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第5回「人生100年時代に向けた高年齢労働者の安全と健康に関する有識者会議」 [2020年01月08日(Wed)]
第5回「人生100年時代に向けた高年齢労働者の安全と健康に関する有識者会議」(令和元年12月25日)
議 事 (1) 報告書案について (2) その他
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08653.html
◎資料 報告書案
人生100年時代に向けた 高年齢労働者の安全と健康に関する有識者会議 報告書
〜 エイジフレンドリーな職場の実現に向けて 〜 (案)
はじめに↓

我が国の健康寿命が世界最高水準となり、今後更なる延伸が期待される人生 100 年時代 を迎え、高齢者から若者まで全ての人が元気に活躍でき、安心して暮らせる社会づくりが 求められている。 本年6月に閣議決定された「成長戦略実行計画」には、70 歳までの就業機会の確保に向 けた法制度の整備が掲げられ、現在、労働政策審議会における検討が進められている。
・・・・・・・・・・・・・・・(中間は略)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
本有識者会議では、高齢者の身体機能についての長期的な推移や壮年者との比較から分 かる特性を整理するとともに、年齢、性別、経験期間が労働災害の発生率に与える影響に ついて分析するほか、高齢者の安全衛生対策に積極的に取り組んでいる企業等の担当者や 関連分野の有識者へのヒアリングを実施した上で、働く高齢者の安全と健康に関して幅広く検討を行った。その際、人生 100 年時代に向けた働き方の変化に伴って求められる地域保健と職域保健の連携の視点からも検討を加えたところ。 本有識者会議の報告を契機として、各企業はじめ関係者において働く高齢者の労働災害 防止対策の足元を見直していただき、取組が不足しているところがあれば取り入れるなど、 広く本有識者会議の検討の成果が活用されることを期待したい。 政府には、本有識者会議の報告を踏まえ、誰もが健康で安心して働ける社会の実現に向けて、労使をはじめ関係者との一層の連携のもとに、働く高齢者の特性に的確に対応した エイジフレンドリーな職場の実現に向けて積極的な政策を進めることを求めたい。

1 働く高齢者をめぐる安全と健康に関する現状と課題
(1)働く高齢者の就業状況
→、2018 年 10 月1日現在で、総人口に占める 15 〜64 歳の人口割合は 59.7%と過去最低の水準。一方で、65 歳以上の人口割合は、同日現在で 28.1%となり、今後も増加を続け、2065 年には 40%近くに上ると推計されている(図1)。
働く高齢者について、就業構造のサービス産業化、ホワイトカラー化がみられる。 こうした変化は一層進むものと考えられ、これに対応した安全衛生対策が求められる。
35〜64 歳の男女を対象とする内閣府の意識調査では、60 歳を過ぎても働きたいと回 答した人が全体の 81.8%、65 歳を過ぎても働きたいと回答した人が 50.4%を占めて おり、高齢者の就労は今後も増えることが見込まれる(図4)。

(2)高齢者の身体機能や健康状況
@身体機能
→歩行速度などの代表的な指標に着目すると、近年向上が見られるものの、壮年者と比較すると聴力、視力、平衡感覚、筋力等の低下が見られる(図 5、図6、図7)。こうした身体機能の変化が、転倒、墜落・転落等の労働災害の発生に影響している ものと考えられる。
A健康状況→40 歳から 74 歳を 対象として行われる特定健康診査受診者におけるメタボリックシンドローム該当者の 割合は、年齢が上がるにつれて増加している(図8)。60 歳代の働く高齢者を対象に「65 歳を過ぎても勤めるために必要 なこと」を調査した結果をみると、「健康・体力(65 歳までの勤務以上に重要であ る)」とする回答が 66.8%に上り、最も多くなっている(図 11)。
高齢者の働く意欲を就労につなげ、安心して職場で活躍できるようにす るためには、青壮年期からの継続的な健康づくりを進め、特に生活習慣病の発症や重 症化を予防していく取組が重要であると考えられる。

(3)働く高齢者の労働災害や業務上疾病
@労働災害発生状況の概況
→2018 年においては 26.1%となり、2008 年の 18.0%から 8.1%ポイント増加。災害件数(千人率)→男女ともに最小となる 25〜29 歳 と比べ、65〜69 歳では男性で 2.0 倍、女性で 4.9 倍と相対的に高くなっている。なお、 千人率は女性では 65〜69 歳で最大となり、男性では 75〜79 歳で最大となっている(図 13)。事故の種類別でも、高齢者と若年者の被災の傾向に違いが見られる。すなわち、高 齢者では、転倒災害、墜落・転落災害の発生率が若年者より高い傾向があり、特に女 性でその傾向が顕著である(図 15)。
A労働災害の分析→いずれの年齢層においても経験 期間が 1 年未満と短い労働者の災害発生率が高く、こうした労働者への対応の必要性 がうかがわれる(図 16)。
B業務上疾病↓
ア 腰痛
→ 業務上疾病の 57.8%を災害性腰痛(いわゆるぎっくり腰等)が占めており、災 害性腰痛を含めた負傷に起因する疾病は、業務上疾病の 68.4%である(図 19)。
イ 熱中症→ 職場における熱中症は趨勢的に増加、個人差はあるものの、年 齢が上がるにつれて暑い環境に対処しにくくなると言われている。消防庁のまと めによると平成 30 年 5 月から 9 月までの熱中症による救急搬送件数は、95,137 人に上るが、そのうち 65 歳以上の高齢者の割合が 48.1%を占めている。働く高 齢者は熱中症のリスクが高くなることに留意が必要
ウ 脳・心臓疾患→患者数は、年齢が上がるに従って増えていく傾向にある(図 26)。脳・心臓疾患における労災認定事案をみると、40 歳以上が約9割を占め、雇用 者 100 万人当たりの事案数では、40〜59 歳で多い状況である(図 27)。業種・職種分野での脳・心臓疾患の要因である長時間労働や、不規則な労働等への対策が求められる。

(4)企業の取組の現状
@高齢者の労働災害防止に関する実態調査の結果
→高齢者の労働災害防止対策の取組を行っている事業所は全体の 55.7%。事業所規模別取組割合→労働者数 100〜299 人の事業所の 69.1%が最も高い一方で、10 〜49 人の事業所は 54.0%、また 1000 人以上の事業所は 63.6%となっている。 取組内容→健康診断実施後の就業上の措置を行っている事業所は多く、体力づくりや健康管理の取組を行っている事業所は比較的少ない(図 29)。
労働者数 50 人未満の事業所や第三次産業の事業所において、一層の周知 啓発、取組の促進が必要である。
A健康経営、コラボヘルスの取組状況→、既に「健康経営」に取り組んでいる中小企業は約2 割、今後取り組みたいという意向をもつ企業は5 割に上る。企業と健康保険組合が連携して、健康づくりのための講習を行うといった取組を進めている事例等を参考にすることが考えられる(詳しくはコラム及び参考資料(2)のA参照→P29〜31)。

(5)今後に向けた課題と対応の方向性→労働災害や業務上疾病の現状から浮かび上がってくる働く高齢者に特有の 特徴や課題に対応していくことが必要。その際、フレイルやロコモティブシンドロームといった高齢期に現れてくる特徴にも配慮が必要。その他、病気の治療と仕事の両立支援の視点を取り入れることが必要である。職場での健康づくりを進めることは働く意欲や能力を長期にわたって活かすこととなり、 人生 100 年時代に働く多くの人の意欲や能力の発揮や快適な職場づくりに資する取組であると考えられる。
高齢者の労働災害防止のための対策について、概念的に整理する とともに、企業はじめ関係者において、今後自らの実態に合わせて取り組めるよう、 作業環境管理、作業管理、健康管理という観点から具体的対策を盛り込んだガイドラインを取りまとめ、その活用を進めていくことが必要である。 併せて、健康経営に向けた意欲等を持ちながら具体的な取組が進んでいない中小企 業や第三次産業に対する支援が重要であることから、国や関係団体等においては、こうした企業に対する支援策の充実を図るとともに、さらなる効果的な政策展開の基盤 となる実態調査などの調査研究を進めることが必要である。

2 高齢者が働きやすい職場環境の実現のために(ガイドラインに盛り込むべき事項)
(1)事業者に求められる事項
@ 全般的事項→
ア経営トップによる方針表明及び体制整備、イ危険源の特定等のリスクアセスメントの実施、
A 職場環境の改善→ア身体機能の低下を補う設備・装置の導入、イ働く高齢者に配慮した作業管理、
B 働く高齢者の健康や体力の状況の把握→ア健康診断、イ労働災害防止のための体力チェックによる働く高齢者の状況の把握、
C 働く高齢者の健康や体力の状況を踏まえた配慮→ア個人ごとの健康や体力の状況を踏まえた措置、イ働く高齢者の状況に応じた業務の提供、ウ心身両面にわたる健康保持増進措置
D 安全衛生教育→高齢者が健康で安全に働き続けるための安全衛生教育について、

(2)労働者に求められる事項→ 一人一人の労働者が生涯にわたり健康で長く活躍できるよう、自らの健康づくりに 積極的に取り組む必要がある。また、労働者自らの身体機能の変化が労働災害リスク につながり得ることを理解し、労使双方による以下(P40)の取組を実情に応じて進めること が求められる。

3 国、関係団体等による支援→人生 100 年時代を迎えるに当たり、多様な高齢者が健康で安心して働くことができる 環境を整えるため、国や関係団体等には、事業者と労働者双方に対策の必要性が理解さ れるよう、労使団体等と連携し国民的な気運の醸成を図ることが求められる。 その裏付けとなるデータや好事例を周知することが、事業者における取組のインセンティブにつながるとともに取組のハードルを下げることとなることから、働く高齢者の労働災害リスクや対策の効果、支援機器・技術等の様々な知見やメッセージを積極的に発信していくことが必要である。
その上で、特に以下のような取組を早急に進めることが必要である
(1)ガイドラインの普及促進に向けた広報戦略、アウトリーチ
@本有識者会議の提言を踏まえて策定するガイドラインについて
、都道府県労働局、労 働基準監督署を通じた各事業場に対する指導啓発により、働く現場に普及し、定着さ せること。その際、特に中小企業、第三次産業に対する指導や支援に重点を置くこと。
A労働災害防止団体や業界団体による傘下事業者への周知啓発の推進
Bシルバー人材センターなどにおいて請負の働き方で従事する就業者等の安全衛生確 保に向けた配慮の働きかけ

(2)個別事業場に対する働きかけ
@ 個別事業場に対するコンサルティング

第三次産業も含めた中小企業における働く高齢者の労働災害防止の観点から、個々 の企業の実情を把握した上でのコンサルティングを通じた支援について強化する必要 がある。労働災害防止団体が高年齢者の雇用管理改善に取り組む JEED(独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構)等の関係機関とも協力し、働く高齢者の安全衛生 上の課題について、労働安全・労働衛生コンサルタントや災防団体の安全管理士等に よる個別事業場の現場で診断を行い、必要な対策を助言するなどの取組を進めること により、安全衛生に関する専門家の支援を受けにくい中小企業において対策を進める ことが期待される。
A 産業保健総合支援センターによる支援
産業医や保健師等の産業保健スタッフに対する研修や相談対応等を通じて、働く高 齢者の増加に対応した事業場における産業保健機能の強化を支援する。 また、労働者数 50 人未満の小規模事業場に対しては、地域産業保健センターによる、 働く高齢者も含む労働者の健康管理(メンタルヘルスを含む)に関する相談等の産業 保健サービスを提供する。

(3)特に支援が必要な産業分野、中小零細事業場に対する支援 働く高齢者が安心して安全に働く職場環境の整備に意欲のある中小企業における取 組を支援するため、国として助成による支援を行うことが必要である。
支援対象を選定する上での優先順位づけの視点として以下の点が考えられる。
@)働く高齢者を多く雇用している事業場であること
A)働く高齢者の安全衛生対策として効果が確立していること 働く高齢者に特化した対策でない場合でも、働く高齢者の安全衛生に効果が認められるものであれば対象となりうる。 B)対策に一定程度の費用を要すこと C)助成の対象とした対策が事業場で継続的に取り組む計画、体制が構築されること

(4)高齢者を支援する機器・技術等の検証等→高齢者の特性に配慮した独創的・先進的な機器・技術等は、有用と思われるものでも、その効果等についての客観的な評価が行われていないために、普及が進んでいない場合があることから、以下の取組を通じ、企業が適正な機器・技術等を選定できるよう支援する必要がある。
・独創的・先進的な機器・技術等の検証及び検証結果の公表
・有用性が確認された機器・技術等の普及促進

(5)優良な取組を行う事業場への表彰等→表彰、好事例コンクール等により優良な取組を行う事業場へインセンティブを付与 するとともに、当該取組を他の事業場の模範として展開するための周知広報を行う。 また、実際に企業が取り組んだ労働災害防止対策をウェブ上で収集するシステムを 開発し、その好事例を厚生労働省のホームページ上に業種や事故の種類別に分類して 公表することにより、企業が労働災害の防止に取り組みやすい環境を整備する。

(6)人材育成、取組の普及→健康状況に適合した業務の調整や体力向上のための活動を支援する保健師や運動指 導担当者(トレーナー)などの専門人材が事業場に不足している場合に外部の保健師 等を活用できるよう、関係機関において専門人材の育成を支援する。その際、労働衛 生・産業保健に関する知識も併せて習得するよう勧奨する。

(7)高齢者に関する調査研究→高齢者の身体機能・運動機能が若返っているとの報告の一方で、就業している高齢 者の身体機能・運動機能について、過去の一定の研究成果を土台としつつ、現下の実 態を調査する必要がある。 これまでの最新の知見の整理によれば、高齢女性の転倒災害が多い理由の一つとして、骨粗鬆症が指摘されている。このような健康状況と労働災害との関係のほか、視覚、聴覚など身体機能の衰えとの関連を含め、就業している高齢者の男女別の身体機能・運動機能、健康状況、労災の発生状況、対策の実態について、更なる調査研究が必要である。 なお、定期健康診断における年齢ごとの有所見率について、直近の動向を調査していくことも求められる。

4 地域で取り組まれている健康づくりや健康保険の保険者との連携
高齢化が進展する中で、国民一人ひとりの生涯を通じた継続的かつ包括的な保健事業 を展開していくためには職域保健と地域保健との連携が重要。このため、都道府県及び二次医療圏において地方公共団体・労働局・産業保健総合支援センター・保険者・ 地域の経済団体・医師会等関係団体・支援機関等から構成される地域・職域連携推進協 議会を設置し、地域の課題や実情に応じた連携を進めている。
高齢者が就労を希望する際、住み慣れた地域での雇用就業機会を求め、特に定年退職 や継続雇用が終了する段階などライフステージの節目で、短時間労働やシルバー人材センターでの就労等の多様な働き方で地域の雇用就業の場に移る場合が考えられる。また、 働く高齢者の労働災害防止対策に取り組んでいる事業所の割合は 49 人以下規模の事業 所では比較的少なくなっている。 こうした状況を踏まえ、職域保健と地域保健の連携により、地域の中小事業者に対し、 働く高齢者の労働災害防止や職場での健康づくり等に資する地域産業保健センターや労働災害防止団体の行う支援策等に関する情報が、保険者や経済団体等に関わる多様なルートで周知されるよう、地域の実情に応じて取り組んでいくことが考えられる。 また、事業協同組合等が実施する研修やセミナーの場を活用し、保健所等の保健師や 管理栄養士等の専門職が、地域の中小事業者に対し、職場における健康づくりや生活習慣改善について講話や保健指導を実施するといった取組を展開していくことも考えられる。 さらに、こうした積極的な取組について、地域・職域連携推進協議会の場を活用し、 横展開を図っていくことも期待される。 こうした職域保健・地域保健の連携の下で、働く高齢者も含めた多くの労働者の労働 災害防止や健康づくりが前進することを期待したい。

次回は、「参考資料 全世代型社会保障検討会議中間報告」からです。
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