自殺総合対策大綱〜誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して [2022年11月06日(Sun)]
自殺総合対策大綱〜誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して〜(令和4年10月14日閣議決定)
https://www.mhlw.go.jp/stf/taikou_r041014.html ○自殺対策基本法に基づき、令和4年10月、「自殺総合対策大綱〜誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して〜」が閣議決定。 誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現に向けて、新たな大綱の下、関係府省と連携しながら、自殺対策をより一層推進させてまいります。 ○「自殺総合対策大綱」(令和4年10月閣議決定)(概要) 第 1 自殺総合対策の基本理念→「誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指す」 ⇒社会における「生きることの阻害要因」を減らし「生きること の促進要因」を増やすことを通じて、社会全体の自殺リスクを低下させる⇒阻害要因:過労、生活困窮、育児や介護疲れ、いじめや孤立等。促進要因:自己肯定感、信頼できる人間関係、危機回避能力等。 第 2 自殺の現状と自殺総合対策における基本認識→「自殺はその多くが追い込まれた末の死」「年間自殺者数は減少傾向にあるが非常事態はいまだ続いている」「新型コロナウイルス感染症拡大の影響を踏まえた対策の推進」「地域レベルの実践的な取組をPDCAサイクルを通じて推進する」 第 3 自殺総合対策の基本方針→1. 生きることの包括的な支援として推進 2. 関連施策との有機的な連携を強化して総合的に取り組む 3. 対応の段階に応じてレベルごとの対策を効果的に連動させる 4. 実践と啓発を両輪として推進する 5. 国、地方公共団体、関係団体、民間団体、企業及び国民の役割を明確化し、その連携・協働を推進する 6. 自殺者等の名誉及び生活の平穏に配慮する 第 4 自殺総合対策における当面の重点施策→1〜13あり。委細項目は以下にあり。 第5 自殺対策の数値目標→誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指すため、当面は 先進諸国の現在の水準まで減少させることを目指し、令和8年までに、自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)を平成27年と比べて 30%以上減少させることとする。 (平成27年:18.5 ⇒ 令和8年:13.0以下) ※令和2年:16.4。 第6 推進体制等→1. 国における推進体制 2. 地域における計画的な自殺対策の推進 3. 施策の評価及び管理 4. 大綱の見直し ○「自殺総合対策大綱」 <第4 自殺総合対策における当面の重点施策の概要>↓ 1.地域レベルの実践的な取組への支援を強化する→地域自殺実態プロファイル、地域 自殺対策の政策パッケージの作成。地域自殺対策計画の策定・見直し等の支援。地域自殺対策推進センターへの支援(地域自殺対策推進センター長の設置の支援、全国の地域自殺対策推進センター長による会議の開催に向けた支援)。自殺対策の専任職員の配置・専任部署の設置の促進 2.国民一人ひとりの気付きと見守りを促す→自殺予防週間と自殺対策強化月間の実施。児童生徒の自殺対策に資する教育の実施(命の大切さ・尊さ、SOSの出し方、精神疾患への正しい理解や適切な対応を含めた心の健康の保持に係る教育等の推進)。自殺や自殺関連事象等に関する正しい知識の普及、うつ病等についての普及啓発(「自殺は、その多くが追い込まれた末の死である」「自殺対策とは、生きることの包括的支援である」という認識の普及 ・メンタルヘルスの正しい知識の普及促進)。 3.自殺総合対策の推進に資する調査研究等を推進する →自殺の実態や自殺対策の実施状 況等に関する調査研究・検証・成果 活用(相談機関等に集約される情報の活用の検討)。子ども・若者及び女性等の自殺調査、死因究明制度との連動(自殺等の事案について詳細な調査・分析、予防のための子どもの死亡検証(CDR; Child Death Review)の推進、若者、女性及び性的マイノリティの生きづらさ等に関する支援一体型の実態把握)。コロナ禍における自殺等の調査。うつ病等の精神疾患の病態解明等 につながる学際的研究。 4.自殺対策に関わる人材の確保、養成及び資質の向上を図る→大学や専修学校等と連携した自 殺対策教育の推進。連携調整を担う人材の養成。かかりつけ医、地域保健スタッフ、 公的機関職員等の資質向上。教職員に対する普及啓発。介護支援専門員等への研修。ゲートキーパーの養成(若者を含めたゲートキーパー養成)。自殺対策従事者への心のケア ・スーパーバイザーの役割を果たす専門職の配 置等を支援。家族・知人、ゲートキーパー等を含 めた支援者への支援。 5.心の健康を支援する環境の整備と心の健康づくりを推進する→職場におけるメンタルヘルス対策の推進(パワーハラスメント対策の推進、SNS相談の実施)。地域における心の健康づくり推 進体制の整備。学校における心の健康づくり推 進体制の整備。大規模災害における被災者の 心のケア、生活再建等の推進。 6.適切な精神保健医療福祉サービスを受けられるようにする→精神科医療、保健、福祉等の連 動性の向上、専門職の配置。精神保健医療福祉サービスを担う人材の養成等(自殺の危険性の高い人を早期に発見し確実 に精神科医療につなげるよう体制の充実)。子どもに対する精神保健医療福 祉サービスの提供体制の整備(子どもの心の診療体制の整備)。うつ病、依存症等うつ病以外の精 神疾患等によるハイリスク者対策。 7.社会全体の自殺リスクを低下させる→相談体制の充実と相談窓口情報等の分かりやすい発信、アウトリーチ強化。ICT(インターネット・SNS等)活用・SNS等を活用した相談事業支援の拡充、ICTを活用した情報発信を推進。 インターネット上の誹謗中傷及び自殺関連情報対策の強化(自殺の誘引・勧誘等情報についての必要な自殺防止措置・サイバーパトロールによる取組を推進、特定個人を誹謗中傷する書き込みの速やかな削除の支援や人権相談等を実施)。 ひきこもり、児童虐待、性犯罪・性暴力の被害者、生活困窮者、ひとり親家庭に対する 支援。 性的マイノリティの方等に対する支援の充実。 関係機関等の連携に必要な情報共有。 自殺対策に資する居場所づくりの推進(オンラインでの取組も含めて孤立を防ぐための居場所づくり等を推進、道機関に対するWHOガイドライン等の周知)。自殺対策に関する国際協力の推進。 8.自殺未遂者の再度の自殺企図を防ぐ→地域の自殺未遂者支援の拠点機能を担う医療 機関の整備。 救急医療機関における精神科医による診療体 制等の充実。 医療と地域の連携推進による包括的な未遂者 支援の強化(自殺未遂者を退院後に円滑に精神科医療につなげるための医療 連携体制の整備、自殺未遂者から得られた実態を分析し匿名でのデータベース化 を推進)。 居場所づくりとの連動による支援。 家族等の身近な支援者に対する支援(傾聴スキルを学べる動画等の作成・啓発)。学校、職場等での事後対応の促進。 9.遺された人への支援を充実する→遺族の自助グループ等の運営支援。 学校、職場等での事後対応の促進(学校、職場、公的機関における遺族等に寄り添った事後対応 等の促進)。 遺族等の総合的な支援ニーズに対する情報 提供の推進等(遺族等が直面する行政上の諸手続や法的問題等への支援の推進)。遺族等に対応する公的機関の職員の資質の 向上。 遺児等への支援(ヤングケアラーとなっている遺児の支援強化)。 10. 民間団体との連携を強化する→民間団体の人材育成に対する支援。 地域における連携体制の確立。 民間団体の相談事業に対する支援(多様な相談ニーズに対応するため、SNS等を活用した相談事業支援を拡充)。 民間団体の先駆的・試行的取組や自殺多 発地域における取組に対する支援。 11. 子ども・若者の自殺対策を更に推進する→いじめを苦にした子どもの自殺の予防。 学生・生徒への支援充実(長期休業の前後の時期における自殺予防を推進、タブレット端末の活用等による自殺リスクの把握やプッシュ型の支援情報の発信を推進、学校、地域の支援者等が連携して子どもの自殺対策にあたることができる仕組みや緊急対応時の 教職員等が迅速に相談を行える体制の構築、不登校の子どもへの支援について学校内外における居場所等の確保)。 SOSの出し方に関する教育の推進(命の大切さ・尊さ、SOSの出し方、精神疾患への正しい理解や適切な対応を含めた心の健康の保 持に係る教育等の推進、子どもがSOSを出しやすい環境を整えるとともに、大人が子どものSOSを受け止められる体制を構築)。 子ども・若者への支援や若者の特性に応じた支援の充実(SNS等を活用した相談事業支援の拡充、ICTを活用した情報発信を推進)。 知人等への支援(ゲートキーパー等を含めた自殺対策従事者の心の健康を維持する仕組みづくり)。 子ども・若者の自殺対策を推進するための体制整備(こども家庭庁と連携し、体制整備を検討)。 12. 勤務問題による自殺対策を更に推進する →長時間労働の是正(勤務時間管理の徹底及び長時間労働の是 正の推進、勤務間インターバル制度の導入促進、コロナ禍で進んだテレワークを含め職場のメ ンタルヘルス対策の推進、「過労死等の防止のための対策に関する大 綱」に基づき過労死等の防止対策を推進、副業・兼業への対応)。 職場におけるメンタルヘルス対策 の推進。 ハラスメント防止対策(パワーハラスメント、セクシュアルハラスメント、 妊娠・出産等に関するハラスメントの防止)。 13. 女性の自殺対策を更に推進する→妊産婦への支援の充実(予期せぬ妊娠等により身体的・精神的な悩 みや不安を抱えた若年妊婦等について性と健 康の相談センター事業等による支援を推進)。 コロナ禍で顕在化した課題を踏まえた女性支援(子育て中の女性等を対象にきめ細かな就職支援、配偶者等からの暴力の相談体制の整備を進 める等、被害者支援の更なる充実、様々な困難・課題を抱える女性に寄り添った きめ細かい相談支援等の地方公共団体によ る取組を支援)。 困難な問題を抱える女性への支援。 次回は新たに「「令和4年版 過労死等防止対策白書」を公表します」からです。 |