• もっと見る
« 2021年12月 | Main | 2022年02月»
<< 2022年01月 >>
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          
最新記事
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
日別アーカイブ
第1回生活困窮者自立支援のあり方等に関する論点整理のための検討会ワーキンググループ(各事業の在り方検討班)資料 [2022年01月09日(Sun)]
第1回生活困窮者自立支援のあり方等に関する論点整理のための検討会ワーキンググループ(各事業の在り方検討班)資料(令和3年12月20日)
《議事》 (1)就労支援のあり方について (2)家計改善支援事業のあり方について (3)生活保護との関係について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21966.html
◎資料4:構成員提出資料
<発表資料>→5つの発表資料(1/5)↓
◎生活困窮者自立支援制度における 就労支援(準備・訓練等) 〜千葉の実践から〜
NPO法人ユニバーサル就労ネットワークちば 事務局長 鈴木 由美

○本日お伝えしたいこと→1 法人・事業紹介、2 就労支援の事業一元化・体制強化の提案、 3 多様なはたらき方を創造する支援についての提案 ↓
○(1)法人・事業紹介  NPO法人ユニバーサル就労ネットワークちばとは?→社会福祉法人生活クラブから、生活困窮者自立支援制度の就労訓練事業のモデルの一つとして設立。
○NPO法人ユニバーサル就労ネットワークちば 事業概要→事業内容(職員総数25名・事務局 千葉市花見川区)⇒ユニバーサル就労を利用したい当事者と受け入 れたい会社のマッチング から受け入れ企業の開拓。若者支援、引きこもりなどの相談事業、それに関する研修も総合的に実施している。
○ユニバーサル就労(UW)とは…→<理念> @「はたらきたいのに、はたらきにくいすべての人」が働けるよ うな仕組みを作ると同時に、誰にとっても働きやすく、働きがい のある職場環境づくりを目指していく取り組み。 そして、Aより多くの人が、その人なりの働き方で社会参加できるユニバーサルな地域社会づくりを目指しています。地域社 会の中で、自分なりの働き方で「わたしたちは会社ではたらいています」と実感できるシステムです。
○ユニバーサル就労の理念を実現する 具体的な仕組み(システム)→<特徴> @対象者を限定しない Aスライド式の就労ステージを構築 B業務分解 C外部支援者とのチームによる定着支援
○<特徴A スライド式のユニバーサル就労システム>↓
・@〜Cまでの段階を踏まえて、無償コミューター⇒有償コミューター⇒ UW雇用U(旧 最賃保障職員)⇒ UW雇用T(旧 一般賃金職員)への流れ→支援が必要なくなった時点で一般就労へと移行。

○特徴B業務分解(業務の切り出し)→本人の強みを生かし、職場の戦力となるために ・業務分解を実施し、本人が得意なことやできることを任せていくことで、 本人も職場の人にとっても働きやすい環境づくりを行うことができる。 ・業務分解はメンタルダウンした社員が即退職に追い込まれないための復 職支援プログラムとしても活用ができる。
・受け入れのための業務分解→業務分解シート【日】≪介護≫ (参考:小規模多機能型居宅介護(通所、泊まり)シフト)⇒本人のできるところからスタート(積み上げていくこと)
○特徴C外部支援者とのチームによる定着支援→職場のみではなく、すでに支援を受けている団体や新 たに必要だと思われる専門機関な どと一緒に連携していきます。
○2021年10月までの実績→ユニバーサル就労ステップの流れで報酬を決めていく。

○事例1 40代女性 Aさん 保育補助→生育歴の複雑さの影響もあり、就労の準備が整っていないため、 「ユニバーサル就労」の前に地域のコミュニティカフェで人と接す る練習を行う。また就労セミナーに自主的に参加するなど意欲的に なる。 • 1年後、本人の自信や意欲が強くなってきたため、 改めて「ユニバーサル就労」を提案。
・Aさん→実習@Aでマッチングに至らず、実習B 保育所での保育補助。保育所内の清掃、遊 具消毒、見守り。 穏やかな性格だったこと もありマッチング!⇒振り返り面談⇒有償コミューターからスタート⇒非雇用型 ⇒雇用型を経て本人の 意向により外部 就労が決定しま した。
○(参考) 地域共生社会とユニバーサル就労(宮本太郎著「共生保障」(岩波新書)
・ユニバーサル就労をめぐる社会状況⇒ P15の参照。


○(1)千葉市の生活困窮者自立支援制度事業→「事業名」「運営者」参照。
【基本情報】人口約97万人・被保護世帯16,598世帯、被保護人数は20,876人、保護率は21.4‰ 。保護率の高さは@若葉区A中央区B稲毛区 C花見川区…(平成29年)
○@千葉市就労準備支援室 基本情報
→事業開始 平成27年4月、 支援範囲 千葉市全域、 職員数 常勤5名、非常勤1名(キャリア・コンサルタント2名、産業カウンセラー2名、臨床心理士1名) ※非常勤は中間的就労を利用して就労したスタッフ。その他と口用なども参照。
○生活困窮者の就労支援領域と支援スタイル→生活自立⇒ 社会自立 ⇒就労自立までのステージの図式化。 
○<支援の捉え方> ⇒キャリアコンサルティングの流れと困窮者支援事業→「方策の実行(就労自立促進事業、自立支援による就労支援、他機関との連携による就労支援)」から「新たな仕事(環境)への適合へ。
○(参考)本人の自立を支える部分に寄り添う支援 〜伴走型/エンパワメント型〜→クライエントのベクトル(安心・自信・自由)に沿って⇒本人の状態や人物像に応じて、自分の役割を変えられる存在。そのためには本人が今どの段階にいるのか適切なアセスメントが不可欠。目に見える課題のみならず、本人の内面的な変化を重視する支援を。
○@-1 支援の特徴→職場実践型┼キャリア支援(適性検査・グループワーク)〓不安軽減・コミュニケーション・多角的利用者増の把握。
○@-2 支援フロー→自立相談から本人の最終定着支援までのかかわり過程のプログラム。
○参考資料:職業適性検査について→4種類検査。⇒(1)社会経験や就労経験が極端に少ないため、自己理解ができていない当事者が急増。 何をやりたいのか、何に興味があるのか、自分はどこまでできるのかといったことをきちんと把握し、これか らどうやって行動していく参考や支援方針を作成する指標として適性検査を導入した。 (2)知的・発達障害ボーダーと思われる当事者の増加。

○@-3 企業開拓について→@〜Cまでの【方法】、【参入しやすい業界】の参照。
○企業とのネット ワークについて→4点あり。⇒• 研究会を開催し、顔の見える 関係作り • 説明会開催時には、アンケー トを回収し、その後の訪問の きっかけとする • 中小企業家同友会の会員にな り、障害者問題委員会での活 動に参加する。 • 県内生活困窮者実務者ネット ワークの就労部会での活動
○@-4 定着支援→4点あり⇒• メール、電話で様子を聞く • 面談をする • 必要に応じてSST等のワークへ誘う • OB会の案内 →コロナで中断中。徐々に再開予定
○@-5 チャンス創造ファンド(独自)→4点あり⇒交通費、支援場所や面接会場に行く経費、スーツや面接用の服装、化粧品、かばんや靴、作業着や長靴な どの仕事用の服 …手数料。 障害者手帳取得のための診断書費用、健康診断→ひとり最大約15万円まで支給可能。実績ベースだとおおよそ 一人4万円が最大。年間で20万円程度の原資で実施可能。

○(2) 就労支援の事業一元化・体制強化の提案→「生活自立」「社会自立」「就労自立」
までの実現のために、@就労準備支援プログラム A就労訓練(中間的就労)PG B就労・就活支援プログラムが必要⇒就労自立促進事業の一体化。↓
【提案】就労支援事業として統合し、事業展開や体制強化をはかる
(1)機能はそのままに一体的運営・必須事業とし地域間の実施格差や支援格差を減らす。 (2)上記の総合的な就労支援の中で一般就労、中間的就労、障害者雇用(関係機関との 
 連携)までコーディネートできる総合窓口
(3)就労支援員(当事者支援・企業開拓支援員)専従職員とする→広域展開の実践促進は必須  
(4)支援員の職歴頼みではない就労(準備)支援研修の開発と体系化(準備性〜キャリア支援の考え方やアセスメント〜企業開拓等)
…参考:障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会(第4回雇用と福祉の分野横断的な基礎的知識・スキルを付与する研修の構築に関する作業部会) ※企業開拓や地域づくりに注目がいきがちだが、それを支える個人を見つめる視点(アセスメント)や個別支援のあり方も同様に重要
(5)エリアSVを置き、定期的に事業所に訪問をし研修フォロー、ケース検討や事業展開について外部に相談できるような仕組みを構築
(6)求職者訓練の特例措置の時限を撤廃する
○研修イメージ:就労(準備)支援員のスキルセットを設定し、それに基づいた研修計画を策定していく など→<支援メニューの開発> <企業開拓や地域づくり><支援の土台・基礎>について研修に向かう。

○(3) 多様なはたらき方を創造する支援についての提案↓
• 一般の労働市場から排除されている人を労働市場に戻そうとするのはもはや限界があり、当事者にとっては絶 望感しかない。→そこに押し戻そうとする支援でいいのか?現場は行き詰まっている。
• はたらきづらさは手帳の有無だけではかれなくなってきている。グレーゾーンの人たちを受け止める社会資源が失われている。はたらきづらさはどんどんグラデーションゾーンが広くなっている。
• 雇用市場に空いている隙間はどんどん大きくなっているが制度はいつまでも変わらない。


◎「家計改善支援事業」の取組と課題(2/5の資料)
生活クラブ生活協同組合・東京  東京都府中市役所 家計改善支援員  中森順子
○東京都府中市の紹介

・東京都府中市ってどんなまち?→東京都のほぼ中央に位置し、 副都心新宿から西方約 22 キロメートルの距離に。【人 口】 260,292 人 ・日本人:255,230 人 ・外国人:5,062 人。
【世帯数】 127,968 世帯 ・日本人:125,327 世帯 ・外国人:2,641 世帯。
【面積数】 29.43 ㎢
・生活困窮者自立支援事業の体制は?→府中市役所の生活援護課にて「暮らしとしごとの相談センター」として、以下の事業(生活困窮者自立支援事業 参照。)を行っています。 自立相談支援事業は直営、任意事業は委託で行っており、従事者は席を並べて業務に就いており、 家計改善支援員は市役所開庁日のほか、相談者の状況等に応じて、夜間や土日祝日も業務を行っています。
・家計改善支援事業で行っている 3 つの取り組み→「相談」「広報」「援助」

○「家計改善支援事業」の取り組み 
・「家計改善支援事業」の支援のステップ
→まず STEP1「目の前の問題を改善するための支援」を行い、その次に今後同様の問題が起きないように、起きたときには対応できるように STEP2「家計管理を行うための支援」を行います。尚、目の前の問題が解決すると継続が途切れてしまう相談者もいるため、STEP1 の段階で信頼関係を構築しておくことを意識して対応。
・信頼関係を構築できなければ相談には繋がらない→相談に繋がっても、相談者が希望して来所することばかりではありません。税金や家賃等の滞納があり、納税課や不動産会社等から相談 に行くように紹介されたり、夫が抱えた借金の対応のために妻が来所したりといったケースも。そのため、来所した相談者が家計改善支援事業を理解しておらず、「相談しても解決するわけがない」「怒られる」といった印象を持っていることも多く、また、家計に 関する話をすることに抵抗感を持っていたり、うまく家計管理ができなかったという自己肯定感が下がっている相談者が多い。 そこで、初回面談では、相談者の困りごとを家計改善支援員が理解するために様々な話を聴くことや、その困りごとを解決するためにこ れからどのような対応をしていくのか、そのためにどんな情報を提供してほしいのか、その情報を提供してもらうことでどんなメリット があるのか、相談者が行うことは何か、家計改善支援員が行うことは何か、ということを伝え共有すること(「説得」するのではなく、 「納得」できるように!)を大事にしています。
また、初回相談だけでなく、継続相談の中でも、相談者の「強み」を見つけ出し、相談者に伝えることを大事にしながら相談を進めます。 そのために、家計改善支援員が「いいところ探し」のチカラをつけられるよう、日々の訓練を行っています。

1.家計の現状を理解してもらう支援
・(例)家計状況を見える化する方法→目的に応じて 2 種類のツールを利用、何のために、何を把握するのかによってツールを使い分けています。⇒家計状況を見える化する方法@〜詳細に〜。家計状況を見える化する方法A〜優先順位を〜  参照。
2.行政窓口に同行し、給付制度の利用や税金、公共料金等の滞納を解消する支援
・関係機関と連携して、総合的に支援を行う→どのような支援を利用することで家計が安定するのか、関係機関と連携するためにどのような家計に 関する資料があれば良いのかといったことに対応⇒@〜Eまで参照。
・利用できる制度がないかを調べ、利用できるように支援する→資料等を参考にしながら対象となる制度がないか探っていきます。利用でき そうな制度があれば、担当課に同行し、相談者が相談できるように情報収集を手伝ったり、担当課への説明の助言を行ったり。
3.法律家相談に同行し、借金や家賃滞納など債務に関する支援
・相談者の抱える不安の軽減や誤解を解くことから始め、法律家相談に同行したり、滞納を解消するための状況確認を行う→以下の「債務整理」資料(一部抜粋)を作成して相談者の不安を軽減し、相談のハードルを下げ、同行してスムーズに相談できるよう支援します。
・債務整理を行ったり、滞納の解消をするための家計表の作成を支援する→家計簿等から資料が必要な窓口指定の家計表に転記できるように助言したり。
4.生活の健全化を図るために必要な貸付をあっせんする支援
・生活の健全化を図るために必要な貸付をあっせんする支援
5.生活者自身が家計を自ら管理できるようにする支援
・家計に関わる行動を自分で管理(コントロール)できるようにする
・相談者自身が家計の見直しに取り組むための「動機」を探す
・優先順位をつけて家計状況を見える化した後は、収支のバランスを考えてみる
・望ましい行動は増やし、望ましくない行動は減らすために支援する→「〇〇を止めなさい」や「〇〇をしなさい」と指示や助言ではなく、まずはその行動がなぜ起きているのかを把握します。「どんな状況 や感情のときに」「何をきっかけに」「どんな行動をし」「その結果、何が得られているのか」を分析すると助言するポイントが見えます。
・行動の「結果」ではなく「経過」を見る 〜“できているところ”に目を向ける支援〜
・お金を得る方法について、どんな方法があるのかも一緒に考え、働く以外の選択肢に目が向くように支援する
○「家計改善支援事業」の今後の課題
・家計改善支援員の育成とスーパーバイズの必要性
・相談者のチカラを見つけ出し、行動できるよう支援するために学んでいること
・『行動分析学』の 3 つの原理を使って、行動できるよう支援する→<一般的な考え方>と<行動分析学的な考え方>の違いに着目すること。

次回も続き、資料4:構成員提出資料(3/5番目)「就労(自立)に向けた準備を必要とする方への支援の在り方」からです。

| 次へ