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第41回社会保障審議会生活保護基準部会  資料 [2021年12月03日(Fri)]
第41回社会保障審議会生活保護基準部会  資料(令和3年11月18日)
《議事》(1)新たな検証手法の開発に関する調査研究事業の報告 (2)全国家計構造調査のデータの取扱いについて (3)その他
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_22187.html
◎資料1-1 新たな検証手法の開発に関する調査研究事業の報告
○各検証手法の概要→マーケットバスケット方式 、MIS手法、 主観的最低生活費の3手法の概要。

○各検証手法に関する調査研究事業の実施状況→以降の【資料1−2】から【資料1−5】
でとりあげている。
○令和3年3月2日 生活保護基準の新たな検証手法の開発等に関する検討会「これまでの議論を踏まえた検討課題と論 点の整理」抜粋 ↓
【各検証手法について】

・ 「MIS手法による最低生活費」及び「主観的最低生活費」→今回具体的な試算結果が示された。消費支出の中には数量が不足すると用をなさない支出費目があるとの指摘を踏まえ、これらの結果を生 活扶助基準と全体として水準比較をして検証するのではなく、食費、通信費、教養娯楽費等の費目ごとに、 ・一般低所得世帯の消費実態との均衡を図る際の基礎データとなる「全国消費実態調査(全国家計構造調査)」の 結果と比較するほか、 ・現行の生活保護基準の下での生活保護世帯の消費支出の状況である「社会保障生計調査」の結果と比較する ことにより生活扶助基準の検証に活用することが考えられるのではないか。
・ 「マーケットバスケット方式による最低生活費」→今回具体的な試算結果が示されておらず、今後、 今日の社会に即した形での算出可能性や、代替される手法を含めて、引き続き検討を行うことが必要ではないか。
【諸外国の公的扶助】
・ 諸外国における公的扶助
→その制度設計や社会保障制度上の位置付けが国によって様々であり、 我が国の生活保護制度との単純比較ができないが、今後、マーケットバスケット方式等の手法による最低生活費の 算出を検討するに当たり、部分的に諸外国の手法を採用すること等も考えられるのではないか


◎資料1-2MIS手法による最低生活費の試算に関する調査研究事業について
1.概 要
→調査研究の目的、委託業者、グループ・インタビュー
・MIS法の調査段階は、一つの事例(モデル世帯)について、以下の7段階による推計方法を行う。→@〜F段階。
・モデル世帯として、「若年(32歳)男性の単身世帯」、「若年(32歳)女性の単身世帯」、「高齢(71歳)男性 単身世帯」 「高齢(71歳)女性 単身世帯」の4つを設定。また、若年者は足立区、高齢者は町田市に在住と仮定。
・インタビューは、モデル世帯の属性ごとに近隣地域に在住の6〜8名を対象者として実施。 ただし、導入グループは全モデル世帯合同、最終確認グループは若年男女と高齢男女をそれぞれ合同で実施。 なお、インタビュー時期は2019年8月下旬〜2020年2月中旬であり、新型コロナ感染症の影響のない時期に概ね実施したこと に留意が必要。

@の導入グループで示された最低生活の規定・定義例→日本国憲法第25条、生活保護制度の在り方に関する専門委員会 報告書 2004年、経済企画庁編『国民所得倍増計画―付経済審議会答申』 1963年。
@の導入グループで示された居住面積水準に関する規定・定義例→最低居住面積 水準、誘導居住面積 水準、国土交通省住生活基本計画における「住宅性能水準」2016年
Aの研究チームによりとりまとめられた、「最低生活」の定義→【定義まとめ】【要素】参照。
Bの事例グループにて合意された住居の確保に際しての具体的な必要条件
Bの事例グループの議論を踏まえて献立リストを作成し、その料理を作るのに必要な材料について、Cで価格調査を行ったもの(例:若年・男性)→1ヶ月献立表 (ア)32歳男性
⇒1ヶ月間(30日間)合計 ¥ 40,225円、゛税込み 43,312円。
2.事業結果
(1) 4つのモデル世帯のMIS法による最低生活費(1ヵ月あたり)の推計結果
・全体共通の傾向→「食料」「住居」「交際費」が三大支出費目、全体の約7割を占めている。
・ 個別の費目→若年男性の「教養娯楽」「交際費」や若年女性の「住居」「被服及び履物」の値が高くなっており、当該費目に 重きを置く傾向は高齢世帯においても男女の差として同様に見られた。⇒図表4-1. MIS法による最低生活費の推計(2019調査) 消費税込み 参照。
(1) 全国消費実態調査との比較
・ MIS推計値を全国消費実態調査(平成26年)の一般市民の消費実態の平均値(以下、全消)と10大費目別(教育を除く)で 比較した結果は以下のとおり。住居を除いた総支出では若年男性が全消より高くなる一方、若年女性は変わらず、高齢世帯に おいては低くなる傾向が見られた。 費目別にみると、食料については高齢女性を除き全消と近い値となったが、住居はどの世帯も全消より高くなる一方で、交 通・通信についてはどの世帯も全消より低くなる傾向が見られた。また、若年世帯の交際費も全消より高くなる傾向が見られた。⇒図表 4-2. MIS 推計値と全国消費実態調査の比率 参照。
(3)生活扶助との比較
・ MIS推計値から、生活保護制度の被保護世帯の家計に含まれない非消費支出(貯蓄、保険)、保健医療サービスの自己負 担分、貴金属を除いたもの(a)と、更にそこから住居費を除いたもの(b)を生活保護制度における生活扶助費等と比較した結果 は以下の通り。
・(a)(b)共に、若年世帯の方が高齢世帯より生活扶助と比較した場合に高い倍率となる傾向がみられた。⇒図表4-4. MIS推計(2019調査) 消費税込み と 生活扶助費 参照。


◎資料1-3 主観的最低生活費の試算に関する調査研究事業について
1 主観的最低生活費の試算に関する調査研究事業について
○ 概 要
→調査研究の目的、委託業者、検討会 参照。
・「切り詰めるだけ切り詰め最低限いくら 必要ですか」(K調査)と「つつましいながらも人前で恥ずかしくない社会生活をおくるためにいくら必要ですか」(T調査)という2種類の質問文をランダムに表示する仕様とした。調査の実施概要は以下の通り。@〜D 参照。
2 主観的最低生活費(中央値)について
○事業結果↓
・主観的最低生活費(全費目・月ごとに必要となる費用・年単位で必要となる費用)(中央値)を試算した結果、K調査、T調査とも、 年齢階級を問わず、世帯人員が増えるにつれて金額が大きくなる傾向があるが、これは特に年齢階級が上がると顕著になる。 また、同じ世帯人員でも、ひとり親世帯より夫婦のみ世帯、夫婦子1人世帯の方が、金額が大きくなっている場合が大半である。 さらに、K調査、T調査のいずれも30〜50代の夫婦子あり世帯では、級地が高くなるにつれ、金額も大きくなる傾向が観察される。
・主観的最低生活費(中央値)の1級地1について年齢階級・世帯類型別にグラフ化したものは以下の通り。⇒ (図表19)(図表24)(図表25)参照。
・ 40代〜50代の夫婦子2人世帯では、20代〜30代の同類型の世帯よりも年単位で必要となる費用が比較的高くなる傾向が見ら れる。
・各級地において主観的最低生活費の全費目、月ごとに必要となる費用、年単位で必要となる費用のそれぞれについて、各セ ルのT調査金額(中央値)をK調査金額(中央値)で除した値(T/K)を示した結果、月単位で必要となる費用は概ねT/Kは1.5を 超えない値となっている一方で、年単位で必要となる費用は、T/Kの値が2.0を超えるセルも多く見られた。また、全費目、月ご とに必要となる費用、年単位で必要となる費用のいずれにおいても、T/Kが1未満のセルがいくつか見られた。

3 さまざまな貧困線の試算結果について
・具体的には、SPL・LPLを算出するための設問から世帯ごとの所得水準と最低限必要であると考える可処分所得の関係を把 握し、その関数と45度線(最低可処分所得=可処分所得)との交点を貧困線として算出。
・MSL(生活扶助対象費目)と生活扶助基準(※1)を比較した結果、前述の「主観的最低生活費の中央値と生活扶助基準との関係」と同様の傾向(※2)が見られた。(K調査・T調査共に、それぞれのセルの数値は異なるものの、生活扶助基準との大小関係 については、一部のセルを除き、大きな違いは見られなかった)


◎資料1-4「マーケットバスケット方式」による諸外国の最低生活費の算出事例( 概 要 )
○国内外の「マーケットバスケット方式」による最低生活費の算出事例の収集とその算出方法の分析一式(令和元年度)の概要(→ドイツ、スウェーデン、チェコ、韓国を調査対象)


○マーケットバスケット方式による最低生活費の算出事例@(ドイツ・その1〜その4)
1.制度概要
→低所得者を対象とした現金給付は求職者基礎保障と社会扶助から構成され、対象者によって異なる給付体系。就労できる者とその家 族は求職者基礎保障、就労できない者は社会扶助の対象。さらに社会扶助においては、一時的に就労できない者には生計扶助が、長期的に就 労できない者及び65歳以上の高齢者には高齢・稼得能力減少時基礎保障が適用(図表@−1) 。
2.生計扶助の給付水準→給付の基礎となる需要は、毎月の基準需要とその他の需要で構成。基準需要は、食費、衣料費、光熱費(暖房と温水を 除く)等の日常生活の個人的需要であり、住居・暖房費、障害者や妊婦など特別な需要がある者の追加需要、社会保険料等はその他の需要として 認められる。 基準需要の具体的な給付水準は基準需要適用額として、6つの基準需要区分ごとに全国一律で設定される(図表@−2) 。一方で、住居・暖房費 は地域によって必要額が大きく異なるため、その他の需要として各地の社会事務所が定めている。 基準需要適用額は、5年に一度実施される所得消費抽出調査(EVS)の結果に基づいて基準需要定義法に規定され、EVSの新しい結果が発表され た際には改めて基準需要適用額の算定。直近では、2013年EVS特別集計に基づく2017年基準需要定義法、2018年EVS特別集 計に基づく2020年基準需要定義法が制定されている。
3.2017年基準需要適用額の算出方法
(1)概要→EVSの特別集計における成人単身世帯の平均消費支出額は基準需要区分1(家計を運営する成人)の基準需要適用額の基礎となっており、区分2 の基準需要適用額は区分1の90%、区分3の基準需要適用額は区分1の80%とされている。18歳未満の子供に当たる基準需要区分4〜6の基準需要 適用額は、それぞれの年齢区分に該当する子供の平均消費支出額が基礎となっている。(図表@−3)
・基準需要適用額の算出に当たっては、EVSで把握されている12分野の消費支出が基本的には100%基準需要。
・2017年基準需要定義法第7条(2)においては、基準需要適用額の決定に当たり、EVSの調査結果に加えて国民経済計算における2013年1月か ら12月までの期間から2015年7月から2016年6月までの期間の物価および賃金の変動率を用いることとされている。したがって、例えば基準需要区 分1の基準需要適用額は、2013年EVSに基づく成人単身世帯の平均消費支出額の合計額に103.46%を乗じた値(394.84×103.46%=408.50)を四捨 五入した409ユーロとなる。
(2)基準需要区分1の基準需要適用額の算出方法→基準需要区分1(家計を運営する成人)の基準需要適用額の算出にあたり、EVSの集計結果から除かれている費目と根拠は以下のとおり。↓
@部門01/02(食料、飲料、たばこ)のうちアルコール飲料およびたばこ
A部門04(住宅、水光熱費、その他燃料)のうち電気料金、修理費
B部門07(交通、移動)のうち自動車および域外への移動
C部門08(ニュース視聴、新聞購読)のうち通信サービス
D部門11(旅行、外食)のうち宅配サービス(ケータリング)およ び外食
E部門12(その他の商品およびサービス)のうちその他サービス

○マーケットバスケット方式による最低生活費の算出事例A(スウェーデン・その1〜その4)
1.制度概要
→低所得者層を対象とした公的扶助として社会扶助が整備されている。基本的には18歳から64歳の者が対象、利用できる他の全ての支援手段を活用し積極的に就労することを義務とした上で、収入と資産を評価した後に給付が行われる。 社会扶助は、国が基準額を示す全国標準とそれ以外の給付から構成される。(図表A−1)
2.生計扶助の給付水準→社会扶助のうち全国標準の給付水準(全国標準額)は、保健福祉庁の国立保健福祉委員会が社会サービス規則として発出しており、1998年以降 毎年見直しが行われている(図表A−2)。 全国標準額は、消費者庁がマーケットバスケット方式により算出する「合理的生活費」を基に、自治体経済や政治的考慮を踏まえて全体的な評 価をした上で決定される。 また、基礎自治体であるコミューンは必要に応じて全国標準額より高い水準又は低い水準の給付を行う場合がある。
3.合理的生活費の算出方法
(1)概要→<図表A−3消費者庁調査のマーケットバスケットに含まれる品目(2018年)> 参照。
(2)品目別の消費リストの例
@食費
A衣服及び靴
B衛生用品
(3)価格調査の概要
(4)消費者庁による1か月当たりの合理的生活費・2019年(クローナ)

○マーケットバスケット方式による最低生活費の算出事例B(チェコ・その1〜その5)
1.制度概要
→世帯が十分な収入を得られず、社会的および経済的状況が原因で世間一般に受け入れられる基本的な水準の生活必需品を得ら れない場合には、物質的ニーズ法に基づき、給付金やカウンセリングが提供されることとなる。(図表B−1)
2.生計扶助の給付水準
3.2006年の最低生活水準・最低生存水準の算出方法
(1)概要
(2)2002年報告書の概要
@実際の消費に関する調査
A最低生活水準の算出
T 必要となる栄養摂取量を満たす食事にかかる費用の計算
U その他の財・サービスの支出の許容限界の計算
V 世帯人員別の上限額・下限額の整理
W 個人単位の金銭支出の上限値・下限値への展開と最終調整
B最低生存水準の算出→最低生活水準と同様に「食料」と「その他の財・サービス」の2つの要素で構成し、金額を算出している。
T 食料→ひと月あたり1,426コル (2021/11/16日 10:15 更新→7396円) とされた。
Uその他の製品及びサービス→<図表B−10 最低生活水準の費目を3項目に絞った場合の算出方法(コルナ)><図表B−11 最低生存水準の算出結果(コルナ)> 参照。

○マーケットバスケット方式による最低生活費の算出事例C(韓国・その1〜その7)
1.制度概要
→給付は国民基礎生活保障法に基づく「国民基礎生活保障事業」として実施され、生計給付、住居給付、医療給付、教育給付、 出産給付、葬祭給付、自活給付の7種類。 国民基礎生活保障法は、その最低生活を保障し、自活を助けることを目的。これ による給付は、受給者が自身の生活の維持・向上のために、その所得、財産、勤労能力等を活用し最大限の努力をすることを前提に、これを補充・ 発展させることを基本原則としているほか、健康で文化的な最低生活を維持できるものでなければならないとされている。
・2000年10月に施行された国民生活基礎保障法→最低生計費の算定方法は「全物量(マーケットバスケット)方式」が採用され、1999 年・2004年・2007年・2010年・2013年に計測調査が行われた。 全物量方式に対しては、導入以前より、計測する研究者の志向する価値と恣意性が介在することが指摘されており、2014年の法改正を経て、相対 貧困概念に基づく基準中位所得と、個別給付体系(最低給付水準を超えると、生計給付・医療給付・住宅給付・教育給付等の全ての給付対象外とな る制度からの脱却)が導入されている。
2.給付水準【全物量方式を採用していた2013年当時】
3.最低生計費の算定方法【全物量方式を採用していた2013年当時】
(1)概要→2013年に計測された最低生計費の費目は、食料品費、住居費、光熱・水道費、家具什器・家事用品費、被服費・履物費、保健医療費、教育費、 教養・娯楽費、交通・通信費、その他の消費支出、非消費支出。 マーケットバスケットの検討の第一段階として標準世帯の設定や地域区分のあり方について検討が行われた結果、2013年の計測では、標準世帯は4人世帯(父42歳、母39歳、子12歳(男)、子10歳(女))、地域区分は大都市・中小都市・農漁村の3区分とされた。
(2)韓国保健社会研究院による最低生計費の計測方法(2013年)→2013年に韓国保健社会研究院において実施された最低生計費の計測では、各費目ごとに品目や価格などが決定されている。
(3)2013年地域別・費目別の最低生計費の計測結果→<図表C−2 2013年地域別・費目別の標準世帯の最低生計費の計測結果(韓国保健社会研究院)>(単位:ウォン)参照。


資 料 1-5 マーケットバスケット方式に関する調査研究事業について
1 調査研究事業の概要
○調査結果の概要(令和2年度実施)
【調査対象国】
→日本、韓国、カナダ、EU。いずれの算出においても研究者が主体。
【算出の前提とする生活水準】 →安藤や韓国では「文化的な生活」を確保する水準。江口やEUでは「社会参加が可能」な水準。 ただし、どちらが高い・低いか等を定義から判断することは難しく、比較検討には慎重な分析や整理が必要。
【算出における市民参加の機会】
【算出方法】
【算出方法の留意点】

2 各算出方法の比較整理
○算出の考え方、目的等
→日本、韓国、カナダ、EUでのマーケットバスケット方式による算出について、算出の考え方や目的等を整理した 結果は以下のとおり ⇒(図表2−1) 最低生活費に関する各算出方法の比較整理(一部修正) 参照。
○各費目の算出方法→各費目の算出方法が以下のいずれに該当するかを大まかに整理→ @品目×数量×価格:各品目について、数量(購入/消費量)に価格を乗じて算出  A品目×消費額:各品目について、消費実態(消費額の平均値・中央値・第3十分位値等)を参照して算出  Bその他:@、A以外の手法によって算出 ⇒(図表2−2) 各費目の算出方法の概要⇒特に、算出の主体→「費目分類 一覧」参照へ。

次回も続き「資 料 2 全国家計構造調査のデータの取扱いについて」からです。

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