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第10回「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」 [2022年12月31日(Sat)]
第10回「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」(令和4年12月19日)
≪議題≫(1)精神障害の労災認定の基準について (2)その他
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29878.html
◎【資料1】第 10 回における論点
1 業務による心理的負荷評価表の検討
(1)「具体的出来事」の類型D〜Fに関して、「強」「中」「弱」と判断する具 体例や総合評価の視点について、どのような内容を示すべきか。
→これまで検討してきた「具体的出来事」の内容やその考え方、これまでの裁判例、 裁決例等を踏まえ、「強」「中」「弱」と判断する具体例や総合評価の視点について、 決定事例等を踏まえ、追記、修正等すべき事項として、どのようなものがあるか。

2 発病の有無、発病時期
(1)発病の有無について、どのような状態を精神障害の発病というかの判断 が適切になされるために、どのような事項に留意すべきか。
→発病の有無等については、対象疾病を踏まえ、現時点においては「ICD−10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン」に基づき判断される。 精神障害の治療歴のない自殺事案の発病の有無の判断に当たり、どのような事項に 留意すべきか。 他の精神障害を有する者の発病の有無の判断に当たり、どのような事項に留意すべ きか。
(2)発病の時期について、どの時点を精神障害の発病というかの判断が適切 になされるために、どのような事項に留意すべきか。 特に、どの時点で診断基準を満たしたのかの特定が困難な場合につい て、どのように考えるべきか。→発病時期については特定が難しい場合があるが、そのような場合にも、出来事との 関係、自殺事案については自殺日との関係等を踏まえ、できる限り時期の範囲を絞り 込んだ医学意見を求めて判断するほかないのではないか。

3 精神障害の悪化及び個体側要因による発病
(1)精神障害の悪化について、どのような状態を精神障害の悪化というかの 判断が適切になされるために、どのような事項に留意すべきか。
→「悪化」とされる状況を具体的に示すことが可能か。就労できていたができなくなった場合、自殺に至った場合などについて、悪化と考えることができるか。個別事案 ごとに医学専門家による判断が必要と整理してよいか。  症状の変化が生じる前の状況が、一定期間、通院・服薬を継続しているものの、症 状がなく、または安定していた状態で、通常の勤務を行っていた者の事案について は、ここでいう「発病後の悪化」の問題としてではなく、「症状が改善し安定した状 態が一定期間継続した後の新たな発病」として、通常の認定要件に照らして判断すべ きものが少なくないのではないか。
(2)精神障害が悪化した場合の業務起因性について、既に精神障害を発病し て治療が必要な状態にある者は、病的状態に起因した思考からささいな心 理的負荷に過大に反応すること等も踏まえつつ、そのような個体側要因の 状況と業務による強い心理的負荷との関係等についてどのように考えるべ きか。 →個体側要因(治療が必要な状態にある精神障害)の状況及び業務による強い心理的 負荷の状況は事案により様々、これらの状況を個別に医学的に検討する ことについてどのように考えるか。
(3)業務による強い心理的負荷が認められる事案であって個体側要因によっ て発病したことが医学的に見て明らかな場合を例示することについて、ど のように考えるか。→「明らかな場合」の例示は困難ではないか。   丁寧な検討が必要な場合として、治療が必要な状態にある精神障害を有している場 合(悪化の場合)や、重度のアルコール依存状況がある場合などを例示することにつ いてどのように考えるか。

4 療養、治ゆ及び再発 ↓
(1)被災労働者の社会復帰に資するため、精神障害の療養等についてどのよ うな事項を示すことができるか。 ※ 治ゆ(症状固定)後であっても、一定の障害を残した場合には障害補償給付が、 後遺症状の増悪防止等のため長期間にわたり投薬等が必要とされる場合にはアフタ ーケアが実施される。 → 療養や治ゆ(症状固定)に関する考え方⇒より主治医等の理解を深めるた めに、どのような事項を示すことが適当か。 被災労働者の社会復帰の促進の観点から、長期療養者の増加は大きな課題であり、 療養を継続しながら就労することが可能と医師が認める者⇒社会復帰を推 進する体制整備が重要ではないか。 あわせて、療養期間の目安について、あらかじめ被災労働者や主治医に示しておく ことは、被災労働者等が療養の見通しを立て、円滑な社会復帰を促進するために重要 ではないか。
(2)対象疾病がいったん治ゆ(症状固定)した後において再びその治療が必 要な状態が生じた場合は、新たな発病と取り扱い、改めて認定要件に基づき業務上外を判断することについて、医学的知見の状況等を踏まえ、妥当 なものと考えてよいか。

○業務による心理的負荷評価表に係る出来事の追加・修正・削除(たたき台)→D〜Fの現行、 改正案あり。
○業務による心理的負荷評価表に係る「強」「中」「弱」の具体例及び総合評価の視点(D〜Fのたたき台)→心理的負荷の強度、心理的負荷の総合評価の視点、心理的負荷の強度を「弱」「中」「強」と判断する具体例、あり。

○認定基準の検証に係る具体的な論点(たたき台)2 発病の有無、発病時期→具体的な論点、参考事項あり。
○認定基準の検証に係る具体的な論点(たたき台)3 精神障害の悪化及び個体側要因による発病
→具体的な論点、参考事項あり。 B 精神障害が悪化した場合の業務起因性について裁判例あり。↓
・悪化等に関する裁判例に係る時系列→「B30 (H28.12.1名古屋高裁) ※ 発病から自殺まで約6か月」「B40 (H30.10.16札幌高裁) ※ 発病から自殺まで約8年7か月」「追加(R4.3.18福岡地裁) ※ 発病から本件休業まで約4年」「B18(H26.9.17東京地裁) ※ 発病から自殺まで約3年2か月」
○認定基準の検証に係る具体的な論点(たたき台)4 療養、治ゆ及び再発→具体的な論点、参考事項あり。現行認定基準:第7療養及び治ゆ→(略)対象疾病がいったん治ゆ(症状固定)した後において再びその治療が必要な 状態が生じた場合は、新たな発病と取り扱い、改めて上記第2の認定要件に基づき業 務上外を判断する。

○非器質性精神障害の障害認定@AB↓
1.非器質性精神障害の後遺障害 非器質性精神障害(脳の器質的損傷を伴わない精神障害)の後遺障害が存しているというためには、以下のaの精神症状のうち1つ以上 の精神症状を残し、かつ、bの能力に関する項目のうち1つ以上の能力について障害が認められることを要すること。→a 精神症状(6滋養たいあり。)  b 能力に関する判断項目(8項目あり。)
2.就労意欲の低下等による区分→ a 就労している者又は就労の意欲のある者 b 就労意欲の低下又は欠落により就労していない者
3.障害の程度に応じた認定: 非器質性精神障害は、次の3段階に区分して認定する。→a〜c参照。a →例:「対人業務につけない」ことによる職種制限が認められる場合。 b→例:「職種制限は認められないが、就労に当たりかなりの配慮が必要である」場合。 c→例:「職種制限は認められないが、就労に当たり多少の配慮が必要である」場合。
4.重い症状を残している者の治ゆの判断等→重い症状を有している者(判断項目のうち@の能力が失われている者又は判断項目のうちA〜Gのいずれか2以上の能力が失われてい る者)については、非器質性精神障害の特質上症状の改善が見込まれることから、症状に大きな改善が認められない状態に一時的に達し た場合であっても、原則として療養を継続することとなる。 ただし、療養を継続して十分な治療を行ってもなお症状に改善の見込みがないと判断され、症状が固定しているときには、治ゆの状態 にあるものとし、障害等級を認定することとなる。 なお、その場合の障害等級の認定は本認定基準によらずに、個別に検討し、障害の程度を踏まえて認定することとなる。
注1 非器質性精神障害については、症状が重篤であっても将来において大幅に症状の改善する可能性が十分にあるという特質がある。 注2 業務による心理的負荷を原因とする非器質性精神障害は、業務による心理的負荷を取り除き、適切な治療を行えば、多くの場合概ね半年〜1年、 長くても2〜3年の治療により完治するのが一般的であって、業務に支障の出るような後遺症状を残すケースは少なく、障害を残した場合においても 各種の日常生活動作がかなりの程度ででき、一定の就労が可能となる程度以上に症状がよくなるのが通常である。

○「精神・神経の障害認定に関する専門検討会報告書」(平成15 年6月)(抄)
→業務による心理的負荷を原因とする非器質性精神障害は、業務による心理的負荷を取り除き、適切な治療を行えば、 多くの場合概ね半年〜1年、長くても2〜3年の治療により完治するのが一般的であって、業務に支障の出るような 後遺障害を残すケースは少ない。 しかし、症例によっては個体側要因も関係して2〜3年の治療によっては完治に至らず症状が改善しないまま推移 することもまれにはある。 こうした非器質性精神障害の後遺障害の障害認定の時期、すなわち治ゆ(医学上一般に承認された治療方法をもっ てしても、その効果がそれ以上期待し得ない状態で、かつ、残存する症状が自然的経過によって到達すると認められ る最終の状態)とする時期をいつの時点におくべきかであるが、原則として各種の日常生活動作がかなりの程度でき、 一定の就労が可能となる程度以上に症状がよくなった時期、換言すれば、もとの仕事に復帰できる場合はもとより、 職種制限が相当な程度あるためにもとの仕事には復帰できないが他の仕事には就き得る程度に症状が良くなった時期 とすべきである。 ただし、上記の一般的・平均的な療養期間を大幅に超えて療養してもなお、それ以上症状に改善の見込みがないと 判断される場合であって、意欲の低下等により就労がかなわないものの日常生活はかなりの程度できる状態にまで回 復している場合には、就労がかなわなくてもその時期を治ゆ(症状固定)と判断し、後遺症状について障害認定すべきである。 なお、後述する各種の日常生活動作に係る複数の判断項目にわたって「できない」と評価される等非器質性精神障 害による症状が重篤で、日常生活にも大きな支障が生じ、療養が必要と認められる場合には、非器質性精神障害の特 質上、なお将来において大幅に症状が改善する可能性が十分にあること等から、慎重に治ゆか否かを見極めるととも に、必要に応じて療養を継続すべきである。
○アフターケア制度の概要↓
1.対象疾病
→ アフターケアは、傷病が症状固定(治ゆ)した後における保健上の措置として、次に掲げる20傷病について、 1か月に1回程度の診察、保健指導及び検査等一定の範囲内で必要な措置を行うもの。⇒精神障害も。
2.対象者→ アフターケアの対象者は、業務災害又は通勤災害により被災した者で、症状が固定した後においても、後遺症状に動揺をき たしたり、後遺障害に付随する疾病を発症させるおそれがある者である。その他の要件については、傷病別アフターケアに定 めるところによる。
○精神障害のアフターケア↓
1.趣旨
→業務による心理的負荷(通勤災害に伴う心理的負荷を含む。)を原因として精神障害を発病した者は、症状固定後においてもその後遺症状について増悪の予防その他の医学的措置を必要とすることから、アフターケアを行う。
2.対象者→業務による心理的負荷(通勤災害に伴う心理的負荷を含む。)を原因として精神障害を発病した者で、労災保険法による療養 補償給付を受けて、この精神障害が症状固定した者のうち、次の@〜Cに掲げる後遺症状によって、医学的に早期にアフター ケアの実施が必要であると認められる者。 @ 気分の障害(抑うつ、不安等) B 慢性化した幻覚性の障害又は慢性化した妄想性の障害 A 意欲の障害(低下等) C 記憶の障害又は知的能力の障害
3.措置範囲
(1) 診察 ・・・原則として1か月に1回程度
(2) 保健指導 ・・・診察の都度
(3) 保健のための処置↓
ア 精神療法及びカウンセリングの実施→(ア) 後遺症状として気分の障害又は慢性化した幻覚性の障害若しくは慢性化した妄想性の障害があると認められる者については、診察の 都度、必要に応じて専門の医師による精神療法及びカウンセリングを行うことができる。 (イ) アフターケアとして実施する精神療法及びカウンセリングは治療ではなく、後遺症状の増悪を防止するための保健上の措置であること から、その処置内容については、生活指導に重点を置いたものとする。
イ 薬剤の支給→ @ 向精神薬 A 神経系機能賦活薬
(4) 検査→@ 心理検査 A 脳波検査、CT、MRI検査(1年に2回程度)、B 末梢血液一般・生化学的検査( 向精神薬を使用している場合に、1年に2回程度)


◎【資料2】論点に関する労災補償状況 ↓
1 精神障害(自殺)の労災認定事案の解析
→労働安全衛生総合研究所「令和2年度過労死等の実態解明と防止対策に関 する総合的な労働安全衛生研究」 ⇒表1 基礎的項目(497名、男 479 (96.4)・ 女 18 (3.6))、表2 業種と職種の内訳(専門的・技術者175 (35.2)が多い。)、表4 認定時疾患名・当該疾病に関する医療機関受診状況(F30-F39 気分(感情)障害 453 (91.1が多い。)、表7 当該疾病に関する精神科等の医療機関受診状況と各要因の関連(医療,福祉 45.5%3lあり。) それぞれ参照のこと。
2 発病後の悪化に係る精神障害の労災補償状況 →(1)支給決定件数 (2)業務による強い心理的負荷があったと判断したが、「特別な出来事」が認められないとして不支給とした件数   参照。

3 精神障害に係る長期療養者の状況 →(1)精神障害による長期療養者数 (2)長期療養者全体に占める精神障害の割合の推移 (3)令和2年度の長期療養者の状況(前年度と比べて増加している。)
4 精神障害によるアフターケア実施状況→R2年度末、7,504件・ 71,811,842円

次回も続き「【資料3】論点に関する医学的知見」からです。

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