CANPAN ブログ検索
Loading
  • もっと見る
« 2021年11月 | Main | 2022年01月»
<< 2021年12月 >>
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
最新記事
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
日別アーカイブ
第1回「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」 [2021年12月13日(Mon)]
第1回「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」(令和3年12月6日)
《議題》(1)精神障害の労災認定の基準について (2)その他
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_22601.html
◎【資料1】専門検討会開催要綱
1 趣旨・目的
→ 業務による心理的負荷を原因とする精神障害については、平成 23 年 12 月に策定した「心理的負荷による精神障害の認定基準について」に基 づき労災認定を行っているところであるが、精神障害に係る労災請求件数は、平成 30 年度には 1,820 件にのぼり、6年連続で過去最多を更新しており、今後も増加が見込まれる状況にある。 また、認定基準の策定以降、働き方の多様化が進み、労働者を取り巻く職場環境が変 化する中、令和元年6月にはパワーハラスメント対策が法制化されるなど、新たな社会 情勢の変化も生じている。 このような状況を踏まえ、大臣官房審議官(労災、建設・自動車運送分野担当)が、 臨床精神医学者や労働者災害補償保険法等に精通した専門家に参集を求め、最新の医学 的知見に基づき、専門的見地から認定基準について検討を行うこととする。
2 検討事項→(1) パワーハラスメント対策の法制化を踏まえた認定基準の検討 (2) 精神障害に関する最新の医学的知見等を踏まえた認定基準の検討

○「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」参集者名簿→11名。

◎【資料2】精神障害の労災補償状況等
1.精神障害の労災補償状況→平成11 年度〜 令和2 年度⇒請求件数・自殺は増加。
2.業種別支給決定件数 →医療・福祉分野が多く、次は製造業と続く。
3.職種別支給決定件数 →専門的・技術的職業従事者が多い。
4.年齢別支給決定件数 →30 〜 39 歳が多く、次に20 〜29 歳へ。
5.1か月平均の時間外労働時間数別支給決定件数 →その他(46%)⇒注 その他の件数は、出来事による心理的負荷が強度であると認められる事案等、労働時間を調査するまでもなく明らかに業務上と判断した事案の件数である。
6.就業形態別支給決定件数 →正規職員・従業員 87%(うち自殺14% )
7.出来事別決定及び支給決定件数 →「上司とのトラブルがあった」「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」の順の件数。
8.精神障害等事案の平均処理期間及び中央値→平成19年度〜令和2年度グラフ 参照。

◎【資料3】精神障害事案に関する審査請求・訴訟の状況 →<審査請求><訴訟> 参照。

◎【資料4】精神障害の現状(患者数、自殺者数)
・「精神及び行動の障害」に係る推計患者数→平成29年(512.9千人)まで。
・自殺者数の推移→令和2年21,081人。男性が多い。
・自殺の原因・動機別の推移→減少しているものの、健康問題が多い。


◎【資料5】精神障害の労災認定に関する関係法令
○労働基準法(昭和 22 年法律第 49 号)(抄)
(療養補償)
第 75 条 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかつた場合においては、使用者 は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければな らない。 A 前項に規定する業務上の疾病及び療養の範囲は、厚生労働省令で定める。

○労働者災害補償保険法(昭和 22 年法律第 50 号)(抄)
(業務災害に関する保険給付の種類)
第 12 条の8 (第1項 略)
A 前項の保険給付(傷病補償年金及び介護補償給付を除く。)は、労働基準法 第 75 条から第 77 条まで、第 79 条及び第 80 条に規定する災害補償の事由又 は船員法(昭和 22 年法律第 100 号)第 89 条第1項、第 91 条第1項、第 92 条 本文、第 93 条及び第 94 条に規定する災害補償の事由(同法第 91 条第1項に あつては、労働基準法第 76 条第1項に規定する災害補償の事由に相当する部 分に限る。)が生じた場合に、補償を受けるべき労働者若しくは遺族又は葬祭 を行う者に対し、その請求に基づいて行う。 (第3項 略)
○労働基準法施行規則(昭和 22 年厚生省令第 23 号)(抄)
(業務上の疾病
) 第 35 条 法第 75 条第2項の規定による業務上の疾病は、別表第1の2に掲げ る疾病とする。 別表第1の 2(第 35 条関係) 九 人の生命にかかわる事故への遭遇その他心理的に過度の負担を与える事象 を伴う業務による精神及び行動の障害又はこれに付随する疾病

◎【資料6】精神障害の認定の基準の改正の経過
○ 昭和 59 年  設計技術者に生じた反応性うつ病を業務上と認定
○ 平成 11 年9月(策定) 「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針について」 「精神障害による自殺の取扱いについて
」→精神障害の労災請求が増加したことを背景に、事案を迅速・適正に処理 するため、一定の基準を明確化する必要が生じたことから、判断指針を策定。判断要件を示し、「職場における心理的負荷評価表」に基づき、心理的 負荷の強度を評価。業務上の精神障害を発病した者の自殺について業務起因性を推定。
○ 平成 21 年4月(改正)→「職場における心理的負荷評価表」の見直し(「ひどい嫌がらせ、いじ め、又は暴行を受けた」の追加等)
○ 平成 23 年 12 月(策定)「心理的負荷による精神障害の認定基準について」→精神障害の労災請求が大幅に増加したことから、審査のさらなる迅速化 及び効率化を図るため認定基準を策定し、基準を具体化・明確化。 「業務による心理的負荷評価表」において、「強」「中」「弱」の心理的 負荷の具体例を明示。 極度の長時間労働や「強」の心理的負荷となる時間外労働時間数を明示。 発病後に特に強い心理的負荷により悪化した場合は、業務上の疾病と して取り扱う。「セクシュアルハラスメント」を独立した分類とし、評価に当たっての 留意事項を明示。
○ 令和2年5月(改正)→ 「パワーハラスメント」を「業務による心理的負荷評価表」に明示し、 具体的出来事を明確化
○ 令和2年8月(改正)→ 複数業務要因災害に対応


◎【資料7】精神障害の労災認定に関する関係通達
◎平成 23 年 12 月 26 日付け基発 1226 第1号「心理的負荷による精神障害の 認定基準について」(最終改正令和2年8月 21 日)
○心理的負荷による精神障害の認定基準
第1 対象疾病
第2 認定要件
→1 対象疾病を発病していること。 2 対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認 められること。 3 業務以外の心理的負荷及び個体側要因により対象疾病を発病したとは認め られないこと。
第3 認定要件に関する基本的な考え方→対象疾病の発病の有無、発病の時期及び疾患名について明確な医学的判断がある ことに加え、当該対象疾病の発病の前おおむね6か月の間に業務による強い心理的負荷が認められることを掲げている。
この場合の強い心理的負荷とは、精神障害を発病した労働者がその出来事及 び出来事後の状況が持続する程度を主観的にどう受け止めたかではなく、同種 の労働者が一般的にどう受け止めるかという観点から評価されるものであり、 「同種の労働者」とは職種、職場における立場や職責、年齢、経験等が類似す る者をいう。 さらに、これらの要件が認められた場合であっても、明らかに業務以外の心理 的負荷や個体側要因によって発病したと認められる場合には、業務起因性が否定 されるため、認定要件を上記第2のとおり定めた。

第4 認定要件の具体的判断
1 発病の有無等の判断
→ 対象疾病の発病の有無、発病時期及び疾患名は、「ICD−10 精神および 行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン」(「診断ガイドライン」) に基づき、主治医の意見書や診療録等の関係資料、請求人や関係者からの聴取内容、その他の情報から得られた認定事実により、医学的に判断される。特に発病 時期については特定が難しい場合があるが、そのような場合にもできる限り時期 の範囲を絞り込んだ医学意見を求め判断する。 なお、強い心理的負荷と認められる出来事の前と後の両方に発病の兆候と理 解し得る言動があるものの、どの段階で診断基準を満たしたのかの特定が困難 な場合には、出来事の後に発病したものと取り扱う。 精神障害の治療歴のない事案→主治医意見や診療録等が得られず発 病の有無の判断も困難となるが、この場合にはうつ病エピソードのように症状に 周囲が気づきにくい精神障害もあることに留意しつつ関係者からの聴取内容等 を医学的に慎重に検討し、診断ガイドラインに示されている診断基準を満たす事 実が認められる場合又は種々の状況から診断基準を満たすと医学的に推定され る場合には、当該疾患名の精神障害が発病したものとして取り扱う。


2 業務による心理的負荷の強度の判断
(1)「特別な出来事」に該当する出来事がある場合
発病前おおむね6か月の間に、別表1の「特別な出来事」に該当する業務 による出来事が認められた場合には、心理的負荷の総合評価を「強」と判断する。
(2)「特別な出来事」に該当する出来事がない場合
ア 「具体的出来事」への当てはめ 発病前おおむね6か月の間に認められた業務による出来事が、別表1の 「具体的出来事」のどれに該当するかを判断。ただし、実際の出来事が 別表1の「具体的出来事」に合致しない場合には、どの「具体的出来事」に 近いかを類推して評価。 なお、別表1では、「具体的出来事」ごとにその平均的な心理的負荷の強 度を、強い方から「V」、「U」、「T」として示している。
イ 出来事ごとの心理的負荷の総合評価 →(ア)該当する「具体的出来事」に示された具体例の内容に、認定した「出 来事」や「出来事後の状況」についての事実関係が合致する場合には、 その強度で評価する。 (イ)事実関係が具体例に合致しない場合には、「具体的出来事」ごとに示 している「心理的負荷の総合評価の視点」及び「総合評価における共通 事項」に基づき、具体例も参考としつつ個々の事案ごとに評価する。 なお、「心理的負荷の総合評価の視点」及び具体例は、次の考え方に 基づいて示しており、この考え方は個々の事案の判断においても適用す べきものである。また、具体例はあくまでも例示であるので、具体例の 「強」の欄で示したもの以外は「強」と判断しないというものではない。  ⇒a 類型@「事故や災害の体験」は、出来事自体の心理的負荷の強弱を 特に重視した評価としている。 b 類型@以外の出来事については、「出来事」と「出来事後の状況」 の両者を軽重の別なく評価しており、総合評価を「強」と判断するのは次のような場合である。⇒(a)出来事自体の心理的負荷が強く、その後に当該出来事に関する本人 の対応を伴っている場合 (b)出来事自体の心理的負荷としては「中」程度であっても、その後に 当該出来事に関する本人の特に困難な対応を伴っている場合 c 上記bのほか、いじめやセクシュアルハラスメントのように出来事 が繰り返されるものについては、繰り返される出来事を一体のものと して評価し、また、「その継続する状況」は、心理的負荷が強まるも のとしている。
(3)出来事が複数ある場合の全体評価
ア 上記(1)及び(2)によりそれぞれの出来事について総合評価を行い、 いずれかの出来事が「強」の評価となる場合は、業務による心理的負荷を 「強」と判断する。
イ いずれの出来事でも単独では「強」の評価とならない場合には、それら の複数の出来事について、関連して生じているのか、関連なく生じている のかを判断した上で、⇒ @ 出来事が関連して生じている場合には、その全体を一つの出来事とし て評価することとし、原則として最初の出来事を「具体的出来事」として 別表1に当てはめ、関連して生じた各出来事は出来事後の状況とみなす 方法により、その全体評価を行う。 具体的には、「中」である出来事があり、それに関連する別の出来事(そ れ単独では「中」の評価)が生じた場合には、後発の出来事は先発の出来 事の出来事後の状況とみなし、当該後発の出来事の内容、程度により「強」 又は「中」として全体を評価する。 A 一つの出来事のほかに、それとは関連しない他の出来事が生じている 場合には、主としてそれらの出来事の数、各出来事の内容(心理的負荷の 強弱)、各出来事の時間的な近接の程度を元に、その全体的な心理的負荷 を評価する。 具体的には、単独の出来事の心理的負荷が「中」である出来事が複数生 じている場合には、全体評価は「中」又は「強」となる。また、「中」の 出来事が一つあるほかには「弱」の出来事しかない場合には原則として全 体評価も「中」であり、「弱」の出来事が複数生じている場合には原則と して全体評価も「弱」となる。
(4)時間外労働時間数の評価
ア 極度の長時間労働による評価→ 極度の長時間労働は、心身の極度の疲弊、消耗を来し、うつ病等の原因 となることから、発病日から起算した直前の1か月間におおむね160時 間を超える時間外労働を行った場合等には、当該極度の長時間労働に従事 したことのみで心理的負荷の総合評価を「強」とする。
イ 長時間労働の「出来事」としての評価 →長時間労働以外に特段の出来事が存在しない場合には、長時間労働それ 自体を「出来事」とし、新たに設けた「1か月に80時間以上の時間外労 働を行った(項目16)」という「具体的出来事」に当てはめて心理的負荷 を評価する。 項目16の平均的な心理的負荷の強度は「U」であるが、発病日から起 算した直前の2か月間に1月当たりおおむね120時間以上の時間外労働 を行い、その業務内容が通常その程度の労働時間を要するものであった場 合等には、心理的負荷の総合評価を「強」とする。項目16では、「仕事内 容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった(項目15)」と 異なり、労働時間数がそれ以前と比べて増加していることは必要な条件で はない。 なお、他の出来事がある場合には、時間外労働の状況は下記ウによる総 合評価において評価されることから、原則として項目16では評価しない。 ただし、項目16で「強」と判断できる場合には、他に出来事が存在して も、この項目でも評価し、全体評価を「強」とする。
ウ 恒常的長時間労働が認められる場合の総合評価 出来事に対処するために生じた長時間労働は、心身の疲労を増加させ、 ストレス対応能力を低下させる要因となることや、長時間労働が続く中で 発生した出来事の心理的負荷はより強くなることから、出来事自体の心理 的負荷と恒常的な長時間労働(月100時間程度となる時間外労働)を関 連させて総合評価を行う。 具体的には、「中」程度と判断される出来事の後に恒常的な長時間労働 が認められる場合等には、心理的負荷の総合評価を「強」とする。 なお、出来事の前の恒常的な長時間労働の評価期間は、発病前おおむね 6か月の間とする。

(5)出来事の評価の留意事項
@ 業務上の傷病により6か月を超えて療養中の者が、その傷病によって生じ た強い苦痛や社会復帰が困難な状況を原因として対象疾病を発病したと判 断される場合には、当該苦痛等の原因となった傷病が生じた時期は発病の6 か月よりも前であったとしても、発病前おおむね6か月の間に生じた苦痛等 が、ときに強い心理的負荷となることにかんがみ、特に当該苦痛等を出来事 (「(重度の)病気やケガをした(項目1)」)とみなすこと。
A いじめやセクシュアルハラスメントのように、出来事が繰り返されるもの については、発病の6か月よりも前にそれが開始されている場合でも、発病 前6か月以内の期間にも継続しているときは、開始時からのすべての行為を 評価の対象とすること。
B 生死にかかわる業務上のケガをした、強姦に遭った等の特に強い心理的 負荷となる出来事を体験した者は、その直後に無感覚等の心的まひや解離 等の心理的反応が生じる場合があり、このため、医療機関への受診時期が 当該出来事から6か月よりも後になることもある。その場合には、当該解 離性の反応が生じた時期が発病時期となるため、当該発病時期の前おおむ ね6か月の間の出来事を評価すること。
C 本人が主張する出来事の発生時期は発病の6か月より前である場合であ っても、発病前おおむね6か月の間における出来事の有無等についても調査 し、例えば当該期間における業務内容の変化や新たな業務指示等が認められ るときは、これを出来事として発病前おおむね6か月の間の心理的負荷を評 価すること。

3 業務以外の心理的負荷及び個体側要因の判断
@ 業務以外の心理的負荷及び個体側要因が認められない場合
A 業務以外の心理的負荷又は個体側要因は認められるものの、業務以外の心 理的負荷又は個体側要因によって発病したことが医学的に明らかであると 判断できない場合
(1) 業務以外の心理的負荷の判断
ア 業務以外の心理的負荷の強度→対象疾病の発病前おおむね6 か月の間に、対象疾病の発病に関与したと考えられる業務以外の出来事の 有無を確認し、出来事が一つ以上確認できた場合は、それらの出来事の心 理的負荷の強度について、別表2「業務以外の心理的負荷評価表」を指標と して、心理的負荷の強度を「V」、「U」又は「T」に区分する。
イ 出来事が確認できなかった場合には、上記@に該当するものと取り扱う。
ウ 強度が「U」又は「T」の出来事しか認められない場合は、原則として上 記Aに該当するものと取り扱う。
エ 「V」に該当する業務以外の出来事のうち心理的負荷が特に強いものが ある場合や、「V」に該当する業務以外の出来事が複数ある場合等について は、それらの内容等を詳細に調査の上、それが発病の原因であると判断す ることの医学的な妥当性を慎重に検討して、上記Aに該当するか否かを判 断する。
(2) 個体側要因の評価 本人の個体側要因については、その有無とその内容について確認
し、個体 側要因の存在が確認できた場合には、それが発病の原因であると判断するこ との医学的な妥当性を慎重に検討して、上記Aに該当するか否かを判断する。 業務による強い心理的負荷が認められる事案であって個体側要因によって発 病したことが医学的に見て明らかな場合としては、例えば、就業年齢前の若 年期から精神障害の発病と寛解を繰り返しており、請求に係る精神障害がそ の一連の病態である場合や、重度のアルコール依存状況がある場合等がある。

第5 精神障害の悪化の業務起因性 →業務以外の原因や業務による弱い(「強」と評価できない)心理的負荷によ り発病して治療が必要な状態にある精神障害が悪化した場合、悪化の前に強い 心理的負荷となる業務による出来事が認められることをもって直ちにそれが 当該悪化の原因であるとまで判断することはできず、原則としてその悪化につ いて業務起因性は認められない。 ただし、別表1の「特別な出来事」に該当する出来事があり、その後おおむ ね6か月以内に対象疾病が自然経過を超えて著しく悪化したと医学的に認め られる場合については、その「特別な出来事」による心理的負荷が悪化の原因 であると推認し、悪化した部分について、労働基準法施行規則別表第1の2第 9号に該当する業務上の疾病として取り扱う。 上記の「治療が必要な状態」とは、実際に治療が行われているものに限らず、 医学的にその状態にあると判断されるものを含む。

第6 専門家意見と認定要件の判断 認定要件を満たすか否かを判断するに当たっては、医師の意見と認定した事 実に基づき次のとおり行う。
1 主治医意見による判断→ すべての事案(対象疾病の治療歴がない自殺に係る事案を除く。)について、 主治医から、疾患名、発病時期、主治医の考える発病原因及びそれらの判断の根拠についての意見を求める。 その結果、労働基準監督署長(以下「署長」という。)が認定した事実と主 治医の診断の前提となっている事実が対象疾病の発病時期やその原因に関して 矛盾なく合致し、その事実を別表1に当てはめた場合に「強」に該当すること が明らかで、下記2又は3に該当しない場合には、認定要件を満たすものと判 断する。
2 専門医意見による判断
@ 主治医が発病時期やその原因を特定できない又はその根拠等があいまいな 事案等、主治医の医学的判断の補足が必要な事案
A 疾患名が、ICD−10のF3(気分(感情)障害)及びF4(神経症性 障害、ストレス関連障害および身体表現性障害)以外に該当する事案
B 署長が認定した事実関係を別表1に当てはめた場合に、「強」に該当しな い(「中」又は「弱」である)ことが明らかな事案 C 署長が認定した事実関係を別表1に当てはめた場合に、明確に「強」に該 当するが、業務以外の心理的負荷又は個体側要因が認められる事案(下記3 Bに該当する事案を除く。)
3 専門部会意見による判断
@ 自殺に係る事案
A 署長が認定した事実関係を別表1に当てはめた場合に、「強」に該当する かどうかも含め判断しがたい事案
B 署長が認定した事実関係を別表1に当てはめた場合に、明確に「強」に該 当するが、顕著な業務以外の心理的負荷又は個体側要因が認められる事案
C その他、専門医又は署長が、発病の有無、疾患名、発病時期、心理的負荷 の強度の判断について高度な医学的検討が必要と判断した事案
4 法律専門家の助言→ 関係者が相反する主張をする場合の事実認定の方法や関係する法律の内容 等について、法律専門家の助言が必要な場合には、医学専門家の意見とは別 に、法務専門員等の法律専門家の意見を求める。

第7 療養及び治ゆ 心理的負荷による精神障害は、その原因を取り除き、適切な療養を行えば全治し、再度の就労が可能となる場合が多いが、就労が可能な状態でなくとも治 ゆ(症状固定)の状態にある場合もある。 例えば、医学的なリハビリテーション療法が実施された場合には、それが行 われている間は療養期間となるが、それが終了した時点が通常は治ゆ(症状固 定)となる。また、通常の就労が可能な状態で、精神障害の症状が現れなくな った又は安定した状態を示す「寛解」との診断がなされている場合には、投薬 等を継続している場合であっても、通常は治ゆ(症状固定)の状態にあると考 えられる。 療養期間の目安を一概に示すことは困難であるが、例えば薬物が奏功するう つ病について、9割近くが治療開始から6か月以内にリハビリ勤務を含めた職 場復帰が可能となり、また、8割近くが治療開始から1年以内、9割以上が治 療開始から2年以内に治ゆ(症状固定)となるとする報告がある。 なお、対象疾病がいったん治ゆ(症状固定)した後において再びその治療が 必要な状態が生じた場合は、新たな発病と取り扱い、改めて上記第2の認定要 件に基づき業務上外を判断する。 治ゆ後、症状の動揺防止のため長期間にわたり投薬等が必要とされる場合に はアフターケア(平成19年4月23日付け基発第0423002号)を、一 定の障害を残した場合には障害補償給付(労働者災害補償保険法第15条)を、 それぞれ適切に実施する。

第8 その他
1 自殺について
→業務によりICD−10のF0からF4に分類される精神障害を発病したと 認められる者が自殺を図った場合には、精神障害によって正常の認識、行為選 択能力が著しく阻害され、あるいは自殺行為を思いとどまる精神的抑制力が著 しく阻害されている状態に陥ったものと推定し、業務起因性を認める。 その他、精神障害による自殺の取扱いについては、従前の例(平成11年9 月14日付け基発第545号)による。
2 セクシュアルハラスメント事案の留意事項→@セクシュアルハラスメントを受けた者は、勤 務を継続したいとか、セクシュアルハラスメントを行った者からのセクシュアルハラスメントの被害をできるだけ軽くしたいと の心理などから、やむを得ず行為者に迎合するようなメール等を送ることや、 行為者の誘いを受け入れることがあるが、これらの事実がセクシュアルハラス メントを受けたことを単純に否定する理由にはならないこと。 A 被害者→被害を受けてからすぐに相談行動をとらないことがあるが、この事実が心理的負荷が弱いと単純に判断する理由にはならないこと。 B 被害者→医療機関でもセクシュアルハラスメントを受けたということを すぐに話せないこともあるが、初診時にセクシュアルハラスメントの事実を申 し立てていないことが心理的負荷が弱いと単純に判断する理由にはならない こと。 C 行為者が上司であり被害者が部下である場合、行為者が正規職員であり被 害者が非正規労働者である場合等、行為者が雇用関係上被害者に対して優越的 な立場にある事実は心理的負荷を強める要素となり得ること。
3 本省協議 →ICD−10のF5からF9に分類される対象疾病に係る事案及び本認定基 準により判断することが適当ではない事案については、本省に協議すること。

第9 複数業務要因災害 労働者災害補償保険法第7条第1項第2号に定める複数業務要因災害による 精神障害に関しては、本認定基準を下記1のとおり読み替えるほか、本認定基準 における心理的負荷の評価に係る「業務」を「二以上の事業の業務」と、また、 「業務起因性」を「二以上の事業の業務起因性」と解した上で、本認定基準に基 づき、認定要件を満たすか否かを判断する。 その上で、上記第4の2及び第6に関し下記2及び3に規定した部分につい ては、これにより判断すること。 ↓
1 認定基準の読み替え
(1)上記第2及び第5の「労働基準法施行規則別表第1の2第9号に該当する業 務上の疾病」を「労働者災害補償保険法施行規則第18条の3の6に規定する労 働基準法施行規則別表第1の2第9号に掲げる疾病」と読み替える。
(2)上記第7の「業務上外」を「複数業務要因災害と認められるか否か」と読み替える。 2 二以上の事業の業務による心理的負荷の強度の判断
(1)二以上の事業において業務による出来事が事業ごとにある場合→上記第 4の2(2)により異なる事業における出来事をそれぞれ別表1の具体的出来 事に当てはめ心理的負荷を評価した上で、上記第4の2(3)により心理的負 荷の強度を全体的に評価する。ただし、異なる事業における出来事が関連して 生じることはまれであることから、上記第4の2(3)イについては、原則と して、Aにより判断することとなる。
(2)心理的負荷を評価する際、異なる事業における労働時間、労働日数はそれぞれ通算。 (3)上記(1)及び(2)に基づく判断に当たっては、それぞれの事業における職場の支援等の心理的負荷の緩和要因をはじめ、二以上の事業で労働するこ とによる個別の状況を十分勘案して、心理的負荷の強度を全体的に評価する。
3 専門家意見と認定要件の判断→ 複数業務要因災害に関しては、上記第6の1において主治医意見により判断 する事案に該当するものについても、主治医の意見に加え、地方労災医員等の専 門医に対して意見を求め、その意見に基づき認定要件を満たすか否かを判断する。
○別表1業務による心理的負荷評価表
・特別な出来事→心理的負荷が極度のもの、極度の長時間労働⇒心理的負荷の総合評価を「強」とするもの
・特別な出来事以外→(総合評価における共通事項)
(具体的出来事)→心理的負荷の強度を「弱」「中」「強」と判断する具体例⇒37まで。
○別表2 業務以外の心理的負荷評価表→心理的負荷の強度T U Vの具体的出来事@〜E

◎平成 23 年 12 月 26 日付け基労補発 1226 第1号「心理的負荷による精神障 害の認定基準の運用等について」
→1から4まで
・(別添) 認定基準と判断指針の主な相違点→1から9まで。
・参考1 業務による具体的出来事等の新旧対照表
・参考2 具体的出来事の統合関係一覧
・参考3 専門家の意見の聴取・判断の流れ

◎令和2年5月 29 日付け基補発 1226 第1号「心理的負荷による精神障害の 認定基準の改正に係る運用上の留意点について」 ↓
第1 検討の経緯及び改正の趣旨
第2 主な改正点 →1 具体的出来事等へのパワーハラスメントの追加  2 具体的出来事「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」の修正  
第3 運用上の留意点 →1 具体的出来事等におけるパワーハラスメントについて 2 「具体的出来事」の見直しに伴う適切な評価について 3 繰り返されるパワーハラスメントの取扱い
第4 改正認定基準の周知等→ 職員研修等の実施など。

◎平成 11 年9月 14 日付け基発第 545 号「精神障害による自殺の取扱いにつ いて」
→業務上の精神障害によって、正常の認識、行為選択能力が著しく阻害され、又は 自殺行為を思いとどまる精神的な抑制力が著しく阻害されている状態で自殺が行われたと認められる場合には、結果の発生を意図した故意には該当しない。

次回も続き「【資料8-1】精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会報告書」からです。

| 次へ