外国人雇用対策の在り方に関する検討会(第11回)会議資料 [2024年11月05日(Tue)]
外国人雇用対策の在り方に関する検討会(第11回)会議資料(令和6年9月10日)
議題 (1)育成就労制度の創設、特定技能制度の見直しについて (2)外国人雇用の状況について (3)外国人雇用対策の最近の取組について (4)その他 https://www.mhlw.go.jp/stf/projectteam_20210222_02_00019.html ◎資料5 外国人雇用の状況について(ハローワークの求職・就職・求人状況) ≪外国人求職者の分析≫ ○ハローワークにおける外国人新規求職者数の推移→・各月の外国人新規求職者数(在留資格計)は、2022年から1万人程度で推移していたが、2023年後半から若干の微増に転じており、直近(2024年6月)では11,736人となっている。 ・求職者のうち、身分に基づく在留資格(永住者、日本人配偶者等、定住者等)が大部分を占めている。 ○外国人の非自発的離職の割合の推移(在留資格計)→直近の3ヶ月(2024年4月〜6月)では、ほぼ2019年同月の水準と並んでいる。 ※ 新型コロナウイルス感染症流行以前との比較の観点から2019年との比較を掲載している。(次項以降も 同様) ○外国人の非自発的離職の割合の推移(在留資格別)→・身分に基づく在留資格(永住者、日本人配偶者等、定住者)については、トレンドはほぼ一致しているが、在留資格により非自発的な離職の割合には差があり、定住者の割合が最も高い。 ・技術・人文知識・国際業務では、2022年2月以降、身分に基づく在留資格より低い水準となっている。 ○ハローワークにおける一般・外国人の就職率の推移→・一般(外国人を除く)の就職率※は、2019年と比べて3〜6ポイント程度下回る水準で推移。 ・外国人(在留資格計)の就職率は、2021年8月に10.7%となって以降、徐々に持ち直し微増傾向にある。・外国人(在留資格計)の就職率は、日本人と比較しておおむね15〜20ポイント程度低い水準で推移。 ※月間のハローワークにおける就職者数を同一月間の新規求職者で除した値。 ≪外国人向け求人の分析≫ ○ハローワークにおける外国人向け新規求人数の推移→・ハローワークにおける外国人向け新規求人数(在留資格計)※は、2019年を上回る水準で推移、 2023年10月には2万人を突破した。直近では横ばい傾向にある。 ・新規求人数の9割以上は、専門的・技術的分野以外の在留資格(永住者、日本人配偶者等、定住者 等)が占めている。 ※ 求人受理時に明示的に外国人向けであることを把握した求人。なお、外国人への職業紹介にあたっては、外国人向け求人だけでは不足するため、一般向けの求人から外国人の就職の可能性のあるものを積極的に把握し、紹介している。 ○ハローワークにおける外国人向け有効求人数の推移→・外国人向け有効求人数(在留資格計)※は、2019年を上回る水準で推移しており、 2023年8月には5万人を突破した。直近では横ばい傾向。 ・有効求人数の9割以上は、専門的・技術的分野以外の在留資格(永住者、日本人配偶者等、定住者 等)が占めている。 ※ 求人受理時に明示的に外国人向けであることを把握した求人。なお、外国人への職業紹介にあたっては、外国人向け求人だけでは不足するため、一般向けの求人から外国人の就職の可能性のあるものを積極的に把握し、紹介している。 ○ハローワークにおける職業別の有効求人数の推移(在留資格別)→専門的・技術的分野の有効求人数※は、2022年6月には2019年同月と同水準まで回復し、その後増加傾向が続き、 2023年1月には2019年同月比で1.45倍まで回復し、2024年1月には1.63倍の最高値を記録した。 直近(2024年6月)では2019年同月比で1.43倍となった。 ※ 求人受理時に明示的に外国人(専門的・技術的分野の在留資格を有する者)向けであることを把握した求人。なお、外国人への職業紹 介にあたっては、外国人向け求人だけでは不足するため、一般向けの求人から外国人の就職の可能性のあるものを積極的に把握し、紹介 している。なお、2024年4月からは、新職業分類で集計している。 ○ハローワークにおける職業別の有効求人数の推移(在留資格別)→専門的・技術的分野以外の有効求人数※は、2021年10月には2019年同月と同水準まで回復し、その後増加傾向が続き、2023年1月には2019年同月比で2.09倍まで回復し、2023年12月には2.40倍の最高値を記録した。 直近(2024年6月)では2019年同月比で1.91倍となった。 ※ 求人受理時に明示的に外国人(専門的・技術的分野の在留資格を有する者)向けであることを把握した求人。なお、外国人への職業紹 介にあたっては、外国人向け求人だけでは不足するため、一般向けの求人から外国人の就職の可能性のあるものを積極的に把握し、紹介 している。なお、2024年4月からは、新職業分類で集計している。 ○ハローワークにおける外国語使用有効求人数の推移→外国語使用有効求人数※は、徐々に回復し2023年1月には2019年同月比で6割まで回復し、 その後も、緩やかに持ち直しているが、現在も2019年同月と比較すると7割程度の水準にとどまる。 ※ 求人受理時に明示的に業務で外国語を使用することを把握した求人。 ○ハローワークにおける外国語使用有効求人数の推移→外国語使用有効求人数の職業別では、2022年6月以降、特にインバウンドに関わるサービスの職業、販売の職業 の増加が大きい。 ※ 求人受理時に明示的に業務で外国語を使用することを把握した求人。なお、2024年4月からは、新職業分類で集計している。 ◎資料6 雇用労務責任者講習モデル事業について ○外国人労働者雇用労務責任者講習モデル事業↓ ・事業の目的→我が国における2023年10月時点での外国人労働者数は約204.9万人、外国人雇用事業所数は約31.9万所と過去 最高を記録する一方、外国人雇用に関して採用ノウハウの不足や受入手続き等の不安を課題とする事業主も多い ことから、指針上選任が求められている雇用労務責任者(※)にかかる講習を実施することにより、雇用管理改善 の取組及び外国人労働者の職場定着の促進を図る。 (※)外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針(抄)→第六 外国人労働者の雇用労務責任者の選任⇒事業主は、外国人労働者を常時十人以上雇用するときは、この指針の第四に定める事項等を管理させるため、 人事課長等を雇用労務責任者(外国人労働者の雇用管理に関する責任者をいう。)として選任すること。 ・事業の概要→@〜Bまで参照のこと。@ 全国22地域で、外国人雇用労務責任者講習検討委員会により策定したカリキュラム等に基づき、外国人労働者を雇用する事業主等に対して、雇用管理全般に関する知識やノウハウを取得するための講習を試行的に実施する。 ・事業スキーム・実施主体等→受託事業者⇒モデル構築のため3年間事業実施。 ○令和5年度講習カリキュラム等策定に関する報告書概要 (外国人労働者雇用労務責任者講習モデル事業)→外国人労働者がその能力を十分に発揮し、活躍できる就労環境整備に取り組むために必要となる知識付与を 目的とする講習のモデルカリキュラム及び講習資料を策定する。 講習カリキュラム・講習資料の項も参照のこと。 ○外国人労働者雇用労務責任者講習 (外国人労働者雇用労務責任者講習モデル事業)→「目 的」「受講対象者」「講習内容・計200分」「開催地域・予定」⇒令和7年12月までに420回開催(オンライン開催含む)を予定。 ◎資料7 外国人雇用実態調査について ○外国人雇用実態調査について→外国人雇用実態調査の概要⇒ 外国人の雇用実態等を産業別、在留資格別等の別に明らかにし、 今後の外国人雇用対策立案の基礎資料とする ・ 対 象→外国人労働者を雇用する事業所(※)及び当該事業所に雇用される外国人労働者 (※)外国人雇用状況届の届出がある事業所から対象事業所を抽出。 ・ 目 的 →産業別、事業所規模別、在留資格等の別に外国人労働者の雇用管理や入職離職の状況等を明らかにする。 ・ 概 要→・雇用動向調査、就業構造基本調査、賃金構造基本統計調査等と整合させた調査項目とし、既存統計との比較を可能とする。・ 回収率確保の観点から、オンライン回答を受け付けるとともに、労働者調査は多言語で実施。 ・ 調査時期は10月〜11月。 ・ 主な調査項目→事業所調査、労働者調査⇒《調査対象数》 事業所数 約1万事業所 労働者数 約4万人。 ⇒⇒外国人の雇用実態等を産業別、在留資格別等の別に明らかにし、今後の外国人雇用対策立案の基礎資料とする。 ○令和5年外国人雇用実態調査(事業所調査票)→1〜12問あり。 ○令和5年 外国人雇用実態調査(労働者調査票)→Q1〜Q31問まであり。 ◎資料8 日本の移住労働者--OECD 労働移民政策レビュ− 第11 回 外国人雇用対策の在り方に関する検討会(令和6年9月10日) 是川夕 博士(社会学)、国際関係部長 国立社会保障・人口問題研究所 ○OECD移民政策レビューとは?→・ OECDが実施するシリーズの第12弾。 ・これまでの実施国(カナダ、韓国、オーストラリア、欧州、オランダ、 オーストリア、ノルウェイ、ニュージーランド、ドイツ、スウェーデン 等)。 ・ 著者:OECD(経済協力開発機構)。 ・ 刊行日:2024年6月30日(日本語版2024年8月26日)。 ○構成→第1章〜第6 章まで。 ○ポイント(全体)→ 1. 日本の労働移民政策を固有の社会的文脈、及び国際的な労働移民政策の動向を踏まえ包括的に取り扱った初めての文献。 2. 日本は労働移民政策に関して他のOECD加盟国と同様の課題に直面する国として位置づけられる。 3. これまでの通説に対して検証した上で新たな見方を提示⇒ @ 日本は移民政策をとっていないのか? A 日本は高度人材にとって魅力がないのか? B 技能実習制度は単なる低スキル労働者の受入れの代替なのか? ○各章のポイント↓ 1. 日本は移民政策をとっていないのか?→ 1. 日本はOECD加盟国の中で移民人口が最も少ない国のひとつである。 2. 日本は、主に生産性の向上と国内人口による労働供給の引き上げを目的とした様々な政策を通じて、労働市場の構造的課題の解決に取り組んでいる。 3. 労働移住は、労働市場の変化に対応するために検討された政策オプションのひとつであ る。日本は労働移住プログラムを、人口構造の変化から最も影響を受ける分野を含む、 特定の分野に焦点を当てて進めてきた。 4. 日本は需要主導型の労働移住システムである。日本への技能労働移住にはほとんど制限がない。 5. 日本の移民政策は、技能移民の受け入れと留学生の誘致に重点を置いてきた。 2. 日本は高度人材にとって魅力がないのか?→ 1. 高技能移民の大半は、単一プログラムである「技術・人文知識・国際業務」(技人国)で 日本に移住している。 2. 人材の獲得は、日本型雇用システムによっても妨げられている。雇用慣行を変えることを目的とした最近の政策は、高い技能を持つ移民にとっての日本の魅力を向上させるかもしれない。 3. 日本に来ることを選択した高技能移民は、日本に留まる傾向がある。日本は国際的にみて も留学生の定着率が高い。留学生の30%から40%が、来日後5年経っても日本に留まって いる。 4. 日本は、潜在的な高技能移民を惹きつけるための雇用マッチング・プラットフォームを開発することができる。 5. 移民にとって日本社会への統合は依然として課題である。他のOECD加盟国に比べて、永住資格取得のための居住条件は厳しい。配偶者の労働市場へのアクセスを促進すべき。 2. 日本は高度人材にとって魅力がないのか?(2)↓ ・「OECD移民政策レビュー」(p.157)→ 1. 技人国の賃金率(時間当たり賃金)は平 均的な日本人男性労働者よりも35%低い。 この差の大部分は、日本の労働市場での経験年数と勤続年数(同じ雇用主のもとで勤務した年数)が少ないことによる。 これらの違いを考慮すると、賃金格差は 10%と推定され、日本人男性と比較した場合、技人国の男性も女性も賃金格差は同程度である。 2. 調査結果によれば、新卒採用者のうち、 移民の「新卒者」の初任給は日本人と同程度である。 ・「令和6年度経済財政白書」(p.211-2)→ 1. 各種属性の差異をコントロールしなかった場合、日本人労働者と外国人労働者との間の賃金差は 28.3%であるが、差異を コントロールした場合、その差は 7.1%となる。この結果から、日本人労働者と外国人労働者との間にある賃金差のうち、 約4分の3は、労働者個人の属性や勤め先の事業所の属性によって説明される一方で、それらでは説明されない部分が約4分の1残ることも明らかになった。 ※(高技能に限定すると-4.2%) 3. 技能実習制度は単なる低スキル労働者の受入れの代替なのか?→ 1. 技能実習制度は現在、技能レベルの低い外国人労働者を雇用するための主なプログラムである。 2. 送出国における過剰な手数料とブローカーの関与は依然として問題である。技能実習生は 「送出機関」又は雇用主に縛られ、到着後の雇用主の変更の可能性は限定的である。 3. NGOが指摘する技能実習制度に対する主な批判のひとつは、技能実習生が同じ会社に留まることを義務付けられているため、搾取の対象になりやすいというものである。OECD 加盟国の多くの期限付き労働移住プログラムは雇用者の流動性を制限しているが、こうした 制限は通常、ホスト国に残留する労働者については徐々に緩和されることが多い。 4. 特定技能制度は技能実習制度と同様、他のOECD加盟国の労働移住プログラムよりも厳重に管理されている。ほとんどの技能実習生が雇用主のもとに留まり、コンプライアンスのレベルも高い。アメリカ国務省の報告書では、強制労働を目的とした人身取引のリスクが 引き続き技能実習制度の議論の焦点となっているが、これらの重要な点はほぼ解決されている。5. 技能実習制度には現在、通常の労働移住プログラムには含まれない多くの追加的支援メカニズムが含まれている。日本の労働市場の特殊性を考慮すれば、監理団体が提供する労働移住の初期段階におけるオリエンテーション、雇用者と労働者への支援、日常生活の責任という全体的枠組みは維持されるべきである。 6. 技能実習制度は、出身国に対してより良い貢献ができる。そのためには、出身国における 訓練の機会の提供を促進するために、試験の基準や要件を見直す必要がある。日本の労働慣行に焦点を当てた明確で現代的な試験であればより適切であり、それは参加者が日本又は自国で将来のキャリアに役立つ技能を身に付けることを促進するだろう。 7. 特定技能制度は、職業資格を持つ移民に長期的な移住経路を作るために導入された。特定技能制度は将来の労働需要を効果的に満たす可能性を秘めているが、移民が必要な技能を習得できるようにするためには、別のプログラムに頼るべきである。つまり、技能試験よりも技能実習制度が特定技能制度への主な経路となっている。 8. 技能実習制度の訓練と試験、及び特定技能制度の試験の存在は、これらのプログラムを包括的なスキルズ・モビリティ・パートナーシップ(Skills Mobility Partnership)アプロー チとして有望なものにしている。 ○コラム6.7 アメリカ国務省の人身取引報告書と技能実習制度(p.249)→・アメリカ国務省は、人身取引(TIP)に関する年次報告書を発行している。この報告書では、人身取 引撲滅に向けた政府の取り組みと、その活動の進捗状況に応じて、アメリカ自身を含む各国をランク 付けしている。TIPランキングを注視している国もあり、この分野の政策立案に影響を与えることもある。強制労働と現代奴隷制はTIP報告書の対象である。日本は2020 年から2023 年までTier2 で あり、2018 〜19年のTier1から低下した。残念ながら、この評価は古く、主観的なものである。・ TIP報告書は、アメリカ在外公館からの情報だけでなく、公開された文書や聴取、ないしは寄せら れた意見も活用した、混合的な方法論に基づいている。2022年の報告書では、その範囲や規模を定 量化することなく、多くの出身国において送出機関が技能実習生を強制労働によって搾取している事例を挙げている。TIP報告書は、技能実習制度の下での労働者人身取引は日本政府が主張するよりも 頻繁であると主張し、同様に、日本政府が送出国と結んでいる二国間協定について、仲介業者が過大な手数料を請求するのを防ぐことをできていないと評価している。TIP報告書は、日本における人身取引の証拠は限られていると強調している(例えば、2021年、日本の出入国在留管理庁は、契約終了前に日本を出国する1万2,865人の技能実習生に聞き取り調査を行ったが、その中に人身取引の被害者は1人もいなかった)。しかし、人身取引の証拠がないのは、審査手順と担当者の訓練が不十分 だからだとしている。この評価は、数十万人の参加者を擁するプログラムのアウトカムに対する詳細な評価というよりは、エピソードベースの報告や極端な虐待のケースに基づいたものである。 ・ OECD加盟国における期限付き労働移住プログラムも、違法な募集費用や借金のために、濫用のリスクや強制労働への脆弱性と無縁ではない。しかし、こうしたケースのほとんどに対して、TIP報告書はプログラムの改革について抜本的な勧告を行っていない。 ○報告書から何を読み取るか?→ 1. 日本は生産年齢人口の減少に対する政策オプションとして労働移民政策をとる国であり、多くの課題を他のOECD加盟国と共有する。 2. 日本型雇用や日本語といったハードルによって高度人材の受入れは阻まれている部分もあるものの、留学を経由したり、いったん入国した高度人材外国人の定着率は高い。より多くの高度人材を獲得するためには、雇用の流動性を高め、生産性と賃金の連動性を高める現在の改革や、高度人材獲得のための「雇用マッチング・プラットフォーム」の開発も有用。 3. 技能実習は特定技能制度と併せて、低ー中技能労働者の供給ルートとなりえる。 その際、技能実習制度はスキル形成を通じて特定技能制度への人材供給源としての役割を果たす(スキルズ・モビリティ・パートナーシップ)。 4. 技能実習制度、及び特定技能制度における現行のシステム(移住仲介機能の介在、 技能検定との整合性)は今後の改革においても維持されるべき。 5. 現在の改革の方向性はこうした指摘とおおむね一致する。 次回は新たに「労働基準関係法制研究会 第13回資料」からです。 |