第74回労働政策審議会雇用環境・均等分科会 [2024年12月10日(Tue)]
第74回労働政策審議会雇用環境・均等分科会(令和6年10月21日)
<議題> (1)次世代育成支援対策推進法施行規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)(2)行動計画策定指針の一部を改正する件案要綱(一般事業主行動計画に係る部分)に ついて(諮問)(3)女性活躍推進及びハラスメント対策について https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44429.html ◎資料3−1 「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン(令和6年 10 月 18 日)」 令和3年3月26日 改定:令和6年10月18日 内閣官房 公正取引委員会 中小企業庁 厚生労働省 第1 はじめに→令和3年3月にこの「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」を策定した。 その後、個人として業務委託を受ける特定受託事業者と企業などの発注事業者の間の取引適正化、就業環境の整備を図ることを目的に、令和5年4月 28 日に「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(令和5年法律第 25 号。以下「フリーランス・事業者間取引適正化等法」)が成立した(令和6年 11 月1日施行)。 これらを踏まえ、本ガイドラインにおいては、事業者とフリーランスとの取引について、 フリーランス・事業者間取引適正化等法、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和 22 年法律第 54 号。以下「独占禁止法」)、下請代金支払遅延等防止法 (昭和 31 年法律第 120 号。以下「下請法」)及び労働関係法令の適用関係を、特定受託事業者に適用されるフリーランス・事業者間取引適正化等法を中心に明らかにするとともに、これら法令に基づく問題行為を明確化するため、実効性があり、一覧性のあるものとなるよう見直しを行った。 なお、本ガイドラインの内容については、下請中小企業振興法(昭和 45 年法律第 145 号)に基づく振興基準にも反映の上、業所管省庁が業種別の下請ガイドラインを改定し、 これに基づいて執行を強化する。 第2 基本的考え方 1 フリーランス及び特定受託事業者の定義→「フリーランス」とは法令上の用語ではなく、定義は様々であるが、本ガイドラインにおける「フリーランス」とは、実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、 自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者を指すこととする。 フリーランス・事業者間取引適正化等法における「特定受託事業者」とは、業務委託の相手方である事業者であって、@個人であって、従業員を使用しないもの、A法人であって、一の代表者以外に他の役員(理事、取締役、執行役、業務を執行する社員、監事若しくは監査役又はこれらに準ずる者をいう。)がなく、かつ、従業員を使用しないもの、 のいずれかに該当するものをいう(フリーランス・事業者間取引適正化等法第2条第1 項)。 2 独占禁止法、下請法、フリーランス・事業者間取引適正化等法、労働関係法令とフリ ーランスとの適用関係→独占禁止法は、取引の発注者が事業者であれば、相手方が個人の場合でも適用されることから、事業者とフリーランス全般との取引に適用される。また、下請法は、取引の発注者が資本金 1,000 万円超の法人の事業者であれば、相手方が個人の場合でも適用されることから、一定の事業者とフリーランス全般との取引に適用される。さらに、フリーラ ンス・事業者間取引適正化等法は、取引の受注者が特定受託事業者であれば適用されることから、事業者と一定のフリーランスとの取引に適用される。このように、事業者とフリ ーランス全般との取引には、独占禁止法、下請法及びフリーランス・事業者間取引適正化 等法を広く適用することが可能である。 フリーランス・事業者間取引適正化等法と独占禁止法のいずれにも違反する行為については、原則として、フリーランス・事業者間取引適正化等法を優先して適用する。また、 フリーランス・事業者間取引適正化等法と下請法のいずれにも違反する行為については、 原則として、フリーランス・事業者間取引適正化等法を優先して適用する(「特定受託事 業者に係る取引の適正化等に関する法律と独占禁止法及び下請法との適用関係等の考え 方」(令和6年5月 31 日公正取引委員会)(別添8−1頁参照))。 なお、下請法と独占禁止法のいずれにも違反する行為については、原則として、下請法 を優先して適用する。 他方、これらの法律の適用に加えて、フリーランスとして業務を行っていても、実質的に発注事業者の指揮命令を受けて仕事に従事していると判断される場合など、現行法上 「雇用」に該当する場合には、労働関係法令が適用される。この場合において、独占禁止法、下請法又はフリーランス・事業者間取引適正化等法上問題となり得る事業者の行為が、 労働関係法令で禁止又は義務とされ、あるいは適法なものとして認められている行為類 型に該当する場合には、当該労働関係法令が適用され、当該行為については、独占禁止法、 下請法又はフリーランス・事業者間取引適正化等法上問題としない。 (図1:事業者とフリーランスとの取引に適用される法律関係) 参照。 第3 特定受託事業者と取引を行う業務委託事業者等が遵守すべき事項等 1 業務委託事業者に求められる事項(特定受託事業者の給付の内容その他の事項の明示)→@ 業務委託事業者及び特定受託事業者の商号、氏名若しくは名称又は事業者別に付 された番号、記号その他の符号であって業務委託事業者及び特定受託事業者を識別 できるもの A 業務委託をした日 B 特定受託事業者の給付又は提供される役務の内容 C 特定受託事業者の給付を受領し、又は役務の提供を受ける期日等 D 特定受託事業者の給付を受領し、又は役務の提供を受ける場所 E 特定受託事業者の給付の内容について検査をする場合は、その検査を完了する期 日 F 報酬の額 G 支払期日 H 現金以外の方法で支払う場合の明示事項 2 特定業務委託事業者に求められる事項→(1)報酬の支払期日等(2)募集情報の的確な表示(3)業務委託に関して行われる言動に起因する問題に関して講ずべき措置等 3 一定の期間以上の業務委託を行う特定業務委託事業者の禁止行為及び義務→(1)禁止行為@〜F (2)妊娠、出産若しくは育児又は介護に対する配慮 (3)解除等の予告 第4 フリーランスと取引を行う事業者が遵守すべき事項 1 フリーランスとの取引に係る優越的地位の濫用規制についての基本的な考え方 2 発注時の取引条件を明確にする書面の交付に係る基本的な考え方 (1)独占禁止法上の考え方 (2)下請法上の考え方 3 独占禁止法(優越的地位の濫用)・下請法上問題となる行為類型(1)報酬の支払遅延(2)報酬の減額→(優越的地位の濫用として問題となり得る想定例) (3)著しく低い報酬の一方的な決定→(優越的地位の濫用として問題となり得る想定例) (4)やり直しの要請→(優越的地位の濫用として問題となり得る想定例) (5)一方的な発注取消し→(優越的地位の濫用として問題となり得る想定例) (6)役務の成果物に係る権利の一方的な取扱い→(優越的地位の濫用として問題となり得る想定例) (7)役務の成果物の受領拒否→(優越的地位の濫用として問題となり得る想定例) (8)役務の成果物の返品→(優越的地位の濫用として問題となり得る想定例) (9)不要な商品又は役務の購入・利用強制→(優越的地位の濫用として問題となり得る想定例) (10)不当な経済上の利益の提供要請→(優越的地位の濫用として問題となり得る想定例) (11)合理的に必要な範囲を超えた秘密保持義務等の一方的な設定→(優越的地位の濫用として問題となり得る想定例) (12)その他取引条件の一方的な設定・変更・実施 第5 仲介事業者が遵守すべき事項 1 仲介事業者とフリーランスとの取引について 2 規約の変更による取引条件の一方的な変更 第6 現行法上「雇用」に該当する場合の判断基準 1 フリーランスに労働関係法令が適用される場合 2 労働基準法における「労働者性」の判断基準→(図2:各判断基準の関係(労働基準法)) 3 労働基準法における「労働者性」の判断基準の具体的な考え方 (1)「使用従属性」に関する判断基準 ↓ @「指揮監督下の労働」であること a.仕事の依頼、業務に従事すべき旨の指示等に対する諾否の自由の有無 b.業務遂行上の指揮監督の有無 c.拘束性の有無 d.代替性の有無(指揮監督関係の判断を補強する要素) A「報酬の労務対償性」があること (2)労働基準法における「労働者性」の判断を補強する要素 @事業者性の有無 a.機械、器具、衣裳等の負担関係 b.報酬の額 A専属性の程度 Bその他 4 労働組合法における「労働者性」の判断要素(図3:各判断要素の関係(労働組合法)) 5 労働組合法における「労働者性」の判断要素の具体的な考え方 (1)基本的判断要素 @事業組織への組入れ A契約内容の一方的、定型的決定 B報酬の労務対価性 (2)補充的判断要素→C業務の依頼に応ずべき関係 D広い意味での指揮監督下の労務提供、一定の時間的場所的拘束 (3)消極的判断要素→ E顕著な事業者性 <別紙1>フリーランスの定義について <別紙2>フリーランス・事業者間取引適正化等法における用語の定義について <別紙3>「自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して」の考え方及び 「正常な商慣習に照らして不当に」の考え方について <別添1>本ガイドラインに基づく契約書のひな型及び使用例について 契約書(ひな型)に関する事柄 ↓ ※1 発注の内容・規格について→例1:製造加工 例2:原稿作成 例3:イラストの作成 例4:カメラ撮影 例5:コンサルタント 例6:絵コンテ・レイアウト・原画・動画等 ※2 発注内容に知的財産権が含まれる場合 ※3 規格・仕様について ※4 納入方法・納入場所 ※5 納期について ※6 報酬の額について ※7 支払期日について ※8 その他特記事項について ※9 契約書(使用例)について <別添2>特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和5年法律第25号) <別添3>特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行令(令和6年政令第200 号 ) <別添4>公正取引委員会関係特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則(令和6年公正取引委員会規則第3号) <別添5>厚生労働省関係特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則(令和6年厚生労働省令第94号)→立入検査 証の様式あり。 <別添6>特定業務委託事業者が募集情報の的確な表示、育児介護等に対する配慮及び業務委託に関して行われる言動に起因する問題に関して講ずべき措置等に関して適切に対処するための指針(令和6年厚生労働省告示第212号)→目次⇒ 第1 はじめに 第2 募集情報の的確な表示 第3 妊娠、出産若しくは育児又は介護に対する配慮 第4 業務委託に関して行われる言動に起因する問題に関して講ずべき措置等 <別添7>特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方(令和6年5月31日公正取引委員会・ 厚生労働省)令和6年5月31日 公 正 取 引 委 員 会 厚生労働 省 ○はじめに ↓ 1 本考え方の趣旨→特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(令和5年法律第25号。以下「本法」)は、我が国における働き方の多様化の進展に鑑 み、個人が事業者として受託した業務に安定的に従事することができる環境 を整備するため、特定受託事業者に業務委託をする事業者について、特定受託事業者の給付の内容その他の事項の明示を義務付ける等の措置を講ずることにより、特定受託事業者に係る取引の適正化及び特定受託業務従事者の 就業環境の整備を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的 として制定されたものである(令和6年 11 月1日施行)。 公正取引委員会及び厚生労働省は、本法の運用の統一を図るとともに、法 運用の透明性及び事業者の予見可能性を確保し、違反行為の未然防止に資す るため、本法等の解釈を明確化することを目的に、本考え方を策定することとした。 2 構成 ↓ 第1部 定義(本法第2条) 1 特定受託事業者(本法第2条第1項) 2 特定受託業務従事者(本法第2条第2項) 3 業務委託事業者(本法第2条第5項) 4 特定業務委託事業者(本法第2条第6項) 5 報酬(本法第2条第7項) 第2部 特定受託事業者に係る取引の適正化 第1 業務委託事業者に求められる事項(本法第3条及び第6条第3項) 1 特定受託事業者の給付の内容その他の事項の明示等(本法第3条) 2 報復措置の禁止(本法第6条第3項) 第2 特定業務委託事業者に求められる事項(本法第4条及び第5条) 1 報酬の支払期日等(本法第4条) 2 特定業務委託事業者の遵守事項(本法第5条) 第3部 特定受託業務従事者の就業環境の整備 1 募集情報の的確な表示(本法第12条) 2 妊娠、出産若しくは育児又は介護に対する配慮(本法第13条) 3 業務委託に関して行われる言動に起因する問題に関して講ずべき 措置等(本法第14条) 4 解除等の予告(本法第16条) <別添8>特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律と独占禁止法及び下請法との適用関係等の考え方(令和6年5月31日公正取引委員会) 1 本考え方の趣旨→特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律は、我が国における働き方の多様化の進展に鑑み、個人が事業者として受託した業務に安定的に従事することができる環境を整備するため、特定受託事業者に業務委託をする事業者について、特定受託事業者 の給付の内容その他の事項の明示を義務付ける等の措置を講ずることにより、 特定受託事業者に係る取引の適正化及び特定受託業務従事者の就業環境の整 備を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的として制定され たものである(令和6年11月1日施行)。 公正取引委員会は、厚生労働省と連名で、本法の解釈の明確化を図るため、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方」(令和6年5 月31日)を策定しているところであるが、本法の特定受託事業者に係る取引 の適正化に関する法運用の透明性を確保するため、本法と私的独占の禁止及び 公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号。以下「独占禁止法」)及び下請代金支払遅延等防止法(昭和31年法律第120号。以下 「下請法」)との適用関係等を本考え方で示すこととした。 2 本法と独占禁止法との関係→本法と独占禁止法のいずれにも違反する行為については、原則として本法を 優先して適用し、本法第8条に基づく勧告の対象となった行為と同一の行為に ついて、重ねて独占禁止法第20条の規定(排除措置命令)及び同法第20条 の6の規定(課徴金納付命令)を適用することはない。 3 本法と下請法との関係→ 本法と下請法のいずれにも違反する行為については、原則として本法を優先して適用し、本法第8条に基づく勧告の対象となった行為について、重ねて下請法第7条に基づき勧告することはない。ただし、本法と下請法のいずれにも 違反する行為を行っている事業者が下請法のみに違反する行為も行っている場合において、当該事業者のこれらの行為の全体について下請法を適用することが適当であると公正取引委員会が考えるときには、本法と下請法のいずれに も違反する行為についても下請法第7条に基づき勧告することがある。 4 本法違反行為を自発的に申し出た業務委託事業者の取扱いについて→公正取引委員会は、業務委託事業者(特定業務委託事業者を含む)が本法に違反したと認めるときは、当該業務委託事業者に対して、本法第8条 の規定に基づき、特定受託事業者が受けた不利益を回復するために必要な措置 を採るべきことなどを勧告することができる。 公正取引委員会は、業務委託事業者の自発的な改善措置が、特定受託事業者 が受けた不利益の早期回復に資することに鑑み、本法第8条に基づく勧告の対 象となる違反行為に関する自発的な申出が業務委託事業者からなされ、かつ、 当該業務委託事業者について、以下のような事由が認められた場合には、業務 委託事業者の法令遵守を促す観点から当該違反行為について勧告するまでの 必要はないものとする。 ⑴ 公正取引委員会が当該違反行為に係る調査に着手する前に、当該違反行為 を自発的に申し出ている。 ⑵ 当該違反行為を既に取りやめている。 ⑶ 当該違反行為によって特定受託事業者に与えた不利益を回復するために 必要な措置を既に講じている。 ⑷ 当該違反行為を今後行わないための再発防止策を講ずることとしている。 ⑸ 当該違反行為について公正取引委員会が行う調査及び指導に全面的に協 力している。 以上 ◎資料3−2 「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン(令和6年 10 月 18 日)」の新旧対照表 →委細参照のこと。 次回も続き「参考資料1」からです。 |