令和3年度 政府が講じた死因究明等に関する施策(令和4年版 死因究明等推進白書の概要) [2023年05月13日(Sat)]
令和3年度 政府が講じた死因究明等に関する施策(令和4年版 死因究明等推進白書の概要) 厚生労働省 医政局 医事課 死因究明等企画調査室
https://www.mhlw.go.jp/content/000986729.pdf ○令和4年版「死因究明等推進白書」の全体像↓ ・「死因究明等推進白書」→死因究明等推進基本法に基づき、国会に報告を行う法定白書、今回初めて作成するもの(閣議決定及び国会報告)。 ≪参考≫ 死因究明等推進基本法(令和元年法律第33号) (年次報告) 第9条 政府は、毎年、国会に、政府が講じた死因究明等に関する施策について報告しなければならない。 ・白書の構成↓ 第1章 我が国における死因究明等の推進に向けた 政府の取組→ 第1節 死因究明等推進基本法成立以前の主な 取組 第2節 死因究明等推進基本法の成立 第3節 新たな死因究明等推進計画の策定 第2章 死因究明等推進計画に基づく施策の推進 状況→第1節 死因究明等に係る人材の育成等 第2節 死因究明等に関する教育及び研究の拠点 の整備 第3節 死因究明等を行う専門的な機関の全国的 な整備 第4節 警察等における死因究明等の実施体制の 充実 第5節 死体の検案及び解剖等の実施体制の充実 第6節 死因究明のための死体の科学調査の活用 第7節 身元確認のための死体の科学調査の充実 及び身元確認に係るデータベースの整備 第8節 死因究明により得られた情報の活用及び 遺族等に対する説明の促進 第9節 情報の適切な管理 ○我が国における死亡数等の動向↓ ・死亡数は、昭和55年の72万2,801人から、令和2年の137万2,755人に徐々に増加(89.9%増)。今後も死亡数の増加は継続し、令和22年には、166万6千人まで増加すると推計。 ・新型コロナウイルス感染症→令和2年1月15日に国内で最初の感染者が確認されて以降、 令和4年3月までに同感染症の陽性者の死亡したものの数が2万8,089人まで増加。 ・こうした近年の死亡数の増加や新型コロナウイルス感染症を始めとする新興感染症の脅威に加え、今後の大規模災害の発生リスク等に鑑みれば、我が国における死因究明等とその体制強化の重要性はま すます高まっている。 ○死因究明の目的と解剖の種類について↓ ・死因究明等推進基本法では、死因究明の推進は、死因究明により得られた知見が疾病の予防及び治療をはじめと する公衆衛生の向上及び増進に資する情報として広く活用されることとなるよう、行われるものとするとされている。 ・この点、死因究明の方法として最も有効とされている解剖については、事件性等の観点から行われる司法解剖や 調査法解剖のほか、感染症疑いの死体について、死因を明らかにして感染拡大防止措置の要否等を判断する必要 がある場合など、公衆衛生等の観点から行われる監察医解剖や承諾解剖等(以下「監察医解剖等」)もある。 ・令和3年中に警察等が取り扱った死体に対して実施された監察医解剖等6,395件のうち、監察医が置かれている 都府県を含む4都府県において行われたものは、その98.2%(6,278件)を占めている一方で、29府県では1件も実施されていないなど、その実施状況は地域によって大きな差がある。⇒主な解剖の種類 参照。 ○死因究明等推進計画に基づく新たな取組↓ ・死因究明拠点整備モデル事業の実施(検案・解剖拠点モデル事業)→体制整備課題の状況を踏まえ各地域において必要な死因究明が円滑に実施 される体制が構築されるよう、国として必要な支援を行う。令和4年度予算に新規事業として死因究明拠点整備モデル事業を計上(48百万円)。 ・死因究明等推進地方協議会運営マニュアルの策定→地方公共団体は 死因究明等推進地方協議会(「地方協議会」)を設けるよう努めるものとする ・死因究明等に係る人材の育成等@→検案を行う医師の検案能力の向上を目的とした「死体検案講習会」・死亡時画像診断を行う医師等の読影能力等の向上を目的とした「死亡時画像読影技術 等向上研修」を、WEBサイトでのオンデマンド形式により実施し、その利便性を活かして修了者数 を大幅に増加。 ・死因究明等に係る人材の育成等A→警察及び海上保安庁⇒死体取扱業務に関する多様な研修機会を設け、人材育成を推進。都道府県医師会や都道府県歯科医師会と都道府県警察等による合同研修会等を開催し、連携を強化。 ・死因究明等に関する教育及び研究の拠点の整備→基礎研究医養成活性化プログラムにより、法医学等の分野における人材を養成するためのキャリアパ スの構築までを見据えた体系的な教育を実施する大学に必要な経費を支援。 ○死因究明等推進計画に基づく施策の推進状況↓ ・警察等における死因究明等の実施体制の充実→警察⇒今後の死亡数の増加に対応するべく、現場の映像等をリアルタイムで検視官に送信する 映像伝送装置の整備・活用を推進するとともに、一層効果的かつ効率的な検視官の運用について検討。海上保安庁⇒鑑識官の整備を推進するとともに死体取扱業務に必要な資機材等を整備。 ・死因究明のための死体の科学調査の活用→薬毒物検査を円滑に実施するための薬毒物検査拠点整備モデル事業を令和4年度予算に新規計上。 警察及び海上保安庁において必要な検査を確実に実施。 ・死体の検案及び解剖等の実施体制の充実→異状死死因究明支援事業により、解剖、死亡時画像診断等に係る費用を支援。 死亡時画像診断システム等整備事業により、施設・設備の整備に要する費用を支援。 ・身元確認のための死体の科学調査の充実及び身元 確認に係るデータベースの整備→警察において、「身元確認照会システム」を 適正かつ効果的に運用。 ・死因究明により得られた情報の活用及び遺族等に対 する説明の促進→厚生労働省において、予防可能な子どもの死 亡を減らすことを目的として、予防のための子 どもの死亡検証(CDR)モデル事業を推進。 次回は新たに「労働政策審議会労働政策基本部会 報告書」からです。 |