令和6年第12回経済財政諮問会議 [2024年10月26日(Sat)]
令和6年第12回経済財政諮問会議(令和6年9月3日)
議事 ・マクロ経済運営(金融政策、物価等に関する集中審議) https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/0903/agenda.html ◎資料1 植田議員提出資料 令和6年9月3日 ○2024年7月金融政策決定会合での決定内容 (1)金融市場調節方針の変更→見通しに概ね沿って推移、物価が上振れするリスクには注意。⇒実質金利の大幅なマイナスが経済活動をしっかりとサポート→見通しが実現していくとすれば、引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整。 (2)長期国債買入れの減額計画(2026年3月まで)→月間の買入れ予定額、 日本銀行の保有国債残高 参照。 ○金融市場、預金・貸出金利 ○(参考)展望レポート(2024年7月)の見通し ・政策委員見通しの中央値 ・ 消費者物価の推移 ◎資料2 マクロ経済参考資料(内閣府) 2024年9月3日 内閣府 1.GDPと物価の動向 ○2024年4-6月期は2期ぶりのプラス成長。先行きについても、賃上げを始めとする所得の増加や、堅調な設備投資 を背景に、緩やかな成長が見込まれ、マクロ的な需給の改善が進むことが期待される。 ○ 消費者物価は、足下で円安が是正され、輸入物価の伸びが今後落ち着くことが見込まれる中で、2%程度の伸びが継 続する見通し。 (参考)物価関連指標の動向(デフレ関連)→図1〜図4 参照。 2.賃上げの状況@➁ ○今年の春季労使交渉では33年ぶりの高い賃上げ、夏季のボーナスも2018年に次ぐ史上2番目の高水準。 ○実質賃金は27カ月ぶり、実質雇用者報酬も11四半期ぶりにプラスと明るい兆し。物価上昇を上回る賃金上昇が実現・ 定着する中で、個人消費が回復していくことが期待される。 ○最低賃金の全国加重平均は過去最大の引上げ。B・Cランクの県では50円を上回る引上げとなり、地域差も縮小。 ○医療・福祉分野では、賃上げのための加算措置が講じられた診療報酬改定が6月から開始。人事院勧告は、32年ぶりのベースアップの水準。今後、公的分野においても、賃上げが普及することが期待される。 3.家計部門の動向 ○個人消費は、このところ持ち直しの動きがみられる。マクロの家計消費は、実質ではコロナ禍前の水準には戻っていないが、名目の金額でみれば過去最大。 ○先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、持ち直していくことが期待される。ただし、低所得者中心に消費者マインドの改善に足踏みが残ることに留意。物価上昇の影響を大きく受ける年金受給者や低所得者等へのきめ細かい配慮が求められる。 4.企業部門の動向@➁ ○企業収益・設備投資は、過去最高を更新するなど、企業部門は好調。 ○設備投資計画も堅調。特に、中小企業は人手不足感が顕著であり、省力化投資の取組が期待される。 ○企業の内部留保(利益剰余金)は、過去最高の水準。こうした資金が、賃上げや設備投資の原資として活用されるよ う、経営マインドの更なる変革が期待される。 ○賃上げの環境整備としての価格転嫁については、発注企業からの交渉申し入れも浸透し始めており、こうした流れを 継続・拡大していくことが必要。 5.潜在成長力の強化 ○足下の日本の潜在成長率は0.6%程度。他のG7諸国に比べて低い。 ○実質1%を安定的に上回る成長率を確保し、更に高い成長率の実現を目指すためには、人への投資、科学技術・イノベーション等の重点分野における投資を拡大していくことが必要。 6.金融資本市場の動向 ○金融資本市場は、8月に入ってから世界の株式市場が変動する中、日本の株価は大きく変動。株式・為替市場の動 向やそれらが実体経済に与える影響を注視していく必要。 ○市場関係者には、様々な見方が存在。「新たな経済ステージ」への移行にとって重要となる経済・金融環境の安定 に向け、市場との丁寧な対話が期待される。 ○図3:民間エコノミストの見方 参照。 ◎資料3 主要な経済指標の推移(内閣府) ・1〜9までの経済指標の推移→「岸田内閣発足時(2021年10月)」と「2024年 現在(直近)」までの推移。 備考欄はその評価コメント。 ◎資料4 岸田内閣のマクロ経済運営の成果と今後の課題(有識者議員提出資料) 2024年9月3日 十倉 雅和・中空 麻奈・新浪 剛史・柳川 範之 1.当面のマクロ経済運営: 賃上げの定着による消費回復・好循環拡大 ○これまでのマクロ経済運営によって、我が国経済は、「新たなステージ」への移行が進みつつある。賃上げは33年ぶりの高水準となるなど、賃金と物価の好循環が回り始めている。この前向きな動きを後戻りさせてはならない。8月上旬には株価や為替等が短期的に大きく変動したが、 日々の市場動向に一喜一憂せず、「骨太方針2024」で示された方針に基づき、「新たなステージ」 への移行に向け、揺るぎないマクロ経済運営を行う必要がある。 ○力強さを欠く消費の回復に向け、プラスの実質賃金の定着が重要。足下では実質賃金の27か月ぶりのプラス、過去最高の引上げとなり地域差も縮小した最低賃金等、明るい動きが見られる。 価格転嫁対策、医療・介護、建設・物流等の業種別の賃上げ施策のフォローアップなど、「賃上げの定着」に向けた取組を更に強化すべき。併せて、物価高支援を時限的措置として講じつつ、 家計の所得を引上げ、消費を力強く回復させ、回り始めた経済の好循環を大きく拡大すべき。 ○今後とも、「経済あっての財政」という基本的考え方の下、政府・日銀が連携し、市場と丁寧に対話しながら、安定的なマクロ経済運営に万全を期すべき。経済状況に応じた機動的なマクロ経済運営が重要であり、今後の政策対応に当たっては、下記の成長力強化に軸足をおき、人口減少下で成長を実現するための具体策を検討し、予算・税制・財政投融資・規制改革等を合わせ て総合的に取り組むことが求められる。 2. 2030年度を見据えた経済構造の変革: 成長力強化と持続可能性の確保 ○生産年齢人口の減少が本格化する2030年度までが、経済構造の変革のラストチャンスである。 各経済主体において「日本が成長型経済に移行しつつある」ことを共通理解とし、以下の取組を進め、賃上げや投資拡大等の前向きな行動を全国的なムーブメントとすることで、2030年代以降も実質成長率1%以上を実現し、経済・財政・社会保障の持続可能性を確保すべき。 ○賃上げが定着しつつある今こそ、構造的な賃上げが実現する労働市場の構築に向け、攻めの労働政策として、全世代型リスキリングやジョブ型人事の導入等を推進し、「生産性が高い仕事は高い賃金で報われ、高い賃金が実現するキャリアアップや労働移動が行われる」活力ある労働市場とすべき。また、同一労働同一賃金の徹底、男女間賃金格差の是正等が重要。 ○同時に、老朽化が進む我が国の「資本」の刷新も重要。攻めの投資促進策として、GX・DXなどの分野における新技術の社会実装、宇宙・海洋を始め新たなフロンティアの開拓など、官民を挙げて、社会課題の解決に向けた積極果敢な国内投資を推進することが重要。 ○「成長と分配の好循環」の実現を目指すには可処分所得の増加が重要であり、国民の将来の安心の確保を通じた消費の拡大につなげるためにも、年収の壁対策、被用者保険の適用拡大を含め全世代型社会保障構築に向けた取組を進めるべき。 ○財政の持続可能性の確保に向けては、2025年度PB黒字化を目指すとともに、その取組の進捗・成果を後戻りさせることなく、債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指し、経済再生と財政健全化の両立を更に前進させるべき。その際、歳出構造を平時に戻しつつ、政策立案段階からのEBPMにより、政策効果の発現に向けたプロセス管理を徹底することが重要。 ◆令和6年会議情報一覧↓ https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2024/index.html#tab0903 次回は新たに「労働基準関係法制研究会 第12回資料」からです。 |