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多様化する労働契約のルールに関する検討会 第9回資料 [2021年12月01日(Wed)]
多様化する労働契約のルールに関する検討会 第9回資料(令和3年11月12日)
《議題》 多様な正社員の雇用ルール等に関する論点について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_22131.html
◎資 料 1 多様な正社員の雇用ルール等に関する論点について
1 論点一覧
(1) 総論
ア 「いわゆる正社員」と「非正規雇用の労働者」の働き方の二極化を緩和し、労働者一人ひとりのワーク・ライフ・バランスと、企 業による優秀な人材の確保や定着の実現のため、職務、勤務地又は労働時間を限定した多様な正社員の普及を図ってきた が、労使双方に対する効果や課題をどう考えるか。また、労使双方にとって望ましい形で更なる普及・促進を図るためには、どの ような対応が考えられるか。
イ 多様な正社員の限定の内容の明示に関し、「雇用管理上の留意事項」の策定や導入事例の周知などにより周知を行ってきたが、限定された労働条件が明示的に定められていない場合や、限定されていた労働条件が変更される場合もある中で、紛争の未然防止や予見可能性の向上のために限定の内容の明示等の雇用ルールの明確化を図ることをどう考えるか。 ウ 多様な正社員か否かにかかわらずいわゆる正社員であっても何らかの限定があると言える場合もありうるところ、いわゆる正社員についても念頭において検討することについてどう考えるか。

(2) 雇用ルールの明確化
ア 勤務地(転勤の有無を含む。)、職務、勤務時間等の労働条件について、その範囲や変更の有無を個々の労使の間で 書面で確実に確認できるようにするため、労使双方にとっての効果や留意点も考慮しつつ、どのような方策、確認内容が考えら れるか。 また、現行の労働条件明示は、雇入れ直後の勤務場所及び業務を明示するものであるが、勤務地、職務等の範囲や変更の有無については、いわゆる正社員も含めて様々な定め方があることや慣行により限定している企業もあることなどを踏まえると、 多様な正社員以外も含めた確認のあり方についても、どう考えるか。
イ 労働契約の締結時のみならず、変更する際に、個々の労使の間で書面による確認が確実に行われるようにするため、どのような方策、確認内容が考えられるか。個別の労働契約により変更される場合や就業規則により労働条件が変更される場合等が あるが、それぞれどう考えるか。
ウ 上記ア・イを踏まえ雇用ルールの明確化を図る場合に派生する諸課題への対応、特に労働契約において勤務地や職務等が 限定されていることと、勤務地や職務の変更(限定範囲を超えた転勤、配置転換)、社員区分間の転換、事業所・部門の 廃止等を行う場合の対応についてどう考えるか。採用時から限定されている場合と途中で限定される場合や一時的に限定される場合、限定が個別合意による場合と就業規則による場合など、多様なケースも考えられる中で、どのような点に留意すべき か。
(3)その他
ア 多様な正社員に係る人事制度等(多様な正社員の賃金や職務の範囲、キャリアコースを含む。)を定めるにあたって、多様な正社員の意見が反映されるようにすることをどう考えるか。
イ 多様な形態の労働者の間のコミュニケーションをどのように図っていくことが考えられるか。

2(1)総論↓
1.論点→
ア〜ウは上記と同じ。
2.本検討会における委員からの主な意見等 ↓
〇 いわゆる正社員であっても、何らかの限定があると言える部分もありえる中で、無限定の働き方であることを前提に議論するこ とやそれを肯定するような形で議論することはいいのだろうか。多様な正社員だけを念頭に置くのではなく、いわゆる正社員についても念頭において議論していくべきではないか。
〇 正社員や多様な正社員は、法制度で定められている概念ではないので、広めに色々視野に入れた上で検討することになる のではないか。
〇 多様な正社員の制度があるということと、制度が活用されている、運用されているということは、必ずしも一致していないことに 留意が必要。

3.本検討会におけるヒアリング先からの主な意見等 ↓
〇 多様な正社員制度の導入によるプラスの影響→育児・病気を理由とした制度利用の例が多く多様な雇用形態の実 現に資することができた点、非正規雇用であれば退職していたかもしれない人材が社員として会社に定着しているという点、生活に合わせたスタイルで正社員になるステップを導入することができた点等が挙げられた。(企業)
〇 中小企業では正社員の勤務地や勤務時間の限定という希望は実現できており、特に限定正社員を設定する必要性はうすいとの意見があった。(労働組合)
〇 ジョブ型人材マネジメント→そのジョブだけの雇用というものではなく内部の人材活用の活性化や経験者採用等の観点で導入したマネジメントという意味合い。(労働組合)
〇 多様な正社員制度→肯定的な意見が多い一方で、雇用区分が異なる人がいると社内の団結が難しくなるという意見やどのような基準で社内での制度導入の検討をすればいいのかわからないという意見もあった。(企業が行った中小企業 アンケート)
〇 地域限定ということの裏返しの問題として、そもそも全国転勤を可能にするありよう自体を見直す必要があるのではないか。 (労働組合)
〇 多様な働き方の浸透とともに、「正社員」という概念自体が曖昧になりつつあり、「正社員」「非正規雇用」という枠組みから離 れる必要があるとの意見があった。(企業が行った中小企業アンケート)
〇 各企業において正社員層をどのように仕分けて活用していくかは、企業の人事権そのものに関するものであり、法の介入は控 えるべき。(使側弁護士)
〇 労使合意によって、長時間労働や使用者の配転命令権への歯止めがかかる働き方が「ジョブ型正社員」として模索されるこ とに反対はしない。しかし、配偶者の遠隔地配転が実施されたり長時間労働が放置される限り、他方配偶者の離職を事実上 強いられる(特に女性労働者が直面)問題は、「ジョブ型正社員」では解決ができない。(労側弁護士)

2(2)雇用ルールの明確化
1.論点→ア〜ウは上記と同じ。
2.本検討会における委員からの主な意見等 ↓

〇 多様な正社員を有期雇用者の無期転換先としてだけ捉えるのではなく、正社員から多様な正社員になる動きも踏まえて、多様な正社員の雇用ルールの明確化について整理していかなければならないのではないか。
〇 転勤拒否即解雇ということになっていないとしても、配転に関するルールを知らないことで応じなくてもよかったかもしれない配転に不本意に応じる、ひいては多様な働き方が妨げられるような事例があり得るのではないか、そういう観点で、配転に関するルー ルが知らされること自体は意味があるのではないか。
〇 正社員として採用された場合、一度限定社員になったとしても、正社員に戻ることは多くの企業で可能かと思うが、限定正社 員として採用された場合、正社員になるためには、求められている水準に違いがあるなどの理由で試験や面接などがある可能性 がある。そのため、どういう形で採用されたのかによって、正社員と多様な正社員間の移行の可能性や容易さに違いがあることに留意が必要。
〇 同じ基準で雇用保障するかという点について、正社員と多様な正社員の間でのどういう関係にあるのかというところをさらに明ら かにする必要がある。
〇 不必要な事務負担拡大は避けるべきであるほか、雇用契約書についてまだ理解できていない中小企業は多いので、あまり項目を増やすよりは現行の明示事項を徹底することが大事。(企業)
〇 就業規則が複雑過ぎて内容を把握出来ていない経営者が多いため存在価値がないという意見や紙でなくネットで労使双方がいつでも閲覧できるのが望ましいとの意見、就業規則の年1回以上の説明を推進すべき、10人未満の企業でも就業規則 の作成義務を導入すべき、雇用時に就業規則の説明を必須事項とすべきという意見があった。(企業が行った中小企業アン ケート)
〇 法制度に限定内容を明示することについては、職務をどの程度詳細に書き込むのか次第で取り得る反応が違ってくる。例えば、限定された職務の範囲が一般事務業務とされた場合、どこまで入るのか、話し合いが必要になる。中小ではそこまでできずに曖 昧になる懸念。職務が明確だからそれ以外の仕事を断れるというメリットはあるが、デメリットとしては当該職務が無くなったことが 賃金減額や解雇の理由となりえ、労使の課題と思っている。(労働組合)
〇 限定正社員等に対する労基法による就業規則への記載義務化について、勤務地・職種限定等は、個別の合意によること が多く、仮にこの点を就業規則の必要記載事項として立法化すると、就業規則の記載と個別合意のどちらを優先するか等をめぐり、却って誤解やトラブルが生じる可能性がある。例えば、就業規則に勤務地限定と記載されているが、労働者本人が勤務 地にこだわらず個別合意で勤務地限定を外すケースにおいて、当初は労働者本人も納得していたが、途中で勤務地の変更を 嫌になった場合、その時点でトラブルが生じうる。そのため、立法プランには賛成できない。(使側弁護士)
〇 限定正社員等に対する労働条件明示義務(雇入れ時、契約変更時)と限定正社員等に対する労働契約締結時や変 更時の書面確認について、規制を行う必要性は特段認められない。正社員を含め、立法措置について特段の必要性を認め ない。(使側弁護士)
〇 配置転換について権利の濫用が見られることから、労働契約法第14条の条文の「出向」を「出向及び配置転換」に改正す べきとの意見があった。(労働組合)
〇 配転命令については、現状、異議を唱えつつ、人事権濫用か否かを争うことも可能であり、それ以上の規制強化が必要とは 認識していない。育児介護休業法26条の制定・施行以降、企業が、労働者本人の意思に反して強行的一方的に転居を伴 う配転命令を行う事例は少なくなっている。東亜ペイントの判断枠組みをそのまま立法化することについて、転勤したくないという 意思を素直に表示する方が増える可能性はある一方、既に確立された個別の救済ルールがあるという状況の中で立法化する ことは意義あると思うが、賛成とも反対とも言いがたい。(使側弁護士)
〇 勤務地変更(転勤)の有無や転勤の場合の条件が明示されること自体は、義務付けは使用者に合意内容を遵守させる ため役立つので、反対ではないが、明示された勤務地や職務が無くなったことを理由に、解雇等労働者側の不利益が促進され るような悪用に繋がることはあってはならない。限定された勤務地、職務等がなくなったときに直ちに解雇等が認められるわけでは なく、緩やかであっても何らかの歯止めの徹底が必要。既に労使関係が存在する「変更」時は、労使の力関係の差異がより大 きく影響するので、より悪用を防ぐ必要性が高い。(労側弁護士)
○ 転勤有りの前提である総合職でも家庭の事情等で転勤できないという人も多いが、他方、総合職と一般職とでは転勤を受 け入れるかどうかの違いで待遇差があり、区分設定や待遇バランスに課題を感じている。(企業)
〇 現状、全国転勤が想定されている企業では、雇用区分が整理されており、転勤範囲が不明という事例は殆ど見たことがない。 配転可能な範囲を限定してしまうと、時間経過や環境変化による企業再編時に行き先がなくなり、却ってトラブルの種となる可 能性がある。(使側弁護士)
〇 「ジョブ型正社員」に関して、使用者が解雇規制緩和の一方策として利用できる、利用しやすい形での制度推進はあっては ならない。均等・均衡確保のルールの抜け道として利用されることはあってはならない。(労側弁護士)
〇 転勤を巡っては、 育児介護休業法26条による歯止めがあるとはいえ、あまり機能はしていないというのが自分の実務の実感であり、いつまでもその状態でいいのかと思っている。(労側弁護士)
3 その他
○労働条件明示等に関する日本の現行法制と諸外国との比較→日本、E U、イギリス、ドイツ、フランス、アメリカ、韓国⇒労働条件明示義務、勤務場所・職務の明示、労働条件変更時の労働条件明示、 就業規則等への勤務場所・職務の記載についての説明あり。
○韓国:勤労基準法の和訳


◎参考資料1 無期転換ルールと多様な正社員の雇用ルール等に関する実態調査の概 況(第5回検討会資料1)
T 調査の概要

○有期労働契約に関する実態調査の概要
・厚生労働省による実態調査→(事業所)2020年7月1日〜7月29日、(個人)2021年1月15日〜2月16日
○多様化する労働契約の在り方に関する調査【速報値】の概要
・独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)→2(企業)021年1月15日〜3月1日、(個人) 2021年1月14日〜1月28日)
○有期労働契約に関する実態調査の概要 →調査の用語解説@(9項目)、調査の用語解説A(社員区分@〜F)、調査の用語解説B(3つの職務タイプ)
○多様化する労働契約の在り方に関する調査【速報値】の概要→調査の用語解説(10項目)
○有期労働契約に関する実態調査の概要 ー対象の属性等ー
○多様化する労働契約の在り方に関する調査【速報値】の概要 −対象の属性等−

U 無期転換・有期労働契約に関する現状→調査の用語解説A
○無期転換に関する現状 −無期転換申込権が生じた人の状況等−→「実際に無期転換申込権を行使した労働者がいる事業所」の割合は35.9%で、「無期転換申込権を行使せず継続雇用されている労働者がいる事業所」の割合は80.4%。
○無期転換に関する現状 −無期転換申込権が生じた人の状況等−
○無期転換に関する現状 −無期転換した人のいる事業所−
○無期転換に関する現状 −無期転換した人の内訳−
○無期転換に関する現状 −無期転換ルール以外の無期転換制度の状況−
○無期転換に関する現状 −無期転換労働者の転換後の意識の変化−
○無期転換に関する現状 −無期転換労働者の満足感−→「満足している」60.7%、「満足していない」割合は28.5%。満足している理由→「労働時間・日数が自分の希望に合致しているから」「失業の心配が当面ないから」の割合が高くなっており、満足していない理由→「賃金水準が正社員に比べて低いから」「賃金の絶対水準が低いから」の割合が高くなって いる。
○無期転換に関する現状 −有期契約労働の時の説明−
○無期転換に関する現状 −無期転換できる機会の規定や説明−
○無期転換に関する現状 −無期転換できる機会等の案内−
○無期転換に関する現状 −有期契約労働者の無期転換ルールの認知状況−
○無期転換に関する現状 −企業の無期転換ルールの認知状況−
○無期転換に関する現状 −企業の無期転換ルールの情報入手ルート−
○無期転換に関する現状 −有期契約労働者の無期転換希望状況−
○無期転換に関する現状 −無期転換を希望する理由−→「高齢、定年後の再雇用だから」
○有期労働契約に関する現状 −契約締結時の明示−約9割は明示。
○有期労働契約に関する現状 −契約更新要件等−
○有期労働契約に関する現状 −勤続年数の上限設定−→「設けていない」が82.9%。
○無期転換に関する現状 −無期転換ルールへの企業の対応−
○有期労働契約に関する現状 −雇止めに対するトラブル−
○有期労働契約に関する現状 −クーリング期間の設定状況−
○無期転換に関する現状 −無期転換者の労働条件の状況−→職務タイプ別に、その職務タイプの有期契約労働者から無期転換した無期転換者と同じ職務タイプの有期契約労働者の労働条件を比較 すると、「残業の有無」、「異動等の有無」、「昇進の有無」のいずれも、同じ職務タイプの有期契約労働者とほぼ同様の割合となっ た。
○無期転換に関する現状 −無期転換者の労働条件の状況−→「正社員と同程度」の割合が若干多い結果
○無期転換に関する現状 −無期転換者の転換後の労働条件−→「働き方や賃金や労働条件に変化はない」
○無期転換に関する現状 −無期転換社員と正社員との処遇−
○無期転換に関する現状 −事業所独自の正社員転換制度−
○有期労働契約に関する現状 −正社員転換を実施する上での支障−
○その他 −有期契約労働者及び無期転換者と労働組合との関係−→労働組合への加入資格を就業形態別に見ると、「加入資格がある」割合は「いわゆる正社員」と「多様な正社員」が7割超、「無期転換 社員」が5割超、「有期契約労働者」が4割超となっている。 加入資格がある労働者について労働組合への加入状況を就業形態別に見ると、「加入している」割合はどの就業形態でも8割超となって いる。
○その他 −事業所の有期契約労働者に関する意見−→「有期契約労働者がいないと事業が成り立たない」割合は 62.4%。その理由としては「人件費コストが増大するから」、「有期契約で働いている労働者が多く、必要な労働者数を確保できなくなるから」、「業務が季節・景気等により変動するので、正社員だけでは対応できないから」の割 合が高い。
○その他 −有期契約労働者を雇用する理由及び今後の活用方針−
○その他 −労働者の無期転換ルールに関する意見−→無期転換ルールは有期契約労働者の雇用の安定化のために有効だと考える割合は38.2%、有効でないと考える割合は18.4%。 有効ではないと考える理由→「かえって更新上限等による雇止めが増える恐れがあるから」の割合が最も高く、次いで「労 働者の多くは希望しないと思うから」となっている。

V 多様な正社員の雇用ルール等に関する現状
○多様な正社員に関する現状 −多様な正社員の処遇−→多様な正社員と就労状況・処遇・昇進を比較した際に不満について、「不満がある」といういわゆる正社員の割合は約4割 。
・不満を感じた事項→「合理的な賃金差が設けられていない」「合理的な昇進スピードの差が設けられていない」 「労働時間と比較して、業務量が課題になった」の順に割合が高い。
○多様な正社員に関する現状 −企業における多様な正社員とのトラブル−→過去5年間において多様な正社員等とトラブルがあった企業の割合は1.9%。そのトラブルの原因は、「会社から限定区分の変更を申し入れたが拒否された」の割合が最も高く、「多様な正社員等から 無限定正社員との待遇差に不満が出た」「会社の指示が就業規則や個別の契約に明記した限定内容に反していると拒否され た」と続く。トラブルの解決方法としては、「本人との話し合いで解決」の割合が最も高い。
・過去5年間における現在の会社とトラブルがあった多様な正社員等の割合は6.3%。解決方法→「会社との話し合いで解決」が36.9%、「解決しなかった」が31.2%であった。
・多様な正社員等の会社とのトラブルの原因は、「会社の指示が限定内容に反していたから」の割合が最も高く、「限定区分 の変更に納得がいかなかった」「限定区分の変更に対する説明が不十分」「正社員との待遇差に不満があった」と続く。

次回も続き「参考資料2 無期転換ルールと多様な正社員の雇用ルール等に関する現状(第1回 検討会資料6)」からです。

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