第18回労働政策審議会労働政策基本部会 [2019年07月19日(Fri)]
第18回労働政策審議会労働政策基本部会(令和元年6月26日)
≪議題≫ (1)報告書(案)について (2)その他 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05437.html ◎資料2 :報告書参考資料集(案) 1.質の高い労働の実現のための AI 等の活用 (1)人口減少の中での AI 等の積極的な導入の必要性→○ 日本の人口の推移、○ 2040 年までの人口構造の変化 (2)就業構造の変化に対応した AI 等の導入 →○ 産業別就業者数○ 職業別就業者数○ 職業別非正規雇用労働者数○ 人手不足の現状 ○ 第 12 回武田委員提出資料○ 導入が進む新技術 RPA(Robotic Process Automation)○ 導入が進む新技術 AI-OCR(Optical Character Recognition/Reader)○ 導入が進む新技術 チャットボット ○ 導入が進む新技術 AI による業務判断支援○ 価値創出に向けた Connected Industries の推進○ SIP 自動走行 ロードマップ○ 第4次産業革命による新たな産業構造転換○ 北九州市における先進的介護の実証実装○ 介護イノベーション(北九州モデル) (3)イノベーションによる産業構造の変化と雇用への影響→ ○ 日本企業における新技術の導入状況 ○ 日本企業の人手不足に対する対応策○ IoT や AI 等のシステムやサービスの導入状況 2.AI 等の普及により求められる働き方の変化 (1)労働環境の変化への対応方針の協議→○ AI の活用が一般化する時代において労使が重要だと考えるスキルについて (2)AI 等との協働に必要なスキル→ ○ 我が国の AI に対する意識 (3)スキルアップ・キャリアチェンジに向けた支援→ ○ 人材開発施策の概要 <第 12〜15 回ヒアリング概要> ○ 第 12 回労働政策審議会労働政策基本部会 ヒアリング概要 ○ 第 13 回労働政策審議会労働政策基本部会 ヒアリング概要 ○ 第 14 回労働政策審議会労働政策基本部会 ヒアリング概要 ○ 第 15 回労働政策審議会労働政策基本部会 ヒアリング概要 ◎資料3 :報告書概要(案) 労働政策審議会労働政策基本部会 報告書(概要)(令和元年○月○日)(案) 〜働く人がAI等の新技術を主体的に活かし、豊かな将来を実現するために〜 ○はじめに↓↓ AI等の新技術に代表される第四次産業革命がグローバル化と相まって進展し、仕事の在り方が変化。人口減少が加速。「人生100年時代」における職業生涯の長期化→このことから一つの組織で同じ仕事を続ける労働者の比重は低下しており、労働市場の機能の向上が重要に。 ↓↓↓↓ こうした中、AI等は積極的に活用されれば、労働生産性の向上を通じ経済成長の基盤となる。 同時に、労働者が自らの力を発揮して仕事ができる環境を作ることを可能にする等により、労働者の幸福度を向上させ、日本の豊かな将来につながる。 一方で、AI等に代替されるタスクから構成される仕事の減少をもたらす懸念があるほか、労働者がタスクの変化 に伴い求められるスキルアップやキャリアチェンジにどう対応していくのか、といった新たな課題も生じうる。 1.質の高い労働の実現のためのAI等の活用 (1)人口減少の中でのAI等の積極的な導入の必要性 (2)就業構造の変化に対応したAI等の導入→これらに対応するため、技術革新に対応した教育訓練、AI等を活用した省力化による人手不足への対応、労働時 間の短縮や危険を伴う業務の安全性の向上による快適な職場環境の実現などが必要であり、対応は進みつつある。 例) RPA(Robotic Process Automation):事務従事者の作業量を削減するほか、単純反復作業からの解放や人為的なミスの削減も実現。 介護ロボット:サービス内容の改善を図りつつ、労働者の身体的・精神的な負担を軽減し、体力面での制約が大きい高齢者の一層の活躍を可能に。 自動運転技術:交通事故の減少や、ドライバーの負荷の低減などが期待される。 (2)就業構造の変化に対応したAI等の導入→人手不足等の課題解決が必要な分野でAI等の積極的な開発・実装が進むような政策的対応が必要(図1−1,1−2参照)。人口流出の地方圏→この活用によって、労働参加率や生産性の向上、地域の資源を活かした商品開発や販路開拓等を通じた地域経済活性化等による地方創生につながることも期待。 (3)イノベーションによる産業構造の変化と雇用への影響→AI等により生まれるイノベーション、技術革新により全体的な人手不足傾向は緩和される見通しの中で、職業のミスマッチの未然防止や解消が課 題となる方向。AI等がもたらす変化の速さと大きさを踏まえ、現在明らかになりつつある雇用をめぐる課題へ の対応を検討していくべき。 2.AI等の普及により求められる働き方の変化 (1)労働環境の変化への対応方針の協議→これまで、就業形態や価値観の多様化等を背景に、労働組合が存在しない職場における労働者の交渉力をより 高めるための方策について様々な検討が積み重ねられてきたが、技術革新が進展する中における労使間のコミュ ニケーションの在り方についての議論を改めて深める必要がある。 (2)AI等との協働に必要なスキル↓ ・I等による仕事の変化に対し、必要なスキルを意識しつつ備えることが重要。⇒基本的なITリテラシーの習得や保有する情報の電子化といった情報の整理等が必要。更に、AI 等を活用しようとする職場では、AI等を業務に組み込むためのより高度なスキル等が必要。このようなス キルは、AI等の浸透に伴い、より多くの労働者に習得が求められる。もづくり分野や医療分野等の様々な分野におけるイノベーションの創出に向け、最先端のAI等の開発 を担う人材やAI等を産業に応用する人材の育成や確保、そうした人材が活躍できる環境の整備も必要。 AI等が進展しても、課題設定、双方向のインタラクティブな対応、新しい発想、最終的な価値判断など、人間らしい又は人間にしかできない業務は残る。こうした業務に求められるスキルを高めることで、 より付加価値の高い製品・サービスを提供し、経済成長の源泉としていくことが期待できる。これらの前提として、人間的資質(チャレンジ精神や主体性、行動力、洞察力など)や、対人関係能力 (コミュニケーション能力やコーチングなど)等を高めていくことも課題。 • AI等を使いこなすスキルや人間にしかできない質の高いサービスを提供するスキルに適切な評価がなされ、担い手の報酬や昇進等に反映されることが期待され、生産性の向上の成果が労働者にも適切に分配され、賃金の上昇や労働時間の短縮も含めた労働条件の向上が実現されることも重要。このような適切な評価や待遇の改 善は、労働者のモチベーションを高め、企業の魅力を向上させ、人材確保にもつながる。 (3)スキルアップ・キャリアチェンジに向けた支援 • AI等の活用による各職種のタスクの変化や、自分のスキル・適性と各職種に必要なスキルとのギャップに気付き、 自発的にスキルアップ・キャリアチェンジを目指すことが求められる。そのためには、職業、スキル、教育訓練等 の情報の見える化が必要であり、政府は基盤となる情報システムの整備等に取り組むべき。 • 技術の進展に伴い求められる教育訓練の内容も変わりゆく。政府は、教育訓練のニーズを的確に把握し、民間の教 育訓練機関や大学、専門学校等も活用しながら必要な教育訓練のコンテンツを充実させるとともに、中長期的な キャリア形成のための教育訓練の選択肢を確保する必要。企業にも、各職場での教育訓練の在り方の検討が求めら れる。 • 特に、人生100年時代において就労期間が長くなるとキャリアチェンジをする機会が多くなる可能性があるため、 年齢にかかわらず全ての希望者がスキルアップ・キャリアチェンジに向けた支援を受けられるようにすることが求 められる。非正規雇用労働者についても、希望する者が正規雇用につけるようにするための引き続きの支援や環境 整備が求められる。 • 学校教育段階において、基礎的なAI等に関するリテラシーや、今後の社会でどのように学び、働いていくかを考 え、社会で働く心構えを身につけるための教育にも取り組むことが求められる。また、学校教育における職業教育 の位置づけを高めることが求められる。 (4)AI等の活用が進む中での労働者への支援→AI等の活用が進むことに伴い、様々な要因からAI等に対応できない労働者が少なからず生じる懸念も示される 中、そのような労働者が労働市場から排除されず、社会に包摂されるようにすることにも留意が必要。 ⇒ ○ 政府は、教育訓練機会の提供とともに、労働者等のキャリア形成への支援や、企業による能力開発への支 援に向けた施策を強化することが必要。こうした中で、誰もが自身のスキル習得の方向性や必要性を客観的 に把握した上で、スキルアップやキャリアチェンジにも取り組むことが必要となる。 ○ AI等の進展への対応に困難を来す労働者等をライフステージの各段階を通じて社会全体で支えていくた め、就労支援等の自立支援や生活保障といったセーフティネットの今後の技術の進展に応じた在り方につい て、議論が深められることが期待される。 3.働く現場でAI等が適切に活用されるための課題 (1)労働者のプライバシーの保護や情報セキュリティの確保 • 労働者のプライバシーの保護や個人情報のセキュリティの確保が実現され、安心して必要な個人データを提供 し、有効に便益を得られる環境が求められる。個人情報を取り扱う者の倫理観も不可欠。 (2)AIによる判断に関する企業の責任・倫理 • AIの情報リソースとなるデータやアルゴリズムにはバイアスが含まれている可能性(例:HRTechでリソースと なるデータの偏りがあれば、労働者等が不当に不利益を受ける可能性)が指摘されているため、企業が倫理面で 適切に対応できる環境整備が求められる。 • 他方、人間による業務判断の中にバイアスが含まれていないかを解析する技術で人間のバイアスの解消に資する 可能性もあるという指摘もあり、こうしたAI等の活用も期待される。 (3)円滑な労働移動の実現や新しい働き方への対応 • 新技術の進展により、業務の代替や創出、産業構造の変化が見込まれる中、転職ニーズが高まり、企業の側でも 必要な人材を確保する必要も生じる中、円滑な労働移動の実現が求められる。同時に、転職が不利にならない制 度の在り方についても検討を進める必要がある。 • クラウドソーシングやシェアリングビジネス等における新しい働き方等の拡大を背景として、雇用類似の働き方 に関する保護等の在り方については、事業者としての側面や労働者との類似性等を踏まえながら、特に優先すべ き検討課題について、スピード感をもって検討を進めていくことが期待される。 (4)AI等がもたらす時代の変化を見据えた政労使のコミュニケーションの重要性 • AI等の発展が、働き方や雇用に大きな影響を与えることが想定される中、良質な雇用機会の確保が重大な課題。個別の企業の内部だけでは対応しきれる課題ではなく、業種・産業・地域ごと、あるいは社会全体で、新 しい時代への変化が差し迫る前にビジョンを固めていくことが必要。 • このような時代の変化を見据えて、業種・産業レベル、地域レベル、全国レベルで政労使間の対話を継続的に行 い、AI等が雇用・労働に与える影響をテーマとして、中長期的な視点から対応を検討していくべき。 おわりに ↓↓ • 本報告の内容を踏まえた、労使間の議論を期待。労働政策審議会の関係分科会等での必要な検討も求めたい。 • AI等による将来の変化を予測して、一定の時間軸の中でターゲットを設定することで、議論を具体化すべきとする指 摘もあったことから、今後の議論においては、こうした提起にも留意が必要。 ◎参考 :労働政策審議会運営規程 ◆第18回労働政策審議会労働政策基本部会 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-rousei_471121.html 次回は、「ひきこもり対策推進事業」からです。 |