こどもの居場所部会(第16回) [2025年04月14日(Mon)]
こどもの居場所部会(第16回)(令和7年3月14日開催)
議題 (1)事務局からの報告事項 @ こどもまんなか実行計画2025への意見書について A 令和6年度補正・7年度当初予算事業について B 児童館ガイドライン・放課後児童クラブ運営指針の改正について C こどもの居場所づくりに関する広報啓発・好事例共有について D こどもの居場所づくりに関する指針解説書について (2)第2期こどもの居場所部会への申し送りについて https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/kodomo_ibasho/974bbbde ◎参考資料4 「児童館ガイドラインについて」(通知) 令和6年12月3日 こども家庭庁成育局成育環境課長 今般の改正は、「こども基本法」(令和4年法律第77号)及び「こどもの居場所づくりに関する指針」(令和5年12月22日閣議決定。以下、「居場所づくり指針」) の理念、趣旨や内容を反映することを基本とし、関係法令等の改正や近年の児童館を取り巻く動向、審議会(厚生労働省社会保障審議会児童部会放課後児童対策に関する専門委員会、こども家庭庁こども家庭審議会こどもの居場所部会・児童厚生施設及び放課後 児童クラブに関する専門委員会)での議論等を踏まえて行うもの。 主な改正内容は下記の通りですので、御了知の上、管内の市町村(特別区を含む。)、 関係機関及び施設・事業者等に対して周知いただくとともに、児童館職員等に対する研 修を実施する等、児童館ガイドラインの円滑な運用にご協力いただきますよう、お願い申し上げます。 記 1.総則関係 (1)理念(改正箇所:第1章1) こども基本法の理念を踏まえた運営が求められることを明確に したもの。 (2)目的(改正箇所:第1章2)→こども基本法において「こども」は、「心身の発達の過程に ある者」と定義。児童館は児童福祉施設であることから、基本的には児童福祉法(昭和22年 法律第 164 号)における児童(18歳未満)を対象とする施設であるが、実態としては利用児 童 の発達過程に応じて支援を継続することがある。このため、第4章2(5)において、 こ ども基本法と児童福祉法の主旨を踏まえたものとして、若者支援にも触れている。 (3)こどもの権利(改正箇所:第1章3(1)、第1章4、第4章3、第4章6、第5章 5、第6章3(4))→居場所づくり指針においては、こどもの居場所の前提として、こどもが権利の主体で あることと共に、こどもの権利が守られることが掲げられている。児童館はこどもの居 場所として、「こども自身が権利の主体であることを実感できる場」(第1章3(1))で あることが求められている。これを実現するためには、こどもに関わる児童館職員の自 発的なこどもの権利に関する学習(第1章4(1))が求められることから、運営主体は 職員の学習機会確保(第5章5)に努めることが必要である。 また、こどもが自身の権利を理解できるようにする(第4章3)よう、児童館の特性 を踏まえ、日常の遊びや生活の中で、こどもの権利の理解促進に取り組んでいくことが 肝要である。また、保護者への啓発(第4章3)や、地域住民等への情報提供等(第4 章6)も含め、職員、こども、保護者、地域住民等、児童館に関係するすべての人に向 けたこどもの権利に関する理解を深めるような取組が求められている。 こどもの権利侵害事案への対処(第1章4(3))は、児童館として組織的に行うこと が求められる。組織的対応には、早期発見、こどもの保護、保護者や関係機関への連絡、 改善等の対応が含まれている。また、利用するこどもの年齢等によっては権利が侵害さ れていることを理解できてないことも想定されるため、事前の周知等が期待される。あ わせて、運営管理規程で定めること(第6章3(4))も検討されたい。 (4)用語 事業名等固有のものを除き、子どもの表記を「こども」に統一した。 2.機能・役割→(1)遊びとソーシャルワーク(改正箇所:第3章3) 児童館は利用型施設であり、さまざまな生活環境や社会的背景を有するこどもや保護 者の来館が想定される。このため、こどもや子育て家庭が抱える課題を発見し、課題解 決に向けた対応をソーシャルワークとして展開することが期待されている。この際、児童館において展開される遊びが、課題発見のきっかけ、課題解決に向けた取組の一助と なりうる。そもそも、ソーシャルワーク展開の基盤となるのは、職員とこども・保護者 との関係性であり、遊びを通じ関係性を構築することが重要である。 3.活動内容→(1)中・高校生世代の利用(改正箇所:第4章2(2))⇒中・高校生世代の居場所が地域に不足しているという指摘があることから、児童館は、 開館時間やスペース、利用方法等について、中・高校生世代が実際に利用可能な環境づくりに努めること。 (2)災害時のこどもの居場所(改正箇所:第4章2(3))⇒災害はその種類(地震や風水害等)や規模によって対応が異なることを前提にしつつ も、こどもの心身の安全を確保するため、一時的な安全確保の場となることが求められ る。その後、復興に向けた時期に応じた取組が考えられ、特にこどもの居場所・遊び場 として機能しつづけるよう、地域住民等との協働が期待される。 (3)新たな居場所づくり(改正箇所:第4章2(4))⇒居場所づくり指針において、インターネットの普及や通信技術の進歩によって、SN S(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)等の空間も居場所となり、特別なニー ズを持つこどもや地域性を忌避する傾向のあるこども等にとって、初めの一歩としてつ ながりやすいとしている。こどもの多様なニーズに応えるため、オンラインやSNSを 活用した相談や交流等も検討されたい。 (4)居場所づくりのコーディネーター(改正箇所:第4章2(6)、第8章3(6))⇒居場所は、こどものニーズに応じて、アクセス可能な範囲で選択できることが望まし い。そのため、居場所づくり指針においては、地域全体を捉えながら、既存資源の把握 やネットワーキング、利用ニーズの実態把握や、新たに居場所づくりをする人の支援、 継続していくためのサポートなどを担うコーディネーターが重要であるとしている。児 童館は、地域においてこどもの居場所づくりに関する情報収集・発信、助言、調整等のコーディネートを行うことや、保有する施設の利活用をはじめとして、プログラムの提 供等で地域住民の居場所づくりの活動と協働することが期待される。 なお、こども家庭庁では、市町村における居場所づくりコーディネーター配置に対する財政的支援を行っているので、活用も検討されたい。 (5)こどもの権利や意見を尊重した活動(改正箇所:第4章3)⇒こどもの「意見」とは、論理的に整理されたものだけではなく、必ずしも言語化できていない気持ちや考えを含むものと考えられる。そのため、こどもの発達段階に応じて、 丁寧に意見形成への支援を行うことや、意見聴取を工夫して行い、意見反映につなげる ことが期待される。この取組については、こども家庭庁の「こども・若者の意見の政策反映に向けたガイドライン」(令和6年3月)1が参考となる。 (6)配慮を必要とするこどもへの対応(改正箇所:第4章4)⇒社会的・文化的な困難や障壁(性別、国籍、社会的地位、経済的格差等)をもったこどもたちをインクルージョンの観点から支援していくことが求められていることから、 児童館はインクルーシブな環境を実現することが期待されている。 4.運営→(1)第三者評価(改正箇所:第6章2(2))⇒ 改正前の児童館ガイドライン(以下、「旧ガイドライン」という。)では、第三者評価 は可能な限り受けることが望ましいとしていたが、「可能な限り」という表現が受審せずともよいというメッセージと読み取られるとの指摘があったことから、当該表現を削 除した。こどもだけで利用できるという施設特性からすると、引き続き、客観的な視点からの評価を受けることに努めることが期待されている。また、評価を受けた場合には、 その結果を公表することにより、サービスの質の向上につなげることや、運営の透明性 の確保という第三者評価の目的が達成されると考える。 なお、国が定めた第三者評価基準ガイドラインは、全国的な推進機関である社会福祉 法人全国社会福祉協議会のホームページで公開していることから、参照されたい。 (2)運営協議会(改正箇所:第6章3(3))⇒ 旧ガイドラインにおいて、運営協議会にこどもを構成員にすることを示したが、現状 において、この取組は全国的な広がりが見られていない。このため、運営協議会におけ るこどもの参画については、今後、積極的に検討いただきたい。 5.安全対策→(1)安全計画、業務継続計画(改正箇所:第7章)⇒児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号。以下「設備 運営基準」)の改正により、令和6年度から、児童館を含む児童福祉施設は、 こどもの安全の確保を図るため、施設設備の安全点検、こどもや職員に対する施設内外 での生活や取組等の安全に関する指導、職員研修等を網羅する「安全計画」を定めることが義務づけられている。これを踏まえた取組を前提としつつ、児童館ガイドラインで 示されている内容と紐付けながら、安全対策を講じることが求められる。 同時に、児童館を含む児童福祉施設は、感染症や非常災害の発生時において、利用者 に対する支援の提供を継続的に実施するため、また、非常時の体制で早期の業務再開を図るため、「業務継続計画」の策定が努力義務となった。当該計画の策定についても、 児童館ガイドラインの該当箇所と照らし合わせて検討されたい。 (2)置き去り事案の防止(改正箇所:第7章1(1))⇒設備運営基準が改正され、児童館を含む児童福祉施設は、自動車運行時の安全確保を 行うことが義務化されたことから、置き去り事案防止に向けて対応する必要があること を明示した。さらに、児童館の活動においては、公共交通機関の利用を行う場合も想定 されることから、こうした場合での所在確認について追加している。こどもの乗車・降 車の際には、点呼以前に、視認をしっかりと行うことが大事であり、館外活動を行う際 の職員等の人員体制には十分配慮いただきたい。 (3)交通事故の防止(改正箇所:第7章1(2))⇒こども家庭庁では、交通安全対策基本法(昭和45年法律第110号)第24条第1項 の規定に基づき、交通安全業務計画を策定しており、児童館での交通安全に関する取組 を示している。交通安全について、こどもの発達段階や周囲の交通状況等に合わせた啓 発活動を検討されたい。 (4)性被害の防止(改正箇所:第7章6)⇒こどもの性被害防止のため、職員やこども等への啓発は重要であり、この際、「生命(いのち)の安全教育」の教材を活用いただくことをご検討いただきたい。当該教材は、 生命の尊さを学び、性暴力の根底にある誤った認識や行動、また、性暴力が及ぼす影響 などを正しく理解した上で、生命を大切にする考えや、自分や相手、一人一人を尊重す る態度等を発達段階に応じて身に付けることを目指すものである。主たる利用対象を学 校教諭としているが、段階に応じた教材が公表されており、児童館でも活用できるもの である。文部科学省ホームページ3で公開しているので、参考にされたい。 また、性暴力に関するパンフレット「こどもたちのためにできること〜性被害を受け たこどもの理解と支援〜」を内閣府男女共同参画局とこども家庭庁で作成し、ホームページ4で公開しているので、参考にされたい。 6.大型児童館→(1)災害時の対応(第9章3(6)) 災害時には、広域を支援対象とする大型児童館の特徴に合わせた活動が期待されており、災害により失われる可能性がある地域のこどもの居場所、遊び場機能を補完するこ とができるような活動を検討されたい。 7.その他→ 今般の改正に向けての検討過程において、アンケートにより児童館を利用しているこ どもの意見聴取を実施した。利用にあたって良かったこと・いやだったことについて回 答していただいたところ、「友達と遊ぶことができ、友達が増えるところ」といった児 童館の特性を表す肯定的な意見や、「体育館のような遊べる場所がほしい」といったハ ード面の充実を期待する声も多く寄せられた。こどもの意見を参照の上、新たな児童館 ガイドラインを活用し、児童館運営に当たっていただきたい。なお、当該アンケートや 結果を含んだこどもへのフィードバック資料はこども家庭庁ホームページで公開して いる。 以上 【照会先】 こども家庭庁成育局成育環境課健全育成係 電話:03(6861)0303 次回も続き「参考資料5 「放課後児童クラブ運営指針の改正について」(通知)」からです。 |