労働政策審議会労働政策基本部会 報告書 〜急速に変化する社会における、地方や中小企業での良質な雇用の在り方〜 [2025年05月30日(Fri)]
労働政策審議会労働政策基本部会 報告書 〜急速に変化する社会における、地方や中小企業での良質な雇用の在り方〜(令和7年4月25日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_57326.html ◎別添3 労働政策審議会労働政策基本部会報告書(概要) 〜急速に変化する社会における、地方や中小企業での良質な雇用の在り方〜 ○労働政策審議会労働政策基本部会報告書(概要)〜急速に変化する社会における、地方や中小企業での良質な雇用の在り方〜→・第4期となる今期の労働政策基本部会は、2024年1月から2025年3月にかけて、地方公共団体、中小企業、有識者等へのヒアリングを含めて 10回開催し、AIの進化による社会構造の変化や人口減少社会を見据えた、地方や中小企業における課題や労働政策等について、活発な議論を 行った。そして、報告書「急速に変化する社会における、地方や中小企業での良質な雇用の在り方」をまとめ、2025年4月25日に公表した。 ・本報告書では、労働者の多くを占める地方・中小企業の働き方について考えることが重要であるとの認識の下、本部会での初めての試みとして、 「地方で働く皆様」、「地方の企業の皆様」、「中小企業で働く皆様」、「中小企業の経営者の皆様」などにわかりやすくメッセージが伝わるよう「本部会からのメッセージ」(P.4参照)を作成した。 <報告書の概要>↓ ○地方や中小企業における課題の解消に向けた本部会からのメッセージ ・我が国は、近年、AIが指数関数的とも言うべき急激な進化を続けるなど、産業構造がこれまでにない規模とスピードで変化する時代と なっており、働き方が、今後、大きな変化が生じる可能性がある。また、生産年齢人口の減少による人手不足が経済成長の制約となって 深刻な影響を与えることが懸念されている。 ・本報告書の内容を踏まえ、労使において課題の共有がなされ、また、労働政策審議会の関係分科会や部会等においても速やかに施策が検 討されることを求めたい。報告書の具体的な内容は、以下のとおりである。↓ 第1章:地方・中小企業における現状と課題→地方の生産年齢人口は転出超過している状況にあること等を踏まえ、 5つにまとめた。 【地方・中小企業の5つの課題】→ @地方における賃金等の労働条件の低さや情報発信の不足 A社会インフラ維持に必要な産業・職種(「建設・採掘従事者、輸 送・機械運転、運搬・清掃、保健医療、介護等の職種」など)における賃金等の労働条件の低さ B地方・中小企業における多様で柔軟かつ安心な働き方の不足 C固定的な性別役割意識を背景とした若年女性等の都市部への流出 D専門的な人材におけるミスマッチ 第2章:地方・中小企業の課題の解消に向けて 目指すべき施策の方向性→地方・中小企業の5つの課題を踏まえた労働政策の施策の方向性として 「労働生産性の向上」、「労働参加率の向上」、 「ジェンダーギャップの解消」、「情報ギャップの解消」 の4つとしており、それぞれに対する具体的な施策を報告書 で提言している。 第3章:地方・中小企業の魅力の向上に資する労働政策→第3章において提言している施策については、都市部、大企業も施策の対象として含まれているものも多いが、中小企業は大企業と 比較して人手不足が深刻になっていること、地方において生産年齢人口が転出超過していることなどを踏まえると、地方、中小企業に おいて第3章の施策に積極的に取り組むことが必要である。 ・「労働生産性の向上」→・、AIの進化に応じたAIの活用が重要。・職務に必要なスキルと賃金等との関係のいわゆる 「賃金相場」を明らかにするべき。・社会全体で、賃金、雇用形態を含めた処遇 面の改善に取り組むことが重要。・各業界内におけるスキルの標準化とキャリアラダーの構築を進めることによるスキルの明確化が必要。 ・労働者へのスキル取得支援の充実、助言機能・マッチング機能を強化するべき。 ・「労働参加率の向上」→・多様なニーズに対応し、ワーク・ライフ・バランスがとれる働き方ができるよう、長時間労働の抑制、処遇の改善、仕事と家庭の両立支援が必要。 ・長時間労働の抑制を前提とした上で、労働時間や休暇等に関 する労働者のニーズを踏まえ、柔軟な働き方を推進していくことが必要。 ・働き方に関する個人の価値観が多様なものとなっており、地方において、多様なニーズに応じた働き方を推進することは 人手確保につながる可能性がある。 ・労働者がライフステージの状況等のニーズに合わせてテレ ワーク等柔軟な働き方に資する制度が使えるよう雇用管理を 行っていくことが必要。 ・商慣行の見直しを社会全体で取り組むとともに、厚生労働省 はカスタマーハラスメント対策を積極的に行うべき。 ・「ジェンダーギャップの解消」→・若年層、中高年層、高齢者など全ての年齢層 に対するアンコンシャス・バイアス解消を含めた取組み、・性別 や年齢等により役割が固定化されないことが必要。・、地域密着型で、職場のみならず、 家庭・社会における慣習や慣行も含めて見直すことが効果的。 ・「情報ギャップの解消」→・企業情報について、企業自 らが積極的に公開を行う、・求職者が企業の職場情報等に気軽にアクセスできるよう情報を一元的に把握できる仕組みの構築、・厚生労働省は、職場情報について、部局横断的に存在しているため、連携強化した上で、開示されている項目も含め更なる運営サイトの充実等を図っていくことが必要。 地方公共団体が中心となって、企業と学生が直接交流する機会を持てるよう若者が参加しやすいイベントを開催 し、地方の企業の認知度を高める取組みを講じることが 効果的。 ・「EBPMの推進」→・EBPM(証拠(データ)に基づく政策立案)を推進していくことも課題。 ・基本的な統計知識を身につけている者が組織に増えると、政策や経営方針などの方向性を決める際に、データを収集して確認す るという組織としての統計マインドが形成され、労働生産性の向上にも結びつくことにつながる可能性がある。 ・高度な統計知識が必要なデータ分析を行う際には、特にこのような人材が少ない可能性が高い地方や中小企業においては、大学 等の研究機関との連携などにより、人的資源を効果的に活用していくことが考えられる。 ○(参考)地方で働く皆様、地方の企業の皆様、中小企業で働く皆様、中小企業の経営者の 皆様などに向けた本部会からのメッセージ→「地方で働いている・働こうとしている皆様へ」「中小企業で働いている・働こうとしている皆様へ」「地方の企業の皆様へ」「中小企業の皆様へ」「地方公共団体の皆様へ」 再掲だが参照のこと。 ◎別添4 労働政策審議会労働政策基本部会設置趣旨・委員名簿 ・設置趣旨→平成28年12月の「働き方に関する政策決定プロセス有識者会議」の報告書において、「現在行われている労働政策について の議論が分科会及び部会単位で行われており、分科会及び部会を横断するような課題については議論されにくい環境にある」 「研究会等や労政審での議論は法改正の具体的な内容が中心となり、中長期的な課題についての議論が不足している」等の指 摘がされたことから、平成29年7月に、労働政策審議会(本審)の下に、労働政策基本部会を設置し、議論を行っている。 ・労働政策基本部会委員→15名。(R7年3月31日現在) 次回は新たに「第5回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会(資料」からです。 |