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福祉サービス第三者評価事業の改善に向けて 〜福祉サービス第三者評価事業のあり方に関する検討会報告書〜 [2022年04月26日(Tue)]
福祉サービス第三者評価事業の改善に向けて 〜福祉サービス第三者評価事業のあり方に関する検討会報告書〜( 2022(令和4)年3月4日) 社会福祉法人 全国社会福祉協議会 福祉サービス第三者評価事業のあり方に関する検討会
20220304第三者評価検討会報告書.pdf
4. 今後に向けて 〜負のスパイラルから正のスパイラルへ
〇ここまで記載したとおり、制度創設から 20 年が経過し、福祉サービス第三者評価事業は 課題が山積している状況。早期に検討し、改善・見直しを図っていかなければ、 評価機関の撤退が続き、福祉施設・事業者が受審したいと思っても受審できない状況に陥っていくことになる。 まさに福祉サービス第三者評価事業の存続を考えるラストチャンスである。国として 早急に検討し、制度改善・予算措置を図ることが必要である。

(1)検討すべき事項
@福祉サービス第三者評価事業の意義・目的の再整理
〇国として、あらためて福祉サービス第三者評価事業をどう位置づけるのか、
本検討会に おいて整理した課題や方向性をふまえ、社会福祉施設・事業所・利用者それぞれの利便性を考慮しつつ、福祉サービス第三者評価事業の事業継続が可能になるよう、制度の抜的見直しを検討するべき。 その際には原理と現実が交差しているなかで、今日的に措置施設とそれ以外の施設・事業所の福祉サービス第三者評価の意義・目的をどう位置づけるのか、あらためて明確にすることが必要である。
〇検討会→設立当初の目的である @ 利用者の適切なサービス選択に資するための情報となること A 福祉サービス事業者が事業運営における具体的な問題点を把握し、福祉サービスの 質の向上に結び付けることを目的とすること に加えて、制度創設から 20 年が経過するなかで、「利用者の選択」と「福祉サービスの質の向上」をつなぐものとして B 利用者の「権利実現」を図るものであること という意味合いが強くなっていることから、福祉サービス第三者評価事業の意義・目的 を 3 つに整理し直してはどうかという整理が行われた。 国として、福祉サービス第三者評価事業の意義・目的を再整理する際には、この 3 つの目的についても検討することが必要である。
〇その際には、民間あっせん機関や児童相談所、一時保護所等の類似の制度まで「第三者 評価」とされている現状をふまえ、民間あっせん機関や児童相談所、一時保護所等の「第三者評価」と、福祉サービス第三者評価事業との関係性を整理することも必要である。
〇そして福祉サービス第三者評価事業の意義・目的を達成するためには、現在、福祉サービス第三者評価事業が抱えている課題をどう改善していくべきなのか、国として責任をもって検討し、具体的な制度改善を図ることが必要である。

A「ナショナルセンター(仮称)」の設置に向けた検討
〇福祉サービス第三者評価事業の課題を解決するためには、推進組織のあり方を見直すと ともに、「ナショナルセンター(仮称)」を設置し、都道府県で担うことが難しくなって いると考えているところは全国に機能を移管して事業展開できるよう、早急に検討する必要がある。
〇その際に、現実としては「ナショナルセンター(仮称)」に機能を移管するところと、都 道府県で推進組織を担っていくところが生じることが想定される。都道府県推進組織の意見をていねいに聴取するとともに、きちんと事業展開できるようにするために、「ナショナルセンター(仮称)」が担う役割・機能と、各都道府県推進組織が担う役割・機能に ついて、具体的に整理する必要がある。

B評価機関を存続させるためのビジネスモデルの検討
〇また、国として評価機関が安定的に評価を実施できる仕組みに関して検討を行う必要が ある。標準的な受審料はいくらなのか、評価調査者が継続して評価を行うことを可能に するためにはどうあるべきなのかを検討することが必要である。

C社会福祉施設・事業者の選択による評価の仕組みの導入に関する検討
〇検討会では、社会福祉施設・事業者のニーズに応えるためにも、共通評価基準の「V」 と内容評価基準等の内容評価に関する項目だけの受審など、メニューを選べるようにするべきだとの意見が出された。bを標準とする現在の評価のあり方も含め、メニューを選択できるようにしていくのか等、福祉サービス第三者評価事業の今後のあり方として検討する必要がある。 その際、このようにメニューを選択しての受審に対しては、都道府県推進組織や評 価機関等への影響も大きいことから、十分に意見徴収をして検討することが必要。

D 利⽤者の選択に資するための公表への改善
〇公表においては、利用者に対して、社会福祉施設・事業所の現状や特性、サービス等の 改善の取り組み等の評価内容をわかりやすく説明する工夫が必要。そのためには、 評価結果の「読み解き」等、利用者が理解しやすいような公表情報のあり方はどのよう なものなのか、検討する必要がある。
〇また、利用者の相談に対応する社会福祉士、介護支援専門員など専門職や、福祉事務所、ハローワーク、障害者相談事業者など相談支援機関で利用したい情報とはどのようなものか、新たな人材確保の観点からも、その公表の方法も含め、検討が必要。 その際に、利用者調査の実施や公表のあり方に関しても、あわせて検討する必要がある。

(2)「ナショナルセンター(仮称)」の担う機能・役割(試案)
〇検討会では、福祉サービス第三者評価事業の課題を解決するためには、「ナショナルセン ター(仮称)」を設置すべきであるという意見が多く出された。「ナショナルセンター(仮 称)」を設置することで、都道府県推進組織がこれまで担ってきた評価機関の認証や評価 機関・評価調査者の質の向上、評価基準や公表の統一性を図っていくことができ、福祉サービス第三者評価事業の負のスパイラルから脱することができると考えているからである。 〇具体的には、「ナショナルセンター(仮称)」が担う機能・役割については、以下のとお り考えられる。これまで、全国推進組織として全社協が行ってきた機能・役割に加え、 評価結果の質の標準化や「認定証」の発行、全国で評価を実施できる評価機関・評価調 査者の認証・取り消し、登録等の機能が考えられる。⇒図 8 「ナショナルセンター(仮称)」の担う機能・役割  P23参照。
〇「ナショナルセンター(仮称)」の具体像を検討するにあたって、病院機能評価や ISO の 仕組みを参照することができる。検討会では、公益財団法人日本医療機能評価機構およ び ISO については日本検査キューエイ株式会社にヒアリングにご協力いただき、現状に 至る経緯や実情に関し話を伺った。 病院機能評価⇒病院の組織横断的な質の改善活動を図るため、日本医療機能評価機構が一元的に評価調査者(サーベイヤー)の選考、研修を行い、評価結果の公表、認定証の発行等を行っている。評価料も主たる機能の審査で 495 万円という設定になっている。 ISO⇒国際規格に基づく適合性評価を行い、日本でいえば公益財団法人日本適合性 認定協会が認証機関や審査員評価登録機関を認定する仕組み。
〇福祉サービス第三者評価事業を本当に機能的に動かす仕組みにするためには、「ナショナ ルセンター(仮称)」を病院機能評価に近いかたちにしていくことが理想だが、そのためには権限・予算等が担保されないと実現は難しい。 また、前述したように東京都等、都道府県推進組織として事業展開をしているところも ある。このように都道府県推進組織として事業を引き続き行っていきたいと考えるところは、「ナショナルセンター(仮称)」とは並ぶかたちで独自性を発揮していただくこと が大切であると考えられることから、「ナショナルセンター(仮称)」を設置する仕組み を導入し、「ナショナルセンター(仮称)」と都道府県推進組織との機能的な重層体制を 構築するよう仕組みを検討する必要がある。
〇「ナショナルセンター(仮称)」の具体化にあたっては、「ナショナルセンター(仮称)」 と都道府県推進組織が担う役割・機能や生じる課題等について、十分に都道府県推進組織の意見を聞き、検討していくことが必要である。

(3)おわりに
〇福祉サービス第三者評価事業の今後に向けては、そもそも福祉サービス第三者評価事業 は何をするものなのかという原理論と、実際に 20 年の経過のなかで福祉サービスの質の 向上を図る役割を果たしてきたという現実論をふまえ、検討を行いながら、原理原則を再整理していくことが必要
である。なお、その際に福祉サービス第三者評価事業が、事業所および利用者、家族、社会にとって価値ある仕組みとして承認されるよう、周知を図り、普及させていくことが必要である。 国としてこれからの社会福祉施策や実施主体等の変化、複合化している利用者のニーズの変化等を見すえ、近未来に向けて福祉サービス第三者評価事業をどう再生させるのか、早急に検討し、制度改善を図っていくべきである。
今が、そのためのラストチャンス
である。

5. 委員名簿、検討経過
(1)委員名簿→9名。 オブサーバー:厚生労働省社会・援護局福祉基盤課
(2)検討経過→第1〜7回。第7回目は報告書(案)について(この報告書となる)

◆第三者評価活動の実践している者にとっては、まったくの同感。特に「B利用者の「権利実現」を図るもの」は、社会的養護はもちろん、すべての業種に当てはまるもの。「ナショナルセンター(仮称)」構想は今後の課題と思われるが、各都道府県との丁寧な「やり取り」が大切。ビジネスモデルの考えは今後の方向で非常に重要だと思われる。「公表について」は、誰をイメージしながらはたしていくのか、など全国の基準を社会的養護・それ以外の評価活動についても検討願いたい。⇒この報告書を次世代へ「つないでいく」のは? 期限はいつまで?、など、コロナ禍に負けないでバトンを渡していけるよう願いたいものです。

次回は新たに内閣府から「月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料」からです。

福祉サービス第三者評価事業の改善に向けて 〜福祉サービス第三者評価事業のあり方に関する検討会報告書〜 [2022年04月25日(Mon)]
福祉サービス第三者評価事業の改善に向けて 〜福祉サービス第三者評価事業のあり方に関する検討会報告書〜( 2022(令和4)年3月4日) 社会福祉法人 全国社会福祉協議会 福祉サービス第三者評価事業のあり方に関する検討会
20220304第三者評価検討会報告書.pdf
3.今後の福祉サービス第三者評価事業の方向性
(1)福祉サービス第三者評価の意義・目的

〇制度創設から 20 年が経過し、福祉サービス第三者評価事業の意義・目的が、当初の意義・ 目的である、@利用者の選択に資する情報の提供、A福祉サービスの質の向上に資する ものになっているのかという課題が生じている。事業所が増えているなかで、受審率が 伸びていないということは、利用者が知りたい情報としての機能は果たせていないと言 わざるを得ない状況になっているということ。 国として、あらためて福祉サービス第三者評価事業の意義・目的を整理し、その推進に向けた道筋を明確に提示していく必要がある。
〇現在、福祉サービス第三者評価事業は、措置施設である社会的養護関係施設において、 子どもの権利擁護や養育の質の向上を図ることを目的に義務化。自治体等が、 義務化された福祉サービス第三者評価事業が行政監査の補助的役割を担っているといった誤った認識をもたないよう、措置施設における福祉サービス第三者評価事業のもつ意 味と、利用制度方式の施設の福祉サービス第三者評価事業のもつ意味をわけて整理する必要が生じている。 〇そこで、今後の福祉サービス第三者評価事業の意義・目的を検討するにあたり、行政監査は@公的福祉サービスとして行政が定める水準の確認(最低基準の順守)を行うということを明確にし、福祉サービス第三者評価事業ではA利用者の選択の保障、事業者の 自助努力の取り組みとB利用者の権利擁護のあり様をみるものとして、行政監査と福祉 サービス第三者評価事業の役割を再認識することが必要。さらに言えば、福祉サービス第三者評価事業に期待されている「権利擁護」については、 「権利侵害」と「権利実現」に区分して考えることが必要だろう。 「権利侵害」は、行政監査の対象あって、この発見を第三者評価に期待するのであ れば、それは行政監査の代行に相当する。 福祉サービス第三者評価事業に期待されているのは「権利侵害」の発見ではなく、利用者の自己実現を支援する観点からより良い状態の実現をはかるという、利用者にあった適切な「権利実現」である。制度創設から 20 年が経過し、福祉サービス第三者評価事 業が展開されるなかで、設立当初の思いよりもさらに強く利用者の「権利実現」を図る ものとして、福祉サービス第三者評価事業に期待される役割が増えている。
〇そのうえで、検討会では、福祉サービス第三者評価事業が現在担っている役割は行政監 査の補助ではないということを明確にしたうえで、福祉サービス第三者評価事業の意義・目的は、設立当初の @ 利用者の適切なサービス選択に資するための情報となること。A 福祉サービス事業者が事業運営における具体的な問題点を把握し、福祉サービスの質の向上に結び付けることを目的とすること に加えて、 B 利用者の「権利実現」を図るものであること という 3 つに整理しなおすことが必要であるという整理が行われた。 「利用者の選択」と「福祉サービスの質の向上」をつなぐものとして、「利用者の権利実現」があるという整理である。 こうした考え方も参考に、国として、あらためて福祉サービス第三者評価事業の意義・ 目的を整理し提示することが必要である。

(2)受審率の向上を図るための方策
@第三者評価事業の目的と受審率の向上

〇福祉サービスの質を向上し、利用者のサービス選択に資するという福祉サービス第三者 評価事業の意義・目的を果たすためには、より多くの社会福祉施設・事業所に受審してもらうことが望ましいことは言うまでもない。しかし、現実を鑑みると、受審の準備を行い、それなりの受審料をかけて自らの社会福祉施設・事業所の福祉サービスを第三者に評価してもらいたいと考え、継続的に評価を受けている事業所は 10%程度である。
〇継続して受審している事業所では、福祉サービスの質の向上のために福祉サービス第三 者評価事業を活用し、現場の課題を役職員が共有することで職員の育成を図っていたり、 福祉サービスの改善に積極的に取り組み、利用者に対するサービスの質を向上しようと したりしており、前向きな経営姿勢が伺える。
〇社会福祉施設・事業所を取り巻く経営環境が大きく変化し、利用者のニーズも多様化・ 複雑化するなかで、選ばれる社会福祉施設・事業所になっていくこと、そして福祉サービスの質の向上を図っていくこと、利用者の権利実現を図っていくことという 3 つの目 的を推進するためには、福祉サービス第三者評価事業をより積極的に活用し、そのため の予算確保を含め、国として推進していく姿勢を明確にしていくことが重要である。
〇多様な事業主体が社会福祉制度に参入する一方、少子高齢化や人口減少がすすみ、今後、 社会福祉施設・事業所を取り巻く環境は大きく変化することが想定される。すでに人口減少地域では高齢者施設や保育所の定員割れが発生し、合併や事業撤退等が生じている。
〇今後、利用者が社会福祉施設・事業所を選ぶにあたって、利用者の求めるニーズにあっ た福祉サービスが提供されているのか、権利が守られているのか、費用も含め利用の条 件が公表されているのか等、「選択に資する」情報を求めていくようになることが想定される。選ばれる社会福祉施設・事業所となるために、福祉サービス第三者評価事業を活用していくよう、国としても推進していく必要がある

A受審に向けたインセンティブ
〇受審に向けたインセンティブをどうつくるのかということに関しては、
「認定証」の発行 等を検討すべきという意見が出された。現在、福祉サービス第三者評価事業を受審すれ ば受審証を発行するという仕組みは、40 都道府県で行われている。受審証は受審すれば 発行するものであるので、これ以上のインセンティブを付加するためには、より明確に 他の施設・事業所との差別化を図る必要があるという意見である。他者と比較し、より よいサービスを提供していることを示すものとして、たとえばホテル・旅館の「適マーク」や病院機能評価の「認定証」のように一定の基準を満たしていれば、「認定証」を発行し、外部にもわかるように掲示するという仕組みの導入を意図している。
〇ただし、この「認定証」の仕組みを導入するためには、福祉サービス第三者評価の評価 機関や評価調査者の質を標準化するとともに、評価基準についてどの水準が「認定証」の発行に値するものなのかを統一していくことが必要。現行のように都道府県推進組織が県内で使用する福祉サービス第三者評価基準の策定や第三者評価機関の認証、評価結果の公表、評価調査者の研修等を行っているなかでは、整理するべき課題が多い。
〇また、現行の 3 段階(a,b,c)の評価のあり方に関しても見直しが必要ではないかとの意見もあった。現行では「b」が標準とされているが、施設・事業所にとっては「b」が標準ということがわかりにくく、利用者からも「a ではないのか」という目で見られることから、受審が進まないのではないか、「a」を標準とし、質のよりよいところは「s」と して評価できるようにしてはどうかということである。この評価のあり方については、 福祉サービス第三者評価基準の根幹の考え方に連なるものであるので、福祉サービスの 質の向上推進委員会での議論が必要である。
〇さらに、受審率を上げるためには、社会福祉施設・事業所のニーズに応えていくことが 必要であり、質の向上を図る視点は社会福祉施設・事業所によって異なることから、評価基準をフルセットではなく、セレクトして受審できるようにしてもいいのではないか という意見が出された。 一法人一施設の保育所や公立施設等、共通評価基準で評価する事業所としての組織マネジメントに関する評価を行う必要性を感じない社会福祉施設・事業所は、共通評価基 準の「V 適切な福祉サービスの実施」および内容評価基準等の福祉サービスの内容に 関する評価項目だけで評価を受けられるようにする等といった変更である。
〇ただし、東京都で利用者調査とサービス項目を中心とした評価を一部のサービス項目で 導入した結果、フルセットで福祉サービス第三者評価を受ける社会福祉施設・事業所が大幅に減ったということを考察すると、こうした評価項目の軽減策を導入するにあたっては、慎重な議論が必要である。
〇また社会福祉施設・事業所の立場から考えると、第三者評価を受審した結果、利用者本 位の立場から、より福祉サービスの質を向上させるためには情報を得たいと考えるところも多い。今後の福祉サービス第三者評価事業の受審のインセンティブを図っていくた めにも、利用者の利益を代弁する目的から助言・情報提供を行っていくことも考える必要がある。また、こうした助言ができるようにするためには、評価機関・評価調査者が そうしたスキルをもつことが必要。 ただし、一般的な経営コンサルティングまで行うのであれば、コンサルティングは評価にあたった部門とはわけて行うことが大切である。

(3)都道府県推進組織のあり方
〇都道府県推進組織の取り組み状況の違いは法定受託事務ではなく、自治事務である以上、 構造的に生じる問題。今後は、原点に返って都道府県で自治事務の範囲で自主的 に行える部分については認め、国に役割を任せたいと言っている自治体については、国がこの仕組みを動かしていくことにするべきではないか
、という意見が出されている。
〇東京都のように都独自で推進組織を動かしていきたい、そのための予算も都で確保する というところは国として応援しつつ、今の体制では機能させるのが難しいと考える県については、国で引き受けて、評価機関の認証と養成等を国で行っていくということが望 ましいのではないか、という意見である。
〇このように、国に「ナショナルセンター(仮称)」を設置し、福祉サービス第三者評価事 業を推進すれば、評価基準の統一化が推進され、評価機関の認証や質の確保(課題のある評価機関への指導含む)、評価調査者の育成等を行うことができ、現在、福祉サービス 第三者評価事業が抱える課題の多くは改善することが期待される。 その一方、「ナショナルセンター(仮称)」を設置することになれば、都道府県でこれまで同様、主体的に推進組織を担っていくところと、「ナショナルセンター(仮称)」にま かせたいところが出てくると想定される。事前に各都道府県推進組織の意見を聞き、都道府県単位で行うことと「ナショナルセンター(仮称)」で行うことの整理やそのあり方 について検討することが必要。
〇なお、全国福祉サービス第三者評価調査者連絡会が実施した「福祉サービスの第三者評 価のあり方に関する調査研究事業報告書」(令和 3 年 3 月)によると、推進組織の担い手 に関して都道府県推進組織に尋ねた調査項目に対し、「都道府県が担うべき」が 17 都道 府県、「全国一本化が良い」が 20 県という結果になっていた。この結果から都道府県推進組織も、自らが推進組織を担うべきと考えているところと、全国で行ってほしいと考えているところと 2 分していることがわかる。⇒図7 推進組織の担い手をどう考えるか(都道府県推進組織回答)P18参照。

(4)評価機関・評価調査者の質の確保および向上
〇第三者評価事業の継続性を担保するためにも、評価機関が安定的に事業を継続できるよ うなビジネスモデルを構築する必要
がある。そもそも標準的な評価を実施するためには、 どのくらいの期間、どのような評価に関する作業を行うのか 、そしてそれに見合う経費 としてはいくらぐらいが望ましいのか、検討をすることが必要である。 〇社会的養護関係施設には 31 万 4000 円、放課後児童クラブの第三者評価事業には 30 万円、 保育所の第三者評価事業には 15 万円の受審料補助があるが、この受審料補助内で評価を 受けたいという要望が社会福祉施設・事業所から寄せられることが多々ある。福祉サービス第三者評価事業の実施は相見積もりで評価機関が決められることから、結果として 低価格を提示する評価機関が受託することになるが、こうした評価機関がきちんと評価 を行えているかという課題も生じている。
〇こうしたことを防ぐためにも、受審料補助は福祉サービス第三者評価事業の受審料とイ コールではないことを国がきちんと説明するとともに、国が評価機関の事業継続を可能 とする標準的な受審料を設計・提示する等、ビジネスモデルの作成を検討する必要がある。
〇また、福祉サービス第三者評価事業が利用者の選択を支援するものとしての意義・目的 を実現していくためには、福祉サービスの報酬のなかに福祉サービス第三者評価事業の 受審料を組み込み、事業者負担とすることも検討するべきである。さらに、報酬基準、 補助金交付などと連動させることとし、事業者に対する誘因行為を充実することが必要。 その際に、受審料は、評価機関が福祉サービス第三者評価事業の質を向上・維持できる水準とすることが必要である。
〇さらに、評価調査者に関してだが、現状では 3 年以上の経験で実際には誰でも評価調査 者になれる仕組みになっている。現状では評価機関が事業を継続できるようなビジネス モデルとはなっていないので、評価調査者は常勤ではなく、非常勤の委嘱型の評価調査 者が協力するかたちになっている。とくに地方部では、定年を迎えた福祉経験者がボラ ンティア的に協力して評価を実施している。しかし、福祉現場や制度等の環境変化は著 しく、こうした新しい施策を学ぶための研修が必要になる。日程調整の問題や専門外の 評価に行くこともあり、長期で評価調査者の育成を図っていくためにも委嘱型では難しい。
〇評価調査者の質の確保を図るためにも、評価調査者をしっかり育てていく必要がある。 そのためにも、国として評価調査者の資格要件や、評価調査者の指導者の位置づけの仕 組みをきちんと作っていく必要があり、そのための検討を行う必要がある。

(5)利⽤者の選択に資するための公表のあり方
〇利用者の選択の権利を擁護するためには、利用者に対して評価内容をわかりやすく説明 する工夫が必要であり、利用者が理解しやすいような公表情報の整理が必要。 現状のように評価結果すべてをホームページで掲載するだけではなく、利用者はもとより、一般の人たちや福祉現場で働きたいという人たちに向けて、この施設はどういうサービスの質のレベルにあってどのような取り組みをしているかということが、平易な言葉で情報提供されるようにすることが必要である。たとえば利用者が特に重視しているところの評価項目を読み、施設を選択する糸口を与えるような情報の公開にしていく べきである
〇また、福祉サービス第三者評価事業の公表にあたっては、利用者の相談に対応する社会 福祉士、介護福祉士、介護支援専門員など専門職や、福祉事務所、ハローワーク、障害者相談事業者など相談支援機関で利用されるものとしなければならない。都道府県推進組織や自治体での利用者への多様な情報提供支援の取り組みを強化する必要がある。
〇さらに、利用者の選択に資するためには、利用者調査の結果が参考になることから、利用者調査の実施や公表を義務付けるべきではないかという意見があった。 その一方、利用者調査は利用者一人ひとりの受け止めによって標準化が難しく、公表するということで評価を控えるといった悪影響も想定されることから慎重にすべきという意見も出されている。
〇保育所のように保護者がアンケートに答えるところは、利用者調査の結果と評価結果の ずれをみるためにも参考になるので、利用者調査の実施を必須とすることも考えられる。
〇一方で、認知症高齢者や障害者等、自らの意思でアンケート等に答えることが難しい場 合は、評価機関の多くは訪問調査の際に職員の対応等について場面観察したり、ヒアリ ングを行う等、別の手法で利用者等関係者の声を聞くように努めているが、こうした手 法は評価調査者のスキルが問われることになる。
〇外部の人が利用者等の声を聞いて客観的に提供されている福祉サービスを把握するため には、利用者調査は非常に有用なものである。利用者調査の実施や公表については、福祉サービスの種類ごとに決定していく必要がある。

次回も続き「4. 今後に向けて 〜負のスパイラルから正のスパイラルへ 」からです。

福祉サービス第三者評価事業の改善に向けて 〜福祉サービス第三者評価事業のあり方に関する検討会報告書〜( [2022年04月24日(Sun)]
福祉サービス第三者評価事業の改善に向けて 〜福祉サービス第三者評価事業のあり方に関する検討会報告書〜( 2022(令和4)年3月4日) 社会福祉法人 全国社会福祉協議会 福祉サービス第三者評価事業のあり方に関する検討会
( 20220304第三者評価検討会報告書.pdf )

1. はじめに
〇福祉サービス第三者評価事業⇒2001(平成 13)年から始まった事業であり、社会福祉 法人等の事業者が提供する福祉サービスの質を、当事者(事業者及び利用者)以外の公平・中立な第三者評価機関が、専門的かつ客観的な立場から評価するもの。
〇福祉サービス第三者評価事業が始まった背景には、2000(平成 12)年の社会福祉事業法 改正(現 社会福祉法、いわゆる社会福祉基礎構造改革)がある。社会福祉法→「個人の尊厳の保持」を謳い、利用者本位の社会福祉制度を確立するとし、福祉サービスの基本理念を第3条に規定。⇒「第3条 福祉サービスは個人の尊厳の保持を旨とし、その内容は福祉サービスの利用者が心身共に健やかに育成され又はその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう支援するものとして、良質かつ適切なものでなければならない」。
〇社会福祉基礎構造改革⇒介護保険の導入でそれまでの行政処分としての「措置」制度から利用者と事業者が直接相対する「契約」制度へと移行する大きな転換点となった。 こうした改革のなかで利用者と事業者の情報の非対称性が指摘されることになり、利用者が福祉サービスに関する情報を入手し選択できるようにすること等を目的に始められた。
〇そのため、福祉サービス第三者評価事業の目的は2 つ。⇒ @ 利用者の適切なサービス選択に資するための情報となること A 福祉サービス事業者が事業運営における具体的な問題点を把握し、福祉サービスの 質の向上に結び付けることを目的とすること 。
〇社会福祉基礎構造改革⇒個人の自立を基本とし、その選択を尊重した福祉サービス 利用制度を確立すること。そして、そのための条件整備として権利擁護や苦情解決の仕組みを整備して、利用者を保護するシステムを構築し、福祉サービスの自己評価と第三者評価の仕組みを整備して、質の高い福祉サービスを構築することとした。
〇社会福祉法第 78 条→福祉サービスの質の向上のための措置として規定。⇒「第 78 条 社会福祉事業の経営者は、自らその提供する福祉サービスの質の評価を行うことその他の措 置を講ずることにより、常に福祉サービスを受ける者の立場に立って良質かつ適切な福祉サービスを 提供するよう努めなければならない。 2 国は、社会福祉事業の経営者が行う福祉サービスの質の向上のための措置を援助するために、福祉 サービスの質の公正かつ適切な評価の実施に資するための措置を講ずるよう努めなければならない」。
とくに第78条第1項⇒社会福祉事業の経営者に対し、第三者評価などの取り組みを通して「自ら」「良質かつ適切な福祉サービスを提供」するよう努めることが規定された。

2. 福祉サービス第三者評価事業の課題
〇2001 年から始まった福祉サービス第三者評価事業だが、制度創設から 20 年が経過した 今、さまざまな課題が顕在化。その課題を大きく整理すると、以下の 5 つ
。⇒ @ 事業創設当初の福祉サービス第三者評価事業の意義・目的と現行の運用が乖離している。 A 社会福祉施設・事業所数は増えているが、受審率は伸びていない。受審する施設・事業所が固定化している。 B 都道府県推進組織のなかに脆弱なところが多くあり、評価機関の質の標準化や制度変更等の対応が難しいところがある。 C 評価機関が第三者評価事業を安定的に運営できる仕組みとなっていない(新たな評価調査者の確保や評価調査者を研修等に出席させることが難しい評価 機関も少なくない)。 D 評価結果の公表が利用者の選択に資するものになっていない。社会的養護関係施設 以外は公表が義務づけられていないため、受審結果を公表しない社会福祉施設・事業 所もある。
〇これらの課題はそれぞれが独立して存在するのではなく、それぞれが関係し、今や福祉 サービス第三者評価事業の全体に関わる問題として、負のスパイラルに落ちいっている状況。こうした福祉サービス第三者評価事業の構造的な課題に対し、国として改善・見直しを図っていかなければ、福祉サービス第三者評価事業の存続そのものが難しい状況にあるといっても過言ではない。⇒(負のスパイラル)関係図あり。
〇全国社会福祉協議会では、こうした福祉サービス第三者評価事業の課題を整理し、改善していくことを目途に、福祉サービスの質の向上推進委員会常任委員会(委員長:山崎美貴子 神奈川県立保健福祉大学名誉教授)の下に、「福祉サービス第 三者評価事業のあり方に関する検討会」(委員長:柏女霊峰 淑徳大学教授)を設け、2021(令和3)年 8 月より検討を開始した。

〇以下、5 つの課題に関して、整理を行う。↓
(1)福祉サービス第三者評価の意義・目的に関する課題

〇現在の福祉サービスの利用方法には公的福祉サービスに関しては@直接契約利用制度、 A間接契約利用制度、B措置制度が混在している。公的福祉サービスでは、@からBの いずれの利用方法であっても、最低水準は行政が定め、担保するもの。 具体的に福祉サービスの提供水準を確認する方法としては、主観的方法と客観的方法 がある。主観的方法には、事業所の主体的な自己点検・自己評価、利用者・職員のアンケート調査等があり、客観的方法には、行政監査と福祉サービス第三者評価事業がある。
〇行政監査は公的福祉サービスとして求める標準を満たしているか否かの評価で、満たさなければ行政指導、処分(公権力の行使)を行うことで水準を確保するための方法。
〇一方、福祉サービス第三者評価事業は、保育や障害、高齢者福祉サービス等の福祉施設・ 事業所が行う事業について、公正・中立な評価機関が客観的に評価を行うものであり、 その意義・目的に関しては、制度創設時は @ 利用者の適切なサービス選択に資するための情報となること A サービスの質の向上に結び付けること として創設された。
〇したがって、福祉サービス第三者評価事業は、公的福祉サービスの標準を満たしたうえ で利用者の選択に対し客観的評価を提供する役割を担うとともに、福祉施設・事業者が主体的に質の向上を図るための取り組みであり、経営者と職員が自らの提供する福祉サ ービスの現状と課題を把握し、さらなる質の向上に向けた改善を図るものである。そして、そうした主体的な取り組みや積極的な公表等により、他事業者との差別化を客観的に可視化するための方法である。⇒図 2 第三者評価事業と最低基準および監査との関係 P4参照。
〇制度創設から 20 年が経過するなかで、社会福祉法をふまえ、福祉サービス第三者評価事業が社会的養護関係施設等の措置施設にも拡充され、義務化されている。
〇社会的養護関係施設は措置制度の第一種社会福祉事業、これらの施設が福祉サービス第三者評価事業を活用する目的は、@ 子どもが措置施設を選ぶ仕組みでないこと(行政処分) A 施設長による親権代行等規定があること B 被虐待児等が増加し、施設における養育等の向上や、施設内での権利侵害の防止が 重要な課題になっていることとされており、子どもを権利の主体とする権利擁護の保障の観点から、施設運営や提供される福祉サービスの質の向上が必要とされるからである。
〇このため、厚生労働省は「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準」において、施設が「自らその行う(中略)業務の質の評価を行うとともに、定期的に外部の者による評価を受けて、それらの結果を公表し、常にその改善を図らなければならない」と。つまり、社会的養護関係施設の第三者評価の義務化は、子どもの権利を保障する取 り組みであり、子どもの最善の利益の実現のために施設運営や福祉サービスの質の向上 を図る、施設の主体的な取り組みとして位置づけられているのである。 その一方で、こうした措置制度の福祉サービスに福祉サービス第三者評価事業を活用し、義務化するということは、行政監査の補助的役割を担わせるかのような誤解も生じる。 社会的養護関係施設等の子どもの権利の保障を目的とした福祉サービス第三者評価事業 の有用性を認め、活用をすることと、行政監査とは一線を画す必要がある。
〇また、近年では民間あっせん機関の第三者評価基準が 2019(令和元)年に厚生労働省子 ども家庭局長通知として発出され、児童相談所や一時保護所の第三者評価基準案が策定されている。その位置づけは、児童福祉法第2条3 項で規定する国および地方公共団体 の「児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」責務としての行政監査の補助的役 割であり、福祉サービス第三者評価事業とは異なる。
〇しかし、こうした役割の相違に関し自治体や事業者、評価機関等に明確に説明がなされ ていないこと、「第三者評価」という用語を使っていること等により、混乱が生じている。 実際には、都道府県社会的養育推進計画で児童相談所や一時保護所の第三者評価の実施 を記載している都道府県等もあり、福祉サービス第三者評価事業の評価機関に受審相談 が寄せられ、実際に評価を実施している評価機関もある。 制度創設から 20 年が経過する今、国において、あらためて福祉サービス第三者評価事 業の意義・目的を整理する必要がある。⇒表1 社会的養護関係施設第三者評価事業と類似制度の比較 P6参照。

(2)受審率の伸び悩み
〇制度創設から 20 年が経過し、福祉サービス事業所の総数は増えているが、福祉サービス第三者評価事業の受審は伸びていない。近年は 5,000 件程度で横ばい状態になっており、 福祉サービス第三者評価事業を継続して受審する事業所がある一方で、新規に受審する 事業所は増えていないのが実情である。
〇義務化されている社会的養護関係施設は例年 30〜40%程度の受審率であるものの、それ 以外の任意になっている施設種別では、たとえば令和 2 年度実績で特別養護老人ホーム が 4.70%、保育所は 6.61%、障害者施設(就労継続支援 A 型・B 型)1.41%と低い受審 率になっている。⇒図 3 受審数の推移。⇒表 2 令和 2 年度受審数(主な施設種別)。
〇保育所の福祉サービス第三者評価事業→2015(平成 27)年の「日本再興戦略」(改訂2015)において「平成 31 年度末までにすべての保育事業者において第三者評価 の受審が行なわれることを目指す」とされたにもかかわらず、令和 2 年度実績においても受審した保育所が 1 割以下にとどまっている(そのうち約 2/3 は東京都)
〇とくに保育所や障害者支援施設(通所系)では、多様な主体が参入してきているなかで、 行政から福祉サービス第三者評価事業のもつ意義・目的をきちんと伝え、継続的な受審の呼びかけがされているかというと疑問が生じる。

(3)都道府県推進組織の課題
〇福祉サービス第三者評価事業の推進→都道府県推進組織の役割が重要。都道府県推進組織⇒国による基準等の見直し等を受け、県内で使用する福祉サービス第三者評価基準の策定や第三者評価機関の認証、評価結果の公表、評価調査者の研修等の第三者評価の実施に関する業務を実施している。都道府県推進組織が、福祉サービス第三者評価事業の推進に向け、どのように考えているかが、各都道府県内の福祉サービス第三者評価事業の受審の状況等に大きく反映される。

〇都道府県推進組織の主体は行政が 37 府県、社会福祉協議会が 7 県、その他公益法人が 3 都道県。制度創設から 20 年経ち、福祉サービス第三者評価事業の意義・目的に対する理解が薄れてきているなかで、国からの補助もなく、自治事務として実施されていることもあり、都道府県推進組織の体制が脆弱になっている。
〇受審実績を見ても、受審費用の補助が充実している東京都以外は低い状況であり、受審 実績が 1 桁しかない県が 13 県にのぼるなど、福祉サービス第三者評価事業の普及・促進 が図れていない。 国の基準等通知が改正され、都道府県推進組織には評価基準の改正や受審目標の設定・公表の義務化、更新時研修等の実施等が求められているが、たとえば令和 3 年度の更新時研修の実施予定が 6 県に留まる等、対応できない県組織も多い。

〇また、福祉サービス第三者評価事業の評価基準が、都道府県によって取り扱いが異なり、 全国統一の仕組みとなっていないため、客観的比較が成り立たない。たとえば特別養護 老人ホームの評価基準に関しては、全国版を使用しているところは 28 県であり、県独自 で評価基準を上乗せしたりしているところが 19 県となっている。
〇評価機関の認証も都道府県推進組織の大事な役割だが、県外の評価機関を認証していな い都道府県組織が 17 県ある。このため、全国的に評価機関が減少傾向にあるなか、県内 で評価できる評価機関が限られる状況が生じている。また、県ごとに認証手続きが求め られることで、評価機関の活動が制限されるという声も上がっている。⇒表 3 令和 2 年度都道府県別受審数
〇都道府県推進組織からも、「評価調査者の資質向上、評価機関の支援・育成については重 要な課題であると意識しているが、現状はそこまで手が回らない」「職員は別の業務と兼任になっており、十分に事業を推進するための予算、人員が確保できない」等の意見が 寄せられている

(4)評価機関・評価調査者の課題
〇評価機関に関する大きな課題は、評価機関が福祉サービス第三者評価事業を安定的に運 営できる仕組みになっていないこと。つまり、受審料だけでは評価機関としてなりたつ仕組みとなっておらず、制度創設時から責務として位置づけ、取り組んできた都道府県社会福祉協議会からも赤字続きの事業であることから、近年、撤退が続いている。

〇福祉サービス第三者評価の実施にかかる実務の流れ⇒評価実施方法や内容、スケジュール等に関する説明、契約の締結から自己評価や必要書類等の事前分析、訪問調査(見学、利用者へのヒアリング等)、評価結果の取りまとめ(評価機関内での合議、事業所への評価結果の説明や経営者・職員への結果説明)、公表までさまざまな作業がある。 そのため、実態としては1件の評価にかかる期間として 4 か月〜半年を要する。⇒図4 認証辞退件数の推移。図5 評価機関数の推移。表4令和3(2021)年4月1日時点の評価機関数 P11参照。
〇評価の実施→2〜3 名のチームで担当し、評価にあたっては評価機関内で合議を複数回行い決定している。このような評価を実施するにあたっては、時間や費用がかかるが、現状ではそれに見合った受審料を設定することができない、という声が多くの評価機関等から上がっている。
〇社会的養護関係施設の第三者評価に関しては受審料補助が 31 万 4000 円(消費税込み)、 保育所等に対しては 15 万円が義務的経費として積算されているが、この金額内で評価を 受けたいという事業所が多く、また実際に評価機関を決める際には相見積もりをする関係で受審料を安く設定する評価機関に流れる傾向がある。しかし、安く価格設定をする評価機関が実際に評価をするにあたって適切な評価体制 やプロセスが実施できるかというと課題もあることから、評価を受けた結果、各施設種 別の相違点等を理解していない等により事業所の信頼を失うような評価機関もある。⇒図 6 福祉サービス第三者評価事業の流れ。
〇福祉関連分野以外の事業からの参入もあり、福祉事業への理解が十分でない評価機関も ある。こうした評価機関が評価に行った結果、受審した福祉施設・事業者から信頼を得られず、次回の受審を控えることにもつながっている。 また、評価調査者⇒福祉サービス第三者評価事業が始まった頃から評価調査者として活動している人が多く、高齢化が課題になっている。第三者評価事業がビジネスとしてなりたっていないなかで、新たな評価調査者を確保し育成する仕組みをもって いる評価機関が少ないことも課題である。
〇受審する事業所が少ないため、評価調査者が評価に行く機会が限られ、経験を積むこと ができない。また研修を開催しても、受講者が少なく、評価調査者の質の向上を図るこ とが難しいという課題もある。 〇評価調査者の資格要件が「組織運営管理業務を 3 年以上経験している者、又はこれと同 等の能力を有していると認められる者」と「福祉、医療、保健分野の有資格者若しくは 学識経験者で、当該業務を 3 年以上経験している者、又はこれと同等の能力を有してい ると認められる者」とされているが、実質上、誰でも評価調査者になることができる仕 組みであることも課題である。 評価機関が専門的・客観的に評価を行うためには、評価指導者・評価者の専門性の向 上が必要である。

(5)評価結果の公表に関する課題
〇評価結果は、現在、WAM-NET(独立行政法人福祉医療機構)で公表されるとともに、都道府 県推進組織のホームページ等で公表。社会的養護関係施設の第三者評価結果⇒全国推進組織である全国社会福祉協議会で公表。公表も含め義務化されている社会的養護関係施設以外の施設⇒公表は任意、公表内容についても都道府県推進組織によって異なっている。
〇WAM-NET や全社協のホームページでは、基本的には評価結果のすべてを公表しており、 利用者の選択に資する内容になっているかというと課題がある状況と言わざるを得ない。

次回も続き「3.今後の福祉サービス第三者評価事業の方向性」からです。

福祉サービスの第三者評価 受け方・活かし方【保育所版】(第4章-1と2) [2016年04月23日(Sat)]
福祉サービスの第三者評価 受け方・活かし方【保育所版】
https://www.fukushinohon.gr.jp/esp.cgi?_file=book2807&_page=_index&_page2=contents&_page3=detailbook&_sys_id=2807&_class=010101&_category=ISBN978-4-7935-1200-1
第4章 第三者評価の活用方法

1.第三者評価結果の実際 ↓
○ここでは「評価機関の評価結果のとりまとめ」が書かれています。
・訪問調査前の事前準備(基本情報・事前提出資料・保育所HPなどの情報から全体像を把握)→調査員合議(情報の統一、保育所の強みと弱み)→訪問調査(施設見学を通した評価の確認、関係職員へのインタビュー、取り組みの確認、事実に基づいた報告書作成となるように)→訪問調査終了後の合議(調査者間の意見統一)→評価結果とりまとめ合議→評価機関のまとめ→結果の保育所への報告→公表へ
・報告書取りまとめる際のポイント→合議制でまとめる(訪問調査直後、評価チームでの2回目合議、評価機関としての結果報告の決定合議の3段階)→読み手を意識したまとめ(施設の質向上と利用者のサービス選択の観点から)→保育所・利用者・将来の利用者や一般向けの評価コメントを作成→より効果的となるような作成を目指す取り組み。【】【

2.第三者評価の公表と活用
○ここでは、実際の例を参考とした書き方になっています。
・全体の総評(コメント)⇒
【特に評価が高い点】(↓の項目ごとに具体的記述から)
☞保護者とともに子どもを育てることを目指し、さまざまな場面で連携が図られている。
☞常勤職員の定着率が高く、安定した職員集団のもとで日々の保育が展開されている。
☞各保育士意欲向上のために、ストレス対策や専門性を発揮できる場を用意している。
【【改善が求められる点】()
☞苦情解決の仕組みについて、保護者に向けて周知を図っていくことが期待される。
☞保護者に対する言葉遣いについて、職員間で共通理解を図っていくことが望まれる。

・全体の総評に書かれている内容は、保育所運営の「質の向上の観点から」と「改善のきっかけととらえられるよう観点から」に留意しながら双方ともに取り組んでいくことが有効となります。

◆「公表とは」現実を明らかにし、質の向上・改善に取り組むべく目的を持ち、けっかとして地域社会からの「見える化」を促進し、信頼と支持を得られる組織となっていくでしょう。

◆以上で、「福祉サービスの第三者評価 受け方・活かし方【保育所版】」のすべての読み合わせを終わりにします。
全国の保育所等は、「質の向上に取り組むべき」です。「お金が高い」という人がおりますが、タダほどいい加減なものはありません。保護者もよりよいサービスをお金で買う時代です。施設長は自分の仕事の発展に投資してください。質を高路めるために、保育所はそれだけの「覚悟を引き受ける」時代になっています。

最後まで目を通していただきましてありがとうございます。


次回は、「第16回社会保障審議会福祉部会 資料」からになります。
福祉サービスの第三者評価 受け方・活かし方【保育所版】第3章-3 [2016年04月22日(Fri)]
福祉サービスの第三者評価 受け方・活かし方【保育所版】
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第3章 保育所版評価基準ガイドラインを読む
3.保育所版内容評価基準ガイドライン↓↓


A−1保育内容

A−1−(1)保育課程の編成
A-1-(1)-@保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて保育課程を編成している。
A−1−(2)環境を通して行う保育、養護と教育の一体的展開
A-1-(2)-@生活にふさわしい場として、子どもが心地よく過ごすことのできる環境を整備している。
A-1-(2)-A一人ひとりの子どもを受容し、子どもの状態に応じた保育を行っている。
A-1-(2)-B子どもが基本的な生活習慣を身につけることができる環境の整備、援助を行っている。
A-1-(2)-C子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。
A-1-(2)-D乳児保育(0歳児)において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。
A-1-(2)-E3歳未満児(1・2歳児)の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。
A-1-(2)-F3歳以上児の保育において、養護と教育が一体的に展開されるよう適切な環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。
A-1-(2)-G障害のある子どもが安心して生活できる環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。
A-1-(2)-H長時間にわたる保育のための環境を整備し、保育の内容や方法に配慮している。
A-1-(2)-I小学校との連携、就学を見通した計画に基づく、保育の内容や方法、保護者との関わりに配慮している。
A−1−(3)健康管理
AKA-1-(3)-@子どもの健康管理を適切に行っている。
ALA-1-(3)-A健康診断・歯科健診の結果を保育に反映している。
AMA-1-(3)-Bアレルギー疾患、慢性疾患等のある子どもについて、医師からの指示を受け適切な対応を行っている。
A−1−(4)食事
A-1-(4)-@食事を楽しむことができるよう工夫をしている。
A-1-(4)-A子どもがおいしく安心して食べることのできる食事を提供している。

A−2子育て支援
A−2−(1)家庭との緊密な連携
A-2-(1)-@子どもの生活を充実させるために、家庭との連携を行っている。
A−2−(2)保護者等の支援
A-2-(2)-@保護者が安心して子育てができるよう支援を行っている。
A-2-(2)-A家庭での虐待等権利侵害の疑いのある子どもの早期発見・早期対応及び虐待の予防に努めている。

A−3保育の質の向上
A−3−(1)保育実践の振り返り(保育士等の自己評価)
A-3-(1)-@保育士等が主体的に保育実践の振り返り(自己評価)を行い、保育実践の改善や専門性の向上に努めている。


◆以上内容項目の細目も載せました。従来の24→20項目の評価細目になっています。
ここでいう保育の質の向上とは、保育士と子どもとのかかわりあいの進化を追求することと、保育士間の情報の共有(子どもの発達段階の共有)を深めあうこと、それに子どもの育ちを支援していくためには、家庭との密なる連携が求められます。定期的なアセスメントが必要になり、発達を促すためには、子どもの安心・安全を最優先にしながら、生活と同じように楽しさを提供するとともに、子どもの育ちを助長するために、どのようにかかわっていくと信頼と他者を理解する思いやりが育っていけるかなどということを考慮することになるでしょう。
第三者評価事業では、「子どもの最優先の利益」の観点からその根拠のデータを探していくことになります。
保育園の質を上げたいと思っていたら、この「第三者評価」と施設サービスの弱みから発生する「苦情解決」を丁寧に取り組んでいく必要があります。

次回は、「第4章-1」になります。
福祉サービスの第三者評価 受け方・活かし方【保育所版】第3章-2 [2016年04月21日(Thu)]
福祉サービスの第三者評価 受け方・活かし方【保育所版】
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第3章 保育所版評価基準ガイドラインを読む
2.保育所版共通評価基準ガイドライン ↓↓


T 福祉サービスの基本方針と組織
T-1 理念・基本方針
T-2 経営状況の把握
T-2-(1) 経営環境の変化等に適切に対応している。
T-3 事業計画の策定
T-3-(1) 中・長期的なビジョンと計画が明確にされている。
T-3-(2) 事業計画が適切に策定されている。
T-4 福祉サービスの質の向上への組織的・計画的な取組
T-4-(1) 質の向上に向けた取組が組織的・計画的に行われている。

U 組織の運営管理
U-1 管理者の責任とリーダーシップ
U-1-(1) 管理者の責任が明確にされている。
U-1-(2) 管理者のリーダーシップが発揮されている。
U-2 福祉人材の確保・育成
U-2-(1) 福祉人材の確保・育成計画、人事管理の体制が整備されている。
U-2-(2) 職員の就業状況に配慮がなされている。
U-2-(3) 職員の質の向上に向けた体制が確立されている。
U-2-(4) 実習生等の福祉サービスに関わる専門職の研修・育成が適切に行われている。
U-3 運営の透明性の確保
U-3-(1) 運営の透明性を確保するための取組が行われている。
U-4 地域との交流、地域貢献
U-4-(1) 地域との関係が適切に確保されている。
U-4-(2) 関係機関との連携が確保されている。
U-4-(3) 地域の福祉向上のための取組を行っている。

V 適切な福祉サービスの実施
V-1 利用者本位の福祉サービス
V-1-(1) 利用者を尊重する姿勢が明示されている。
V-1-(2) 福祉サービスの提供に関する説明と同意(自己決定)が適切に行われている。
V-1-(3) 利用者満足の向上に努めている。
V-1-(4) 利用者が意見等を述べやすい体制が確保されている。
V-1-(5) 安心・安全な福祉サービスの提供のための組織的な取組が行われている。
V-2 福祉サービスの質の確保
V-2-(1) 提供する福祉サービスの標準的な実施方法が確立している。
V-2-(2) 適切なアセスメントにより福祉サービス実施計画が策定されている。
V-2-(3) 福祉サービス実施の記録が適切に行われている。

◆「評価対象」ごとに「評価分類」をし、それぞれに評価項目を設けています。ここでは、この評価項目のみ記しておきますが、さらに評価項目ごとに評価細目が設定され、この評価細目が45項目となる。この45項目の「abc」判断基準で評価するのが自己評価であり、3年間で1回受審する第三者評価となります。
この項目は、保育所のみならず、老人・障害施設、社会的養護関係施設など共通な評価項目となっているために「共通評価項目」と言われていますが、受審予定の保育所は、それぞれ職員間のグループ学習を願いたい。
大きな流れとして、27年度から特に「施設・事業所の質の向上」に重点が置かれ、どの種別でも要求されており、今後のアベノミクスの反映が大になってくると思われます。

次回は、「第3章-3.保育所版内容評価基準ガイドライン」になります。
福祉サービスの第三者評価 受け方・活かし方【保育所版】第3章-1 [2016年04月20日(Wed)]
福祉サービスの第三者評価 受け方・活かし方【保育所版】
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第3章 保育所版評価基準ガイドラインを読む
 1.保育所版評価基準ガイドラインと保育実践


○(2)一人ひとりを受け止める保育(アセスメントに基づく指導計画の作成)
・「42 V-2-(2)-@ アセスメントにもとづく指導計画を適切に策定している。」の評価
・アセスメントとは、「子供の身体状況や子供と保護者の生活状況を把握するとともに、どのような保育上のニーズがあるかを把握する目的。」指導計画の作成の基本となる重要なプロセス。
・3歳未満児と障害のある子どもは個別指導計画の作成が義務付け(保育指針)。しかし、一人ひとりの発達を保障していくためには、3歳以上児も含めたすべての子どもに対してクラス等の指導計画と合わせて個別の指導計画の作成が望まれる。(理由はP45記載あり)
・アセスメントに基づいた指導計画作成は、安心安全の子供の行動となる。(保育所間の移動、環境上の問題、食事体験など)→丁寧なアセスメントが必要(子供が不安の場合)

○(3)養護と教育の一体的展開
・「A-1-(2)環境を通して行う保育、養護と教育の一体的展開」→「ADA-1-(2)-C子どもが主体的に活動できる環境を整備し、子どもの生活と遊びを豊かにする保育を展開している。」を評価→保育所保育指針解説書・保育目標では「保育には、子供を現在ありのままを受けとめその心の安定を図りながらきめ細かく対応していく養護的側面と、保育士等としての願いや保育の意図を伝えながら子供の成長発達を促し導いていく側面とがあり、この両義性を一体的に展開しながら子供とともに生きるのが保育の場であるといえます。」→子供の自己肯定感の育ちは保育士との肯定関係から育ちとして学びとってもらうためには禁止的なかかわりでは育っていかないということで、ともに情緒的に一緒に育ちあおうというかかわりの意味から評価したらどうでしょうか

○(4)家庭との密接な連携(利用者満足、保護者からの意見・要望など)
・「2‐(1)家庭との緊密な連携(内容評価)」、共通評価「V-1-(3)利用者満足の向上に努めている」「V-1-(4)利用者が意見を述べやすい体制が確保されている」→家庭は保育のパートナー、保育者は子供の発達や初期段階での学びに関する知見や専門的知識を家庭と分かち合い、家庭は自分の子供に関する知見を分かち合うという観点からの評価はどうでしょうか。

◆詳しくは、P46~48をご覧ください。とてもよく記載されています。保育者は家庭とのパートナーであり、子供の発達段階を追う専門家です。まさに、子どもと家庭と保育者が一体となってかもし出されている雰囲気が感じられる場面をイメージできるような説明を第三者評価に求めたいものですね。

次回は、「保育所版共通評価基準ガイドライン」紹介です。
福祉サービスの第三者評価 受け方・活かし方【保育所版】第3章−1 [2016年04月19日(Tue)]
福祉サービスの第三者評価 受け方・活かし方【保育所版】
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第1章 保育の質向上に活かす第三者評価
 1.第三者評価受審の意義−保育所における評価・第三者評価とは
 2.第三者評価の目的と仕組み
第2章 第三者評価受審の前に
 1.受審に向けた準備と保育所の体制づくり
 2.自己評価のすすめ(1)自己評価の実施方法
 3.自己評価のすすめ(2)自己評価の実際
第3章 保育所版評価基準ガイドラインを読む
 1.保育所版評価基準ガイドラインと保育実践
 2.保育所版共通評価基準ガイドライン
 3.保育所版内容評価基準ガイドライン
第4章 第三者評価の活用方法
 1.第三者評価結果の実際
 2.第三者評価の公表と活用
参考資料
 1.保育所版自己評価シート【共通評価基準】
 2.保育所版自己評価シート【内容評価基準】
 3.厚生労働省雇用均等・児童家庭局長・厚生労働省社会・援護局長通知
  「保育所における第三者評価の実施について」
  (平成28年3月1日付雇児発0301第3号・社援発0301第2号)




◎これまで、「福祉サービスの第三者評価 受け方・活かし方【保育所版】(山崎美貴子著、 岡田賢宏著、 大方美香著、全社協政策企画部 著)」の以下の章を見てきました。↓↓

第1章 保育の質向上に活かす第三者評価
 1.第三者評価受審の意義−保育所における評価・第三者評価とは
 2.第三者評価の目的と仕組み
第2章 第三者評価受審の前に
 1.受審に向けた準備と保育所の体制づくり
 2.自己評価のすすめ(1)自己評価の実施方法
 3.自己評価のすすめ(2)自己評価の実際


◎今日は、以下の第3章−1を要約します。↓↓
(平成26年の全部改訂ガイドラインの趣旨を踏まえてのポイント)
第3章 保育所版評価基準ガイドラインを読む
 1.保育所版評価基準ガイドラインと保育実践
 2.保育所版共通評価基準ガイドライン
 3.保育所版内容評価基準ガイドライン

○(1)保育所の理念・基本方針に基づく保育実践
・「例:1T-1-(1)-@ 理念、基本方針が明文化され周知が図られている。」で解説。↓
➀理念基本方針とは、保育所設置の趣旨、社会的使命や役割に対する考え方を示しており、時代は変わっても根源的なことは全職員の共通理解のもと、時代に即応した保育実践が行われていることが重要。
➁理念基本方針があるからこそ、どのような子供をそだてたいかという子ども像や子供の理解、保育目標が明確になる(全国一律ではない地域独自さまざま)。第三者評価は理念基本方針と子ども像や保育目標が一致しているかということが視点となり、保育実践を確認していくこと。
➂理念基本方針を保育実践としてどのような方法・指導法で具現していくかを考えなければならず、その内容をチェックする。
➃職員や利用者にもその方針を周知している。「預かってあげているのだから」という姿勢ではなく家庭と密接な連携を保ちながら子供の育ちを支援することが社会的役割で、ギャップが生まれないように。
➄理念基本方針は、地域と連携しながら福祉施設として保育所の保育実践が社会に認知してもらえるような努力が必要で、そのためにも職員に周知し地域福祉としての役割も意識的に取り組む必要あり(地域交流、地域貢献)
➅保育課程の編成については、保育内容に関する内容評価基準「 A-1-(1)-@保育所の理念、保育の方針や目標に基づき、子どもの心身の発達や家庭及び地域の実態に応じて保育課程を編成している。」ことを評価(保育実践の要は保育課程の編成にあり)。

◆川の流れのように保育の理念・基本方針から保育実践におけるカリキュラム編成すべての事項(子供理解・保育目標保育のねらい・保育内容・評価)に流れていく、このことを忘れないでください。


次回は、「第3章−1の(2)」となります。
◎保育所の受審に向けた取組 [2016年04月18日(Mon)]
◎保育所の受審に向けた取組↓↓

○受審に向けて
→受審目的(現状はどうなっているかの客観化、最終的にどうしたいのかを明確に)
→施設長のリーダーシップ(職員・保護者への受審宣言、担当者選任(担当チームの設置)、評価機関との連絡など、計画的な取組となるように)
○受審準備
→担当者を中心に準備(計画作り、評価機関と確認しながら日程の調整、受審に向けた全体の進行管理、受審に向けた事前提出の資料づくり、評価結果についての検討・共有)
○受審のポイント
・効果的自己評価の実施→より多くの職員参加、職員への評価基準の理解を図る、自らの保育の取組の言語化(評価調査者に説明できるように)、自己評価結果を職員全員で理解を共有する
・業務の標準化・マニュアル作成の留意点→現場職員が話し合って活きた作成が必要(急ごしらえしても活きたものにはならない)
○継続的な改善活動の重要性→保育の改善や質の向上のための継続的取組の一つのプロセスととらえ、「やれやれ(受審議が終わって)」ではない。PDCAサイクルが必要。

◎自己評価について

○自己評価の実施方法
・自己評価の効果→評価基準に沿って振り返ることは「職員の新たな気づき」を得る、保育所全体で質の向上に取り組む「きっかけ」、全職員の意識の共有化につながる。
・自己評価については評価機関との相談・調整で決定。
・自己評価のポイント→職員一人ひとりが評価基準を理解し客観的に評価、そして職員間の共通認識を形成する。

○自己評価の実施タイプ
・全職員参加型(Aタイプ)→まず一人一人評価→持ち寄って担当チームで1本化→施設長も含めた職場全員で協議後保育所としての自己評価結果とする。
・保育所の組織運営面で十分理解できない場合→保育実践に当たっては組織運営も質の向上から重要な基盤なのでチームの中で理解する必要あり。
・チーム内で異なる項目の場合→評価の根拠・考え方を示しながら議論(どうしてそうなったかを)して1本化する
・チーム・保育所の自己評価→施設長等(経営層)の意見に偏ることなく職員の意見が適切に反映されるように。
・このほかにも「チームを設置しチームごとに評価項目を分担して行う方法(Bタイプ)」「一人一人の評価をそのまま評価機関に提出する方法(Cタイプ)」「経営層の自己評価と全職員が個別に自己評価結果を評価機関へ提出する方法(Dタイプ)」がありますが、評価機関との協議の上で決定すること。

○評価基準の読み方・実施
・判断基準(abc評価)、評価の着眼点、評価基準の考え方と評価の留意点を参考にしながら自己評価結果表の様式に基づいて各保育所で定めた実施方法により、自己評価結果を作成。
・判断基準(abc評価)の付け方→今般の指針(26年4月1日付の全部改訂)で明確化、保育所側からみた「a評価」ではなく保育所保育指針や保育所全体が目指している高い水準に到達しているかどうか、到達目標を達成している状態を「a評価」という。保育所の取り組み内容が「よりよい」「水準・状態」「質の向上を目指す際に目安とする状態」がありますので、「質の向上を目指す際に目安とする状態」でなければ「a評価」ではなく「十分ではない」となり「b評価」となります。
・「評価の着眼点」をもとにした総合的な評価→「評価の着眼点」一つひとつを満たすために必要となる取組・内容など「評価基準の考え方と評価の留意点」をもとに確認しながら着眼点をチェックします。
・「判断した理由・特記事項等」欄の作成方法→具体的文章で記述、資料名なども記入しておくとわかりやすい。

次回は、「保育所版評価基準ガイドライン」を見ていきます。

◎保育所は第三者評価への取り組みを考えてください。↓↓ [2016年04月17日(Sun)]
熊本県地方を中心とした地震が現在も頻回に続いています。
安全に注意しながら、落ち着いた行動をとってください。
地域の方のご無事と、一刻も早い復旧を祈っています


◎保育所は第三者評価への取り組みを考えてください。↓↓

・「第三者評価事業」は、その保育所の自己評価を公正で客観化する活動で、保育所職員にとっては、「自分たちの質の向上」と「子供たちの最善の利益とは何であるか」を改めて考えるチャンスになるものだと思っています。
・いわゆる「待機児童対策」として、行政の許認可されている保育所の保育活動を、社会にその活動内容を知ってもらうために第三者評価機関を利用した取り組みになっています。
・保育所は福祉施設にふさわしい活動になっているか、保護者を含めた最善を目指した質の向上に取り組まれているのかなどといった地域の中の保育所としての拠点の姿勢が問われてくるわけです。

・福祉サービス第三者評価事業については、平成 26 年4月1日に「第三者評価 指針通知」が全部改正され、施設及び事業所が主体的かつ継続的に質の向上に取り組めるよう、共通評価基準ガイドラインを見直すとともに、同ガイドラインの 趣旨・目的及び評価内容の理解が促進されるよう、判断基準ガイドラインの見直し等がなされていますが、最新では、平成28年3月1日「保育所における第三者評価の実施について」として発出されております。

・共通評価基準については、項目の統合や 配置、文言の変更等を行い、53 項目を 45 項目に改定していますが、保育所での評価が 円滑に実施されるようにするため、本来の趣旨が変わらぬよう配慮しつつ、「言葉の置き換え」や「内容の加筆・削除」、「保育所独自の内容の付加」を行い、 共通評価基準及び判断基準並びに評価の着眼点、評価基準の考え方及び評価の留意点 についての解説版を作成されております。

・共通評価基準の改定に合わせて、内容評価基準についても、項目の整理を行い、 判断基準等の内容の見直しを行い、改定(24から20項目へ)されています。

・平成28年3月1日「保育所における第三者評価の実施について」では、国が定める最低基準を満たしていることを前提に、判断基準(a・b・c評価)の定義の明確化が図られています。

・さらに、平成28年4月1日スタートの「社会福祉法の一部改正」にみられるように社会福祉施設の「質の向上」取り組みは、「第三者評価」と「苦情解決」が取り上げられており、保育所のみならず、全業種別に要求されていることです。

・このように各施設種別協でも受審数値目標など前向きな取り組みが必要となります。現に、社会的養護関係施設(児童養護・乳児院・母子生活支援施設など)では、義務化をむかえ第2クールにはいっており、保育所では「規制改革会議」などで平成31年度まで、日本国の全保育所が受審するようにすることが目標となっています。

保育所における第三者評価の実施について↓
http://www.pref.aomori.lg.jp/soshiki/kenko/kodomo/files/20160301.pdf


次回は、保育所の「第三者評価受審の準備と体制から」にします。
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