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労働政策審議会労働政策基本部会報告書 [2019年09月24日(Tue)]
労働政策審議会労働政策基本部会報告書〜働く人がAI等の新技術を主体的に活かし、豊かな将来を実現するために〜(令和元年9月11日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06697.html
◎【別添1】労働政策審議会労働政策基本部会 報告書 〜働く人が AI 等の新技術を主体的に活かし、豊かな将来を実現するために〜
○はじめに
今後の日本社会を展望
→AI 等(AI、IoT、ビッグデータ、ロボット等をいう。)の新技術に代表される第四次産業革命がグローバル化と相まって進展し、仕事の在り方が変化する一方、人口減少の加速と「人生100年時代」における職業生涯の長期化に伴い、一つの組織で同じ仕事を続ける労働者の比重は低下すると見込まれる中、労働市場の機能を高めていくことが重要な課題となる。
AI 等は、積極的に活用されれば、労働生産性を向上させ、人口減少社会における経済成長を支える基盤となることが期待される。さらに、労働者が AI 等を主体的 に活用できれば、自らの力を発揮して仕事ができる環境を作ることや、家庭や地域社会での時間を充実させることも可能になり、労働者一人ひとりの幸福度を高め、消費を生み、学びの気持ちを高め、日本の豊かな将来につながるものと考えられる。
一方で、AI 等に代替されるタスクから構成される仕事の減少をもたらす懸念があるほか、個々の労働者がタスクの変化に伴い求められるスキルアップやキャリアチェンジにどのように対応していくのか、といった新たな課題も生じると考えられる。
こうした認識の下、本部会では、「労働政策審議会労働政策基本部会報告書」(平成30年 9月5日労働政策審議会了承)等を踏まえ、AI 等の技術革新の動向と労働への影響について、平成30年12月から8回にわたり、実際にAI 等の現場への導入や運用に携わる関係者等のヒアリングを交えながら議論を深めてきた。その成果について、以下のとおりとりまとめる。

1.質の高い労働の実現のためのAI 等の活用
(1)人口減少の中でのAI等の積極的な導入の必要性
→日本の人口は、近年、減少局面を迎えている。今後の人口構成は、 いわゆる団塊の世代が 75 歳以上となる 2025 年以降、65 歳以上人口の増加は 緩やかになる。一方、出生率の低下を背景に、15 歳から 64 歳層の人口は、いわゆる団塊ジュニア世代が 65 歳以上となる 2040 年頃に向けて減少が加速する と見込まれている。こうした諸外国にも例を見ない人口構造の変化の中で、社会経済の活力を維持・向上することが重要な課題となっている。 一方で、AI 等が進展する中、日本では、その社会実装を進めることで、「Society 5.0」の実現が目指されている。AI 等は、従来の大量生産・大量消費型のモノ・サービスの提供ではない、個別化された製品やサービスの提供を通じて、個々のニーズに応えることを可能とし、これにより様々な社会課題の解決や大きな付加価値の創出につながるもの。そのため、AI 等を人間が使いこなすことが可能となれば、人間の創造性が拡大し、その生活の質とともに労働生産性を向上させることも可能となり、さらに、高齢者、障害者、育児・介護を行う 労働者等、働くことに制約のある多様な人材に活躍の場をもたらす効果も期待できる。 今後加速する人口減少の中で、経済成長の制約要因となる労働力不足に対応するとともに、労働条件を改善し、一人ひとりの労働者にとって職業生活を実 りあるものとし、さらには社会全体でディーセント・ワークの実現を目指すためには、AI 等の活用が不可欠である。
(2)就業構造の変化に対応した AI 等の導入→ 現在の日本の就業構造を産業別に見ると、就業者数の多い「卸売業, 小売業」、「製造業」、「医療,福祉」の中で、「医療,福祉」において就業者数の増加傾向が顕著。職種別に見ると、全就業者に占める割合は、事務従事者が約2割と高く、また、専門的・技術的職業従事者は増加傾向、生産工程従事者は減少傾向にある。雇用形態別に見ると、非正規雇用で働く労働者の多く はサービス職業従事者、販売従事者、事務従事者であり、これらの労働者を性 別にみると女性の割合が高い。
今後の技術革新の動向を織り込んだ展望として、2020 年代後半以降、AI の活 用やロボットによる自動化で生産職が、また、RPAや AI-OCR、チャットボット等による事務効率化により事務職が過剰となる一方で、技術革新をリードする専門職が不足するという推計がある。また、この推計によれば、日本においては、現状でも英米と比べて、定型的なタスクからなる職種(例えば事務員、 自動車運転従事者等)の比率が高くなっている。他方で、介護職員、自動車運転従事者等の職種では、人手不足、労働者の心身の負担等が課題として指摘されている。 今後、職業のミスマッチの拡大を防ぎつつ、こうした職種の課題を解消していくためには、技術革新への対応に必要な教育訓練を受けられるようにするとともに、AI 等の活用を通じ省力化を進め、人手不足に対応することや、労働時間の短縮や危険を伴う業務の安全性の向上により快適な職場環境を実現することなどが求められる。 例えば、RPA により、事務従事者の作業量を削減し、時期的な繁忙の平準化 の他、単純反復作業からの解放や人為的なミスの削減も実現できることが確認されている。また、介護ロボットにより、サービス内容の改善を図りつつ、労働者の身体的・精神的な負担を軽減し、体力面での制約が大きい高齢者も介護分野で一層活躍することが可能となった事例もある。さらに、第 198 回通常国会において、自動運転車等の設計・製造から使用までの安全性を一体的に確保 するための制度整備を行う法律改正が行われたが、自動運転技術により、ヒューマンエラーによる交通事故を減少させるとともに、ドライバ ーの負荷の低減など労働環境を改善することも期待される。このように、AI 等 の活用による働くことをめぐる課題への対応は進みつつある。
今後、留意すべきは、業種、企業規模によって AI 等の導入状況が異なる中、 社会的に対応が求められる分野において、AI 等の実装が確実に進むとは限らないということ。導入が進まない理由としては、AI 等の投資に資金的な制 約がある場合もあれば、導入後のビジネスモデルが明らかでない場合、導入を 検討していても導入のためのノウハウを有していない場合もあると考えられる。 このため、人手不足等の課題解決が必要な分野を見極めた上で、そうした分野において、ICT 等の既存の技術の更なる活用はもとより、AI 等の積極的な開発・ 実装が進むよう、関係者の連携を促進することや実証実験等を進めることを含め、政策的な対応について検討することが必要。 同時に、人口が流出している地方圏においては、人手不足の加速と消費市場 の縮小の両面から地域経済に影響が及ぼされているが、AI 等の導入や ICT の活 用によって、労働参加率や生産性の向上、地域の資源を活かした商品開発や販 路開拓等を通じた地域経済活性化等による地方創生につながることも期待され る。
(3)イノベーションによる産業構造の変化と雇用への影響 →今後、AI 等により生まれるイノベーションにより、産業構造が変わり、既存 産業の在り方が大きく変化するとともに、新産業が創出される可能性も指摘されており、これらが雇用・労働に及ぼす影響について、関係者による議論を深 めていく必要がある。 例えば、自動運転技術の進展を始めとした「モビリティ革命」では、ガソリンエンジンから電気自動車に移行すること等により自動車製造業がモジュール化していくことなどが想定され、これまで裾野の広い事業所の 集積を実現し、幅広い関連産業に安定的な雇用の場を提供してきた自動車関連 産業等に広く影響が及ぼされ、こうした分野での雇用機会が減少する可能性もあることが指摘されている。同時に、自動車を製造・販売する自動車産業が変 化し、「移動」をサービスとして提供する、いわゆる「モビリティ産業」が創出される可能性も指摘されている。 このほか、飲食店経営のノウハウを活用して来客数を予測するシステムを開発し、新しいビジネスを確立した民間企業の事例や、介護ロボット産業を地域 の産業として振興しつつ、介護の質を向上させている地方公共団体の事例なども見られるところであり、AI 等を活用したイノベーションにより新しいビジネ スやサービスの創出が一層進められることが期待される。 このような新産業の創出も含めた産業構造の変化が雇用に与える影響の全体 像について、現時点で正確に見通すことは困難であるものの、技術革新により 全体的な人手不足傾向は緩和される中で、職業のミスマッチの未然防止や解消 が課題となっていく方向性は現れている。AI 等がもたらす変化の速さと大きさを踏まえ、現在明らかになりつつある雇用をめぐる課題への対応を検討して いくべきである。

2.AI 等の普及により求められる働き方の変化
(1)労働環境の変化への対応方針の協議
→ AI 等の活用に伴い、業務の内容や求められるスキルは変化していく。一方、 現状では、AI 等の活用が一般化する時代において、いかなるスキルが重要かと いった点については、労使間で認識の違いのある部分も見られる。過去の ME 化や IT 化の際にも、新技術の導入に際しては、集団的労使関係のもと、職場の 労使間で認識をすり合わせ、配置や職種の転換、処遇の見直し等について労使 双方で納得を得つつ対応してきた。こうした対応を参考に、複雑で高度な業務 をも代替する可能性を持った AI 等を導入する方針を決定する際は、導入による 賃金等の労働条件や労働環境の改善、導入に必要な教育訓練など、労働者にと って必要な取組を労使のコミュニケーションを図りながら進めていくことが重要となる。 また、その前提として、経営者が AI 等の導入による生産性の向上に積極的に 取り組むことが重要であり、経営者のマネジメントスキルや AI 等に関する知識を高めていくことも求められる。さらに、AI 等の導入に当たっては、経営戦略部門が主導している事例も見ら れるが、AI 等に業務が代替される労働者への対応が重要な課題となることから、 企業において AI 等の導入が具体的に進む段階では、人事労務部門の関与が求め られることにも留意が必要である。同時に、人事労務業務で AI を活用する HRTech の技術の活用や、他部門での AI 等の導入に適切に対応するため、人事 労務部門で働く人の AI リテラシーを高めていくことも求められる。 今般の技術革新により、管理職等も含めて幅広い職種・役職の業務が代替される可能性があり、同時に、ME 化等が進展した当時と比べて労働組合組織率 が低下している。これまで、就業形態や価値観の多様化、労働組合組織率の低下を背景に、労働組合が存在しない職場における労働者の交渉力をより高める ための方策について様々な検討が積み重ねられてきたが、技術 革新が進展する中における労使間のコミュニケーションの在り方についての議 論を改めて深める必要がある。
(2)AI 等との協働に必要なスキル→ 諸外国と比べて、日本の労働者については、AI との協働に向けたスキル習得 の重要性の理解や具体的なスキル習得の取組に遅れが見られるとの指摘があるが、調査結果をみても、日本では AI が導入された際の業務への影響を軽微と考えている傾向もうかがえる。そこで、社会全体で AI 等による仕事の変化に対 し、必要なスキルを意識しつつ備えることが重要である。 AI 等の導入により、見直し・再設計がなされた業務を実行する労働者には、 AI 等を使いこなして成果をあげることが求められる。そもそも IT 等の活用が 一般的ではない職場においては、まずは情報共有の効率化を目的とした携帯端 末等の活用が必要であり、そのためには、基本的な ITリテラシーの習得や保有 する情報を電子化するといった情報の整理等が前提となる。更に AI 等を活用しようとする職場では、例えば、AI 等をどのように業務に活用するかを検討し、実際に業務に組み込んでいくためのより高度なスキルなどが必要となる。このようなスキルは、AI 等の浸透に伴い、より多くの労働者に習得が求められることになる。同時に、ものづくり分野や医療分野等の様々な分野における今後のイノベーションの創出に向け、最先端の AI 等の開発を担う人材や AI 等を産業に応用する人材の育成や確保、さらにはそうした人材が活躍できる環境の整備も求められる。 一方で、AI 等が進展しても、課題設定、双方向のインタラクティブな対応、新しい発想、最終的な価値判断など、人間らしい又は人間にしかできない業務は残る。このため、こうした業務に求められるスキルを高め、より創造性の高 い業務の比重を高めていけば、人口減少の中でもより付加価値の高い製品・サ ービスを提供し、経済成長の源泉としていくことが期待できる。また、将来的に機械による代替が可能となったタスクについても、人間がサービスを行うこと自体が付加価値と捉えられることも考えられる。 例えばコールセンター業務において、AI により必要な情報が瞬時にオペレーターに提示される技術が普及していけば、AI がオペレーターの商品等の知識を補い、経験の浅い人でも就業することが可能となる。その分、顧客の要望をく み取ることやクレームに対応するといった対人業務に注力することができ、その業務の質を高めていくことも求められる。 また、これらの前提として、人間的資質(チャレンジ精神や主体性、行動力、 洞察力など)や、対人関係能力(コミュニケーション能力やコーチングなど) 等を高めていくことも課題となる。 このような AI 等を使いこなすスキルや人間にしかできない質の高いサービ スを提供するスキルについて、企業においても社会においても、適切な評価が なされ、担い手の報酬や昇進等に反映されていくことが期待される。加えて、 AI 等の導入による生産性の向上の成果が労働者にも適切に分配され、賃金の上 昇や労働時間の短縮も含めた労働条件の向上が実現されることも重要である。 このような適切な評価や待遇の改善は、労働者のモチベーションを高め、企業 にとっても企業の魅力を向上させ人材確保にもつながっていくと考えられる。
(3)スキルアップ・キャリアチェンジに向けた支援 →AI 等の活用が進む時代においては、各職種におけるタスクの変化や、自分のスキル・適性と各職種に必要なスキルとのギャップに気付き、自発的にスキルアップ・キャリアチェンジを目指すことが求められる。 労働者にこうした気付きを促すためには、職業、スキル、教育訓練等の情報を広く見える化することが必要であるため、政府が、そうした基盤となる情報システムの整備等に取り組んでいくことが求められる。 また、技術の進展に伴い求められる教育訓練の内容も変わりゆくものである ことから、政府が、教育訓練のニーズを的確に把握し、民間の教育訓練機関や 大学、専門学校等も活用しながら必要な教育訓練のコンテンツを充実させるこ とや、労働者が中長期的なキャリア形成を目的として受講できるような教育訓 練の選択肢を十分に確保することが必要である。企業においても各職場で求め られる教育訓練の在り方について検討することが求められる。 特に、人生 100 年時代において就労期間が長くなると、職業生活においてキ ャリアチェンジをする機会が従来よりも多くなる可能性があるため、年齢にか かわらず全ての希望者がスキルアップ・キャリアチェンジに向けた支援を受け られるようにすることが求められる。非正規雇用で働く労働者については、希望する者が正規雇用に就けるようにするため、引き続き、支援や環境整備が求められる。 さらに、早期からの準備として、学校教育段階において、基礎的な AI 等に関 するリテラシーや、AI 等の活用が一般化する社会でどのように学び、働いてい くかを考え、そのような社会で働く心構えを身につけるための教育にも取り組 むことが求められる。また、学校教育において、AI 等の進展に対応したより創 造力の高い人材を社会に輩出するため、学校教育における職業教育の位置づけ を高めることが求められる。新たに創設された実践的な職業教育を行う専門職 大学制度については、その所期の目的に沿った活用が促進されるとともに、学 校教育の質の更なる向上が目指されるべきである。
(4)AI 等の活用が進む中での労働者への支援 →AI 等の活用が進むことに伴い、様々な要因により AI 等に対応できない労働 者が少なからず生じる懸念も示される中、そのような労働者が労働市場から排除されず、社会に包摂されるようにすることにも留意が必要。 このため、政府においては、教育訓練機会の提供とともに、労働者等のキャ リア形成への支援や、企業による能力開発への支援に向けた施策を強化するこ とが必要である。こうした中で、誰もが自身のスキル習得の方向性や必要性を 客観的に把握した上で、スキルアップやキャリアチェンジにも取り組むことが 必要となる。 また、こうした支援等を行っても AI 等の進展への対応に困難を来す労働者等 をライフステージの各段階を通じて社会全体で支えていくため、就労支援等の 自立支援や生活保障といったセーフティネットについて、今後の技術の進展に 応じてどのような在り方が求められるかについて、今後、議論が深められるこ とが期待される。

3.働く現場で AI 等が適切に活用されるための課題 →AI 等を活用することで生産性向上や労働の質の向上が可能となるが、一方で、 実際に働く現場で適切に活用していくことが求められる。「人間中心の AI 社会原則」においては、AI を有効に活用して社会に便益をも たらしつつ、ネガティブな側面を事前に回避又は低減するために、人、社会シス テム、産業構造、イノベーションシステム、ガバナンス等、あらゆる面で社会を リデザインし、AI を有効かつ安全に利用できる社会を構築する必要性が強調され ている。 こうした考え方も参考にしながら、働く現場における次のような課題に対応し ていく必要がある。
(1)労働者のプライバシーの保護や情報セキュリティの確保→ AI 等の活用においては、労働者のプライバシーの保護や個人情報のセキュリ ティの確保が実現され、安心して必要な個人データを提供し、提供したデータ が適切に活用され、有効に便益を得られる環境が求められる。そのためには、 個人情報を取り扱う者の倫理観も不可欠。 プライバシーについては、AI 等の活用により、個人データから政治的立場、 経済状況、趣味・嗜好等が高精度で推定できるため、企業は、労働者の権利が 侵害されないよう、サイバーセキュリティの確保を含むリスク管理のための取 組を進めるなど適切に情報セキュリティを確保しつつ、個人データを扱うことが求められる。
(2)AI による判断に関する企業の責任・倫理 →AI の情報リソースとなるデータやアルゴリズムにはバイアスが含まれている 可能性があるため、AI による判断に関して企業が果たすべき責任、倫理の在り 方が課題となる。例えば、HRTech では、リソースとなるデータの偏りによって、労働者等が不当に不利益を受ける可能性が指摘されている。 このため、AI の活用について、企業が倫理面で適切に対応できるような環境 整備を行うことが求められる。特に働く人との関連では、人事労務分野等にお いて AI をどのように活用すべきかを労使始め関係者間で協議すること、 HRTech を活用した結果にバイアスや倫理的な問題点が含まれているかを判断 できる能力を高めること、AI によって行われた業務の処理過程や判断理由等が 倫理的に妥当であり、説明可能かどうか等を検証すること等が必要。 他方、AI 等を活用することにより、人間による業務判断の中にバイアスが含 まれていないかを解析することもできるため、技術革新が人間のバイアスの解 消に資する可能性もあるという指摘もあり、今後、こうした面からも AI 等の活 用が期待される。
(3)円滑な労働移動の実現や新しい働き方への対応 →新技術の進展に伴う経済社会の変化、雇用・労働に与える影響を社会全体で受容する体制づくりを急ぐことが必要。 新技術の進展により、業務の代替や創出、あるいは、産業構造の変化が見込 まれる中で、こうした変化への対応として、自身の能力を生かすための転職ニーズが高まり、また、企業の側でも必要な人材を確保する必要も生じると考えられることから、円滑な労働移動の実現を図っていくことが求められる。同時に、転職が不利にならない制度の在り方についても、検討を進める必要がある。 また、新技術の進展に伴うクラウドソーシングやシェアリングビジネス等における新しい働き方等の拡大を背景として、雇用類似の働き方に関する保護等の在り方は、その事業者としての側面や労働者との類似性等を踏まえながら、特に優先すべき検討課題について、スピード感をもってその検討を進 めていくことが期待される。
(4)AI 等がもたらす時代の変化を見据えた政労使のコミュニケーションの重要性 →AI 等の発展が、産業構造そのものの転換をも促し、働き方や雇用に大きな影 響を与えることが想定される中で、良質な雇用機会をどのように確保していくかが重大な課題となる。この課題は個別の企業の内部だけでは対応しきれるものではなく、業種・産業・地域ごと、あるいは社会全体で、AI 等の発展とともに新しい時代への変化が差し迫る前にビジョンを固めていくことが必要となる。 このような時代の変化を見据えて、業種・産業レベル、地域レベル、全国レ ベルで政労使間の対話を継続的に行い、AI 等が雇用・労働に与える影響をテーマとして、中長期的な視点から対応を検討していくべき。

○おわりに
AI 等の進展が働き方に与える影響は、今後ますます大きくなり、また、変化の スピードも加速していくことが予想される。このような中で企業や労働者、又は国や社会全体に対して今後求められる対応について、労働政策基本部会において 議論を重ね、方向性を示すものとして本報告をとりまとめたものである。 本報告の内容を踏まえ、労使において AI 等の活用に関して議論が重ねられていくことが期待される。また、労働政策審議会の関係分科会や部会等においても必要な施策が検討されることを求めたい。 また、AI 等による将来の変化を予測して、一定の時間軸の中でターゲットを設定することで、議論を具体化すべきとする指摘もあった。今後の議論においては、 こうした提起にも留意が必要である。

○労働政策審議会労働政策基本部会 開催要綱
○労働政策審議会労働政策基本部会 委員名簿
○労働政策審議会労働政策基本部会 開催実績

◆労働政策審議会 (労働政策基本部会)↓↓
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-rousei_471121.html

次回は、「【別添2】労働政策審議会労働政策基本部会 報告書 参考資料集」からです。
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