第5回経済財政諮問会議 [2025年05月26日(Mon)]
第5回経済財政諮問会議(令和7年4月21日)
議事 1.グローバル対応 2.地方創生2.0及び持続可能な地方行財政の重要課題 https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2025/0421agenda.html ◎資料5 地方創生2.0及び持続可能な地方行財政の重要課題 〜 「楽しい日本」・「楽しいふるさと」の実現に向けて〜 2025年4月21日 十倉雅和 中空麻奈 新浪剛史 柳川範之 石破総理が表明された国民生活の3つの重点、「国民の不安を取り除く」、「自己実現を可能とする環境整備」、「ふるさとへの思いを高める」、そしてその先にある「楽しさ」を、こ れまでの延長線上にない新たな国づくりの基軸、新たな経済社会への変革のエンジンとし、その実現、浸透を、不確実性の高まる世界経済情勢下にあって、日本の経済社会の力強い成長・発展へと繋げる。そのために以下提言する。 1.自己実現できる「楽しいふるさと」が創り出す新しい地域経済→・自己選択、自己実現ができていると感じられ、若者・女性にも選ばれる地域となるためには、まずは質の高い雇用の場の創出が重要であり、これに加え、若者・女性が活躍しやすい環境、新たなチャレンジの機会などの要素も重要。地域が持つソフトの魅力を高め、地域内外の新たな人の流れを生み出す。行政単位での取組のみに留まらず、広く地域社会として、多様な経路で人財を惹きつけ、事業の創出、生産性向上、新たな労働参加に繋げる。 ・ このため、地方創生伴走支援制度、「地域働き方・職場改革」の支援スキーム等も活用し、働き方改革、地方公務員の兼業・副業の弾力化、関係人口や移住受入れ環境の整備も含め、地域をつくる人財形成の取組や、特色ある付加価値創出の取組を支援。その際、各事業の効果や成果に至るプロセスの自律性・持続性を適切に検証。⇒・自己実現・人のつながりの強化:多様な働き方の推進、企業と連携した地方における産業人材育成、リスキリングや採用・登用等、ライフステージに応じて自己実現できる、魅力ある働き方・職場づくりを、官民連携の下で進める。関係人口、二地域居住者と地域住民との活動事例は広がりを見せており、「見える化」により取組の裾野を拡大・拡充。 ・ 地域の特色あふれる付加価値の創出:新地方創生交付金の活用、特区を含む規制・制度改革、PFSを活用した官民連携による特色ある事業の創出。健康、学び、子育てなど、生活のウェルビーイング向上に直接つながる産業の活性化。 ・ 適切なKPIの設定による政策の推進:国と地方自治体が連携した的確なPDCA、 EBPMの推進。働く、学ぶ、社会参加など、政策の最終アウトカムである人々のウ ェルビーイングに関連する様々な政策分野で、ウェルビーイング改善につながる 実効的なKPIの設定等の見直しを進め、また、ウェルビーイングを多面的に測定するため指標の開発・蓄積に取り組む。 2.国民の不安を取り除く社会基盤整備、防災・減災、国土強靱化→・経済・社会動向の不確実性の増大や災害などによる、収入や資産、老後の生活設計、 健康などに対する不安の高まりに適切に対処することは、政策運営の基盤的な課題。 ・ 気候変動による自然災害の激甚化・頻発化、首都直下地震、南海トラフ地震等の広域に及ぶ大災害のリスクに直面。防災庁の設置による災害対応機能の強化とともに、 防災・減災、国土強靱化に係る効果的・効率的な対応が必要。諮問会議としても、これまでと同様にPDCA・EBPMの観点から進捗を確認し、必要な取組を後押し。⇒・インフラの調査・点検の高度化:埼玉県八潮市の道路陥没事故を受けた下水道管路の調査・点検については、優先度や必要性を踏まえた上で、デジタル技術や省人化技術を最大限活用し、迅速かつ効果的・効率的に行うべき。これを踏まえて、インフラ全般について、調査・点検手法の高度化を図り、個別インフラごとに@早期対応、A監視対象、B健全等に分類し、改修等を計画的に実施。 ・ インフラ老朽化対策:「事後保全」から「予防保全」への移行による効果や成果を「見える化」し、これまでの課題を踏まえて取組を更に加速。その前提として、これまでの保全の実績とその成果のレビューを実施。 ・ 国土強靱化:5年間で概ね20兆円強程度の事業規模とされる国土強靱化実施中期計画の策定・実施に当たっては、緊急度や経済・社会的な影響を総合的に勘案し、事業の優先度を踏まえて着実に推進。インフラ整備・管理におけるデジタル技術・AI 等の新技術を促進するための補助金の対象をハードからソフトに拡大。 同時に、防災教育などソフト面の取組も重要。 ・ コンパクト+ネットワーク:効果的・効率的なインフラ整備・まちづくりを目指し、インフラのトリアージ(緊急度に応じて優先順位を決めること)、災害リスクの低い土地への集住も含め中長期的なメリットを明確 にしつつ計画的に推進。 3.活力ある持続可能な「楽しいふるさと」を実現する行財政基盤の構築→・人口減少下にあっても地方の行財政を持続可能にしていくことが、「楽しいふるさと」 の前提条件。財政面では更に東京一極集中が進むという推計もあり(「市町村類型別の経済・財政に関する簡易推計」)、財政基盤が弱い自治体も見込まれることから、更なる広域連携や国によるデジタル共通基盤の整備も含めたDX等による効率化、企 業版ふるさと納税等の歳入基盤の拡大、偏在性の少ない税体系の構築や財政調整機能の強化などの取組が長期的に必要。 ・国全体で1%を安定的に上回る実質成長率が実現しても、2050年度において各自治体で財政基盤の健全性が維持されるには、各地域における国全体と同レベルに近い生産性向上と、社会保障の給付と負担の改革継続が必要。 ・ 担い手不足による行政サービスの提供体制の持続可能性については、「持続可能な 地方行財政のあり方に関する研究会」で示されるような、介護・保育・インフラ管理等 の個別分野毎の課題について、国・都道府県・市町村の役割分担の見直し、県による垂直補完、県域もまたぐような広域的な連携や多分野連携による取組、民間活力の活用(PPP/PFI等)が必要。併せて、業務そのものの見直しを含めたDXの徹底が重要。 ・ 国は、これらの取組が実効性のあるものとなるよう、適切なKPIを設定し、進捗を管理 するとともに、必要な制度の整備と支援(ヒト、モノ、カネ、情報)を強化。 ◎資料6災害対応体制の強化と 国土強靱化の取組について 令和7年4月21日 坂井臨時議員提出資料 ○大規模災害の発生に備えた事前防災の徹底に向けた内閣府防災の機能強化について→令和6年能登半島地震の教訓等も踏まえ、避難所の生活環境整備やDXの推進、多様な主体との連携等の各 種の防災施策を推進する。令和8年度中の防災庁の設置も見据え、防災立国構築に向けた取組を進めていく。 【次なる大規模災害に備えた内閣府防災の機能強化】→@避難所の生活環境整備A防災DXの推進B民間や地方自治体との連携体制の強化C総合調整機能の強化 参照。 ・南海トラフ地震の新たな被害想定について→【被害】【防災施策の進展】の参照。 ○第1次国土強靱化実施中期計画(素案)【概要】 第1章基本的な考え方→・防災・減災、国土強靱化の取組の切れ目ない推進、 ・近年の災害(能登半島地震・豪雨、秋田・山形豪雨、台風10号、日向灘地震等)、 ・5か年加速化対策等の効果(被害軽減・早期復旧への貢献、地域防災力の高まり等)、 ・状況変化への対応(3つの変化(災害外力・耐力、社会状況、事業実施環境)への対応等)。 (災害外力・耐力の変化への対応)→・気候変動に伴う気象災害への「適応」と「緩和」策の推進、 ・最先端技術を駆使した自立・分散型システムの導入、 ・グリーンインフラの活用の推進、 ・障害者、高齢者、こども、女性、外国人等への配慮、 ・埼玉県八潮市の道路陥没事故を踏まえたインフラ 老朽化対策の推進。 (人口減少等の社会状況の変化への対応)→・地方創生の取組と国土強靱化の一体的推進、 ・フェーズフリー対策の積極的導入、 ・地域コミュニティの強化、ハード・ソフト対策の推進、 ・まちづくり計画と国土強靱化地域計画の連携強化、 ・条件不利地域における対策強化、 ・「半島防災・強靱化」等の推進。 (事業実施環境の変化への対応)→・年齢や性別に捉われない幅広い人材活用、 ・革新的技術による自動化・遠隔操作化・少人化、 ・気象予測精度の向上と社会経済活動の計画的抑制、 ・安全確保に伴う不便・不利益への社会受容性の向上、 ・フェーズフリーな仕組みづくりの推進、 ・広域連携体制の構築、資機材仕様の共通化・規格化。 第2章 計画期間 令和8年度から12年度までの5年間 第3章 計画期間内に実施すべき施策(全324施策) ・第4章の施策の他、施策の推進に必要な制度整備や関連計画の策定等の環境整備、普及啓発活動等の継続的取組、長期を見据えた調査研究等について目標を設定して取組を推進。 →主な施策の内容・目標⇒防災インフラの整備・管理(57施策)、ライフラインの強靱化(107施策)、デジタル等新技術の活用(55施策)、官民連携強化(63施策)、地域防災力の強化(69施策)あり。それぞれの内容・目標は参照のこと。 第4章 推進が特に必要となる施策(全116施策(233指標)) 1.施策の内容 ・施策の目標は、南海トラフ地震が30年以内に発生する確率(8割程度)等に鑑み、一人でも多くの国民の生命・財産・暮らしを守るため、概ね20年から30年程度を一つの目安 として、検討・設定。長期目標の達成に30年超の期間を要する施策においても、地域ごとに異なる災害リスクの実情や緊急性等を踏まえ、早期に効果を発揮できるよう、優先 順位を検討の上、実施→主な施策の内容・目標⇒防災インフラの整備・管理(28施策(81指標))、ライフラインの強靱化(42施策(80指標))、デジタル等新技術の活用(16施策(24指標))、官民連携強化(14施策(18指標))、地域防災力の強化(17施策(30指標))あり。それぞれの内容・目標は参照のこと。 2.対策の事業規模 ・「推進が特に必要となる施策」について、加速化・深化を図る観点から、追加的に必要となる事業規模は、 今後5年間でおおむね20兆円強程度を目途とし、今後の資材価格・人件費高騰等の影響については予算編成過程で適切に反映 第5章フォローアップと計画の見直し↓ ・毎年度の年次計画を通じたフォローアップの実施(「評価の在り方」を適用) ・災害から得られた知見の継承、対策の課題・効果のとりまとめ・発信 ・実施に際し、真に必要な財政需要に安定的に対応するため地域の実情も踏まえ、受益者による負担の状況を念頭におきつつ事業の進捗と財源確保方策の具体的な検討を開始。 ・巨大地震の被害想定地域や条件不利地域は、関連計画のフォローアップと連携 ・事業実施環境の整備に向けた取組の強力な推進、評価に必要なデータ収集の推進 ◎資料7成長力を引き出し、 地方創生を支える社会資本整備 中野臨時議員提出資料 令和7年4月21日 ○成長力を引き出し、地方創生を支える社会資本整備→社会資本は、将来にわたって、国民の安全・安心、持続可能な地域社会、経済成長の基盤となる。人口減少・少子高齢化の 中で、成長力を引き出し、地方創生を支える社会資本整備を、戦略的・計画的に進めていく。 ・安全・安心の確保→ 激甚化・頻発化する災害や切迫する巨大災害、インフラ老朽化のリスクに強い経済・社会を実現⇒・能登半島地震等の教訓も踏まえ、土地利用も含むハード・ソフト一体の「事前防災」を進める。また、災害時に自治体を支援す る体制を処遇面も含め強化し、新技術等を活用して防災対策の効率・効果を最大化する。 ・「予防保全型」メンテナンスへの転換に向けて、新技術等を最大限活用して点検・診断を確実かつ効率的に実施し、優先度に 応じた対策を加速する。また、広域連携等によりメンテナンス体制を強化し、地域の将来像を踏まえた集約・再編を進める。 ・潜在成長力の強化、グリーン社会への移行→ 民間投資がけん引する成長型経済への移行、脱炭素型経済への転換を実現⇒・生産性向上や観光産業等の発展を支える強靭で効率的な人流・物流ネットワークの整備等を計画的に進める。また、世界的な 不確実性の高まりを踏まえ、国家プロジェクト等の産業立地に対応した機動的なインフラ整備等により、強靱な国内経済基盤を構築する。 ・暮らし・移動の脱炭素化と関連産業の育成、多様な機能を有する自然資本財(グリーンインフラ)を活かした質の高いまちづくり、再生資源を利用した生産システムの構築等を進める。 ・担い手の確保、新技術等の推進→インフラの整備や維持管理・運営を支える建設業、運輸業等の担い手を将来にわたり確保⇒・生産年齢人口の減少に対応し、建設業、運輸業の処遇改善や働き方改革を進めるとともに、新技術の導入・DXにより、生産性を向上する。 ⇒⇒これらの戦略的・計画的な社会資本整備を支えるため、中長期的な見通しの下、安定的・持続的な公共投資 が必要不可欠。その際、資材価格や労務費等を適切に反映し、必要な事業量を確保する必要。 ○誰もが安心して住み続けられる、にぎわいと活力のある地域【参考】→・地域に暮らすあらゆる人が日常の行動圏内で必要なサービスを享受できるよう、交通とまちづくりが一体となって持続可能な都市構造へ の転換を進める。また、子ども・子育て世代をはじめ、あらゆる人が安全・安心して移動、生活できる空間を整備する。 ・地域の多様な人材や資源を活かして地域の賑わいや活力を創り、地域の経済圏を広域ネットワークにより拡大し、都市においても地方に おいても楽しく、安全・安心に暮らせる社会を実現する。・ 二地域居住などの地方創生に取り組む自治体を伴走支援する体制も充実。⇒<目指す地域の姿のイメージ> 参照のこと。 ○持続可能なインフラマネジメントの実現【参考】→・「予防保全型」メンテナンスへの早期転換に向けて、今後策定予定の国土強靱化実施中期計画も踏まえ、新技術やデータを最大限活用して定期的な点検・診断等を確実かつ効率的に実施し、施設の不具合の早期解消を図るほか、まちの将来像を踏まえた集約・再編等「インフラの再構築」も進め、将来的な持続可能性を確保。 ・ その際、技術者が不足する自治体における体制構築のため、複数自治体のインフラを「群」として捉え、官民連携手法も活用して管理する取組を普及させるとともに、自治体や住民に対して、メンテナンスの重要性の意識を高めるための啓発等も進める。 ・ さらに、八潮市における道路陥没事故に係る有識者検討会の結果も踏まえて対策を着実に実施する。⇒<建設後50年以上経過する社会資本の割合><将来の維持管理・更新費用の見込み><市区町村の技術職員不足> 参照のこと。 ○災害のリスクに強い経済社会の構築 【参考】→・能登半島地震など災害の教訓を踏まえ、今後策定予定の国土強靱化実施中期計画に基づき、土地利用も含むハード・ソフト一体となった 「事前防災」を強化し、激甚化・頻発化する自然災害や切迫する巨大災害に対して強靱な経済社会活動の基盤を築く。 ・ また、大規模災害時に自治体を支援する体制や、官民が協力する物資輸送の体制を強化するとともに、災害対策の効率・効果を最大化で きるよう、データの整備や新技術の利活用等を加速する。⇒ <能登半島地震の教訓> <激甚化・頻発化する自然災害><防災・減災、国土強靱化の取組の効果> 参照のこと。 ○潜在成長力を強化し、グリーン社会への移行を支えるインフラ整備 【参考】→・企業の生産性向上や国内外の交流等を支える強靭かつ効率的な物流・交通ネットワークの構築を進めるとともに、グローバルな環境の変化も踏まえ、 戦略分野の国家プロジェクト等の周辺インフラ整備や、国民生活・社会経済上重要なインフラの強靭化・セキュリティ強化を進める。 また、民間資金を活用して、国内外から付加価値の高い企業や人材を惹きつける都市環境の整備等を進めるとともに、インフラ関連産業の拡大と競 争力強化に向け、PPP/PFIや、整備・運営一体のインフラ海外展開を進める。 ・暮らしやまちづくり、交通等、幅広い分野を所管する国土交通省の総力を挙げて、脱炭素経済への転換や、自然資本財の潜在価値の発揮 につながる官民の投資を促進する。 ○社会資本整備の担い手の確保、新技術・DXの推進【参考】→・社会資本の整備・維持管理・運営の担い手である現場の労働者が希望を持って働き、将来にわたって確保・育成されるよう、新技術導入や DX等により生産性を向上するとともに、技能や労働環境に見合った適正な水準の賃金が支払われるよう処遇の改善を進める。 ・社会資本整備を戦略的・計画的に進めていくためには、資材価格や労務費等を適切に反映した安定的・持続的な公共投資が必要不可欠。 これは、民間企業に計画的な人材確保・育成やDX等の投資を促し、将来にわたって供給力を確保することにもつながる。 次回も続き「資料8「地方創生2.0」の推進と持続可能な地方行財政の確立に向けて」からです。 |