第1回労災保険制度の在り方に関する研究会 資料 [2025年01月21日(Tue)]
第1回労災保険制度の在り方に関する研究会 資料(令和6年12月24日)
議題 労災保険制度の在り方に係るフリーディスカッション https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_47818.html ◎資料1 労災保険制度について ○労働者災害補償保険制度の概要 ・趣旨・目的→・労災保険は、労働者の業務災害、複数業務要因災害(※)及び通勤災害に対して迅速かつ公正な保護をするために保 険給付を行い、あわせて被災労働者の社会復帰の促進、被災労働者及びその遺族の援護、労働者の安全及び衛生の確 保等を図ることにより、労働者の福祉の増進に寄与することを目的。・労災保険が実質的に事業主の災害補償責任を担保する役割を果た している。 ・概要・仕組み→・労働者災害補償保険法により、原則として労働者を使用するすべての事業に適用。・主な保険給付は、療養(補償)等給付、休業(補償)等給付、障害(補償)等給付、遺族(補償)等給付等がある。 また、労災保険の附帯事業として社会復帰促進等事業があり、被災労働者の円滑な社会復帰を促進するために必要な事業や、労働者の安全と衛生の確保などのために必要な事業等を行う。 ・ 原則として事業主の負担する保険料によって賄われ、労働保険特別会計労災勘定によって経理。 ・基本データ→労災保険適用事業数や労働者数など。(労災保険新規受給者の推移)参照。 ○労災保険給付の概要→@療養(補償)等給付 A休業(補償)等給付 B障害(補償)等給付 C傷病(補償)等年金 D遺族(補償)等給付 E葬祭料等(葬祭給付) F介護(補償)等給付 G二次健康診断等給付 参照。 ○労災保険給付の趣旨・目的@A→「保険給付の種類@〜G」「給付の目的」「支給事由」「保険給付の内容」⇒趣旨の説明あり。参照。 ○労災保険における特別支給金について→被災労働者等への保険給付に加え、社会復帰促進等事業(法第29条)として保険給付に上乗せして特別支給金を支給している。被災労働者やその遺族の福祉を増進させるため、損害の填補の性質を有する保険給付とは性格を異にするもの。特 別支給金は以下の9種類(特支金支給規則第2条第1号〜第8号)であり、特別支給一時金とボーナス特別支給金とに大 別される。 参照。 ○労働基準法の災害補償責任との関係→・労災保険法は、労基法の災害補償に対応した保険制度という姿から、労働災害の補償に係る総合的な保険 制度ともいうべき実質を備えたものとなっている。・労働者の業務災害については、使用者は労働基準法に基づく災害補償責任を負っているが、同法の災害補 償に相当する労災保険給付が行われるべきものである場合には、この責任は免除され、労災保険が実質的に事業主の災害補償責任を担保する役割を果たしている。(労働基準法第84条第1項) ○【参考】労働基準法と労働者災害補償保険法との関係→発足当初より密接に関係。参照。 ○労災保険料(率)について@ 労災保険率表(令和6年4月1日施行)→労災保険率は3年に1度改定しており、54業種ごとに災害発生状況等に応じて定められる。 最低2.5/1,000(金融業、保険業又は不動産業 )〜最高88/1,000(金属鉱業、非金属鉱業又は石炭鉱業) ○労災保険料(率)についてA 労災保険率(全業種平均)の推移→労災保険率は、引下傾向にある。 (なお、令和3年度の保険率改定は、新型コロナウイルス感染症の影響を折り込んだ形で将来の経済状況を予 測することが困難であったことから、据え置きとなった。) ⇒令和 6年度 4.4/1,000。推移については参照。 ○労災保険料(率)についてB メリット制(適用)→・労災保険料は、原則、(労働者に支払う賃金総額)×(労災保険率)で計算される。 ・ただし、一定の事業については、個別の事業場の災害の多寡に応じ、労災保険率又は保険料を増減するメリッ ト制を適用し、事業主の保険料負担の公平性の確保や、災害防止努力の促進を図っている。 (※)メリット制適用事業場数 145,053事業場(令和4年度) ○労災保険料(率)についてC メリット制(労災保険料の計算方法) 参照。 ○労災保険料(率)についてD 特例メリット制→継続事業のメリット制が適用される中小企業の事業主が、厚生労働省令で定める労働者の安全又は衛生を確保 するための措置を講じた場合であって、「労災保険率特例適用申告書」を提出した時は、メリット増減率の幅 を±40%から±45%に変える特例(特例メリット制)を受けることができる。(徴収法第12条の2) ○労災保険料(率)についてD メリット制(メリット収支率の計算方法) 参照。 ○保険料の徴収〜労働保険の年度更新について〜→労働保険(労災保険、雇用保険)の保険料は、その年度における申告の際に概算で申告・納付し、翌 年度の申告の際に確定申告の上精算する仕組み。 事業主は、年に1度、前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を合わせて申告・納付。 ○労災保険特別加入制度について@→労災保険は、原則として労働基準法上の労働者を対象としているところ、業務の実態、災害の発生状況等からみ て労働者に準じて保護するにふさわしい者について、特別に加入を認めている。⇒対象者@〜B、特別加入団体 参照。 ○労災保険特別加入制度についてA→特別加入者に対する保険給付、補償の対象範囲、労災保険率、給付基礎日額、労災保険料は下記の表のとおり。 参照。 ○主要な労災保険法改正の経緯→昭和22年〜令和2年改正まで。 ◎資料2 労災保険データ集 ○適用事業場数及び適用労働者数@→令和4年度末の適用事業場数は2,968,456事業場で、前年度と比べ0.6%増となった。 ○適用事業場数及び適用労働者数A→令和4年度末の適用労働者数は61,455,906人で、前年度に比べ1.3%増となった。 ○メリット制@ (継続事業)→令和4年度のメリット制適用事業場数は145,053事業場となった。うち、継続事業のメリット制適用事業場数は83,025 事業場で、令和4年度当初適用事業場数2,279,995事業場に対し、3.6%のメリット制適用率となった。 ○メリット制A (継続事業)→増減率別にみると、令和4年度の労災保険率を引き下げることとなった事業場数は62,724事業場(構成比75.5%)、労災 保険率を引き上げることとなった事業場数は、18,222事業場(同21.9%)、労災保険率を据え置くこととなった事業場数 は2,079 事業場(同2.5%)であった。 ○メリット制B (一括有期事業)→一括有期事業のメリット制適用事業場数は26,234事業場で、令和4年度当初適用有期事業場数622,463事業場に対し、 4.2%のメリット制適用率となった。 ○メリット制C (一括有期事業)→増減率別にみると、令和4年度の労災保険率を引き下げることとなった事業場数は22,120事業場(構成比84.3%)、労災 保険率を引き上げることとなった事業場数は3,863事業場(同14.7%)、労災保険率を据え置くこととなった事業場数は 251事業場(同1.0%)であった。 ○メリット制D (有期事業)→有期事業のメリット制適用事業場数は、35,794事業場となった。また、令和4年度の消滅事業場数は、40,064事業場 となった。 ○メリット制E (有期事業)→増減率別にみると、確定保険料の額を引き下げて改定された事業場数は34,690事業場(構成比96.9%)、確定保険料の額 を引き上げて改定された事業場数は1,060事業場(同3.0%)、確定保険料の額を据え置くこととなった事業場数は44事業 場(同0.1%)であった。 ○保険給付@→令和4年度の保険給付支払額は7,144億円で前年度に比べ1.5%減となった。 ○保険給付A→業種別にみると、「その他の事業」が2,408億円(構成比33.7%)と最も多く、次いで「建設事業」が1,964 億円(同 27.5%)、「製造業」が1,618億円(同22.6%)と、この3業種で保険給付支払額の83.8%を占めている。 ○保険給付B→令和4年度の療養補償給付1日当たり平均支払額を業種別にみると、全業種平均支払額(3,263.38円)を上回ったのは、 「建設事業」の4,321.38円、「船舶所有者の事業」の4,039.61円、「運輸業」の3,839.01円、「製造業」の3,552.49円、 「漁業」の3,513.23円となった。これら以外の業種では全業種平均支払額を下回った。 ○保険給付C→令和4年度年金等給付支払額は3,242億円で前年度と比べ2.7%減となった。 ○保険給付➄→年金等給付を業種別にみると、「建設事業」が1,063億円(構成比32.8%)と最も多く、次いで「製造業」が910億円(同 28.1%) 、「その他の事業」が688億円(同21.2%)と、この3業種で年金等給付支払額の82.0%を占めている。 ○保険給付E→令和4年度の複数業務要因災害の保険給付支払額は12,828千円であった。 ○受給者数@→令和4年度中に新たに保険給付の支払を受けた者の数(以下「新規受給者数」という。)は777,426人で、前年度に比べ 98,822人(14.6%)増となった。令和4年度中に葬祭料の支払を受けた者の数は2,754人で、前年度に比べ497人(15.3%) 減となった。令和4年度中に新たに障害補償年金及び障害補償一時金の支払を受けた者の数は20,174人で、前年度と 比べ3,516人(14.8%)減となった。 ○受給者数➁→令和4年度末の年金受給者数は188,968人(船員保険からの移管者を除く。)で、前年度と比べ2.5%減となった。 ○受給者数B→業種別にみると、「製造業」が59,609人(構成比31.5%)と最も多く、次いで「建設事業」が55,708人(同29.5%) 、「そ の他の事業」が41,835人(同22.1%)と、この3業種で年金受給者数全体の83.2%を占めている。 ○特別支給金@→令和4年度の特別支給金支払額は880億円で、前年度に比べ0.9%減となった。給付種類別にみると、一般の特別支給 金が503億円(構成比57.2%)、特別年金が351億円(同39.9%)、特別一時金が25億円(同2.9%)となった。 ○特別支給金➁→業種別にみると、「その他の事業」が267億円(構成比30.3%)、「製造業」が229億円(同26.1%) 、「建設事業」が226 億円(同25.7%)と、この3業種で特別支給金支払額全体の82.1%を占めている。 ○特別支給金B→令和4年度の複数業務要因災害の特別支給金支払額3,844千円であった。 ◎資料3 議論の視点→労災保険に関する制度について、以下の視点も踏まえつつ、 見直すべきことについて御検討いただきたい。 ↓ ○社会・経済の動きに適合しなくなりつつあるものはないか。 (例;制度創設時の前提に変化が生じている 等) ○社会・経済の動きに応じ、新たに講ずべきものはないか。 ○制度の趣旨を踏まえて改めて効果を検証等、改善を検討す べきものはないか。 ◎資料4 研究会の今後の進め方について ○各委員からの問題意識も踏まえ、議論のテーマを設定。 令和 6 年 12 月 24 日 フリーディスカッション 令和 7 年 1 月〜5月 第1回の議論を踏まえ、適用、給付、徴収等それぞれの課題を議論(月1回程度の開催を予定) 6 月〜7月 中間報告とりまとめ ◎参考資料 開催要鋼 1 趣旨・目的→ 労災保険制度は、業務上の災害発生に際し、事業主の補償負担の緩和を図り、労働者に対する迅速かつ公正な保護を確保するために昭和 22 年に制定され、近年は、二次健康診断等給付の創設(平成 12 年改正)、複数就業者の増加等を踏まえた通勤災害保護制度の拡充(平成 17 年改正)、船員保険の被保険者を適用対象とする改正(平成 19 年改正)、複数 業務要因災害に関する保険給付の創設(令和2年改正)等、それぞれの時期における社会的ニーズに対応した改正を重ねてきた。 一方、女性の労働参加の進展や更なる就労形態の多様化等、労災保険制度を取り巻く環境は常に変化を続けている。 このような状況を踏まえ、労災保険制度の現代的課題を包括的に検討することを目的に、 「労災保険制度の在り方に関する研究会」を設置する。 2 検討事項→ 労災保険制度に関する現代的課題を検討 3 構成等→(1)本研究会は、別紙の構成員により構成する。 (2)本研究会には座長を置き、議事を整理する。 (3)本研究会は、必要に応じ、別紙構成員以外の専門家等をオブザーバーとして指名する ことができる。 (4)本研究会は、必要に応じて、関係者からヒアリングを行うことができる。 4 運営→ (1)本研究会は、厚生労働省労働基準局長が構成員の参集を求めて開催する。 (2)研究会、会議資料及び議事録については、原則として公開するものとする。ただし、 個別事案を取り扱う場合においては、個人・企業情報の保護の観点等により、公開する ことにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがあると認められるとき等において、座長が、非公開が妥当であると判断した際には、非公開で実施する こともできるものとする。なお、非公開とする場合には、その理由を明示の上、議事要 旨については公開を行うものとする。 (3)本研究会の事務は、厚生労働省労働基準局労災管理課において行う。 ○別紙 労災保険制度の在り方に関する研究会 構成員名簿→9名。 次回は新たに「労働基準関係法制研究会 第16回資料」からです。 |