第22回アルコール健康障害対策関係者会議 [2020年04月05日(Sun)]
第22回アルコール健康障害対策関係者会議(令和2年3月17日)
【議事次第】・第2期アルコール健康障害対策推進基本計画に向けた検討(教育、誘因防止、飲酒運転) について ・今後の会議の進め方について https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000202961_00006.html ◎資料1 小佐井参考人提出資料「大学における飲酒事故・アルコールハラスメント防止教育の 取組みと課題」 1.はじめに 【本日の目的】→大学における飲酒事故・アルコールハラスメント防止教育の取組みについて愛媛大学の取組み例を紹介、 取組みの意義と必要性、今後に向けての課題等を示す。 【参考人自己紹介】→専門は法社会学。1999年以降約20年間、大学生のイッキ 飲ませ・アルコールハラスメント問題にかかわる。 「イッキ飲み防止連絡協議会」専門委員。 2.愛媛大学における取組みの紹介 【愛媛大学に関する基本情報】愛媛大学Webサイト参照。 【A.全般的な啓発活動】 1)新入生オリエンテーション(全新入生対象) ⇒アルコールパッチテストの実施、啓発チラシの配布。 2)「学生生活の手引」における記載(全新入生に配布) ⇒安全対策として「飲酒に関するトラブル」について記載、また、 「ハラスメント防止」の記載において「アルコール・ハラスメント (アルハラ)」について記載。 3)啓発ポスターの掲示(イッキ飲み防止キャンペーン等) 【B.正課授業における啓発・予防教育】 1)初年次授業における啓発@(全1回生対象) ⇒独自作成のDVD教材2種類(15〜20分程度)を視聴。前期は 被害防止(下級生)の観点から、後期は加害防止(上回生)の観 点から、それぞれ飲酒事故・未成年飲酒の危険性、アルコール ハラスメントの防止を内容とする。2013年度から開始。 2)初年次授業における啓発A(法文学部全1回生対象) ⇒参考人(小佐井)が講師を担当。4月最初の授業1コマ(90分) を使い、飲酒事故・アルコールハラスメントの防止を内容とする。 【C.課外活動における啓発・予防教育】 1)「ATB講習会」の開催(毎年2月) ⇒年度初めの4月に新入生勧誘活動を行う全ての学生公認団 体・任意団体のATB担当者、幹部学生(部長等)を対象に実施。 @飲酒事故・アルハラ防止、A飲酒運転防止、B適正飲酒、の 内容で実施(A、Bは、警察署、酒類メーカーにそれぞれ講師を依頼)。 2)「サークル・リーダー研修」での講習(毎年9月) ⇒サークル幹部学生等を対象に実施。飲酒事故・アルハラ防止 を内容とした講義&グループディスカッション。 【D.課外活動における啓発・予防の仕組み作り】 1)学生団体における「ATB担当者」設置の義務付け ⇒学生団体における未成年者飲酒、飲酒事故・トラブル防止を 目的に、2016年度より飲み会等における飲酒監督担当者として 各団体に『ATB(Alcohol Trouble Busters)』の設置を義務づけ。 2)「学生コンパバッジ&シール」の貸出し・配布 ⇒コンパ等を開催する学生団体等に、大学が独自に作成した 「学生コンパバッジ&シール」を貸出し・配布。未成年者飲酒の 防止、飲酒に関する意思表明を明確・容易にするための工夫。 【まとめ:愛媛大学における取組みの工夫と特長】 1)初年次正課授業における啓発・予防教育の徹底 2)ハラスメント防止教育としての明確な位置付け 3)学生の課外活動支援の一環としての位置づけと工夫 4)教員と学生支援担当部署・職員の適切な連携 3.大学における教育の意義と重要性 1)「命の重さ」を基礎に置いた教育の必要性 ⇒これまでの飲酒死亡事故・アルコールハラスメントの被害者・ 被害者遺族の「思い」、命の尊さを基礎に置く必要。 2)大学が果たすべきハラスメント防止教育の責務 ⇒大学は教育機関としてハラスメント防止教育を行う責務がある。 アルコールハラスメントの防止教育は、その重要な一角を占める。 3)教育を通じた「社会変革」を促す役割 ⇒「個の尊重」理念に基づき飲酒文化・飲酒ルールの変革を促し、 適正飲酒で楽しむ「賢い消費者」の育成を担う役割。 4.おわりに:今後に向けての課題@ 【愛媛大学の取組みに関する課題】 1)飲酒事故・未成年者飲酒に関する情報共有の問題 ⇒学生支援担当部署が学内の情報をほぼ集約しているが、学生 の懲戒処分等が絡むこともあり、必ずしも情報共有できていない。 2)上回生に対する教育機会の相対的な少なさ ⇒1回生には全員必修の科目等があり、比較的教育機会を設け やすいが、上回生ではそうした機会が得られにくくなる。 3)学部や教職員間で問題認識に一定の「温度差」が存在 ⇒教職員を対象としたアルコールハラスメント防止講習の必要性。 【大学全体の取組みに関する課題】 1)大学の「危機管理」対応からの脱却の必要性 ⇒「危機管理」の側面に囚われると取組みが歪められる可能性。 守るべきは「学生の命と安全」であり、大学組織ではない。 2)ハラスメント防止施策としての取組みの推進 ⇒「各大学等の取組を促す」だけでは不十分。大学のハラスメント 防止施策の責務を足掛かりにより積極的な取組みを進める必要。 3)いわゆる「飲みサー(飲みサークル)」団体への対処 ⇒大学による学生団体への管理強化だけでは十分な対処が困難。 身勝手な「自己責任」論を振りかざす学生の認知変容を促す必要。 ◎資料2−1 板垣委員提出資料「不適切な飲酒の予防、適正飲酒の啓発に向けた酒類業界の取 組みについて」 ◯ビール酒造組合の説明 ◎資料2−2 田中参考人提出資料「WHO アルコール世界戦略と酒類業界の取り組み」 ◯アルコール関連政策 世界と日本の動き ◯WHOアルコール世界戦略 ・重要ポイント:アルコールそのものではなく、アルコールの有害使用の低減、に焦点。統一的拘束政策でなく、選択メニューを提示。各国・各地域の発展段階や文化的背景を考慮。社会全体での取り組みを促し、政策採択へNGOや民間部門等のス テークホルダーの関与を認める。 ・政策オプション:地域・国の選択メニューの10領域 ◯国連ハイレベル会合政治宣言 ・NCD(National Clinical Database)の予防と統制に関するハイレベル会合(2018年10月)→第三回国連総会ハイレベル会合の政治宣言(a)〜(d)の参照。 ◯酒類業界の取り組み ・「グローバルな酒類メーカーによるコミットメント」:1〜5まで。 ・デジタル媒体に関する基本原則の策定と遵守(2018年〜) ・未成年者飲酒防止のための取り組み強化(2020年1月) ・アルコールの有害な使用に関するトレンドレポートの発行 ◯WHOと酒類業界の協議会 ・過去3回実施:2011年11月、2018年6月、2019年10月 ◎日本における酒類業界の取組み ◯国内における取組み全体像→アルコール関連問題に関する 社会的責任 ◯業界自主基準の策定と遵守→20歳未満者飲酒や飲酒運転などの違法行為や不適切な飲酒を防止し、適正な飲酒環 境を醸成するなどの社会的責任 ・【一例】酒類容器の表示→「2 アルコールと健康問題等に関する事項」「3 清涼飲料等との誤認防止に関する事項」 ◯平成28年改正点 ・⑶ 広告・宣伝の際の留意事項→(ホ) テレビ広告において、25 歳未満の者を広告のモデルに使用しない。また、25 歳以上であっても、25 歳未満に見えるような表現は行わない。 (注)広告出演者の中で、エキストラ等は対象外とする。 ・⑵ 広告・宣伝の際使用しない表現→ヲ) テレビ広告での喉元を通る「ゴクゴク」等の効果音は使用しない。 ワ) テレビ広告でのお酒を飲むシーンについて喉元アップの描写はしない。 この運用に際しては、肩から頭部が描写されているよう配慮する。 ◯適正飲酒等の啓発に向けた各種キャンペーン等の実施→酒類業中央団体連絡協議会(酒中連)傘下の組合や酒造メーカーにおいて、様々な啓発活動を実施 アルコール健康障害対策推進基本計画第1期においては、女性の適正飲酒にフォーカスした取組みを強化 ・【事例】20歳未満者飲酒防止→ 未成年者飲酒防止・飲酒運転撲滅全国キャンペーン。STOP!20歳未満飲酒キャンペーン(年2回展開)。20歳未満飲酒防止教育学校コンクール。 ・【参考】20歳未満者の飲酒率推移 ・【事例】生活習慣病のリスクを高める飲酒防止→ ほど酔い女子PROJECT ・【事例】生活習慣病のリスクを高める飲酒防止→女性の飲酒お酒あるある川柳 ・【事例】妊娠・授乳期の飲酒防止 ・【事例】飲酒運転防止 ・【事例】不適切な飲酒防止→イッキ飲み・アルハラ防止 ・【事例】啓発冊子・リーフレット等 ◯今後について ・アルコール健康障害対策基本法の趣旨に沿って、酒類の製造又は販売 を行う事業者として、アルコール健康障害の発生、進行及び再発の防止 に引き続き努める • 第2期アルコール健康障害対策推進基本計画の実施にあたり、関係者 会議等で抽出された課題ついては業界において真摯に検討し、3つの軸 を中心に対応を反映させていく ◎資料3 吉田委員提出資料「酒類販売の現場から」 ◯<酒類業 生販三層> 製造- 卸- 小売 ◯小売酒販組合の取組み ・20歳未満の飲酒防止・飲酒 運転撲滅に向けた取り組み→酒類を扱うものの責任― 20歳未満飲酒防止・飲酒運転撲滅 を地域の皆様へ直接訴えかける ・開催概要→平成21年以降、毎年開催(令和2年度で12回目) ▸ 4月8日(基準日) ・酒類販売管理研修の開催 ・酒類販売管理研修と講師講習 ・議員立法による 酒類販売管理研修の受講義務化 ・酒類販売管理研修 開催数と 受講者数の推移 ◯小売酒販組合からみた 現場の課題 ・酒類の販売価格を注視→アルコール健康障害対策推進基本 計画(平成28年5月閣議決定) < 不適切な飲酒の誘引の防止>酒類業者には、致酔性、依存性等の酒類の特殊性を 踏まえた販売価格を設定 することが望まれる。 ・WHO世界戦略 10分野の政策 オプションと介入施策の概要→分野7 価格政策→効果的な課税システム/標準価格の定期調査/値引き販売・飲み放題の規 制/最低価格の設定 ・議員立法による酒類の価格の ルールの策定 ・ビール(1パック・350㎖×6缶)の 価格推移 ・実情に即した内容へ ― 基準見直しの問題提起→ ◯清涼飲料水並みの RTD価格の現状 (RTD https://kotobank.jp/word/RTD-1710233) ・RTD市場の推移(サントリー社) ・RTD市場の推移予想(キリン社)→年々増加 ・東京消防庁管内における急性 アルコール中毒搬送人数の推移→20代が最多 ◯酒類販売における 無人レジへの対応→酒類は対面販売を原則とし、 無人レジの使用禁止を訴えている。 ◯ま と め <酒類の販売環境の整備を図るため> ↓ ●義務化された酒類販売管理研修を一層効果的に ●他省庁の横断的な支援をいただきキャンペーンの 規模の拡大を図る <酒類業界抱える課題への対応> ↓ ●清涼飲料水並みに安い酒類の価格の見直し (税率及び価格のルールの見直し) ●変化する時代や社会環境を見据えた協議・検討を進 めること 真の消費者利益のために ◎資料4 花尻参考人・濱参考人提出資料「三重県における飲酒運転防止に関する取組」 1 三重県の飲酒運転の現状 ・三重県内の飲酒運転事故等の推移(平成18年〜平成30年)→長期的には減少傾向にあるが依然として一定数発生 2 三重県飲酒運転0をめざす条例 (1)目的→飲酒運転の根絶に関し県の責務並びに県民及び事業者の努力を明らかにする。 (2)施行日 平成25年7月1日 (3)基本目標→ 飲酒運転事故件数 (4)活動目標 →アハンドルキーパー推進店の指定 イ各種交通安全講習等における飲酒運転防止教育の実施率 ウ飲酒運転防止にかかる交通安全教育実施率 エ飲酒運転違反者の受診率 ※再発防止のために飲酒運転違反者には、アル コール依存症の受診義務が課されました。 3 アルコール依存症の受診義務 (1)受診義務 →知事が指定する医療機関において、 アルコール依存症に関する診断を受け、知事に診断を受 けた旨を報告しなければならない。 (2)受診率→平成30年度は46.8%と過去最高の受診率となりました。 ・受診(勧告)通知に対する受診報告件数の状況 ◯三重県アルコール健康障害対策推進計画(平成29年度〜33年度)の概要 ・基本理念→アルコール健康障害に対する理解や支援が進 み、県民が適切にお酒とつきあいながら、健や かに生活できる社会の実現をめざします。 ・3つの基本方針→@〜B ・6つの重点課題と具体的取組→重点1(リスクに関する知識の普及を徹底)〜重点6(アルコール関連問題に関する調査研究の推進) ・計画の推進体制等↓ 1)県は、市町及び関係機関等と連携・協力し、計画を推進。 2)第1期の計画期間は、平成29年度から平成33年度まで。 3)計画を着実に推進するため、三重県精神保健福祉審議会アルコール健康障害対策推進部会において、「計画(Plan) →実行(Do)→評価(Check)→改善(Act)」のプロセスにより、計画の進捗状況を把握し、より効果的に取組 を推進します。 5 飲酒運転0(ゼロ)をめざす条例 に係る医療機関の指定→【指定基準】あり参照。 ・【指定医療機関数】(R1.7.1時点)→33か所 ・【事業内容】→・医療機関の指定研修の開催 (年1回・三重 県医師会委託) 対象:県内医師。 ・指定医療機関の技術向上研修及び指定医療 機関会議の開催(年1回) 対象:指定医療機関の医師、看護師、事務職 員等 6 飲酒運転違反者の受診状況等調査結果 1 飲酒運転違反者の受診者数:98名 2 飲酒運転違反者による受診者の診断名→P10表の参照。 3 専門医療機関への紹介数:5件 4 受診者1人あたりの診療時間 5 診察回数 7 課題及び改善策 ・飲酒運転人 身事故件数は 長期的には減 少傾向にある が依然として撲 滅には至って いない。→・関係機関・団体と連携を密にした啓発活動 ・飲酒運転の恐ろしさや飲酒運転事故の悲惨さを訴 えかける研修会の開催 ・アルコール依存症受診率の更なる上昇 ・指定医療機関を増やし、受診しやすい環境の整備 ・診察の質を担保するための研修会等の充実 ・診察の課題→「質問事項や診断方法、説明方法な どを統一してマニュアル化した」などほかに4項目あり。 ◆アルコール健康障害対策関係者会議 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000167071_450973.html 次回も続き「資料5 登川参考人提出資料「沖縄県における飲酒運転根絶対策について」」からです |