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労働政策審議会労働政策基本部会 報告書 〜急速に変化する社会における、地方や中小企業での良質な雇用の在り方〜 [2025年05月29日(Thu)]
労働政策審議会労働政策基本部会 報告書 〜急速に変化する社会における、地方や中小企業での良質な雇用の在り方〜(令和7年4月25日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_57326.html
 労働政策審議会労働政策基本部会(部会長:守島基博 学習院大学経済学部経営学科教授、一橋大学名誉教授)において、本日付けで報告書が取りまとめられましたので、公表いたします。
第4期となる今期の労働政策審議会労働政策基本部会は、2024年1月から2025年3月にかけて、地方公共団体、中小企業、有識者等へのヒアリングを含めて10回開催し、AIの進化による社会構造の変化や人口減少社会を見据えた、地方や中小企業における課題や労働政策等について、議論を行いました。
今後、この報告書の内容を次回の労働政策審議会に報告する予定です。
◎別添1 労働政策審議会労働政策基本部会 報告書 令和7年4月
急速に変化する社会における、地方や中小企業での良質な雇用の在り方
○目次↓

地方や中小企業における課題の解消に向けた本部会からのメッセージ..... 1
第1章:地方・中小企業における現状と課題.. ................ 5
(1)我が国の人口・経済の状況について ............... 5
(生産年齢人口の減少は、地方においてより深刻).................... 5
(2)我が国の労働市場について        .......................... 5
(中小企業・地方の人手不足は、大企業・都市部に比べてより深刻な状況) .... 5
(女性の正規雇用者比率は主要国と比較して30代以降に低下する傾向) ....... 6
(高齢者の就業率は主要国の中でも高い水準) .............. 7
(経済成長と労働参加が進まなければ、将来の労働力供給はより深刻な状況) .. 7
(3)地方・中小企業における課題 ........................ 7
(課題@−1:地方における賃金等の労働条件の低さや情報発信の不足)......... 7
(課題@−2:社会インフラ維持に必要な産業・職種における賃金等の労働条件の低
さ) .. .................... ....................... 8
(課題A:地方・中小企業における多様で柔軟かつ安心な働き ..........9
(課題B:固定的な性別役割意識を背景とした若年女性等の都市部への流出) .. 10
(課題C:専門的な人材のミスマッチ) ................ 10
第2章:地方・中小企業の課題の解消に向けて目指すべき施策の方向性 ... 11
第3章:地方・中小企業の魅力の向上に資する労働政策 ......... 13
(1)「労働生産性の向上」に資する施策....................... 13
(AIの進化に応じたAIの活用が重要)..................... 13
(市場における賃金相場形成機能の強化)................... 15
(社会インフラ維持に必要な職種における雇用の安定化)..... 15
(現場人材におけるキャリアラダーの形成)................. 16
(企業の競争力強化につながる人材育成の誘導)............. 17
(労働者へのスキル取得の支援の充実)..................... 18
(労働者への助言機能・マッチング機能の強化)............. 19
(セーフティネットの強化が必要).......................... 20
(専門的人材の副業・兼業による活用)..................... 20
(関係府省との連携が必要)............................... 20
(2)「労働参加率の向上」に資する施策 ...................... 21
(多様なニーズに対応した働き方の推進)................... 21
(テレワーク等柔軟な働き方に資する制度の導入) .......... 23
(商慣行の見直し及びカスタマーハラスメント対策の推進)... 23
(3)「ジェンダーギャップの解消」に資する施策 ......... 24
(社会全体での取組みの推進) ...................... 24
(地方公共団体による地域密着型の取組みへの協力)... 24
(4)「情報ギャップの解消」に資する施策 ............... 25
(積極的な情報開示や一元的な労働市場情報の活用) .. 25
(若年層との対話等による情報発信) ................ 25
(5)EBPMの推進 ..................................... 26
労働政策審議会労働政策基本部会 委員名簿 .............. 28
労働政策審議会労働政策基本部会 開催実績 .............. 29

○地方や中小企業における課題の解消に向けた本部会からのメッセージ (要旨)
・ 近年、AI が指数関数的とも言うべき急激な進化を続けるなど、産業構造がこれまでにない規模とスピードで変化する時代となっており、我が国における働き方も、今後、大きな変化が生じる可能性がある。また、我が国は、少子高齢化により人口減少社会に向かっており、特に地方や中小企業では、生産年齢人口の減少による人手不足が経済成長の制約 となって深刻な影響を与えることが懸念される。
・ そのため、今回の労働政策審議会労働政策基本部会では、労働者の多くを占める地方・ 中小企業を中心に、AI の進化による社会構造の変化や人口減少社会を見据えた課題に関 する議論を行い、これらの課題に対応する労働政策について、報告書を「急速に変化する社会における、地方や中小企業での良質な雇用の在り方」としてまとめた。
・ 本報告書では、第1章で生産年齢人口が転出超過していることなど、地方・中小企業の 現状を整理し、これらの現状を踏まえた課題として、「地方における賃金等の労働条件の低さや情報発信の不足」、「社会インフラ維持に必要な産業・職種における賃金等の労働条件の低さ」、「地方・中小企業における多様で柔軟かつ安心な働き方の不足」、「固定的な性別役割意識を背景とした若年女性等の都市部への流出」、「専門的な人材におけるミスマッ チ」の5つにまとめている
・ 第2章では、これら5つの課題を踏まえた労働政策の施策の方向性について、「労働生産性の向上」、「労働参加率の向上」、「ジェンダーギャップの解消」、「情報ギャップの解消」 に資するものが必要であるとしている。その具体的な施策については、第3章で整理して いる。 本報告書の内容を踏まえ、労使において課題の共有がなされ、また、労働政策審議会の 関係分科会や部会等においても速やかに施策が検討されることを求めたい。
・ なお、本報告書の施策の主な対象である「地方」や全国の「中小企業」に向けて本部会 として特に伝えたいメッセージを、P2から P4までに参考としてまとめた。厚生労働省には、このメッセージを活用しつつ、地方で働く皆様、地方の企業の皆様、中小企業で働く皆様、中小企業の経営者の皆様などに、本報告書の内容を伝えていただくことをお願いしたい。

○働いている・働こうとしている皆様へ
≺地方で働いている・働こうとしている皆様へ≻
→ スキルを持っている現場人材(「建設・採掘従事者、輸送・機械運転、運搬・ 清掃、保健医療、介護等の職種」など)の皆様が、スキルに応じたより高い賃金となるように、「スキルと賃金」の見える化を推進します。
⇒・P15:市場における賃金相場形成機能の強化  ・P15:社会インフラ維持に必要な職種における雇用の安定化
・皆様の「スキルの見える化」「リ・スキリング」「キャリア形成」のサポート体 制を整備していきます。ハローワークでは、在職者向けにもサポートを充実さ せていきます。
→P16:現場人材におけるキャリアラダーの形成⇒・P18:労働者へのスキル取得の支援の充実  ・P19:労働者への助言機能・マッチング機能の強化  ・P20:セーフティネットの強化が必要
・スマホなどから気軽に職業情報や企業の職場情報などを調べられます。⇒・P15:市場における賃金相場形成機能の強化、・P25:積極的な情報開示や一元的な労働市場情報の活用。

≺中小企業で働いている・働こうとしている皆様へ≻
・AIやDX化の進展は急速に進んでおり、中小企業で導入を行っているところが 増えています。これらのスキルも身につけてみませんか。
・皆様の「スキルの見える化」「リ・スキリング」「キャリア形成」のサポート体 制を整備していきます。⇒・P16:現場人材におけるキャリアラダーの形成 P18:労働者へのスキル取得の支援の充実、・ P19:労働者への助言機能・マッチング機能の強化、・ P20:セーフティネットの強化が必要
・スマホなどから働いている職種に関連する資格など気軽に調べられます。⇒ P15:市場における賃金相場形成機能の強化

○企業の皆様へ
≺地方の企業の皆様へ≻

・人手の継続的な確保のためには、賃金上昇の原資となる生産性の向上が重要です。そのためには、多くの分野で進化し続けるAIの積極的な導入やDX化 による業務効率化の推進も選択肢の一つとして考えられます。⇒・P13:AIの進化に応じたAIの活用が重要、・P20:関係府省との連携が必要 人材育成のために経営ビジョンを明確にしてみましょう。
・労働者のニーズに合わせた柔軟な働き方の導入も検討してみましょう。⇒・ P17:企業の競争力強化につながる人材育成の誘導 P20:専門的人材の副業・兼業による活用、・ P21:多様なニーズに対応した働き方の推進、・ P23:テレワーク等柔軟な働き方に資する制度の導入、P23:商慣行の見直し及びカ スタマーハラスメント対策の推進。

≺中小企業の皆様へ≻
・人手の継続的な確保のためには、賃金上昇の原資となる生産性の向上が重要 です。そのためには、多くの分野で進化し続けるAIの積極的な導入やDX化 による業務効率化の推進も選択肢の一つとして考えられます。⇒・P13:AIの進化に応じたAIの活用が重要、P20:関係府省との連携が必要
・人材育成のために経営ビジョンを明確にしてみましょう。
・労働者のニーズに合わせた柔軟な働き方の導入も検討してみましょう。
・専門人材の獲得については、副業・兼業も選択肢として考えられます。⇒・P17:企業の競争力強化につながる人材育成の誘導、・ P20:専門的人材の副業・兼業による活用、・ P21:多様なニーズに対応した働き方の推進、・ P23:テレワーク等柔軟な働き方に資する制度の導入、P23:商慣行の見直し及びカ スタマーハラスメント対策の推進
・「自社を幅広く知ってもらう」ことを検討してみましょう。⇒・P25:積極的な情報開示や一元的な労働市場情報の活用、・P25:若年層との対話等による情報発信

○地方公共団体の皆様へ
・人手不足となっている現場人材の確保へのヒントがあります。「スキルと賃金 の見える化」を推進し、地方での働きやすさの向上につなげてみませんか。⇒・P15:市場における賃金相場形成機能の強化、・P15:社会インフラ維持に必要な職種における雇用の安定化、・ P16:現場人材におけるキャリアラダーの形成、・ P20:専門的人材の副業・兼業による活用
・地方では、生産年齢人口が転出超過し、特に若年女性にそれが顕著な傾向にあります。その解決へのヒントがあります。
・「ジェンダーギャップの解消」は、全年齢層に対する取組みの推進が重要です。地方公共団体が主体となり、労使を含めた様々な関係者と連携して、全て の年齢層を対象に、地域密着型の取組みをしてみませんか。⇒・P24:社会全体での取組みの推進、・ P24:地方公共団体による地域密着型の取組みへの協力

○労働政策審議会労働政策基本部会 委員名簿 令和7年3月31日現在→15名。


◎別添2 労働政策審議会労働政策基本部会 報告書 参考資料 令和7年4月 厚生労働省 政策統括官(総合政策担当)
1.地方・中小企業における現状と課題
(1) 我が国の人口・経済の状況について↓

○生産年齢人口の減少率について→地方(「東京都、神奈川県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府及び兵庫県以外の道県」をいう。以下同じ。)の生産年齢人口は、都市部 (「地方以外」をいう。以下同じ。)と比較して大きな減少となっている。
○人口・就業者数及び雇用者報酬(名目)の割合について→地方は、人口ベース、就業者数ベースの双方で日本全体の6割弱を占めている。所得については、全国平均で雇用者報酬、一人当たり所 得ともに名目では増加している。一方で、都道府県別の雇用者報酬については、最も減少している順に香川県、秋田県、佐賀県となってお り、地方によっては上昇率が弱いところもある。

(2) 我が国の労働市場について↓
○我が国における中小企業で働く従業者数の割合について→企業規模別にみると、日本全体では、中小企業で働く従業員数は約7割を占めている。地方をみた場合、地方全体の従業員数のうち中小 企業で働く従業員数は約8割を占めている。
○現在の雇用情勢について→現在の雇用情勢は、求人が底堅く推移しており、緩やかに持ち直している。物価上昇等が雇用に与える影響に留意する必要がある。
○産業別・企業規模別にみた雇用人員判断D.I.の推移について→感染拡大前から続く人手不足感は、感染拡大の影響により2020年前半は全ての産業で弱まったものの、2021年12月に全ての産業が「不 足」超で推移しており、中小企業の人手不足感がより強い傾向がみられる。企業規模別にみると、2024年12月は、「不足」超の水準が全 産業で大企業は▲28、中堅企業は▲36、中小企業は▲40と中小企業の人手不足感がより強い傾向がみられる。
○雇用形態別の雇用人員判断D.I判断について→雇用形態別にみると、正社員の「不足」超の水準が2015年以降パートタイムを上回っており、長期的に不足感が強い傾向が続いている。
○地域別でみた人手不足D.I.の動向について→雇用人員判断D.Iを地域別にみると、2023年度の非製造業では、「北海道」「甲信越」「四国」「九州・沖縄」ではマイナス幅が過去最 高の水準になるなど、各地域で人手不足感が強まっている。
○労働力人口等の推移について→一人当たり平均労働時間が減少していることなどから、就業者数と労働時間を乗じて算出した「総労働力供給」は、1990年代以降緩やか な減少傾向で推移している。しかしながら、2010年代以降、女性や高齢者の就業者が大きく増えていることで、総労働力供給が維持されて いる。
○女性の労働参加の状況について(国際比較)@
→我が国の学生や高齢者を除く25歳〜54歳の女性の就業率は、国際比較でみると、年齢階級別にみても主要国とほぼ遜色ない水準となって いる。
○女性の労働参加の状況について(国際比較)A→正規雇用比率についてみると、我が国においては、主要国と比較して、30代以降に女性の正規雇用比率が低下する傾向にあり、いわゆる 「L字カーブ」の現象がみられる。
○雇用形態別にみた雇用者数の推移について→雇用形態別にみると、15歳〜54歳の男性の正規雇用労働者が2013年以降ほぼ横ばいで推移している一方で、女性は180万人程度増加し ている。15歳〜54歳の女性の非正規雇用労働者数も減少傾向がみられるものの、非正規雇用で働いている者で「家事・育児・介護等と両立 しやすいから」を主な理由にしている者は約218万人いる。
○「就業希望はあるが求職していない無業者」と「無業の求職者」について→「就業希望はあるが求職していない無業者」と「無業の求職者」は約800万人おり、その中には求職していない理由が「病気・けが・高齢 のため」の者もいるが、59歳以下の女性では「出産・育児・介護・看護のため」が多くなっている。
○高齢者の就業率及びパートタイム比率の国際比較について(2023年)→我が国の65歳以上の高齢者の就業率は、25.7%であり、国際比較でみると、G7諸国の中では最も高い水準となっている。また、雇用形 態別にみると、我が国の65歳以上の高齢者のパートタイム比率は52.9%となっているが、主要国は米国28.4%、英国57.5%、ドイツ 65.7%であり、OECD諸国の平均40.2%と比較すると高いものの、英国、ドイツよりは低い比率となっている。
○就業者数の将来推計について→労働力需給の推計によると、就業者数は、一人当たりの実質成長がゼロ、労働参加も現状から進まないと仮定したシナリオでは、2040年の 就業者は5,768 万人と2022年の就業者数6,724万人と比較して約1,000万人減少する見込みだが、経済成長と労働参加が同時に実現するシナリ オでは、2022年の就業者数6,724万人と比較して、2040 年では6,734 万人となり、ほぼ現状の水準を維持する、といった推計となっている。

(3)地方・中小企業における課題
課題@−1 地方における賃金等の労働条件の低さや情報発信の不足↓

○若者のUターン希望について(アンケート調査)→アンケート調査によると、大学生のUターン希望割合は、東海、九州・沖縄、東北、北陸では約半分と一定の希望者はいるものの、実際 はUターンせず地元から転出した者の中では、「やりがいがあり、自分らしい仕事があれば地元に残りたかった」という者が多い。
○入職経路別入職者割合について→入職者の入職経路を見たときでは、都市部では民間職業紹介及び広告経由が多いのに対して、地方ではハローワークや縁故を通じた入職 者割合が高い傾向にある。

課題@−2 社会インフラ維持に必要な産業・職種における賃金 等の労働条件の低さ↓
○JILPT労働力の推計について→JILPT が行った将来推計によると、2040年にかけて、全体の労働力人口は減少するものの、産業別では医療・福祉の社会インフラ維持 に必要な分野では、少なくとも現在よりも200万人以上の雇用者の増加が見込まれている。一方で、運輸業、飲食店・宿泊業、生活関連 サービス業では雇用者の減少が見込まれる。
○生活維持サービスの充足率→図表:全国シュミレーション結果 参照のこと。
○きまって支給する現金給与額について(令和5年賃金構造基本調査)→「サービス職業従事者」、「輸送・機械運転従事者」、「運搬・清掃・包装等従事者」では、20歳代後半から50歳代後半にかけてスキルや 経験等に応じた賃金上昇がほとんど見られない 。また、職業大分類で他の職種をみると、「管理的職業従事者」や「専門的・技術的職業従 事者」以外の職種の賃金は、賃金カーブがほぼ横ばいとなっている。

課題A 地方・中小企業における多様で柔軟かつ安心 な働き方の不足
○労働時間について→週60時間以上就労雇用者の割合は近年低下傾向にあり、2021年以降横ばい傾向で推移している。また、中小企業ほど労働時間が長い。
○共働き世帯数と専業主婦世帯数の推移とワークライフバランスを意識した働き方へのニーズに ついて(アンケート調査)→共働き世帯は専業主婦世帯を上回って推移している中では、ワーク・ライフ・バランスを意識した働き方へのニーズが高まっている。
○企業規模別テレワーカーの割合について(令和5年度)→勤務先企業規模別のテレワーカーの割合は、企業規模が大きくなるほど高い。どの企業規模も令和4年度からテレワーカーの割合は減少 し、1,000人以上の企業で最も大きく約2.2ポイント減少している。
○就業地別テレワーカーの割合について(令和5年度)→雇用型テレワーカーの割合を勤務地域別にみると、首都圏では前年と比較して1.9ポイント減少したが、令和2年度以降は3割超の水準を 維持している。

課題B 固定的な性別役割意識を背景とした若年女性等の都市部への流出
○「20〜24歳」における都道府県別転出超過数→若年人口が減少している中で、三大都市圏を中心に20〜24歳の若い世代の転入超過が続いている。
○地域別における東京圏への転入超過数について→ 東京への転入超過は若年層の傾向をみると、特に北・東日本(東北、北関東、甲信越)からの転出による若い女性の東京圏への転入が進 み、性別による人口の不均衡が発生している。
○地方から東京圏へ移動した人へのアンケート結果について→地方から東京圏に移動した人に対する性別役割の経験に関するアンケート調査では、男性と比べて女性は、地方では「地元の集まりでお 茶入れや準備などは女性がしていた」、「地元は住民間のつながりが強かった」「地元では世間体を大事にする人が多かった」と感じてい た割合が特に高く、「地元で就職した女性は結婚・出産で仕事を辞めることが多かった」の項目でも女性の回答割合が高かった。
○日本のジェンダーギャップ(経済分野)の構造的背景→@〜➄の課題解決を。
○地方・中小企業に対する「決めつけ」からの脱却→提言となる?

課題C 専門的な人材のミスマッチ
○職種別の求人倍率について→ 職種別の有効求人倍率でみると、求人・求職の母数に差はあるものの、保安職業従事者、建設・採掘従事者、サービス職業従事者等は1 倍を大きく上回っている。

3.地方・中小企業の魅力の向上に資する労働政策
(1)「労働生産性の向上」に資する施策

○労働移動の現状について:転職状況の国際比較(2023年)→諸外国と比較すると、日本は転職経験のない者が多く、賃金上昇を伴う転職の割合が低い傾向にある。
○労働移動の現状について:転職活動者がまだ転職していない理由(性別・年齢別)→「転職活動者がまだ転職していない理由」を見てみると、転職活動者全体では、「自分にあった仕事がわからない」、「仕事の探し方がわからない」など、転職活動の方法がわからない者が3割以上を占めている。また、55〜64歳、65歳以上では、「求人の年齢と自分の年齢があわない」と 回答する者が2〜3割を占めている。
○「Myskills future」について→「Myskills future」とはシンガポール政府が推進する「Skills Future(スキルズ・フューチャー)」※の取組みの一つであり、仕事とスキルの情報をまとめているポータルサイト。 ※スキルズフューチャーとは、2015年に始まった政府のキャリアサポート制度の総称で、シンガポール国民の生涯学習とスキル獲得の支援を目的とした取組みであり、「シンガポールの国民が個々の潜在能力を、年齢に関係なく、生涯を通じて最大まで伸ばせるよう、機会を提供する国家的運動」とされている。 スキルズフューチャーの対象は学生向け、アーリーキャリア(若手の社会人)向け、シニア世代向けなど、さまざまなコースがある。
○職業情報提供サイト(job tag)について→「ジョブ」(職業・仕事)、「タスク」(作業)、「スキル」(技術・技能)等の観点から賃金を含めた職業情報を「見える化」し、求職者の就職活動等を支援するWebサイト。各種サイトと連携し、ハローワーク求人や訓練・講座の検索も可能。 ※米国労働省が公開している職業情報データベース(O*NET)を参考に、(独)労働政策研究・研修機構(JILPT)で開発を行い、2020年3月から運用開始。 年間アクセス(PV)件数:21,977,736件(令和5年度) 掲載職業(令和6年3月現在):531職業 ※米国のO*NETは900以上の職業を掲載 ※厚生労働省編職業分類の小分類(440分類) の約7割をカバー 〔job tag へのリンク〕https://shigoto.mhlw.go.jp
○リ・スキリングの必要性について→AIの革命(脳の革命)で分厚いホワイトカラー中間層時代は終わる。
○団体等検定制度の概要➀→外部労働市場に一定の通用力※を有する職業能力評価制度として、新たに団体等検定を創設(令和6年3月) ※合格者は一定の業界で採用・昇進の考慮要素となる、資格手当等の処遇に反映されることが期待される等⇒ 概要、効果 参照。
○団体等検定制度の概要A→厚生労働省の認定を受けることで、企業・団体において以下のような効果が期待されます。⇒1〜4まであり。
○建設キャリアアップシステム(CCUS)について→建設キャリアアップシステムの目的参照。
○企業のOFF-JT等に対する支援について→企業が OFF-JT及び自己啓発支援に支出した費用の労働者一人当たり平均額をみると、令和5年度は前年度より若干増加したものの、平 成28年度以降減少傾向にある。また、OFF-JTを実施した割合について、企業規模別にみると、中小企業でその割合が低く、雇用形態別にみると非正規雇用労働者でその割合が正規雇用労働者と比較して低い状況にある。
○中高年へのリ・スキリング事例について 参照のこと。
○教育訓練給付の拡充について→70%から80%に引き上げる。【法律事項】
○教育訓練休暇給付金の創設について→雇用保険被保険者が教育訓練を受けるための休暇を取得した場合に、基本手当に相当する給付として、賃金の一定割合を 支給する教育訓練休暇給付金を創設する。 <施行期日>2025(令和7)年10月1日
○雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)等  参照のこと。
○自己都合退職者が教育訓練等を自ら受けた場合の給付制限解除  参照のこと。
○副業・兼業人材の採用に適する職務内容について
○地方自治体における副業・兼業人材の活用にかかる取組みについて
○労働法教育の推進について@→労働施策基本方針(平成30年12月28日閣議決定)(抜粋) 多様な就業形態が増加する中で、労働関係法令や各種ルールについて知ることは、労働関係の紛争や不利益な取扱いの未然の防止に役立つ とともに、働き方を選択する上で重要であるため、高校生などの若年者に対して、労働関係法令や社会保障制度に関する教育を推進する。
○労働法教育の推進についてA→「「はたらくへのトビラ」〜ワークルール20のモデル授業案」「「働くこと」と「労働法」〜大学・短大・高専・専門学校生に教えるための手引」
・学校への講師派遣等  参照のこと。

(2)「労働参加率の向上」に資する施策↓
○就業希望のない無業者を取り巻く状況について
→女性については、例えば、59歳以下の女性で約100万人が、「出産・育児・介護・看護・家事のため」に無業かつ就業希望なしとなっているが、同年代の男性は僅かにとどまっており、育児や家事、介護の負担が女性に偏っている可能性が高い。
○高齢者の就業率及び就業意欲について→高齢者については、労働参加率は、年々高まっており、65歳以降も就業を希望する者の割合も増加している。
○労働時間の国際比較について(2023年) →労働時間ごとの分布を国際比較すると、我が国は、非常に労働時間が短い者と長い者で二極化している状況にあり、中間的な働き方の人 が少ない状況にある。
○「多様な正社員(限定正社員)」制度希望の有無(全体)→今後の働き方について、正社員になりたいと回答したパートタイム・有期雇用労働者のうち、正社員になった場合に「多様な正社員(限定正社員)」制度を希望したいと回答した割合は68.2%。 非正規雇用労働者の正社員登用の入り口として、多様な正社員制度は有用。
○現職を選択した理由別にみた非正規雇用労働者の推移→非正規雇用労働者を選択した理由をみると、2024年では「自分の都合のよい時間で働きたいから」が731万人(35%)、「家計の補助・ 学費等を得たいから」が366万人(18%)、「家事・育児・介護等と両立しやすいから」が227万人(11%)等となっている。
○学習時間の確保について→ アンケート調査によると、労働者の7割以上が、リ・スキリングを行う際の課題として「学習時間の確保」と回答している。

○柔軟な働き方等を導入した地元企業の好事例について→「企業ガイドブック」により、テレワーク等の柔軟な働き方を導入した地元企業の好事例を掲載することなどで、魅力ある企業と同業他社 企業とを差別化し、類似の取組みを広げたことによって、人手確保や定着につながるような効果があった。
○DX化推進によるエンゲージメントの向上  参照のこと。
○過剰サービス・長時間労働削減への取り組み事例 参照のこと。
○カスタマーハラスメント対策について→サービスの提供と受け手の転換必要。

(3)「ジェンダーギャップの解消」に資する施策
○若者や女性に選ばれるための取組み➀A→セミナーなど参照のこと。
○地域の企業連携による取組み事例→兵庫県豊岡市など 参照のこと。

(4)「情報ギャップの解消」に資する施策
○若年層に対する地元企業の情報に資する取組み→【企業・求職者向け】新卒向け企業訪問ツアー 参照のこと。
○職場情報総合サイト(しょくばらぼ)の運用等→企業の職場情報を求職者、学生等に総合的・横断的に提供することにより、職業選択を支援して労働市場のマッチング機能を 強化していく。また、企業が職場情報を開示・提供する機会を設けることにより、労働市場で選ばれるための雇用管理改善( 働き方改革、人材育成、女性活躍等)への積極的な取り組みの意欲を喚起する。⇒2 事業の概要・スキーム・実施主体等  参照。
○気仙沼市における若者に対する地元企業の情報発信に関する取組み→ ◇「企業ガイドブック」の発行 

(5)EBPMの推進
○地方公共団体によるデータ活用事例→福岡県糸島市、神戸市  参照。
○中小・中堅企業によるデータ活用事例→男女賃金格差の要因など。 参照。

次回も続き「別添3 労働政策審議会労働政策基本部会報告書(概要)」からです。

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