第10回地域共生社会の在り方検討会議 資料 [2025年06月14日(Sat)]
第10回地域共生社会の在り方検討会議 資料(令和7年5月20日)
議事 (1)中間とりまとめ(案)について (2)その他 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_57941.html ◎資料2 第27回社会保障審議会福祉部会における主な御意見 1.地域共生社会関係の御意見→・包括的な支援体制整備の中に、支援関係機関と地域住民等というのが出てくるのですけれども、総務省さんのほうで、過疎対策で集落支 援員制度を入れたり、地域おこし協力隊制度を入れたり、地域づくりのほうの支援とか専門家というものを入れていくような 制度もある 。 それが、この地域住民等というところの等に含まれているのか、別途、そういった地域づくりに関して担う支援 関係機関のようなものがあって、そこと、支援関係機関というものの連携やつながりについても考えていく必要があるのか 。地域共生社会は、いかに地域住民にとって、メリットがあるのだと、自分たちにとっていいことだと、必要なのだということを分かってい ただくためにも、伝えるという取組も非常に重要な視点 かと思います。 ・重層事業(包括的な支援体制の整備)は、何をもって進んでいるかという、評価やモニタリングが、非常に分かりにくいとこ ろが足踏みのきっかけになっていると考えています。ネットワークとして機能し ているかというところをプロセスとして見えるということを、仕組み化していくことが、これからの推進には非常に重要 。 ・「地域共生社会の理念・概念の再整理」について、この理念・概念というものを、介護職のみならず、広く対人支援の専門職 の教育の中に接続をしていくということは、ぜひお考えいただきたいと思います。あわせて、学校教育、そして社会教育の中でも、これを接続するということは、御検討いただきたい。 もう一つは、包括的な支援体制、その評価ということを考えるときに、3点、期待感として申し上げたいと思います。 1つは、とりわけ個別支援についてですが、本人中心で、本人の内面的な機微の気づきが促される、そして行ったり来たりす るという、伴走できるゆとりというものをどう確保できるようにするか 。 それから、個別支援、地域づくり共通だと思いますけれども、 課題志向が強い中で、課題のみならず、持ち味、可能性を重視 した視点 ということを、どれだけ様々な、これは様式からカンファレンスの持ち方から、評価まで全てだと思うのですけれど も、一貫して持ち味のほうの重視ということを強調できるか。 3つ目は、どうしても個別支援と地域づくりが循環することについての視点が弱いのではないかと思っています。 これが循環 できるような体制あるいは関連するほかの施策との接続で、評価ということについてもお考えいただけることを期待したいと思っています。 2.身寄りのない高齢者等の対応関係の御意見→・身寄りのない、もしくは身寄りと疎遠な関係の高齢者が増えている状況であり、生活上の課題の多い高齢者の包括的な相談 あるいは調整については、これまで以上に市町村、地域の社会福祉協議会などが中心となって支援体制を構築していくこと は重要。・ただ、医療機関や施設に入院、入居時に、手術などの同意や支払い遅滞への対応、あるいは遺体引き取りや、居室明け渡し などの際の連絡や同意が必要という理由で、身元保証人を求める場合があります。身元引受人がいない場合、誰かの助けを 借りないと受入れ先を見つけることは、容易なことではございません。施設におきましても行政と連携して支援している状 況ではございますが、煩雑な事務手続など、法的に配慮すべきことが非常に多いので、入院、入所時の身元保証を代替する ことや、あるいは死後の残置物処理や事務処理について、法的な整備が必要。 ・持続可能な権利擁護支援、モデル事業のところで、先ほど、丸ごと家族になるという表現もございましたが、一例だとは思 うのですけれども、総合的な支援パッケージを提供する取組の図式の中で社会福祉協議会となっております。 この日常生活支援というのは、措置から契約に変わっていったところで入ってきたところですけれども、第3のステージと しまして、身元保証の問題であったり、死後の事務支援というのが入ってきているのですけれども、内容については、非常 に重たい内容ではないかと思っております。 今の社協さんが実施されている日常生活自立支援事業、日常生活支援のところが多いと思うのですけれども、これも社協さ んによっては、待機が多くて、現場が少し困っているという状況もあったりする。一方で、こういう仕組みができるのは非常に大切だと思う 3.その他(被災者支援関係)の御意見 ・ 避難所等における要介護者等を対象とした介護ニーズへの対応については、DWATや法人間連携等による人材派遣などの公式 なルートからの支援が行われるまでの間のつなぎ人材として、また、一般避難所における見守り支援について言えば、避難所 の中で生活を余儀なくされる方々の中におられる足腰の弱い方々の歩行支援、夜間のトイレ誘導などの支援を行う人材として、 それぞれボランティアで介護福祉士等の派遣を行っています。 いずれも極めて重要な機能であると考えております。実際に評価もいただいていると理解しておりますが、ボランティアとい う労災の対象にならない不安定な立ち位置であること、これらの取組がどこにおいても適切に発動できる体制を整備しておくことが必要であることなどを踏まえれば、この取組の行う体制をオフィシャルに構築し、平常時から備えておくことが、本来 望ましいと考えます 。 ・DWATの活動は、派遣時の支援活動に非常に注目が集まりやすいのですが、実はボリュームで考えると、平時の地域活動とい うものはかなりのことをやっています。具体的には、地域の防災訓練ですとか、様々な教育機関への出前講座といったものが 静岡でも展開されています。 このことを今回の議論にどのようにつなげるかというところですが、災害時の支援というのは平時との関係というのは欠かすことができません。それから、フォーマル、インフォーマルな組織活動として考える場合においても、こういったDWAT と いったようなネットワーク組織というのは非常に、現在進んでいる上でも有効な材料になり得るものだと思いますので、ぜひ DWAT 活動を派遣支援時だけでなく、平時の活動と接続した議論を進めていただくことを期待したいと思います。 ・被災者支援のところなのですけれども、今回の能登の地震の支援のところでも、子供を、特に発達障害を持ったお子さんの支 援というところが大変難しさがあったとお聞きしております。 被災者の中には、もちろん子供さんもおられるわけで、特に発達障害を持っているような特別な配慮が必要な、人数が多いと ころが非常に苦手であったり、音に敏感であったりというお子さんがおられるのですけれども、そういうお子さんへの支援に ついても考えていただきたいと思っております 。それで、今、これを申し上げたのは、こども家庭庁さんができてから、これは、こども家庭庁のことなのか、厚労省に関わる ことなのか、みたいなところが、少し難しいところがあるなと最近感じておりますので、ぜひ省庁で連携していただいて、子 供への支援についても考えていただければありがたいなと思います。 【構成員提出資料】 原田構成員提出資料 中間とりまとめ(案)に対しての意見 原田正樹(日本福祉大学) 〇地域共生社会の権利性について→地域共生社会(閣議決定)では「地域のあらゆる住民が役割を持ち、支え合いながら、自分らしく活躍できる地域コミュニティを育成する」とある。「地域のあらゆる住民」が地域のなかで社会参加し、相互関係をつくり、自己実現に留まらず共生できる地域づくりを目指すとされている。こうした「ケアリングコミュニティ」は、国家から「強制」される役割や仕組みではなく、国民の権利として保障され、その権利を行使していく必要がある。 社会福祉法第4条では地域生活課題の内容として「あらゆる分野の活動に参加する機会 が確保される上での各般の課題」とされているが、具体的には何等かの理由で参加を拒否 されたり、排除されることがないようしなくてはならない。人権三法(障害者差別解消法、 ヘイトスピーチ解消法、部落差別解消推進法)をはじめ、生活保護法の基本原理、「 障害者基本法」第3条(地域社会における共生等)の具体的な事項、「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」第3条(基本理念)第三項のような「新しい認知症観」などと同様に、地域共生社会の原理や権利性、具体的な在り方を法的にも明示する必要がある。 地域共生社会は、社会の分断に抗い、地域社会における DEI(多様性、公正性、包摂性) を推進し、かつ人口減少・単身化社会の進展に伴う社会課題の解決のために諸制度と連携 し、分野縦割りの社会福祉制度の改革を志向するものである。そうした将来の社会像とし ての地域共生社会の認識を広く共有していく必要があると考える。そのためにも社会福祉 法 89 条の基本指針は、地域共生社会の実現にむけた指針として改訂する必要があるので はないか。 〇包括的支援体制と重層的支援体制整備事業について→法にもとづき全ての市町村で包括的支援体制を整備していくことを、改めて強化して推進していくことは重要である。その際、対象者を限定しない生活困窮者自立支援の理念や制度を軸としながら、これまで構築してきた高齢者中心の地域包括ケアシステム(精神障害にも対応した地域包括ケアシステムを含む)を地域のなかで普遍化していくこと。生活困窮者自立支援では十分でなかった医療・保健分野等との連携を含めて、対人援助を住民に身近な地域でアウトリーチをして丸ごと受けとめる(ジェネリック)ことから、市町村で包括的に支援を行い、さらに高度な支援が必要なものについては広域・圏域で専門的な支援(スペシフィック)ができるという構造化を図ることが、そもそもの包括的支援の枠組みであった。(平成29年厚生労働省告示第355号) 包括的支援体制と重層的支援体制整備事業の関連が不明確で、かつ事業内容の建付けが 1 複雑であることに自治体での対応の難しさの一因があると思われる。その象徴が「包括的支援体制」、「重層的支援体制整備」、「生活支援体制整備」などの「体制の混乱」である。 少なくとも 3 つの体制の体系(関連)を再整理するとともに、包括的支援体制にもとづき、 具体的に支援していくために従来の分野別個別支援とは異なる、また地域づくりまで範囲 とした「重層的支援」、もしくは包括的支援について事業名称の変更も含めて整理すべきではないか。重層的支援体制整備事業においては、「総合相談」「参加支援」「地域づくり」の「一体化」が重要で、コミュニティソーシャルワークの機能が展開できる、つまり個々の事業が新たな縦割りにならないよう留意し、そのための推進事業であることを再度強調する必要がある。そのうえで「重層的支援」に対して、国として必要な施策を実施していく必要があるのではないか。その際「支援会議」については未実施の自治体においても実施できるようにすることは重要である。 また包括的支援体制として都道府県と市区町村の福祉事務所、児童相談所等との連携在り方も改善していく必要がある。 〇「身寄りのない高齢者等への対応」について→ これからの制度設計をしていくうえで、「身寄りのない高齢者等」の定義をしていくことは重要である。具体的な支援方策など検討していく上で対象像を共有化しておく必要がある。今回の中間とりまとめで注釈が出たことは大切である。そのうえで 2040 年にむけて増大するニーズに対して第 2 種社会事業として位置づけることで、事業化を検討することは不可欠であると考える。 ただしこうした支援を必要とするのは単身世帯だけではなく、老々介護や地域から孤立して複数ニーズがある世帯を含めて、「身を寄せるところ」がない人や世帯を含む必要があるのではないか。それらを対象とするならば相当数の支援が見込まれることになり、現在の日常生活自立支援事業の拡張だけでは難しい。しかしこうしたセーフティネットを整備することは、これからの包括的支援体制として、とても重要であると考える。その整備にむけての具体的な検討を期待したい。 以上 【参考資料】 ・構成員名簿↓ ○地域共生社会の在り方検討会議 構成員名簿→17名。 次回は新たに「青少年インターネット環境の整備等に関する検討会 第64回会合」からです。 |