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第11回 成年後見制度利用促進専門家会議(web会議) [2021年11月17日(Wed)]
第11回 成年後見制度利用促進専門家会議(web会議)(令和3年10月25日)
【議事】@成年後見制度の利用の促進に関する施策の進捗状況(報告) A〜B
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21658.html
◎参考資料6 次期基本計画に関する団体ヒアリングにおける意見書
○「成年後見制度利用促進」に向けたヒアリング用  意 見 書
一般社団法人日本認知症本人ワーキンググループ 代表理事 藤田 和子
【1.成年後見制度の運用改善や成年後見制度のあり方について】
1.成年後見制度の理念が浸透し、守り続けられるように
→ @「誰のために、何をめざした」制度か、その基本理念*が私たち認知症の本人や住民、関係者 に浸透しないまま、制度の利用促進や運用が進められてしまっている。 A基本理念を飾り物にせず、その意味や重要性こそ、もっとしっかりと浸透をはかり、基本理念 を守り続けるための制度として改善していってほしい。

2.すべてにおいて、本人視点、本人参画を徹底し、本人の声をもとに→ @上記1のためには、「本人からみてどうか」本人視点にたって考え、取組み、見直しや改善を続 けていくことを、あたりまえのルールとしてほしい。 A本人視点といいつつ、それをおざなりにして家族や周囲の視点にたって進められている現状が ある。本人視点を形骸化させないために、本人が必ず参画し、本人が声を出せ、それが大切に されることを、市町村における計画・実施段階において、あたりまえのルールとしてほしい。

3.本人が知り、利用のメリット・デメリットについて自分なりに考えられる情報提供を→ @現在の制度に関する(具体的な)情報が、私たち本人には、皆無といっていいほど届いていない。「普及をしている」でなく、私たち本人に行き届くための方策を私たち本人と一緒に工夫してほしい。 A様々な情報・チラシ等が作られているが、私たち本人には非常に読みにくく、わかりにくい。本人が読めて、わかるための情報発信の配慮をしてほしい。 B今ある情報は、どちらかというと家族や支援者向けのものが多く、私たち本人が利用した場 合のメリット・デメリットについて本人が知り、自分が利用を考えていく参考になる情報が 非常に不足している。特に、利用した本人が「制度を利用してよかった」「利用したことでこう いう暮らしを続けることができている」という本人の実際の情報がほしい。

4.制度利用の評価を、本人参画、本人の声をもとに →@上記 3 とも関連して、すでに制度を利用している多数の認知症の本人が制度を利用してどう だったか、その評価結果を知りたい。 A判断能力が低下しても、私たち本人は今の暮らしや状態がいいかどうか、声やサインで発信 できる(発信している)。今後、制度利用、制度のあり方の評価・改善には、必ず本人が参 画し、本人の声をもとになされるルールにしてほしい。

【U.権利擁護支援の地域連携ネットワークの充実に関すること】
☆基本的考え方・進め方は、上記Tを踏まえて ↓
1.「権利擁護」の発想の転換を:日常生活の中での権利擁護を基本に浸透を
→ @「権利擁護」支援、イコール「高齢者虐待」、「権利擁護にかかる処遇困難事例の対処」など、非常に限定的な発想や取組みでとどまっている自治体や専門職が多い。 問題対処としての発想ではなく、「本人が権利を守られることはあたりまえのこと」、「理念倒れではなく、あたりまえの権利の保障である」という発想に転換することに力を注いでほしい。 A認知症施策推進大綱でも、共生が目指されている。大綱を推進し実現していくための根幹と して、「権利擁護」を肩苦しいお題目にせずに、私たち本人が日常の生活の中で自分らしく暮ら していくための権利擁護という考え方や実際をリアルに広げていってほしい。

2.本人が認知症と向き合いあたりまえの権利を知って決めていけるプロセスの重視を: ピアサポートを権利擁護のネットワークの中に
→ @私たち本人がよりよく生きていくためには、自分の中に起きている認知症と向き合い、折り合 いをつけながら自分なりに考え、決めていくプロセスがとても重要だと実感している。 A社会の中に偏見が根強く残っている中でも、私たち本人が自分を保ち(自分を取り戻し)自分なりに決めていくためには、一足先に前向きに暮らしている本人仲間と出会い、あたりまえに 暮らし続けていける可能性や権利を実感的に知る体験が非常に大きな力になっている。 Bそうした本人同士の出会いや支え合いのための「ピアサポート」を、権利擁護支援のネットワ ークの中にしっかりと位置付けてほしい。

3.自分を守るために、信頼できる人に出会え、託せるように;出会い、伴走を→ @私たち本人は、今と将来にわたって、自分を守っていくために信頼できる人を切実に求めて いる。認知症や問題だけを見るのではなく、私たち本人をしっかりと見つめて、私たちの声 をよく聴きながら望むこと(それが変わりうること)を知ってくれて、「この人なら託せる」と 実感できる存在を求めている。 Aそうした存在と出会い、関係を育むためには時間が必要である。そのためにも認知症になっ たできるだけ早い段階から、私たち本人が味方になってくれる人と身近な地域で出会い、語り合い、ともに歩んでいく体験を日常生活の中で重ねていくことをネットワークでは重視してほ しい。(本人との関係作りを抜きにした安易な後見人の選定や変更にならないために)。

4.研修・人材育成を私たち本人とともに→ @今後今まで以上に、地域連携ネットワーク作りが進められ、その関係者の研修・人材育成が 活発になっていくことが期待されるが、本人抜きで進められないように、地元の本人が、研修 の企画や実施・評価に参画するルールとしてほしい。 A各自治体/組織のみでは、本人参画が難しい場合は、広域の本人に参画を求めたり、JDWG に協 力を求めるしくみとしてほしい。

5.私たち本人の望みや力(可能性)を知ってほしい
最後に、私たち本人は、認知症の原因疾患やレベル、年齢等によらず、一人ひとりが、 その人の人生の主人公であり、外見上からははかり知れない希望、可能性をもっていることを 広く周知してほしい。 *「認知症とともに生きる希望宣言」「希望のリレー」を広げて下さい。      以上

○認知症とともに生きる希望宣言↓
1 自分自身がとらわれている常識の殻を破り、 前を向いて生きていきます。
2 自分の力を活かして、大切にしたい暮らしを続け、 社会の一員として、楽しみながらチャレンジしていきます。
3 私たち本人同士が、出会い、つながり、 生きる力をわき立たせ、元気に暮らしていきます。
4 自分の思いや希望を伝えながら、味方になってくれる人たちを、 身近なまちで見つけ、一緒に歩んでいきます。
5 認知症とともに生きている体験や工夫を活かし、 暮らしやすいわがまちを一緒につくっていきます。
○「認知症とともに生きる希望宣言」は、↓
わたしたち認知症とともに暮らす本人一人ひとりが、 体験と思いを言葉にし、それらを寄せ合い、 重ね合わせる中で、生まれたものです。 今とこれからを生きていくために、一人でも多くの人に 一緒に宣言をしてほしいと思っています。 この希望宣言が、さざなみのように広がり、 希望の日々に向けた大きなうねりになっていくことを こころから願っています。 それぞれが暮らすまちで、そして全国で、 あなたも、どうぞごいっしょに。


◎成年後見制度利用促進に関する国の次期基本計画に向けてヒヤリング意見
公益社団法人全国精神保健福祉会連合会

この制度は、一定以上の収入や財産がなければ報酬認定があっても実際には被後見人から徴収できないため、誰もが同水準の支援を受けられる制度とはなっていないと感じています。親族も誰もいないすべての当事者(被後見人)を確実に守るために、国、市町村長、人権擁護機関、家庭裁判所、後見人、地 域支援者が連帯して、保護者、後見人の役を担ってほしい。身上保護を主とする成年後見も視野に、被後 見人の財力に応じた報酬基準だけでは、日常生活費程度の財力しかない人も、十分な資産を持つ人も同じ水準で制度利用できなければ、何のための成年後見制度なのかが問われると感じます。障害がある方 たちとその家族が「親亡き後」の心配をしなくてよい制度にしてほしい。親族と交際が途絶え、孤立して いるすべての当事者を、守れる制度にしてほしい。どんなに貧しい人でも使える制度にすべきです。 親族が誰もいないすべての要支援者を確実に守るために、国、市町村長、人権擁護機関、家庭裁判所、 後見人、地域支援者が連帯して、保護者、後見人の役を担ってほしい。報酬を払えなくても、利用できる 制度にしてほしい。障害がある方たちとその家族が「親亡き後」の心配をしなくてよい制度にしてほしい。親族と交際が途絶え、孤立しているすべての要支援者を、守れる制度にしてほしい。
すなわち、自己決定権の制限のある中で、いかなる自己決定支援をどのように担保していくのか、その ためにも社会モデルの徹底をおこなうための連携が生かさなければならない。 本人を保護しようとするあまりに、その自己決定を封じ込めてしまう成年後見制度の利用は、財産関係 がとても複雑で高額である場合や悪意で財産を狙う人から本人が逃れられないでいる場合のような特殊 な場合に限られるべきではないかと思います。
報酬認定は、家庭裁判所が成年後見人の業務や成年被後見人の資産などを総合的にみて合理的な金額 を定めることになっています。しかし、実際には書記官等のマンパワーも不足していることから、後見業 務内容の十分な実態把握をするのは困難な状況にあります。そのことから定期報告書による書面での確 認に偏重せざるを得ない体制をそのままに、今回の報酬基準を設けることになれば、より家庭裁判所が 後見業務内容を実態確認・把握できないことになり、裁量権が実質的には狭められることのないように してほしいです。 そうでなければ、後見人からの定期報告が報酬基準をクリアするための報告になりかねず、被後見人と なる当事者が真の人権擁護を受けられているかを見失っているにも関わらず、書類上は成年後見業務が 適正と判断されてしまわないか危惧します。
最後に自己決定の困難さがあるなかで、本人が後見人の交代を希望する事案等が生じる場合にはどの ようにその意思を反映させていくことができるのか。精神障害のある人の場合、信頼と安心のできる対 話の輪を粘り強く作りあげて、対話を続けていくことで意思を通わせることを後見業務にいかに落とし 込むのかも注視していきたい。

◎全国「精神病」者集団のヒアリング意見書  
T 次期成年後見利用促進基本計画に追加すべき事項
(1)障害者の権利に関する条約の第 1 回締約国政府審査に係る事
項→ 計画には、「障害者の権利に関する条約第三十六条及び第三十九条に基づき障害者の権利 に関する委員会からの提案及び一般的な性格を有する勧告が行われたときには、障害者を 代表する団体の参画の下で、当該提案及び勧告に基づく現状の問題点の把握を行い、関連法 制度の見直しを始めとする必要な措置を講ずること」が必ず明文化されるべきである。
2)当事者参画の必要性 →成年後見制度利用促進専門家会議には、ピアサポーターの職能団体からの参加はあるものの、病棟患者自治会、地域患者会、都道府県連合会、自立生活センタースタッフ等の幅広 い精神障害者の声をシェアする障害者団体の参画までには至っていない。障害者の権利に 関する委員会一般的意見第 7 号によると、障害者団体は障害者の権利に関する条約に協力 し擁護する義務を負うものである。今後は、全国「精神病」者集団から推 薦を受けた精神障害者を成年後見制度利用促進専門家会議の構成員に加えるとともに、以 下において適宜意見するとおり、各種ガイドライン等の策定過程におけるヒアリングも積 極的におこなうことを求める。
(3)尊重すべき事項→次期計画には、障害者の権利に関する委員会による一般的意見第 1 号を尊重した政策の 実施を明文化することが必要である。
(4)民法等の改正に向けた体制づくり→次期計画には、成年後見制度の見直しに係る民法及び民事訴訟法、家事事件手続法等の改 正に向けた検討を開始するための関係省庁会議を障害者団体の参画のもとで実施すること の明文化を求める。 民法等の改正の具体的なポイントを提言すると、⇒@障害者の法的能力の平等な享受の明 文化、A精神上の障害要件の削除、B事理弁識能力要件から社会的障壁の除去必要性要件へ の修正、C行為能力の制限範囲の限定、D意思決定支援の明文化、E補充性原理の導入、F その他、関連法制度の見直し、G実体的に障害を理由とした不平等を形成する事案への取り 組みの検討の 8 点があげられる。
(5)附帯決議 成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関す る法律案に対する附帯決議の衆議院附帯決議の 1〜4 と参議院附帯決議 5〜8 は、全国「精神病」者集団の提言によって成文化されたものである。次期計画は、当該附帯決議を踏まえて策定されなければならない。

U 現行の成年後見制度利用促進基本計画において修正等が必要な事項
1 利用者がメリットを実感できる制度・運用の改善
(1)利用促進という表現ぶりの変更
→現行計画及び中間評価には、「早期の段階からの制度の利用を促進」や「制度の利用によるメリットや参考事例」の周知が書き込まれているが、本来はメリットだけではなく公平か つ多角的な情報提供が必要とされるはずである。例えば、生活環境が変化したとしても機能 障害に変更が見られなければ後見の取消し決定が出にくいだとか巷でもトラブルの多い情報についてもきちんと公平に伝えていく必要がある。そして、なによりも次期計画において は、「利用促進」などの審判及び決定件数の増加を彷彿させる表現をすべて削除するととも に適正化などの表現に改められるべき。
(2)後見制度以外の選択肢の拡充 次期計画には、成年後見制度ではない意思決定支援の選択肢にかかわる利用促進についての検討を書き込む必要がある。
(3)必要な時だけ利用できる方法の検討→ 後見等の決定は、変化のない機能障害の場合、“死亡するまではずせない”ことが一般的。次期計画には辞任や交代だけではなくやめたいときにやめれるなど必要な時だけ 利用できる方法の検討について書き込む必要がある。
(4)後見人等の交代の推進→ 現行計画に掲げられている後見人等の交代の推進は、進んだものと評価。しかし、 後見人等であった前任者と後任者の間で行き違いや責任の所在が不明となっている事例が確認されている。次期計画には、後見人等が交代のために辞任した後の引き継ぎ等についても中核機関等を含む地域連携ネットワークがフォローできる体制を検討していくことを書き込む必要がある。
(5)社会的障壁にフォーカスを当てた審判を可能とすること→ 民法には、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者等の規定があるため、社会的障壁を見ずに機能障害のみを根拠にして審判が進められることになる。現行計 画に基づく診断書の書式改定及び本人情報シートの運用開始は、現行法の中で最大限に環 境因子を入れようとしたものであると評価しているが、本人情報シートが提出されずとも 審判が進められている現状があり、民法改正によらなくては達成されない課題があること を検討のなかで確認していく必要がある。 また、診断書の書式改定は、精神障害当事者の不在のまま検討が進められた経緯があり、 既述の通り当事者参画の上で再検討されるべきである。
(6)後見開始申立書の統一書式→最高裁判所は、2020 年 4 月 1 日から成年後見開始等申立書統一書式の運用を開始した。 申立書統一書式には、精神上の障害を申告する欄には行動障害のことが書かれており、大声 を出すなどの行為が列挙されている。しかし、身上監護及び財産管理をおこなう上で行動障 害に係る申告は不要であるばかりか、成年後見人等にいらぬ先入観を与え、偏見を助長し適切な身上監護を困難せしめる可能性がある。次期計画においては、運用状況の把握と必要な 見直しについて書き込む必要がある。また、申立書統一書式の改定は、精神障害当事者が不 在のまま検討が進められた経緯があり、既述の通り当事者参画の上で再検討されるべきで ある。
(7)本人の陳述 →民法第 843 条第 4 項、第 852 条、家事事件手続法第 120 条では、成年後見人及び成年後見 監督人の選任に際して本人の陳述の聴取の機会を確保しているが、但し書きにおいて省略 することが認められている。ところが、審判手続きにおいて本人の陳述の聴取の機会は、ほ とんどの審判で省略されているのではないかとの疑いがあり、次期計画には適正化に向け た実態把握と取り組みについて書き込む必要がある。
(8)報酬 →報酬の算定基準の検討は、精神障害当事者が不在のまま検討が進められた経緯があり、既 述の通り当事者参画の上で再検討されるべき。また、次期計画には、任意後見におけ る後見監督人等の報酬についての検討を書き込む必要がある。 また、報酬額や報酬付与の理由については、中核機関を含む地域連携ネットワークが後見 人等を通じて開示していく仕組みの導入が必要である。
(9)意思決定支援の在り方についての指針の見直し等 →各種ガイドラインにおける意思決定支援は、最善の利益に基づく介入(best interest) を容認。しかし、障害者の権利に関する委員会による一般的意見第 1 号では、最善 の利益に基づく判断が否定されており、政府として尊重するのであれば見直しについて真 剣に検討されるべきである。次期計画には、条約の観点からの意思決定支援ガイドラインの 見直し、意思決定支援研修のブラッシュアップが書き込まれる必要がある。

2 権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり
(1)中核機関等によるクリアリング・スクリーニング機能
→ 各種意思決定支援ガイドラインが整備されている現在、身上監護は後見人の排他的な役割とまでは言えなくなってきており、取引の安全こそが成年後見制度の排他的役割となり つつある。このことをよく理解していないままに財産保護制度という看板文句だけで後見 審判の申立てに至り、トラブルに発展するケースが各地において散見される。また、そうし た運用は、申立人が思い描く制度のメリット像との乖離を顕著に感じさせ、制度不信につな がっている。 地域連携ネットワークの機能のあり方は、個別的な相談対応として「制度等の利用が必要かどうかのニーズの精査」や「必要な見守り体制へのつなぎ」が考えられる。後見制度が必要であると主張している人が本当に後見制度によって果たされるニーズの持ち主であるか どうかを相談・助言するためのワンストップ窓口が必要である。成年後見制度ではない見守 り体制がある場合(重度訪問介護の活用など)は、その他の意思決定支援を優先的に活用し、 後見審判の申立を最終的な選択肢に据えていく流れを作る必要がある。 次期計画には、中核機関等によるクリアリング・スクリーニングを明文で書き込み、相談 体制についても検討を重ねていく必要がある。
(2)被後見人等の居場所がわからなくなり関係が分断されている問題→ 後見人等が被後見人等との交流がある親族や友人に対して被後見人等の居場所を教えな いなどして関係を分断してしまう事例が各地で散見される。こうした事例にたいしては、中 核機関をはじめとする地域連携ネットワークによって解決されるべきである。問題意識に ついて次期計画に明文で書き込まれる必要がある。 また、虐待案件とされて面会できない事例の中には、不適切な虐待認定によるものが含ま れるため、実態把握や救済策が検討される必要がある。例えば、高齢の親と障害のある子ど もの家庭が 8050 問題に絡めた不適切な虐待認定によって分離を余儀なくされ、そのまま首 長による後見申立てとなった事例。親が施設に囲い込まれ、子は虐待の濡れ衣を着せ られ、親子ともそれまで築いてきた親密な人間関係や環境を突然断ち切れたままにされる という、極めて深刻な事態が見受けられる。
(3)家族の位置づけ→ 被後見人等を支援する社会資源として家族の存在を評価し、地域連携ネットワークの中 に位置付けていく必要がある。
(4)市民後見人・法人後見等→ 市民後見及び法人後見は、後見審判及び決定の拡大路線に応じるものであることに憂慮する。市民後見については、後見人等のなり手不足の解消のために市民後見を活用するべきではないし、やる気のあるボランティアに対して “やりがい搾取”のようなかたちなって しまわぬようバランスの取れた運用こそ求められるはずである。法人後見については、100 件以上受任している法人がなんらかの理由で解任された場合に民法第 847 条第 1 項第 2 号 により欠格事由に該当し、他の受任事件においても当然に後見人等としての地位を失うた め、新たな後見人等の確保が数量的に困難になることが想定される。すると、不正が発覚し た場合でも内部処理に向かいやすく表面化しにくいのではないかとの疑念を持たないわけ にはいかない。少なくとも、法人後見については実態調査をおこなう必要がある。 いずれにしても、次期計画には安易な拡大路線をとらないよう慎重に進めるという観点 をなんらかのかたちで明文化するべきと考える。また、研修の実施やブラッシュアップなど 質の向上を優先させることで安易な量産に歯止めをかけていく必要がある。

3 不正防止の徹底
(1)監督権限をもつ家庭裁判所の取り組みについて
→ 後見人等の監督は、家庭裁判所によるところ。不正は、家庭裁判所の監督によって 防止されることを基本としており、不正防止にあたっては家庭裁判所の監督及び人員体制 の在り方に関する検討が必要とされるはずである。専門職団体がおこなう不正防止策を妨 げるべきとは考えないが、家庭裁判所の取り組みが先立たずして民間の取り組みのみが現 行計画にあげられているのは序列が逆転しており不可思議でしかない。これでは、専門職団体による取り組みも家庭裁判所のマンパワー不足の補填としておこなわれているのではな いかという疑念さえ生じうる。次期計画には、家庭裁判所の監督についての検討を書き込む 必要がある。
(2)意思の尊重義務(民法第 858 条)違反→ 平成 29 年 3 月 28 日、名古屋高等裁判所において、後見人が、@民法 858 条の無理解、A 親族への説明拒絶と脅迫的態度を理由として解任の決定が出された(平成 29 年 3 月 28 日・ 名古屋高等裁判所・平成 29 年(ラ)52 号)。決定の書面には、「専門職後見人は被後見人と 密接な関係にある親族に対しては、特段の事情がない限り、被後見人のプライバシー等に配 慮しつつ、情報を公開し、親族等から意見を聴取することは欠かせないものといわなければ ならない。」と書かれた。親族に必要な情報を提供しないなどの意思尊重義務(民法第 858 条)に違反した場合は、解任事案になり得る点を周知し不正防止に努めるべきである。

4 基本計画に盛り込まれているその他の施策
(1)医療等に係る意思決定支援が困難な人への支援の削除
→ 医療同意は、法律行為とは異なる事実行為であり、医学的侵襲行為の違法性阻却事由であ ることを鑑みて、通常の代諾の枠組みを後見人等がおこなう場合の考え方を示す程度の従 来の取り組みを継続していくことで問題ないと考える。次期計画では運用実態の把握程度 にとどめるべきである。 (2)成年被後見人等の権利制限の措置の見直し→ 現行計画に基づいて成年被後見人等の権利制限(「欠格条項」)の大規模な 見直しがおこなわれたことは大きな前進であった。しかし、一方で個別的・実質的な審査と いうかたちで欠格条項が完全に廃止されずに残されているという課題がある。次期計画で は、個別的・実質的な審査の運用状況の実態把握や政省令、通達、条例等の見直しに加えて、 さらなる欠格条項の見直しに向けた検討を書き込む必要がある。


◎成年後見制度に対する意見書
特定非営利活動法人 日本障害者協議会(JD) 代表 藤井 克徳

高齢者・障害者の財産等を保護する観点においては、詐欺等の犯罪が社会的関心を集める中で、成年 後見制度が権利擁護的な役割を果たしていることは認めたいと思います。しかし、成年後見を一度受け てしまうと、会社の役員等になれないなど、多くの欠格条項がありました。これらについては一括削除 されたものの、「心身の故障」などとして、返って制約が広まったとの指摘もあります。市民としての権 利の保障と、財産の保護という問題を両立させ調和を図りながら解決していくことが求められます。
日本は障害者権利条約を批准していますが、私たち(JD)が参加している日本障害フォーラム(JDF) は、この条約の理念を国内政策に活かす取り組みを行なっています。本年 3 月 JDF は、「日本の総括所見用パラレルレポート」をまとめ、国連の障害者権利委員会に提出しています。その中で「成年後見制 度と訴訟無能力条項の廃止」を提起し、「障害者の法の前の平等を制限する法律が存在することを懸念 する」旨を明らかにし、民法および民事訴訟法の改正を強く訴えています。さらに代理意思決定支援で はなく、支援付き意思決定への転換、「障害者の意思および選好を基礎においた法的能力の行使に当た って必要とする支援を障害者に提供する制度」を求めています。まさに日本の成年後見制度は、国際的な観点からは転換期を迎えているといえます。 障害者等の権利擁護を考えていく際、財産の保護ももちろん重要ですが、虐待や差別からの“保護” という視点も必要で、これらを包括的な形の一つの制度として作り上げていくことも課題として挙げら れると思います。ただ、このような考え方をすぐに実現できるかと言えば、ある程度の時間が必要だと 考えます。2017 年 3 月に閣議決定された「成年後見制度利用促進基本計画」により、意思決定支援や 身上保護の重視、権利擁護支援の地域ネットワークの構築などが具体化しつつあります。しかし、次期 計画の策定にあたっては、以下について更なる検討を重ねていただきたいと考えます。


1.財産の保護のみならず、障害者等の諸権利を保障する包括的な権利擁護制度の構築をすること。
2.現行の制度における“代理意思決定”の要素を極力抑制し、「支援付き意思決定」の要素を可能な限 り高めていくこと。
3.家庭裁判所の成年後見決定にあたっては、総合的に状況を考慮していき、市民としての権利をはく 奪しかねないものと認識し、可能な限り慎重に行うこと。また関係者も同様の認識を持って当事者を 支援すること。


◎成年後見制度に対する補充意見   特定非営利活動法人 日本障害者協議会(JD)
《有意義だったヒアリング 》↓

10 月 4 日(月)、成年後見制度に対する意見交換会(ヒアリング)を開催してくださり誠にありがとう ございました。 当会(JD)は、 ↓
1.財産の保護のみならず、障害者等の諸権利を保障する包括的な権利擁護制度の構築をすること。
2.現行の制度における“代理意思決定”の要素を極力抑制し、「支援付き意思決定」の要素を可能な限 り高めていくこと。
3.家庭裁判所の成年後見決定にあたっては、総合的に状況を考慮していき、市民としての権利をはく 奪しかねないものと認識し、可能な限り慎重に行うこと。また関係者も同様の認識を持って当事者を支援すること。 を意見書で提出いたしました。ヒアリングでは様々な観点からの意見が出され、私たちにとっても勉強の 機会となり、とても有意義な時間でした。 以下は、補充意見です。
《成年後見制度は必要なのか、検証を》 ↓
成年後見制度は障害者や高齢者の権利を守る目的でつくられた制度であるにもかかわらず、時が経つに つれ、逆に障害者の人権を制約してしまっていることがしばしばあります。現在は欠格条項が改正されていますが、先日、成年後見制度を受けていたがために、退職を余儀なくされた障害のある男性の問題に対して岐阜地裁は、成年後見制度にある欠格条項は憲法違反との判断を下しました(10 月 1 日)。現在でも 「心身の故障」のある人に対しての欠格条項が存在しています。 成年後見制度自体、医学モデルの考え方に基づいてつくられたものであり、「社会モデル」や「人権モデ ル」を基調にした障害者権利条約の考え方とは相容れないことに着目する必要があります。 権利能力とともに行為能力が認められてこそ、法的能力が尊重されていると言えます。「法の下の平等」 を考える時、だれにも意思があり、その決定能力は備わっていると考える必要があります。詐欺や犯罪か ら財産を守るとする成年後見制度ですが、「後見」を受けることによって烙印を押され、社会参加や将来の 可能性を閉ざしてしまう実態もあります。現状は、成年後見制度の利用率は圧倒的に低い状況です。後見 を受ける障害者・高齢者は、費用負担をしています。成年後見人による不正事件も少なくなく、何のため に後見を受けたのかわかりません。本当にこの制度が必要とされているのか、しっかりした検討が迫られ ています。
《 権利擁護を包括的にし、他施策との連携も視野に》↓
法律自体を改正し、包括的な権利擁護制度による支援付き意思決定による権利擁護への転換が必要です。 法律改正がなされるまでの間は、成年後見に安易に依存するのではなく、既存の社会福祉法制を駆使し ていくことが重要であると考えます。社会福祉力を十二分に展開させ、福祉サービス、福祉事業の中で、 障害当事者同士(ピア)のつながりを重きに置いたソーシャルワーク機能を十分に発揮させていくことが 求められます。財産の保護は大切ですが、それ以上に「どういう生活をしたいのか」を基底に、本人の意 思に基づいた生活を実現させていく取り組みが求められています。 その時は、障害者差別解消法や、障害者虐待防止法等、関連法と緊密性をもたせながら行なっていくこ とは重要な視点となると考えます。 何卒、「社会モデル」「人権モデル」に基づいた“意思決定支援”の仕組みがつくられ、実践がなされま すようご尽力をよろしくお願い申し上げます

次回は新たに「第42回労働政策審議会雇用環境・均等分科会」からです。

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