第217回国会(令和7年常会)提出法律案 [2025年06月12日(Thu)]
第217回国会(令和7年常会)提出法律案(令和7年5月16)
https://www.mhlw.go.jp/stf/topics/bukyoku/soumu/houritu/217.html ◎戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案 ○戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律案の概要→戦没者等の遺族に対する特別弔慰金について、令和7年度以降も支給を継続する等の措置を講ずる。 ・改正の概要→戦後80年に当たる令和7年には、現在償還中の特別弔慰金に係る国債が最終償還を迎えることから、 国として改めて弔慰の意を表すため、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法を改正し、特別弔慰金の支給を継続。 あわせて、特別弔慰金の審査請求に係る諮問先を行政不服審査会から審議会等で政令で定めるもの(援護審査会)に変更する等の所 要の改正を行う。⇒【 戦没者等の遺族に対する特別弔慰金の概要】(昭和40年度創設)、 参照のこと。 令和7年4月1日(2回目の記名国債の交付に係る施行期日は令和12年4月1日) ◎医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案 ○医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等 の一部を改正する法律案の概要→不正事案の発生等に伴う医薬品の供給不足や創薬環境の変化等の状況に対応し、引き続き品質の確保された医薬品等を国民に迅速かつ 適正に提供していくため、医薬品等の品質及び安全性の確保の強化、医療用医薬品等の安定供給体制の強化等、より活発な創薬が行われ る環境の整備、国民への医薬品の適正な提供のための薬局機能の強化等の必要な措置を講ずる。 ・改正の概要↓ 1.医薬品等の品質及び安全性の確保の強化【医薬品医療機器等法】→ @ 製造販売業者における医薬品品質保証責任者及び医薬品安全管理責任者の設置を法定化する。 A 指定する医薬品の製造販売業者に対して、副作用に係る情報収集等に関する計画の作成、実施を義務付ける。 B 法令違反等があった場合に、製造販売業者等の薬事に関する業務に責任を有する役員の変更命令を可能とする。 2.医療用医薬品等の安定供給体制の強化等【医薬品医療機器等法、医薬基盤・健康・栄養研究所法、麻向法、医療法】→ @ 医療用医薬品の供給体制管理責任者の設置、出荷停止時の届出義務付け、供給不足時の増産等の必要な協力の要請等を法定化する。 また、電子処方箋管理サービスのデータを活用し、需給状況のモニタリングを行う。 A 製造販売承認を一部変更する場合の手続について、変更が中程度である場合の類型等を設ける。 B 品質の確保された後発医薬品の安定供給の確保のための基金を設置する。 3.より活発な創薬が行われる環境の整備【医薬品医療機器等法、医薬基盤・健康・栄養研究所法】→ @ 条件付き承認制度を見直し、臨床的有効性が合理的に予測可能である場合等の承認を可能とする。 A 医薬品の製造販売業者に対して、小児用医薬品開発の計画策定を努力義務化する。 B 革新的な新薬の実用化を支援するための基金を設置する。 4.国民への医薬品の適正な提供のための薬局機能の強化等【医薬品医療機器等法、薬剤師法】→ @ 薬局の所在地の都道府県知事等の許可により、調剤業務の一部の外部委託を可能とする。 A 濫用のおそれのある医薬品の販売について、販売方法を見直し、若年者に対しては適正量に限って販売すること等を義務付ける。 B 薬剤師等による遠隔での管理の下で、薬剤師等が常駐しない店舗における一般用医薬品の販売を可能とする。 ・施行期日→公布後6月以内に政令で定める日(ただし、3@A及び4Aは公布後1年以内に政令で定める日、1@AB、2@の一部及び4@Bは 公布後2年以内に政令で定める日、2Aは公布後3年以内に政令で定める日 ◎医療法等の一部を改正する法律案 ○医療法等の一部を改正する法律案の概要→高齢化に伴う医療ニーズの変化や人口減少を見据え、地域での良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を構築するため、地域医療構想 の見直し等、医師偏在是正に向けた総合的な対策の実施、これらの基盤となる医療DXの推進のために必要な措置を講ずる。 ・改正の概要↓ 1.地域医療構想の見直し等 【医療法、地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律等】→ @ 地域医療構想について、2040年頃を見据えた医療提供体制を確保するため、以下の見直しを行う。 ・病床のみならず、入院・外来・在宅医療、介護との連携を含む将来の医療提供体制全体の構想とする。 ・地域医療構想調整会議の構成員として市町村を明確化し、在宅医療や介護との連携等を議題とする場合の参画を求める。 ・医療機関機能(高齢者救急・地域急性期機能、在宅医療等連携機能、急性期拠点機能等)報告制度を設ける。 A 「オンライン診療」を医療法に定義し、手続規定やオンライン診療を受ける場所を提供する施設に係る規定を整備する。 B 美容医療を行う医療機関における定期報告義務等を設ける。 2.医師偏在是正に向けた総合的な対策 【医療法、健康保険法、総確法等】→ @ 都道府県知事が、医療計画において「重点的に医師を確保すべき区域」を定めることができることとする。 保険者からの拠出による当該区域の医師の手当の支給に関する事業を設ける。 A 外来医師過多区域の無床診療所への対応を強化(新規開設の事前届出制、要請勧告公表、保険医療機関の指定期間の短縮等)する。 B 保険医療機関の管理者について、保険医として一定年数の従事経験を持つ者であること等を要件とし、責務を課すこととする。 3 .医療DXの推進【総確法、社会保険診療報酬支払基金法、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等】→ @ 必要な電子カルテ情報の医療機関での共有等や、感染症発生届の電子カルテ情報共有サービス経由の提出を可能とする。 A 医療情報の二次利用の推進のため、厚生労働大臣が保有する医療・介護関係のデータベースの仮名化情報の利用・提供を可能とする。 B 社会保険診療報酬支払基金を医療DXの運営に係る母体として名称、法人の目的、組織体制等の見直しを行う。 また、厚生労働大臣は、医療DXを推進するための「医療情報化推進方針」を策定する。その他公費負担医療等に係る規定を整備する。 等 このほか、平成26年改正法において設けた医療法第30条の15について、表現の適正化を行う。 ・施行期日→令和9年4月1日(ただし、一部の規定は令和8年4月1日(1A並びに2@の一部、A及びB)、令和8年10月1日(1@の一部)、公 布後1年以内に政令で定める日(3@の一部)、公布後1年6月以内に政令で定める日(3Bの一部)、公布後2年以内に政令で定める日 (1B及び3Bの一部)、公布後3年以内に政令で定める日(2@の一部並びに3@の一部及び3A)等) ◎労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律案 ○労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び 職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律案の概要→多様な労働者が活躍できる就業環境の整備を図るため、ハラスメント対策の強化、女性活躍推進法の有効期限の延長を含む女性活躍の 推進、治療と仕事の両立支援の推進等の措置を講ずる。 ・改正の概要↓ 1 .ハラスメント対策の強化【労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法】→ @ カスタマーハラスメント(※)を防止するため、事業主に雇用管理上必要な措置を義務付け、国が指針を示すとともに、カスタマーハラスメントに起因する問題に関する国、事業主、労働者及び顧客等の責務を明確化する。 ※ 職場において行われる顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係を有する者の言動であって、その雇用する労働者が 従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより当該労働者の就業環境を害すること。 A 求職者等に対するセクシュアルハラスメントを防止するため、事業主に雇用管理上必要な措置を義務付け、国が指針を示すとともに、 求職者等に対するセクシュアルハラスメントに起因する問題に関する国、事業主及び労働者の責務を明確化する。 B 職場におけるハラスメントを行ってはならないことについて国民の規範意識を醸成するために、啓発活動を行う国の責務を定める。 2 .女性活躍の推進【女性活躍推進法】→ @ 男女間賃金差異及び女性管理職比率の情報公表を、常時雇用する労働者の数が101人以上の一般事業主及び特定事業主に義務付ける。 A 女性活躍推進法の有効期限(令和8年3月31日まで)を令和18年3月31日まで、10年間延長する。 B 女性の職業生活における活躍の推進に当たっては、女性の健康上の特性に配慮して行われるべき旨を、基本原則において明確化する。 C 政府が策定する女性活躍の推進に関する基本方針の記載事項の一つに、ハラスメント対策を位置付ける。 D 女性活躍の推進に関する取組が特に優良な事業主に対する特例認定制度(プラチナえるぼし)の認定要件に、求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止に係る措置の内容を公表していることを追加する。 E 特定事業主行動計画に係る手続の効率化を図る。 3 .治療と仕事の両立支援の推進【労働施策総合推進法】 ○ 事業主に対し、職場における治療と就業の両立を促進するため必要な措置を講じる努力義務を課すとともに、当該措置の適切・有効な実施を図るための指針の根拠規定を整備する。 ・施行期日→公布の日から起算して1年6月以内で政令で定める日(ただし、1B及び2AからCまでは公布日、2@及びE並びに3は令和8年4月1日) ◎労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案 ○労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案の概要→多様な人材が安全に、かつ安心して働き続けられる職場環境の整備を推進するため、個人事業者等に対する安全衛生対策の推進、職場の メンタルヘルス対策の推進、化学物質による健康障害防止対策等の推進、機械等による労働災害の防止の促進等、高年齢労働者の労働災害防止の推進等の措置を講ずる。 ・改正の概要↓ 1.個人事業者等に対する安全衛生対策の推進 【労働安全衛生法】→既存の労働災害防止対策に個人事業者等も取り込み、労働者のみならず個人事業者等による災害の防止を図るため、 @ 注文者等が講ずべき措置(個人事業者等を含む作業従事者の混在作業による災害防止対策の強化など)を定め、併せてILO第155号条 約(職業上の安全及び健康並びに作業環境に関する条約)の履行に必要な整備を行う。 A 個人事業者等自身が講ずべき措置(安全衛生教育の受講等)や業務上災害の報告制度等を定める。 2.職場の メンタルヘルス対策の 推進 【労働安全衛生法】→○ ストレスチェックについて、現在当分の間努力義務となっている労働者数50人未満の事業場についても実施を義務とする。 その際、50人未満の事業場の負担等に配慮し、施行までの十分な準備期間を確保する。 3.化学物質による健康障害防止対策等の推進 【労働安全衛生法、作業環境測定法】→ @ 化学物質の譲渡等実施者による危険性・有害性情報の通知義務違反に罰則を設ける。 A 化学物質の成分名が営業秘密である場合に、一定の有害性の低い物質に限り、代替化学名等の通知を認める。 なお、代替を認める対象は成分名に限ることとし、人体に及ぼす作用や応急の措置等は対象としない。 B 個人ばく露測定について、作業環境測定の一つとして位置付け、作業環境測定士等による適切な実施の担保を図る。 4.機械等による労働災害の防止の促進等 【労働安全衛生法】→ @ ボイラー、クレーン等に係る製造許可の一部(設計審査)や製造時等検査について、民間の登録機関が実施できる範囲を拡大する。 A 登録機関や検査業者の適正な業務実施のため、不正への対処や欠格要件を強化し、検査基準への遵守義務を課す。 5.高齢者の労働災害防止の推進 【労働安全衛生法】→○ 高年齢労働者の労働災害防止に必要な措置の実施を事業者の努力義務とし、国が当該措置に関する指針を公表することとする。 等 このほか、平成26年改正法において改正を行った労働安全衛生法第53条について、規定の修正を行う。 ・施行期日→令和8年4月1日(ただし、1@の一部は公布日、4Aは令和8年1月1日、3Bは令和8年10月1日、1Aの一部は令和9年1月1日、 1@及びAの一部は令和9年4月1日、2は公布後3年以内に政令で定める日、3@は公布後5年以内に政令で定める日) ◎社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案 ○社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案の概要→社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化を図る観点から、働き方や男女の差等に中立的で、ライフスタイルや家族構成等の多様化を踏まえた年金制度を構築する とともに、所得再分配機能の強化や私的年金制度の拡充等により高齢期における生活の安定を図るため、被用者保険の適用拡大、在職老齢年金制度の見直し、遺族年金 の見直し、標準報酬月額の上限の段階的引上げ、個人型確定拠出年金の加入可能年齢の引上げ等の措置を講ずる。 ・改正の概要↓※赤字は、衆議院による修正部分 T働き方に中立的で、ライフスタイルの多様化等を踏まえた制度を構築するとともに、高齢期における生活の安定及び所得再分配機能の強化を図るための公的年金制度の見直し 1.被用者保険の適用拡大等→@ 短時間労働者の適用要件のうち、賃金要件を撤廃するとともに、企業規模要件を令和9年10月1日から令和17年10月1日までの間に段階的に撤廃する。 A 常時5人以上を使用する個人事業所の非適用業種を解消し、被用者保険の適用事業所とする。 ※ 既存事業所は、経過措置として当分の間適用しない。 B 適用拡大に伴い、保険料負担割合を変更することで労働者の保険料負担を軽減できることとし、労使折半を超えて事業主が負担した保険料を制度的に支援する。 2.在職老齢年金制度の見直し→ 一定の収入のある厚生年金受給権者が対象の在職老齢年金制度について、支給停止となる収入基準額を50万円(令和6年度価格)から62万円に引き上げる。 3.遺族年金の見直し→ @ 遺族厚生年金の男女差解消のため、18歳未満の子のない20〜50代の配偶者を原則5年の有期給付の対象とし、60歳未満の男性を新たに支給対象とする。これに伴う配慮措置等として、5年経過後の給付の継続、死亡分割制度及び有期給付加算の新設、収入要件の廃止、中高齢寡婦加算の段階的見直しを行う。 A 子に支給する遺族基礎年金について、遺族基礎年金の受給権を有さない父母と生計を同じくすることによる支給停止に係る規定を見直す。 4.厚生年金保険等の標準報酬月額の上限の段階的引上げ→ 標準報酬月額の上限について、負担能力に応じた負担を求め、将来の給付を充実する観点から、その上限額を65万円から75万円に段階的に引き上げる(※)ととも に、最高等級の者が被保険者全体に占める割合に基づき改定できるルールを導入する。 ※ 68万円→71万円→75万円に段階的に引き上げる。 5.将来の基礎年金の給付水準の底上げ→ @ 政府は、今後の社会経済情勢の変化を見極め、次期財政検証において基礎年金と厚生年金の調整期間の見通しに著しい差異があり、公的年金制度の所得再分配 機能の低下により基礎年金の給付水準の低下が見込まれる場合には、基礎年金又は厚生年金の受給権者の将来における基礎年金の給付水準の向上を図るため、基 礎年金と厚生年金のマクロ経済スライドによる調整を同時に終了させるために必要な法制上の措置を講ずるものとする。この場合において、給付と負担の均衡が とれた持続可能な公的年金制度の確立について検討を行うものとする。 A @の措置を講ずる場合において、基礎年金の額及び厚生年金の額の合計額が、当該措置を講じなかった場合に支給されることとなる基礎年金の額及び厚生年金 の額の合計額を下回るときは、その影響を緩和するために必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。 U .私的年金制度の見直し→@ 個人型確定拠出年金の加入可能年齢の上限を70歳未満に引き上げる。 A 企業年金の運用の見える化(情報開示)として厚生労働省が情報を集約し公表することとする。 V .その他 →@ 子のある年金受給者の保障を強化する観点から子に係る加算額の引上げ等を行いつつ、老齢厚生年金の配偶者加給年金の額を見直す。 A 再入国の許可を受けて出国した外国人について、当該許可の有効期間内は脱退一時金を請求できないこととする。 B 令和2年改正法附則による検討を引き続き行うに際して社会経済情勢の変化を見極めるため、報酬比例部分のマクロ経済スライドによる給付調整を、配慮措置を講じた上で次期財政検証の翌年度まで継続する。 このほか、遺族年金の受給要件に係る国民年金法附則第9条第1項のほか、同法、厚生年金保険法、協定実施特例法、確定給付企業年金法及 び社会保険審査会法等について、令和2年改正法等で手当する必要があった規定の修正等を行う。 ・施行期日→令和8年4月1日(ただし、T5・VBは公布日、T1Bは令和8年10月1日、T4(68万円へ引上げ)は令和9年9月1日、T1@(企業規模要件)は令和9年10月1日 、T1@ (賃金要件)・U@は公布から3年以内の政令で定める日、T4(71万円へ引上げ)は令和10年9月1日、T3・V@は令和10年4月1日、T4(75万円へ引上げ)は令和11年9月1 日、T1Aは令和11年10月1日、VAは公布から4年以内の政令で定める日、UAは公布から5年以内の政令で定める日) 次回は新たに「第10回地域共生社会の在り方検討会議 資料」からです。 |