第22回社会保障審議会年金部会 [2025年01月16日(Thu)]
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第22回社会保障審議会年金部会(令和6年12月3日)
議事 (1)年金制度における子に係る加算等について (2)その他の制度改正事項について https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/nenkin_20241203.html ◎資料1 年金制度における子に係る加算等について 1 子に係る加算等について ○年金制度における子や配偶者に係る加算の現状→・公的年金制度においては、子や配偶者のいる世帯に対して、生活保障を目的としてその扶養の実態に着目し、子 や配偶者に係る加算を行っている。子に係る加算としては、障害年金・遺族年金ではそれぞれ障害基礎年金・遺族基礎年金の子に係る加算、老齢年金では老齢厚生年金(加給年金)として支給額を加算している。 ・ 子に係る加算の支給額は、第1子・第2子が234,800円、第3子以降は78,300円とされており、第3子以降への 加算額が第1子・第2子に比べて少ない。(※金額は令和6年度価格) ○年金制度における子に係る加算等について本日お願いする議論→本日は、こうした制度の現状を踏まえ、子に係る加算等について、以下の項目について委員のご議論をお願いしたい。→・ 第3子以降の子に係る加算額の考え方 ・ 第1子、第2子を含めた全体としての子に係る加算額の考え方 ・ 厚生年金における加給年金の対象の範囲(障害厚生年金や遺族厚生年金のあり方、老齢厚生年金の加算要件 等) ・基礎年金における子に係る加算の対象の範囲(老齢基礎年金のあり方や加算額の考え方等)に係る加算の国内居住要件 ・配偶者に係る加算の考え方 ○年金制度における子に係る加算の見直し→こうした足もとの変化を受けて、年金制度においても、さらに、次代の社会を担う子どもの育ちを支援し、子を 持つ年金受給者の保障を強化する観点から、次のような視点で見直しを検討してはどうか。⇒ 視点@ 多子世帯への支援の強化(第3子以降の加算額を第1子・第2子と同額化) 子どもの育ちを支援するという目的を有する児童扶養手当において多子世帯への支援を強化する等、近接する 制度の状況を考慮し、公的年金制度における子に係る加算についても、第1子・第2子と同額となるまで、第3 子以降の支給額を増額してはどうか。 具体的には次の施策を検討してはどうか。 ・老齢厚生年金、障害基礎年金及び遺族基礎年金について、第3子以降の加算額を第1子・第2子と同額化。 視点A 子に係る加算のさらなる拡充 子の出生時における親の年齢が上昇傾向にある中で、子育て期間中に定年退職等を迎え、主たる収入が年金となる親が増えていくことが想定されることから、年金制度における子に係る加算を拡充してはどうか。 具体的には次の施策を検討してはどうか。⇒ ・子に係る加算額(234,800円(令和6年度価格))の引上げ(※) ・老齢基礎年金、障害厚生年金及び遺族厚生年金について、新たに子に係る加算の対象に追加 その他、子の「国内居住要件」の設定、老齢厚生年金の子に係る加給年金の要件緩和(厚生年金加入期間要件 を10年に短縮)、厚生年金を優先する併給調整を行うこととしてはどうか。 (※)なお、引上げ額については、民間企業や公務員の子に対する扶養手当などを参考に検討してはどうか。 ○年金制度における子に係る加算について(全体像)→子に係る加算を、厚生年金・基礎年金のいずれにおいても年金の種別に拠らない共通の制度※とし、子の出生順 位にかかわらず、一律の金額を加算してはどうか。 (※なお、厚生年金を優先する併給調整を行う。) ○老齢基礎年金における子に係る加算の検討↓ 【支給要件の考え方】→老齢基礎年金の受給権が発生した時点で、遺族基礎年金や障害基礎年金と同様の以下の要件を満たし、かつ、その 状態が維持されている者に子に係る加算を支給することとしてはどうか。 ・ 子の生計を維持 ・ 子が18歳未満(18歳になる年度末まで。子が障害等級1級または2級の状態にある場合は20歳未満。) 【加算額の考え方】→・子に係る加算は、子の数に比例して一律に定額を加算する仕組みである。遺族基礎年金や障害基礎年金については、 本体給付額も受給資格を満たす者に定額を給付する制度であるが、老齢基礎年金においては保険料の免除や納付猶予 等がある中で受給権者の保険料納付状況は様々であり、本体給付の受給額も様々である。 そのため、老齢基礎年金の受給権者間で不公平感が生じないようにする仕組みを検討してはどうか。 ・ 遺族基礎年金において、受給権の取得には長期要件として死亡した者に25年間の受給資格期間を求めている。一 方で、老齢基礎年金は受給資格期間10年間で受給権が発生するため、定額の給付である子に係る加算について、遺 族基礎年金の受給権者とのバランスを失することの無いような仕組みを検討してはどうか。 具体的には、加算額の満額支給の要件として、保険料納付済期間と保険料免除期間の合計月数で25年間(300月) を求めることとし、300月に満たない受給権者はその月数に応じて調整することとしてはどうか。 ○子に係る加算についての国内居住要件の検討→・次世代育成支援という類似の目的を有する制度として児童手当や児童扶養手当等が挙げられ、児童 手当や児童扶養手当では親・子の双方に原則、国内居住要件を設けている。例えば児童手当においては、次代の社会を担う子どもの育ちを支援するという観点から国内に居住する子どもに支給すること が制度目的に沿うと整理されてきた。 ・ 年金制度における子に係る加算の給付範囲について、こうした類似の目的を有する制度と整合的となることが望ましいが、子に係る加算の対象となる子についても国内居住要件を設けること(※)として はどうか。 (※)加算の対象である「子」に国内居住要件を設け、受給権者である「親」には現行どおり国内居住要件を課さないことを想定。 ・ 社会保険である年金制度において、加算の対象となる子の範囲に国内居住要件を設けることについ ては、今回の拡充後の子に係る加算の性格を踏まえ、以下のような視点から整理してはどうか。⇒・ 本体部分の年金給付は保険料の拠出と保険給付が対価的な関係にある。一方で、子に係る加算に ついては子の数に比例する定額給付であり、子の数に関わらず負担する保険料が不変であることを 踏まえると、原則として、加算部分の給付は保険料拠出と対価的な関係にはないといえる。 このような性格を持つ今回の子に係る加算の拡充は、次世代育成支援という政策的な目的で行う ものであり、その趣旨を踏まえれば、支給対象に一定の制約を設けることは政策的な配慮の範囲内 と整理できるのではないか。 ・ なお、これまで年金制度において、福祉年金等の保険料負担と結びついていない給付については 国内居住要件を設けて運用されている。 ○配偶者加給年金(老齢厚生年金)の主な制度改正とその考え方について↓ ・配偶者加給年金の制度趣旨→老齢厚生年金・障害厚生年金の受給権発生時等に生計を維持する配偶者・子がいる場合に、その扶養の実態に着目し、当該 年金給付の額に加給年金額を加算する。 ・昭和60年改正時の配偶者加給年金の考え方→・昭和60年改正において、第三号被保険者制度の導入により、被扶養配偶者である妻も強制加入となり、65歳から自らの老 齢基礎年金を受給できることとされた。昭和60年改正以前の旧法の老齢年金から新法の老齢厚生年金に移行するにあたって、 旧法の計算方法の考え方(夫名義の年金で夫婦2人が生活できるような給付設計)から妻の基礎年金部分と配偶者加給年金部 分等を切り出し、その部分を妻の老齢基礎年金とした上で、配偶者加給年金は配偶者が老齢基礎年金を受給できる65歳までの 間の有期給付とされた。 ・ また、妻が65歳に達するまでの世帯の年金水準と、第3号被保険者等であった妻が満額の老齢基礎年金を受給できる65歳 以後の水準との著しい格差が生じることのないように経過措置として、配偶者加給年金本体部分に特別加算を行うこととされ、 特別加算を合算した配偶者加給年金額が老齢基礎年金の満額の2分の1の額となるように設定された。 ・現状と方向性→・ 上記のとおり、夫婦がともに65歳に到達し、基礎年金を受給するまでの間(一方が65歳以上、その配偶者が65歳未満である 間)は、受給権者の老齢基礎年金と配偶者加給年金額を加算した老齢厚生年金により世帯の給付水準を維持するという考え方 で配偶者加給年金が支給されている。 ・ 高齢期における就業が進展する中で、65歳前の配偶者が就労して報酬を得ているとしても、受給権者の老齢厚生年金に加算 されている加給年金が支給停止されることはなく、加給年金は単に生計維持関係(配偶者との同居と、配偶者の収入が850万 円未満であることが条件)にある65歳未満の年下の配偶者がいれば加算されることになる。(※) ・ 女性の就業率の向上に伴う共働き世帯の増加など社会状況の変化等を踏まえ、扶養する年下の配偶者がいる場合にのみ支給 される配偶者に係る加算の役割は縮小していくと考えられることから、現在受給している者への支給額は維持した上で、将来 新たに受給権を得る者に限って支給額について見直すことを検討してはどうか。 (※)65歳前に配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間240月以上)を受給している場合には、受給権者の配偶者加給年金は支給停止されるが、令和12 (2030)年度に女性の老齢厚生年金の支給開始年齢が65歳に引き上げが完了する。 ○配偶者加給年金(老齢厚生年金)の考え方について→・現行の配偶者加給年金は、本人の年齢に関わらず配偶者の年齢等により受給の可否が決まるため、現行の制度に改正された昭和60 (1985)年からの社会状況の変化を踏まえると、受給権者間の公平性の観点からの課題もある。 ・ 昭和60(1985)年改正時と現在(令和4(2022)年時点)を比較すると、女性の就業率が高まり共働き世帯が増加している。 また、女性の平均年金額や厚生年金の受給権者数も増加している。 ○現役時代の経歴類型の変化(女性)→労働参加の進展により、若年世代ほど厚生年金の被保険者期間の長い者(厚年期間中心の者)が増加し、1号期間や3号期間中心の者が減少する見通し。特に女性は、厚生年金に加入しながら働く者の増加による将来の平均年金額の伸びや低年金の減少が大きい。 2 参考資料 ○これまでの年金部会における主なご意見(加給年金)↓ 【加給年金の基本的な在り方】→5意見あり。・ 障害厚生年金の配偶者加給年金は、老齢厚生年金と同様に、妻が専業主婦という旧来のモデルにおいて、配偶者を扶養しなければな らない分、保障を厚くするという考え方に基づいている。しかし、共働き世帯が増えており、配偶者に所得がある障害者は、配偶者が いない障害者と比べて世帯所得が増えるといった優位な立場にあることを踏まえると、配偶者加給年金の位置づけを改めて考える必要 性がある。 【繰下げ受給への影響】→2意見あり。・ 繰下げ受給に悪影響を与えている加給年金は、女性の特老厚の年齢の引上げに伴い、制度の矛盾がこれから加速していく。加給年金の改革は時間との戦いであり、問題はどのように改革していくかに絞られている。 【経過措置の必要性等】→2意見あり。・ 今後、振替加算の対象者が徐々にいなくなっていくタイミングとしては、配偶者加給年金もその役割を果たしたと言える。なお、加 給年金は老齢によるものに限られず、対象者も配偶者だけではないため、それぞれについて議論が必要。 【老齢厚生年金の加給年金(子)、障害厚生年金の配偶者加給年金について】→2意見。・ 老齢厚生年金における配偶者加給年金は公平性の観点からもその役目というのは既に終えたと考えられるが、障害厚生年金における 配偶者加給年金、老齢厚生年金の子に対する加給年金は、それとは分けて考えたほうがよいのではないか。 ○公的年金制度の年金給付における加算一覧→「老齢」「障害」「遺族」欄 参照。 ○厚生年金における各種加算の支給要件について→加給年金の子 参照。 ○基礎年金における各種加算の支給要件について→老齢基礎年金の受給権が発生した時点(65 歳以上)で、以下の要件を満たし、かつ、 その状態が維持されていること⇒・子の生計を維持。・子が18歳未満(18歳になる年度末まで) ※障害等級1級・2級の子は20歳未満。 ○主な他制度の状況→児童扶養手当、児童手当の欄参照。 ○児童扶養手当と公的年金の併給調整→@ 障害基礎年金等以外の公的年金等(※1)を受給している者(障害基礎年金等は受給していない者)は、公的年金 等の額が児童扶養手当額を上回る場合、児童扶養手当は全額支給停止。A 障害基礎年金等(※2)を受給している者は、児童扶養手当の額が障害年金の子の加算部分の額を上回る場合、そ の差額を児童扶養手当として支給(※3)。 ○配偶者加給年金の特別加算について→配偶者加給特別加算…年上の夫が老齢年金を受け始めてから、年下の妻に老齢基礎年金が支給されるまでの間の年金水準の確保 を図るための加算であり、老齢厚生年金にのみ存在している。 ◎資料2 国民年金保険料の納付猶予制度について ○納付猶予制度に関する検討の方向性 ・納付猶予制度の利用状況→納付猶予期間は、老齢基礎年金等の受給資格期間に算入され、当該期間中に障害状態に陥った場合に障害年金の受 給につながる等の保障はあるが、10年以内に追納を行わない限り老齢基礎年金の受給額には反映されない。 納付猶予を受けた者が10年以内に追納を行う割合は7.0%(2024年時点)に留まっており、納付猶予を受けたとし ても追納が可能な10年以内で追納する者は少なく、最終的に本人の老齢基礎年金の受給額につながらない者が多い状 況にある。また、学生納付特例を受けた者が10年以内に追納を行う割合の8.9% (2024年時点)と比較しても追納す る者の割合は少ない。 一方で、平成28(2016)年7月より30歳以上50歳未満の者まで納付猶予対象者の年齢を拡大したことから、新た に対象となった30歳以上の者については、納付猶予を利用してから追納可能である10年間を経過しておらず、最終的 な追納状況を把握することが困難であり、引き続き全体的な追納率を捕捉していく必要がある。 ・方向性→こうした現状を踏まえ、今後の取扱いを検討するに当たっては丁寧に実態を把握する観点から、30歳以上50歳未満 の者が最初に追納期限である10年を迎える令和8年以降に改めて納付猶予制度の最終的な追納動向等を把握すること とし、今回の年金制度改正においては以下の通り進めてはどうか。⇒• 被保険者の対象年齢の要件は現行通り。(被保険者が50歳未満であること。) • 令和12年6月までの時限措置を、令和17年6月まで5年間延長。 ○納付猶予制度の現状と課題 ・納付猶予制度の現状→【納付猶予制度の導入と変遷】【納付猶予制度の導入時からの変化】【適用者の状況等】参照。 ・納付猶予制度の課題→・納付猶予制度は、将来の無年金・低年金を防止するために設けられ、現在も一定数の者が利用しているが、令和12年6月までの時限措 置とされている。 ・納付猶予適用者の中には、世帯主に一定の所得があり保険料負担能力がありながらも納付猶予が適用されている場合がある。 ・方向性→令和12年6月までの時限措置とされている納付猶予制度について、将来の無年金・低年金を防止する役割を維持しつつ、将 来の年金給付につなげるため、以下のように考えてはどうか。 (1)納付猶予制度については、被保険者の対象年齢の要件は現行通り(被保険者が50歳未満であること。)とした上で、時 限措置を延長することを検討してはどうか。 (2)納付猶予制度の延長に際しては、制度の基本的な考え方は維持しつつ、所得要件については、本人及び配偶者の前年の 所得が一定額以下であっても、保険料納付の原則に立ち返って世帯主(親など)に一定以上の所得がある場合は納付猶 予の対象外とし、保険料納付を求めることを検討してはどうか。 (世帯構成が変化した場合における保険料免除への円滑な移行(運用上の整理))→全額免除と納付猶予制度では所得基準が同じであることから、世帯構成の変化により、新たに免除基準を満たす場合が生じる。納付猶予と異なり、保険料免除適用者は国庫負担分について将来の年金給付額につながることから、円滑に保険料免除へと移行される よう運用上の整理を行うことを検討してはどうか。⇒納付猶予制度の見直し案と現行制度との比較 参照。 ○これまでの年金部会における主なご意見(納付猶予) 【時限措置の延長】→4意見あり。・ 猶予制度の利用者も増えており、これにより無年金者等が減るのであれば継続という考えがある一方で、猶予制度自 体が将来の無年金につながっていないかを検討することも重要。 【所得要件の見直し】→6意見あり。・ 世帯主に一定の所得がある場合、保険料納付を求めることは無年金にならないために大事な観点だが、世帯主に子に 対する保険料納付を求めることが時代に逆行しないかという懸念はある。 ◎委員提出資料 ○第 22 回社会保障審議会年金部会の審議事項についての意見 2024 年 12 月 3 日 立教大学法学部 島村暁代 1 子にかかる加算→ 次世代育成支援は年金制度の主たる目的ではないものの、制度における将来の支え手の 増加につながるもので、それを目的とすることには一定の合理性があるように思われる。そ のため、多子世帯への支援の強化や子に係る加算の更なる充実には基本的に賛成である。 その上で、老齢基礎年金について加算額を満額受給するには 25 年以上の保険料納付済期 間・保険料免除期間を必要とし、それに満たない場合には減額する案については、「次代の 社会を担う子どもの育ちを支援し、子を持つ年金受給権者の保障を強化する」という加算の 趣旨に鑑みると、疑問を挟む余地がある。そもそも加算は本体給付に比較すると保険料との 牽連性は弱いものであり、老齢基礎年金における子の加算にだけ、保険料との牽連性を考慮 することは適切なのだろうか。加算の趣旨である次世代の育成支援は、親の保険料納付状況 に左右されることなく行われるべきように思え、年金受給者の子育てコストに対して年金 制度の側で支援することには一定の合理性が認められるように思われる。 運用上の不正受給については厳正な対応が必要であるし、遺族基礎年金の場合とのバラ ンスの点では難しさを孕んでいるとは考えられるが、受給権の発生を認めるかという問題 と、認めた上で生じる加算の問題とでは問題状況が異なるようにも思え、次世代育成のため の必要性を根拠に加算として割り切ることもありうるのではないかと考えている。 2 配偶者に対する加給年金→上記の通り、子にかかる加算は積極的に推進する立場であるが、他方で配偶者に対する加 給年金については廃止を含めた見直しが必要と考えている。というのも、制度の発足当初は 必要性が認められたものの、1985 年改正前の制度との接続という制度趣旨は既に役目を終 えたと考えられるし、また女性の就業率の向上や共働き世帯の増加等の社会情勢の変化も 起きているからである。これらの点を踏まえると、現状では年金受給者が年下の配偶者を扶 養する制度の必要性には疑問を挟む余地が大いにある。 高齢期の就労も盛んになり WPP 構想も含めて多様な選択肢がありうる中で、公的年金の 強みである終身性を活かすには繰下げ制度は重要な選択肢である。しかし、加給年金は繰下 げの足かせとして機能しており、看過できない。現在の受給者等に対する配慮は必要である が、将来的には配偶者への加給年金は廃止する方向で検討する必要性が高いと思われる。 3 国民年金保険料の納付猶予制度 追納率が非常に低い結果を踏まえると、このような制度が本当に必要かは再考する必要 性が高いと考えられる。制度の存続の是非については 5 年後に再検討するとして、再検討に 際しては、追納された方がどのタイミングで追納されたのか、追納の時点についてもお示し いただけると有難い。というのも、制度の必要性についての分析がしやすくなるからである。 例えば 2 年以内の追納が多ければより一層制度の必要性は低いと考えられるからである。 ○令和 6 年 12 月 3 日 第 22 回年金部会の議事に関する意見 東北大学大学院法学研究科 嵩さやか 1 配偶者加給年金に関する「方向性」について 配偶者加給年金は、子への加算と同様、扶養する配偶者・子の存在に着目して年金額を 加算するものであり、保険料拠出との牽連性は弱い給付である。そのため、その制度設計 や見直しは、現在の受給者の既得の権利への影響に配慮しながらも、その時々の社会状況 や年金財政等を勘案した政策的判断に広く委ねられるべきものであると言える。 配偶者加給年金の制度創設時の意義は十分理解できるものの、昨今の女性の就業率の上 昇により、年下の被扶養配偶者がいる場合にのみ加算されるという仕組みが、被保険者間 の不合理な不均衡をもたらすと捉えられるおそれが増していると思われる。また、資料で も指摘されているように、企業でも配偶者手当を廃止し、子どもへの手当に収れんしてい く傾向がみられる中、公的年金制度においても、限られた財源を、より社会的要請の高い 仕組みに効果的に配分していくことが必要と考える。 こうしたことから、現在の受給者に配慮しながらも、将来的には、配偶者加給年金の縮 小・廃止に向けた検討が必要と思われる。その際には、遺族年金の生計維持要件と同じ、 高い収入要件で良いのか、といった点についても検討を要すると思われる。 2 子の加算について ・次世代育成支援という目的は、公的年金制度の本来的・中心的な目的ではなく、その目的 に特化した他制度の守備範囲とも考えられる。もっとも、賦課方式を基本とする公的年金 制度にとって、次世代の育成は制度の根幹を維持するために不可欠の前提であるため、公 的年金制度としても、児童手当制度等の進展と歩調を合わせる形で次世代育成支援の仕 組みを強化していくことは望ましい方向性と思われる。 ・子の加算は、配偶者加給年金と同様に保険料との牽連性は弱くその時々の社会状況や年金 財政等を勘案した政策的判断に広く委ねられていると考えられることに加え、日本社会 の将来を担う次世代育成という視点から、国内居住要件の追加はありうる選択肢と考え られる。もっとも、海外居住の受給者について、受給者と同居し生計維持関係にある子に 支給されないことは、受給者に扶養されている子の存在に着目した生活保障を目的とす る加算の趣旨にそぐわないため、国内居住要件の例外を一定程度認めることが必要と考える。 以上 次回は新たに「令和6年第15回経済財政諮問会議」からです。 |



