令和6年第15回経済財政諮問会議 [2025年01月17日(Fri)]
令和6年第15回経済財政諮問会議(令和6年12月3日)
議事(1) 令和7年度予算編成の基本方針 (2) 持続可能な地方行財政に向けて (3) 持続可能な社会保障に向けて https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/1203/agenda.html ◎資料1 内閣総理大臣からの諮問第 52 号について ○令和6年12月3日 諮問第 52 号「令和7年度予算編成の基本方針」いかん。 ◎資料2 令和7年度予算編成の基本方針(案) 1. 基本的考え方 ↓ (1)経済の現状及び課題→@ 我が国経済は、600 兆円超の名目GDP、33 年ぶりの高い水準となった賃 上げを実現した。成長と分配の好循環は、動き始めている。現在は、長きにわたったコストカット型経済から脱却し、デフレに後戻りせず、「賃上げと投資 が牽引する成長型経済」に移行できるかどうかの分岐点にある。 A こうした前向きな動きを、国民一人一人が実際の賃金・所得の増加という形で、手取りが増え、豊かさが実感できるよう、更に政策を前進させなければ ならない。賃金・所得が力強く増加していく状況が定着するまでの間、家計を温め、生活者が豊かさを実感できるよう、幅広い方策を検討することも必要。 B 最重要課題は、全ての世代の現在・将来の賃金・所得の増加であり、賃金上昇が物価上昇を安定的に上回る経済を実現し、新たなステージとなる「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を確実にすることである。 C 我が国経済が緩やかな回復を続けると見込まれる中、経済全体の需給バランスは、今後、需要不足から供給制約の局面に入ると見られる。官民が連携する形で成長分野における投資を促進するとともに、地方の中堅・中小企業の人手不足対策を含めた生産性向上の取組を支援するなど、日本経済及び地方経済の中長期的な成長力を強化することが必要となる。それらの取組と人への投資及び労働市場改革を合わせ、賃上げの流れを構造的・持続的なものとする。 同時に、現下の物価高の下、誰一人取り残されない形で成長型経済に移行 するためには、特に物価高の影響を受ける低所得者世帯への支援や地域の実 情に応じたきめ細かい物価高対策など、当面の措置を講ずる必要がある。 東日本大震災や令和6年能登半島地震を始めとする自然災害からの復旧・ 復興、外交・安全保障環境の変化への適切な対応、防犯・治安対策の強化、公教育の再生、女性や高齢者の活躍・参画の推進を含め、「誰一人取り残されな い社会」の実現に向けた取組を推進し、成長型経済への移行の礎となる国民の安心・安全の確保に万全を期すことも必要である。 (2)経済財政運営の基本的考え方→@ 政府は、こうした重要課題に迅速に対応するため、日本経済・地方経済の成長、物価高の克服及び国民の安心・安全の確保を3つの柱とする「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」(令和6年 11 月 22 日閣議決 定)を策定した。経済対策の裏付けとなる令和6年度補正予算の早期成立を図り、その成立後には、できる限り速やかに関連する施策を実行する。その上で、令和7年度の予算編成に取り組み、切れ目のない経済財政運営を行う。 A 経済財政運営に当たっては、デフレを脱却し、新たな経済のステージに移行することを目指して、「経済あっての財政」との考え方に立ち、「賃上げと投 資が牽引する成長型経済」を実現しつつ、財政状況の改善を進め、力強く発展 する、危機に強靱な経済・財政を作っていく。 (3)施策の方向性→@ 物価上昇を上回る賃金上昇の普及・定着に向け、地域の中堅・中小企業及び小規模事業者を含め、最低賃金の引上げを始めとする賃上げの環境について、 その業種・規模に応じた環境整備を行う。国民一人一人の生産性と所得を向上させる全世代のリ・スキリング支援、成長分野への労働移動の円滑化など、 三位一体の労働市場改革を推進する。建設・物流、医療・介護等の現場におけるロボット・ICT機器の活用を通じた生産性向上・職場環境改善等による 更なる賃上げ等を支援する。公正取引委員会の下請代金支払遅延等防止法(昭和31年法律第120号)の執行強化、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」(令和5年 11 月 29 日公表)に基づく取組の徹底、国等及び地方公共団体の官公需における入札制度の適切な運用を含め、中小企業等の価格転嫁の円滑化を支援する。中小企業等のM&A及び事業承継の環境整備、 資金繰り、経営改善・再生・成長の支援に取り組む。 A 地方こそ成長の主役である。ICT技術も活用しながら、新たな地方創生 施策(「地方創生2.0」)を展開する。「新しい地方経済・生活環境創生本部」(令和6年 10 月 11 日設置)において、今後 10 年間集中的に取り組む基本構想を策定する。地域の産官学金労言が連携し、それぞれの知恵と情熱を活か して地域の可能性を引き出そうとする取組を後押しする中で、買物、医療、交 通など日常生活に不可欠なサービスの維持向上や足元の経営状況の急変を踏 まえた医療・介護の提供体制の確保、デジタルトランスフォーメーション(D X)・グリーントランスフォーメーション(GX)の面的展開等の取組を進め、新たな需要創出や生産性向上につなげる。地方創生の交付金を当初予算ベー スで倍増することを目指して取り組む。 B 賃上げの原資となる企業の稼ぐ力や地方経済の潜在力を引き出すための国 内投資を促進する。科学技術の振興及びイノベーションの促進、創薬力の強 化、GX・DX及びAI・半導体の分野における官民連携での投資の促進や産 業用地の確保、宇宙・海洋のフロンティアの開拓、スタートアップへの支援等 に取り組むことによって、成長力を強化するとともに、新たな需要を創出する。 半導体を始めとする重要な物資のサプライチェーンの強靱化や先端的な重要技術の育成など、経済安全保障の確保に向けた取組を推進する。併せて、食料安全保障及びエネルギー安全保障に係る政策対応を強化する。 C 農林水産業の持続可能な成長、文化芸術・スポーツ及びコンテンツ産業の 振興、交通・物流インフラの整備、観光立国に向けた取組を推進する。2050 年 カーボンニュートラルを目指したグリーン社会、地域・くらしの脱炭素化や サーキュラーエコノミーの実現等に取り組む。2025 年大阪・関西万博の準備 及び安全な運営に取り組むとともに、我が国の魅力を世界に発信し、交流人口の拡大及び地方活性化につなげる。 D 令和6年能登半島地震等の自然災害からの復旧・復興に取り組む。今後も 想定される災害への備えに万全を期すため、令和8年度中の防災庁の設置に 向けた検討と並行して、まず、内閣府防災担当の機能を予算・人員の両面で抜 本的に強化するとともに、避難所環境の整備など、防災・減災及び国土強靱化 の取組を着実に推進する。 「5か年加速化対策」後も、中長期的かつ明確な見通しの下、継続的・安 定的に切れ目なくこれまで以上に必要な事業が着実に進められるよう、「国土 強靱化実施中期計画」の策定に係る検討を最大限加速し、早急に策定する。 東日本大震災からの復興・創生に取り組む。ALPS処理水に関し、一部の 国・地域による日本産水産物の輸入停止に対し、即時撤廃を強く求めるととも に、安全性の確保と風評対策・なりわい継続支援に万全を期す。 E 日米同盟を基軸に、自由で開かれたインド太平洋というビジョンの下、法の支配に基づく国際秩序を堅持するため、各国・地域との協力連携を深めるとともに、ルールに基づく自由貿易体制を推進する。 戦後最も厳しく複雑な状況となっている安全保障環境を踏まえ、国家及び 国民を守り抜くため、令和5年度から令和9年度までの5年間で 43 兆円程度 の防衛力整備の水準を確保し、防衛力の抜本的強化を速やかに実現する。「自 衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議」における検討を踏まえた人的基盤の強化に係る施策に取り組む。 F 若い世代の所得の増加と社会全体の構造・意識の変革、全てのこども・子育 て世帯に対し切れ目のない支援を行う観点から、「こども未来戦略」(令和5 年 12 月 22 日閣議決定)で示された「こども・子育て支援加速化プラン」を 着実に実施する。「こども誰でも通園制度」の制度化やこどもの貧困等の多様 な支援ニーズへの対応の強化、育児休業制度の充実等に取り組む。 G 誰一人取り残されない安心・安全な社会の実現を目指し、都市部を含む社会全体での防犯・治安対策の強化、厳格かつ円滑な出入国在留管理、全世代型 社会保障の構築、健康寿命の延伸による生涯活躍社会の実現、公教育の再生、 女性や高齢者の活躍・参画の推進、障害者の社会参加や地域移行の推進、孤 独・孤立対策・就職氷河期世代のリ・スキリングの支援等に取り組む。 2.予算編成についての考え方→@ 令和7年度予算は、令和6年度補正予算と一体として、1.の基本的考え方 及び「経済財政運営と改革の基本方針 2024」(令和6年6月 21 日閣議決定。 以下「骨太方針 2024」という。)に沿って編成する。 足元の物価高、賃金や調達価格の上昇に対応しつつ、デフレを脱却し、新たなステージとなる「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を実現することを目指して、物価上昇を上回る賃金上昇の普及・定着、地方創生2. 0の起動、官民連携による投資の拡大、防災・減災及び国土強靱化、防衛力の 抜本的強化を始めとする我が国を取り巻く外交・安全保障環境の変化への対 応、充実した少子化・こども政策の着実な実施など、重要政策課題に必要な予 算措置を講ずることによって、メリハリの効いた予算編成を行う。 A その際、骨太方針 2024 に基づき、経済・物価動向等に配慮しながら、「中期的な経済財政の枠組みに沿った予算編成を行う。ただし、重要な政策の選択肢をせばめることがあってはならない」との方針を踏まえる。 B 骨太方針 2024を踏まえ、経済・財政一体改革の工程を具体化するとともに、 EBPM1 やPDCAの取組を推進し、効果的・効率的な支出(ワイズスペン ディング)を徹底する。 ◎資料3 経済・財政一体改革(地方行財政等) 参考資料(内閣府) ○自治体の規模別の人口の推移→・過去10年間で相対的に若年者人口比率が高まった自治体の中には、高齢者数の減少に伴って老人福祉費を減少させる一方、 児童福祉費を増加させた自治体がある。 ・ 自治体が、若年者や子育て世帯を積極的に受け入れるための施策に特徴がある。現時点でこうした自治体の数は多くないが、 今後増えていく可能性もある。 ⇒<表:過去10年間で、15歳未満人口変化率が65歳以上人口変化率を上回った自治体のうち、 老人福祉費が減少する一方で、児童福祉費が増加した自治体の例> 参照。 ○自治体の規模別の財政の姿→・気候変動等による災害の高頻度化・激甚化や、首都直下地震や南海トラフ地震等の大規模災害のリスク。 ・ インフラの老朽化や人的リソースが限られる中、ハザードマップの周知やまちづくり等への活用も含む平時における事前防災 の取組や、緊急時における防災体制や避難所の整備など、ソフト・ハード両面での取組が必要。 ○人口動態(高齢者比率が低下する例)→・2020年から2050年にかけて高齢者比率は高まっていくが、小規模自治体の中には相対的に高齢者比率が低下する自治体も見られる。・こうした小規模自治体においては、人口ピラミッドは、逆三角形型から、長方形型へ変化し、人口減少は継続するものの、人口動態はバランスしていくことが見込まれる。 ○過去10年の人口比率の変化と自治体の歳出→過去10年間で相対的に若年者人口比率が高まった自治体の中には、高齢者数の減少に伴って老人福祉費を減少させる一方、 児童福祉費を増加させた自治体がある。 ![]() ○持続可能な地域社会・経済の構築に向けた防災力強化・国土強靱化→・気候変動等による災害の高頻度化・激甚化や、首都直下地震や南海トラフ地震等の大規模災害のリスク。・インフラの老朽化や人的リソースが限られる中、ハザードマップの周知やまちづくり等への活用も含む平時における事前防災 の取組や、緊急時における防災体制や避難所の整備など、ソフト・ハード両面での取組が必要。 ○地方創生の取組と効果の検証→・地方創生推進交付金は2016年度より実施。各自治体での様々な取組を後押しし、優良事例を創出。一方で、東京一極集中の 流れを留めるには至っていない。 ・ 各自治体における効果検証は相当割合で実施しているものの、その多くは現状把握にとどまり、分析や改善のプロセス、分析 結果の公表といった取組は一定割合にとどまる。 ◎資料4 持続可能性の確保に向けた地方行財政改革(有識者議員提出資料) 今後本格化する人口減少の下、経済・行政機能の維持が困難になる自治体が増加するなど、 地域の持続可能性への懸念がみられる中、安心・安全で心豊かに暮らせる持続可能な地域社会 としていくことが求められる。人口動態の変化の現れ方は自治体や地域毎に異なるため、各地域 の特性に応じたきめ細かい対応や広域連携の強化等により、地域の持続可能性の向上を図って いく必要がある。 ○人口減少と自然災害の激甚化の下での強靱な地方行財政の構築 (人口構造変化への対応)→一般的に、小規模自治体においては、高齢者も含め人口全体が縮小し、収入基盤が弱体化する 中で、固定的な総務費等の一人当たりの経費が拡大する可能性。大規模自治体においては、高齢者人口が大幅に増大し、社会保障の供給制約や経費拡大が見込まれる。なお、今後高齢層の人口減少が相対的に早く、人口ピラミッドの逆三角形が長方形に近づく一部の自治体では、高齢 者に係る費用(老人福祉費等)は相対的に低下する可能性がある。 こうした地域の特性に応じた具体的な課題認識や将来像の構築に係る取組を推進するために、 政府は中長期的な経済・財政のグランドデザインの議論の中で、自治体・地域のタイプに即した 長期的な経済・財政の推計を示しながら、タイプ毎の課題(ヒト、モノ、カネ、情報など)に対するきめ細かな支援を強化すべき。また、各自治体の財政基盤が縮小していくなかで、行政サービスの 効率化に資する以下の取組を徹底していくべき。→・行政の効率化:広域連携・多分野連携、複数自治体も含めたコンパクト化・ネットワーク化、イ ンフラのトリアージ、PPP/PFIなどの民間活力の活用の推進。 ・ DXの徹底:デジタル人材の確保、国・地方デジタル基盤の整備と行政手続きのデジタル化・ 標準化、スマートシティ、i-Constructionの推進。 (災害等のショックへの対応)→気候変動等による災害の高頻度化・激甚化や、首都直下地震や南海トラフ地震等の大規模災害 のリスクに対し、ハザードマップの周知やまちづくり等への活用も含む平時における事前防災の 取組や、緊急時における防災体制や避難所の整備など、ソフト・ハード両面が適切に組み合わさ った取組を進めることで、リスク軽減、持続可能性向上を図るべき。限られたリソースでより効果の 高い政策を生み出していく、ワイズスペンディングを徹底するためEBPMを強化すべき。 ○地方発の活力創生・生活環境改善→地域の持続可能性確保にとどまらず「地方を成長の主役」とするには、地域に眠る資源をフルに 活用して、地方に“しごと”を創出するとともに、若者や女性に選ばれる「暮らしたい、働きたい」地 域としていくことが重要。地方創生交付金を梃子とし、特区含む規制改革や税制等によるトータ ルパッケージで以下の取組を進めることが重要。地方創生2.0を進めるに当たっては「政策目標」(例えば、「稼げる地方の具体的な姿」)を明確にすることが重要であり、これまでの交付金事業に ついて、自治体からの報告のみならず事業全体としての適切な運用や経済効果の創出等の検 証を行い、成果を事業採択のメリハリ付けに活用するとともに、伴走型の支援を強化すべき。→・地域資源に根差した活力創生:文化・自然などの無形資産を活用した地方文化都市の創出、 空き家、休耕地などの休眠資産の活用やNFT1 を含むWeb3.0等の新技術の有効活用による 付加価値創出、農林水産業、観光などの高付加価値化。 ・地域資源の強化:地域の公教育の充実、大学・高専の研究開発力の強化、地域内外の企業の連携や域内直接投資の促進。 ・ 新しい生活スタイルの構築:自動運転やドローン物流、テレワークや遠隔医療・教育などの 新技術の社会実装、多地域生活を促進するための規制改革。 ・ 地域の特性に応じたエネルギーシステムの構築:小水力発電、地熱発電、バイオマス等の 活用。地方発でカーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー(循環経済)、ネイチャーポジ ティブ(自然再興)を実現し、国全体の持続可能性向上に資する。 ◎資料5 持続可能な地域社会の実現に向けて(村上議員提出資料) ○持続可能な地域社会の実現に向けた総務省の取組@A→・我が国は、人口減少や少子高齢化、災害の激甚化・頻発化など、様々な分野で課題に直面している。 ・ こうした中、持続可能な地域社会の実現に向け、総務省の総力をあげて、「地方創生2.0」を推進するとともに、 令和6年能登半島地震等の教訓も踏まえた住民の安全・安心なくらしの実現を図ることが重要。 ・ また、行政効率化や住民の利便性向上を図る自治体DXの推進や、地域や組織の枠を越えた連携の推進に取り組む。 ⇒地方創生2.0の推進(地域経済の好循環による付加価値の創造、人の流れの創出・拡大、デジタル技術を活用した地域課題解決(地域社会DX))、住民の安全・安心なくらしの実現(消防防災力の強化、通信・放送インフラの整備・強靱化、信頼できる健全な情報空間の実現)、 自治体DXの推進(システム標準化・共通化など7つの推進)、地域や組織の枠を越えた連携の推進(事務の共同実施の推進、地域の多様な主体との連携・協働の推進) ⇒EBPMの推進で住民の利便性向上・人的資源の最適配分など、質の高い行政経営を実現、あわせて、将来にわたり行政サービスを持続可能な形で提供していくことができる環境を整備 参照。 ○安定的な地方税財源の確保と健全な財政運営→持続可能な地域社会を実現するためには、安定的な地方税財源の確保とワイズスペンディング(効果的・効率的な支出)に 努め、健全な財政運営を目指すとともに、住民の安全・安心なくらしの実現に取り組むことが必要。 ⇒安定的な地方税財源の確保、健全な財政運営、ワイズスペンディングの徹底、住民の安全・安心なくらしの実現。 上記の取組を進めるため、適切に財政措置を講ずる ◎資料6 国土強靱化の取組及び災害対応体制の強化について (坂井臨時議員提出資料) ○国土強靱化の取組の推進→・近年、大規模自然災害が激甚化・頻発化し、大規模地震の発生も懸念される中、事前防災対策の取組の推進を図ることが重要。 ・ 政府においては、国土強靱化基本計画に基づき、5か年加速化対策をはじめとする防災・減災、国土強靱化の取組により、災害に 屈しない国土づくりを推進。 ・全国各地で被害を抑制する効果が確実に積み上がっているところであり、引き続き事前防災対策の計画的な推進を図る必要がある。 今後の取組(実施中期計画の策定、事前防災対策の推進)⇒「5か年加速化対策」後も、ハード・ソフト一体となった取組を推進していくこととし、中長期的かつ明確な見通しの下、継続的・安定的に切 れ目なくこれまで以上に必要な事業が着実に進められるよう、令和6年能登半島地震の経験も踏まえつつ、「実施中期計画」策定に係る検 討を最大限加速し、早急に策定する。これにより、事前防災対策を計画的に推進する。 ○避難所の生活環境の抜本的改善を含む災害対応体制の強化→南海トラフ地震や首都直下地震などの次なる大規模災害も見据え、令和6年能登半島地震の教訓 も踏まえつつ、避難所の生活環境改善をはじめとした災害対応体制の強化を進める。⇒経済対策での取組→→→令和7年度以降の取組: 令和8年度中を予定している防災庁の設置を見据え、内閣府防災担当の機能を予算・人員の両面で抜本的に 強化し、避難生活環境の整備、地域防災力の強化、防災DXの推進等の重要課題への対応を強化していく。 ◎資料7 経済・財政一体改革(社会保障) 参考資料(内閣府) ○社会保障の持続可能性→・社会保障給付費対GDP比は、歳出改革と名目GDPの拡大等により2010年代は概ね横ばいで安定的に推移。コロナ禍では拡大したが、社会保障の持続可能性確保には、こうした給付費対GDP比の上昇を抑制する取組が重要。 ・ 人口減少が加速する2030年代以降も実質1%を上回る成長の下、これまでと同様に医療・介護給付費対GDP比の上昇基調に対する改革に取り組むことで、保険料負担の上昇が抑制され、持続可能性が確保される姿が視野に入る。 ○働き方に中立な制度の構築→・社会保険の扶養から外れたくないことを理由に就業調整するパートタイム労働者は多く、労働供給増につなげるため、 106万円、130万円の壁への対応は重要。 ・在職老齢年金受給者の構成割合は、支給停止基準額の前後で崖が確認できる等、高齢者の就業に影響を及ぼしている とみられる。少子高齢化・人口減少の下で、高齢者の活躍を引き出すべく、働き方に中立的な年金制度の構築が重要。 ○医療費適正化と給付と負担の見直し→一人当たり医療費の地域差は依然として大きく存在。医療費適正化や持続可能な保険制度の運営に向けて、保険者の機能強化を図る必要。国保については、医療費適正化へのインセンティブ向上を図るため、普通調整交付金や保険者 努力支援制度その他の財政支援制度の在り方を検討。 ○医療・介護提供体制→・地域で健康で安心した暮らしを送ることができる医療・介護提供体制の構築に向け、限られた資源の最適配分が必要。 ・ 入院・外来・在宅医療・介護の連携を新たな地域医療構想の下で進めると同時に、医師の偏在について経済的インセ ンティブや規制的手法を組み合わせた是正策が求められる。 ・ 介護分野では人手不足の懸念に対し、ロボット・AI活用、経営大規模化等に取り組み、持続可能な体制の構築が必要。 ◎資料8 持続可能性の確保に向けた社会保障改革(有識者議員提出資料) 2024年12月3日 十倉雅和 中空麻奈 新浪 剛史 柳川範之 社会保障改革は、健康で生涯活躍できる社会の実現、セーフティネット機能による暮らしの安心確保を通じた消費の押し上げ、保険料負担の上昇の抑制による可処分所得の拡大への寄与など、成長型経済への移行と国民の安心・安全の確保を支える上で重要な役割を果たす。 骨太方針2024で示されたとおり、経済・財政・社会保障の持続可能性確保に向けて、人口減少が加速する2030年代以降も実質1%を上回る成長の下、足下から給付費対GDP比の上昇基調に対する給付と負担の改革を継続していく必要がある。このためには、社会保障が経済を支える機能の向上と、経済・物価動向等を踏まえながら、社会保障費の実質的な増加を高齢化による増 加分に相当する伸びにおさめていくことが求められる。 こうした考え方に基づき、次の重点事項を踏まえた上で、能力に応じ全世代が支え合う全世代型社会保障の「改革工程」の内容を始めとした取組(別紙)を、年内に取りまとめる「経済・財政新 生計画」の工程の具体化に反映し、着実に実行すべき。 1.賃金・物価上昇への対応→・2024年度3報酬改定の賃金への反映状況に関するレビューを継続する。また、来年度予算 編成においては、歳出改革努力を継続する。骨太方針2024に沿って賃金や調達価格の上 昇に対応するとともに、DX、予防・健康づくり、制度改革等を徹底し、給付費全体の伸びを抑 制する。 2.改革全体を俯瞰した政策立案と推進→・社会保障改革が全体として調和のとれた形で立案・推進がなされるよう、最新の将来推計人口や働き方の変化、少子化対策等の政策変更を踏まえた、社会保障全体の給付と負担及び社会保障分野での労働需要の新たな将来見通しを早期に提示して、議論を進める。 3.「改革工程」の着実な実行→・全世代型社会保障の構築に当たり、子育て世代への支援強化は重要。「改革工程」にある歳 出改革は、その財源の捻出につなげるものでもあり、確実に実現するとともに、成果を定量的 に把握する。 ・ 特に、次の課題は、下記の考え方に沿って、年内に確実に結論を得る。⇒・年金制度改革:少子高齢化、人口減少の加速が見込まれる我が国において、年齢・性別 を問わず誰もが活躍できるよう、年収の壁や在職老齢年金の課題に対し、働き方に中立 な制度の構築を進める(具体策は別紙)。・医療・介護提供体制:年齢を重ねても各地域で健康で安心した暮らしを送ることができるよう、医療・介護を一体として、限られた資源の最適配分を実現すべき。医師偏在是正対策は規制的手法を含め実効性を確保するとともに、新たな地域医療構想は、入院・外来・在宅医療に、介護との連携を含めて、2040年に向けた計画をまとめる(具体策は別紙)。・高額療養費制度:物価・賃金が上昇する中で上限が維持されてきた高額療養費の自己負担限度額は、セーフティネットの役割を維持しつつ引上げ。↓ ○(別紙) 経済・財政と一体的な社会保障改革の推進に関する具体策 (1)生涯活躍社会の実現に向けた働き方に中立的な制度の確立→・被用者保険の適用拡大:労働者の勤め先に中立的な制度を構築する観点から、企業規模要件と個人事業所の非適用業種を速やかに撤廃。制度改正後も、引き続き、要件見直しを検討。 ・ 年収の壁・支援強化パッケージ:手続きの簡素化、広報・啓発等各般の措置を実施。制度改正後も、適用拡大の進展、労働市場の動向を踏まえ、改めて在り方を検討。 ・ 在職老齢年金:高齢者の就労促進に向け、支給停止の収入基準額を引上げ。制度改正後も、 引き続き、基準の更なる見直しを検討。 (2)給付と負担のバランスの確保→・給付と負担の不断の見直し:現役世代の保険料負担の上昇を抑制するため、「改革工程」に ある給付・サービスの見直しとともに、年齢ではなく所得・資産に即した応能負担を強化。スイッチOTC拡大などセルフメディケーションを推進し、それと歩調を合わせて保険給付範囲を見直し。介護の給付と負担の見直しについては、定められた期限内に確実に結論を得る。 ・ 国保の保険者機能強化:保険者である都道府県が医療費適正化に向けて主導的な役割を 担うよう、都道府県内の保険料水準を統一、普通調整交付金や保険者努力支援制度等の財 政支援制度の在り方を検討。 (3)健康と安心を支える効率的な医療・介護提供体制の構築→・地域医療構想:地方への国の支援実績を踏まえた2025年目標までの課題分析に基づき、年内に、2040年に向けた地域類型別の実効性ある方針を示すべき。特に地域ごとの医療機関 機能や各医療機関の経営状況やサービスの質の見える化を徹底、医療機関の連携・集約・ 再編を促進。あわせて2040年に向けた中間目標を設定。 ・ 医師偏在是正:医師多数の区域や診療科等における実効性のある規制的手法による新規参入規制や新陳代謝の促進、診療報酬等のメリハリ付けによる経済的インセンティブを組み合わせて実施。 ・ 介護提供体制:ロボット・AIの活用による省人化・生産性向上、経営の協働化・大規模化、保 険外サービス事業者との連携を推進。必要な介護サービスを確保するため、介護サービス提 供体制の中長期ビジョンを検討。ビジネスケアラー増加に対し、企業向けガイドライン等による 介護と仕事の両立に係る取組を推進。 (4)医療・介護分野におけるイノベーション創出→ ・ 医療・介護DX:マイナ保険証の円滑な運用、電子カルテの標準化・普及、全国医療情報プラットフォーム構築等を推進。同プラットフォーム上の情報を医療技術の開発や創薬等のため に二次利用する環境を整備。 ・ HX(Healthcare Transformation):PHRを活用した民間サービスや保険者のデータヘルス推進等により、予防・健康づくりを強化。生活関連産業、保険者、医療機関等が連携するユースケース創出、データ標準化等の環境整備を実施。 ・ 創薬力強化:アカデミア・スタートアップのシーズを実用化につなげるべく、ベンチャーキャピタルとのマッチング、迅速な治験のための環境整備等により創薬エコシステムを強化。 ◎資料9 社会保障分野における今後の対応(福岡臨時議員提出資料) ○社会保障分野における今後の対応→・我が国は、2025年には団塊の世代が全て後期高齢者となり、2030年以降には生産年齢人口が急激に減少、2040年には高齢者人口がピークを迎え、以降、急激な人口減少社会に入っていく。こうした少子高齢化・人口減少時代といった時代の大きな変革期にあっても、国民一人 一人が安心して生活できる社会保障制度を構築し、しっかりと次の世代に引き継いでいく。 ・働き方に中立的な年金制度の構築→• 年金制度について、働き方に中立的な制度を目指すとともに、ライフスタイル等の多様化を年金制度に反映しつつ、高齢期の経済基盤の安定や所得保障・再分配機能の強化を図るべく、年末の取りまとめに向けて以下の見直 しを検討する(以下、現在社会保障審議会年金部会において検討を進めている事項)。⇒ ・ 被用者保険の適用に関して、企業規模要件(現行従業員51人以上)の撤廃や、常時5人以上を使用する個人事業所の非適用業種の解消等。 ・ マクロ経済スライド(財源の範囲内で年金額を自動調整する仕組み)について、基礎年金(1階)と報酬比 例部分(2階)の調整期間を一致させ、基礎年金(1階)の給付調整の期間を短縮することで、物価や賃金 に連動した年金額の伸びを早期に実現(調整終了後は厚生年金受給者を含めたほぼ全ての受給者の年金の給 付水準を改善)※ 。 ・在職老齢年金(毎月の賃金と厚生年金額の合計が50万円を超える場合に年金の一部又は全部を支給停止する 仕組み)の見直し。 ・ 保険料や年金額の計算に用いる標準報酬月額の上限(65万円)について、負担能力に応じた負担を求めるとともに、将来の給付も増やすことが出来るようにする。 ・ 高齢期より前の遺族年金について、女性の就業参加等を踏まえて男女差を解消 等 ※ 現行制度と比べて、将来的な国庫負担の増加が見込まれることから、安定財源の確保が必要。 ・医療制度改革、医療・介護 D X→• これまで、2025年に向けて、地域医療構想により病床の機能分化と連携を進めてきたところ、2040年頃を視野に入れ、 地域医療構想の対象範囲について、入院医療だけでなく、在宅医療、医療・介護連携、人材確保等を含めた地域の医療 提供体制全体に拡大するとともに、病床機能の分化・連携に加えて、医療機関機能の明確化等について、法制上の措置 を含めて検討を行い、2024年末までにとりまとめ、2025年度にガイドラインを策定する。 • 医師偏在の更なる是正を図るため、経済的インセンティブ、規制的手法等の総合的な対策のパッケージを2024年末まで の策定に向けて検討中。 • かかりつけ医機能が発揮される制度については、令和7年度の施行に向けた準備を着実に進めていく。 • 社会保障給付の水準が増大し、所得に占める社会保険料負担の割合が中長期的に増加傾向にあるなかで、現役世代の負 担にも配慮し、社会保険料等の負担上昇を抑制することが重要な課題となっており、高額療養費の見直しの検討など、 能力に応じて皆が支え合う、全世代型社会保障の構築に向けた取組を進めていく。 • より質の高い医療やケアを効率的に提供する体制を構築するため、医療DXの基盤であるマイナ保険証の利用促進を図りつつ、「医療DXの推進に関する工程表」に基づき、以下の医療・介護DXの各取組をより実効的かつ一体的に進めるとともに、速やかに必要な関係法令の整備を行う。⇒ ・ 全国医療情報プラットフォームの構築等(電子カルテ情報共有サービス、診療報酬改定DX、介護情報基盤、自治体 と医療機関・薬局をつなぐ情報連携基盤(PMH:Public Medical Hub)の構築、電子処方箋の普及促進等)。 ・ 医療情報の二次利用の推進(医療・介護等の公的DBの利用促進(仮名化情報の利用、電子カルテ情報の二次利用 等)、クラウド環境の情報連携基盤の構築、利用手続のワンストップ化等)。 ・ 医療DXの実施主体の整備(社会保険診療報酬支払基金の改組、国による医療DXの総合的な方針の策定等)。 ・ スマホ搭載などマイナ保険証の利用を促進するとともに、マイナ保険証を持たない者に対しては資格確認書を速やか に交付する ・創薬力の強化・後発医薬品の安定供給→• 以下に掲げる取組等を通じて、我が国の創薬基盤の再構築・再強化を図る。⇒ ・ 創薬エコシステムの構築(官民協議会の設置、創薬クラスターの強化等)。 ・ アカデミアシーズ等の実用化支援。 ・ 革新的モダリティの臨床試験実施体制等の整備・製造支援(FIH(First In Human:ヒト初回投与)試験体制等の整備等)。 • 少量多品目生産による非効率的な製造等を要因とした後発医薬品の供給不安が発生していることを踏まえ、以下 に掲げる取組等を通じて、 5年程度の集中改革期間の中で後発医薬品業界の産業構造改革を強力に進めていく。⇒ ・ 企業間の連携・協力・再編を強力に後押しするために国が企業の取組を認定する枠組みの設置。 ・ 少量多品目生産の非効率な生産体制の解消に向けて計画的に生産性向上に取り組む企業に対する支援。 ・ 品目統合のための情報交換や協業、企業統合等について、独占禁止法との関係整理。 ・ 安定供給確保に係るマネジメントシステムについて法的枠組みを整備。 次回は新たに「基本政策部会(第15回)」からです。 |