成育医療等分科会(第2回) [2023年12月14日(Thu)]
成育医療等分科会(第2回)(令和5年11月22日)
議事 (1) 母子保健に係る制度改正について (2) 乳幼児健診について https://www.cfa.go.jp/councils/shingikai/seiiku_iryou/tWs1V94m/ ◎資料1−1 母子保健に係る制度改正について ○母子保健に係る制度改正の進め方について→12月上旬 子ども・子育て支援等分科会(第4回)⇒・他部会の議論の状況について(報告) 等 ○母子保健に係る政府方針(こども未来戦略方針)→V−1.「加速化プラン」において実施する具体的な施策 2.全てのこども・子育て世帯を対象とする支援の拡充 (1)妊娠期からの切れ目ない支援の拡充 〜伴走型支援と産前・産後ケアの拡充〜 ◎資料1−2 産後ケア事業について 1.産後ケア事業の現状および自治体における課題について ○産後ケア事業の概要→ 母子保健法の改正(令和元年)により、令和3年度から「産後ケア事業」の実施が市区町村の努力義務となった。 同事業は、少子化社会対策大綱において2024年(令和6年)度末までの全国展開を目指すとされており、令和4年度時点で 1,462(約84%)の市区町村で実施。 また、同事業の実施について、国から市町村に対する財政支援を行っている(国1/2、市町村1/2)。 ○産後ケア事業に関する自治体における課題→総務省において「子育て支援に関する行政評価・監視」が実施、令和4年1月、その結果に基づき厚生労働省(当時) に対して、「産後ケア事業等の委託先(病院・助産所)が地域によって偏在、市町村単独での対応に苦 慮している実態が見たれた」ため、「都道府県が関与した広域的な対応など、都道府県の市町村に対する支援を促すこと」を 求める勧告が行われた。 令和4年度に実施した調査研究事業によると、市町村の事業実施における課題として、61%の市町村が「委託先の確保」を 挙げている。 また、市町村が都道府県に求める支援について、「集合契約等域内での契約実務の支援(53.0%)」や「産後ケア事業者と の情報連携のための書式や連携フローの策定(28.9%)」を挙げる市町村が多い(同資料添付のグラフ参照)。 ○自治体における妊産婦のメンタルヘルス対策の現状と課題→令和4年度に実施した産後ケアに係る調査研究事業によると、市町村の事業実施における課題として、43.6%の市町村が 「精神疾患の場合への対応」を挙げている。 2. 産後ケア事業に係る課題への対応について ○産後ケア事業に関する都道府県による支援の充実に向けて→総務省からの勧告及び成育基本方針等を踏まえ、令和5年度予算において都道府県事業を新設し、母子保健事業に関する実施 体制の整備や委託先の確保に関する検討を行うための協議会の設置を行う都道府県に対する国庫補助を行っている。 ○妊産婦のメンタルヘルス対策の充実に向けて→精神科、センターなどの連携構築。 ○市町村子ども・子育て支援事業計画について→子ども・子育て支援法では、子ども・子育て支援の実施について、市町村、都道府県及び国の責務を定めている。 また、同法において、「教育・保育(保育所、認定こども園、幼稚園など)」及び「地域子ども・子育て支援事業(一時預かり事業、延 長保育事業、放課後児童クラブなど)」の提供体制を整備するため、@国において基本指針を定め、A市町村及び都道府県において5 年間の計画を定めることとしている(市町村が計画を定める際は、都道府県に協議が必要)。 ※ なお、産後ケア事業は母子保健法に定められているが、子ども・子育て支援法には定められていない ○産後ケア事業における現状・課題と対応の方向性(案)→対応の方向性⇒市町村が実施する産後ケア事業を、子ども・子育て支援法第59条に定める「地域子ども・子育て支援事業」として 位置づけることで、国、都道府県、市町村の役割分担を明確にし、提供体制の整備を図ることとしてはどうか。 (参考資料)↓ ○地域子ども・子育て支援事業の概要について→@〜L妊婦健康診査まで。 ○市町村子ども・子育て支援事業計画のイメージ@A→地域子ども・子育て支援事業 ○都道府県子ども・子育て支援事業支援計画のイメージ→市町村の区域を超えた広域的な見地から行う調整 ◎資料1−3 母子保健DXについて 1.情報連携基盤 (PMH) を活用した母子保健DXについて ○「母子健康手帳の見直し方針について※」の概要 ※ 母子健康手帳、母子保健情報等に関する検討会中間報告書(令和4年9月20日)→母子健康手帳のデジタル化に向け、環境整備。「母子健康手帳」の名称は変更しない。 ○「母子保健情報のデジタル化について※」の概要 ※ 母子健康手帳、母子保健情報等に関 する検討会報告書(令和5年3月14日)→マイナンバーカードを活用した母子健康手帳のデジタル化を推進する観点から、マイナポータルで閲覧できる母子保健情報を拡充。 ○成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進に 関する基本的な方針(令和5年3月22日閣議決定)→母子保健情報 のデジタル化と利活用を進め、健康管理の充実や母子保健事業の質の向上等を図る。「全国医療情報プラットフォーム」の創設に向けた取組を推進。そのため、乳幼児期・学童期の健診・予防接種等の健康等情報の電子化及び標準化を推進。 ○母子保健DXに関する政府方針 ○医療DXの推進に関する工程表〔全体像〕→医療DXの推進に関する工程表〔全体像〕 ○母子保健DXにおける現状・課題と対応の方向性(案)→令和5年度中に構築する情報連携基盤(PMH:Public Medical Hub)及びマイナンバーカードを活用した、母子保 健の健診等に係る事務のデジタル化に向けた制度改正を行うこととしてはどうか。 その際、里帰りの妊産婦等に係る自治体間での情報連携についても、法律上の位置づけを明確化することとして はどうか。 2. 母子健康手帳の電子的な交付について ○母子健康手帳について ○母子健康手帳に関する法令等 ○省令において示している母子健康手帳の様式 ○母子手帳アプリ ○自治体における電子母子保健ツールの導入率→現在、半数以上の自治体で導入(52.7%)。 ○電子母子保健ツールの機能と導入の効果について ○母子健康手帳の電子的な交付における 課題と対応の方向性(案)→母子健康手帳の電子的な交付に当たって混乱が生じないよう、法的な観点を含め、課題とその対応を整理してい くこととしてはどうか。 ◎資料1−4 新生児マススクリーニングについて 1.新生児マススクリーニングについて ○成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進に 関する基本的な方針(令和5年3月22日閣議決定)→新生児へのマススクリーニング検査の実施により先天性代謝異常等 を早期に発見し、その後の治療や生活指導等につなげるなど、先天 性代謝異常等への対応を推進する。 ○先天性代謝異常等検査(新生児マススクリーニング)の実施→異常を早期に発見し、その後の 治療・生活指導等に繋げることにより生涯にわたって知的障害などの発生を予防することを目的。 ○新生児マススクリーニングの実施状況 ○先天性代謝異常等検査の実施について (平成30年3月30日子母発0330第2号厚生労働省子ども家庭局母子保健課長通知) 2. 新生児マススクリーニングの対象疾患拡充の考え方について ○新生児マススクリーニングの対象疾患の拡充について 〜平成29年のCPT2欠損症の追加〜→これまで、新生児マススクリーニングの対象疾患の拡充に当たっては、研究班や関係学会の科学的知見等を参考に、検査技術や治療法の進展等を踏まえつつ個別に検討、対応を行ってきた。 ○AMED成育疾患克服等総合研究事業→「新生児マススクリーニング対象拡充のための疾患選定基準の確立」(R2〜4年度、研究代表者:国立成育医療研究センター 但馬剛) ○新生児マススクリーニング検査に関する実証事業→新生児マススクリーニング検査(先天性代謝異常等検査)については、現在、都道府県・指定都市において20疾患を対象にマススクリーニング検査が 実施されているところであるが、近年、治療薬の開発等により、対象疾患の追加の必要性が指摘されていることから、令和5年度より国において調査研究 (こども家庭科学研究)を実施し、対象疾患を追加する場合の検査・診療体制や遺伝子カウンセリングの課題に関する対応策を得ることとしている。こうし た中で、都道府県・指定都市においてモデル的に2疾患(SCID、SMA (※) )を対象とするマススクリーニング検査を実施し、国の調査研究と連携・協 力(必要な検査データや情報の提供など)を行うことで、マススクリーニング検査の対象疾患の拡充に向けた検討に資するデータを収集し、その結果を踏ま え、全国展開を目指す。 ○新生児マススクリーニングにおける 現状・課題と対応の方向性(案)→新生児マススクリーニングについて、対象疾患や検査の実施方法を含め母子保健法令上位置付けることとして はどうか。 ◎資料2 乳幼児健診について ≪乳幼児健診について≫ ○妊婦健診、乳幼児健診等の現状について ・母子保健法上の取り扱いおよび地方交付税措置の状況について→(母子保健法上の各種健診の規定)(地方交付税措置の状況) ○乳幼児健康診査(1歳6か月児健診・3歳児健診)について ○「1か月児」及び「5歳児」健康診査支援事業→乳幼児健康診査については、母子保健法により、市町村において「1歳6か月児」及び「3歳児」に対する健康診査の実施が義務付けられている。また、 乳児期(「3から6か月頃」及び」「9から11か月頃」)の健康診査についても全国的に実施されている状況となっている。こうした中で、新たに「1か月児」及び「5歳児」に対する健康診査の費用を助成することにより、出産後から就学前までの切れ目のない健康診査の実施体制を整備することを目的とする。 ※ 本事業による財政支援に加え、必要な技術的支援を行うことより、全国の自治体での「1か月児」及び「5歳児」の健康診査の実施を目指す。 ○5歳児健診のフォローアップ体制のイメージ(案)→多くの市町村では、3歳児健診(法定健診)以降、就学時健診まで健診がない。乳幼児への切れ目のない母子保健の提供のため、 社会性発達の評価、発達障害等のスクリーニング、健康増進を目的とした、5歳児健診の標準化・体制整備が必要。 (4〜6歳児健診について、公費負担を実施している自治体は15%(令和3年度母子保健課調べ) )。 特別な配慮が必要な児に対して早期介入を実施することで、保護者の課題への気づきや生活への適応が向上する可能性が指摘され ており、5歳児健診により学童期の不登校発生数が減少したという研究結果もある。 ○ 5歳児健診において所見が認められた場合に、必要な支援につなげる地域のフォローアップ体制が重要。 ◎資料3 永光参考人提出資料 ↓ ○乳幼児健診の拡充に向けた提言 〜こども政策デジタルトランスフォーメーション推進も踏まえて〜→令和5年6月13日に閣議決定された「こども未来戦略方針」において「乳幼児健診等を推進する」とされ、妊娠期からの切れ目ない 支援の拡充の一環として、乳幼児健診を推進していくこととしている。 また、令和5年3月22日に全部変更の閣議決定がなされた「成育医療等の提供に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方 針」において、「乳幼児期から成人期に至るまでの期間においてバイオサイコソーシャルの観点(身体的・精神的・社会的な観点)から 切れ目なく包括的に支援するため、個々人の成長特性に応じた健診の頻度や評価項目に関する課題抽出やガイドライン作成等の方 策を検討する」とされている。 さらに、母子保健のデジタル化が進められている等を踏まえ、今年度のこども家庭科学研究費補助金成育疾患克服等次世代育成 基盤研究事業の研究班(※)において、乳幼児健診の更なる標準化について検討が行われ、「乳幼児健診の拡充に向けた提言〜こ ども政策デジタルトランスフォーメーション推進も踏まえて〜」をとりまとめた。 ※ 身体的・精神的・社会的(biopsychosocial)に乳幼児・学童・思春期の健やかな成長・発達をポピュレーションアプローチで切れ目なく支援するための社会実装化研究(研究代 表者:永光 信一郎)、成育基本法を地域格差なく継続的に社会実装するための研究(研究代表者:山縣 然太朗 )、母子保健情報のデジタル化とデータの利活用を推進するため の研究(研究代表者:梅澤 明弘)の三研究班合同。 ○1か月児健診の概要→生後1か月は多種多様な先天性疾患が顕在化する時期であり、早期介入が生命予後やQuality of Lifeを規定する重要な時期である。 1か月児健康診査が多くの医療機関で既に実施されている一方で、市区町村主体の健診としての実施率は32.8%(令和3年度母子保 健課調べ)であり、医療機関と自治体との健診情報連携や健診の標準化は十分ではない。 育児相談を含む子育てへの不安は生後0〜2か月が最も多く、乳幼児期早期の健診が養育者に対する相談支援のきっかけとなり、 伴走型相談支援等と連携し安心して子育てが出来る環境整備につながることが期待される。 ○5歳児健診の概要→現在の幼児における健康診査は3歳の法定健診以降、就学前健診まで多くの市区町村では健診が実施されていない。 4〜5歳は自閉スペクトラム症や注意欠如・多動症等の発達障害が認知される時期であるが、これら発達障害が就学時健診で指摘された場合、 事後対応の期間が十分とはいえず、保護者の理解や支援体制準備が十分整わないといった指摘がある。また、法定健診実施時の3歳では就園を していないこどももいるため、社会性の問題に気づかれにくいことがある。 学童期・思春期の健康増進に向けて、運動習慣の確保、睡眠時間の確保、適切なメディア利用、適切な食習慣の習得といった保健指導を就学前 に行うことが重要である。 ○おわりに→ 研究班で検討した1か月児健診、5歳児健診の内容について、 母子保健課を通して関係団体に意見照会を実施。いただいたご 意見を踏まえて、健診内容を精査。 本日の会議でのご意見を踏まえて、年内に、研究班として、問診 票・健診票を完成予定。 あわせて、5歳児健診について、現在診察用のマニュアル及び 自治体の実施マニュアルを作成中であり、年明け早々に完成予定。 次回も続き「参考資料1〜3」からです。 |