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社会保障審議会年金部会における議論の整理 [2020年01月17日(Fri)]
社会保障審議会年金部会における議論の整理(令和元年12月27日)
社会保障審議会年金部会の「議論の整理」について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08721.html
U 今般の年金制度改革
1 短時間労働者等に対する被用者保険の適用拡大

被用者は本来であれば働き方や企業規模・形態にかかわらず厚生年金の被保険者となり、報酬に比例した保険料負担を行った上で、報酬にかかわらず定額が給付される基礎年金に加え、報酬比例給付による保障を受けるべきである。 その一方で、被用者でありながら国民年金の加入となっている者も相当数に上ることにも鑑みれば、こうした被用者である者には被用者保険を適用し、適用事業所に勤務する労働者はその事業所の規模を問わず被用者保険が適用されるべきであるこうした適用拡大は、将来の無年金・低年金が心配される単身世帯やいわゆる就職氷河期世代等で、現在、国民年金第1号被保険者である者にとって、将来の年金水準を充実させることにつながる。
・ また、労働者の働き方や企業による雇い方の選択において、社会保険制度における取扱いによってその選択が歪められたり、不公平が生じたりすること がないようにし、適用拡大を通じて雇用や働き方に中立的な制度が実現すれば、働きたい人の能力発揮の機会、企業運営に必要な人材が確保されやすくなり、結果として公平な経営条件の確保に資することが期待できる。 特に、給付は増えず国民年金保険料負担が新たに生じる被扶養認定基準(年 収 130 万円)に直面している第3号被保険者にとっては、適用拡大が行われれ ば、被用者保険に加入することで給付増を享受しつつ、扶養から外れ、自らの 希望する働き方を実現できるようになる意義がある。
・ さらに、被用者保険の適用拡大は、現在被用者でありながら国民年金加入者 となっている者が、厚生年金の被保険者となることで、国民年金財政を改善さ せることを通じて、マクロ経済スライドによる調整終了後の所得代替率の改善や基礎年金水準の確保につながるものであり、年金制度における所得再分 配機能の強化にもつながる。 こうしたことから、法律の規定上も附則に規定され、「当分の間」の経過措置として位置づけられている現行の 500 人超という企業規模要件は撤廃し、 本来全ての被用者に被用者保険が適用されるように見直されるべきものである。
・ 他方で、本部会では、被用者保険の適用拡大は、事業者側の社会保険料の負担を増加させるものであり、適用拡大に当たっては中小企業への負担に配慮した慎重な検討が必要であるという意見もあった。 このような本部会での議論を受けて、被用者保険の適用拡大には、本来全て の被用者に被用者保険が適用されるべきとの要請と、中小企業の経営配慮を すべきとの要請の、2つの要請があり、この2つの要請を調和させる観点から、 企業規模要件見直しの具体的なスケジュールについて、政府・与党内で議論・ 調整が行われた。 この調整の結果、具体的には、2024(令和6)年 10 月に 50 人超規模の企業 まで適用することとし、その施行までの間にも、できるだけ多くの労働者の保 障を充実させるため、2022(令和4)年 10 月に 100 人超規模の企業までは適用することを基本とする、との結論に至った。
・企業規模要件が 2012(平成 24)年改正法の規定上附則に規定され、「当分の間」の経過措置として位置付けられていることを踏まえれば、今回の政府・与党で の調整結果に加えて、今後、引き続き適用拡大に取り組んでいくことが求められる。
・また、短時間労働者への適用要件の中でも、1年以上の勤務期間要件は、できるだけ適用要件は少なくする方が望ましいとの観点や、実務上の取扱いの現状も踏まえて撤廃し、本則に規定されているフルタイム相当の被保険者と同様の2か月超の要件が適用されるようにする。 労働時間要件→まずは週 20 時間以上の労働者への適用を優先するため、現状維持とする。月額賃金 8.8 万円の賃金要件は、最低賃金の水準との関係も踏まえて、現状維持とする。
・ 個人事業所の場合、現行制度上の適用事業所は、法定 16 業種に該当する常時5人以上の従業員を使用するものに限られているが、この 16 業種は、1953 (昭和 28)年以来、一度も見直されていない。しかし、現行の非適用業種の事業所で働いている被用者も、被用者であることには変わりはなく、被用者である者には被用者保険を適用すべきという考え方に立つと、個人にとって、適 用事業所か否かで将来の年金給付が変わることは適切でない。非適用業種についても、実態を踏まえた見直しを図っていくべきである。 特に、5人以上の個人事業所のうち、弁護士・税理士・社会保険労務士等の法律・会計事務を取り扱う士業については事務処理等の面からの支障はないと 考えられ、さらに他の業種と比べても法人割合が著しく低いこと、法人化に際 して制度上の制約があることなどから、適用業種に追加すべきである。
・ 今回の改革は、従業員数 50 人超の企業を対象にするものであるが、ここで いう「従業員数」は、より正確には、「労働時間が通常の労働者の4分の3以上の者」の総数であり、それ未満の短時間労働者を算定に含めない。また、賃金や労働時間の要件についても、必ずしも実績値ではなく、契約上の所定賃金・労働時間によって判断する。企業側に対しては、こうした制度改正の内容や、適用拡大は人材確保にも役立つことを丁寧に説明し、適用拡大による中小企業の負担増加に対する懸念を和らげることに努めるべきである。なお、適用拡大に際しては、労働者が自らの労働時間の短縮等によって保険 適用を回避する行動、いわゆる就業調整が発生し、企業の人材確保に支障をきたすと懸念する向きがある。 しかし、適用拡大は全ての短時間労働者を対象とするものではなく、週 20 〜30 時間かつ月額賃金 8.8 万円以上で働く短時間労働者に限られる。 さらに、週労働時間 20〜30 時間かつ月額賃金 8.8 万円以上で働くパート労働者の内訳を見ると、適用拡大によって保険料負担が減り、給付増を享受する 国民年金第1号被保険者が半数近くを占めている。保険料負担が新たに発生す るために就業調整を行う可能性のある第3号被保険者は、4分の1程度である。 加えて、前回の適用拡大が労働者の働き方に与えた影響を検証すると、適用 拡大前の時点で第3号被保険者であった者についても、労働時間を延ばし、保険加入を選択した者のほうが、労働時間を短縮した者よりも多かった。 今回の適用拡大によって見込まれる影響を論ずるに当たっては、こうした事 実関係に関する正確な理解の上に立脚する必要がある。
・ また、被用者保険の加入のメリットについても、事業主・労働者の双方に十分な理解を促す必要がある。 被用者保険に加入すれば、将来、基礎年金に加え、報酬比例部分の年金を終 身にわたって受給できるようになり、障害・死亡に際しての保険給付も手厚く なるほか、健康保険による傷病手当金等の生活保障を受けられるようになる。 前回の適用拡大の際には、企業が従業員に個別に対応し、こうした被用者保 険の加入のメリットや、手取り収入維持のために必要な追加的労働時間数等に ついて丁寧に説明することで、就業調整を抑えることができたとの結果が指摘された。
特に、被扶養者にとって、適用拡大以前に直面していた被扶養認定基準(年 収 130 万円)と被用者保険適用基準(月額賃金 8.8 万円(年収 106 万円程度)) とは、給付面でのメリットの有無等の点で大きく異なる。適用拡大は、被扶養者にとって超える際の抵抗感が強い「130 万円の壁」を消失させ、給付増を伴 う被用者保険適用基準に置き換える意味を持つものであり、この点について 十分な理解がないまま就業調整が行われれば、企業にも労働者本人にも不利 益であるため、正確な理解の促進に向けた対応が必要である。
具体的には、政府が制度の内容を周知するとともに、事業主自身が労働者に対し、労働者本人が自らの適用の状況について理解できるよう、正確かつ丁寧 に説明することも重要。 その際、今回の適用拡大の対象となるのは中小企業が中心であり、従業員への丁寧な対応に必要な知見や人員が十分でない可能性があることから、個々の企業が社会保険や労務の専門家を活用し、従業員への対応を十分に行えるようにするための支援を行うことが考えられる。専門家による企業向け説明会等を 開催するほか、個々の企業が従業員向けに行う説明会に専門家を派遣するなど、 踏み込んだ対応も検討すべきである。 また、企業が従業員への説明に使えるよう、または労働者本人が自ら被用者 保険加入のメリットを実感することができるとともに、自らの適用状況が適 切であるかを確認できるよう、非専門家でも理解しやすい説明ツールを整備 することも必要である。
・ 本来、企業規模要件の撤廃が望ましいことからすれば、この問題を考えるに当たって、中小企業の経営体力を高めるという能動的な観点から、生産性向上や人材育成、競争力強化につながる産業政策と連携することも重要。加 えて、適用拡大は、人材定着や従業員の士気を高める観点から、人材不足が深 刻な中小企業にとってプラスの面があることの理解を広めることも望まれる。
・ 被用者保険の適用拡大が、基礎年金部分のマクロ経済スライド調整期間を 短縮し、将来の所得代替率の水準を引き上げることは、財政検証結果でも確認されている。今般の被用者保険の適用拡大は、マクロ経済スライド調整期間が 長期化する傾向にあった基礎年金部分の将来の所得代替率の向上をもたらす 制度的な対応として、将来世代にとっても、非常に重要な役割を果たすものである。 また、前回の適用拡大によって厚生年金加入となった者のうち約4割が国民 年金第1号被保険者であり、その約半数が保険料を免除または未納の状態であった。このことから、適用拡大は、結果として、就職氷河期世代等、短時間で の就労を余儀なくされ、被用者でありながら国民年金第1号被保険者に留まっていた者の将来の年金給付の充実に非常に効果があったことがわかる。
・ 以上のように、短時間労働者に対する適用拡大を進めるに当たっては、被用者保険加入によるメリットへの理解を十分に広めながら取り組むことが望まれる。 なお、適用拡大と併せて、未適用事業所等への適用促進の取組も重要である。

2 高齢期の就労と年金受給の在り方
・ 社会保険方式をとる公的年金制度
→保険料を拠出された方に対し、それに見合う給付を行うことが原則である中、就労し、一定以上の賃金を得ている厚 生年金受給者に対し、年金支給を一部停止する在職老齢年金制度は、例外的な仕組みである。
高齢期の就労が多様化する中で、現役期の働き方に近い形で就労する高齢者が増加し、政府としても繰下げ受給を選択しやすくする取組を進める中、今後 さらに高齢期の就労が進んでいくことが見込まれることや、一方で雇用環境の 変化や個々人の高齢期への準備には多くの時間を要するものであることも踏 まえると、変化する高齢者の雇用環境に併せて今から在職老齢年金制度の見直 しを図ることは、将来の変化を展望した制度的な対応として意義を持つもので ある。こうした観点から、本部会では、現在の 65 歳以上の者に対する在職老齢年 金制度(高在老)の在り方を見直すべきとの意見も多かった。また、厚生年金 は所得再分配機能が組み込まれた制度であるとの意見もあった。
・ 他方で、在職老齢年金制度の撤廃又は基準額の緩和は、見直しによる就労の変化を見込まない場合、将来世代の所得代替率を低下させることが 2019(令 和元)年財政検証オプション試算の結果でも確認されている。 また、現在の高在老の適用基準(47 万円)の対象者が、年金と賃金を合計すれば同世代あるいは現役世代と比較しても比較的フロー所得に余裕があることからすると、在職老齢年金制度の単純な見直しは、高所得の高齢者を優遇す るものであるとの指摘もある。
・ このように、在職老齢年金制度の見直しについての意見は分かれた一方で、この問題を考える際に在職老齢年金制度だけで考えるのではなく、他の要素 を総合的に考慮して判断すべきとの立場からの意見も多かった。 例えば、所得代替率への影響は、在職老齢年金制度によるもの(撤廃の場合 は 0.4 ポイント、基準額 62 万円への引上げの場合は 0.2 ポイント(ケースV の場合))のみではなく、財政検証の際にオプション試算で示されたAとBを 全て実施した場合の所得代替率引上げ効果(約7〜12 ポイント)のように、 年金制度改正全体で見ていくべきとの意見があった。 また、在職老齢年金制度による支給停止の対象は、厚生年金の適用事業所で 働く被保険者及び 70 歳以上の者の賃金であり、自営業や、請負契約、顧問契 約で働く収入や不動産収入を有する者等は対象にならないといった、就業形態 の違いによる公平性の問題も存在し、この問題は年金制度だけで考える限りは 解決できないという指摘もあった。
・ また、65 歳以上の者向けに、退職年金制度の時代に由来する資格喪失時(退職時・70 歳到達時)に初めて年金額改定を行うという制度を改め、在職中から、年金額の改定を毎年行い、早期に年金額を増額させる在職定時改定を導入 することについては、本部会では、就労期間の延伸による年金額の増加を実感 しやすいことや、年金額が比較的低く就労による賃金と合わせて生計を立て ている者への改善につながることなどから、導入を支持する意見が多かった。
・ これらの議論を受けて、在職中の年金受給の在り方については、政府・与党 内でも議論・調整が行われた。政府・与党内での議論・調整において、高齢期の就労と年金をめぐる調整に ついては、年金制度だけで考えるのではなく、税制での対応や各種社会保障制度における保険料負担等での対応を併せて、今後とも検討していくべき課題 であるとされた。他方で、今般の制度改正においては、65 歳以降の老齢厚生年金について在職定時改定の導入を行うこととされた。
・ 60〜64 歳に支給される特別支給の老齢厚生年金を対象とした在職老齢年金制度(低在老)→就労に与える影響が一定程度確認されているという観点、60 歳台前半の就労、特に 2030(令和 12)年度まで支給開始年齢の引上げが続く女性の就労を支援するという観点から、見直すことが適切。 また、高在老と低在老の基準額が異なる現行制度では、同じ 60 歳台前半であっても、65 歳からの本来支給の老齢厚生年金を繰上げ受給した場合には高在老の基準が適用される(支給開始年齢が 65 歳に引き上がる世代である 1961(昭和 36)年4月2日以降生まれの男性が 60 歳になる 2021(令和3)年度以降に生じる)一方、特別支給の老齢厚生年金を受給している場合には低在老の 基準が適用され、60 歳台前半の老齢厚生年金に適用される在職老齢年金制度の基準が混在することとなる。低在老の見直しについては、高在老と同じ基準 とすることで、制度をわかりやすくするという利点もあることから、現行の 28 万円から高在老と同じ 47 万円の基準に合わせるべきである。 低在老の見直し→特定の世代にしか効果が及ばないとの批判もあるが、60 歳台前半の年金制度が賃金水準に一定の影響を与えているという実態があるという指摘があり、低在老の見直しによって、60 歳台前半の年金制度をなるべく早期に、就労に対して中立的となるようにすることは、支給開始年齢が 65 歳に引き上がる将来世代にとっても意義があると考えられる。
・ また、年金の受給開始時期→今後の更なる高齢期の就労の進展を 踏まえると、高齢者が自身の就労状況等に合わせて年金受給の方法を、現行よりもさらに柔軟に選択できるよう、その選択肢を増やす観点から、現行の 60 〜70 歳から 60〜75 歳へと拡大すべきである。 繰上げ・繰下げの増減率は、年金財政への中立を基本に最新の生命表等による試算結果を踏まえ、1月当たりの繰上げ減額率を 0.4%に、繰下げ増額率は 0.7%とすべきである。 なお、繰上げ・繰下げの増減率は、今般の受給開始時期の選択肢の拡大に当たって見直しを行ったものであるが、年金受給者の生活設計の安定のため、頻繁に変えるべきものではない。

3 その他の制度改正事項及び業務運営改善事項
・ 年金制度については、上記に挙げた改革事項以外にも、より時代に合った制度とする観点から、今回の改正の機会を捉え、必要な改革を行うべきである。

・ 具体的には、本部会での議論も踏まえ、以下の改正を行うべきである。
(1)厚生年金・健康保険の適用について、雇用契約の期間が2か月以内であっても、実態としてその雇用契約の期間を超えて使用される見込みがある と判断できる場合は適用対象とするよう見直す。
(2)国民年金保険料の申請全額免除基準の対象について、地方税法上の非課 税措置の対象に合わせ、未婚のひとり親や寡夫を追加する。
(3)脱退一時金制度の支給上限年数→特定技能の在留資格の創設などを含む改正出入国管理法が 2019(平成 31)年4月より施行されたことなどを踏まえ、現行の3年から5年に見直す。
(4)年金生活者支援給付金→給付金の受給資格者になり得る者も所得・世帯情報の取得の対象とし、2020(令和2)年度以降新たに支給対象 となる者にも簡易な請求書を送付できるようにする等の見直しを行う。
(5)現行の国民年金手帳→その求められてきた機能・役割の変化に 照らし、「基礎年金番号の本人への通知」機能を有する通知書で代替する よう見直す。
(6)厚生年金保険法に基づく事業所への立入調査について、例えば、国税庁 からの給与支払いの情報提供等により適用事業所である蓋然性が高いと 認められる事業所もその対象とできるようにする。
(7)年金担保貸付事業について、閣議決定に基づき廃止する。

次回も続き「V 今後の年金制度改革の方向性」からです。
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