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第2回「強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会(オンライン開催)」資料 [2022年11月09日(Wed)]
第2回「強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会(オンライン開催)」資料(令和4年10月24日)
≪議事≫ (1)強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する実践報告 (2)その他
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28724.html
◎実践報告5福岡市における 強度行動障がいへの取り組みについて〜 集中支援及び移行支援の現状と課題 〜
福岡市社会福祉事業団 障がい者地域生活・行動支援センターか〜む  森口 哲也

@ 福岡市における 強度行動障がいへの取り組み

○か〜む設立までの取り組み経緯→2004(H16)県の立ち入り調査 ⇒入所施設職員の暴行事件。 2005(H17)→利用者の親たちが市長に対して陳情書の提出、市議会にて実態把握と早急な支援体制の整備について質疑⇒福岡市強度行動障がい者支援調査研究会 設置へ。
・福岡市強度行動障がい者支援事業→【平成27年度〜】⇒障がい者行動支援センターか〜む 平成27年5月1日から受入れ開始
○福岡市強度行動障がい者支援研修会→【1日目】講義・効果測定、受け入れ時のプログラム作成⇒⇒⇒・・・・【 6日目】フォローアップ研修(事例検討会)まで。参照。
○強度行動障がい者共同支援事業の概要→「共同支援事業とは」「R4年度【共同支援の概要図】」参照。⇒事業所が共同支援をする。
○集中支援から移行支援〜そして地域生活に向けて〜→@〜C⇒先ずは中間・一般のグループホームへ⇒地域全体で支援することを目指す!
○強度行動障がいに対するネットワークの状況→協働連携⇒他事業所と連携した 実践の積み上げ!

A 強度行動障がい者 集中支援事業について
○障がい者地域生活・行動支援センター か〜むの事業について→職員体制⇒共同生活援助 (集中・移行型)→管理者:1名/所長:1名(サービス管理責任者)/生活支援員:9名/夜 勤支援員:1名(常勤換算)/世話人:1名(常勤換算)/事務員。 緊急受け入れ 緊急対応コーディネー ター:1名(※直接支援は生活支援員が対応)
○強度行動障がい者集中支援事業について→集中支援事業とは1〜3参照。⇒地域(他事業所)への移行を目指す! 「定員:2名、利用期間3か月、 職員:利用者は1:1対応。
○支援に対する考え方と取り組みの方向性→@支援の原則(障がい特性の理解・行動の意味の理解・QOLの向上) A支援の継続・改善(PDCA サイクル)  B支援の方向性(T.信頼関係の回復 安心感の獲得 U.情動・行動の整理 V.生活を整える W.QOLの向上 地域生活への 移行・継)
○か〜むにおける集中支援〜移行支援の流れ→@利用者選定➜A受入準備➜約1か月B集中支援➜約3か月C移行支援 参照。
○集中支援・移行型GHからの移行支援について→「か〜む(集中支援・移行型GH)」を中心として地域移行を図る。
○集中支援から地域移行に至るまでのイメージ 〜 か〜む利用前後の生活状況の比較 〜→「か〜む利用前」「か〜む利用中(約半年)」「か〜む利用後」参照。
○利用の概要及び利用状況について→各利用者における集中支援及び移行型GHの利用年数
○か〜む利用後の移行実績→利用者@〜Oまで 参照。
○か〜むを支える外部組織→「福岡市強度行動障がい者支援調査研究会」「福岡市強度行動障がい者支援拠点運営協議会」⇒各役割についてはそれぞれ参照のこと。

Bか〜むの実践から見えてきた課題
1)職員に対する支援の考え方等の共有
⇒エビデンスに基づいた支援の定着⇔事業所理念とも関係?
⇒権限のあるマネージャーの育成と徹底したOJTの実施。
2)継続して支援し続けることができる支援環境作り
⇒支援者ケアの充実(つらい、怖い、不安への手当)。
⇒SV体制、建物の工夫、ゆとりある職員体制など⇔虐待リスク
3)集中支援事業及び移行型GH利用の長期化
⇒何をもって「改善した」とするのか?=ゴール設定の難しさ。
⇒標準的なサービスへの適応や汎化は相当な時間がかかる。
4)受け入れ先事業所の拡大
⇒新規事業所の方が受け入れがよい!?・・・住まいの場を どう増やすか?
⇒個別給付の加算だけでなく包括的な事業運営モデルが必要か!?
⇒特性に応じた建物の工夫・ゆとりある人員配置等の制度化。
⇒他サービスとの組み合わせを可能にすることで事業所負担を軽減。
5)予防支援のあり方
⇒就学前から学齢期にかけて切れ目のない支援体制の構築。
⇒家族支援の重要性・・・相談支援の役割か? 学校の連携は?


◎実践報告6-1著しい行動障害のある方々への新たな支援策(イメージ)↓
○短期の利用により、環境調整、アセスメント、移行の実現等のため⇒行動障害生活支援センター(仮称)試案。
○著しい行動障害新たな住まう場「ユニット・ホーム(仮称)」〜「小規模ユニット(5 人程度)を複数で構成。」「利用者は、著しい行動障害(行動関連項目 15 点以上)のある方とする。」「年齢は、50 歳程度までとする。(この年齢を超えると認知症等の別の問題が生じる)」「職員配置基準は、利用者 1 人に対して支援スタッフ 1 人の配置とする。 また、ユニット・ホーム(2ユニット以上)にサービス管理責任者、看護師を別途配置する。 (4ユニットまで)」「支援スタッフの資格要件は、保育士、社会福祉士、公認心理士、特別支援教育を専攻した者等。」



◎実践報告6-2 「著しい行動障害のある方々への新たな支援策の構築に向けて」 (中間整理) 令和 2 年度・3 年度 公益財団法人 日本知的障害者福祉協会 【著しい行動障害への対応に関する検討委員会】報告↓
はじめに
第1 特別委員会体制等
→1.特別委員会体制 2.委員会開催経過 3.実施した調査
第2 調査票調査の結果概要 1.調査票提出状況 2.著しい行動障害のある利用者数 3.施設の外形的な状況  4.運用面の状況 5.施設・事業所を利用する著しい行動障害のある方の状況 6.設備環境面における構造化への配慮や工夫 7.医療機関との連携等 8.障害児入所施設と特別支援学校との連携等

第3 著しい行動障害のある方々への新たな支援策の構築に向けて ― 調査報告のまとめに変えて―→この調査は、会員施設・事業所 4,656 か所に調査票を送付し 50.1%の回収率で 2,332 施設・事業所からの回答。所属する利用者は、94,887 人で、 そのうち 26,160 人が著しい行動障害に該当し、行動関連項目点数の該当点数等 の詳細が把握できたのは 13,587 人。 著しい行動障害のある方々をまん中に据えて、施設・事業所の状況を多様な視 点から分析を行い、次のような課題を洗い出した。↓
○今回調査で把握できた著しい行動障害のある方々→26,160 人、厚生労働省が把握する国民健康保険団体連合会デ ータ(令和 2 年 10 月時点)の重度障害者支援加算(U)の算定人数は、障害者支援施設が 19,750 人、生活介護事業所が 11,597 人であるので、障害者支 援施設では国民健康保険団体連合会データの 81.2%、生活介護事業は 37.1% の人数が把握できたことになる。
○障害者支援施設の所在する場→郊外、山間部等に立地するものが過半数ある。
○小規模ユニット等の少人数体制の確保が急務だが、10 名 定員以下は 10%に満たない。
○強度行動障害者支援者養成研修の受講→障害支援施設⇒62%の支援員が受講終了、研修の成果があると 56%の施設が評価。残りの 44%の施設が研修効果に懐疑的である。
○著しい行動障害にある方の受け入れが多くなるに従い→生活・日中活動空間における環境的な配慮の施設整備や安全面に配慮した 整備を行う施設が増加。その一方で、退職者のある施設・事業所が増加。また、偶発的な受傷がある施設・事業所が増加。さらには、窓を自在に開けられない部屋の外鍵の設置施設の増加。障害者支援施設で起きる転倒・転落、自傷行為、器物破損等 60 名〜99 名規模の施設での発生数が多くなっている。
○支援員等への特別の配慮を行う施設・事業所がそうでない施設よりも退職者の出る確率が高まり、障害者支援施設の職員配置の現状⇒見せかけ上では利用者に対して支援 員等の割合が2:1だが日中活動後から就床前の時間帯では 9.3:1。 共同生活援助事業→見せかけ上では 1.3:1だが日中活動後から就床前の時間帯では 6.1:1となる。なお、いずれの場合も最小限度の1:1での付き 添いが必要な人数は別途確保したと想定して計算。 行動関連項目点数が 15 点を超えると他者に危険を及ぼすような他害行為や著 しい物壊しなどが表出する割合が増加することにより、やむを得ず行動制限を行う場合がある。そのことが個別支援計画に記載される方の割合が増加。また、服薬する方の割合も増加。ここを境にして支援の難易度が 高まる傾向が見られる。障害のある子どもたちが生活する障害児入所施設は、児童福祉法の理念として家庭的養育を原則としつつ施設にて生活する場合でも少人数での生活単位 を基本とすることが定まっていることから、成人期においても著しい行動障 害のある方々の支援策についての提言とする。
○従来から15歳になると成人向けのサービスが利用できることとされており、 身体的にも体格が成人に近づくこととなり生活空間上も成人向けのサービス の利用がふさわしいと考えられることから、この提言では15歳以上が、その 対象としてふさわしいと考える。 〇特別委員会が設置されたこの 2 年間の中でも、地域で暮らす著しい行動障害 のある方が、受け入れ先がなくとても困っているとの報道がなされるなど、 障害福祉サービスを利用できない現状がある。また、既に障害福祉サービスを 利用しているがご本人、家族、事業者ともに行き詰った状況になっている事例 があると言われる。
以上のような課題を踏まえ以下を提案する。↓
1.著しい行動障害のある方々の住まいの場の在り方について
→ 著しい行動障害のある方々は、現行の障害福祉サービスでは障害者支援施設 又は共同生活援助事業所で暮らしている。今回の調査で様々な課題が浮き彫りになったことから、現行制度の枠組みにとらわれることなく、必要と考えられる 新たな「住まう場」について提言する。
○新たな「住まう場」について 障害者施設は、障害のある方を一つの施設に大勢集めて生活する「集団処遇」 の仕組みとして昭和の時代に築かれた。種々の改善が図られたものの「意思決定支援」という個人を中心に据えた生活の場への抜本的な改善には至らなかった ことが、今回の調査から見えてきた大きなポイント。一つ施設に多くの人 を集めて生活することは、様々な問題が生じることが容易に想像できる。ケガ、 事故、部屋の施錠、職員の退職等と、私たちが望む暮らしからどんどん遠ざかっ ている現状にある施設が多く見受けられる。 地域に著しい行動障害のある方々を受け入れる施設が少ないため、どうして も全国の各地域から入所依頼があるのが実情。そのため、職員も研修を積み、施設設備も整えて可能な限り受け入れを実施しているのであるが、この負のスパイラルから脱出できない現状が多くの施設でみられる。 そこで、支援の難易度が増す行動関連項目 15 点を超える方々を対象⇒新たな住まう場での生活へと導くことを提案したい。 現状を抜本的に改善するには、多くとも 5 人程度を限度とした小規模ユニッ トの住まいの場を創設し、支援員等の配置を概ね 1:1 。夜勤等の支援体 制を維持するためには小規模ユニット2つ以上を併せ持つこととして「新たな 住まう場」(ユニット・ホーム(仮称))として提案したい。 ○新たな住まう場の望ましい立地条件→障害者支援施設は人里離れたような場所に設置されている等と批判を受けることが多かった。このことは、設置の反対運動、土地の確保(予算、面積)等 の様々な悪条件がそろった結果であるとは言え、地域社会から孤立するような 地域での暮らしは望ましいものではない。 著しい行動障害のある方々は、聴覚や視覚の過敏、衝動的な行動、場にそぐわ ない大声、落ち着きのない行動等が見られることがあり、ある程度の静穏が確保 され、近隣との距離もあり、必要な時にはショッピングに出かけられ、また、医 療機関への通院もあること等も考慮した場所であることが望まれる。
その為には、整備費に重点整備期間等を設けての国庫補助の充実、住宅政策、 土地政策、農地政策との連携、税制上の優遇策を講じるなどの取組が必要である。
○必要な設備について→ゆとりある居室や共有部のスペースの確保、プライバシーが確保された居室やトイレ、浴室空間の確保。防音性能が高く、外部からの刺激の少ない居室空間の確保。スヌーズレンルーム等、落ち着けるスペース等の設置。わかりやすい動線や部屋の配置。壁や床、家具等は転倒時や衝動的な行動によるケガ等に配慮した材料を使用。内装は気分が落ち着く暖色系の色使いや反響音の少ない仕上げ材を使用。光源が直接見えない間接照明や照明器具が破損しないカバー等の設置。埋め込み型のテレビスペース又は天井埋め込みのプロジェクター等の設置。障害特性に配慮した照明スイッチやコンセント類の設置(設置位置の工夫や カバー付等)。 障害特性に配慮した衛生設備の設置(破損しにくいキッチン、便器、洗面器、 浴室等)。障害特性に配慮した避難器具等の設置。地域に開かれた共有部の計画(周囲の塀や柵を必要以上に高くしない)。その他安全に配慮した居住環境(居室、ダイニング、リビング、リネン室、 浴室等)。上記設備を適切に運用できる仕組みづくりやルールの設定。
○支援スタッフについて→職員配置基準は、著しい行動障害(行動関連項目 15 点以上)のある利用者 1 人に対して支援スタッフ 1 人の配置。また、ユニット・ホーム(2ユニ ット以上)にサービス管理責任者、看護師を別途配置する。(4ユニットまで)。資格要件は、保育士、社会福祉士、公認心理士、特別支援教育を専攻した者等。 研修⇒これまで築き上げられた基礎研修、実践研修の体系を強化することとあわせて、より実践的な研修を構築すること。また、外部からのコン サルテーションが受けられる仕組みや現場にスーパーバイズできる人材を育 成する仕組みが必要である。 ・福祉関係機関、学校、相談支援機関、医療機関(緊急時入院、服薬)等との調 整を担うソーシャルワーカーなど。

2.著しい行動障害のある方々の日中活動の場の在り方について↓
○障害者支援施設が行う生活介護事業についても活動の場の分離を明確にする。
○現行の生活介護事業を基礎として、次のような促進策を講じる。当委員会としても好事例の収集・提供を行う。⇒著しい行動障害のある方々の利用のない事業所にも設備費の補助により環 境整備を促進し、特定の事業所へ著しい行動障害のある方々が偏在する状況を 解消する。今回の調査においても個室やパーテーション等で区画されたスペ ースでの活動ができる環境を設定している事業所が多く見られるので、さら に少人数で支援が可能となるような小部屋の設置、可動式の仕切り、パーテーション等などにより個々人の状態に応じたスペースの設置を促す。 一部事業所で設置がされているスヌーズレンルームや空調設備などの完備さ れた単独個別スペース等の落ち着いて過ごせるルームの設置を促進し、そこで過ごすことも可能とする。
〇職員配置→効果的な支援を行うため1対1対応できる人的体制を強化する。 利用者の状態を適切に把握し、具体物、写真、カード等を活用して日中活動の 内容、量、時間等を丁寧に示して見通しをもって安定して活動できるように配 慮することや構造化のアイディアを活用した支援を行うようにする。
〇屋内での活動に関して→本人の趣向、好み、能力に十分配慮した自立課題を 活用して取り組むことも必要。屋外での活動→どんなに著しい行動障害があっても活動の中で、社 会的に貢献することができるという視点をもって支援することも重要である。

3.行き場のない著しい行動障害のある方々の地域支援のあり方について→施設・GH の生活になじめない方への支援について ↓
○地域での生活が限界に達しつつある方、これまで利用していた施設・事業所での支援に馴染めなかった方々(行動関連項目点数 15 点以上)が利用する ことを想定し、一人ひとりの利用者の障害特性を把握するためのアセスメン ト、一人ひとりにあわせた生活環境のアセスメント、ご本人の得意なこと、 好みを活かした生活スタイルの確立やコミュニケーション支援、それらを通 して生活に向けた取組みなどを模索するために一時的に利用(6 か月〜1 年 or2年程度まで)するアセスメント機能の役割を持った「行動障害生活支援セ ンター(仮称)」を、都道府県ごとに1か所を目途に新設する。
○利用人数→5 人〜10 人程度とし、日中・夜間を通した支援とアセスメン ト、関係機関の調整(医療を含む)、支援計画(案)の策定を行う。 住まいの場への移行支援(マネージメント)についても移行先の調整、環境 整備、フォローアップを行う。 支援スタッフは、日中の職員配置を 1 対1、早朝・夜間においても 1 対 1 の 配置とする。支援スタッフには、ソーシャルワーカー、看護師を含むものとする。退所後の地域定着を支援することを想定している。 居住空間⇒個室を前提として個々人の状態に応じて変更できる構 造を備える。日中活動の場→退所後に通所できることを前提とし、様々な活動のアセスメントにチャレンジできる自在な広さに変更可能な活動空間、防音性の高い個室、備品等を備える。

4.医療機関等へ長期入院する著しい行動障害のある方の退院支援を担うため の障害者サービスの在り方について
○国立病院機構の強度行動障害治療を行う療養介護病棟には 760 人(*1)の患者 が入院されており、専門治療によって地域移行が可能な方も出てきているが、 未だ受け皿は少ない。また、全国の医療機関(精神科病棟)にも判明している だけで約 1,000 人(*2)の行動障害を伴う知的・発達障害の長期入院患者がおられ、障害者支援施設等に移行が可能と目される方もおられることから「行動障害生活支援センター(仮称)」で受け入れ、調整・アセスメント等を経て障害者 支援施設等に移行する。 その一方で、障害者支援施設等において生活する著しい行動障害のある方が、 精神科医療が必要となった場合には「行動障害生活支援センター(仮称)」を経由 して入院先を決めるような仕組みを導入する。
以上を提案する。
5.まとめ→今回の実態調査で明らかとなったのは、著しい行動障害のある方々の支援に は、まず環境の改善が急務ということである。特に、居住系施設の建物設備環境(個室、ユニット、生活単位)、昼夜の分離、職員体制においては、1対 1 の対 応が必要な利用者割合と生活時間帯毎の人員配置が適正でないことが、結果として離職や労災事故の多発、大きな社会的問題にもなっている居室施錠等の身体拘束、後を絶たない施設従事者による虐待問題につながっているのではない かと考えられる。前述した、「行動障害生活支援センター(仮称)」構想の実現に は少なからず時間を要するが、現に全国には、様々な困難な環境の下で著しい行 動障害に苦しむ利用者に日夜向き合い支援にあたっている施設が存在する。現場で働く支援員の疲弊を一日も早く軽減するためにも、次期報酬改定において、 移行期の特例としてユニット化・個室率・人員配置の加配状況、昼夜分離の活動 等を暫定的な評価基準とした指針を示し、「行動障害生活支援センター(仮称)」の運営基準を準用できる柔軟な報酬構造を求めたい。

○最後に、実践報告6-1の「著しい行動障害のある方々への新たな支援策(イメージ)」がイメージとして図式化されている。


◎実践報告6-3京都式強度行動障害モデル事業実践報告
○京都式強度行動障害支援モデル事業概要
→集中的な支援で課題とされる行動の軽減を図り、障害状況に応じた支援の在り方を見出し、本人が主体となった地域生活の実現と継続を支援。一人一人が自尊心を取り戻し、生活の主体者として自己選択・自己決定ができるのだという自信と希望を持ってもらうことを目的する。⇒支援内容、支援対象者(3か月単位で)・支援体制の参照。その期間のプログラムもあり。
○2017年(平成29年)1事例→課題に対し仮説を立て検証、修正をして再検証へ。
・作業、夕食時の様子、余暇活動について視覚的にあり。
・<集中支援の振り返り>、<集中支援利用前後での変化>、<サービス利用後のフォローアップ>あり。⇒安定してきている。

○コンサルテーション事業概要→@案内A申し込みB選考・決定C契約・面談D動画・手順書提出Eコンサルテーション開始 参照。 (社会福祉法人京都ライフサポート協会)


◎実践報告6-4社会福祉法人京都ライフサポート協会 横手通り 43 番地「庵」 分棟型小規模個室ユニットと職住分離型障害者支援施設→ 定員40名(現員:39 名)。年齢:32〜75 歳(平均:全体 49.6 歳,男性 49.1 歳,女性 50.9 歳)。障害特性:〔行動関連項目得点(強度行動障害スコア)20 点以上:64%, 15〜19 点:33%, 10〜14 点:3%〕。区分6(全員)。短期入所:8 床。ユニット(タイプ1)平面図(1/200)あり。
○開設の経緯→ 開設当時、入所施設は1つの建物で 24 時間、365 日過ごすことが当たり前であったが、入居者の生活の質を最大限高めるため、施設運営のすべてを「ありのままに、当たり前に」と いう視点で捉え直し、従来型とは全く異なる施設を作り上げた。
○設計のコンセプト→完全分棟形式5〜6人単位の個室ユニット 入所施設における「小舎制ユニットケア」を実現すべく、小規模なユニットを完全分棟型にすることで、入所者の生活単位を小規模化し、 落ち着きのある住まいを創出した。 デイケアを分離し、場所も住まいも分ける。日中は送迎車での日中活動を行う事業所へ向かい、夕方になるとまた送迎車で帰宅する。生活の基本的なリズムをつくり、「普通の暮ら し」を実現する。
○特に効果的だった建築的工夫
・5〜6人単位のユニット→ユニット中央に設けられたリビングダイニング
・強度行動障害のある入所者に対応した 「カウンター」→
・強度行動障害対応ユニットの壁改修→壁の素材をタイル状のものに換 え、破損しても一部のみを取り替えれ ばすむように変更した。
・見守りシステムの導入→夜間の入居者 の見守りシステムとして、センサーを ベッドのマットレスの下に敷くタイプ のシステム「眠りSCAN」を導入した。 個室最大の問題は夜間の生存確認。眠 りSCANはそれが常にできる。また 睡眠時間、起きた時間、心拍を集計でき る。データは精神科の医師に伝え、服薬 の効果や減薬の参考にしてもらってい る。眠りSCANは職員の介助負担の 軽減と長期的な健康管理(薬の調整な ど)の双方にメリットがあった。

○建築的工夫に対する考え方
・行動障害の改善について→日中活動の充実に尽きる。エネルギー的 にも精神的にも満たされることがなければ、閉鎖空間では改善できない。日中活動の場 をどのように確保するのかが今後の(支援施設全体の)大きな課題。予期せずコロナの ことがあって、終日「庵」で過ごしていた期間もあり、その際は(居室に閉じこもって ばかりいるため)拘禁症状が発生する方もいた。デイを分けることは非常に有意義だと 改めて感じた
・防音について→居室の壁はホテル仕様になっていて天井まで壁(騒音が隣の部屋に響 かない)にして遮音性の高い建物にしておいたのがよかった。

次回も続き「実践報告7 医療の実践」からです。

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