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子どもの権利擁護に関するワーキングチーム(第9回)資料 [2021年04月21日(Wed)]
子どもの権利擁護に関するワーキングチーム(第9回)資料(令和3年3月29日)
≪議事≫ とりまとめ(案)について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_17720.html
◎資料1 とりまとめ(素案)
◯子どもの権利擁護に関するワーキングチーム とりまとめ(素案)↓
3.権利擁護の枠組み・機関

 2.で述べた子どもの意見表明の機会の確保及び意見表明支援の仕組み が整備され、それらが機能してもなお、様々な場面で子どもの権利侵害が生じるおそれは否定できない。例えば、施設内での虐待は被措置児童等虐待として法律で禁止されているところ、令和元年度には都道府県において 290 件の 届出・通告が受理されており、同年度に虐待と認められたケースは 94 件ある。 一時保護所でも、過度の私語禁止や私物所持の禁止などに見られる管 理的な運営に関して、子どもの権利の観点から様々な問題が指摘されている。
施設や一時保護所における権利擁護→まずもって内部に苦情処 理の仕組みを整備する等により適切に対応するべきであるが、同時に、自分から声をあげられない子どもの権利が保障されているのかどうかは外部の目で見ていく必要もあり、第三者が関与する枠組みを整備していくべきである。 まず、児童相談所、里親、施設などが関わる個別具体のケースについて生じた権利侵害→子ども本人や子どもと関わる関係機関から申立てができ、中立的な立場の者によって調査・審議され、結果に応じて行政機関や施 設に対して意見具申や勧告をする等の機能を備えた権利擁護機関を整備する 必要がある。 また、個別具体的な権利侵害は、児童相談所や施設の運営方針に起因して いることも多いため、子どもの権利擁護に関する質の向上を図ることのできる 適切な第三者評価を通じて、個別事案への対応方法のみならず運営のあり方 そのものを見直していく仕組みも必要である。 さらには、自治体レベルや国レベルで子どもの権利擁護の状況を俯瞰して、 自治体や国に対して政策を提言したり、市民に対して子どもの権利に関する教育・啓発活動を行ったりする機能を備えたコミッショナー(・オンブズパーソン)についても検討する必要がある。

(1)個別の権利救済の枠組み↓
 平成 28 年報告書
→本来は 独立した第三者機関を設置するべきであるが、かかる機関の設置には時間を 要すると思われるため、当座、現存する児童福祉審議会を活用すると整理されている。いずれの方法を採るにせよ、社会的養護施策を立案・実施する主体である都道府県等において取り組んでいく必要がある。このため、児童福祉法上、都道府県等は、子どもの権利擁護の環境整備に努めなければならない旨 を規定するべき。 また、前述の「子どもの権利擁護に係る実証モデル事業」では、児童福祉審 議会等の機関を用いて権利擁護の枠組みを構築するために必要な経費に対して一定の予算措置がされており、実証モデル事業の更なる展開 やその拡充により、自治体の主体的な取組を後押ししていくべき。
 @児童福祉審議会→ 平成 28 年改正法では児童福祉審議会が子ども本人を含む関係者から意見 を聴くことができる旨の規定が整備され、具体的な活用方法が調査研究事業 や実証モデル事業で検討されてきた。 令和元年度に実施した調査研究事業によれば、調査に回答した 54自治体の うち 5 自治体(9.3%)に児童福祉審議会を活用した子どもの権利擁護の仕組みがあり、また、令和元年度末までにとりまとめた各自治体の社会的養育推進計 画によれば、全 70 自治体のうち 27 自治体(38.6%)が児童福祉審議会を活用した子どもの権利擁護の仕組みを検討していく考えを示している。 児童福祉審議会→全ての都道府県等に既に設置されているため 体制整備に着手しやすく、早期に仕組みを構築できるというメリットがある一方 で、対象が児童福祉法の範疇に限られ、学校で生じる問題など子どもの権利 全般を取り扱うことは困難になるというデメリットがある。 自治体においてはこうしたメリット・デメリットを踏まえて権利擁護の仕組みを 検討することが求められるが、子どもの権利擁護は喫緊の課題であることに鑑み、原則として全ての自治体において児童福祉審議会を活用した権利擁護の 仕組みが整備されるよう、取組を促進していくべきである。
【機能・対象児童】 児童福祉審議会は児童福祉法第8条第2項に基づいて児童、妊産婦及び 知的障害者の福祉に関する事項を調査審議することができ、同条第4項に基づいて関係行政機関に意見を具申することができることから、これらの権限を 行使して子どもの権利擁護を図ることになる。
児童福祉審議会が取り扱う事案→以下の3つのパター ンが想定される。
a.措置等の決定に先立つ子どもの意見聴取及びその尊重→
都道府県等による措置や一時保護の決定に先立ち、子どもが児童福祉審議 会に意見を申し立てる事が考えられる。この場合、児童福祉審議会が子ども からの意見聴取や必要な調査等を行ったうえで、必要な場合には都道府県等 に措置や一時保護の内容等に関する意見を具申することになる。 なお、現行制度では児童福祉法第27条第1項第1号(訓戒・誓約)、第2号 (在宅指導)、第3号(里親委託・施設入所)の措置を採る場合、又は同項第2 号、第3号の措置を解除、停止若しくは他の措置に変更する場合であって子どもの意向と当該措置が一致しないときは、都道府県知事等は児童福祉審議会 の意見を聴かなければならないこととされている。また、2(1)@で述べたよう に、今後は措置や一時保護を決定するに先立ち、子どもの意見聴取を義務付 けるべき。 今般検討する仕組みは子どもの側から意見を申し立て、児童福祉審議会から 措置権者に対して必要な働きかけを行うものと位置付けられる。
b.措置等の決定事項に対する意見表明→都道府県等による措置や一時保護の決定そのものに対して、不満等を抱え る子どもが事後的に児童福祉審議会に意見を申し立てることが考えられる。 こうした決定そのものを取り消す機能は行政不服審査法に基づく審査請求 に委ねられているため、それとは異なり、処分の決定後にも児童福祉審議会 が子どもの意見を受け止め、必要な場合には都道府県等に対して決定の再考 を促す機能として意見具申を位置付けることが考えられる。 なお、そもそも措置や一時保護の決定は、子どもの意見を適切に考慮して行 われるべきものであり、あくまで事前の意見聴取を重視すべきであることには 留意が必要である。 また、子どもが措置や一時保護を求めているにもかかわらず、児童相談所が そうした対応を行わない場合も想定される。このような場合にも、子どもが児童 福祉審議会に意見を申し立て、必要に応じて適切な措置や一時保護を行うよう都道府県等に対して意見具申を行うといった機能も考えられる。
c.里親家庭、施設、一時保護所等での生活に関する不満等がある場合→措置先や一時保護所などの生活の場において、里親や職員の対応に子どもが不満等を感じた場合、児童福祉審議会に意見を申し立てることが考えられる。この場合、児童福祉審議会は必要な場合には都道府県等に対して対応の 改善を求める意見を具申し、都道府県等は当該意見を里親、施設、一時保護 所等に伝え、意見を踏まえた対応を求めることが考えられる。 なお、現行制度では被措置児童等虐待に関して児童福祉審議会が調査審議 する枠組みがある。また、施設や一時保護所においては苦情受付窓口や第三 者委員の設置等の措置が講じられており、施設や一時保護所の内部で簡易・ 迅速に子どもの意見を聴いて対応することもある。こうした仕組みとの関係を 整理することが必要であるが、例えば、被措置児童等虐待については従前の 仕組みを活用し、施設内で迅速に解決されるべき意見(例:食事のメニューに 関する苦情)は苦情解決委員会等による現場での解決に委ね、これらに当た らない事案(例:児童間のいじめ)は権利擁護の枠組みで対処する、などの役割分担が考えられる。  
上記 a〜c の対応を前提とすれば、権利擁護の対象となるのは、措置や一時 保護を現に受けている子どもはもとより、在宅指導措置を受けている家庭にいる子ども、措置や一時保護の必要性を検討されている子どもも含めることが適当であり、児童福祉法上の要保護児童・要支援児童と設定することが考えられる。また、措置延長を受けて引き続き児童養護施設等で生活している 20 歳未 満の者や、社会的養護自立支援事業の適用を受けて引き続き児童養護施設 等で生活している 22 歳未満の者については、生活環境の継続性に鑑み、18 歳未満の児童と同様に対象として位置付けることが適当。 なお、18 歳を超えたケアリーバーがインケアの時に受けた過去の対応についても権利擁護機関の扱う対象にすべきとの意見もあった。他方、例えば謝罪や 慰謝料による解決を図るのであれば民事訴訟に委ねるほうが馴染むとの意見があった。少なくとも、児童相談所としてはケアリーバーが過去の経緯等を知り たいと思ったときに適切に対応できるよう、児童相談所運営指針に定められて いる児童記録票の保存期間(施設入所等の措置をとった児童は満 25 歳になる まで、将来的に児童記録票の活用が予想される場合は長期保存)を遵守して いくべきであるとの意見もあった。
また、上記 a〜c のいずれの場合も、→子ども本人が、必要に応じて意見表明支援員のサポートを得ながら、自ら 児童福祉審議会に申し立てることに加えて、 子どもに関わる関係機関(例えば、要対協の構成機関、医療機関、教育委 員会、児童福祉施設等)が児童福祉審議会に申し立てる といった申立て経路も考えられる。 さらに、意見具申後の子どもへのフィードバックも重要であり、意見具申の内 容は子ども本人にも伝えるとともに、一定の期間を設けて児童相談所や施設 等から対応結果の報告を求め、その結果を子どもに伝えるといったフォローアップも行うべきである。 調査・審議の結果によっては、児童福祉審議会としての判断やその後の児童 相談所等の対応結果について、子どもがなお不満を感じることもある。そのような場合であっても、意見表明支援員や後述の調査員など子どもと直接関わる役割を担う者を通じて理由等をしっかりと説明し、子どもの納得が得られるよう努めるべき。
【児童福祉審議会の体制等】
a.独立性 権利擁護機関は
、都道府県等に対して意見を具申し、児童相談所や施設な どに対応の改善を求める機能を有することから、それらの主体との間に利害関 係が無いことが大前提となる。 児童福祉審議会で子どもの権利擁護に関する事案を一定の独立性をもって 扱うためには、審議会の下に権利擁護部会(仮称)を設けて対応することが考えられる。既存の児童福祉審議会には、都道府県等から措置に関して意見を 求められた場合に審議する権限が付与されており、そのための部会が設置されている自治体も多い。このため、子どもの意見を受けて権利擁護を図る仕組 みが形骸化しないよう、権利擁護部会(仮称)はそのような既存の部会からは 独立させ、委員も異なる人選をすることが適当。 そもそも児童福祉審議会の委員は児童福祉法上「児童福祉審議会の権限 に属する事項に関し公正な判断をすることができる者」と定められている。権利 擁護部会(仮称)の委員に関しては、児童相談所の措置や支援、施設や一時 保護所での支援等について審議することから、例えば、児童相談所や施設関係者、児童相談所・一時保護所に配置されている弁護士等は委員としては望 ましくないことに留意が必要である。 なお、児童福祉審議会の部会の設置の仕方は自治体ごとに様々であり、全国統一的なあり方を決めることはできないが、仮に既存の部会を活用する場 合でも、審議事項に応じて、例えば措置等を検討する場合に部会の委員の中 に児童相談所関係者が含まれている、里親に関する事項を審議する場合に里 親関係者が含まれているといった場合は、当該委員は審議から外れる、又は 他の委員を立てることにより独立性を確保する必要がある。 いずれにしても、各自治体の既存の部会の設置状況に応じて役割分担を整理することが必要であり、国としては標準的な設置運営要綱を示すなど、自治 体の参考となる資料を作成するべきである。 この他、設置運営要綱において、特段の事情が無い限り委員を解任しない との定めを置くことや、都道府県等が意見具申を尊重するとの定めを置くこと などにより、独立性を高めることも考えられる。
b.迅速性 子どもの権利擁護事案は不定期に発生し、かつ、迅速な対応が重要である ことから、臨機応変かつ速やかに調査審議が行われることが必要である。この ため、会議の日程調整がしやすいように一定の少人数で委員を構成すること、 場合によってはオンラインや持ち回りなどの形式で会議を開催することなど、 迅速な対応を確保するための運用上の工夫が必要である。現在の児童福祉 審議会の運用を見ると、年に2〜3回程度しか開催されない自治体も見られる ことから、少なくとも予め開催スケジュールを固定するのではなく、必要な時に 速やかに開催できるように要綱等を整備しておく必要がある。 また、迅速な事務処理を行うために、事務局の体制も一定の規模が必要。特に、現地調査や関係者からの聞き取りには一定の労力を要することから、適時・迅速に対応できるよう、調査のための要員を確保しておくことが重要。この場合、調査の要員についても一定の独立性が担保されていること が望ましく、例えば、調査対象となる児童相談所や施設の関係者は調査の要 員として望ましくないことに留意が必要。さらに、独立性を高めるために は、権利擁護調査員(仮称)を配置することとし、弁護士等を部会の事務局に 雇用する、若しくは外部の団体(例えば地域の弁護士会等)に委託するなどの 手法も有効であると考えられる。 なお、自治体によっては児童福祉審議会の事務局を児童相談所職員が担当 しているケースもあるが、権利擁護部会については児童相談所からの独立性 が重要であり、担当は避けることが適当である。
c.アクセシビリティ→子どもからの意見表明を担保するためには、子どもからアクセスできるルートが整備されていることが前提。 まず、子どもが単独で意見を表明することには心理的なハードルもあること から、意見表明支援員が一時保護所や児童養護施設などを定期的に訪問するなどのアウトリーチの手法により、子どもに対して意見を表明してもよいこと を伝え、権利擁護機関の仕組みについてわかりやすく説明することが重要。これに加え、電話、はがきのほか、施設職員を通じた意見表明支援員の呼 び寄せなどの多様なアクセス方法を整備しておく必要がある。 いずれにしても、子どもが仕組みや利用方法・窓口等を理解できるように、 わかりやすい説明資料を作成するなどの工夫が必要となる。
d.専門性→ 権利擁護機関は里親委託、施設入所、一時保護等に関する子どもの不服 や生活上の悩みなど幅広い事案を扱うことから、委員は子どもの権利擁護や 児童福祉法の制度に精通している者が担うことが必要である。 児童相談所や一時保護所、児童福祉施設とは異なる立場で議論が可能と なり、かつ、専門性を有する者としては、学識経験者のほか、法的な権利擁護の観点から弁護士、心理的観点から医師・心理職、福祉制度の観点から福祉職といった者が考えられる。 また、権利擁護に係る専門性を担保する→これらの者が委員に就くうえで、子どもの権利に関する一定の研修を受けるなどの対応も考えられる。
【その他】→ このほか、児童福祉審議会を活用するうえでは、設置運営要綱に盛り込む 事項の整理、子どものプライバシーへの配慮等、実務面での様々な検討事項 があることから、これまでに実施してきた調査研究や実証モデル事業の成果も 踏まえて、実務上の留意点等を整理して通知等で示していくことが必要である。 A児童福祉審議会以外の権利擁護機関 既に一部の自治体では、条例に基づいて児童福祉審議会とは別の子どもの 権利擁護機関を設置し、権利救済の申立てを受けて調査・審議・勧告を行った り、子どもからの相談を受理したりといった取組が行われている。 こうした独自の権利擁護機関のあり方は自治体によって様々であるが、おお むね、条例で所掌事務が定められ、首長が弁護士や福祉専門職などの有識者から委員を任命し、委員のもとに調査や相談を担う専門員及び事務局機能を有するといった特徴をもっている。 このような独自の権利擁護機関を設置する場合には、@で述べた児童福祉 審議会の機能を代替することができると考えられるため、自治体の選択に応じて整備を進められるよう後押しするべきであり、上述の実証モデル事業を拡充 して活用するなど、国としても支援していくべきである。 なお、このような条例に根拠を有する権利擁護機関は、取り扱う対象を必ず しも児童福祉法の範疇に限定する必要がないこと、先行事例を見ても広く子ど もの権利全般(例:学校で生じる問題、有害図書の問題など)を取り扱っている ことなどから、児童福祉審議会を活用する場合と比べて幅広い事案を扱うこと ができるというメリットがある。その反面、既存の人権擁護に関係する制度・機 関との関係の整理が必要となることから、児童福祉審議会を活用する場合と 比べて立ち上げに要する調整コストが大きいというデメリットがある。 自治体においては、こうしたメリット・デメリットを踏まえて検討する必要があ るが、いずれにしても、国としては先行事例である自治体オンブズパーソン等 のあり方を整理してモデルとして提示するなど、独自の権利擁護機関の設置を 目指す自治体の参考となるような対応を講じていくべき。 【機能・対象児童・体制等】→ 条例により権利擁護機関に付与される権限は、調査・勧告・意見表明・公表 といったものが考えられ、これらの権限を行使して都道府県等に対して対応の 改善などを求めていくことになる。 権利擁護機関が取り扱う事案は、@で述べたa〜cと同様に考えることができるが、それに加えて、社会的養護のもとにいる子どもや児童相談所の対応ケ ースとなっている子どもに限らず、幅広く子どもの権利に関わる事案を取り扱う ことが可能であると考えられる。 その他、独立性、迅速性、アクセシビリティ、専門性といった点は、@で述べ た児童福祉審議会に係る留意点と同様の考え方が妥当するため、設置運営 要綱や運用上の工夫によってこれらの要素を担保できるようにするべき。

(2)監視、評価、啓発、政策提言の機能 ↓
@第三者評価
→子どもの権利侵害が生じる原因は、単に個別の支援者の資質の問題にとど まらず、一時保護所の管理的な運営の慣行に見られるように、行政や施設の 構造的な問題であることが多い。
こうした状況に対しては、個別の権利救済を図るのみならず、外部の専門家 が一時保護所や施設の運営全般を点検・評価し、その結果を踏まえて改善を 図るサイクルを定着させる必要がある。 児童養護施設等の社会的養護関係施設には第三者評価の受審が義務づけ られている一方で、児童相談所は努力義務とされており、令和 2 年度時点で 第三者評価を受審した児童相談所は全国で9箇所(4%)、一時保護所は全国 で 34 箇所(24%)と、定着しているとは言えない状況にある。一時保護所→構造的に外部の目が届きにくい施設であることから、子どもの権利擁護 を中心とした運営のあり方に変えていくためにも、第三者評価を現在の努力義 務ではなく義務化することを検討するべき。 また、児童相談所・一時保護所の第三者評価の実効性を担保するために は、適切な評価者が実施することが必要となる。現状では、児童福祉審議会、 民間企業、社会福祉協議会、大学の研究者などの様々な主体が評価者として 活動しているが、地域によっては評価者の確保さえ困難な状況にあることが指摘されている。したがって、当面は、各自治体において専門的な視点からの評 価を行える体制(学識経験者・弁護士・医師・他の圏域の児童相談所での業務 経験者など)の整備を進めるとともに、評価指標について全国標準的なものを 定着させていくなどにより、評価の質の均てん化を図っていくべき。加えて、将来的には、国レベルの評価機構についても検討していくべきである。 さらに、社会的養護の質を評価する上では、当事者である子どもや経験者の 声を取り入れることが不可欠。この場合、現在進行形で施設等に暮らす インケアの子どもの視点と、ある程度客観的に過去を振り返って評価ができる ケアリーバーの視点は自ずと異なることから、それぞれの視点を取り入れて多 角的な評価がされることが望ましい。方法としては、既に子どもや退所者への アンケート調査を行っている自治体や施設もあるが、こうした手法に加え、聴き取り等の方法により、調査票への記入等が苦手な子どもの声も反映できるよう にすることが望ましい。
Aコミッショナー(・オンブズパーソン)→権利擁護機関の機能としては、個別事案の救済にとどまらず、 「自治体や国における権利擁護の状況の監視」「制度・政策の提言」「市民に対する権利擁護の教育・啓発 など」、自治体や国のシステム全体へ働きかける機能が考えられる。
【自治体レベル】↓
Aで述べた自治体における独自の権利擁護機関の中には、個別事案へ の対処の蓄積を活かして、首長に対して年次報告等の形で政策提言を行ったり、学校に出向いて子どもの権利に関する周知・啓発活動を行ったりしている 例がある。国としてはこのような権利擁護機関の事例を周知するなど、自治体 における取組が促進されるような対応をとるべき。また、児童福祉審議会には、児童福祉法第8条により、「児童、妊産婦及び 知的障害者の福祉に関する事項を調査審議する」権限(第2項)、都道府県知 事又は市町村長の「諮問に答え、又は関係行政機関に意見を具申する」権限 (第4項)が付与されている。これらの権限の行使の仕方によって、自治体に対 する監視や政策提言の機能を果たすことが可能であると考えられる。国→児童福祉審議会がコミッショナーに類する機能を果たす場合の具体的な運 用方法を通知等で示すなど、独自の権利擁護機関を直ちに創設することが難 しい自治体においては既存の制度を活用した取組が進むよう支援していくべき。
【国レベル】 →上記の監視・提言・教育啓発機能を整備する重要性は国においても同様である。他方で、例えば法務省の人権擁護機関では令和元年で 15,420 件の人 権侵犯事件に対応しており、その内訳として「学校におけるいじめ」(19.1%)や 「暴行・虐待」(14.9%)も相当程度の割合を占めていることに加え、電話による 人権相談や市民に対する人権啓発活動も行っている。こうしたことを考慮すれば、仮に国レベルでコミッショナー(・オンブズパーソン)の機関を創設するとしても、これら既存の枠組みとの間の役割分担の整理等が必要になり、省庁横断的な検討を重ねる必要が生じる。 そもそも国レベルでのコミッショナー(・オンブズパーソン)については、社会的 養護分野を対象とするのか、学校生活等も含めたすべての子どもを対象とす るのか、あるいは人権全般を対象とするのかといった根本的な課題について、 省庁横断的な検討が必要であり、引き続きの検討課題として位置付けていくべきである。

おわりに→市区町村や児童相談所の虐待相談対応件数が増加し、悲惨な死亡事例等 も後を絶たない中、子どもの最善の利益を社会全体で守っていくためには、個 別ケース対応・政策立案の両面において、子どもからの意見表明権を保障し、それをしっかりと受け止める権利擁護の枠組みを全国的に整備していくことが不可欠である。 今後、本とりまとめに沿って政府において具体的な検討を進め、制度的な対 応も含めた必要な措置が講じられるよう希求する。

次回は、「資料2 とりまとめ案の子どもの意見聴取について 」からです。

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