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第12回 成年後見制度利用促進専門家会議(web会議) [2021年12月31日(Fri)]
第12回 成年後見制度利用促進専門家会議(web会議)(令和3年12月15日)
《議事》 第二期成年後見制度利用促進基本計画に盛りこむべき事項(最終とりまとめ) (案)についての意見交換
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_22666.html
◎資料1第二期成年後見制度利用促進基本計画に盛りこむべき事項(最終とりまとめ)(案)
U 成年後見制度の利用促進に向けて総合的かつ計画的に講ずべき施策
3 権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり
(1) 権利擁護支援の地域連携ネットワークの基本的な考え方 −尊厳のある本人らしい生活の継続と地域社会への参加−

@ 権利擁護支援の地域連携ネットワークの必要性と趣旨
ア 権利擁護支援の地域連携ネットワークの必要性
⇒ ・ 権利擁護支援を必要としている人は、判断能力等の状態や取り巻く 生活の状況により、その人らしく日常生活を送ることができなくなったとしても、自ら助けを求めることが難しく、自らの権利が侵されている ことに気づくことができない場合もある。そして、こうした状況は、全国どの地域においても必ず起こり得ること。 ・ 本人らしい生活を継続するためには、地域でこうした状況に気づき、 意思決定の支援や、必要に応じて福祉や医療等のサービスの利用につな げることが重要。虐待や消費者被害などが生じている状況では、 行政の関与、法的な支援や成年後見制度の利用につなげることも必要になる。 ・ また、権利擁護支援を必要としている人の中には、身寄りがない、ま たは身寄りに頼ることができない状態や、地域社会とのつながりが希薄であるなど孤独・孤立の状態に置かれている人もいる。このことから、 権利擁護支援を必要としている人に対し、住民同士のつながりや支え合い、社会参加の支援を充実することも重要。 ・ 以上のことから、各地域において、現に権利擁護支援を必要としている人も含めた地域に暮らす全ての人が、尊厳のある本人らしい生活を継続し、地域社会に参加できるようにするため、地域や福祉、行政などに 司法を加えた多様な分野・主体が連携するしくみをつくっていく必要が ある。
イ 権利擁護支援の地域連携ネットワークづくりの方向性(包括的・多層 的なネットワークづくり)⇒ ・ 第一期計画では、上記の地域連携のしくみを、権利擁護支援の地域連 携ネットワーク(以下「地域連携ネットワーク」という。)とし、全国ど の地域においても、尊厳のある本人らしい生活を継続することができる よう、必要な人が成年後見制度を利用できるようにするという観点から、 その整備を進めてきた。 第二期計画→地域連携ネットワークの趣旨として、地域社会への 参加の支援という観点も含めていく。具体的には、地域包括ケアや虐待 防止などの権利擁護に関する様々な既存のしくみのほか、地域共生社 会実現のための支援体制や地域福祉の推進などと有機的な結びつきを 持って、地域における多様な分野・主体が関わる「包括的」なネットワ ークにしていく取組を進めていく必要。 さらに、権利擁護支援を必要としている人の世帯の中には、様々な課 題が生じいることもあり、このような場合には、個人ごとに権利擁護 支援の課題を捉えた上で、その状況に応じて、家族同士の想いも尊重しながら、それぞれを同時に支援していく必要がある。こうしたことを含 めた複合的な地域生活課題としては、支援困難な虐待やネグレクト、 未成年後見を含む児童の権利擁護などもあり、これらへの適切な支援が必要となる場合もある。 ・ 地域連携ネットワークは、住民に身近な相談窓口等のしくみを有する 市町村単位を基本として整備を進めてきたが、このような課題に対応するためには「包括的」なネットワークだけでは十分でなく、地域の実情 に応じて権利擁護支援を総合的に充実することができるよう、圏域など の複数市町村単位や都道府県単位のしくみを重ね合わせた「多層的」な ネットワークにしていく取組も併せて進めていく必要がある。
ウ 地域連携ネットワークづくりの進め方⇒ ・ イの方向性に基づいた具体的な取組は、(3)で後述するが、これから地域連携ネットワークづくりを始める地域では、できるだけ早期に、 以下を実施することのできる体制整備を優先すべき。 ・ 権利擁護支援に関する相談窓口を明確にした上で、本人や家族、地 域住民などの関係者に対し、成年後見制度の内容など権利擁護支援の 理解の促進や相談窓口の周知を図ること ・ 地域連携ネットワークのコーディネートを行う中核機関(Aウを参 照)の役割をどういった機関や体制で担うのかを明らかにすること ・ また、これらの体制を整備した地域では、後見人等の受任者調整等によって権利擁護支援チームの形成を支援し、その権利擁護支援チームが 本人への支援を適切に行うことができるようにする必要がある。こうし た地域連携ネットワークの機能を段階的・計画的に充実していくことで、 尊厳のある本人らしい生活の継続と地域社会への参加を図ることができ るようになる(充実が求められる機能や取組は、(2)Aイ・ウ、(3) Aイ・ウを参照)。 ・ なお、これらの体制整備は、市町村単独では取り組むことが難しい内 容もあるため、広域的な見地から、都道府県が主体的に取り組むことも 重要である。

A 地域連携ネットワークのしくみ→ 地域連携ネットワークは、「権利擁護支援チーム」、「協議会」、「中核となる機関(中核機関)」の3つのしくみからなる。↓
ア 権利擁護支援チーム→権利擁護支援チームとは、
権利擁護支援が必要な人を中心に、本人の 状況に応じ、本人に身近な親族や地域、保健・福祉・医療の関係者などが、協力して日常的に本人を見守り、本人の意思及び選好や価値観を継続的に把握し、必要な権利擁護支援の対応を行うしくみである。 既存の福祉・医療等のサービス調整や支援を行う体制に、必要に応じ、 法律・福祉の専門職や後見人等、意思決定に寄り添う者などが加わり、 適切に本人の権利擁護が図られるようにする。
イ 協議会→ 協議会とは、各地域において、専門職団体や当事者等団体などを含む 関係機関・団体が、連携体制を強化し、これらの機関・団体による自発的な協力を進めるしくみである。 各地域では、成年後見制度を利用する事案に限定することなく、権利擁護支援チームに対し、法律・福祉の専門職や関係機関が必要な支援を行うことができるように協議の場を設ける。なお、協議会は、地域の実情や議題等に応じ、個々の市町村単位、圏域などの複数市町村単位、都道府県単位など階層的に設置する。
ウ 中核機関 →中核機関とは、地域連携ネットワークのコーディネートを担う中核的 な機関や体制であり、以下のような役割を担う。⇒ ・ 本人や関係者等からの権利擁護支援や成年後見制度に関する相談を受け、必要に応じて専門的助言等を確保しつつ、権利擁護支援の内容の検討や支援を適切に実施するためのコーディネートを行う役割 ・ 専門職団体・関係機関の協力・連携強化を図るために関係者のコー ディネートを行う役割(協議会の運営等)→中核機関の運営は、地域の実情に応じ、市町村による直営又は市町村 からの委託などにより行う。市町村が委託する場合等の運営主体については、業務の中立性・公正性の確保に留意しつつ、専門的業務に継続的に対応する能力を有する法人(例:社会福祉協議会、NPO法人、公益 法人等)を適切に選定するものとする。 なお、国は、1の(1)に記載した成年後見制度等の見直しの検討に 併せて、中核機関の位置付け及びその役割にふさわしい適切な名称を検 討する。

B 権利擁護支援を行う3つの場面 →地域において、成年後見制度の利用を含む権利擁護支援を行う場面は、 以下の3つに整理できる。↓
ア 権利擁護支援の検討に関する場面(成年後見制度の利用前)
→本人を取り巻く関係者が、権利擁護支援に関するニーズに気づき、 必要な支援につなぐ場面。この場面では、成年後見制度につなぐ場合や、同制度以外の権利擁護 支援(権利擁護支援チームによる見守りや意思決定の支援、日常生活自 立支援事業の利用、虐待やセルフネグレクトの対応、消費生活センター の相談対応など)などにつなぐ場合がある。
イ 成年後見制度の利用の開始までの場面(申立ての準備から後見人等の 選任まで)→成年後見制度の申立ての必要性、その方法、制度利用後に必要となる 支援、適切な後見人等候補者などを検討・調整し、家庭裁判所に申し立て、後見人等が選任されるまでの場面。 この場面では、制度利用後の支援方針を検討する。その中で、適切な 権利擁護支援チームの体制も検討する。
ウ 成年後見制度の利用開始後に関する場面(後見人等の選任後)→家庭裁判所の審判により、後見人等が選任され、後見活動が開始されてからの場面。 この場面では、権利擁護支援チームに後見人等が参加し、チームの関係者間で、あらかじめ想定していた支援方針等を共有し、本人に対して、 チームによる適切な支援が開始される。

C 市町村・都道府県・国と関係機関の主な役割→権利擁護支援は、地域や福祉、行政、司法など多様な分野・主体が関わるもの。また、第二期計画の期間内に、2025年を迎えて認知症 高齢者が増加するなど、成年後見制度の利用を含む権利擁護支援のニーズが更に多様化、増大する見込みである。 このようなことに対応できるよう、地域連携ネットワークは、多様な主体の積極的な参画と適切な役割の発揮の下で、持続可能な形で運営できる ようにすることが重要。家庭裁判所においても、地域連携ネットワ ークの中で、持続可能な形で、各関係機関と必要な連携を行いながら、成 年後見制度の運用・監督にあたることが重要である。
ア 行政(市町村・都道府県・国) ↓
(ア)市町村
→ ・ 市町村は、権利擁護支援に関する業務が市町村の福祉部局が有する 個人情報を基に行われることや、行政や地域の幅広い関係者との連携を調整する必要性などから、協議会及び中核機関の整備・運営といった地域連携ネットワークづくりに主体となって取り組む必要がある。 その際、地域の実情に応じ、都道府県と連携して、重層的なしくみに することなど柔軟な実施体制も検討する。 ・ 市町村の地域連携ネットワークづくりに対する積極的な役割は、協議会及び中核機関の運営を委託等した場合であっても、同様である。 ・ 市町村は、権利侵害からの回復支援(虐待やセルフネグレクトの対応での必要な権限の行使等)など地域連携ネットワークで行われる支援にも、その責務に基づき主体的に取り組む必要がある。 ・ 上記に加え、市町村は、市町村長申立てや成年後見制度利用支援事業の適切な実施、担い手の育成・活躍支援、促進法に基づく市町村計画の策定といった重要な役割を果たす(4(2)、(3)、(4)を参照)。
(イ)都道府県→ ・ 都道府県は、市町村単位では解決が困難な広域的な課題に対する都道府県自らの取組、国との連携確保など、市町村では担えない地域連 携ネットワークづくりの役割を主導的に果たす。具体的には、担い手の育成・活躍支援、広域的観点から段階的・計画的にネットワークづ くりに取り組むための方針の策定といった重要な役割を果たす(4 (2)、(4)、(5)を参照)。 ・ また、人口規模が小さく、社会資源等が乏しい小規模市町村を始め とした市町村に対する体制整備支援の機能を強化し、地域連携ネット ワークづくりを促進する。
(ウ)国→ ・ 国は、市町村や都道府県が進める地域連携ネットワークづくりを後 押しする観点から、以下の役割を担う。⇒ ・ 成年後見制度利用促進ポータルサイトを活用した最新の情報や知見の共有。 ・ 都道府県等との連携や権利擁護支援体制全国ネット(K−ねっと) のしくみを通じて、全国の取組状況や地域による格差などの継続的 な把握と必要な助言の実施。 ・ 各取組の進捗状況等を勘案した必要な支援策の検討 。
イ 中核機関(再掲)→地域連携ネットワークのコーデ ィネートを行う役割を担う。
ウ 家庭裁判所 →家庭裁判所には、尊厳のある本人らし い生活の継続を実現することができるよう、地域連携ネットワークの中で、成年後見制度の適切な運用・監督を行うことが期待される。 ・ こうした観点も踏まえ、家庭裁判所には、地域連携ネットワークづくりや成年後見制度の運用改善等に向けて、その支部や出張所を含め、地 方公共団体、中核機関、専門職団体、協議会等と積極的に連携し、取組情報の交換や意見交換を図ることが期待される。
エ 専門職団体→ 権利擁護支援を必要としている人は、成年後見制度の利用に限られず、 権利擁護や意思決定に関し、福祉的又は法律的な支援が必要になる場合 があり、各専門職には、各種場面において、専門分野に応じた役割を発 揮することが期待される。 こうした観点も踏まえ、成年後見制度の利用促進に関わる専門職団体 には、地域における協議会等に積極的に参画することや、地域連携ネッ トワークにおける相談対応や権利擁護支援チームによる支援の活動など において、本人の特性等に合わせながら、専門性を生かした積極的な役 割を果たすことが期待される。
オ 当事者等団体 → 権利擁護支援を必要とする人が、同じような経験をしながら暮らして いる仲間と出会い、尊厳のある生活の継続の実態を知ることは、本人に とって非常に大きな力となり、自分のことを自分で考え決めていくため の基盤となる。 こうした観点も踏まえ、認知症、知的障害、発達障害、精神障害等、 成年後見制度を利用する可能性がある当事者等の団体には、本人へのピアサポートや、当事者の視点からの協議会や地域づくりへの参画などが 期待される。
カ 各種相談支援機関→権利擁護支援を必要としている人は、自ら助けを求めることが難しい。したがって、各地域での見守りや支え合いの中で、早期に身近な相 談窓口につなげた上で、成年後見制度の利用が必要かどうかなど権利擁 護支援ニーズの精査を行う必要がある。 こうした観点も踏まえ、介護や障害、生活困窮、子育てなどの各分野 において地域住民等からの相談を受けている相談支援機関には、権利擁護支援に関する課題を含む相談を受けた場合、中核機関や専門職等と連携して、必要な情報の収集や集約、整理を行い、必要な支援につなげることが期待される。 特に、従来より権利擁護業務を実施している地域包括支援センターや 基幹相談支援センター等には、これらの業務に対する積極的な関わりが 求められる。

2)地域連携ネットワークの機能 −個別支援と制度の運用・監督− ↓
@ 地域連携ネットワークの機能の考え方
→第一期計画では、地域連携ネットワークの機能について、広報機能、相談機能、成年後見制度利用促進機能(受任者調整(マッチング)等の支援、 担い手の育成・支援、関連制度からのスムーズな移行)、後見人支援機能の 4つを位置付けてきた。 今後は、権利擁護支援としての成年後見制度の適切な利用を通じて尊厳のある本人らしい生活の継続と地域社会への参加につなげていくように すること、そのために地域連携ネットワークが多様な主体の積極的な参画と適切な役割の発揮の下で、持続可能な形で運営できるようにすることが重要である。 このような観点から、これまでの4機能について、本人中心の権利擁護支援チームを支えるための機能(Aを参照)と、その機能を強化するための地域の体制づくりに関する取組((3)を参照)に大別した。 併せて、地域連携ネットワークが担う機能には、福祉・行政・法律専門 職などの連携による「支援」機能と、家庭裁判所による成年後見制度の「運用・監督」機能があることを、権利擁護支援を行う3つの場面に対 応した形で整理した。
A 権利擁護支援を行う3つの場面における「支援」機能と「運用・監督」/strong>→ 機能 福祉・行政・法律専門職など多様な主体による「支援」機能としては、 (1)Bで整理した権利擁護支援を行う3つの場面に応じて、以下の3つ が挙げられる。⇒ ・ 「権利擁護の相談支援」機能 ・ 「権利擁護支援チームの形成支援」機能 ・ 「権利擁護支援チームの自立支援」機能。   また、家庭裁判所による「運用・監督」機能としては、同様に、以下の 3つ。⇒ ・「制度利用の案内」機能 ・ 「適切な選任形態の判断」機能 ・ 「適切な後見事務の確保」機能
ア 「権利擁護の相談支援」機能と「制度利用の案内」機能 権利擁護支援の検討に関する場面(成年後見制度の利用前)における 「権利擁護の相談支援」機能と、「制度利用の案内」機能は、以下のとおり。 ↓
(ア)権利擁護の相談支援機能 各種相談支援機関が、本人や関係者からの相談を受け止め、地域の 実情に応じて、中核機関や専門職と役割分担や連携を行い、権利擁護 支援ニーズの確認と必要な支援へのつなぎを行う機能。↓
a 本人等からの相談対応と制度の説明
⇒ ・ 本人を取り巻く関係者30が、地域連携ネットワークのつながりや支 え合いを通じて、日頃から接している権利擁護支援を必要とする人 の状態や生活状況などを把握する。 ・ 日常生活などで課題を把握した場合は、地域の相談支援機関など につなぎ、地域の相談支援機関は寄せられた相談への対応を行う。 ・ 相談対応時には、本人と関係者に、成年後見制度のしくみやそれ 以外の権利擁護支援に関する説明を行う。
b 権利擁護支援ニーズの精査と必要な支援へのつなぎ⇒ ・ 相談支援機関による相談を通じた情報収集や、必要に応じて、中核機関や専門職がケース会議に参加するなどして、本人の意思及び 選好や価値観、判断能力や生活の状態、権利擁護や意思決定支援が 必要となる状況、支援の状況や支援者等との関係性等の情報などを集めて、成年後見制度の利用が必要かどうかなど権利擁護支援ニー ズの精査を行う。 ・ 精査の結果、成年後見制度の必要性を確認できた場合は、その適切な利用の検討につなぐ。他方、成年後見制度の必要性を確認でき ない場合も、本人の権利擁護支援ニーズに応じ、必要な見守り体制 や成年後見制度以外の支援へのつなぎを行う。
(イ)制度の利用の案内機能 家庭裁判所には、引き続き以下の機能を発揮することが期待。→ ・ 本人や関係者に対し、申立てなど家庭裁判所の手続を利用するた めに必要となる情報提供や、手続の案内を行う(パンフレット等に よる制度の説明、統一書式の提供、ハンドブックやDVD等各種ツ ールの充実による手続理解の促進)。また、必要に応じて、各地域の 中核機関や地域連携ネットワークの相談先を案内する。
イ 「権利擁護支援チームの形成支援」機能と「適切な選任形態の判断」 機能 成年後見制度の利用の開始までの場面(申立ての準備から後見人等の 選任まで)における「権利擁護支援チームの形成支援」機能と、「適切な選 任形態の判断」機能は、以下のとおり。 ↓(ア)権利擁護支援チームの形成支援機能 →中核機関が、専門職などと連携して、権利擁護支援の方針を検討。その方針に基づき、地域の実情に応じて都道府県等のしくみを活用((3)Bア(ウ)「都道府県による協議会」参照)して、成年後見 制度の申立て方法や適切な後見人候補者を調整しながら、本人を支え る権利擁護支援のチーム体制をかたちづくっていく機能。
権利擁護支援の方針の検討⇒ ・ 相談を通じて得られた情報を基にして、判断能力の低下の進行や 支援状況によって生じている具体的な課題(財産管理・各種手続の 課題、意思決定の課題、法的な課題、地域社会への参加に関する課 題など現時点で生じているものだけでなく、将来に生じる可能性の ある課題を含む。)を整理。・ その上で、本人の強みを活かすことや支援体制を調整することな ども含めて、成年後見制度の利用が適切か、他の支援につなぎ直す方が適切かなど支援方針の検討を行う。・ この支援方針を検討する前に、成年後見制度を利用することによ って、どういった支援が受けられるかを本人に説明し、本人の意向を確認しておくなど、支援の方針に本人の意向が反映できるようにする。
b 適切な申立ての調整⇒ ・ 本人の申立てに対する意向を確認した上で、本人の状態や親族との関係性などを踏まえ、市町村長申立ての検討を含む適切な申立人 の検討と調整を行う。 ・ 必要に応じて、診断書や本人情報シートなど申立てに必要となる 書類等の収集や、申立書に記載する情報の整理など、関係機関が適 切に役割分担して対応する。
c 権利擁護支援を行うことのできる体制を作るための支援(後見人等の参画を含む。)・ 支援方針を基に、対応すべき課題と後見人等に求められる役割、 補助・保佐の活用も含めた想定される類型や必要となる同意・代理行為、可能な範囲内で収支や財産状況、成年後見制度利用支援事業の対象かどうか、課題解決後の後見人等の交代の方向性(専門職後見人から市民後見人への交代など)などの確認や、必要に応じた支援方針の調整を行う。 ・ その上で、関係機関の連携により、必要に応じ、後見人等の候補者と選任形態(複数後見など)についての調整を行う。この際、市民後見人の育成状況や受任可能な専門職数などの地域の実情を踏まえつつ、専門職については、その専門性を適切に発揮できる事案や 場面で候補者とすることを考慮する。 ・ 併せて、後見人等が選任されるまでの一時的な支援や対応の調整、 役割分担を行うなど、本人の意向を踏まえた権利擁護支援のチーム 形成を進める。その際、地域の実情に応じて本人と後見人等候補の予定者が申立て前に面談して相性を確かめることも考えられる。
(イ)適切な選任形態の判断機能→ 家庭裁判所には、引き続き以下の機能を発揮することが期待される。⇒ ・ 権利擁護支援チームの形成支援機能により示された情報(本人の意向や、対応すべき課題、後見人等に求められる役割、補助・保佐 の活用も含めた想定される類型や必要となる同意・代理行為、収支や財産状況、成年後見制度利用支援事業の対象かどうか、課題解決後の交代を踏まえた後見人等の候補者と選任形態など)を共有し、 これらも含めた各事案の事情を総合的に考慮し、後見人等の適切な 選任を行う。

ウ 「権利擁護支援チームの自立支援」機能と「適切な後見事務の確保」機能→ 成年後見制度の利用開始後に関する場面(後見人等の選任後)における「権利擁護支援チームの自立支援」機能と、「適切な後見事務の確保」機能は、以下のとおり。 ↓
(ア)権利擁護支援チームの自立支援機能 →中核機関や専門職が、地域の実情に応じて各種相談支援機関などと 役割分担し、権利擁護支援チームの体制によって課題解決に向けた支 援を適切に行うことができるよう、必要な支援を行う機能。
a 権利擁護支援チーム開始の支援
⇒・ 後見人等の選任後、後見人等が加わった権利擁護支援チームによ る支援を開始するに当たり、関係者間で、申立て前に想定していた 方針を共有し、役割分担の再確認を行う。具体的には、本人や後見 人等、関係機関などが参加する会議を必要に応じて開催するなどして、支援内容、将来的に後見人等の交代が想定されている場合はその方針などについて共有し、必要に応じて方針を再調整した上で、 後見人等を含めた関係者間で役割を分担する。 ・ 上記の後、権利擁護支援チームの中で、支援の実施状況や課題の解決状況などを確認する時期について、支援の開始時点であらかじ め定めておく。また、必要に応じて、中核機関や専門職などのバッ クアップが必要になる場面や期間を確認しておく。
b 権利擁護支援チームの支援の開始後、必要に応じて行う支援⇒ ・ 支援の開始後は、専門職後見人を含む後見人等や権利擁護支援チ ームの関係者からの相談に応じる。 ・ 必要に応じて、追加して必要となる支援の調整や、後見人等の交代、類型・権限変更などの検討や調整を行う。交代後は、必要に応じて、本人や新旧の後見人等、関係機関などが参加する会議を開催するなどして、新しい後見人等に、本人の状況等が適切に引き継がれるようにする。・ また、あらかじめ定めた時期に、課題の解決の状況等を確認し、 当該チームの自立状況を踏まえて、一旦、中核機関や専門職などによる当該チームへの支援を終結する。ただし、状況が変化した際に、 速やかに相談できる体制を確保しておくことに留意する。
(イ)適切な後見事務の確保機能→ 家庭裁判所には、引き続き以下の機能を発揮することが期待される⇒ ・ 後見監督の一環として、後見人等が行う後見事務(財産管理、身上保護、意思決定支援のほか、報告書作成等の後見事務手続)の適切な遂行のため、司法機関としての立場から後見人等の相談対応や助言を行う。なお、司法機関である家庭裁判所では、身上保護や意 思決定支援に関する相談に対して、福祉的観点からの助言等を行うことは難しいことを考慮し、権利擁護支援チームの自立支援機能と連携して、司法機関としての立場から後見人等の相談対応や助言を行う。 ・ 必要に応じて、指導や指示、監督処分といった後見監督を行う。 ・ 権利擁護支援チームの自立支援機能によって確認された本人の状況や、後見人等の交代、類型・権限変更の検討や調整結果などを参考に、適切な交代や選任形態の見直しを行う。

(3)地域連携ネットワークの機能を強化するための取組−連携・協力による地域づくり

@ 地域連携ネットワークの機能を強化するための取組の考え方
→地域連携ネットワークにおいて、権利擁護支援を行う3つの場面に応じ、 福祉・行政・法律専門職など多様な主体の連携による「支援」機能と、家庭裁判所による「運用・監督」機能を適切に果たすことができるようにするためには、地域・福祉・行政・法律専門職や家庭裁判所などの地域連携 ネットワークの関係者が、以下の3つの視点を持って、自発的に協力して取り組む必要がある。
ア 「共通理解の促進」の視点→ 地域・福祉・行政・法律専門職、そして家庭裁判所など、異なる立場 を有する地域連携ネットワークの関係者が、それぞれの役割を理解し合い、機能を強化するための認識やその方向性を共有する必要がある。
イ 「多様な主体の参画・活躍」の視点→ 地域連携ネットワークの機能を高めていくため、現在活躍している関 係者のみならず、様々な立場の関係者が新たに地域の権利擁護支援に参画して、各々が可能な取組を行い、その取組を拡げていく必要がある。
ウ 「機能強化のためのしくみづくり」の視点→ 多くの関係者が円滑かつ効果的に連携・協力して活動できるしくみを 整備する必要がある。

A 地域連携ネットワークの機能を強化するための取組(地域の体制づくり)/strong>
(p35の一覧表に↓以下が整理されています。)
ア 「権利擁護の相談支援」機能と「制度利用の案内」機能を強化するための取組(権利擁護支援の検討に関する場面)→権利擁護支援の検討に関する場面(成年後見制度の利用前)における 「権利擁護の相談支援」機能と、「制度利用の案内」機能を強化するため の取組は、以下のとおり。↓
(ア)「共通理解の促進」の視点による取組
  a 成年後見制度の必要性など権利擁護支援についての理解の浸透(制度の広報を含む)
⇒・ 成年後見制度を利用する可能性のある本人や家族、地域住民、福祉・行政・法律専門職などの関係者に対し、一般的な広報に加え、 成年後見制度の利用の効果・留意点や制度の活用が有効な事案のほ か、声を上げることができない権利擁護支援を必要としている人を 発見し支援につなげることの重要性などを周知・啓発する(対象者 ごとに訴求内容・方法が異なることから、対象者に合わせて行う必 要がある。また、任意後見・補助・保佐に関する周知活動も強化する。)。 ・ この際、市町村・中核機関には、地域住民や福祉・司法の関係者を対象にした権利擁護支援に関する研修等を行うことが期待される。・ 家庭裁判所には、市町村や都道府県が広報に必要な知識や情報を 得ることができるようにするため、講師派遣や統計データを提供す ることが期待される。 ・ 国は、最新の情報や知見が全国的に共有されることによって地域 連携ネットワークの機能強化が図られるよう、成年後見制度利用促 進ポータルサイトの充実を図る。
b 権利擁護支援に関する相談窓口の明確化と浸透(相談窓口の広報を含む)⇒ ・ 市町村は、権利擁護支援や成年後見制度の利用に関する地域の相 談窓口を明確にする。 ・ その上で、明確にした窓口を地域連携ネットワークの関係者に周 知し浸透させる。
(イ)「多様な主体の参画・活躍」の視点による取組
a 地域で相談・支援を円滑につなぐ連携強化
⇒ ・ 地域の関係者・団体(当事者等団体、地域住民、民間事業者、専門職団体等)が、権利擁護支援を必要とする人やその家族などの様 子を把握したり、身近な立場で相談を受けたりしていることを共有する。 ・ その上で、関係者・団体が受け止めた権利擁護支援に関するニー ズへの対応に悩まないよう、地域で権利擁護支援や相談支援を担う機関(中核機関、地域包括支援センターや基幹相談支援センター等、 介護や障害、生活困窮、子育てなどの各相談支援機関など)は、その役割や連絡先の紹介、相談のつなげ方の確認などを行う。
b 中核機関と各相談支援機関との連携強化⇒・ 中核機関は、地域包括支援センターや基幹相談支援センター等、介護や障害、生活困窮、子育てなどの各相談支援機関と、事例検討 や支援の振り返りなどを通じて、緊急性の判断や、権利擁護支援の必要性、各種支援や中核機関につなげるタイミング、地域にある様々 な権利擁護支援策などを確認し合う。
(ウ)「機能強化のためのしくみづくり」の視点による取組
a 各相談支援機関等の連携のしくみづくり⇒ ・ 市町村は、(イ)の実践を踏まえ、中核機関や地域包括支援センター、基幹相談支援センター等、介護や障害、生活困窮、子育てなどの各相談支援機関が連携を図り、権利擁護支援を必要とする人や関 係者からの相談を受け止め、確認した権利擁護支援ニーズに対し、 必要な支援を行うことができるしくみを整備する。
b 成年後見制度の利用の見極めを行うしくみづくり⇒ ・ 権利擁護支援ニーズの整理から確認できた課題の性質によって、 各相談支援機関が成年後見制度の利用の必要性を確認するためのシ ートの共有、中核機関がケース会議に参加する際のルールづくり、 専門職の派遣のしくみづくりなどを行う。
c 成年後見制度以外の権利擁護支援策の充実・構築 ⇒・ 1(2)「総合的な権利擁護支援策の充実」の内容も踏まえ、地域において、日常生活自立支援事業などの既存の権利擁護支援策の充 実や、それ以外の新たな支援策を検討する。

イ 「権利擁護支援チームの形成支援」機能と「適切な選任形態の判断」 機能を強化するための取組(成年後見制度の利用の開始までの場面)→成年後見制度の利用の開始までの場面(申立ての準備から後見人等の選任まで)における「権利擁護支援チームの形成支援」機能と、「適切な 選任形態の判断」機能を強化するための取組は、以下のとおりで。↓
(ア)「共通理解の促進」の視点による取組
a 選任の考慮要素と受任イメージの共有と浸透
⇒ ・ 都道府県、市町村、中核機関、専門職団体、家庭裁判所などは、 権利擁護支援チームの形成支援としての受任者調整を地域の実情に 応じて進めるため、家庭裁判所が後見人等を選任する際の考慮要素をできる限り共有する。 ・ さらに、個人情報を含まない模擬事例の検討を通じて後見人候補者イメージの共通認識を深める。・ また、受任者調整の際に将来的な後見人等の交代も含めた初期方針が検討できるよう、個人情報を含まない模擬事例の検討を通じて、 交代のタイミングや引き継ぎ方法など交代に関するイメージの共有も進める。
(イ)「多様な主体の参画・活躍」の視点による取組
a 都道府県と市町村による地域の担い手の育成
⇒ 4(2)を参照のこと。
b 専門職団体による専門職後見人の育成⇒4(2)を参照のこと。
(ウ)「機能強化のためのしくみづくり」の視点による取組
a 後見人等候補者の検討・マッチング・推薦のしくみづくり
⇒都道府県と市町村、中核機関は、後見人等の候補者の的確な推薦 を行うことができるよう、家庭裁判所と専門職団体の積極的な協力も得て、候補者の検討方法(検討の体制や候補者推薦の目安など)、 マッチングの手法などを共有できる体制を整える。この際、市民後見人を候補にするのに適した事案かどうかや、どのような属性の候補者がよいかだけの検討ではなく、権利擁護支援チーム形成の観点から、本人の意向や後見人等との相性、課題等に応じた柔軟な選任 形態(複数後見など)、課題解決後の交代等の想定なども検討できる ように留意する。 ・ 家庭裁判所には、上記体制づくりへの協力と、チーム形成の観点から行われる受任者調整のプロセスへの理解が期待される。また、 地域の実情や協議事項等に応じ、家庭裁判所の支部・出張所も含め た協議の実施などの対応も期待される。 ・ 専門職団体には、家庭裁判所や中核機関と連携し、円滑かつ適切に後見人候補者等の推薦を行えるようにしておくことが期待される。
b 市町村と都道府県による市町村長申立て・成年後見制度利用支援 事業を適切に実施するための体制の構築 ・ 4(3)を参照のこと。

ウ 「権利擁護支援チームの自立支援」機能と「適切な後見事務の確保」 機能を強化するための取組(成年後見制度の利用開始後に関する場面)→ 成年後見制度の利用開始後に関する場面(後見人等の選任後)における「権利擁護支援チームの自立支援」機能と、「適切な後見事務の確保」機能を強化するための取組は、以下のとおり。↓
ア)「共通理解の促進」の視点による取組
a 意思決定支援や後見人等の役割についての理解の浸透
⇒ 後見人等の参画した権利擁護支援チームが、意思決定支援に取り組めるよう、保健、医療、福祉、介護、金融等幅広い関係者や地域 住民に対し、意思決定支援の重要性や考え方などについて、研修等 を通じた継続的な普及・啓発を行う。この際、チーム内で適切な役割分担を図るため、後見人等の役割を合わせて伝えていくことが重要。 また、都道府県等には、専門職団体の協力も得て、親族後見人や市民後見人等の後見人等、日常生活自立支援事業の関係者、市町村・ 中核機関の職員に対して、意思決定支援に係る研修等を継続的に行 うことが期待される。
(イ)「多様な主体の参画・活躍」の視点による取組
a 地域の担い手の活躍支援
⇒市町村は、都道府県と連携して、地域の関係機関や専門職団体か らの協力も得つつ、4(2)のとおり、地域の担い手(市民後見人、後見等実施法人)が地域で活躍できるようにするための支援を行う。 この際、住民の社会参加や地域づくりを促進する観点から、市民 後見人の活動内容ややりがいについて広く周知することも重要である。
b 制度の利用者や後見人等からの相談を受ける関係者との連携強化⇒成年後見制度を利用する本人やその家族、後見人等からの相談を 受けることがある地域の関係団体(当事者等団体、専門職団体等)を把握する。その上で、中核機関は、その役割や連絡先等の紹介、関係団体が 受けている相談内容や地域への参加の支援に関連する活動の確認などを行う。
ウ)「機能強化のためのしくみづくり」の視点による取組
a 後見人等では解決できない共通課題への支援策の構築
⇒特定の課題が解決した後の専門職後見人から市民後見人への交代を行うしくみづくりや、身寄りのない被後見人等への緊急時対応や 生活支援、地域への参加の支援等のしくみづくりなど、後見人等や 権利擁護支援チームのみでは解決することができない地域に共通する課題について、地域連携ネットワークの関係者が連携・協力して 実施する支援策を構築する。
b 家庭裁判所と中核機関の適時・適切な連携体制の構築⇒将来的に市民後見人への交代を行う想定をしていた事案について、 交代を検討すべき時期が来た場合や、地域連携ネットワークの関係 者が後見人等の不正を把握した場合などにおいて、家庭裁判所と中核機関が適時・適切に連絡できるしくみを整える。

B 中核機関のコーディネート機能の強化と協議会の運営を通じた連携・協力関係の推進→ 権利擁護支援の地域連携ネットワークが、持続可能な形でその役割を果たせるようにするためには、中核機関のコーディネート機能の強化と、多様な主体による参画や連携・協力を得るための協議会の運営が重要である。
ア 協議会の運営を通じた連携・協力関係の推進→協議会は、各地域において、権利擁護支援チームを支える専門職団体や当事者等団体などを含む団体や地方公共団体等の関係機関が連携を強化し、これらの団体・機関による自発的な協力を進めるしくみである。 成年後見制度が、尊厳のある本人らしい生活の継続を支援し、地域社会への参加を図るものとして利用されるようにするため、協議会の運営 を通じて、多様な主体が理念を共有し、それぞれの役割を発揮しながら 連携・協力していく関係を推進していく必要がある。
(ア)基本的な考え方→ ・ 第一期計画では、成年後見制度に関する専門相談への対応や、家庭裁判所との連携のために、法律・福祉の専門職団体(弁護士会、 リーガルサポート、社会福祉士会等)や地方公共団体等の関係機関 などの福祉関係者等が参画する協議会が設置された。それぞれの果 たしてきた役割は重要であり、引き続き、主体的な参画と自発的協 力が期待される。 ・ 第二期計画では、尊厳のある本人らしい生活の継続の支援という 観点が強められるよう、制度を利用する当事者等の意見を反映でき る団体等に対して、協議会への参画を求めることなども重要になる。 ・ さらに、本人に適切な支援を行えるようにするため、地域の実情に応じて、民生委員協議会、自治会、日本司法支援センター(法テ ラス)、税理士会・行政書士会・精神保健福祉士協会など成年後見制 度について実績のある専門職団体、法人後見を実施する等権利擁護に関する取組を行う団体、消費生活センター、公証役場、金融機関、生活支援サービス等のサービスに係る民間事業者等との連携も求められる。金融機関には、地域連携ネットワークとの連携を図り、 本人の意思を尊重しながら、見守り等の権利擁護支援で役割を発揮することが期待される。
(イ)市町村による協議会→・ 権利擁護支援に関する業務が市町村の福祉部局が有する個人情報を基に行われること、具体的な支援の実施のためには行政や地域の幅広い関係者との連携を調整する必要があることから、引き続き、 市町村は協議会の設置・運営に取り組む必要がある。 ・ 協議会では、多様な主体の参画と自発的協力の下で、権利擁護支 援を行う3つの場面での「支援」や、地域連携ネットワークの機能 を強化するための「取組」を協議する。この際、協議会の効率的な 設置・運営を行うため、権利擁護センター等の運営委員会など既存の会議体を活用する、協議事項に応じて参加者を柔軟に追加・変更する、個別事案の「支援」と地域連携ネットワークの機能を強化するための「取組」を分けて協議するなど、地域の実情に応じた工夫も求められる。
a 権利擁護支援を行う3つの場面における「支援」の検討・協議⇒ ・ 中核機関が成年後見制度を含めた権利擁護支援の相談を受けて、 適切な支援をコーディネートするためには、具体的な支援を検討・協議する場(ケース会議や受任調整会議など)が必要である。具体 的な検討・協議事項としては、場面に応じて以下の項目に記載して いる内容が挙げられる。 ・(2)Aア(ア)権利擁護の相談支援機能。・(2)Aイ(ア)権利擁護支援チームの形成支援機能。・ (2)Aウ(ア)権利擁護支援チームの自立支援機能。・なお、支援困難事案に適切に対応するためには、必要に応じて専 門職団体や当事者団体等から助言を受けられる機会を確保すること が重要である。また、必ずしも項目ごとに定期的に検討・協議の場 を設ける必要はなく、上記の3項目について合わせて検討・協議する、臨時の検討・協議の場を設定するなど、地域の実情に応じた工 夫が求められる。
b 家庭裁判所との連携⇒ 権利擁護支援を行う3つの場面における「支援」機能を強化する ためには、家庭裁判所との間での相互理解を図ることや、個人情報 を含まない模擬事例の検討によって後見人等受任イメージを共有することなど、家庭裁判所と連携するための協議の場を設置するこ とも求められる。
c 地域連携ネットワークの機能を強化するための取組の協議 ⇒・権利擁護支援チームによる支援を充実するためには、地域連携ネットワークの機能を強化するための「取組」を協議する必要がある。 具体的な協議事項としては、以下の項目に記載している内容が挙げられる。
(ウ)都道府県による協議会 →家庭裁判所や専門職団体は都道府県単位など広域で設置されていること、担い手確保などの広域的課題への取組の必要性、家庭裁判所との連携が難しい市町村や、人口規模が小さい山間部や島しょ部 など専門職との連携が十分でない市町村に対する支援の必要性に対 応するため、都道府県にも協議会を設置する必要がある。協議事項 によっては、家庭裁判所の支部・出張所の管轄区域も踏まえて協議 会を設置し、家庭裁判所の支部・出張所も含めて実施することも期 待される。 ・ 協議会では、以下の項目に記載している内容に取り組むことが考えられる。 ・ 担い手を確保・育成するための方針策定や交流の機会の支援(具体的には「4(2)担い手の確保・育成等の推進」に記載) ・ 管内市町村の体制整備等の取組を進めるための具体的支援策の検討(具体的には「4(5)都道府県の機能強化等による地域連携 ネットワークづくりの推進」に記載) ・ なお、都道府県には、受任者調整の検討・協議の場を単独で設置することが難しい市町村でも、具体的な事案で受任者調整を行えるようにするため、都道府県自ら受任者調整の検討・協議の場を設置 するなどの支援を行うことが期待される。
(エ)市町村・都道府県による協議会の運営に関する留意点→協議会の運営は、市町村又は都道府県による直営又は委託などにより行う。協議会の運営を委託等した場合であっても、取組の質が 担保されるよう、設置主体としての責任ある関与が必須となる。市町村又は都道府県が委託する場合等の運営主体については、業 務の中立性・公正性の確保に留意しつつ、専門的業務に継続的に対 応する能力を有する法人(例:社会福祉協議会、NPO法人、公益 法人等)を適切に選定するものとする。
イ 中核機関のコーディネート機能の強化
(ア)基本的な考え方→ 成年後見制度を必要とする人が適切に制度を利用できるようにするためには、中立、公正な立場で制度を説明する相談窓口が必要。全国どの地域においても、尊厳のある本人らしい生活を継続 できるようにするために、中核機関未整備の市町村には、早期に相談窓口を整備することが求められる。その上で、相談を受けた後には、本人の意思・意向を尊重して、 地域に存在する様々な権利擁護支援(権利擁護支援チームによる見守りや意思決定の支援、日常生活自立支援事業の利用、虐待やセルフネグレクトの対応、消費生活センターの相談対応など)など、最もふさわしい支援につなぐことが重要。一方で、権利侵害からの回復などのために早期に成年後見制度の利用による支援につな げるべき場合もある。 ・ 中核機関は、成年後見制度の利用を含めた権利擁護支援のニーズ を精査して見極め、具体的な支援に早期につなぐ必要がある。
(イ)コーディネート機能を強化等するための取組 ・ 実際に行う権利擁護支援を本人中心の支援とするためには、権利 擁護支援の3つの場面における「支援」のコーディネートが機能するしくみづくりが必要(具体的には「ア(イ)市町村による 協議会」、「ア(ウ)都道府県による協議会」に記載)。この際、権利擁護支援を行う3つの場面の「支援」がより効果的に機能するよう、 既存のしくみを活かして高齢・障害分野に分けて相談窓口を整備する、身近な相談窓口は直営、受任者調整の協議や後見開始後の相談 は広域対応という形に分担するなど、地域の実情に応じた工夫を行 うことも考えられる。なお、「支援」のコーディネートに当たっては、 中核機関が相談を受けた事案に永続的に関わり続けるのではなく、 本人に身近な権利擁護支援チームが本人中心の支援を自立して行うことができるようにするという視点も重要。 ・市町村は、中核機関が、専門職団体や当事者団体から助言を受け ながら、権利擁護支援の方針や受任者調整の検討・協議を行えるよ うにする必要がある。人口規模が小さい山間部や島しょ部に所在す る市町村は、オンライン等を活用して、専門的助言を受けられるた めの取組を進める必要がある。 ・ 地域の実情に応じて、中核機関に権利擁護支援の知見がある専門 職を配置する、単独市町村で対応が困難な事案を圏域単位・都道府 県単位で設置される協議の場に持ち込んで、より専門的な助言を得 られるようにすることなども考えられる。なお、中核機関によるア ウトリーチによって、潜在化している権利擁護支援ニーズ等を情報収集することなども期待される。 ・ このほか、市町村は、地域の関係者等に意思決定支援研修を実施 するなどにより意思決定支援の取組を拡げていく、成年後見制度に 関する研修等を実施して制度を必要とする可能性がある人を早期に 把握できるようにするなど、地域の権利擁護支援を充実したものとするための取組を実施する必要がある。 ・ なお、中核機関が、本人や関係者、後見人等との間で、相談を受けた事案に関する課題認識が共有できない場合には、対応が困難になる。このため、国、専門職団体は、このような事案に関して、市 町村・中核機関が関係機関・関係団体と連携しながら対応できるようにするための方策を検討する。
(ウ)中核機関の運営に関する留意点→中核機関の運営は、市町村による直営又は市町村からの委託など により行う。市町村は、中核機関の運営を委託等した場合であっても、取組の質が担保されるよう、設置主体としての責任ある関与が必須となる。 ・ 市町村が委託する場合等の運営主体については、業務の中立性・ 公正性の確保に留意しつつ、専門的業務に継続的に対応する能力を 有する法人(例:社会福祉協議会、NPO法人、公益法人等)を適切に選定するものとする。

(4)包括的・多層的な支援体制の構築
@ 基本方針
→(1)@イで示したとおり、地域連携ネットワークは、地域における多 様な分野・主体が関わる「包括的」なものとする必要があり、また、圏域 や都道府県単位の権利擁護支援のしくみも重ね合わせた「多層的」なもの にしていく必要がある。
A 市町村による「包括的」な支援体制の構築⇒市町村は、地域連携ネットワークを「包括的」なものにしていくため、 (3)Aに記載した地域連携ネットワークの機能を強化するための取組を進める中で、介護や障害、生活困窮、子育てなど各分野のしくみと有機的に連携できる体制づくりを行う。 ・ 権利擁護支援ニーズは、本人や家族、関係者等からの相談を受け止める 中で把握できるものである。このことから、以下に示す権利擁護の相談支 援機能を強化するための取組の中で、必要な人に権利擁護支援を行うためのしくみづくりを進めることが重要である。⇒ ・ 地域で相談・支援を円滑につなぐ連携強化((3)Aウ(イ)a) ・ 中核機関と各相談支援機関との連携強化((3)Aウ(イ)b) ・ 各相談支援機関等との連携のしくみづくり((3)Aウ(ウ)a) ・ また、第二期計画では、地域連携ネットワークの趣旨として、地域社会 への参加の支援の観点を含めていくことにしている。そのため、市町村に は、国が示した考え方を参考に、地域共生社会実現に向けた包括的な支 援体制づくり(包括的な相談対応や、継続的な支援・参加支援を図る多機関の協働、地域づくり)の中で、権利擁護支援を必要としている人のニー ズへの対応も含めたしくみをつくっていくことが期待される。

B 都道府県による「多層的」な支援体制の構築 →都道府県は、市町村による「包括的」な支援体制では対応が困難な事案 等に対して、助言等の支援を行うことができる「多層的」な権利擁護支援 のしくみをつくる必要がある。 ・ 具体的には、都道府県は、国が都道府県における権利擁護支援等の助言 の担い手として養成する専門的アドバイザーを活用して、必要な助言等を 行うなど市町村支援の体制を確保する。このほか、都道府県単位の協議会 で、市町村等からの相談等を通じて把握した権利擁護支援ニーズを共有し、これらに対応した圏域単位や都道府県単位の権利擁護支援のしくみを検 討することが期待される。

C 国による「包括的」「多層的」な支援体制づくりの支援→ 国は、市町村が包括的な地域連携ネットワークづくりを効果的に進める ことができるよう、例えば、以下のような重層的支援体制整備事業と連携 した取組を進める。⇒ ・ 市町村が、成年後見制度利用促進の取組と重層的支援体制整備事業を 連携して実施する際の留意点の明示。 ・ 権利擁護支援ニーズにも対応した、包括的な相談対応、継続的な支援・ 参加支援を図る多機関の協働、地域づくりの好事例の収集。 ・ 重層的支援体制整備や地域連携ネットワークづくりに関わる好事例等 を市町村の関係部局に情報提供。・ 国は、都道府県が権利擁護支援の体制づくりを効果的に進めることがで きるよう、成年後見制度利用促進などの権利擁護支援に関する事業間の連携を有機的に可能にするための考え方を示す。 ・ 国は、今後、重層的支援体制整備事業の実施状況等を勘案しつつ、その 見直しを検討する際には、市町村や都道府県による権利擁護支援の取組 状況等も踏まえた当該事業の効果的な取組方策を検討する必要がある。

次回も続き「4 優先して取り組む事項」からです。

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