こどもの居場所部会(第15回) [2024年11月15日(Fri)]
こどもの居場所部会(第15回)(令和6年9月19日)
議題 (1)令和6年度のこどもの居場所部会について (2)事務局からの報告事項 @ 児童厚生施設及び放課後児童クラブに関する専門委員会における検討 結果について A こどもの居場所づくり支援体制強化事業の進捗について B 令和6年度調査研究事業の進捗について C 指針の広報・啓発資料作成の進捗について (3)こどもの居場所づくりに関する指針解説書について (4)その他 https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/kodomo_ibasho/610ea2dc ◎資料6―1 こどもの居場所づくりに関する指針解説書の論点 I. 解説書の基本的な位置づけ II. 作成目的に関わる論点 ○T.解説書の基本的な位置づけ 1 解説書作成の目的→• 指針の内容を、現実の実践に落とし込み、こども・若者の生活に反映させ ていくこと • 指針の次回改訂時に必要な資料となること。 2 想定される主たる読み手→• こどもの居場所づくりの実践者(結果としての居場所の関係者を含む) • 地方自治体の担当職員 3 解説書に記載する主な内容→• 指針本文の文章に難解な部分があるため、わかりやすい表現にする • 部会における作成過程でどのような議論があったか、論点等を示す • 指針で使用されている語句等について解説する • 政策等の動きのエビデンスを示す • 先進事例等、実践を進めるにあたって有効な情報を提供する 4 解説書の目的についての記載(案)→【解説書(案) p.3】 本解説書は、「こどもの居場所づくりに関する指針」(以下、「指針」という。)の内容を、こどもたちの生活に反映させていく具体的な取組に結び付けていくために作成されたものです。指針は、こども家庭庁に設置された「こどもの居場所部会」(以下、「部会」)における審議を経て策定されたものですが、指針で示された理念をどのように実践に結びつけ、こども・若者の生活に反映していくかについては、指針を分かりやすく解説した資料が必要であるという議論がされてきた。 こうした議論を踏まえ、本解説書はこどもの居場所づくりに関わる地域の実践者の方々、及び地方自治体の担当職員を主たる読み手として想定。こうした方々に指針の 内容を理解していただき、現場の取組に落とし込んでいく一助となることが、本解説書の 重要な役割であり、そのために本解説書では、指針で使用されている語句や、部会における議論の経緯、その他関連する様々な事項についても解説。 また、地域における居場所づくりの取組は、こどもの居場所になることを意図して設けられたわけではないがこどもの居場所となっている「結果としての居場所」の重要性が指摘されており、本解説書でもそうした場所の担い手の方々も含めて読み手として 視野に入れています。 ○U.作成目的に関わる論点 5 こどもの居場所づくり指針の対象となるこども・若者像について→• 昨年度の部会において、指針の対象となるこども・若者像について、年齢層や 課題への対応等の観点から複数の論点が指摘されていたと認識。 • 年齢については一部の年齢に限らず、全てのこども・若者が居場所を見つけ ることができる環境の整備が必要とされていると考える。 【解説書(案) p.30】 本指針の名称は、「こどもの居場所づくりに関する指針」となっていますが、ここでいう「こどもの居場所」とは、「こども」のみならず、大学生や20代の若者の居場所を含めた概念となっています。 こども基本法では、「こども」の定義について第二条で「この法律において「こども」とは、心身の発達の過程にある者をいう。」と規定、年齢で一律に区分するものとは捉えていません。この指針でもこれに則り、対象としてのこどもの存在を年齢で区切らない。 その上で、こどもと若者を比較した場合、一般的に、前者の方が居場所づくりの必要性が高いと考えられること、居場所はこども・若者本人が決めるものであるということなどを踏まえ、本指針では、小学校就学以降で心身の発達の過程にある「こども」を中心として記載することとしています。 ただし、小学校就学前のこどもであっても、あるいは若者であっても、居場所を必要としていることには変わりがないというのが、指針の基本的な立場になります。部会では、 就学前から就学期に至る切れ目ない支援の重要性や、若者を対象とした取組を促進するこ との重要性についても指摘がありました。年齢によらず、全てのこども・若者が自分の居 場所を見つけることができる環境を構築していくことが必要です。 【解説書(案) p.27】 居場所のあり方は多様に想定されるものであり、さまざまな切り口が考えられますが、 指針では、一つの切り口として、対象へのアプローチによる区分を示しています。 ユニバーサル/ポピュレーションアプローチとは、対象者を限定せず、すべてのこども・若者を対象とした居場所であり、これに対し、ターゲット/ハイリスクアプローチとは、例えば貧困、障害など、特定のニーズを持つこども・若者を対象とした居場所です。 この区分は令和5年度に実施した「こどもの居場所づくりに関する調査研究」において示されたもので、調査研究では、この区分に則った形で、既存の居場所を分類したものを示 ています。 指針では、こうしたアプローチの違いによる居場所としての機能の差について記してい ます。もっとも、実際のこども・若者の居場所では、こうした機能が混然一体となって提供されていることもあり、分類が困難なケースもあります。また部会では、ユニバーサル /ポピュレーションアプローチによって設置されたこども・若者の居場所でも、個別性の高い支援が必要となることがあり、そうした場合に専門性を持つ機関等と連携することで、 インクルーシブな受け入れ態勢を構築していくことが重要であると指摘されています。重要なことは、ユニバーサルなのかターゲットなのかと厳格な分類を行うことではなく、それぞれの居場所の特徴を把握し、相互補完的なつながりを構築していくことにより、こども・若者のニーズやライフステージの変化に対応しつつ、誰もが切れ目なく居場所を持ち続けることができるようにしていくことです。 そのために、それぞれの地域において、潜在的なものも含めたニーズを把握し、多様な居場所づくりの取組を展開していく必要があります。 【解説書(案) p.18】 部会では、全てのこども・若者が安全で安心して過ごせる多くの居場所を持つことが、 将来にわたって幸せな状態(ウェルビーイング)であることにつながる一方で、居場所が あればそれだけでウェルビーイングが達成されるわけではないということが指摘されました。あくまでも居場所づくりの取組はゴールではなくスタートであり、重要なのは、居場 所づくりを通してこども・若者のウェルビーイングにつながるような環境が、社会全体で 構築されていくことです。 6 こどもの居場所づくり指針を現場に浸透させる方法について→• 指針ができたことが、予想以上に浸透していないという指摘をいただいている。 • 広報啓発資料と連携しながら、必要なときに見ることができるようにしていく。 誰に、どのように届けていくか必要があるかは検討課題。 • 指針に則り取組を進めるにあたり、居場所づくりコーディネーターの役割を明示する必要があることも指摘されている。 【解説書(案) p.59】 こども家庭庁では、「こどもの居場所づくり支援体制強化事業」の一環として、こどもの居場所づくりコーディネーターの設置を推進しています。この事業の実施要項では、こどもの居場所づくりコーディネーター配置を支援することの趣旨として、以下のように記載。→ 地域全体でこどもの居場所づくりを推進するには、居場所同士の連携と協働が必要不可欠であり、特に支援の必要性が高いこども・若者については、それぞれの居場所と行政機関との連携も重要。そのため、関係機関との日常的な信頼関係を構築することが重要である。また、居場所づくりの立ち上げ時に利用可能な支援制度等の必要情報の提供や、運営者が孤立しないための運営者同士の交流機会の創出、相談窓口の開設情報等、居場所 づくりが円滑に立ち上がるサポートも重要となっている。 このため、地域全体を捉えながら、既存資源の把握やネットワーキング、利用ニーズの実態把握や、新たに居場所づくりをする人の支援、継続していくためのサポート等を行うコーディネーターを配置することにより、地域におけるこどもの居場所づくり支援体制の 強化を図る。 こどもの居場所づくりコーディネーターの役割として、地域の人的・物的・その他様々な資源を発掘すること、関係諸機関を含めたネットワーキングを促進すること、新たに居場所づくりに取り組む人に対してのサポートを行うこと等に言及されています。部会の議論では、こどもの居場所づくりに関する情報を一元化して発信することや、関係者をつなぐことができる、ハブ機能を持つ拠点の重要性にも言及されています。こどもの居場所づくりコーディネーターには、こうした拠点の担い手になる等しながら、こどもの居場所づくりを推進するための環境整備を地域で行うことが求められます。 ◎資料6−2 こどもの居場所づくりに関する指針解説書(案) 1. 本解説書の役割→本解説書は、「こどもの居場所づくりに関する指針」(以下、「指針」) の内容を、こどもたちの生活に反映させていくための具体的な取組に結び付け ていくことを目的として作成されたものです。 2. 「こどもの居場所づくりに関する指針」の概要 (1)「こどもの居場所づくりに関する指針」の要点→指針では「多様な場がこどもの居場所になるかどうかは、一義的には、こども・若者本人がそこを居場所と感じるかどうかによっている。その意味 で、居場所とは主観的側面を含んだ概念である。」としています。つまり、ある 場が居場所になるかどうかは、こども・若者本人が決めることである、というこ と (2)「こどもの居場所づくりに関する指針」の構成及び各章の概要→ 指針は、第1章から第5章までの構成。各章の概要は以下のとおりです。↓ @ 「第1章 はじめに」では、現代社会における指針の必要性について、及び指針を通して目指す方向性について記述しています。 A 「第2章 こどもの居場所づくりに関する基本的事項」では、 「こどもの居場所」と「こどもの居場所づくり」についてそれぞれ定義をする等、 こどもの居場所づくりに関わる基本的な枠組みを整理しています。また、 こども・若者の年齢等、指針の対象となる範囲についても規定していま す。 B 「第3章 こどもの居場所づくりを進めるに当たっての基本的な視点」 では、こどもの居場所づくりの取組を進める際の留意点について、「ふや す」「つなぐ」「みがく」「ふりかえる」の4項目に整理しています。 C 「第4章 こどもの居場所づくりに関係する者の責務、役割」では、こ どもの居場所づくりを推進していくにあたっての、民間団体・地域住民・ 学校・企業・地方公共団体・国等の、それぞれの責務や役割について記 載しています。 D 「第5章 推進体制等」では、国や地方公共団体における、こどもの居 場所づくりを推進するための体制構築の要点について整理しています。 また、居場所に関する評価検証や、指針全体の見直しといった、継続的 に居場所づくりを検証し続ける体制づくりについても言及しています。 3. 解説書の記述方式について 4. 関連用語・関連資料 (1) 関連用語一覧 (2) 関連資料一覧 第 1 章 はじめに 1. 策定までの経緯 2. こどもの居場所づくりが求められる背景→「地域コミュニティの変化」「複雑かつ複合化した喫緊の課題」「価値観の多様化」 3. こどもの居場所づくりを通じて目指したい未来 第2章 こどもの居場所づくりに関する基本的事項 1. こどもの居場所とは 2. こどもの居場所の特徴→「個人的であり、変化しやすいものであること」「人との関係性の影響を受けるものであること」「目的によって性質が変化し得るものであること」「多くのこどもにとって学校が居場所になっていること」「支援する側と支援される側との相互作用があること」「地域づくりにつながるものであること」 3. こどもの居場所づくりとは→ターゲット/ハイリスクアプローチ、ユニバーサル/ポピュレーションアプローチ あり。 4. 本指針の性質等 (1)本指針の性質→国の基本的な考え方を示すもの。 (2)対象となる居場所の範囲 (3)対象となるこども・若者の年齢の範囲→学童期・思春期のみならず、大学生や20 代の若者の居場所を含めた概念で。 第3章 こどもの居場所づくりを進めるに当たっての基本的な視点 1. 視点の構成 2. 各視点に共通する事項 (1)こどもの声を聴き、こどもの視点に立ち、こどもとともにつくる居場所 (2)こどもの権利の擁護 (3)官民の連携・協働 3. 「ふやす」〜多様なこどもの居場所がつくられる〜 (1)居場所に関する実態把握 (2)既存の地域資源を活かした居場所づくり (3)新たな居場所づくりの担い手の発掘、育成 (4)持続可能な居場所づくり (5)災害時におけるこどもの居場所づくり 4. 「つなぐ」〜こどもが居場所につながる〜 (1)こどもが見つけやすい居場所づくり (2)利用しやすい居場所づくり (3)どんなこどももつながりやすい居場所づくり 5. 「みがく」〜こどもにとって、より良い居場所となる〜 (1)安全・安心な居場所づくり (2)こどもとともにつくる居場所づくり (3)どのように過ごし、誰と過ごすかを意識した居場所づくり (4)居場所同士や関係機関と連携・協働した居場所づくり (5)環境の変化に対応した居場所づくり 6. 「ふりかえる」〜こどもの居場所づくりを検証する〜 第4章 こどもの居場所づくりに関係する者の責務、役割→こども・若者の居場所となる場や空間を行政がすべて整備しようとするのではなく、必要に応じて中間支援組織等と連携しながら、こども ・若者のニーズや地 域の実情を捉え、「ふやす」「つなぐ」「みがく」「ふりかえる」のサイクルが地域 全体で確立されるよう、環境を整備していくこと 第5章 推進体制等 1. 国における推進体制→政府全体の基本的な方針を示すもの として「こども大綱」 2. 地方公共団体における推進体制→地方公共団体は、こども基本法に基づき自治体こども計画を作成することが、努力義務として課せられています。この自治体こども計画の中に、こどもの居場所づくりについてもしっかりと位置づけることが求められています。 3. 施策の実施状況等の検証・評価 4. 指針の見直し→こども・若者の居場所は、社会の変化等の影響を強く受けるものであり、本指 針についてもその時々の社会情勢を勘案しながら定期的に見直すことが望まし いと考えられます。具体的には、こども大綱との連携を図るためにも、概ね5年 ごとに見直しを行うこととされています。 次回も続き「資料7 安部委員提出資料」からです。 |