされた。 〇 現在、こども家庭庁においては、 ・ 健康相談支援サイト「スマート保健相談室」や「妊 娠前からはじめる妊産婦のための食 生活指針」普及啓発リーフレットの作成・配布、成育 医療等の提供に関するデータ分析・ 支援等推進事業により正しい知識の普及を図るととも に、 ・ 性と健康の相談センター事業において、相談支援体制の整備を進め、 ・ 基礎疾 患のある妊産婦等への妊娠と薬に関する相談支援事業や、基礎疾患を持つ方に 対するプレ コンセプションケアの情報提供の充実のための研究において、専門的な相談 支援体制の整 備を進めている。 〇 一方、特に若い世代が自分の将来を展望する際に、性や健康・妊娠 に関する様々な疑問 を持ちつつも、その正しい知識の取得方法や、相談する場所・手段に ついては、必ずしも広く知られていない。また、中高生、大学生、キャリアとのバランス を検討している20代・30代、 具体的に妊娠を考えている方等、対象により必要とする情 報が異なる現状・課題がある。 〇 こうした状況や、背景も踏まえ、プレコンセプション ケアに係る課題と対応について整理を 行い、今後5年間の取組の基盤となる計画の策定等 を行うことを目的として、「プレコンセプ ションケアの提供のあり方に関する検討会〜性 健康に関する正しい知識の普及に向けて〜」を設置した。 〇 検討会においては、若い世 代のニーズを踏まえ、有識者の知見を得ながら、プレコンセプションケアに関係する以下 の点を中心に議論を進めることとした。 ・ 性や妊娠に関する正しい知識の普及と情報提 供のあり方 ・ 妊娠を考える方や若い世代の健康管理に関する相談支援のあり方 〇 あわ せて、二つのワーキンググループを設置し、医療機関等における専門的な相談及び自治 体・企業・教育機関等における一般相談や正しい知識の普及と情報提供のあり方に対 応 するためのマニュアルの作成を行うこととした。 U.プレコンセプションケアの概念及び現状・課題とその対応にあたっての基本的な考え方 1.プレコンセプションケアに関する概念の普及 (プレコンセプションケアに関する概念の普及の重要性) (ライフステージに応じた概念の普及) 2.プレコンセプションケアに関する相談支援体制の充実 3.専門的な相談支援体制の強化 V.今後5年間の集中的な取組 1.性や健康に関する正しい知識の積極的な普及と情報提供 (1) プレコンセプションケアに関する知識の深化 (2) プレコンセプションケアの具体的な内容とその対象について @ 若い世代の健康管理や性についての知識の深化 A 健康な妊娠と出産についての知識の深化 (3)自治体・企業・教育機関等でのプレコンセプションケアについての取組のサポー ト (4) プレコンセプションケアの普及に係る人材育成 (プレコンサポーターとは) (プレコンサポーターに期待される具体的な取組と具体的な人材の例) <自治体><企業><教育機関> <自治体の目標>・ 今後5年間で性と健康の相談センター事業※の取組を行う自治体を100%とする。 ※ 実施主体:都道府県、指定都市、中核市(連携して行う場合も含む) ・ 自治体職員のプレコンサポーターの研修受講やプレコンセプションケアの普及啓 発等も含め、全ての自治体でプレコンセプションケアに関する取組を実施する。 <企業の目標>・ 今後5年間で、プレコンセプションケアの取組を行う国内の企業を増やす。具体的 には、普及に向けた第一歩として、健康経営度調査等に回答する企業の80%※が プレコンセプションケアに関する何らかの取組を実施していることを目指す。 <教育機関の目標>・ 今後5年間で、支援を必要とするすべての教育機関等が、プレコンサポーターによる 支援を受けられることを目指す。 2.プレコンセプションケアに関する相談支援の充実 【一般相談】 3.プレコンセプションケアに関する医療機関等における相談支援の充実 【専門相談】 W.おわりに→〇 本計画を踏まえ、国、地方公共団体、国立成育医療研究センター等の専門機関が、それぞれの役割に応じて、着実にプレコンセプションケアを推進していくことが期待される。 〇 国は、こども家庭庁が主体となって、関係省庁や関係機関と連携し、プレコンセプションケアに関する取組を進めるとともに、取組の進捗状況や施策の効果等を評価するため、 プレコンセプションケアに関する政策の効果を定期的に評価し、改善点を見つけるための PDCAサイクルを導入することが求められる。具体的には、国はプレコンセプションケアに関する研究の中で、科学的なエビデンスを踏まえ、施策の効果等に関する指標を開発す る。 〇 さらに、プレコンセプションケアに関する具体的な取組の実施にあたっては、特に若い 世代との意見交換の機会を継続的に設け、当事者のニーズに沿った取組や支援が実施できるよう努めていく。 〇 また、地方自治体の提言※1を踏まえ、国は、地方自治体でのプレコンセプションケアの 推進に向けた取組に対して、国立成育医療研究センター等と連携した技術的助言等の支 援を行っていくことが重要である。 〇 そうした支援を活用して、希望する都道府県や市町村が、国のプレコンセプションケア 推進5か年計画も参考に、地域の実情に応じた「地方版推進計画」を策定し※2、計画的に 取組を進めることが期待される。 〇 プレコンセプションケアは、性別を問わず全ての世代にとって重要な取組であり、社会 全体での認知度向上と支援体制の整備が求められる。すべての人がプレコンセプション ケアについての知識を持ち、実践することができる社会となるよう、今後も引き続き、関係 機関と連携し、プレコンセプションケアの普及に努めることが重要である。 ※1「子ども・子育て政策を強力に推進するための提言(令和6年11月12日全国 知事会)(抜粋)」 ・ 価値観やライフスタイルが多様化する中で、子ども・若者が主体的に将来を選 択できるよう、家庭生活や家族の大切さについて考える機会をつくるととも に、妊娠・出産や性に関する正しい知識を習得し、自ら主体的に適切な判断が できるよう、発達段階に合わせたライフデザイン教育やライフプランニング教 育、キャリア教育、プレコンセプションケア(若い世代が将来のライフプラン を考えて 日々の生活や健康に向き合うこと)、セクシュアル・リプロダクティ ブ・ヘルス/ ライツ(性と生殖に関する健康と権利)に対する理解促進を全 国的に進めること。 ※2 こどもに関する計画等の既存の計画にプレコンセプションケアに関する章を 設けるなど、地域の実情に応じて策定することも可能。 ○(別紙1) プレコンサポーターについて ○(別紙2) プレコンセプションケアの提供のあり方に関する検討会 〜性と健康に関する正しい知識の普及に向けて〜 構成員名簿→19名。 ○(別紙3) プレコンセプションケアの提供のあり方に関する検討会 〜性と健康に関する正しい知識の普及に向けて〜 開催経過→5回の会合。 ○(別紙4) プレコンセプションケアの提供のあり方に関する検討会 〜性と健康に関する正しい知識の普及に向けて〜 ヒアリング実施状況→(第3回検討会)まで。 ◎資料3−2 プレコンセプションケア推進5か年計画を踏まえた支援体制 ○「プレコンセプションケア推進5か年計画」を踏まえた今後5か年の集中的な取り組みとして、国、地方公共団体、企業、教育機関、国立成育医 療研究センター等の専門機関及び関係団体が、それぞれの役割に応じて、以下の取組を中心に、着実にプレコンセプションケアを推進していくことが 期待される。→・性や健康・妊娠に関する正しい知識の積極的な普及と情報提供 ・プレコンセプションケアに関する相談支援の充実(一般相談) ・プレコンセプションケアに関する医療機関等における相談支援の充実(専門相談) ⇒⇒性別を問わず全ての世代の人が、プレコンセプションケアについての知識を持ち、実践することができる社会へ ◎資料3−3 プレコンセプションケア推進5か年計画(案)指標一覧 (国が実施する今 後5年間の集中的な取組)↓ III.1.性や健康・妊娠に関する正しい知識の積極的な普及と情報提供 →3項目5年後の目標 III.2.プレコンセプションケアに関する相談支援の充実(一般相談)→5年後:100%。 III.3.プレコンセプションケアに関する医療機関等における相談支援の充実(専門相談) →現在の約60機関から5年後の目標は200以上 ◎参考資料 ワーキンググループの設置について→〇 パッケージ策定に向けた会議での検討と並行して、令和7年度以降の施策推進に資するよう、こども家庭科学 研究班や国立成育医療研究センターシンクタンク事業と連携し、ワーキンググループを設置する。 〇 ワーキンググループにおいて、医療機関等における相談対応 したアドバイザー養成 と、 に係るマニュアル作成を行う。 ・医療機関等におけるプレコンセプションケア相談対応マニュアル作成WG(令和5年度こども家庭科学研究) ・プレコンセプションケア・アドバイザー(仮称)養成のためのマニュアル作成WG(成育医療等の提供に関するデータ分析・ 支援等推進事業) 次回は新たに「こども性暴力防止法施行準備検討会(第2回)」からです。 |