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「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会報告書」の報告書を公表します [2022年04月18日(Mon)]
「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会報告書」の報告書を公表します(令和4年4月12日)4/18
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25079.html
◎第17回解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会資料(令和4年4月11日(月))を経て、以下のように公表に至ったもの。↓
・解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点について、厚生労働省の「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」(座長:山川 隆一 東京大学大学院法学政治学研究科教授)において検討が行われてきたところですが、本日、検討会の報告書が取りまとめられましたので、公表します。

◎別添1「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」報告書 概要
T はじめに→本報告書は、解雇無効時の金銭救済制度(「本制度」)について、仮に制度を導入するとした場合に法技術的に取り得る仕 組みや検討の方向性等に係る選択肢等を示すもの。
U 検討の前提となる事項→ 1.解雇をめぐる紛争の現状について 2.紛争解決システム検討会における検討について 3.諸外国における類似の制度について
V 法技術的論点について(2頁以降で各論点における結論を簡潔に記載)
1.形成権構成及び形成判決構成について→本制度の骨格について、「無効な解雇がなされた場合に、労働者の請求によって使用者が一定の金銭(「労働契約解消金」)を支払い、当該支払によって労働契約が終了す る仕組み」を念頭に置き、2つの構成について検討。
2.権利の法的性質等 ↓
⑴ 対象となる解雇・雇止め→無期労働契約における無効な解雇(禁止解雇を含む)と、 有期労働契約における無効な契約期間中の解雇(禁止解 雇を含む)及び労働契約法19条に該当する雇止めを対象と することが考えられる。
⑵ 権利の発生要件等
⑶ 権利行使の方法→権利行使の方法は訴えの提起及び労働審判の申立てに限 ることが考えられる。
⑷ 債権発生の時点
⑸ 権利行使の意思表示の撤回等
⑹ 権利放棄
⑺ 相殺・差押えの禁止
⑻ 権利行使期間
⑼ 権利の消滅等
⑽ 解雇の意思表示の撤回
3.労働契約解消金の性質等
⑴ 労働契約解消金の定義
⑵ 労働契約解消金の構成及び支払の効果
4.各請求との関係について→労働契約解消金債権は、バックペイ、不法行為による損害賠償、退職手当の各債権とは別個のものと整理し得る。
5.労働契約解消金の算定方法等
⑴ 労働契約解消金の算定方法・考慮要素について→考慮し得る要素として、給与額、勤続年数、年齢、合理的 な再就職期間等が考えられる。
⑵ 労働契約解消金の上限・下限について
⑶ 労使合意による別段の定めについて
⑷ 労働契約解消金の算定の基礎となる事情の基準時点について
6.有期労働契約の場合の契約期間中の解雇・雇止め→有期労働契約の場合に特に考慮するべき論点について整理。
7.本制度の対象となる解雇等の捉え方→解雇の意思表示や労働契約法19条による更新が複数回さ れた場合等について整理。
8.その他
W おわりに

V 法技術的論点について(2頁以降で各論点における結論を簡潔に記載)↓
1.形成権構成及び形成判決構成について
→本制度の骨格について、「無効な解雇がなされた場合に、労働者の請求によって使用者が労働契約解消金を支払い、当該支払によって労働契約が終了する仕組み」を念頭に置き、このような仕組みを制度的に構築する場合の選択肢として、以下の2つの構成(以下「両構成」という。※別紙参照。)について検討した。
■形成権構成:要件を満たした場合に労働者に金銭救済を求め得る形成権(以下「金銭救済請求権」という。)が発生し、それを行使した効果として、@労働者から使用者に対する労働契約解消に係る金銭債権(以下「労働契約解消金債権」という。)が発生するとともに、A使用者が当該労働契約解 消金を支払った場合に労働契約が終了するとの条件付き労働契約終了効が発生するとの構成。
■形成判決構成:労働者の請求を認容する判決が確定した場合、その効果として上記@、Aの効果が発生するとの構成であり、要件を満たした場合に労働者に 判決によるこのような法律関係の形成を求める権利が発生するとするもの。労働審判によって同様の効果を生じさせることも法技術上可能。
以下、特段の記載がある場合を除き、両構成に共通するものである。

2.権利の法的性質等
⑴ 対象となる解雇・雇止め→無期労働契約における無効な解雇(禁止解雇を含む)と、有期労働契約 における無効な契約期間中の解雇(禁止解雇を含む)及び労働契約法1 9条に該当する雇止めを対象とすることが考えられる。
⑵ 権利の発生要件等→@当事者間に労働契約関係が存在すること、A使用者による解雇の意思 表示がされたこと、B当該解雇が無効であること、が考えられる。なお、ここでの 検討は、主張立証責任についての現在の裁判実務を変更する趣旨のものでは ない。
⑶ 権利行使の方法→形成権構成の場合であっても、当面は、権利行使の方法は訴えの提起及び 労働審判の申立てに限ることが考えられる。
⑷ 債権発生の時点→労働契約解消金債権が発生する時点については、形成権構成の場合は形 成権の行使時点、形成判決構成の場合は判決等の確定時点であるが、両構成ともに、判決等の確定時に弁済期が到来し、その前に支払がされてもその効果(労働契約終了効)は生じないとすることが考えられる。
⑸ 権利行使の意思表示の撤回等→判決等の確定時まで、形成権構成における形成権行使の意思表示の撤回及び形成判決構成における訴え取下げ等は可能であるとすることが考えられる
⑹ 権利放棄 権利放棄→解雇の意思表示前は仮に双方の合意によるもので あったとしても公序良俗に反し無効と考えられるが、解雇の意思表示後は労働 者の自由意思に基づくものと評価できるのであれば認められるものと考えられる。
⑺ 相殺・差押えの禁止→労働契約解消金債権を相殺・差押禁止とするか否かについては、法技術的にはいずれの措置も可能であると考えられ、労働契約解消金の性質等も踏ま えた検討を行った上で、その要否及び範囲について判断することが適当。
⑻ 権利行使期間→少なくとも2年程度は確保する必要があると考えられるが、具体的な期間については種々の選択肢があり得、政策的に判断すべき。
⑼ 権利の消滅等→訴え提起等の前に労働契約解消金の支払以外の事由により労働契約が終了した場合、本制度の適用は認められないと解される。 訴え提起等の後の場合は、形成権構成の場合は発生していた労働契約解消金債権が消滅し、形成判決構成の場合は労働契約解消金の支払請求は認められないとすることが考えられるが、政策的判断としては、労働契約が終了した事由の性質の違いに着目し、取扱いを異ならせることもあり得る(例えば、辞職については、労働者の再就職を阻害しないよう、労働契約解消金債権の 帰趨に影響はないものとの措置を講じることが考えられる。)。
⑽ 解雇の意思表示の撤回→使用者が解雇の意思表示をした後に、解雇が無効であることを争わないとし てそれを撤回したとしても、労働契約解消金の支払請求を妨げる事由とはなら ないとすることが考えられる。

3.労働契約解消金の性質等↓
⑴ 労働契約解消金の定義→ @無効な解雇がなされた労働者の地位を解消する対価、A無効な解雇により生じた労働者の地位をめぐる紛争について労働契約の終了により解決する 対価、といったものが考えられる、定義をどのように定めるかは、その性質や 考慮要素等の検討とも関連しており、本制度の機能等も考慮した上で政策的 に判断すべき。
⑵ 労働契約解消金の構成及び支払の効果→労働契約解消金債権は、バックペイ債権とは別個の債権であると整理するこ とが考えられるが、労働契約解消金の支払のみによって労働契約が終了する 構成だけでなく、バックペイの履行確保の観点から、労働契約解消金に加えて バックペイの支払もなされたときに労働契約が終了するという構成も考えられ、い ずれの構成にするかについては、政策的に判断すべき。

4.各請求との関係について→労働契約解消金は、バックペイ、不法行為による損害賠償、退職手当の各債権とは別個のものと整理し得るため、それぞれの請求や地位確認請求と併合して訴え 提起等をすることができるほか、バックペイについては、解雇から労働契約解消金支払時まで発生すると解することが原則であり、1回の訴訟で認められる範囲については一般的にみられる判決確定時までとの判断を変更する特段の規定を設ける必要はないと考えられる。

5.労働契約解消金の算定方法等
⑴ 労働契約解消金の算定方法・考慮要素について→算定方法⇒予見可能性を高めるために一定の算定式を設けること を検討する必要がある一方で、個別性を反映するために個別事情を考慮する とすることも考えられる。 考慮要素⇒定型的なものである給与額、勤続年数、年齢、ある程度定型的な算定をし得るものである合理的な再就職期間、評価的なものである解雇に係る労働者側の事情、解雇の不当性、といったものが考えられる。 算定方法や考慮要素の検討に当たっては、労働契約解消金の定義(上記 3⑴)や、労働契約解消金によって補償すべきもの(契約終了後の将来得 べかりし賃金等の財産的価値のほか、当該職場でのキャリアや人間関係等の 現在の地位に在ること自体の非財産的価値も含まれると考えることもできる。)は何かといった点と相互に関連させた上で、政策的に判断すべき。
⑵ 労働契約解消金の上限・下限について→労働契約解消金の算定に当たっての上下限につき、法技術的には様々な設定方法が考えられるが、設定の有無及びその具体的な内容については、政策 的に判断すべき。
⑶ 労使合意による別段の定めについて→事前の集団的労使合意によって労働契約解消金の算定方法に企業独自の定めを置くことを認めるかについては、政策的に判断すべき。
⑷ 労働契約解消金の算定の基礎となる事情の基準時点について→法技術的には、@無効な解雇の意思表示の時点、A金銭救済請求権の行使の時点(形成権構成の場合のみ)、B口頭弁論終結の時点、が考え られるが、いずれの考慮要素についてもBと整理することが考えられる

6.有期労働契約の場合の契約期間中の解雇・雇止め→権利の発生要件等は、有期労働契約期間中の解雇の場合には、@当事者間に有期労働契約関係が存在すること、A使用者による解雇の意思表示が契約期 間の途中でなされたこと、B当該解雇が無効であることが、雇止めの場合には、@当事者間に有期労働契約関係が存在すること 、A当該労働契約につき、労契法 19条1号又は2号のいずれかの要件を満たすこと、B当該労働者により契約期間中又は当該契約期間満了後遅滞なく更新の申込みの意思表示がされたこと、C 使用者が契約更新を拒絶したこと(雇止め)、D当該更新拒絶が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないことが、それぞれ考えられる。なお、ここでの検討は、主張立証責任についての現在の裁判実務を変更する趣旨のものではない。 その他、有期労働契約の場合に特に考慮するべき論点として、権利の消滅等(上記2⑼)の検討に関して再度期間が満了した場合等の取扱いや、労働契約解消金の算定方法等(上記5)の検討に関して残りの契約期間等を考慮要素とするかなどといったものがある。

7.本制度の対象となる解雇等の捉え方(略)
8.その他(略)


○(別紙)「V 法技術的論点について(2頁以降で各論点における結論を簡潔に記載)↓
1.形成権構成及び形成判決構成について の※別紙参照」⇒「形成権構成」」「形成判決構成」の「労働契約の終了」までの流れがあります。


◎別添2「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」 報告書(全文)
○目次のみにします。↓

T.はじめに
U.検討の前提となる事項
1.解雇をめぐる紛争の現状について
2.紛争解決システム検討会における検討について
3.諸外国における類似の制度について
(1) イギリス
(2) ドイツ
(3)フランス

V.解雇無効時の金銭救済制度に関する法技術的論点について
1. 基本的な考え方
2. 各論点における検討について
(1) 形成権構成及び形成判決構成について
(2) 権利の法的性質等
@ 対象となる解雇・雇止め
A 権利の発生要件等
B 権利行使の方法
C 債権発生の時点
D 金銭救済請求権行使の意思表示の撤回等
E 権利放棄
F 相殺・差押えの禁止
G 権利行使期間
H 権利の消滅等
I 解雇の意思表示の撤回
(3) 労働契約解消金の性質等
@ 労働契約解消金の定義
A 労働契約解消金の構成及び支払の効果(参考資料9参照)
(4) 地位確認請求、バックペイ請求、不法行為による損害賠償請求等との関係につい
@ 地位確認請求との関係
A バックペイの発生期間
B 1回の訴訟で認められるバックペイの範囲
C 不法行為による損害賠償請求との関係
D 退職手当との関係
(5) 労働契約解消金の算定方法等
@ 労働契約解消金の算定方法・考慮要素(参考資料 10 参照)
A 労働契約解消金の上限・下限
B 労使合意による別段の定め
C 労働契約解消金の算定の基礎となる事情の基準となるべき時点
(6) 有期労働契約の場合の契約期間中の解雇・雇止め
@ 権利の発生要件等
A 権利の消滅等B 労働契約解消金の性質等
(7) 本制度の対象となる解雇等の捉え方
@ 無期労働契約において解雇の意思表示が複数された場合
A 有期労働契約において雇止めないし契約期間中の解雇の意思表示がされた後に労働契 約法 19 条による更新がされた場合
B 有期労働契約において雇止めがされた後に無期転換がなされた場合
C 無期労働契約において解雇の意思表示がされた後に定年となった場合
(8) その他
W.おわりに

参考資料 → 参考資料1〜参考資料 12 まで。

次回は新たに「令和4年第4回経済財政諮問会議」からです。

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