地域における保育所・保育士等の在り方に関する検討会(第7回)資料 [2021年12月07日(Tue)]
地域における保育所・保育士等の在り方に関する検討会(第7回)資料(令和3年11月22日)
《議題》(1)取りまとめ(素案)について (2)その他 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_22321.html ◎参考資料2 骨子(案)(令和3年 11 月 16 日第 37 回社会保障審議会児童部会社会的養育 専門委員会資料 ○骨子(案) ↓ T.支援を確実に結びつける体制の構築 (1) つながる機会の拡充 @ 生まれる前からのつながる機会 →生まれる前からつながり安心・安全な出産・育児ができるよう、妊娠時に 早期に支援につながる環境を整えていくことが重要であり、つながる機会 の拡大については、量的・質的の両側面から検討する必要がある。 ・量的な観点→ 低所得の若年妊婦など、孤立した状況に陥り支援の必要性が高い妊婦を 早期に把握し、必要な支援につなぐため、妊娠検査に対する支援。加えて、健診未受診の妊婦や、家庭の状況から、孤立した育児に陥るな ど育児が困難になることが予想される妊婦等を対象とした家庭訪問によ る状況把握 などを行うことを検討する。 ・質的な観点からは、乳幼児健診等の機会を活用して、子や親の心理的・社 会的な側面についてもさらに状況を把握できるようにしていく。 A 相談についての心理的・物理的アクセスの向上→全ての妊産婦、子育て世帯、子どもが悩み等を気軽に相談できる環境が必 要。このため、地域の実情に応じて、保育所、認定こども園、児童館、地域子育て支援拠点などの身近にアクセスできる子育て支援の資源などが、これ らを利用していない世帯も含めて、身近な相談先としての機能を果たして いく。 このため、市区町村はこのような身近な相談機能を地域に整備するよう努めるものとする。この際、身近な相談先を担う施設等において十分な体 制が確保されるよう支援の在り方を検討することが必要。なお、この身近な相談先については、市区町村が、その域内で複数設け、 その中から各子育て世帯が選択し、登録する形で利用する方式とすること なども含め、継続的な支援を提供できるような仕組みとなるよう検討する。 (2)市区町村等におけるマネジメントの強化 ・市区町村において、現行の子ども家庭総合支援拠点と子育て世代包括支 援センターを再編し、全ての妊産婦、全ての子育て世帯、全ての子どもの一 体的相談を行う機能を有する機関の設置に努めることとする。なお、この相談機関については、市区町村の状況を踏まえつつ、段階的に機能の充実と整備を図るものとする。 この相談機関では、妊娠届けからの妊産婦支援に始まり、子育て世帯や子 どもからの相談を受けて支援をつなぐためのマネジメントを行う。また、地 域資源の把握や創生の役割も担っていく。 この相談機関又は市区町村は、支援をつなぐためのマネジメントにおい て具体的な支援提供計画を示す「サポートプラン」(仮称)の作成を行う運 用とし、特に支援の必要性の高い世帯を計画的・効果的に支援するためのも のとして活用する。また、このプラン作成において、保護者や子どもに寄り 添ったものとなるようなものとすることが重要。 ・この相談機関については、現行の相談機関の再編の中で機能が低下する ことがないよう、相談機関において求められる機能を果たすために必要な人員配置とその人材確保に努める。一方で、実際の配置において限られた人 材の有効的な活用を進めるための人員配置の弾力的運用を可能としていく。 U.安心して子育てができるための支援の充実 (1) 全ての子育て世帯の家庭・養育環境への支援 @ 基本的な考え方 ・子を持つ親が仕事と家庭を両立していくため、保育サービスの整備につ いて取組が進められ、一定の効果が見られるようになってきている。他方で、 子育てする親や子どもの家庭環境、養育環境をより良くするための支援に ついて充実を図る必要がある。具体的には、以下の切り口から支援の量や種 類について確認し、その充実を図る。⇒ ア:子育てする親の負担や悩みを軽減する イ:子ども自身の悩みや孤立感などを受け止め支援する ウ:より良い親子関係の構築に向けて支援する ・この家庭環境、養育環境をより良くするための支援は、市区町村による家 庭に対する子育て支援の1つであるから、子ども・子育て支援法の地域子ども・子育て支援事業に位置づけ、市区町村による計画的な整備を求めるもの とする。 加えて、家庭環境、養育環境をより良くするための支援は、基本的には全 ての子育て世帯を対象とする支援であるが、支援の必要性の高い子育て世 帯の親や子ども(※)に対して可能な限り行き届くようにする必要がある。 このため、市区町村が、以下のとおり、必要と判断した場合に市区町村の責 任の下で支援を提供していくことを可能とする。 ⇒ 家庭環境や養育環境を支える支援を求める子育て世帯や児童に対し必 要な支援を確保することとしつつ、 優先的に支援を必要とすると認められる世帯や児童について、支援の利 用申し込みを勧奨し、家庭環境や養育環境を支える支援を受けることが できるよう支援すること、 ・ 支援を受けることが著しく困難であると認める場合、家庭環境や養育環 境を支える支援を行う措置を採ることができること ※ 関係機関から報告があった子ども等の要保護児童対策地域協議会(以 下「要対協」)のリストに載っている家庭や、保護者に障害や疾病があり 自力で利用申込みができない場合などを想定 ・これにより、市区町村は、支援の必要性の高い子育て世帯の親や子どもに ついて、家庭環境、養育環境をより良くするための支援の利用勧奨を行い、 それでも支援を受けることが困難な場合には、市区町村の責任において、この家庭に当該支援を利用するよう行政処分として働きかけることが可能になる。なお、これでも支援を利用せず、状態が改善しない場合で児童相談所 による支援や介入が必要と判断される時は、児童相談所に事案を送致する など、市区町村と児童相談所が連携して対応する。 ・こうした中で、家庭環境、養育環境をより良くするための支援としては、 次のA・Bのとおり充実を図ることとする。これについて、市区町村によっ ては整備が困難を伴うことも想定されることから、広域的に整備が行われ るよう、児童家庭支援センター等への委託についても進めていく。 A 家庭での養育の支援の充実 ・ 子どもが家庭において心身ともに健やかに養育されることを可能として いくため、訪問による生活の支援(訪問型支援)、保育所等による一時預かり(通所型支援)、学齢期において学校や家以外の子どもの居場所支援(通 所型支援)、短期入所支援の充実を図る。 具体的には、まず、訪問による生活の支援として、要支援・要保護世帯に 限らず、妊婦も含めて広い世帯を対象とし、生活・育児支援や個々の家庭の 状況に応じた養育環境の把握などを行う事業を新たに創設する。この際、現 行において養育支援訪問事業の枠組みで提供されている家事支援等につい ては新たな事業の枠組みで提供するものとし、養育支援訪問事業は専門的 な相談支援を提供する。 ・また、一時預かり事業→いわゆるレスパイトを含め利用が必要 な者への活用が進むような方策について、事業実施側の円滑な受入れが進 むよう留意しながら、取組の推進を図る。 そして、家庭環境その他の理由により孤立した困難な状況にある子ども たちが、自分の意思や学校の紹介、行政機関からの紹介などで、安全で安心 できる自分の居場所を確保し、必要な場合にはより専門的な支援につなげ る事業を新たに創設する。 ・ 安定して親がレスパイトを利用可能となる環境を整備するため、子育て 短期支援事業についていつでも利用可能な受入体制を構築可能にするとと もに、親が子どもと共に入所する場合や子どもが自らの意思で利用を希望 した場合に利用できるようにする。また、この見直しに伴い、短期入所の利 用日数について、個々の状況等により決めることを可能とする。 B 親子関係の構築に向けた支援 ・親子関係に関する支援については、以下が必要⇒ ・ 子を持った可能な限り早いタイミングで具体的な子育ての方法を学ぶ 機会があること ・ 親子関係に課題があり、解決が困難な状況に陥る前に、可能な限り早期 に支援が提供されること。 このため、両親学級や育児学級を活用してポピュレーション・アプローチ として親子関係に関する内容を学ぶ機会を確保するとともに、親子関係について悩みがあったり親子関係の形成の支援が必要な場合に、講義やグル ープワークなどにより親子関係の形成の仕方を個別具体的に知ることがで きるペアレントトレーニング等を提供する事業を設ける。 (2)支援の必要性の高い子どもやその家庭への在宅での支援 @ 児童相談所のソーシャルワークと市区町村の対応について ・ 児童相談所には、世帯や子どもの状況を的確に把握したうえで、⇒ ・ 必要な在宅指導措置や、場合によっては一時保護や入所等措置を行うこ と。 ・ 家庭・子どもの状況の維持・改善のため、市区町村の家庭・養育環境を 支える支援も含めた様々な支援をコーディネートすること が求められるが、これらについてしっかりと見通しを持って対応すること が必要。このため、一時保護や入所措置、措置の解除や他の措置への変更等に関す る見立てについて、児童相談所や市区町村等の支援関係者はもとより保護 者や子どもも共通認識を持てるよう、児童相談所は個別ケース毎に援助方 針を作成することについて徹底を図る。この際、要対協なども活用しつつ、 市区町村等の支援関係者と協議して支援の見通しも含めて方針を作成する こと、援助内容に市区町村による家庭・養育環境を支える支援も組み込むこと、定期的に見直すこと等を法令・児相運営指針等に位置づけて対応を促進する。 この場合において、市区町村による家庭・養育環境を支える支援の強化を 踏まえ、児童相談所によるケースマネジメントの一環において市区町村による支援が適当と考える場合、児童相談所は市区町村に対して当該支援の 積極的実施の必要性を知らせ、市区町村はそれを受けて、当該児童等への支 援が必要と認められる場合に前述の利用勧奨・措置により支援を提供する。 ・ また、措置や一時保護を解除する場合には、現行の児相運営指針も踏まえ、 在宅指導措置を講ずる運用を徹底するとともに、措置終了後は、市区町村で 作成される「サポートプラン」(仮称)に継承し、市区町村において必要に 応じて確実に支援が提供されるものとする。 援助方針等を作成する時点、措置や一時保護を行う時点、措置や一時保護 の解除の時点などにおいて、当事者である保護者や子どもの意向を聴くこ とが重要である。 A 在宅指導措置について ・ 多くのケースで在宅での対応が必要となっている状況を踏まえ⇒ ・ 一時保護した後に在宅での対応となった場合、 ・ 一時保護に至らなかった場合 ・ 入所等措置を行った際の家庭への対応が必要な場合、 ・ 入所等措置を解除した場合 などにおいて、児童相談所は在宅指導措置を積極的に行う必要がある。 在宅指導措置について、その支援内容は多様な対応が必要となっている ことから、児童家庭支援センター等の民間機関を活用し、より多くの必要と されるケースに適切に在宅指導措置が提供されるようにする必要がある。 このため、在宅指導措置を提供可能な民間機関を増やしていくとともに、民 間機関に委託した場合の在宅指導措置の費用について、措置に必要な手当 が確実に成されるよう、検討を行う。 B 支援の必要性の高い子どもやその家庭への支援について @)保護者への支援 ↓ ・ 児童相談所により行われる保護者支援は、児童福祉司に加え、児童相談所 に配置されている心理職が専門的知識を活用して対応できるよう、体制の 確保や研修の実施を行う。また、この場合において、心理職の体制確保につ いて、児童相談所の体制確保を進めていく中で、計画的に取り組む。 こうした中、親子関係の支援の必要性が高い場合、都道府県が実施する親 子再統合支援事業(保護者支援プログラムなど)を適切に活用することがで きるよう、体制整備を図る。具体的には、親子再統合支援については都道府 県がその体制整備を進めることに努めなければならないものとし、整備の 促進が図られるよう、事業として制度に位置づける。 ※ 親子再統合支援とは、虐待や親子分離などにより傷ついた親子関係の修復を支援する取り組み。 ・ 親子再統合支援事業の提供に当たっては、決して「家庭復帰」が唯一の結 論ではなく、また、この事業を保護者が利用したことのみを以て子どもを保 護者の元に返すといったこと等が無いよう、当該事業を利用する前段階で 保護者や児童の状況のアセスメントを丁寧に行うとともに、親子再統合支 援事業によりどのように保護者や児童の状況に変化があったか等を適切に 評価した上でその後の対応をとることが必要である。このような対応が徹 底されるよう、親子再統合支援事業に関するガイドラインを作成する。 ・ 児童相談所は、保護者支援、親子再統合支援事業の提供に加え、世帯の状 況を俯瞰して必要と考える場合には、市区町村による家庭・養育環境をより 良くする支援における訪問の生活支援の提供などの活用も考える必要があ る。 A)子どもへの支援 ↓ ・児童相談所は、保護者への支援を確実に行う又は結びつける一方で、 子どもの状態や置かれている環境、子どもの意向を踏まえ、市区町村等の関 係機関とよく相談し、子どもに対しても必要な支援を確実に結びつける必要がある。例えば、以下の支援が想定⇒ ・ 保育所や児童発達支援センターといった通所型の子育て支援。 ・ 家や学校に居場所のない子どもの居場所。 ・ 子育て短期支援事業。・ 社会的養育経験者の自立支援。 ・特に、子育て世帯や子どもが、適切な医療や発達障害児支援も含めた障害 児支援に結びつくことにより、子どもの健全な育ちとともに子育ての負担 や悩みの軽減につながる。このため、⇒ ・ 市区町村の支援における通所型の支援(保育所や居場所支援など)やレ スパイトの支援(子育て短期支援など)の提供に当たり、必要性に応じて 医療や障害児通所支援(医療的ケア児支援や発達障害児支援を含む)との 連携を図ることをより推進する。・ 児童相談所について、児童発達支援センターや放課後等デイサービス等 の専門的な障害児通所支援の積極的な活用を考えること、また、保育所を 支援先とする場合や家での暮らしを支援する場合に児童発達支援センタ ーによる保育所等訪問支援などの積極的な活用を促す。・ 児童相談所において、医療が必要と考えられる場合には、適切に在宅指 導措置等を活用して、医療の提供を促す、 などを行う。 ・うした中で、地域における障害のある児童に対する中核的な療育支援 機関として児童発達支援センターの役割・機能を具体化していくとともに、 高い専門性が発揮できるよう、そのあり方を見直す。特に、多機関にまたが る支援の調整が必要となることが多い医療的ケア児については、各都道府 県の医療的ケア児支援センターと連携し、必要な支援が総合的に提供され るように配慮する。 B)支援を必要とする妊婦への支援 →制度に位置づけのない補助事業 (産前・産後母子支援事業)による他、各地の NPO 法人などが率先して独 自に対応している状況である。妊婦への支援の充実と0歳・0ヶ月・0日の 子どもの痛ましい事案を減らす観点から、支援を必要としている妊婦(特定 妊婦等)について、以下のア〜エを包括的に行う支援事業を制度に位置づける⇒ ア 相談・把握 イ 妊婦に対して、訪問又は通わせ、必要な場合には入所させ、妊娠や今後 の生活についての寄り添い支援、心理面のケアを提供する ウ 医療機関との連携により出産を支援する エ 出産後の子どもの養育環境整備と産婦の生活の支援のため関係機関へ つなぐ(自ら育てる場合、自ら育てることが出来ない場合のそれぞれの対 応) ・ この場合、エの産後の支援について、自ら育てる場合においては、市区町 村の家庭・養育環境を支える支援や、必要に応じて、母子生活支援施設など の利用が想定される。自ら育てることが出来ない場合においては、特別養子 縁組の他、児童相談所や里親支援機関を活用し、乳児院や里親等の利用によ り子どもの養育環境を整えるとともに、産婦に対しての支援としては、女性 保護の支援メニューの提供や若年者の場合にあっては就学・就労支援等に つながるよう対応していく必要がある。 ・ また、流産や死産等で子どもを亡くした家族へのグリーフケアについて は、令和3年度中に、全国の自治体及び医療機関における支援の実態や、子 どもを亡くした家族のニーズ等の把握のための調査を行い、支援体制の強 化に向けた検討を行う。 C 特別養子縁組推進のための環境整備 ・ 親子再統合支援事業や家庭環境・養育環境の支援など、親子再統合に向けた各種支援を行う中で、効果が芳しくない中でアセスメントが適切に成さ れず、結果として、里親等への委託や施設への入所措置が長期間成されると いったことは適当ではない。 このため、例えば親子再統合支援事業を行うに当たり、当該事業を利用す る前段階で保護者や児童の状況のアセスメントを丁寧に行うとともに、そ れによる保護者や児童の変化を適切に評価した上で、再統合が困難と考え られる場合において、児童相談所は今後の対応の選択肢に特別養子縁組も 含めて考える運用としていくべきである。 ・ また、特別養子縁組がより一層推進されるよう、縁組成立前の十分なアセ スメント及びマッチングに加え、縁組成立後の特別養子縁組家庭の支援を 強化していく必要がある。 このため、児童相談所は、民間の養子縁組あっせん機関や里親支援機関等 と連携のうえ、縁組成立に至る前段階から養子縁組家庭の家庭環境、養育 環境を適切に把握し、必要に応じて支援につなぐための体制整備を推進し ていく必要があり、児童相談所及び民間機関同士のネットワーク形成を推 進していくとともに、民間機関による安定した取組を促すよう支援を行う。 (2) 社会的養護・代替養育 @ 家庭養育優先原則の推進 ・ 里親支援機関は、里親の家庭・養育環境をより良くする機能と里親に委託 された児童の成育をより良いものとする機能の2つを併せ持ち、家庭養育 優先原則を推進することによる地域の児童の養育環境の向上にも資する。 このため、児童福祉施設として位置づける。これに伴い、里親支援機関の第 三者評価が確実に成されることとする。また、施設により実現しているチーム養育と里親と里親支援機関により 実現されるチーム養育とを比較し、どちらもそれぞれの「養育に関する最低 基準」の維持を図っている点などを踏まえ、里親支援機関の要する費用につ いて、委託に必要な手当が確実に成されるよう、検討を行う。 ・ファミリーホーム→ケアニーズの高い困難な事例を扱うケー スが多いことから、そのケースに適切に対応可能な体制を構築することが できるよう、支援に携わる者の充実を可能としていく。また、養育を行う児 童に要する費用について、児童の数はその地域の状況や周囲の養育資源の状況に応じて変化が多くなること等を勘案し、一定程度の変化に臨機応変 に対応できるようにするよう、検討を行う。 ・ 施設の機能と果たす役割、それを支える措置費のあり方の議論も踏まえ つつ、ニーズに応じた養育が可能となるよう、里親、ファミリーホームのあ り方について、施設の小規模化の今後も含めて、中期的に議論を行う。 A 施設の多機能化・高機能化 ○ 施設は地域の社会的養護の中核拠点として活動していくことが期待される。そうした観点から、多くの機能を果たし、多くの支援の資源を地域に提 供することができるよう、「市区町村により展開される、家庭・養育環境を支援する事業」・「社会的養育を推進する事業(親子再統合支援、支援を必要とする妊産婦 支援等)」 を施設が請け負うことが可能となるように、人員配置の弾力的運用等につ いて検討を行う。 ○ また、対応が困難な子どもに適切に対応できるよう、そのために必要な専 門職の確保等に基準を設定した上での適正な評価について検討を行う。 ・ 一方で、児童心理治療施設や児童自立支援施設、障害児施設も含めた児童福祉施設と自立援助ホームについて、施設の機能と果たす役割、それを支え る措置費の在り方について、ケアニーズに応じた支援が適切に成されるよ う、調査研究を行い、中期的に議論を行う。 B 資源の計画的な整備 ・ 社会的養育推進計画について、資源の計画的な整備方針のための計画と し、整備状況の一層の見える化を図る。これに伴い、里親数、施設数に加え、 児童家庭支援センターや里親支援機関、自立支援の役割を担う機関、アドボ カシーや権利擁護の体制などについても整備計画の作成を行う。 また、この計画で整備された資源が子どものニーズに適切に応えられて いることが重要であり、整備された資源による効果(アウトプット)につい ても確認していくことが必要である。 (4)一時保護 @ 一時保護時の司法審査 ・ 一時保護は一時的とはいえ、子どもを親から引き離すものであり、行動の 自由など子どもの権利が制限されることや、親権の行使等に対する制限で もある。児童の権利に関する条約第9条が、父母の意に反して児童をその父 母から分離する場合には「司法の審査に従うことを条件として適用のある 法律及び手続に従」うことを求めているほか、国連児童の権利委員会の日本 政府に対する総括所見でも「義務的司法審査を導入すること」が要請されて いるなど、より一層の判断の適正性の確保や手続の透明性の確保が必要。このため、独立性・中立性・公平性を有する司法機関が一時保護の開始の 判断について審査する新たな制度を導入する。 ・ 裁判官が一時保護の適否について適切かつ迅速に合理的な審査を行うた めに、一時保護の要件を法令上明確化する。ただし、一時保護の要件の明確 化にあたっては、子どもの最善の利益を守るための躊躇なき一時保護の運 用を損なわない観点にも十分留意する。 ・ 一時保護時の司法審査について、具体的には、都道府県又は児童相談所長 は一時保護を行う場合、事前又は保護開始日から起算して7日以内(P)に 裁判官に対して一時保護状(仮称)を書面で請求し、裁判官は、一時保護開 始時点での一時保護の適正性について、一時保護開始時点に生じていた事 情に関し児童相談所等が請求時点までに収集した資料を斟酌して、判断する。なお、事前・事後については、一時保護の実情に照らすと事後の請求が 多数を占めると予想され、制度上事前を原則とするものではない。 裁判官は、児童に対する虐待のおそれがあるとき等の一時保護の要件に 該当すると認める場合は、明らかに一時保護を行う必要が認められないと きを除いて、一時保護状(仮称)を発付する。 児童相談所は、一時保護状(仮称)を得た場合は一時保護を引き続き実施 することが可能であり、却下された場合は一時保護を速やかに解除すること となる。 ・ 司法審査の対象となる一時保護→親権者等が一時保護に同意し た場合や、一時保護状(仮称)の請求までに一時保護を解除した場合等は除 。 ○ 児童相談所等の一時保護状(仮称)の請求に際しては、全国共通の様式と するとともに、疎明資料は、裁判官による審査に足りるものであることを前 提に、躊躇なき一時保護の運用や迅速性の要請が損なわれないようにするために相当程度簡素なものでも可能とすべきである。 疎明資料において、児童相談所等は、一時保護に対する子どもの意見及び 親権者等の意見を可能な限り記載するものとする。 ・ 一時保護に対する裁判官の審査は、児童を保護等するために緊急の対応 が必要となる一時保護の特殊性や迅速性の要請等を踏まえ、上記のように して提出された疎明資料に基づき、必要かつ合理的な範囲において行われ るべきことを旨として制度設計されるべき。 ・ 一時保護状(仮称)の請求を却下する裁判に対しては、児童相談所からの 不服申立手続を設けるべきである。 ・ 面会通信制限等について(P) ※11/15(月)の児童相談所における一時保護の手続等の在り方に関する 検討会での議論を踏まえ追記予定。 一時保護に対する既存の親権者等からの不服申立て手段である行政不服 審査や行政訴訟は引き続き提起可能なことに留意が必要である。 ・ また、一時保護の際など、児童相談所等が必要となる関係機関へ調査する 権限を児童福祉法上明確化する。 ・ 一時保護時の司法審査の導入に伴い、今後とも児童相談所等において法 務に従事する人材を含め、体制の強化が必要であるとともに、施行までの十 分な準備期間を確保する必要がある。 A 一時保護の環境改善 ・ 一時保護の地域分散化については引き続き促進する。里親、乳児院等への 委託を適切に進める。また、一時保護所における一時保護の期間を可能な限 り短くするとともに、一時保護所における子どもの処遇について学習支援 等を含め、改善を図っていくべきである。 ・ 現在、一時保護所には独自の設備・運営基準が存在せず、児童養護施設の 基準を準用しているが、ケアの困難度が高い子どもが入所するという一時 保護所の特性を踏まえ、新たに設備・運営基準を策定する。当該基準には、人員配置基準や必要な設備など、一時保護所の質を担保するための事項を 定めるものとし、具体的には調査研究を実施して検討する。 ・また、都市部等における慢性的な定員超過状態の解消は喫緊の課題であ り、平均入所率が 100%を超えている一時保護所がある自治体においては、 定員超過解消のための計画を策定し、当該計画に沿って施設整備等を進め るものとする。国は計画を策定した自治体に対して支援の強化を検討する。 その結果、定員超過状態を解消し、一時保護所の環境改善を目指す。 ・ さらに、一時保護所におけるケアの質を外部の視点でチェックし、必要な 改善につなげるため、一時保護所が第三者評価を受けることとする。第三者 評価に際してはその評価の質の均てん化、評価後の一時保護所の環境改善 の実効性に留意するものとする。 次回も続き、骨子(案)「V.子どもを中心として考える社会的養育の質の向上」からです。 |