• もっと見る
« 2019年12月 | Main | 2020年02月»
<< 2020年01月 >>
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
最新記事
カテゴリアーカイブ
月別アーカイブ
日別アーカイブ
第93回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会(資料) [2020年01月10日(Fri)]
第93回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会(資料)(令和元年12月25日)
議題:(1)高齢者の雇用・就業機会の確保及び 中途採用に関する情報公表について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08657.html
◎資料 高年齢者の雇用・就業機会の確保及び中途採用に関する情報公表について(案)
「成長戦略 実行計画」(2019 年6月 21 日閣議決定)を踏まえ、労働政策審議会職業安定分科会雇用対 策基本問題部会を 2019 年9月 27 日以降6回にわたり開催し、精力的に議論を深めてきた。 少子高齢化が急速に進展し人口が減少する我が国においては、経済社会の活力を維持するため、全ての年代の人々がその特性・強みを活かし、経済社会の担い手として活躍できるよう環境整備を進めることが必要。

(高年齢者の雇用・就業機会の確保)
65 歳以降の者が持つ就労に対する意向を踏まえれば、今後さらに、個々の高年齢者のニーズや状況に応じた活躍の場の整備を通じ、年齢にかかわりなく活躍し続けることができる社会の実現を図ることが求められている。 高年齢者雇用→2019 年6月1日現在で、31 人以上規模企業の高年齢者雇用確保措置の実施割合は 99.8%に達している。また、法に定める義務を超えた積極的な取組として、66 歳以上働ける制度のある企業の割合は 30.8%。 65 歳以降の者→就労に対する考え方のほか、体力や健康状態その他の本人を 取り巻く状況等が、65歳以前の者と比べても個人差が大きく、より多様なものとなるため、 企業に対して 70 歳までの就業機会の確保を求めるに当たっても、こうした事情に配慮した 制度設計とすることが重要。 また、高年齢者の雇用・就業機会の確保を社会全体で推進するためには、事業主による取組のみならず、国等による再就職支援や労働者のキャリア形成等に関する支援、地方自治体やシルバー人材センターなどの地域の関係者による多様な就業機会の確保・提供等に ついても、より一層取り組む必要がある。

(中途採用に関する環境整備)
職業生活の長期化が見込まれる中、労働者が希望する職業や良質な雇用に円滑に就職で きるよう支援することにより、労働者の主体的なキャリア形成を通じた職業生活の更なる 充実や再チャレンジが可能となる社会の実現を図ることが求められている。 また、AIなどの第4次産業革命による技術革新は急速に進展するものであることから、 労働者の能力開発等を通じた企業の内部労働市場のみによって必要な人材を確保することは難しく、中途採用を通じて、外部労働市場から高度な技術や専門性、豊富な経験を有す る人材を確保するニーズも高まっている。 中途採用に関する環境整備としては、職場情報の見える化や求職者の状況に応じたマッ チングの支援などの取組を推進しており、中途採用をめぐる現状をみると、転職によって 入職した労働者数は長期的には増加傾向にあり、近年では大企業において大きく増加して いるものの、正規雇用の採用者全体に占める中途採用比率は企業規模が大きくなるほど低く、大企業においては長期的な安定雇用の機会が新規学卒者を中心に提供されている状況 がうかがえる。一方、求職活動を行っていない者を含めると、転職希望者は約 643 万人、 就業を希望する無業者は約 862 万人となっている。 こうした状況を踏まえれば、中途採用に関する環境整備をさらに推進していくことが必要である。
中途採用に関する情報の公表により、長期的な安定雇用の機会を中途採用者に も提供していることを明らかにすることは、職場情報を一層見える化し、中途採用を希望 する労働者と企業のマッチングを促進するための情報提供の重要な柱となり得るものであり、さらには早期離職の防止にも有効な施策だと考えられる。
当部会においては、これらの問題意識の下、高年齢者の雇用・就業機会の確保及び中途 採用に関する情報公表について検討を行ったところであり、その結果は以下のとおりであるので報告する。 この報告を受けて、厚生労働省において、法的整備も含め所要の措置を講ずることが適 当と考える。

T.高年齢者の雇用・就業機会の確保について
1 65 歳までの雇用機会の確保について

70 歳までの就業機会の確保に関する施策を推進するに当たっては、65 歳までの雇用機 会が確保されていることが前提である。このため、現行の高年齢者雇用安定法による 65 歳までの希望者全員の雇用確保措置(2024 年度末に労使協定による継続雇用制度の対象 者基準を適用できる経過措置は終了)の導入に向けた取組を引き続き行うことが必要である。また、その実施状況等を踏まえた上で、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間 の不合理な待遇差を解消するための規定の整備等に関する法制度が 2020 年4月1日に 施行(中小企業におけるパートタイム・有期雇用労働法の適用は 2021 年4月1日)されることなども踏まえ、60 歳以降に継続雇用される労働者の適正な待遇の確保などの環境 整備も図る必要がある。
2 70 歳までの就業機会の確保について
働く意欲がある高年齢者がその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者の活躍の場を 整備するに当たっては、70 歳までの就業機会の確保について事業主が一定の措置を講ずることを求める法制度の整備をはじめとした環境整備が必要。なお、65 歳までの 雇用確保措置に関して「高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針」が定められていることを踏まえれば、70 歳までの措置に関しても、その実施及び運用に関する指 針を定めることが求められる。
(1)70 歳までの就業機会の確保を図る措置→定年廃止、定年延長、継続雇用制 度の導入といった現行の高年齢者雇用確保措置と同様の措置に加えて、事業主による、特殊関係事業主以外の企業への再就職に関する制度の導入、フリーランスや起業による就業に関する制度の導入、社会貢献活動への従事に関する制度の導入といった新たな措置を設け、これらの措置のうちいずれかを講ずることを事業主に対する努力義務とすることが適当。
(2)現行の 65 歳までの雇用確保措置→労働関係法令による規制(解雇権濫用規制・ 雇止め規制・最低賃金など)により、「就業継続の可能性」と「就業時の待遇の確保」 といった点が担保されており、就業規則で明確化されている。 70 歳までの各措置を講ずる場合に事業主が負う責務の程度など、事業主の関与の 具体的な在り方に関しても、「70 歳までの就業継続の可能性」と「就業時の待遇の確 保」といった点について均衡が求められる。 70 歳までの各措置のうち、雇用による措置については、65 歳までの雇用確保措 置と同様、労働関係法令による規制により、これらの点が担保されている。一方、 70 歳までの各措置のうち、雇用によらない措置については、労働関係法令による規 制が及ばないことから、努力義務について雇用によらない措置による場合には、事 業主が制度の実施内容を明示して労使で合意し、労働者に周知するよう努めることが適当である。
(3)現行の 65 歳までの雇用確保措置→希望する高年齢者全員を対象とした制度を 導入することが事業主の義務とされているが、65 歳以降の高年齢者については、それ以前と比べて体力や健康状態その他の本人を取り巻く状況がより多様なものとなる。 このため、今般の努力義務を設けるに当たり、事業主が講ずる措置について、対象者の限定を可能とすることが適当である。なお、対象者を限定する場合には、その基準について労使で合意が図られることが望ましいことから、この点について指針において明示することが適当。
4)高年齢者の特性に応じた活躍のための多様な選択肢を用意することが重要である ことや雇用によらない措置には労働関係法令による規制が及ばないことなどを踏まえると、70 歳までの措置の適切な実施を図るためには、労使での十分な話し合いを 行うことが求められる。 このため、事業主がどのような措置を講ずるのかに関する話し合い→過半数労働組合又は過半数代表者との話し合いが想定されるが、65 歳までの雇用確 保措置と同様に、話し合いについて指針に明示することが適当。 また、事業主が努力義務について雇用によらない措置による場合の話し合い→過半数労働組合又は過半数代表者との間で合意するよう努めることを法律で定めることが適当。 さらに、事業主が複数の措置を講ずる場合において、個々の労働者にどの措置を適用するのかに関する話し合い→個々の労働者の希望を聴取することを 指針において明示することが適当である。
(5)現行の 65 歳までの雇用確保措置→60 歳まで雇用される高年齢者について、事業 主が定年を 65 歳以上に定める又は定年を廃止し、同一の企業で高年齢者を雇用し続 けることを念頭に置いた制度。このうち継続雇用制度では、65 歳まで特殊関 係事業主で雇用を継続することも可能とされているが、法律上、雇用確保措置の責務は、60 歳まで雇用していた事業主にある。 従って、70 歳までの措置については、60 歳まで雇用していた事業主が、法律上、 措置を講ずる努力義務を負うと解することが適当である。
(6)事業主が 70 歳までの就業機会の確保に当たり具体的に実施する措置→成長戦略実行計画に盛り込まれた選択肢のイメージごとに、それぞれ以下の内容とすることが適当。
・「定年廃止」、「定年延長」、「継続雇用制度の導入」→65 歳までの雇用確保措置と同様のものとすること(継続雇用制度に係る対象者の限定については前述 のとおり。)。
・「他の企業への再就職の実現」→特殊関係事業主による継続雇用制度の導 入と同様に事業主間で契約を締結するものとすること(対象者の限定については前述のとおり。)。
・「個人とのフリーランス契約への資金提供」及び「個人の起業支援」→定年後又は 65 歳までの継続雇用終了後に元従業員との間で、70 歳まで継続的に業務 委託契約を締結する制度を設けるものとする。なお、どのような事業を制度の対象とするかについては、事業主が導入する制度の中で定めることができることとする こと。
・「個人の社会貢献活動参加への資金提供」→定年後又は 65 歳までの継続 雇用終了後に元従業員が、@事業主が自ら実施する事業、A事業主が委託、出資(資 金提供)その他の援助を行う団体が実施する事業であって、不特定かつ多数の者の 利益の増進に寄与するものに係る業務に 70 歳まで継続的に従事できる制度を設けるものとすること。なお、どのような事業を制度の対象とするかについては、事業 主が導入する制度の中で定めることができることとすること。 Aの場合には、事業主と事業を実施する団体との間で、定年後又は 65 歳までの継 続雇用終了後に 70 歳まで引き続いて事業に従事させることを約する契約を締結するものとする。この際、事業主が導入する制度の実施内容に基づき、事業を実施す る団体が高年齢者に対して 70 歳まで事業に従事する機会を提供する旨を明示する ものとすること。併せて、事業主の出資(資金提供)その他の援助により高年齢者 が従事する事業について、当該事業の円滑な実施に必要な出資(資金提供)その他 の援助を要件とすること。 また、事業主の関与の具体的な在り方に関する他の選択肢との均衡の観点から、制度の対象となる事業は高年齢者に役務の提供等の対価として金銭を支払う有償の ものに限ることとすること。
(7)多様で柔軟な働き方を踏まえて、1つの措置により 70 歳までの就業機会を確保することだけでなく、複数の措置を組み合わせることにより 70 歳までの就業機会を確 保することも、努力義務を満たす措置を講ずるものであると解することが適当である。
(8)事業主の履行確保を図るため、厚生労働大臣は高年齢者等職業安定対策基本方針 に照らして必要があると認めるときに、措置の実施について必要な指導及び助言を することや、措置の導入に関する計画の作成及び提出、計画の変更や適正な実施を 事業主に対して求めることができるようにすることが適当である。
(9)70 歳までの措置を講ずることが事業主の努力義務であることを踏まえれば、措置の対象とならない労働者が生じる可能性がある。このため、現行の再就職援助措置に係る努力義務及び多数離職の届出に係る義務の対象者→事業主が70 歳までの措置を講じない場合に 70 歳未満で退職する高年齢者及び事業主が対象者を限定した制度を導入した場合に当該制度の利用を希望しつつもその対象とならなかった高年齢者を加えることが適当。
(10)事業主による措置の実施状況等について、事業主の負担も考慮しつつ、制度の着実な運営に資するために把握することが求められる。このため、事業主が国に毎年 1回報告する「定年及び継続雇用制度の状況その他高年齢者の雇用に関する状況」 について、70 歳までの措置に関する実施状況を当該報告の内容に追加することが適当。その際、措置の導入状況に加えて、労働者への措置の適用状況についても把握することが必要である。
(11)新たな制度の円滑な施行を図るためには、65 歳までとは異なる新たな措置が選択 肢として盛り込まれることに伴い、新たな制度について、国は十分な周知に努める 必要がある。また、措置の導入に向けた労使による話し合いや労働者への事前の周 知に一定の期間を要することが見込まれる。このため、過去の高年齢者雇用安定法 の改正時の例も参考としつつ、適切な準備期間を設けることが適当である。

3 高年齢者の活躍を促進するために必要な支援について
高年齢者が活躍できる環境の整備→法的な義務や努力義務に基づく事業主 による雇用・就業機会の確保のほか、高年齢者の再就職支援やキャリア形成支援、地域 における多様な雇用・就業機会の確保なども含めて進めるものである。今般の新たな制 度の創設も踏まえて、高年齢者の活躍を促進するための支援として、国は関連する各施 策に取り組むことが必要である。
(1)事業主による雇用・就業機会の確保を促進するための支援について、国は以下のとおり取り組むことが必要である。
・70 歳までの措置を講ずる事業主に対する助成措置や相談体制などの充実を図るほか、 他社への再就職の措置に関する事業主間のマッチングを促進するための受け入れ企 業の開拓・確保を支援すること。
・高年齢者のモチベーションや納得性に配慮した、能力及び成果を重視する評価・報酬 体系の構築を進める事業主等に対する助成や相談・援助等を実施すること。
・加齢による身体機能の低下等を踏まえ、労働災害防止や健康確保の観点から対策を講 じ、高年齢者が安心して安全に働ける職場環境の構築を支援すること。

(2)高年齢者の再就職やキャリア形成に関する支援について、国は以下のとおり取り 組むことが必要である。
・高年齢者と企業双方のニーズに応じた再就職の促進のため、ハローワークの生涯現役 支援窓口や産業雇用安定センターによるマッチング機能の強化を図ること。
・高齢期を見据えたキャリア形成支援・リカレント教育を推進するため、労働者のキャ リアプランの再設計等を支援する拠点の整備や、企業の実情に応じた中高年齢層向け 訓練の実施等に取り組むこと。
(3)地域における多様な雇用・就業機会の確保に関する支援について、国は以下のと おり取り組むことが必要である。
・地域の実情に応じた高年齢者の多様な就業機会を確保するため、生涯現役促進地域連 携事業による、地方公共団体を中心とした協議会による取組を引き続き推進すること。
・シルバー人材センターにおいて高年齢者の活躍の場を広げ、地域の様々な課題解決を 図るため、人手不足分野等での就業機会の開拓・マッチング機能や地域ごとの特色や 実情を踏まえた積極的な取組(高齢者世帯の生活支援、子育て支援・家事援助サービ ス、空き家・空き地管理など)を強化すること。

U.中途採用に関する情報公表について→職場情報を一層見える化し、中途採用を希望す る労働者と企業のマッチングをさらに促進することが必要である。

1 企業規模について→労働者数 301 人以上の大企業についてのみ義務とするが適当。
2 公表項目について
→正規雇用労働者の採用者数に占める正規雇用労働 者の中途採用者数の割合とすること。 また、経年的に企業における中途採用実績の変化を把握するため、直近3事業年度の割合を公表することが適当である。
3 公表方法について→企業のホームページ等の利用などにより、求職者が容易 に閲覧できる方法によることが適当である。

4 支援策について
(1)正規雇用による中途採用実績の高い企業
は、求職者にとっては正規雇用として採 用される可能性が高いと期待できる企業であるが、中途採用実績の多寡のみをもっ て職場に対する評価がなされるべきものではなく、また、求職者にとっても採用後 に自身が働く姿がイメージできる情報を得られることが有用であることから、企業 におけるさらなる職場情報の自主的な公表が進むよう、支援を行うことが適当である。 このため、大企業については、法的義務を求める項目以外にも自主的な公表が進むよう、中高年齢者、就職氷河期世代の中途採用比率等といった定量的な情報、中 途採用に関する企業の考え方、中途採用後のキャリアパス・人材育成・処遇等といった定性的な情報の公表を支援することが適当。 また、中小企業についても、大企業に法的義務を求める項目と併せて他の情報の 公表が自主的に進むよう、支援を行うことが適当である。
2)中途採用を希望する労働者と企業のマッチングを促進するため、正規雇用の中途 採用に係る情報公表に関する好事例の収集・周知等を図ることが適当である。
(3)中途採用に関する環境整備を総合的に推進するため、中途採用に関する情報公表 のみならず、職場情報の見える化の推進やハローワーク等におけるマッチング機能 の充実、人材確保支援等により一層取り組んでいくことが必要である。
4)労働者の職業選択に資するための職場や職業に関する情報の提供の促進について は、上記のほかにも次世代育成支援対策推進法、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律、青少年の雇用の促進等に関する法律に基づく企業の職場情報の提供や、職業情報提供サイト(日本版 O-NET)(仮称)の構築などを進めているところであり、これらを踏まえ、国は求職者等の職業選択に資する職場や職業に関する情 報の提供のために必要な施策を充実させることを国の施策として法律上も明確にす ることが適当である。

5 施行までの期間について
法的義務の施行に当たっては、情報公表を求める規定が盛り込まれている他の制度の施行時期や企業実務を踏まえ、適切な準備期間を設けることが適当である。

次回は、新たに「第15回社会保障審議会年金部会」からです。

| 次へ