社会保障審議会年金事業管理部会資料(第64回) [2022年12月19日(Mon)]
社会保障審議会年金事業管理部会資料(第64回)(令和4年12月13日)
≪議事≫(1)日本年金機構の令和4年度の取組状況について https://www.mhlw.go.jp/stf/kanribukai-siryo64_00001.html ◎資料2−1 新たな年金業務システムの構築(「刷新プロジェクト」)について ○刷新「フェーズ2」とは→公的年金業務の基幹システムは、記録管理システム、基礎年金番号管理システム、年金給付システムに大別されるが、現在、このう ち記録管理システム及び基礎年金番号管理システムを刷新し、年金業務システムを構築するプロジェクトに取り組んでいる。 本プロジェクトにおける開発については段階的に進めることとしており、平成29年よりマイナンバー情報等との連携による届出・添 付書類の省略、各種届出のデジタル化・データ化による内部処理の効率化といった、国民の手続の軽減、事務処理の効率化に資する対 応を先行稼働(フェーズ1)し、順次対象の拡大に取り組んでいる。 今後、「フェーズ2」として、年金業務システムの中核部分を構築する大規模なシステム開発及び現行システムからの移行に着手す ることとしている。 ○経緯→社会保険庁時代の平成18年に公的年金業務の業務・システム最適化計画が策定され、この計画に基づき刷新プロジェクトを進めてきたが、年金記録問題(平成19年)や日本年金機構の創設(平成22年)等により、プロジェクトの中断や見直しなどが生じてきた。 その後、前述のとおり平成29年よりフェーズ1部分を先行稼働させた上で、フェーズ2については、同年2月の事業者に対する情報提供依頼(RFI)を行ったが、その際様々な意見が寄せられた。 これを踏まえ、業務プロセスの点検(平成30年)やマルチベンダ型による開発作業の試行(令和2年)等の準備行為を実施した上で、 令和3年度より情報提供依頼(RFI)手続の下で多くの事業者と技術的対話を実施し、のべ80回以上の対話を重ねてきた。 この中で、国内最大級の開発規模が見込まれること、また、官民の他の大規模システム開発が実施中又は計画中である中で、IT人材 需要の逼迫が見込まれることが明らかになり、政府最大級の公的年金システムの移行を安全・確実に進めていくため、情報セキュリ ティ・システム専門委員会をはじめ、様々な有識者や関係機関の助言もいただきながら、厚生労働省年金局・日本年金機構において開 発の妥当性・実現可能性を高めるとともに、リスクを抑制する方策の検討を行ってきた。※ 上記の取組を通じて、厚生労働省年金局・日本年金機構の発注者としての能力・体制の強化がなされてきたものと考えている。 ○フェーズ2の意義・内容→刷新プロジェクトの対象となる現行の記録管理システム、基礎年金番号管理システムにおいては、現在、以下のような問題が生じている。 @ 年金記録が制度別・事務所別での管理となり複雑化している A 厚生労働省・日本年金機構による発注者主導が十分発揮されておらず、特定の事業者への過度の依存状態が続いてきた中で、シス テムの中核部分の著作権が事業者に帰属するとともに、事業者の独自性が強いコンピュータ(メインフレーム※)が導入されている など、システム開発に他の事業者の参入が困難な状況(ベンダロックイン)が生じている ※ メインフレームについては、国内の複数社より事業からの撤退が発表され、供給できる事業者が限られてきている これらの問題点について、フェーズ2においては、以下のような取組を講じる。 @について、記録管理の適正化・一層の正確性の確保を行うため、データベース構造の見直しを行い、個人別の年金記録管理とする Aについて、公平性(参入機会)を確保した仕組みを整備し、発注者によるITガバナンスを確立するため、広く事業者が対応可能な オープンな製品(サーバ)や開発言語とするほか、発注者によって設計・開発の標準的な方法を示すとともに、設計書やプログラムの 著作権を国に帰属させる ○今後のフェーズ2の進め方→フェーズ2については、政府最大級の公的年金システムの移行を安全・確実に進めていく観点から、これまで検討してきた開発の妥 当性・実現可能性を踏まえ、下記のとおり進めていく。↓ ・システムの土台となるデータベース構築とオープンなシステムへの転換を優先して開発を進める ・ 新たなプログラムの開発により生じ得るリスクを低減させるため、現行システム資産も活用(既存プログラムロジックを変更せず、 プログラム言語の置換えによる開発)しながら開発を進める ・ 開発は発注者及び事業者で一体的な対応が取れるよう、担当を明確化するとともに、経営層を含め重要事項の調整・変更対応に迅 速に対応できる体制を整備する ・ 標準的に開発に必要な期間を考慮し、プロジェクト憲章T及びWの稼働時期については、令和11年1月を目指すこととするが、何よりも国民の年金記録を安全かつ確実に移行させることを最優先として対応する。このため、開発の進捗や品質等を適切に管理し、 仮に開発が順調に進まなかった場合に備え、稼働時期や開発方法の見直しも含めた安全・確実なシステム稼働を図るための見直し方 策を重層的に用意しながら進める ・ 今後、プロジェクト憲章及び「今後の業務・システム刷新プロジェクトの進め方について」に沿って刷新プロジェクトの計画を策定し、開発の進捗や品質等を確認し、工程ごとに完了を判定しながら進めるなど適切に管理するとともに、他の大規模開発の事例も 参考にしつつ、開発に関わらない外部有識者の視点からの助言をいただきながら進める ◎資料2−2 今後の業務・システム刷新プロジェクトの進め方について ↓ 業務・システム刷新プロジェクト→これまで、「業務・システム刷新プロ ジェクト憲章」(平成 30 年 12 月、令和元年 12 月改定。以下「プロジェクト憲章」)において整理された基本的考え方に沿って取組を進めてきた。 本プロジェクトにおける開発については段階的に進めることとしており、平成 29 年 よりフェーズ1として、マイナンバー情報等との連携による届出・添付書類の省略、各種届出のデジタル化・データ化による内部処理の効率化といった、国民の手続の軽減、 事務処理の効率化に資する対応を先行稼働し、順次対象の拡大に取り組んでいる。 また、フェーズ2については、その意義・内容については下記1のとおりであるが、 これまでに業務プロセスの点検(平成 30 年)やマルチベンダ型による開発作業の試行(令和2年)等の準備行為を実施した上で、令和3年度より情報提供依頼(RFI)手続 の下で多くの事業者と技術的対話を実施し、のべ 80 回以上の対話を重ねてきた。 この中で、国内最大級の開発規模が見込まれること、また、官民の他の大規模システム開発が実施中又は計画中である中で、IT 人材需要の逼迫が見込まれることが明らか になり、政府最大級の公的年金システムの移行を安全・確実に進めていくため、情報セ キュリティ・システム専門委員会をはじめ、様々な有識者や関係機関の助言もいただき ながら、厚生労働省年金局・日本年金機構において開発の妥当性・実現可能性を高める とともに、リスクを抑制する方策の検討を行ってきた。 また、上記の取組を通じて、厚生労働省年金局・日本年金機構の発注者としての能力・ 体制の強化がなされてきたものと考えている。 プロジェクト憲章で明確にした刷新プロジェクトの基本的な方針、主要事項等につい ては現時点においても変更はないが、今般、これまでの取組を踏まえ、今後の本格開発 の着手に向けて、改めてフェーズ2の意義・内容について示すとともに、その進め方に ついて整理を行うこととする。↓ 1 フェーズ2の意義・内容→刷新プロジェクトの対象となる現行の記録管理システム、基礎年金番号管理システム⇒現在、以下のような問題が生じている。 @ 年金記録が制度別・事務所別での管理となり複雑化している A 厚生労働省・日本年金機構による発注者主導が十分発揮されておらず、特定の事 業者への過度な依存状態が続いてきた中で、システムの中核部分の著作権が事業者 に帰属するとともに、事業者の独自性が強いコンピュータ(メインフレーム※)が 導入されているなど、システム開発に他の事業者の参入が困難な状況(ベンダロッ クイン)が生じている。 ※ メインフレーム⇒国内の複数社より事業からの撤退が発表され、供給できる 事業者が限られてきている 。 これらの問題点について、フェーズ2においては、以下のような取組を講じる。 @について、記録管理の適正化・一層の正確性の確保を行うため、データベース構造 の見直しを行い、個人別の年金記録管理とする Aについて、公平性(参入機会)を確保した仕組みを整備し、発注者による IT ガバ ナンスを確立するため、広く事業者が対応可能なオープンな製品(サーバ)や開発言 語を利用したシステムとするほか、発注者によって設計・開発の標準的な方法を示す とともに、設計書やプログラムの著作権を国に帰属させる 2 今後のフェーズ2の進め方→ フェーズ2については、政府最大級の公的年金システムの移行を安全・確実に進め ていく観点から、これまで検討してきた開発の妥当性・実現可能性を踏まえ、下記の とおり進めていく。 ↓ ・ システムの土台となるデータベース構築とオープンなシステムへの転換を優先 して開発を進める ・ 新たなプログラムの開発により生じ得るリスクを低減させるため、現行システム 資産も活用(既存プログラムロジックを変更せず、プログラム言語の置換えによる 開発)しながら開発を進める ・ 開発は発注者及び事業者で一体的な対応が取れるよう、担当を明確化するととも に、経営層を含め重要事項の調整・変更対応に迅速に対応できる体制を整備する ・ 標準的に開発に必要な期間を考慮し、プロジェクト憲章T及びWの稼働時期につ いては、令和 11 年1月を目指すこととするが、何よりも国民の年金記録を安全かつ確実に移行させることを最優先として対応する。このため、開発の進捗や品質等 を適切に管理し、仮に開発が順調に進まなかった場合に備え、稼働時期や開発方法 の見直しも含めた安全・確実なシステム稼働を図るための見直し方策を重層的に用 意しながら進める ・ 今後、プロジェクト憲章及び本文書に沿って刷新プロジェクトの計画を策定し、 開発の進捗や品質等を確認し、工程ごとに完了を判定しながら進めるなど適切に管 理するとともに、他の大規模開発の事例も参考にしつつ、開発に関わらない外部有 識者の視点からの助言をいただきながら進める。 ◎資料2−3 情報セキュリティ・システム専門委員会における議論の状況 10 月 11 日→第 17 回 情報セキュリティ・システム専門委員会(フェーズ2の現在の状況、開発の方向性について議論 ) 10 月 18 日→委員視察(日本年金機構刷新プロジェクト推進室等の視察) 10 月 21 日→委員勉強会 ・委員会等における指摘事項に関する説明に対する議論 11 月2日→ 委員勉強会 ・委員会等における指摘事項に関する説明に対する議論 12 月7日→ 第 18 回 情報セキュリティ・システム専門委員会(今後の業務・システム刷新プロジェクトの進め方について。部会へ報告する専門委員会における議論の内容の整理)。○専門委員会における議論・指摘事項等について→以下の事項について、専門委員会(勉強会を含む)において、議論を行った。 (議論された事項)→フェーズ2の開発方針等について(フェーズ2の開発方針、開発内容・手法等について)。想定されるリスクと対応策について(技術的対話において事業者から指摘されたリスクと対応策について、現新一致検証の具体的な方法について、データベースの構造の見直しに伴う性能懸念への対応について、データベースの構造の見直しを行う際の開発方法について。保守・運用面の効率化策について。開発準備工程の成果、課題、対応状況について。開発体制について(発注者体制について、リスクが生じた場合等への対応などの体制について、開発に際して使用するツールについて、フェーズ1の振り返りとそれを踏まえたプロジェクト管理について)。 開発中のセキュリティ体制について 上記議論の中で以下のような指摘があった。開発を進めるに当たっては、厚生労働省年金局・日本年金機構において、指摘事項を十分に考慮し、必要な対応を行うこととする。 ・リスク対応について、リスク発生時の調整・変更対応に迅速・柔軟に対応できるよう準備すること ・ 開発体制について、フェーズ1の教訓や開発準備工程の結果などこれまでの取組結果も取り入れるほか、他の大規模開発の事例も参考として整備すること ・ 大規模開発であることを踏まえ、十分なテスト期間・工期を確保すること ・ 開発を進める際、進捗や品質等を適切に管理するとともに、開発に関わらない外部有識者の視点からの助言も踏まえながら進めること。 ○社会保障審議会年金事業管理部会 情報セキュリティ・システム専門委員会 ・ 委員名簿→5名。 次回も続き「参考資料 業務・システム刷新プロジェクト憲章【第U版】」からです。 |