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社会保障審議会年金部会における議論の整理 [2020年01月16日(Thu)]
社会保障審議会年金部会における議論の整理(令和元年12月27日)1/16
社会保障審議会年金部会の「議論の整理」について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08721.html
T はじめに
1 これまでの年金制度改革の経緯
・ 現在の公的年金制度の財政フレーム
→2004(平成 16)年の年金制度改正 により導入され、2004(平成 16)年改正前は、社会経済情勢の変動に応じて、5年ごとの財政再計算の際に、人口推計や将来の経済見通し等の変化を踏 まえて、給付内容や保険料水準を見直してきた。少子高齢化の進展の中、支給 開始年齢の引上げ等の給付の見直しが行われる一方、最終保険料率が 25%を 超えるという見通しが示され、若い世代にとっては、将来の給付水準も保険料 水準も見通しにくく、年金制度に対する不安につながっているという意見が 強かった。
・ そこで、2004(平成 16)年の年金制度改正では、給付と負担の見直し方法 を改め、保険料の引上げを極力抑制しつつ将来の保険料負担の上限を固定し、 その保険料上限による収入の範囲内で給付水準を自動的に調整するという、 新しい給付と負担の見直しの方法を導入した。 具体的には、@保険料水準の引上げスケジュールと将来の保険料の上限を固定し、A基礎年金の国庫負担を2分の1へ引き上げることとした。さらに、B 財政の均衡を図る期間を概ね 100 年とした上で、その期間内で積立金の運用 収入と元本を活用することとした。この@〜Bにより、財源の枠組みが固定された。その上で、C年金の給付水準については、財政均衡期間である概ね 100 年間で年金財政が均衡する水準まで自動的に調整する仕組み(マクロ経済スライド調整)とした。これにより、長期的な年金財政の枠組みが構築され、年金制度に対する将来への不安の解消を図った。
・ その後、2009(平成 21)年の財政検証と 2012(平成 24)年の社会保障と税の一体改革を受け、基礎年金国庫負担2分の1の恒久化、被用者年金制度の一 元化、500 人超企業における短時間労働者への被用者保険の適用拡大等の制度改正が行われた。 そして、これらを踏まえて行われた社会保障制度改革国民会議の 2013(平 成 25)年8月の報告書では、@マクロ経済スライドの見直し、A短時間労働 者に対する被用者保険の適用拡大、B高齢期の就労と年金受給の在り方、C高所得者の年金給付の見直しが、今後の年金制度の課題として設定され、これら の課題は、2013(平成 25)年 12 月 13 日に公布された社会保障制度改革プログラム法にも規定された。
・ 2014(平成 26)年の財政検証→社会保障制度改革国民会議報告書や社会 保障制度改革プログラム法において規定された課題の検討に資するため、一 定の制度改正を仮定したオプション試算(マクロ経済スライドの見直し、被用者保険の更なる適用拡大)を初めて実施し、本部会では、このオプション試算 を参照しながら、課題に対応するための制度改革の議論を行った。 その結果、2016(平成 28)年 12 月には、500 人以下の企業で働く短時間労 働者も労使合意により厚生年金への任意加入を可能とする被用者保険の適用拡大の促進、マクロ経済スライド調整の見直し、賃金変動に合わせた年金額改定(賃金スライド)の徹底等を行う年金改革法(平成 28 年年金改革法)が成 立した。
・ 平成 28 年年金改革法は、将来世代の給付水準を確保するため、マクロ経済 スライドについて、現在の高齢世代に配慮しつつ、できる限り早期に調整を終える観点から、名目下限措置を維持しつつ、賃金・物価上昇の範囲内で前年度 までの未調整分を調整するルール(キャリーオーバー制)を 2018(平成 30) 年4月から導入するとともに、賃金・物価スライドについて、支え手である現 役世代の負担能力に応じた給付とする観点から、賃金変動が物価変動を下回る場合には賃金変動に合わせた改定をする考え方を 2021(令和3)年4月か ら徹底することとした。これは、長引くデフレ経済下でマクロ経済スライドに よる調整が発動しないこと等により生じた課題に対応するためのものであり、 社会保障制度改革国民会議報告書の課題@に対応している。法的措置による 特例水準の解消や最近の経済の回復基調等もあり、2015(平成 27)年度に初 めてマクロ経済スライドが発動し、2018(平成 30)年度に生じたキャリーオーバー分が、2019(令和元)年度の2度目のマクロ経済スライド発動とともに解消した

2 平成 28 年年金改革法成立後の検討
・ 平成 28 年年金改革法成立後、2018(平成 30)年4月から再開した本部会
→上記のようなこれまでの年金制度改革のレビューからスタートし、社会保 障制度改革国民会議報告書の課題であるA短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大、B高齢期の就労と年金受給の在り方、C高所得者の年金給付の見直しに向けた議論を開始した。
・ 短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大→2012(平成 24) 年8月に成立した年金機能強化法の規定により、2019(令和元)年9月末まで に検討を加え、その結果に基づき必要な措置を講ずることとされている。また、 近年は、高齢者雇用の進展や働き方の多様化に向けた動きが生じており、こう した社会の変化は、正社員への適用を中心として構築されてきた社会保険制度において、短時間労働者への適用拡大の必要性を高めるものとなっている。 以上を踏まえ、2018(平成 30)年 12 月より、「働き方の多様化を踏まえた 社会保険の対応に関する懇談会」(保険局長及び年金局長が開催)において、 適用拡大に伴う関連データや動向の検証、関係者からのヒアリング等による実態把握、更なる適用拡大に伴う諸課題の分析・整理が行われ、2019(令和元) 年9月 20 日の議論のとりまとめが、本部会にも報告された。
・ また、「経済財政運営と改革の基本方針2019」(令和元年6月21日閣議決定) 等の各種閣議決定・政府決定にも、働き方の多様化や高齢期の長期化・就労拡大に応じた年金制度を構築する観点から、短時間労働者への被用者保険の適 用拡大、年金受給開始時期の選択肢の拡大、在職老齢年金制度の在り方の検討が、課題として盛り込まれている。
・ 本部会→こうした政府全体による課題の設定も踏まえつつ、短時間労働者への被用者保険の適用拡大、高齢期の就労と年金受給の在り方等、年金制度 において改革を進めるべき事項について、2018(平成 30)年4月から 2019(令 和元)年 12 月までの 15 回にわたり、精力的に議論を行った。

3 2019(令和元)年財政検証
・ 2019(令和元)年は、5年に1度の財政検証を行う年
に当たり、同年8月 27 日に財政検証結果が公表され、本部会で報告を受けた。2019(令和元)年財政検証は、新しい将来推計人口と幅広い経済前提の設定に基づき試算を行うだけでなく、2014(平成 26)年財政検証とともに行ったオプション試算の有用 性を踏まえ、今回も更に充実させたオプション試算を行うべき、という意見が 具体的な追加のオプションの要望とともに本部会に出されたことも踏まえ、 被用者保険の更なる適用拡大、保険料拠出期間の延長と受給開始時期の選択 肢の拡大等、制度改革を実施した場合を仮定したオプション試算を実施した。

・ この財政検証の結果からは、以下の点が明らかになった。
@ 経済成長と労働参加が進むケースでは、現行の年金制度の下でも、引き続き、所得代替率 50%の給付水準を今後概ね 100 年間にわたり確保できることが確認できた。したがって、経済成長と労働参加を促進することが、将来 の年金の水準確保のためにも重要であると言える。 A オプション試算Aとして行った被用者保険の更なる適用拡大では、適用 拡大を 125 万人、325 万人、1,050 万人の3つのケースで試算を行い、対象者の規模が大きいほど所得代替率や基礎年金の水準確保に効果が大きいことが確認できた。 B オプション試算Bでは、基礎年金の加入期間の延長、在職老齢年金制度の 見直し、厚生年金の加入年齢の上限の引上げ、就労延長と受給開始時期の選 択肢の拡大について試算を行い、就労期間・加入期間を延長することや、繰 下げ受給を選択することは、年金の水準確保に効果が大きいことが確認できた。

4 今後の方向性
・ 以上のような、社会経済の変化や年金制度の現状についての確認や 2019(令 和元)年財政検証結果を踏まえ、本部会では、これらの結果等を前提として、 年金制度についても、働き方の多様化・高齢期の長期化という今後の社会経済の変化を見越した制度改革を行うことが必要、という共通認識に達した。 そこで、本部会では、2019(令和元)年財政検証結果を踏まえ、 ・ 多様な就労を年金制度に反映する被用者保険の適用拡大 ・ 就労期間の延伸による年金水準の確保・充実 を2つの大きな柱とし、業務運営改善関係の見直し等の課題も含めて、今後の 年金制度改正について、2019(令和元)年9月より議論を行った。
・ この結果、本部会では、検討項目全体を貫いて今後の年金制度改革の基本に 置くべき考え方として、概ね次の様な方向性を共有した。 ↓
@ 短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大→被用者は、被用者による支え合いの仕組みとしての被用者保険に加入するのが基本であること、厚生年金の適用により将来の年金を手厚くできることが期待されること、社会保険制度の適用の仕方によって働き方や企業 の雇い方、経営条件などに影響をできるだけ与えないことが望ましいことから、被用者として働く者には被用者保険を適用するという基本的な考え 方に立つ必要がある。ただし、具体的な適用拡大は、人手不足や社会保険料 負担を通じた企業経営への影響等に留意しつつ、丁寧に進める必要がある。 A 高齢期の就労と年金受給の在り方→ 基礎年金創設時と比べると、今日まで 65 歳の平均余命は5年程度伸長しており、将来人口推計では、今後さらに3年程度伸長することが仮定されている。また、65 歳を迎えた人が 90 歳に達する確率は、1950(昭和 25)年生 まれで男性の3割以上、女性の約6割であるところ、1990(平成2)年生まれでは男性の4割以上、女性の約7割になる見込みである。医学的見地から も、高齢期の健康状態が若返り、就労意欲が高い状況を踏まえると、年金制 度において、より多くの人がこれまでよりも長く多様な形で働く社会となることを展望した上で、高齢期の経済基盤の充実のために行っておくべき 制度的な対応を今の段階から図っておくことが重要である。 こうしたことから、在職老齢年金制度の在り方の見直し及び在職定時改 定の導入、年金受給開始時期の選択肢の拡大を行うとともに、今後、必要と なる財源確保の在り方も検討した上で、平均寿命の伸長、就労期間の延伸等 に対応した被保険者期間(保険料拠出期間)の延長等、残された課題につい ても議論を続けていくべきである。
・ 以下、これまでの本部会における議論に沿って、上記の方向性等を踏まえた 今般の年金制度改革の具体的内容、さらにはそれ以降の年金制度改革の目指 すべき方向性を整理する。

次回も続き「U 今般の年金制度改革」からです。
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