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第4回こども未来戦略会議 [2023年06月05日(Mon)]
第4回こども未来戦略会議 (令和5年5月22日) 
≪議事次第≫ こども・子育て政策の強化について
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mirai/dai4/gijisidai.html
◎資料7 新居構成員提出資料
1. 高齢者も含む全世代、企業も含む社会全体で財源を確保
→子どもが減っていくことにより、日本社会全体が衰退に向かっていることへ の強い危機感を前提とし、子どもが増えることは、未来の労働力・消費者の 確保、また年金をはじめとする社会保障制度の維持につながることから、子どもを持たない人にも恩恵をもたらすということを改めて共有した上で、財源については、高齢者も含めた全世代で負担すべきではないか。 今回の財源は、子育て世帯のためのものではなく、日本全体の社会保障の維持につながる全ての国民のためのものである点を強調し、分断をうまないよ うにすることが望ましい
2. 現役世代も「負担した以上に返ってくる」実感を得られる施策実行→現役世代が財源を負担したくないと感じる背景には、これまでこども・子育 て関連に十分に予算が振り分けられてこなかったことから、「負担が増えた 分以上に、自分たちにメリットのある形で戻ってくると思えない」という強 い懸念があるのではないか。 財源確保と当時に、現役世代かつ子育てをしている方々が「負担した以上に 返ってくる」という実感が得られる手厚い子育て支援を、加速化プランに基 づき迅速に実行することが重要なのではないか 以上


◎資料8 芳野 構成員提出資料
○ 子ども・子育て政策の検討においては、子育て現役世代だけではなく、将来子育てをする世代も含めた広い視点で検討し、明るい未来を展望できるようにすることが必要。
○ 連合の子育てアンケート結果(2022 年)
→多くの保護者が子育てを通じて心 安らぎ、癒され、元気をもらっていると感じる一方、根深いジェンダーバイアスや、子育てと仕事との両立が難しい実態が明らかになっている。現役子育て世代 の働き方は、将来子育てを担う世代の子どもを生み・育てることに対する意識に 大きな影響を与えており、子育て世代に限らない、すべての世代における働き方 の見直し、良質な雇用の確保、就業環境の改善をはかることが重要。 こうした取り組みを通じ、誰もが安心して働き続けられる社会を構築することこそ、子育てしやすい社会意識の醸成につながるものである。そして、社会でくらす誰もが子どもと関わることを楽しみ、若い世代が子どもを生み育てたいと思えるようにしていくべきである。 また、第 3 回会議の資料 2 で読み取れるように、子どもの人数によらず「生活が 苦しい」と感じている世帯が多い中、すべての子どもや子育て世帯への支援とと ともに、様々な事情により家庭で生活ができない子どもや障がいのある子どもな どへの支援策を強化し、子ども一人ひとりの権利が守られ、健やかに成長できる 環境整備を推進することが重要である。


◎資料9 権丈 構成員提出資料
資料 1 1.「「総合的な制度体系」を支える給付と負担の「見える化」」に関して↓

・こども・子育て政策全体に関して、既存の諸政策を含めて「総合的な制度体系」に再編するのは、「国民的な理解を得るために」望ましい方向性。その財源に関しても、 給付と負担の全体像をわかりやすく、かつその財源が他の制度とは独立した財源として徴収されていることを国民に示すために、こども・子育て政策のための会計を新しく作るのも望ましいこと。
・「加速化プラン」の実施のタイミングは、資料 1 の 17 頁では集中取組期間として 2024 −2026 年が示されている。現下の日本において、こども・子育て政策にはスピード感が必 須であるために、集中取組期間 3 年は許容範囲ぎりぎりの期間である。 資料 1 2.「「加速化プラン」を支える安定的な財源の在り方について」に関して @ について 「全世代型社会保障を構築する観点から、徹底した歳出の見直しを行うことによって、公費財源の確保や保険料負担の抑制を最大限図るべき」というのはもっともである。加えて、2013 年の社会保障制度改革国問会議の報告書にある次の文章を確認しておくことも、 日本の社会保障の現状を考えれば、重要ではないだろうか。 全世代型の社会保障への転換は、世代間の財源の取り合いをするのではなく、それ ぞれ必要な財源を確保することによって達成を図っていく必要がある。 『社会保障制度改革国民会議』(2013)9 頁 A について、公的な医療保険、介護保険は、若いときから保険料を拠出することにより主に高齢期で 生じる支出の膨張の平準化を図っている長期保険の機能をはたしている(70 歳以上への給 付で医療給付費の約5 割、介護給付費の9 割半ばを占める)。その機能は、高齢期に給付 が集中する公的年金保険と同じである(老齢年金は年金給付費の 8 割半ば)。こうした機能を、経済学では「消費の平準化(consumption smoothing)」と呼び、社会保険という再分配政策が果たす主な機能である(ちなみに、社会保障給付費の約 9 割は社会保険)。
・高齢期に必要となる消費の平準化のための制度が充実すれば少子化が起こり、その現象 は「個人的利益と集団的利益のコンフリクト」(=合成の誤謬)をもたらすことは、1934 年に既にスウェーデンのミュルダール夫妻が『人口問題の危機』の中で指摘していた。そして彼らは、私が第 1 回会議で発言したように「少子化を問題視するのであれば解決策は 2つしかなく、1つは、高齢期向けの社会保障をなくしていくこと。いま一つは、出産と育児に関する消費を、例えば介護のように社会化していく」しかないと類似のことを説き、ミュルダール夫妻は民主的国家において取り得る選択肢として普遍主義的な子育て費用の社会化を唱えていた(彼らは「消費の社会化」と呼んでいた)。他面、子育て費用の社会化により少子化の進行が緩和すれば、医療、介護、年金保険などの給付水準は高まり、これら高齢期向けの社会保険制度の持続可能性は高まる。 したがって、資料 1.2.Aにある「企業を含め社会・経済の参加者全体が連帯し、公平な 立場で、広く支え合っている新たな枠組み」について、少子化の原因でありかつ少子化緩 和の便益を受ける既存の医療、介護、年金保険などの社会保険制度の活用は、十分に候補 のひとつになり得るのではないか。なお、医療保険は後期高齢者医療制度、介護保険は第 1 号被保険者に関する特別徴収というチャネルで年金給付とつながりを持っているため に、このチャネルから公的年金保険は、こども・子育て支援のための「新たな枠組み」に 協力することができる。そして、「新たな枠組み」には、医療保険と介護保険の両方を視 野に入れるのが、両社会保険とこども・子育て政策との相互関係を考えれば、自然であろう(現在、健康保険の保険料賦課対象となる標準報酬月額の上限は 139 万円であり、介護 保険第 2 号被保険者の保険料賦課ベースは健康保険法に準じている)。  ただし、社会保険制度が財源調達に協力するにしても、この方式は安定財源の確保には 有益だが、財源調達力には限度がある。そして第 1 回会議で私は「経済界をはじめ多くの 費用負担者の価値を感じる政策と、研究による効果が確認されている政策にはさほど違い はありません」と論じている中の後者、すなわち研究によって効果があまり確認されてい ない政策に、社会保険制度が協力する根拠は薄い。児童手当のような、将来に向けて給付 の制御が難しい現金給付に関しては、社会保険からの支援に今回限りというような制限を 設け、将来、それを超える部分については、税を用いることを費用負担者たちと事前に契 約しておくことも、「費用負担者の意向を酌み取って、受益者はもちろん、そしてできれ ば協力者として支える人たちの満足感、効用を高めるような制度を設計する工夫」(第 1 回発言)のひとつとしては重要であるように思える。
・既存の社会保険制度の活用を新たな枠組みの中で考えるにしても、社会保険制度がこど も・子育て政策を支援する力を強化することは視野に入れておきたい。というのも、今 後、後期高齢者医療制度の給付が人口構成の影響を受けて増えることが見込まれている。 その財源に関しては、たとえば、公的な医療、介護、年金保険など高齢期の生活費を社会 化した制度のおかげで使われずにすんで残された資産を含む相続財産に対して、社会保障 目的相続税などを設けて、資料 1.2.@にある「公費財源の確保」を図ることも考えることができるのではないか。なお、当然のことながら、こうした措置は、社会保険制度の活用による安定財源の確保が開始される集中取組期間3年の間に行う必要があろう。
ちなみに、日本医師会は、医療政策会議の報告書の中で、次のような提案を行っている。 死亡時の金融資産に本来消費していれば払っていたであろう消費税に準じた税率を課す――これにより得た財源を、たとえば後期高齢者医療制度への公費分という消費に還元することにより、亡くなった方の金融資産を国民経済に貢献してもらう制度を考えていく。 日本医師会『平成 30・令和元年度医療政策会議報告書』(2020)5 頁。
・こども・子育て政策のひとつに奨学金の案件がある。この件に関しては、公的年金保険 の積立金を活用して、必要な人たちに奨学金を貸与する国民皆奨学金制度という案が、 2008 年の社会保障国民会議の頃から出されていた。「公的年金というのは、向こう 100 年 ほどの財源構成をみると積立金の寄与は 1 割程度で、9 割は保険料と税です。保険料と税 の収入は人的資本に依存します。積立金を使って人的資本投資をすることに公的年金被保 険者の利益と矛盾はありません。未成年の学生は親が年金保険料を払っているという条件 で奨学金を受けることができるようにし、未納対策にもする。そして奨学金の返済は、社 会に出てから支払い能力に応じて行う。そうした国民皆奨学金の話を、2008 年の社会保 障国民会議の中間報告にまで書くことができたのですけど、最後に、年金の積立金は年金 にだけ使ったほうがいいという委員たちの発言におされて最終報告書には載せることがで きませんでした」(『もっと気になる社会保障』(2022)276−277 頁)。
繰り返しになるが、公的年金積立金の投資先を、主に未来を担う若い世代に向けた人への投 資とすることにより、長期的な観点から将来にわたって公的年金保険の運営の安定に資することは、公的年金制度の積立金運用に携わる GPIF の投資原則・投資規範「年金事業の運営の安定に資するよう、専ら被保険者の利益のため」(国民年金保険法 75 条、厚生年金保険法 79 条の 2 により規定)と整合的ですらある。
年金積立金を利用して、学生たちの必要に応じて奨学金として給付を行い、卒後、負担能力 に応じて返済(財源調達)をする制度とすれば、通常の奨学金が果たす時間的な所得の再分 配に加えて、垂直的な再分配を組み込んだ国民皆奨学金制度とすることができる。公的年金 の積立金を活用した奨学金制度の創設案は、前述の 2008 年の社会保障国民会議に続いて、 2013 年の社会保障制度改革国民会議でも再度提案されていた。しかしこれまで、年金積立 金は年金以外に使うべきではないという、公的年金保険制度に対する理解不足の論によっ て、阻まれてきた。 以上

◎資料10 高橋 構成員提出資料
少子化対策への協力に応じて企業にも段階的負担を↓

この国の少子化問題を、国と企業が手を携えて解決していくべきだと思いますので、今後、 少子化対策の財源確保のために企業にも一部負担を求めることに、私は経営者としても賛成です。
企業の従業員は必ずしも育児をしている人ばかりではないので恩恵を受けるのは一部の 人だという意見もありますが、私はそうではないと思います。少子化になれば、日本全体の 社会保障が成り立たなくなり、そのあおりを受けるのは、子育てしている人もしていない人 も同じです。日本の少子化を克服していくというのは、同じ目的に向かって、全員が対象で ある取組であるにも関わらず、短期的に給付金を受け取る人のためだけ、と誤解されるよう な理論を展開するべきではないと考えます。
一方で、企業にも負担を求める際には、一律な負担ではなく、⇒ ・労働時間が短い ・有給取得率が高い ・男性育休取得率、取得日数が多い ・勤務間インターバルを導入している など少子化対策に協力的な企業にはぜひ負担率において優遇をしてください。 逆に、⇒ ・慢性的な長時間労働 ・有給取得率、男性育休取得率・取得日数が低い といった、この国が少子化を克服していくことに協力的でない企業には負担率を重くしていただきたいです。
日本の労働基準法は他国と比べると異常です。労働時間の上限管理において、他国の約 2 倍も許容していることや、時間外割増賃金率は他国の半分で済んでしまい、長時間労働をさ せたほうが企業が得するしくみ。これが少子化の原因です。長時間労働社会のままの女性活 躍・夫婦で育児家事の分担など、疲弊する夫婦を増やしてしまうばかりです。いくら育児者 本人の働き方を支援してもらっても、使いにくい人材扱いになるばかりです。本人支援だけ では限界なのです。ですから、次世代を育む働き方をしている企業が得をする仕組みのため に負担率に差をつけていただきたい。それにより、強い推進力を持って社会環境をまるごと 子育てしやすい国に変えていくことを提案します

◎資料11 新浪 構成員提出資料
こどもは日本にとっての宝であり、こどもが増えることは日本の経済社会の活力 となる。だからこそ、若い世代が気持ち良く子育てのできる国にすることが重要 であり、男女ともに子育てしながら正規雇用にて活躍いただける働き方改革や、 住宅支援含め安心して子育てできる環境整備などの「こども・子育て政策」は、 国家の最優先事項として取り組むべきもの。こうした前提のもと、安定的な財源 を確保するための議論に関連して、以下のとおり意見を申し上げる。

(1) こども・子育て政策の KPI 明確化→最優先事項として、こども・子育て政策にし
っかりと財源を振り向けるべきで あることに議論の余地はないが、その前提として、各施策の効果は丁寧に見て いくべき。 効果検証のためには、まず、政策全体の成否を測る指標の明確化が不可欠だが、 「加速化プラン」では、少子化トレンドの反転という以上には政策の目標が明 確にされていないように見受けられる。第一に、議論の土台として、こども・子育て政策が目標とするKPIの明確化が 必要ではないか。
(2)メリハリのある支援→追加的な負担に対して理解を得るためには、KPI に照らして効果の高い施策に メリハリを持って財源投入することが不可欠ではないか。 児童手当など、従来から実施されてきている施策については、これまでの効果 検証と反省から行うとともに、「加速化プラン」の各施策について、必要とな る予算規模、KPI の改善・向上に期待される効果を改めて示すべき。 政策効果を鑑みれば、児童手当の所得制限は、完全な撤廃ではなく、こどもの 数も考慮しつつ、適当なラインまで所得制限を引き上げることを検討すべきで あると考える。(明らかに児童手当を必要とされない高所得の方々への給付財 源を、低所得の方々に負担いただくのは本末転倒ではないか。)。高所得の方々に対しては、現金給付よりも働き方改革等の両立支援がより有効 であることも考えられる。現金給付、現物給付の適切な組み合わせが肝要。 施策開始後も、効果のモニター・検証を行い、効果が見込まれないものについ ては見直しをするといった体制を、今の段階から整備しておくことが必要では ないか。
(3)徹底した歳出改革→「受益と負担の見える化」は基本であり、具体的な仕組みを早急に考えるべき。 その上で、財源の確保にあたっては、歳入だけでなく歳出をセットで考える必 要があり、まずは徹底した歳出改革を行うべき。EBPMにより、一般会計における効果のない歳出を抜本的に見直すとともに、 規制改革によるイノベーションや技術革新も活用し、医療・介護保険制度改革(例:入院・外来の医療提供体制改革、薬価制度改革、後期高齢者医療患者負 担や介護保険利用者負担の見直し)、診療報酬の抑制、医療機関収支の適正化 等を行うことが必要。 ・具体的にどのように歳出改革を進めるのか、それにより全体としてどの程度の 歳出削減を見込むのか明確にした上で、経済財政諮問会議の経済・財政一体改 革推進委員会の枠組みを使い、その進捗をモニターすることが必要。
(4)追加財源確保の考え方→「加速化プラン」は早急に開始すべきである一方、財源確保の手段によっては 時間を要するものもある。歳出改革を行った上でなお不足するこども政策の財 源の確保については、短期と中長期に分けて考えるべきではないか。短期的には、足下、インフレや円安の影響もあり税収が上振れしていることか ら、税収の見込みを示した上で、上振れ分をこども政策に充てることを検討すべき。それでも不足する短期財源については、子育ての主役である現役世代に 負担が偏ることがないよう配慮し、国有資産の売却益などによる財源確保も考 えるべき。 中長期的には、現世代から将来世代へとつなぐ意味において、相続税の一部を こども政策の財源とすることも検討すべき。中長期的な安定財源の確保の在り 方については、継続議論が必要ではないか。 (以 上)

次回は新たに「第7回 新しい時代の働き方に関する研究会」からです。

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