第2回障害者の就労能力等の評価の在り方に関するワーキンググループ(資料) [2021年02月12日(Fri)]
第2回障害者の就労能力等の評価の在り方に関するワーキンググループ(資料)(令和3年1月29日)
≪議題≫(1)ワーキンググループにおける論点について (2)その他 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_16389.html ◎資料1 論点を踏まえた議論等の整理(案) 1.就労能力や適性の評価に係る現状の課題 ・ 就労系障害福祉サービス及びハローワーク等の職業リハビリテーションサービスの利用に当たって、障害者にとってどのようなサービス等 がふさわしいかの判断が現場に任せられているのではないか。 そのため、障害者の就労能力や一般就労の可能性について、障害者本人や障害者を支援する者が十分に把握できておらず、適切なサービス等に繋げられていない場合もある のではないか。 ・ 例えば、特別支援学校卒業生等の就労系障害福祉サービスの利用に当たっては、それに先立ち、長期的な就労面に関するニーズや課題を把握し、一般就労の可能性を見極めた上(就労移行支援事業の短期利用による「就労アセスメント」)で、それが困難であると認められる場合には就労継続支援B型事業を利用することになっているが、現状の「就労アセスメント」は、B型の利用を前提とした形式的な アセスメントとなっている一面もある。 ・ また、就労継続支援A型事業や就労移行支援事業の利用を希望する場合→障害者本人の希望を尊重しつつ、より適切なサービスの利用を図る観点から、その利用が適切か否かの客観的な判断(「暫定支給決定」による短期利用)を行うものとされているが、既に本人と事業所との間で利用が決まっているなどの理由 により「暫定支給決定」を実施していない場合があるなど、目的や機能に沿った取扱い がなされていない実態も見られる。 ・ ハローワークにおいても、来所した障害求職者に対して、必ずしも統一的な評価の下、 求職活動の支援が開始されているとは言えない状況にある。 ・本ワーキンググループは、働くことを目指し、サービス等の利用を希望する 最初の段階を念頭に、障害者の就労能力や適性の評価(「アセスメント」)の在り方について検討する。 なお、アセスメント→サービス等の利用を希望する最初の段階のみならず、 当該サービス等の利用中であっても、障害者本人のニーズや状況の変化等を定期的に把 握するためのモニタリングも重要であることに留意することが必要。例えば、就労移行支援事業等を介して一般就労が可能な人でも、一旦、B型等を利用すると、その ままそこに留まるといった指摘もあった。 2.論点を踏まえた議論の整理 (1)アセスメントの目的・対象者 (目的)↓ ・ 障害者本人のニーズの実現や障害者本人にとっても納得感のあるサービス等の利用 に資するためには、サービス等の選択・決定に先立ち、十分なアセスメントを実施する とともに、障害者本人を含む関係者とその内容を共有することが求められる。 ・ アセスメント→一般就労の実現に向け、長期的な視点に立って、就労能力や適性 を評価する必要があり、障害者本人の能力のみならず、環境面で何が必要かを明らかにすることも重要。 なお、アセスメントのプロセスや結果は障害者本人と共有されることはもちろんのこと、本人の就労能力や適性、可能性等を一方的に押しつけたり、特定のサービス等への 振り分けを行ったりするものにならないよう留意する必要がある。 (対象者等実施体制) ↓ ・ 働くことを希望する障害者→アセスメントの目的・趣旨を説明した上で、 実施を希望しない場合を除き、障害程度や就労能力にかかわらず、職業経験を有する者 等も含め広くアセスメントを実施することを目指し、その実施体制等の検討を進めては どうか。 なお、実施体制等の検討に当たっては、就労系障害福祉サービスと職業リハビリテー ションサービスの利用の仕組みが異なることも踏まえ、例えば、まずは職業経験を積んでいない者に対するアセスメントから実施するなど、実行可能性等も考慮し、段階的な 対応策を検討してみてはどうか。 (2)アセスメントの結果を活用する場面 (福祉の現場での活用方法) ↓ ・上述の実行可能性等を考慮し、当面は、例えば、「就労移行支援事業、A型・B型の利用を希望する障害者に対するアセスメント→「就労アセスメント」や「暫定支給決定」により実施しているものの、希望するサービスの利用に当たっての事前手続き的な性格もあるため、上記1に触れた課題 などが生じている。」「このため、現行のアセスメント実施の仕組みを整理した上で、引き続き障害者本人 のニーズの実現等に資するよう、これらの支援の利用を希望する者に対しては、共通のアセスメント実施の仕組みを設け、その中で長期的な就労面に関するニーズや課題 等も把握することを通じ、本人の選択を支援していく仕組みとしてはどうか。」 (雇用の現場での活用方法)↓ ・ 同様に、例えば、職業経験を積んでいない者であって、就労系障害福祉サービスを介 さずに直接一般就労を希望する者に対して、求職活動に入る前に、必要な者に対しては 一定アセスメントを実施し、アセスメントの結果を参酌しながら、職業指導等を実施し てはどうか。加えて、就業経験を有する者であって、ハローワークに来所した求職者に 対しても、同様に対応することが考えられる。 また、事業主に対してアセスメントの結果も参考とし、必要な合理的配慮等について 助言・指導等を実施してはどうか。 (教育の現場での活用方法) ・ 教育現場では、個別の教育支援計画が作成された上で教育が行われている。教育現場 から福祉・雇用施策への切れ目のない支援のためには、学校での取組がサービス等にお ける支援に繋がるような仕組みを構築することが求められる。また、その実現のためには、教育、福祉、雇用における「共通言語」が必要となるのではないか。 他方、アセスメントの結果を教育現場とも共有し、進路指導等において活用し、教育 と福祉・雇用で「相互理解」を形成することも有益であると考えられる。このため、アセスメントの結果を教育現場にフィードバックする仕組みを検討することが必要では ないか。学習指導要領の範囲での対応となるが、こうしたフィードバックにより、学校 内の指導内容面を充実させていくPDCAサイクルにより、教育と福祉・雇用の相互理 解が進むと考えられる。 その上で、これら「共通言語」や「相互理解」の実現に向け、具体的な対応、取組としてどういったことが考えられるか。 (3)方法、運用面での留意点 ・ アセスメントに当たっては、@どのような事実を把握するか、A把握した事実をどの ように評価するかが重要。 @→障害者の状況やニーズにあわせて、把握すべき情報を明らかにした上 で、障害者本人との面接や関係機関等からの情報収集に加えて、標準的なツールを活用 すること等により、障害者本人に係る事実を把握していく必要。 A→把握した事実をどのように解釈するかは重要かつ困難な課題であることを踏まえ、障害者本人や関係者の視点も踏まえて検討していく必要がある。 (ツール) ↓ ・アセスメント→関係者間の情報共有としてJEEDにおいて開発された標準 的なアセスメントツール等を活用することが考えられる。 (相互理解の促進) ○ 「福祉」から「雇用」(又は「雇用」から「福祉」)における切れ目ない支援を実現するためには、雇用、福祉、教育、医療等、就労支援に携わる各分野の関係者が共通の目 標設定を持つことが必要ではないか。共通目標の設定に向けた具体的な方策は考えられ るか。 また、目標設定を共有する上で、相互理解が重要であり、ケース会議等により、情報 交換や意見交換をすることが必要ではないか。その他、相互理解を図る上で、有効な手 段は考えられるか。 (アセスメントで考慮する要素) ↓ ・アセスメント→「職業生活の基礎となるような医療面、生活面についても考慮すること」「企業がどういう能力を欲しているか、どういう人材を望むかという視点を持つこと」「職務能力(障害特性)や志向性(どのように働きたいか)にも留意すること が必要」。 ・ これら留意点への対応として、具体的にどのようなことが考えられるか。 (4)実施主体 ・ 全国での実施の必要性を踏まえ実施主体をどう考えるか。なお、実施主体の検討に当 たっても、就労系障害福祉サービスと職業リハビリテーションサービスの仕組みが異なることも踏まえ、段階的な対応策を検討してみてはどうか。 アセスメントの質を担保するには、アセスメントする人材の能力・スキルが最も重要 であることから、その育成、確保についても併せて検討する必要がある。アセスメント の質を担保するための具体的な対応策として、どういったことが考えられるか。 (5)その他 →個々の就労困難性を評価し、それらの結果に基づき、雇用率制度における障害者とし て取り扱うといったことや、本人の能力・適性等と個々の職業に必要な能力等のマッチ ングを可能とするような評価の仕組み等についても、今後検討を進めていく必要がある のではないか。 ◎資料2 現行の障害者就労支援の流れのイメージ (就労系障害福祉サービスの利用 又は 一般企業への就職まで)→図式参照。 ◎参考資料1 ワーキンググループの開催について 2.検討テーマ (1)障害者の就労能力等の評価の在り方について→雇用・福祉施策の双方において利活用できる共通のプラットフォームとして の就労能力や適性の評価の仕組みの創設や一人一人の就労に向けた支援計画の 共有化などについて検討 (2)障害者就労を支える人材の育成・確保について→雇用・福祉施策を跨がる横断的なものとして、求められる役割・スキルの変 化に対応した統一的なカリキュラムの作成や共通の人材育成の仕組みの構築などについて検討 (3)障害者の就労支援体系の在り方について→雇用・福祉施策双方において効果的な支援を展開していくため、就労系障害 福祉サービスと他の就労支援機関の役割関係を整理し、現行の制度下で展開されている支援の枠組みの再編も視野に、それぞれの在り方などについて検討 ◎参考資料2 障害者の就業支援のために開発された主なアセスメントツールについて ・ワークサンプル幕張版 (MWS)→障害者全般 ・幕張ストレス・疲労ア セスメントシート (MSFAS)→精神障害者 等 ・ナビゲーションブック→発達障害者 等 ・就労移行支援のため のチェックリスト→障害者全般 ・就労支援のための チェックリスト(訓練生 用及び従業員用)→特別支援学校 生徒、訓練生、 福祉機関利用者(訓練生 用)、在職障害者 (従業員用) ◎参考資料3 各機関において実施しているアセスメントについて→再掲です。 次回は、「第29回社会保障審議会 資料」からです。 |