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第10回地域共生社会の在り方検討会議 資料 [2025年06月13日(Fri)]
第10回地域共生社会の在り方検討会議 資料(令和7年5月20日)
議事 (1)中間とりまとめ(案)について (2)その他
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_57941.html
◎資料1 「地域共生社会の在り方検討会議」中間とりまとめ(案)について
0.はじめに
→○ 地域共生社会の理念・概念が提唱され、政府において、本格的な取組が開始されてから10年弱が経過する。この間、地域共生社会の実現に向けては、平成 29 年の社会福祉法改正により、全市町村に対して、 包括的な支援体制の整備を努力義務化するほか、令和2年の法改正において、 重層的支援体制整備事業を創設するなどの取組が進められてきた。 ○ こうした制度改正等も踏まえ、市町村においては、試行錯誤しながら多様な取 組が展開され、包括的な支援体制の整備を通じた地域共生社会の実現に向けた実践が、各地で広がってきている。 一部の地域においては、地域性を活かした自治体独自の豊かな取組が見られるほか、福祉分野における連携・協働を図り、これまで制度の狭間に置かれ 支援が行き届いていなかった事案への対応を進めていこうとする流れが確実に生まれてきている。 ○ 他方、こうした流れは、未だ全国に遍く広がっているものではなく、一部の先鋭的な地域における取組に限られているのも事実。また、この間の制度改正を受けて、包括相談体制の構築を強化する流れができつつあるが、多くの地域においては、包括的な支援体制をどのように整備すべきか戸惑いも見られ、福祉分野を超えた体制の構築や地域との連携・協働の意識・認識が十分で はないことにより包括相談と一体で構築すべき地域づくりの取組は十分に進 んでいないことが明らかになってきた。 ○ さらに、2040 年に向けてはこれまで地域における支え合いの基盤となってい た地縁・血縁・社縁と言った繋がりが弱くなること、単身世帯(特に、高齢者 単身世帯)の増加などの社会情勢の変化、法制審議会において、成年後見制 度の見直しの議論が進められる等、地域福祉を取り巻く環境も更なる変容が 生じている。○ こうした中で、令和2年の改正法附則第2条における施行後5年の検討規定や、「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」等も踏まえ、 厚生労働省において、昨年6月に「地域共生社会の在り方検討会議」が設置された。 検討会議においては、この検討規定等を踏まえ、 @地域共生社会の更なる展開に向けた対応 A身寄りのない高齢者等への対応 B成年後見制度の見直しに向けた司法と福祉との連携強化等の総合的な権利擁護支援策の充実の方向性 C社会福祉法人・社会福祉連携推進法人の在り方 D社会福祉における災害への対応 などを検討事項として掲げ、議論を進めてきた。 ○ これまで、各回の議題に沿って、有識者や先進自治体・事業者にもヒアリング 等のご協力をいただく中で、検討会議を計 10 回開催し、議論を行ってきた。 本報告書は、この議論の成果を整理し、とりまとめるものである。

1.地域共生社会の更なる展開に向けた対応
(1)地域共生社会の理念・概念の再整理・更なる展開に向けた連携・協働
@ 地域共生社会の理念・概念の性格、行政責務 ↓
【現状・課題等】
→○法第4条第1項において、地域福祉の推進は、地域住民が相互に人格と個性を 尊重し合いながら、参加し、共生する地域社会の実現を目指して行わなければ ならない、と規定されている。
【検討会議での意見等】→○この点、検討会議において、地域共生社会の理念・概念の性格について、・あらゆる地域住民が排除されないことが、地域共生の柱にあることが重要。 この趣旨を法文上明記することが不可欠。 ・障害法制7における「共生社会」と法における「地域共生社会」の相違点に 留意する必要がある。 ・地域共生社会の規範内容としては、互助あるいは自治といった内容が埋め込まれている。 等の指摘があった。
【対応の方向性】→・地域共生社会の実現にあたっては、あらゆる地域住民が、排除されず地域社会に参画し、共に生活していくことや、地域住民同士で支え合う地域を形成 していくことが重要であることから、この趣旨を条文上反映させることに ついて、法令上の規定の整備の検討を進める必要がある。 ・第4条(地域住民等の責務)と第6条(行政の責務)の関係性を整理し、行 政には、地域住民同士で支え合う関係づくりを支援する等の役割があるこ とを明確化することについて、法令上の規定の整備の検討を進める必要がある。

A 福祉サービス提供等における「意思決定支援」への配慮 ↓
【現状・課題等】
→法第3条及び第5条においては、福祉サービスの基本的な理念や提供の原則が規定、当該規定において、意思決定支援への配慮の必要性は明記されていない。 【検討会議での意見等】 ○ この点、検討会議においては、改めて、総合的な権利擁護支援策の充実、意思 決定支援の確保等の重要性についても認識共有が図られ、福祉サービス提供 等の規定においても、「本人の意思決定支援を尊重する旨」等も書き込むことを検討してはどうか等の指摘があった。
【対応の方向性】→このため、福祉サービスの提供等に当たっては、意思決定支援への配慮の必要 性を明確化することについて、法令上の規定の整備の検討を進めるべきである。

B 福祉以外の分野との連携・協働 ↓
【現状・課題等】
→○ 地域住民の生活課題は、福祉分野のみで完結しておらず、社会・経済活動など が行われる中で、多様な分野にわたる課題が生じており、福祉分野にとどまら ず様々な分野が密接に関連している。幅広い関係者との連携・協働を進めるこ とで、地域社会の持続的な発展に寄与するとともに、地域住民の生活を支える ことになることから、福祉以外の多様な分野と連携・協働を進めていくこと は、地域共生社会の実現に当たって、極めて重要な視点である。
【検討会議での意見等】→○自治体へのヒアリングにおいては、福祉以外の分野との連携が進んでおらず、 国レベルでの連携促進や、法令上に連携規定を設けることが必要ではないか という意見がある。
【対応の方向性】→・まちづくり・農業・住まい・交通・消費者行政・防災・司法等の他分野との それぞれの役割を踏まえた連携・協働を推進するため、法令上の規定の整 備の検討を進めていく必要がある。 さらに、福祉以外の分野との連携・協働について、具体的な取組を進める ため、都道府県による支援を強化することや、地域運営組織(RMO)や指定 地域共同活動団体との連携・協働などによる、福祉以外分野とも連携・協 働した住民主体の地域づくりと包括的な支援体制の整備を繋げていく必要 がある。

(2)包括的な支援体制の整備・重層的支援体制整備事業の今後の在り方
@ 包括的な支援体制の整備・重層的支援体制整備事業 ↓
【現状・課題等】
→○包括的な支援体制の整備は、法第 106 条の3において、全ての市町村に対し て、努力義務として規定されており、法第 106 条の4に規定する重層的支援 体制整備事業がその1つの手段として位置づけられている。両規定の関係性 については、第 106 条の3が市町村に求める体制を示しているのに対して、 第 106 条の4はそれを実現していくための1つの手法として、事業を法定化 しているものである。○ 包括的な支援体制の整備については、市町村や関係者から何をもって体制が 整備できているのか判断が難しいとの声もあり、自治体へのアンケート調査 においては、包括的な支援体制の整備のために何らかの取組が必要と考えているが、具体的な検討を行っていない市町村が約45%あることが分かった。
【検討会議での意見等】→○包括的な支援体制の整備については、自治体へのヒアリングにおいては、 ・ 重層的支援体制整備事業を実施していない市町村に対しても支援や法に規 定する支援会議を利用できるようにすることが必要。 ・包括的な支援体制は何をもって整備したと言えるのか、指標のようなもの があると良い。 ・財源があっても人を雇えない時代になってきていて、これから1人2役・ 3役が求められる。・人口規模の小さい市町村では、今後各分野でそれぞれ 窓口を維持できず、一本化しなければならないところもでてくるだろう。 ・情報や財源だけ与えられても使いこなすのは難しく、市町村の課題に寄り 添って伴走的な支援をして欲しい。 ・都道府県に求められる役割が大きくなっても今の体制では受けきれない、 まずは都道府県に対する研修をして欲しい。 ・都道府県が所管する保健所、児童相談所、子ども・若者総合相談センター、 精神保健などとの連携を進めて欲しい。 との意見があった。
【対応の方向性】↓
(@) 市町村における包括的な支援体制の整備
(A) 過疎地域等の包括的な支援体制の整備に向けた柔軟な仕組み
(B) 都道府県における包括的な支援体制の整備
(C) 重層的支援体制整備事業の質の向上に向けた取組
(D) 多機関協働事業等の役割・機能

A 若者支援 ↓
【現状・課題】
→○こども・若者支援については、こども家庭庁のこども家庭センターや子ども・ 若者支援地域協議会、こどもの居場所づくり等の取組、厚生労働省の生活困 窮者自立支援制度における子どもの学習・生活支援事業などの各種の取組が 進められている。 ○ 一方で、こども期から若者に至る過程での支援が継続しないことや関係機関 の連携による早期発見・早期支援の取組が十分にできていないとの指摘があ るほか、若者への支援の必要性について、包括的な支援体制整備の中で十分 に意識されていなかった面もある。 【検討会議での意見等】→○この点、検討会議においては、・生活困窮者支援や住まい支援といったこれまで十分に対応がなされなかっ た分野での対応が進みつつあるが、若者支援は取り残された課題である。・学校といった所属がなくなった途端に孤立し、本当に大変な状況になって 初めて発見されることがある。 ・若者支援において、何か課題が見つかってから繋がるというのでは遅くて、 予防的な観点が必要になってくる。 ・若者支援は、「困難を抱える若者」だけに対象を限定せず、広く若者福祉の あり様を検討すべき。家と職場以外にも多様な居場所づくり等を促してい く必要がある。 ・こどもの居場所づくりについては、年齢を限定することなく、こども・若 者の居場所づくりの観点から取組を推進していく必要がある。 といった指摘があった。
【対応の方向性】→○このため、包括的な支援体制の中で、こども期からの予防的な支援や、若者 の特性に留意したアウトリーチや継続的な伴走支援などにより、困難を抱え る若者への支援に取り組むとともに、地域づくりや居場所づくり等を進める 上では若者が抜け落ちないよう留意の上、取り組みを進めていく必要がある。 その際、包括的な支援体制の整備に当たっては、生活困窮者自立支援制度が 重要な役割を持つものであることを踏まえれば、こども期からの予防的な支 援の一層の充実のため、同制度における子どもの学習・生活支援事業の全国 的な実施を更に推進するための方策を検討する必要がある。

2.身寄りのない高齢者等への対応
(1)身寄りのない高齢者等の生活上の課題に関する相談窓口の在り方 ↓
【現状・課題等】
→○高齢者を中心として単身世帯等の増加が見込まれている中、単身男性世帯においては、「日頃のちょっとしたことの手助け」で頼れる人がいない者の割合が高 くなっているほか、地域・家庭・職場といった支え合いの基盤も弱まっている。 こうした状況を踏まえると、高齢者だけでなく、ひとり親世帯の親子、独身の 若者、中年層なども、将来、身寄りのない状態となることは想定され、頼れる 身寄りがいないことに着目した支援策を検討していく必要がある。○ 厚生労働省においては、令和6年度から、身寄りのない高齢者等の相談を受け 止め、地域の社会資源を組み合わせた包括的支援のマネジメント等を行うコー ディネーターを配置した窓口の整備を図る取組をモデル事業として実施し、課 題の整理等を行っており、相談窓口の在り方の検討に当たっては、こうしたモ デル事業の実施状況も踏まえる必要がある。
【検討会議での意見等】→○この点、検討会議において、・・・・・。
【対応の方向性】→○このため、身寄りのない高齢者等の生活上の課題に関する相談窓口の在り方に ついては、既に各領域(介護、障害、生活困窮等)で支援体制の枠組みがあるこ とを踏まえ、新たな相談窓口の設置という方法ではなく、生活困窮者自立支援制 度における自立相談支援機関、介護保険法に基づく地域包括支援センターなど、 既存の支援体制の枠組みにおいて、その相談を受け止めることとし、身寄りのな い高齢者等の相談支援機能を強化していくべきである。
【検討会議での意見等】→○この点、検討会議において、・総合的な支援パッケージの提供は、高齢者等終身サポート事業と類似の構造で、特定の事業者があらゆるニーズに対応することになり、ニーズが増大すると対象者の範囲を限定せざるを得なくなることも懸念。身寄りのない高齢 者のどこまでの範囲をこうした事業だけでカバーすることができるか・すべ きかは検討課題。費用の問題は、一定の公的な支援の拡充を大前提とした上 で、民間財源の拡充も考えていかなければならない。 ・・・・・・・・・・    。                                               
【対応の方向性】→○このため、身寄りのない高齢者等が抱える生活上の課題に対する支援策の在り 方については、以下について対応を進めるべきである。 ・経済的な理由等により民間事業者によるサービスを受けられない場合がある ことを踏まえて、日常生活自立支援事業を拡充・発展させて、本人との契約 に基づき、日常的な金銭管理や福祉サービス等利用に関する日常生活支援、 円滑な入院・入所の手続支援、死後事務支援などを提供することができる新 たな事業とし、第二種社会福祉事業として法に位置づけ、多様な主体が参画 できるようにする必要がある。 ・新たな事業については、家族代わりと誤解されないよう、事業の守備範囲を 整理するとともに、民間サービスとの関係性や、制度の持続性の観点から体 制面・費用面・運営監視面を考慮する必要がある。併せて、資力が少ない方 については、その利用に関し、特別な配慮が必要である。

(3)身寄りのない高齢者等を地域で支える体制(関係機関とのネットワーク構築 等)の在り方
【現状・課題等】
→○身寄りのない高齢者等を地域で支えていくには、地域の関係機関等のネットワ ークを構築し、支えていく必要、一方で、既に自治体においては、介護、障害、生活困窮、権利擁護支援等での枠組み(地域ケア会議・(自立支援) 協議会・生活困窮の支援会議・権利擁護支援の地域連携ネットワーク等)のほか、地方版孤独・孤立対策官民連携プラットフォームや居住支援協議会等のプ ラットフォームが多数存在している。
【検討会議での意見等】→○この点について、検討会議においては、既存のプラットフォームを活用することで、身寄りのない高齢者等を地域で支える体制を構築することが考えられる との指摘があった。
【対応の方向性】→○こうした点を踏まえ、地域において、身寄りのない高齢者等をネットワークで支えていくため、市町村に既に存在する類似の協議会やプラットフォームを活 用して、支援方策の議論を進めていくための具体的な実施方法を国において示 すべきである。その際、身寄りのない高齢者等の支援を行う上で、法律の専門 家をはじめとする連携が必要となる主な関係機関を国において示し、参画を 促す必要がある。

3.成年後見制度の見直しに向けた司法と福祉との連携強化等の総合的な権利擁護支援策の充実の方向性
(1)新たな連携・協力体制の構築による生活支援や意思決定支援の在り方
【現状・課題等】
→○第二期成年後見制度利用促進基本計画(令和4年3月 25 日閣議決定)の指摘 (成年後見制度が適切な時機に必要な範囲・期間で利用できるようにすべき等) 等を踏まえ、現在、法制審議会民法(成年後見等関係)部会において、成年後見制度の見直しに向けた調査審議が行われている。 同計画では、成年後見制度が見直されるまでの間も、身寄りのない人も含め、 誰もが尊厳のある本人らしい生活を継続することができるよう、成年後見制度 以外の権利擁護支援策を総合的に充実させていくことが求められている。 【検討会議での意見等】→○この点、検討会議において、 ・全く新しい仕組みを一から制度化するのは現実的ではない。差し当たり、日 常生活自立支援事業を拡充・発展させた新事業を法定化していくこと及び中核機関の法定化が核になり得る。 モデル事業で得られた成果や課題を踏まえつつ、日常生活自立支援事業を大 幅に見直して事業規模の拡大を図るとともに、同モデル事業で重視された各要素(日常的な金銭管理、監督・支援、意思決定支援)について、個別に事業化を目指すことが現実的ではないか。 等の指摘があった。
【対応の方向性】→・身寄りのない人も含め、判断能力が不十分な人(本人)の地域生活を支える 支援策(日常的な金銭管理等の生活支援や社会生活上の福祉行政としての意 思決定支援など)について、日常生活自立支援事業を拡充・発展させた上で、 本人との契約に基づき、日常的な金銭管理や福祉サービス等利用に関する日常生活支援、円滑な入院・入所の手続支援、死後事務支援などを提供することができる新たな事業とし、第二種社会福祉事業として法に位置づけ(再掲)、 全国で基軸となる事業として実施する体制を構築する必要がある。・福祉行政による意思決定支援の範囲としては、現行の日常生活自立支援事業 における支援と概ね同範囲、すなわち、預貯金の入出金を含めた日常生活費の範囲における簡易な金銭管理、入院・入所手続支援等の生活支援サービス の利用に関する意思決定を基本とする必要がある。 ・ 意思決定支援の確保や市民参画の充実を図る観点から、事業化の検討も含め て、地域の実情に応じ、本人に対して、市民が本人目線で意思決定支援を行う取組を促進する必要がある。

(2)「中核機関」に求められる新たな役割及びその位置づけ
【現状・課題等】
○ 現在、各市町村において整備が進められている「中核機関」は、法的根拠がなく、その権限等が曖昧であるため、権利擁護支援を行う場面における個人情報 の取得・共有や会議開催等、権利擁護支援チームに対する支援のコーディネートを行う際や、権利擁護支援の地域連携ネットワークの関係機関と協力・連携を行う上で課題がある。 また、今後、成年後見制度が適切な時機に必要な範囲・期間で利用できる制度に見直された場合、家庭裁判所において後見等の終了等を判断するに当たり、 地域における成年後見制度以外の他の支援による本人に対する支援の可否等について情報提供を行うことができる法定の機関の存在が求められている。
【検討会議での意見等】→○この点、検討会議において、 ・「中核機関」には、チームをバックアップするとともに、後見人の選任・交代・終了時には家庭裁判所との情報共有・連携を図ることが求められる。 司法と福祉との連携の実効性を確保するためには、「中核機関」の存在を法制上明確に位置づける必要がある。少なくとも「中核機関」と家庭裁判所との間で個人情報の共有を担保できるようにした上で、「中核機関」の権限や 設置基準等を法律上定めるなど、「中核機関」の段階的な法制化を検討すべ きではないか。 等の指摘があった。
【対応の方向性】→○このため、以下について法令上の規定の整備を検討すべき。 ・市町村は、@権利擁護支援や成年後見制度に関する相談を受け、必要に応じて専門的助言等を確保しつつ、権利擁護支援の内容の検討や支援を適切に実施するためのコーディネートを行う業務、A協議会の運営等、専門職団体・ 関係機関の協力・連携強化のために関係者のコーディネートを行う業務、を 実施するよう努めることが必要。 上記@Aの業務及び家庭裁判所からの意見照会への対応を実施する機関と して、市町村は「中核機関」を設置できるようにすることが必要である。併せて、個人情報を扱う観点から、「中核機関」の職員に守秘義務を課すことが必要。 ・ 市町村は、個別事案に関する支援方針の検討等を行うための会議体を設置で きるようにすることが必要である。併せて、個人情報を扱う観点から、会議 体の構成員に守秘義務を課すことが必要である。 ○ なお、単独で「中核機関」を整備することが難しい小規模市町村については、 都道府県による支援も活用しながら、必要な支援体制を整備することができる ようにする必要がある。 ○ また、「中核機関」の法律上の名称については、権利擁護支援推進センターとす ることを提案する。

4.社会福祉法人・社会福祉連携推進法人の在り方
地域共生社会の担い手としての役割や経営の協働化・大規模化等の在り方
【現状・課題等】
→○少子高齢化・人口減少が進む中で、地域において複雑化・多様化する福祉ニー ズへ対応するために、地域共生社会の担い手として、公益性・非営利性を有し、 社会福祉事業や「地域における公益的な取組」を行う社会福祉法人や、社会福 祉連携推進業務として地域福祉支援業務を行う社会福祉連携推進法人の役割が 非常に重要。 その際、サービス提供に必要な人材の確保が困難となる中で、地域の福祉ニ ーズに対応した事業を安定的に継続するためには、経営の協働化・大規模化等 による経営基盤の強化、事業の効率化等を図ることが有効な方策として考えられる。 また、人口減少局面にある過疎地域等では、利用者の減少や職員等の不足により、法人単独では事業を実施することが困難な状況下において、持続可能な サービス提供体制を構築するため、それぞれの法人のリソースを活用することが求められている。
【検討会議での意見等】→○この点、検討会議において、 ・社会福祉法人の「地域における公益的な取組」は、地域課題の発見から対応までを法人ごとで実施するのではなく、他機関と協働して実施することも必要ではないか。 過疎地域などにおいて、一定の要件を満たす場合には、社会福祉連携推進法人が社会福祉事業を実施することができるよう検討するなど、社会福祉連携 推進法人制度の活用を推進する方策を考えるべきではないか。 等の指摘があった。
【対応の方向性】→○このため、以下のことを可能にするための法令上・運用上の措置を行うことを 検討すべき。 ・ 社会福祉法人による「地域における公益的な取組」を広げていくために、その目的や取組に関して、ポイントの周知や更なる明確化を行う必要がある。 社会福祉連携推進法人制度の活用を一層促進するため、社会福祉連携推進法人の事業要件の緩和や事務負担の軽減を行う必要がある。 人口減少局面の地域において、単独の法人としてのサービス提供だけではなく、社会福祉法人の人材・資産等のリソースをいかした連携・協働を推進する必要がある。

5.社会福祉における災害への対応 災害時の被災者支援との連携の在り方
【現状・課題等】
→○災害時においては、避難生活等において普段と異なる環境での生活となること から、高齢者・障害者・こども・妊産婦等の要配慮者を中心に福祉的支援のニ ーズが増大する。令和6年能登半島地震における対応状況からも、そのニーズ に対応するための体制の充実を図る必要性や、平時からの福祉的支援の重要性が認識された。○地域共生社会との関係においては、包括的な支援体制の整備を進めておくことで、災害時にも福祉関係者が連携して対応を行うことができた事例や、災 害時における被災者の生活を支えるための連携体制を構築したことが、平時の福祉の包括的な支援体制の整備につながっていく事例などが確認されている。 このため、災害対応と平時における福祉の支援体制に関して、双方の充実の観点 からも、地域共生社会と被災者支援の連携方策について、議論を進めていくこと が重要である。
【検討会議での意見等】→○この点、検討会議において、 ・ 災害時の支援体制と結びつけることでこそ、我が事としての地域共生社会の 推進が図られ得るのではないか。 ・災害が起こると地域全体が著しく福祉の欠けた状態となるため、平時から災 害を想定した福祉の準備が必要であり、福祉における体制や研修、支援の枠 組みを平時から構築するため、災害福祉支援ネットワークの体制強化が必要。 ・DWAT をめぐる法制度を整理し、平時から災害時へとシームレスな活動を実現 させることが必要。 等の指摘があった。
【対応の方向性】→○このため、以下のことを可能にするための法令上・運用上の措置を行うことを検 討すべき。 ・ 包括的な支援体制の整備に当たっては、防災分野とも連携を図り、平時から 発災後に連携が必要となる関係者との連携体制の構築を自治体に促す必要がある。 DWAT の平時からの体制づくりや研修の実施、都道府県等と関係機関の連携等 を図る必要がある。

6.終わりに→○本検討会議においては、計 10 回にわたり幅広い観点から議論を行うとともに、 今般、多くの実践者の方々にヒアリングや調査にご協力いただき、地域共生社会 を取り巻く地域・自治体・福祉関係の事業者等が直面している課題、また、社会情勢の変化等を踏まえた新たな課題を明らかにし、その課題への対応について、 上記のとおり、一定の方向性を提示した。 ○ それぞれの課題については、個々に対応策を検討する必要があることから、本検 討会議においては、議題ごとに議論を進めてきたが、身寄りの問題や総合的な権 利擁護支援策、被災者支援など、支援を必要とする対象者像やその場面は異なるものの、地域で生活する上で、様々な課題を抱えるあらゆる者を包括的に支えるために何ができるのかを議論してきたことには変わりはない。 したがって、今回議論してきた事項は、誰も取りこぼされることのない地域共生社会の実現、そのための包括的な支援体制の整備の枠組みの中で、対応していくべきものであり、自治体等の現場において推進していく際にも、この点留意 すべきである。 ○ また、上記の事項のほかにも、例えば、 ・支援の在り方について、改めて伴走型の支援の重要性を認識する必要がある。 ・地域共生の推進に大きな役割を果たしている共同募金事業の在り方を見直すべき。 等の意見があった。 ○ 厚生労働省をはじめとする関係省庁においては、本とりまとめの内容・趣旨を十 分に踏まえつつ、社会保障審議会福祉部会などの関係審議会等で議論の上、所要 の制度改正を含めた必要な対応を行うべきである。 ○ 地域共生社会の実現に向けた取組はこれからが本番である。2040年に向け、社会構造が大きく変化していく中で、これまで社会において頼りとしてきた地縁・ 血縁・社縁といった繋がりはますます弱くなり、孤立化はさらに進んでいくこと が想定される。こうした流れの中で、全国の地域とそこに住む人々の暮らしを守 っていくためにも、人と人が支え合う、新たな繋がりを生み出すことの価値と意 義を提唱し続け、そして、実行に移していく必要がある。その際、単に制度を作り、それを実行していくだけでは、全ての人にとって包摂的な社会にはなり得ない。地域住民の主体性を基礎に、どのような地域にしたいかを自ら考え、今ある人や資源をつなぎあわせ、必要であれば新たに創り出す中で地域を創っていくことがこれからの社会には不可欠である。 これを実現していくためには、福祉施策の範疇にとどまらず、地域と行政が一 丸となり、政策のみならず、地域住民、関係者、地域資源を総動員し、地域共生 社会の実現に向けて取り組む次なるステージに進んでいかなければならない。 ○ 本とりまとめが、地域共生社会の次なるステージへの第一歩となり、そして、全ての市町村において、地域の自由な発想の下で、誰も取りこぼされることのない包括的な支援体制の整備が実現し、地域に住む方々同士が支え合い、自分らしく 自律的な生を生きることができる地域共生社会が、全国の隅々まで広がっていくことを強く祈念し、結びとする。

次回も続き「資料2 第27回社会保障審議会福祉部会における主な御意見」からです。

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