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令和4年第16回経済財政諮問会議 [2023年01月12日(Thu)]
令和4年第16回経済財政諮問会議(令和4年12月16日)
≪議事≫(1) 令和5年度の経済見通し (2) 中長期の経済財政運営 (3) 新経済・財政再生計画 改革工程表の改定
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/1222/agenda.html
◎資料1−1 令和5年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度(ポイント)(内閣府)
○令和5年度(2023年度)政府経済見通しの概要(1)→令和4年度(2022年度)の我が国経済は、コロナ禍からの緩やかな持ち直しが続く一方で、世界的なエネルギー・食料価格の高騰や世界経済減速の影響を受け、実質で1.7%程度、名目で1.8%程度の 成長になると見込まれる。  令和5年度(2023年度)については、世界経済の減速は見込まれるものの、「物価高克服・経済再生 実現のための総合経済対策」の効果の発現が本格化し、「人への投資」や成長分野における官民連 携の下での投資が促進されることから、実質で1.5%程度、名目で2.1%程度の民需主導の成長が見 込まれる。⇒「主要経済指標」「GDP成長率と寄与度」参照。
○令和5年度(2023年度)政府経済見通しの概要
(2)→上記3年間の比較表。実績、年央試算、民間見通し、今回による見通し。


◎資料1−2 令和5年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度 (令和4年 12 月 22 日閣議了解)
1.令和4年度の経済動向及び令和5年度の経済見通し
(1) 令和4年度及び令和5年度の主要経済指標
(2)令和4年度の経済動向
→コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進みつつある中、 緩やかな持ち直しが続いている一方で、世界的なエネルギー・食料 価格の高騰や欧米各国の金融引締め等による世界的な景気後退懸念など、 我が国経済を取り巻く環境には厳しさが増している。 政府としては、こうした景気の下振れリスクに先手を打ち、我が国経済 を民需主導の持続的な成長経路に乗せていくため、「物価高・円安への対応」、「構造的な賃上げ」、「成長のための投資と改革」を重点分野とする「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」(令和4年 10 月 28 日閣 議決定。以下「総合経済対策」)を策定した。その裏付けとなる令和4年度第2次補正予算等を迅速かつ着実に実行し、万全の経済財政運営を行う。 こうした下で、令和4年度の我が国経済⇒実質国内総生産(実質GDP)成長率は 1.7%程度、名目国内総生産(名目GDP)成長率は 1.8%程度となることが見込まれる。消費者物価(総合)⇒エネ ルギーや食料価格の上昇に伴い、3.0%程度の上昇率になると見込まれる。
(3)令和5年度の経済見通し→令和5年度⇒後段で示す「2.令和5年度の経済財政運営の基本的態度」に基づき、物価高を克服しつつ、計画的で大胆な投資を官民 連携で推進するなど新しい資本主義の旗印の下、我が国経済を民需主導で 持続可能な成長経路に乗せるための施策を推進。こうした取組を通じ、 令和5年度の実質GDP成長率は 1.5%程度、名目GDP成長率は 2.1% 程度と民間需要がけん引する成長が見込まれる。消費者物価(総合)⇒各種政策の効果等もあり、1.7%程度の上昇率になると見込まれる。 ただし、引き続き、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリス ク、物価上昇や供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。
@ 実質国内総生産(実質GDP) →(@)民間最終消費支出⇒コロナ禍からの回復や各種政策の効果、雇用・所得環境の改善が進む ことにより、増加(対前年度比 2.2%程度の増)。(A)民間住宅投資⇒総合経済対策による省エネ支援策など各種政策の効果を通じ、増加(対前年度比 1.1%程度の増)。 (B)民間企業設備投資⇒新しい資本主義に向けた官民連携投資を始め、総合経済対策を呼び水 とした民間投資が促進され、増加(対前年度比 5.0%程度の増)。 (C)公需⇒総合経済対策による政府支出はあるものの、前年度までのコロナ対策 関連経費の減少等が見込まれるため、前年度比では減少する(実質GD P成長率に対する公需の寄与度▲0.5%程度)。 (D)外需(財貨・サービスの純輸出)⇒海外経済の減速に伴い、減少(実質GDP成長率に対する外需の 寄与度▲0.1%程度)。
A 実質国民総所得(実質GNI)→海外からの所得増加が見込まれることにより、実質GDP成長率を上 回る伸びとなる(対前年度比 1.8%程度の増)。
B 労働・雇用→経済の回復とともに雇用環境が改善する中で、雇用者数は増加し(対 前年度比 0.2%程度の増)、完全失業率は低下する(2.4%程度)。
C 鉱工業生産→内需の回復に伴い、増加する(対前年度比 2.3%程度の増)。
D 物価 消費者物価(総合)→上昇率は、エネルギー・食料価格の上昇が見込ま れるものの、総合経済対策による電気・ガス料金、燃料油価格の抑制効 果等もあって、1.7%程度と前年度より上昇幅は縮小。GDPデフレ ーターは国内需要の拡大とともに上昇する(対前年度比 0.6%程度の上 昇)。
E 国際収支 輸入価格上昇の影響を背景に貿易収支の赤字は続くものの、海外から の所得収支がプラスを維持することで経常収支は黒字を維持する(経常 収支対名目GDP比 1.3%程度)

2.令和5年度の経済財政運営の基本的態度→ 総合経済対策を迅速かつ着実に実行し、物 価高を克服しつつ、新しい資本主義の旗印の下、社会課題の解決に向けた 取組を成長のエンジンへと転換し、我が国経済を民需主導で持続可能な成 長経路に乗せていく。 今後とも、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成 長戦略を一体的に進める経済財政運営の枠組みを堅持し、民需主導の自律 的な成長とデフレからの脱却に向け、経済状況等を注視し、躊躇なく機動 的なマクロ経済運営を行っていく。 かかる認識の下、以下の重点分野について、計画的で大胆な投資を官民 連携の下で推進する。民主導での成長力の強化と「構造的な賃上げ」を目 指し、リスキリング支援も含む「人への投資」の抜本強化と成長分野への 労働移動の円滑化、地域の中小企業も含めた賃上げ等を進める。また、科学技術・イノベーション、スタートアップ、グリーントランスフォーメー ション(GX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)といった成長 分野への大胆な投資を、スタートアップ育成5か年計画やGXロードマッ プ等に基づき促進する。 さらに、サプライチェーンの再構築・強靱化、企業の国内回帰など、国 内での「攻めの投資」、輸出拡大の推進により、我が国の経済構造の強靱化 を図る。半導体を始めとする重要な物資の安定供給の確保や先端的な重要 技術の育成等による経済安全保障の推進、食料安全保障及びエネルギー安 全保障の強化を図る。 こども・若者・子育て世帯への支援等の少子化対策・こども政策の充実 を含む包摂社会の実現、機動的で力強い新時代リアリズム外交の展開や 「国家安全保障戦略」(令和4年 12 月 16 日国家安全保障会議決定及び閣 議決定)等に基づく防衛力の抜本的強化など外交・安全保障環境の変化へ の対応、地方活性化に向けた基盤づくり、防災・減災、国土強靱化等の国 民の安全・安心の確保など「経済財政運営と改革の基本方針 2022」(令和 4年6月7日閣議決定)に沿って重要政策課題に取り組み、その成果を地 方の隅々まで届ける。 新型コロナウイルス感染症対策について、ウィズコロナの下、国民の命 と健康を守りながら、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図る。 経済財政運営に当たっては、経済の再生が最優先課題である。経済あっ ての財政であり、順番を間違えてはならない。必要な政策対応に取り組み、 経済をしっかり立て直す。そして、財政健全化に向けて取り組む。政策の 長期的方向性や予見可能性を高めるよう、単年度主義の弊害を是正し、国 家課題に計画的に取り組む。 日本銀行には、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目 標を持続的・安定的に実現することを期待する。

○(参考) 主な経済指標 1.国内総生産 2.実質成長率と寄与度 3.物価関係指数の変化率 4.完全失業率と雇用者数


◎資料2−1 中長期の経済財政運営(有識者議員提出資料)
1.経済社会環境の変化と経済財政運営へのインパクト

・ウクライナ危機発生以降、世界的な資源価格の高騰に見舞われるとともに、サプ ライチェーンの再構築など供給面の課題にも直面。コロナ禍後のV字回復で需要 超過となり高インフレが発生した米国では、金融財政政策を引き締めており、世界 的なドル高傾向にある。こうした中、世界経済は減速が見込まれ、物価高と不況の同時発生が懸念される状況。
・我が国では新型感染症からの回復は緩やかであり、企業の国内投資はコロナ前 水準に届いていない。また、3〜4%の物価上昇に対して賃金の伸びは2%弱にとどまっており、多くの家計で消費マインドが悪化するなどにより、需要不足が継 続している。
・こうした中、マクロ経済政策により民間投資を中心に経済の回復をサポートしながら、「国内投資の活性化を通じたイノベーションの創出」と「働き方改革や人的投資 拡充を通じた賃金所得の拡充」を車の両輪として、日本経済の供給サイドを強化 していくことが重要。
・ さらに、今後、中長期的に成長と分配の好循環が拡大していく下、金融環境の変 化が経済・財政に与える影響などを十分に考慮し、経済財政運営に当たってのリ スクにしっかり備えていく必要がある。

2.中長期を見据えた経済財政運営→こうした経済社会環境の認識を踏まえ、中長期を見据えたマクロ経済運営の在り方、 成長と分配の好循環の実現に向けた考え方、目指すべき経済社会構造の在り方等について、長期計画的に政府投資を展開する「ダイナミックな経済財政運営」やバックキ ャスト型の観点をもって、以下の論点について議論を深めていく必要があるのではな いか。
(1)持続的安定的成長に向けたマクロ経済運営の在り方
→ 物価上昇に負けない持続的な賃金上昇を可能とする環境の構築→経済を安定的な成長軌道に乗せていくためのポリシー・ミックス。 世界経済のインフレ・経済減速の深刻化、エネルギー・食糧価格の高止まりや 供給途絶、地政学リスクと重要品目のサプライチェーン破たん等のグローバル リスクへの積極的な対処。 中長期的な投資資金の確保と財政規律 等 。
(2)成長と分配の好循環の実現、サプライサイド強化に向けた考え方→分厚い中間層の構築、格差是正、質の高い雇用の創出のための環境整備。社会課題解決に向けた投資促進のための中長期的な枠組み整備。
予見性を高める官民の連携の在り方 。
(3)目指すべき経済社会構造の在り方→コロナ禍を契機に婚姻率・出生率が急低下する中、少子高齢化・人口減少等に 伴う国力の縮小傾向・地域経済の衰退を収束・反転させるシナリオ(人的投資、 子育て支援の強化等)。人口減少下での社会保障制度の持続可能性強化、地方行財政制度の在り方              (以上)


◎資料2−2 中長期の経済財政運営(参考資料)(有識者議員提出資料)
○マクロ経済環境と政策対応の変化
→ウクライナ危機発生以降、世界的な資源価格の高騰に見舞われるとともに、サプライチェーンの再構築など供給面の課題に も直面。コロナ禍後のV字回復で需要超過となり高インフレが発生した米国では、金融財政政策を引き締めており、世界的 なドル高傾向にある。こうした中、世界経済は減速が見込まれ、物価高と不況の同時発生が懸念される状況。 我が国では新型感染症からの回復は緩やかであり、企業の国内投資はコロナ前水準に届いていない。また、3〜4%の物価 上昇に対して賃金の伸びは2%弱にとどまっており、多くの家計で消費マインドが悪化するなどにより、需要不足が継続。⇒図1 日米比較でみたウクライナ危機発生以降のマクロ経済環境と政策対応の変化  参照。
○世界的なインフレ加速に伴う経済環境の変化→日米共に、2010年代には低成長・低金利・低インフレが常態化。  コロナ発生以降、物価・金利は上昇。今後は、インフレは徐々に緩和に向かう見通し⇒図2日米のコロナ発生以前の経済動向(年次)図3 日米のコロナ発生以降の経済動向 参照。
○需給ギャップと物価・賃金→需給ギャップが残る中、物価はフィリップスカーブから乖離して上昇するが、名目時給賃金はほとんど変わらず(スタグフ レーションのリスク)⇒図4 フィリップスカーブ(GDPギャップと物価の関係)図5(GDPギャップと賃金の関係) 参照。
○ドル円レート・購買力平価と国際収支の変化→長期的には為替レートは振れを伴いながらも購買力平価に沿って推移してきたが、直近では円安傾向で推移。  年代の貿易収支はゼロ近傍で推移してきたが、2022年は大幅な赤字になる見込み⇒図6 ドル円レートと購買力平価の推移、図7 国際収支の推移  参照。
○金利の動向→トレンド成長率が低下する中、自然利子率(経済・物価に対して引締め的にも緩和的にも作用しない中立的な実質金利の水準)は低下。  日米共に、イールドカーブは上方シフト。米国では、一部年限で逆イールドも見られる
○政府の役割の見直し→米国では、新しい経済政策としてModern Supply Side Economicsが提起される(2022年1月イエレン財務長官のダボスでの 演説等)など、供給力を政策的に引き上げる重要性が注目されている。これも踏まえ、2022年4月の大統領経済報告において、政府の役割を整理⇒民間にとって政府は、成長を阻害する要因ではなく、 成長に不可欠なパートナー。官と民の効果的なパートナーシップにより 市場とその潜在力を開拓・保護・発展させ、包摂的(inclusive)で豊かな社会を実現。(主な政府の役割)→マクロ経済の安定性確保。市場の失敗への対応、公共財への投資。格差の是正。
○人口減少の深刻さ@→生産年齢人口の減少は、今後加速する見込み。地方における生産年齢人口の減少は、更に急速となる見込み。⇒図11 人口の推移(2025年以降低位推計)、図12 生産年齢人口の推移(2015年以降中位推計)参照。一大事だ。
○人口減少の深刻さA→出生数・婚姻数共に長期低下傾向で推移してきたが、コロナ禍の2020年以降で加速。⇒図13 出生数の推移、 図14 婚姻件数の推移、図15 出生数 対前年比の推移、 図16 婚姻件数 対前年比の推移 参照。

次回も続き「料3−1 新経済・財政再生計画 改革工程表 2022 概要」からです。

令和4年第15回経済財政諮問会議 [2022年12月14日(Wed)]
令和4年第15回経済財政諮問会議(令和4年12月2日)
≪議事≫(1) 令和5年度予算編成の基本方針 (2) 経済・財政一体改革における重点課題(社会保障) (3) 成長と分配の好循環
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/1201/agenda.html
◎資料5−1 成長と分配の好循環形成に向けて(有識者議員提出資料)
分厚い中間層の形成は、経済格差の広がり・固定化を防ぎ、安定的な消費につな がることから、持続的な経済成長をもたらすことが期待される。
このため、成長と分配の両面から双方向で効果を及ぼしあい、また、バランスの取れた形で経済が拡大して いくようマクロ経済を運営していくことが重要である。 このためには、まずは、現在のコスト上昇に対する企業における価格転嫁と来年の春季労使交渉に向けた賃上げが不可欠。同時に、この機をのがさず、人への投資、研究開発投資を含む国内投資を加速するとともに、成長分野での雇用創出や 労働移動、正規化等を通じた労働市場の強化を通じて、新陳代謝を生み出しながら好 循環を拡大する必要がある。こうした取組を通じて、日本経済の供給サイドを抜本的に強化するとともに、分厚い中間層の形成と格差是正を実現していくべき。

1.企業の投資拡大と賃上げを通じた家計所得の増加に向けて→企業部門⇒借入依存も低く、可処分所得に対する投資水準も低いことから、貯蓄投資バランスが大きなプラス(貯蓄超過)となっている。長年停滞してきた企業投資 を活性化し、収益を拡大し、賃金引上げの原資にも結び付けるべき。また、家計部門⇒GDPに対する雇用者報酬の水準が低く、財産収入が少ないことも特徴。→ワイズスペンディングを徹底しつつ、長期計画的に政府投資を展開する「ダイナ ミックな経済財政運営」や労働市場の強化、規制改革の推進等官民連携で、企 業の国内投資拡大に結びつけていくべき。 継続的な賃上げ、正規化の促進により雇用者報酬を拡大していくべき。また、 資産所得倍増等の取組を通じて、可処分所得の拡大にもつなげるべき。

2.女性活躍の強力な推進→潜在的に高い就労能力を持つ割合は高く、ICTリテラシーに ついても諸外国と比べてそん色ないことから、成長産業での就業ポテンシャルは高い。
能力を生かせる女性活躍の場を創造し、L字カーブが解消するように、希望する女性 が多様かつ柔軟な形で正規職に従事して働きながら、安心して子供を育てられる社会を構築することを、成長と分配の好循環の拡大に向けたカギとすべき⇒目指すべき社会のベンチマークとして、子育て支援の拡充、女性の就労、多様 かつ柔軟な形での正規化促進への目安を示し、それに向けて一体的な政策パ ッケージを作り、取組んでいくべき。

3.成長を分厚い中間層の形成につなげ、それが成長を支える好循環を→非正規雇用比率の高いひとり親世帯では年収300万円以下の割合が約2/3を占め るほか、年収100万円以下の夫の妻の5割が100万円以下という状況。同時に、我 が国の所得再分配機能は、高齢者向けが中心であり、現役世代向けは弱い。持続的 な成長を伴う雇用・所得の充実とともに、給付と負担両面での現役世代への再分配機 能の強化が重要⇒子育て支援の拡充、働き方改革、スキルアップ・能力開発等を通じた労働市場 の強化を通じて、所得向上と格差是正を進めるべき。今後加速する労働人口の大幅な減少を見据え、税制を含めた応能負担の強化、 共助のしくみによる民間を含めた多様な分配、全世代型社会保障による給付の見直しを通じて、バランスのとれた世代内・世代間の再分配機能強化を図る べき。

4.成長と分配の好循環の PDCA 充実に向けて→今後、マクロの経済財政動向を分析する中長期試算に加えて、成長と分配の好循環 の進捗状況等について、しっかり検証できるようにしていくべき。その具体化に当たっ ては、マクロ指標の変動に合わせて、雇用者報酬や可処分所得といった所得関係の 指標についての試算を拡充させ、家計の将来の姿の見える化を行うべき。 (以上)


◎資料5−2 成長と分配の好循環形成に向けて(参考資料)(有識者議員提出資料)
○家計所得の増加に向けて
→日本の家計は、GDPと比べて雇用者報酬と財産収入等の水準が低い。 企業は、借入依存度も低く、可処分所得に比して投資水準が低いことから、貯蓄投資バランスが大きくプラス。⇒図1(1)(2)参照。
○女性活躍の強力な推進→日本の女性は、高い読解力及び数的思考能力を有する割合が他の先進国と比べても大きい。 • 正規と非正規の賃金格差は依然大きく、男女賃金格差の要因。特に女性配偶者で正規雇用比率は低い。⇒図2〜5参照。
○⼥性のL字カーブ解消等のインパクト→子育て世帯⇒女性の就業促進(正規雇用者比率の上昇)や子育て支援により所得が増加。  子育て世帯の現物給付を含めた可処分所得(調整可処分所得)は、@就業促進(2030年までに正規雇用者比率 が北欧女性平均に上昇した)ケースで2019年比+21%、A子育て支援ケースで同比+37%、B就業促進と子育て支援を同時実施のケースで同比+44%。  夫婦と子から成る世帯→子育て支援により、一人当たり所得で単身世帯に比べて2割程度高くなる。⇒図6参照。
○分厚い中間層の形成→夫婦ともに低所得の世帯が存在し一人親世帯⇒300万円未満の世帯が約2/3を占める。 日本の再分配機能→高齢者向けが中心、現役世代(18〜65歳)向けが弱い。 格差が大きい⇒一人当たりGDP成長率を低下させる可能性⇒図7〜10参照。

○(参考)インパクトシミュレーション(2030年時点の家計の姿)暫定試算概要
・主要想定
→2030年の経済の姿(ベースライン):「中長期の経済財政に関する試算」におけるシナリオ「ベースラインケース」の経済成長等(名目成長率は1%程度、 労働参加率が一定程度進むケース)を織り込み→設定@〜B参照。
・世帯主年齢30〜40代の世帯類型別所得変化(シミュレーション結果)→「世帯類型別所得:2019年時点との比較(一世帯当たり)」「単身世帯との比較(一人当たり・等価所得ベース 単身世帯の各シミュレーション時の所得=1)」あり。参照。


◎資料6 女性活躍の更なる推進に向けて(小倉臨時議員提出資料)
○⼥性の年齢階級別正規雇⽤⽐率(L字カーブ)、IT技術者の男⼥⽐率
→⼥性の労働⼒率が出産・育児期に低下するいわゆる「M字カーブ」は解消に向かっているが、出産後に⼥性の 正規雇⽤⽐率が低下するいわゆる「L字カーブ」は現在でも解消されていない。 ・今後も成⻑が⾒込まれるデジタル分野において、例えばIT技術者における⼥性の割合は19%に留まっている など、ジェンダーギャップが存在する。
○⽣活時間の国際⽐較(男⼥別)→無償労働時間の男⼥⽐を⾒ると、⽇本は5.5倍と、諸外国と⽐べて男⼥⽐が⼤きい。 有償労働時間の男⼥⽐を⾒ると、⽇本は1.7倍と、諸外国と⽐べて男⼥⽐が⼤きい。
○⺠間企業 管理職相当の⼥性割合の推移、⼥性役員数・⽐率の推移→⺠間企業の管理職相当の⼥性割合について、部⻑、課⻑、係⻑に就く⼥性割合は近年上昇傾向にあるが、上位 の役職ほど割合が低い。 上場企業の⼥性役員⽐率は、2022年には9.1%とここ10年間で5.8倍に増加。しかし、諸外国(⼥性役員⽐率 が約30〜40%)と⽐べていまだ低い⽔準となっている。


◎資料7 一般労働者(非正社員・正社員)、短時間労働者の賃金の動向 (西村議員提出資料)
○⼀般労働者(⾮正社員・正社員)、短時間労働者の賃⾦の動向→所得の向上
⇒労働移動の円滑化が不可⽋。 「⼈への投資」「リスキリング」でキャリアアップしていく(社内・転職問わず)。

次回は新たに「第24回社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」(資料)」からです。

令和4年第15回経済財政諮問会議 [2022年12月13日(Tue)]
令和4年第15回経済財政諮問会議(令和4年12月2日)
≪議事≫(1) 令和5年度予算編成の基本方針 (2) 経済・財政一体改革における重点課題(社会保障) (3) 成長と分配の好循環
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/1201/agenda.html
◎資料4 経済・財政一体改革(社会保障改革)の取組状況(加藤臨時議員提出資料)
令和4年12月1日   加藤臨時議員提出資料
○医療・介護制度の改革について@
→「全世代型社会保障の構築に向けた医療・介護制度の改革」⇒2040年を視野に入れて、医療制度の改革を進めることが重要。特に、2025年までに後期高齢者割合が急激に高まることを踏まえ、 現役世代の負担上昇の抑制を図りつつ、負担能力に応じて、全ての世代で、増加する医療費を公平に支え合う仕組みを強化すること が必要。 こうした観点から、「出産育児一時金の大幅な増額と出産費用の見える化」「出産育児一時金の費用を負担能力のある後期高齢者も含めて医療保険の加入者全体で支え合い」「後期高齢者の保険料負担や現役世代の支援金のあり方の見直し、被用者保険者間の格差是正」といった課題について、引き続き、全世代型社会保障構築会議での議論を踏まえて、検討を行っていく。↓
・医療費の適正化→2024年度からはじまる第4期医療費適正化計画の策定に向けて医療費適正化の更なる推進と計画の実効性の確保のため、 骨太の方針2021等を踏まえ、必要な法制上の措置を講ずる。 医療費の地域差縮減に向けては、医療資源の投入量に地域差がある医療⇒地域ごとに都道府県、医療関係者、保険者 などが保険者協議会等において把握・検討を行い、これを踏ま えて必要な適正化に向けた取組を進めることを検討。
・予防・健康づくりにおける自治体のインセンティブ向上→保険者努力支援制度(国民健康保険)⇒これまで、 自治体における予防・健康づくり等の取組状況を踏まえつつ、 予防・健康インセンティブ強化の観点から、予防・健康づくり に関する評価指標の配点割合の引き上げ等によるメリハリの強化や、成果指標の組換えなど制度の見直しを行ってきた。
 令和5年度も、医療費適正化に資するアウトカム評価として重複・多剤投与者数に関する指標を設定するなど、今後も各保険者の取組状況等を踏まえ、保険者機能の強化と医療費適正化に 繋がるよう評価指標・配点割合の見直し等を適切に実施する。

○医療・介護制度の改革についてA→「全世代型社会保障の構築に向けた医療・介護制度の改革」⇒今後の医療ニーズや人口動態の変化、コロナ禍で顕在化した課題を踏まえ、医療の機能分化と連携など、医療提供体制の改革を進め ていくとともに、高齢化が進展する中、生産年齢人口が減少していくことを見据えて、介護制度の改革を進めることが重要。 このため、以下のような点も含めて、引き続き、全世代型社会保障構築会議での議論を踏まえて、検討を行っていく。↓
・医療提供体制→「かかりつけ医機能が発揮される制度整備」「地域医療構想」「医療法人の経営情報データベース」
・介護制度→「地域包括ケアシステムの更なる深化・推進→地域の拠点となる在宅サービス基盤等 を整備」「介護人材の確保、生産性向上の推進」「持続可能性の確保→利用者負担、多床室の室料負担、ケアマネジメントに関する 給付、軽度者への生活援助サービス等、高所得者の保険料負 担等について検討。」

○医療分野のDXについて→医療DX (※)医療分野でのデジタルトランスフォーメーションを通じたサービスの効率化や質の向上により国民の保 健医療の向上を図るなど、我が国の医療の将来を大きく切り拓いていくもの。 医療界や産業界とも一丸となって取り組んでいく必要があり、政府においても、縦割りを排し、省庁横断的に取組を推進する体制を 整備する必要があることから、本年10月に総理を本部長とする「医療DX推進本部」を設置。 医療DX推進本部の下で、全国医療情報プラットフォームの創設、電子カルテ情報の標準化、診療報酬改定DXなど各種施策について 議論を進め、スピード感をもって取り組むための工程表を来春メドで策定予定。 (※) 医療DXとは、保健・医療・介護の各段階(疾病の発症予防、受診、診察・治療・薬剤処方、診断書等の作成、診療報酬の請求、医療介護の連携に よるケア、地域医療連携、研究開発など)において発生する情報やデータに関し、全体最適された基盤(クラウドなど)を活用することを通じて保健・医療や介護関係者の業務やシステム、データ保存の外部化・共通化・標準化を図り、国民自身の予防を促進、より良質な医療やケアを受けられるように、社会や生活の形を変えていくこと。

≪参考資料≫
○第4期医療費適正化計画( 2024 〜 2029 年度)に向けた見直し(案)
→医療費の更なる適正化に向けて、@新たな目標として、複合的なニーズを有する高齢者への医療・介護の効果的・効率的な提供 等を加えるとともに、A既存の目標についてもデジタル等を活用した効果的な取組を推進する。また、計画の実効性を高めるた め、B都道府県が関係者と連携するための体制を構築する。
○保険者努力支援制度→平成27年国保法等改正により、市町村国保について、医療費適正化に向けた取組等に対する支援を行うため、保険者 の取組状況に応じて交付金を交付する保険者努力支援制度を創設。⇒制度概要 参照。
○保険者努力支援制度における重複・多剤投与者数に関する指標→令和5年度市町村取組評価分⇒B重複・多剤投与者数(対被保険者1万人)が前年度から減少していること 10点。令和5年度都道府県取組評価分【指標A :重複・多剤投与者数】(新設)⇒A 都道府県の重複・多剤投与者数(対被保険者1万人)の前年度からの減少幅が大きい順に、全都道府県の上位6位から10位である場合 7点。
○普通調整交付金の概要→各都道府県の調整対象需要額、調整対象収入額のいずれも、当該都道府県における医療費水準と連動するため、 その差額から算出される普通調整交付金の交付額も医療費水準に連動。 ⇒ 医療費水準が高い都道府県では、その分、交付額が増加。他方、その医療費に対応して確保すべき保険料額も増加。
○かかりつけ医機能が発揮される制度整備(骨格案)→国民・患者はそのニーズに応じてかかりつけ医機能を有する医療機関を選択して利用。 医療機関は地域のニーズや他の医療機関との役割分担・連携を踏まえつつ、自らが担うかかりつけ医機能の内容を強化
(高齢者の場合)⇒「国民・患者のニーズ」「制度整備の内容」「 期待される効果」あり。
○地域におけるかかりつけ医機能の充実強化に向けた協議のイメージ→<慢性疾患を有する高齢者の場合のイメージ> あり。※他院を支援する意向も報告し、不足する機能の充足の協 議に活かす。 ※報告を求める具体的な機能については、今後、有識者や専門家等の参画を得て、さらに詳細を検討 (診療所に加え、医療機関が病院の場合も検討)。
○2025年以降における地域医療構想について→地域医療構想⇒これまでもPDCAサイクルや都道府県の責務の明確化による取組の推進を 行ってきており、現在の2025年までの取組を着実に進めるために、PDCAも含め責務の明確化による取組 の強化を図っていく。 さらに、2025年以降についても、今後、高齢者人口がピークを迎えて減少に転ずる2040年頃を視野に 入れつつ、新型コロナ禍で顕在化した課題を含め、中長期的課題について整理し、新たな地域医療構想を 策定する必要がある。そのため、現在の取組を進めつつ、新たな地域医療構想の策定に向けた課題整理・ 検討を行っていく。
・2025年までの取組となっている地域医療構想⇒第8次医療計画(2024年〜)の策定とあわせて、病院のみならずかかりつけ医機能や 在宅医療等を対象に取り込み、しっかり議論を進めた上で、さらに生産年齢人口の減少が加速していく2040年に向けたバージョンアップを行う必要 がある。
○医療法人の経営情報データベース構築→医療法人の経営情報を把握・分析するとともに、その分析により国民に丁寧に説明するため、新たな制度として医療法人の経営情 報を収集してデータベースを構築。また、医療法人の経営情報のデータベースは、医療機関の経営分析に活用することも可能となる。原則、全ての医療法人対象。
○介護予防・日常生活支援総合事業の推進 〜生活支援・介護予防サービスの充実と高齢者の社会参加〜→単身世帯等が増加し、支援を必要とする軽度の高齢者が増加する中、生活支援の必要性が増加。 ボランティア、NPO、民間企業、協同組合等の多様な主体が生活支援・介護予防サービスを提供することが必要。  高齢者の介護予防が求められているが、社会参加・社会的役割を持つことが生きがいや介護予防につながる。 多様な生活支援・介護予防サービスが利用できるような地域づくりを市町村が支援することについて、 制度的な位置づけの強化を図る。
○(拡充)介護生産性向上推進総合事業(地域医療介護総合確保基金(介護従事者確保分)) 〔“介護事業所に対する業務改善支援事業’’の拡充〕令和5年度概算要求額:地域医療介護総合確保基金(介護従事者確保分)の内数(地域医療介護総合確保基金 137億円の内数)→都道府県の主導のもと、介護人材の確保・処遇改善、介護ロボットやICT等のテクノロジーの導入、介護助手の活用など、 介護現場の革新、生産性向上に資する様々な支援・施策を一括して網羅的に取り扱い、適切な支援につなぐワンストップ型の総合的 な事業者への支援を可能とする「介護生産性向上推進総合事業」を実施するための基金メニューを設ける。⇒都道府県が主体となり、「介護生産性向上総合相談センター(仮称) 」を設置。介護現場革新会議において策定する基本方針に基づ き、介護ロボットやICT、その他生産性向上に関する取組を実施する他、人材確保に関する各種事業等とも連携の上、介護事業者に対 し、ワンストップ型の支援を実施。⇒【補助要件】【実施事項】参照。 その他⇒都道府県が介護現場の生産性向上をさらに推進する方策を別途検討。 本メニュー設置に伴い既存基金メニューとの整理を予定。
○介護サービス事業所の経営の大規模化・協働化について→地域や事業者の実情やニーズを踏まえ、介護サービスの経営の大規模化・協働化が進んでいくことは、生産性向上の観 点からも重要であり、各地域・事業者においても様々な取組が行われている。⇒協同組合の取り組み。社会福祉法人 小田原福祉会 (小田原市)参照。
○給付と負担について(総論)→(1)被保険者・受給者範囲 (2)補足給付に関する給付の在り方 (3)多床室の室料負担 (4)ケアマネジメントに関する給付の在り方 (5)軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方 (6) 「現役並み所得」、 「一定以上所得」の判断基準 (7)高所得者の1号保険料負担の在り方⇒各論点の検討を行う

次回も続き「資料5−1 成長と分配の好循環形成に向けて(有識者議員提出資料)」からです。

令和4年第15回経済財政諮問会議 [2022年12月12日(Mon)]
令和4年第15回経済財政諮問会議(令和4年12月2日)
≪議事≫(1) 令和5年度予算編成の基本方針 (2) 経済・財政一体改革における重点課題(社会保障) (3) 成長と分配の好循環
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/1201/agenda.html
◎資料1 内閣総理大臣からの諮問第 48 号について →R4/12/1予算編成は?

◎資料2 令和5年度予算編成の基本方針(案) ↓
1. 基本的考え方
@ 我が国経済は、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進みつつ ある中、緩やかな持ち直しが続いている。ロシアによるウクライナ侵略を背景とした国際的な原材料価格の上昇や円安の 影響等によるエネルギー・食料価格の高騰、欧米各国の金融引締めによる世界的な景気後退懸念など、我が国経済を取り巻く環境には厳しさが増している。 A こうした状況から国民生活と事業活動を守り抜くとともに、景気の下振れリスクに先手を打ち、我が国経済を民需主導の持続的な成長経路に乗せていくため、「物価高・円安への対応」、「構造的な賃上げ」、「成長のための投資と改革」を重点分野とする財政支出 39.0 兆円・事業規模 71.6 兆円の「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」(令和4年 10 月 28 日閣議決定)を策定。これを速やかに実行に移し、経済対策の効果が最大限に発揮されるよう万全の経済財政運営を行う。 B 足元の物価高を克服しつつ、新しい資本主義の旗印の下、社会課 題の解決に向けた取組を成長のエンジンへと転換し、我が国経済を 持続可能で一段高い成長経路に乗せていくため、以下の重点分野に ついて、計画的で大胆な投資を官民連携の下で推進する。 まず、民主導での成長力の強化と「構造的な賃上げ」を目指し、 リスキリング支援も含む「人への投資」の抜本強化と成長分野への労働移動の円滑化、地域の中小企業も含めた賃上げ等を進める。 また、科学技術・イノベーション、スタートアップ、グリーント ランスフォーメーション(GX)、デジタルトランスフォーメーショ ン(DX)といった成長分野への大胆な投資を、年内に取りまとめられるスタートアップ育成5か年計画やGX促進に向けた今後 10 年間のロードマップ等に基づき促進する。 C コロナ禍において、婚姻件数・出生数が急激に減少するなど我が 国の少子化は危機的な状況。こうした中、「こども家庭庁」を 創設し、出産育児一時金の大幅増額を始めとする結婚・妊娠・出産・ 子育てに至るまで切れ目ないこども・若者・子育て世帯への支援な ど、少子化対策を含むこどもに関する必要な政策の充実を図り、強 力に進めていく。 全ての人が生きがいを感じられ、多様性のある包摂社会を目指し、 全世代型社会保障の構築、女性活躍、孤独・孤立対策、就職氷河期 世代への支援等に取り組む。 D ロシアによるウクライナ侵略も含め、国際情勢・安全保障環境が 激変する中、来年のG7広島サミットや日本ASEAN友好協力 50 周年特別首脳会議の開催、国連安保理非常任理事国を務めることも見据え、機動的で力強い新時代リアリズム外交を展開するとともに、 防衛力を5年以内に抜本的に強化する。防衛力の抜本的強化⇒必要となる防衛力の内容の検討、そのための予算規模の把握及び財源の確保を一体的かつ強力に進め、年末に改定される新たな「国家安全保障戦略」等に基づいて計画的に整備を進める。 E 国際情勢の変化に対応したサプライチェーンの再構築・強靱化が急務となる中、円安のメリットもいかし、企業の国内回帰など国内での「攻めの投資」、輸出拡大の推進により、我が国の経済構造の強靱化を図るとともに、半導体を始めとする重要な物資の安定供給の 確保や先端的な重要技術の育成等による経済安全保障の推進、食料 安全保障及びエネルギー安全保障の強化を図る。 F 新型コロナウイルス感染症対策⇒ウィズコロナの下、国民の命と健康を守りながら、感染拡大防止と社会経済活動の両立を 図る。次の感染症危機に備え、司令塔機能の強化に取り組む。 G 防災・減災、国土強靱化の取組を強力に推進するとともに、これまでの成果や経験をいかし、更なる取組を推進するための次期国土強靱化基本計画の検討を進め、中長期的かつ継続的に取り組む。 東日本大震災からの復興・創生、交通・物流インフラの整備、農林水産業の振興、質の高い教育の実現、観光や文化・芸術・スポーツの振興、2050 年カーボンニュートラルを目指したグリーン社会の 実現等に取り組み、デジタル田園都市国家構想の実現に向けた取組と併せて地方活性化に向けた基盤づくりを推進。 H 経済財政運営⇒経済の再生が最優先課題。経済あっての財政、順番を間違えてはならない。必要な政策対応に取り組み、経済をしっかり立て直す。そして、財政健全化に向 けて取り組む。政策の長期的方向性や予見可能性を高めるよう、単年度主義の弊害を是正し、国家課題に計画的に取り組む。

2.予算編成についての考え方→ @ 令和5年度予算編成⇒令和4年度第2次補正予算と 一体として、上記の基本的考え方及び「経済財政運営と改革の基本 方針 2022」(令和4年6月7日閣議決定。「骨太方針 2022」)に沿って、足元の物価高を克服しつつ、経済再生の実現に向け、人への投資、科学技術・イノベーション、スタートアップ、G X、DXといった成長分野への大胆な投資、少子化対策・こども政策の充実等を含む包摂社会の実現等による新しい資本主義の加速や、 外交・安全保障環境の変化への対応、防災・減災、国土強靱化等の 国民の安全・安心の確保を始めとした重要な政策課題について必要な予算措置を講ずるなど、メリハリの効いた予算編成を行い、その 政策効果を国民や地方の隅々まで速やかに届け、我が国経済を持続 可能で一段高い成長経路に乗せていくことを目指す。 A その際、骨太方針 2022 で示された「本方針及び骨太方針 2021 に 基づき、経済・財政一体改革を着実に推進。ただし、重要な政策の選択肢をせばめることがあってはならない」との方針を踏まえる。 B 歳出の中身をより結果につながる効果的なものとするため、骨太方針 2022 を踏まえ、新経済・財政再生計画の改革工程表を策定し、EBPMやPDCAの取組を推進し、効果的・効率的な支出(ワイ ズスペンディング)を徹底する。


◎資料3−1 経済・財政一体改革における重点課題(社会保障)(有識者議員提出資料)→
成長と分配の好循環実現⇒個人消費に大きな影響を与える家計可処分所得の拡大が不可欠。そのためには、人への投資を通じた賃金・所得の上昇に加え、更なる踏み込んだ社会保 障制度改革を通じて、現役世代の社会保険料負担の上昇を抑制していくことが重要。その対応として、医療・介護等の社会保険制度の中の改革を徹底するとともに、医療・介護分野の成長力強化という社会保険制度の外の改革にも取り組んでいくことが必要。
前者
⇒今後、労働人口が減少していく中にあって、2025年に全ての団塊世代が後期高齢者となり、2040年代初頭には高齢者数が最多を迎えることから、医療・介護費の地域差縮減と増加の抑制を徹底するとともに、全世代型社会保障の考え方の下で、現役世代への給 付の拡充と応能負担の着実な強化を進めていくべき。   後者⇒医療・介護分野でDXを始めとする生産性の向上やヘルスケアや創薬等の 市場拡大を通じて、国民の健康を増進し、医療・介護費の抑制や高齢者の労働参加による社会 保障の担い手の増加に結び付けていくため、必要な規制・制度の見直しを抜本的に行う必要がある。 こうした可処分所得拡大に向けた取組に加え、今後の医療・介護需要の増大、緊急事態対応 への備えといった大きな変化を乗り越えるため、医療・介護の提供体制の構造を強化することも急務。データを活用しながら、地域医療構想の実現、地域包括ケアシステムの深化を 図り、限られた医療・介護資源の最適配分を実現していかなければならない。 こうした観点を踏まえ社会保障分野⇒令和5年度予算を含め、以下の改革を実 行していくべき。

1.家計可処分所得の拡大に向けた負担の抑制ときめ細やかな給付→来年度策定される都道府県の次期医療費適正化計画に、長年の課題である医療費の地域 差縮減1 を加速する方策を反映すべき。また、マイナンバーも活用した世帯属性に応じたきめ細 やかな給付や応能負担の強化を実現すべき。
・一人当たり医療費の地域差は、入院が主要因。その解消には、地域医療構想を推進し、病 床の機能分化を進めるとともに、次の施策を講ずべき。→同じ疾病・症状で外来と入院の判断が異なるなど、提供する医療サービスのバラつき が地域差に影響している可能性。医療DXの下で整備するデータベースを活用し、標準的な医療サービスを特定した上で、その展開を図るべき。   入院発生率を抑制し、重症化を防ぐには、予防・健康づくりが重要。保険者である都道府県・市町村間の財源調整に使われる国保の普通調整交付金は、保険者努力支援制度と一体的に見直し、移行期間を確保しつつ、予防・健康づくりと医療費適正化への 自治体のインセンティブを高める仕組みに計画的に転換していくべき。
・全世代型社会保障の下で議論が進められている医療・介護の給付と負担の見直し→現役世代の保険料負担の上昇を抑制するとともに、将来世代に負担を先送りするこ とのないよう検討し、議論を先送ることなく、年内に結論を得るべき。
・マイナンバーを通じた、所得等の情報の活用による給付の迅速化等について、「マイナンバ ーの利活用拡大に向けたタスクフォース」の検討に基づいて着実に推進すべき。

2.医療・介護分野でのイノベーションを生み出す規制・制度整備→医療・介護のDX等により、ヘルスケア・医薬産業の成長力強化(HX)を進めるとともに、予 防・健康づくりを強化し、医療・介護費の抑制や、高齢者の労働参加による社会保障の担い手 の増加を図るべき。そのための規制・制度整備を強力に推進すべき。
・HXを推進する上で、電子カルテ標準化や医療・介護全般の情報を共有する「全国医療情報 プラットフォーム」の創設は不可欠な基盤であり、確実に実現すべき。同時に、民間事業者がイノベーションのためにデータを円滑に二次利用できるよう、現行の 規制を見直すべき。具体的には、上記プラットフォーム等にある幅広い個人情報を、研究 開発に適した形で匿名化した上で、その扱いについて事前規制(二次利用に関する本人同意 原則)から事後規制(事務負担の少ない形でのオプトアウト)とする等の制度整備を行うべき。
・医療・健康アプリ(SaMD5 )をはじめ医療機器の社会実装を促進するため、迅速に各種規制 の見直しを図るべき。

3.医療・介護資源の最適配分の実現→将来の医療・介護需要の増大に対して、国民が安心して必要なサービスを受けることができるよう、人材・インフラ・財政といった限られた資源の最適配分を実現すべき。
・医療提供体制について、かかりつけ医機能の発揮・在宅医療の充実につながる身近な地 域での連携強化と、入院・救急を中心とする高次機能の集約化を図り、機能分化を徹底して 進めるべき。→かかりつけ医機能は、地域での日常的な医療の提供・介護サービス等との連携のた めに必要なインフラ。国民、診療所、病院それぞれがWIN・WINの関係となるよう具体 的な検討を行い、国民目線で分かりやすい仕組みとすべく、かかりつけ医機能を明確 化し、情報提供を行う等の制度整備の内容を次期医療制度改革法案に盛り込むべき。 ナース・プラクティショナー制度6 の検討など、地域医療における医療関係職間のタスク シェアを推進すべき。 地域医療構想の実現に向けて、機能別にみた回復期病床への転換が遅れている。都道府県における達成状況の公表や未達成の場合の都道府県の責務の明確化に関する法制上の措置を講ずるべき。また、財政上のインセンティブに技術的支援を組み合 わせることで、病床機能の転換を強力に推進すべき。
・医療機関の経営状況の見える化の推進について→国公立病院等は、病床確保のための補助金により2020年度以降経営状況が大きく改善。民間に比べて高い病床確保率という成果と補助金というコストのバランスが適正 であったか十分な検証を行い、将来の感染症危機の対応に活かすべき。   医療機構系の独立行政法人⇒補助金による積立金の発生によって財務規律が緩む ことのないよう、引き続き経営改善・強化に取り組むとともに、法令に基づき余剰資金 は国庫返納すべき。また、構造的な赤字体質である公立病院は、「公立病院経営強化 ガイドライン」に沿った改革を加速すべき。   民間病院⇒政府からの補助と経営状況の見える化はセットであるべき。職 種別の給与データをはじめ医療法人等の財務諸表のデータベース整備を、時間軸を 定め、強制力を持って進めるべき。
・今後、サービス需要が特に高まる介護→ICT・AI・ロボットの活用により生産性向上を図るとともに、事業者の大規模化・協働化 による経営・システム面の効率改善を進め、人材面・財政面で事業者の持続可能性が 高まるよう基盤整備を進めるべき。地域で医療・介護サービスを一体的に提供する必要性が高まる中、NPO等の共助も 重要な支え手として位置付けた上で、かかりつけ医機能が発揮される制度整備とも連 携して、地域包括ケアシステムの深化を進めるべき。


◎資料3−2 経済・財政一体改革における重点課題(社会保障)(参考資料) (有識者議員提出資料)
○成長と分配の好循環と社会保障
→賃金等に占める社会保険料の割合は年々高まっており、家計可処分所得の伸びは賃金の伸びに対して抑制。成長と分配の好循環のカギとなる可処分所得拡大に向けて応能負担の強化、医療・介護制度の効率化とともに医療・介護分野でのDX(HX)の推進により成長力強化と健康増進を同時に実現することで社会保障給付費の増加とそれによる社 会保険料の引上げを抑制していくことが重要。⇒図1〜3参照。

○一人当たり医療費の地域差縮小の加速→一人当たり医療費の地域差の主たる要因は、入院。地域医療構想の実現により病床の機能分化を進めるとともに、医療 サービスの標準化を行い、外来・入院等の判断の違いを狭め、投入する医療資源の平準化を図るべき。 あわせて、入院発生率を抑制し、重症化を防ぐため、予防・健康づくりを推進する必要。財政インセンティブの大胆な見直し を図るべき。⇒図4〜7参照。

○ヘルスデータの利活用によるHX(医薬産業の成長力強化)の推進→HXの推進は、ヘルスケア産業や医薬産業の成長力強化につながるとともに、国民の健康増進を通じて、医療・介護費の抑 制や社会保障の担い手となる高齢者の増加にも資する。 民間事業者がイノベーションのためにデータを円滑に二次利用できるよう、データベースにある幅広い個人情報を、研究開発に適した形で匿名化し、事前規制(本人同意)ではなく事後規制(オプトアウト)により管理する規制・制度整備を行うべき。⇒図8〜9参照。

○医療提供体制の強化→かかりつけ医機能は国民目線で分かりやすい仕組みとすべく、かかりつけ医機能を明確化し情報提供を行う等の制度 整備の内容を次期医療制度改革法案に盛り込むべき。 地域医療構想は機能別に見た回復期病床への転換に遅れ。未達成の場合の都道府県の責務を法制上明確化するとともに、財政インセンティブに技術的支援(データ分析、助言)を組み合わせ、病床機能の転換を強力に推進すべき。⇒図10〜11参照。

○医療機関の経営状況の見える化→国公立病院等は民間に比べて高い病床確保率であったが、一方で病床確保のための補助金受給により、2020年度以降 経営状況が大きく改善。成果とコストのバランスが適正であったか検証を行い、将来の感染症危機対応に活かすべき。 医療機構系の独立行政法人→財務規律が緩まぬよう引き続き経営改善・強化に取り組むとともに法令に基づき余剰資 金は国庫返納すべき。構造的な赤字体質である公立病院は、「公立病院経営強化ガイドライン」に沿った改革を加速すべき。⇒図12〜14参照。

次回も続き「資料4 経済・財政一体改革(社会保障改革)の取組状況(加藤臨時議員提出資料)」からです。

令和4年第12回経済財政諮問会議 [2022年11月01日(Tue)]
令和4年第12回経済財政諮問会議 (令和4年10月5日)
≪議題≫(1) 総合経済対策に向けて (2) 人への投資、労働移動による所得向上 (3) GX投資、サステナブルファイナンス市場の拡大
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/1005/agenda.html
◎資料3−1 GXを通じた持続可能な経済構造の構築(有識者議員提出資料)
気候変動対策が待ったなしの世界的な社会課題である中、ロシアによるウクライナ侵攻以降の化石燃料高騰によるエネルギー価格上昇が世界各国のインフレや国民負担増加を引き起こしたことで、欧米等の先進各国では、イノベーションの実装促進などのグリーン化政策への踏み込んだ 強化が進められている。世界の動きを踏まえた上で、その最先端に並べるよう、今回の総合経済対策で思い切ったスタートを切り、効率的・効果的な形でGXを確実に加速させることで、市場が拡大していくという展望が重要。脱炭素化への移行(トランジション)に向け、原発の再稼働に対応しながら、経済安全保障の観点も含め、今後10年間の明確かつ具体的なロードマップを策定すべき。 再エネの主力電源化や原発の活用など化石燃料に依存しない経済構造の強靱化とGX市場の育成を通じた高コスト体質の是正が必要、民間の予見可能性を高めながら官民連携で一刻も早く取り組んでいくべき。

1.GXの本格化→海外先進国においてもグリーン化のための財政資金の確保が最重要課題となっていることを踏まえ、我が国としてもGXに本格的に踏み込むことを内外に示すため、ロードマップに従って多年度にわたる効果的・効率的な支出を徹底すべき。 企業・家計に行動変容を求める規制やインセンティブにより、新しいビジネスや市場を生み出し ていくという展望を今回の総合経済対策の中で明示すべき。 安全性の確保を前提とした原子力発電所の再稼働に加え、運転期間延長、次世代革新炉の開発・建設などに関する有識者による議論を踏まえ、適切な決断を進めるとともに、脱炭素化への移行に向けて、原発の活用を着実に実現するため、活用促進の工程をロードマップの中で明確にすべき。 地域の民生部門などの省エネ・再エネ導入やエネルギー地産地消などを推進する地域脱炭素化において、安価なエネルギー利用と雇用創出・賃金上昇にも総合的に取り組み、地域活性化 の手段として位置付けるべき。

2.エネルギーの高コスト体質の是正
→エネルギーコストの低下に向けて、原発の活用や化石燃料依存の抑制を推進するほか、産官学の連携の下、世界最高水準である我が国の脱炭素関連技術の事業化を促進するとともに、 国によるゾーニングの強化など環境整備と設置拡大を加速すべき。 再エネ余剰電力の有効活用のため、エネルギー貯蔵を促進する仕組みを早急に構築すべき。   中小企業や農林水産業者へのエネルギーコスト対策において、省エネ導入などのグリーン化を要件とすることで、体質強化を図るべき。DXの進展を見据え、グリーンbyデジタルやデータセ ンター等ICT分野の省エネ化も進めるべき。

3.民間の予見可能性の向上とサステナブルな投資・金融の拡大→我が国は脱炭素関連特許出願件数が世界で最も多く、こうした優れた技術を海外展開も見据えて国内で円滑に事業化させることが重要。GXの高い外部性を踏まえて、技術の実装段階などへの政府の支援を強化すべき。   GXリーグでの検討を経て2026年までの本格稼働が目指されている成長志向型排出権取引市場を見据え、2050年カーボンニュートラルに向けて予見可能性を高める長期的な炭素排出量 削減措置を示し、革新的なイノベーションの実装を促進すべき。このためにも、ロードマップの策定に当たり、グリーンボンド市場の育成等を図りつつ、今後10年間で20兆円と言われる政府資金について、GX経済移行債の将来の財源の裏付けとともに官民協調で150兆円のGX投資が誘発される仕組みを明らかにすべき。具体的には、対日直接投資など海外からの資金調達や公共インフラへのPPP/PFIの導入も含め、各種官民資金の相互関連性や規模感を示しながら、150兆円投資が実現するまでの全体像となるロジックモデルを構築し、EBPMによるPDCAの 取組を徹底すべき。 民間から長期の巨額投資を引き出す我が国のサステナブルファイナンス市場の魅力向上と拡 大に向けて、海外投資家も含めマーケットとのコミュニケーションを図りながら、成長志向型排出権取引市場の本格稼働も見据えた環境整備の具体化を加速すべき。


◎資料3−2 GXを通じた持続可能な経済構造の構築(参考資料)(有識者議員提出資料)
○GXの本格化
→GXに本格的に踏み込むことを内外に⽰すため、ロードマップに従って多年度にわたる効果的・効率的な⽀出を徹底すべき。企業・家計への規制・インセンティブにより新しい市場を⽣み出すとともに、地域脱炭素化を地域活性化の⼿段として位置付けるべき。 安全性の確保を前提とした原発の活⽤を着実に実現するため、活⽤促進の⼯程をロードマップの中で明⽰すべき。⇒図1 欧⽶における最近のグリーン化政策の動向  図2 電源別発電コスト⽐較 図3 排ガスNOx規制値(1978年)  図4 ⾃動⾞台数の推移 図5 脱炭素の取組が地域の所得向上に結び付いた例

○エネルギーの⾼コスト体質の是正→産官学の連携の下、世界最⾼⽔準である我が国の脱炭素関連技術の事業化を促進するとともに環境整備を加速すべき。 再エネ余剰電⼒の有効活⽤のため、エネルギー貯蔵を促進する仕組みを早急に構築すべき。 中⼩企業や農林⽔産業者への⽀援において、省エネ導⼊などのグリーン化を要件とすることで、体質強化を図るべき。⇒図6〜図9の参照。

○⺠間の予⾒可能性の向上とサステナブルな投資・⾦融の拡⼤→GXの⾼い外部性を踏まえて、技術の実装段階などへの政府の⽀援を強化すべき。カーボンニュートラルに向けて予⾒可能 性を⾼める⻑期的な炭素排出量削減措置を⽰し、⾰新的なイノベーションの実装を促進すべき。サステナブルファイナンスの拡⼤に向けて、成⻑志向型排出権取引市場の本格稼働も⾒据えた環境整備の具体化を加速すべき。⇒図10〜図15の参照。


◎資料4 人材の育成・活性化と労働移動を通じた「構造的な賃上げ」の実現 (加藤臨時議員提出資料)
○人材の育成・活性化と労働移動を通じた「構造的な賃上げ」の実現
→ 働く人の意識の変化や構造変化が加速していく中で、人材の育成・活性化や円滑な労働移動を促進すること で、「多様な働き方」を可能とする労働市場の整備を通じた「構造的な賃上げ」を実現していく。⇒「多様な働き方」・「構造的な賃上げ」 を実現する好循環→セーフティネットの再整備をして、しなやかな労働市場を作るために、 参照。

≪参考資料≫↓
○令和4年度の最低賃金について→令和4年度の目安額は、全国加重平均で31円の引上げで、昭和53年に目安制度が始まって以降最高額。 この目安額を踏まえ、8月23日までにすべての都道府県の地方最低賃金審議会で改定額を答申。47都道府県のうち、 25局で目安額どおり、22局で目安額を上回る引上げとなり、全国加重平均で961円となった。
○春闘の状況について(月例賃金)→本年の月例賃金の賃上げ率は、4年ぶりに昨年同時期を上回っている。この20年間で2番目に高い水準(連 合調査)。
○就業形態別にみた時給換算した賃金(名目・実質)の推移→いずれも増加傾向。
○1 5〜6 4歳の正規雇用者数等の動向→2013年〜2021年⇒男性では約50万人増加(2,223→2,271万人)、女性では約200万人増加(998→1,191万人)。 雇用者に占める正規雇用者の比率⇒2013年〜2021年⇒男性は約1.6%ポイント、女性は約4%ポ イント上昇。

次回は新たに「第21回 社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」(資料)」からです。

令和4年第12回経済財政諮問会議 [2022年10月31日(Mon)]
令和4年第12回経済財政諮問会議 (令和4年10月5日)
≪議題≫(1) 総合経済対策に向けて (2) 人への投資、労働移動による所得向上 (3) GX投資、サステナブルファイナンス市場の拡大
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/1005/agenda.html
◎資料1−1 総合経済対策の策定に向けて〜経済効果を最大限発揮するために〜 (有識者議員提出資料)
日本経済を取り巻く環境は厳しさを増している。物価上昇による実質所得減、原料コスト高騰による収益圧迫、欧米の金融引き締めによる世界経済の減速など、本年から来年にかけて我が国 経済には大きな下押し圧力がかかることが想定。今回取りまとめる経済対策は、こうした下押し圧力を乗り越え、日本経済を持続可能で一段高い成長経路に乗せるための予算、税制、規制・制度改革を大胆に進める総合的な政策パッケージとすべき。

1.物価上昇への対応、更なる賃上げに向けたマクロ環境整備→食料品・エネルギー価格高騰への機動的な対応とともに、物価上昇に負けない継続的な賃金上昇が不可欠。本年の賃上げ率(連合集計 2.07%)を更に上回る賃金増加が可能となるよう、 政府は今年度から来年度にかけて、実質2%〜2%台半ばの経済成長率を目指したマクロ経 済運営を行うべき。総合経済対策はそのためのブースターとすべき。 こうした成長を実現すれば、結果としてマクロ的な需要不足(GDPギャップ2 )も今年から来年 にかけて相当程度縮小する。国内経済に内在するデフレ圧力は弱まり、世界経済が減速する 中にあっても、適正な価格転嫁と更なる賃上げの好循環が生まれやすくなる。  今回の経済対策→こうしたマクロ環境の実現に向け、物価高で厳しい状況にある方々へ の的を絞った対応を行うとともに、円安メリットを生かした地域活性化と「稼ぐ力」の向上、重点 投資分野(人への投資、科学技術・イノベーション、スタートアップ、GX・DX)を中心に官の投資 を呼び水にした民間需要の更なる誘発など、予算だけでなく税制や規制・制度改革を総合的 に行う官民連携の成長促進対策とすべき。

2.賃金の継続的な上昇→賃上げ環境の整備は、我が国雇用の7割が中小企業にあることを踏まえ、中小企業 が適正に価格転嫁できる企業間パートナーシップの構築、販路拡大・新分野への挑戦など収 益向上に向けた投資環境の整備を行うべき。あわせて、政策的な支援を行う際には賃上げの 実施を採択の条件とするなどメリハリの効いたインセンティブ付けをすべき。   最低賃金は、今年度の 961 円(全国加重平均)ができる限り早期に 1,000 円以上となるよう政策支援を行うとともに、その後も、最低賃金の引上げが良質の雇用を生み、地域にお ける雇用と賃金の好循環につながる更なる高みを目指したロードマップを検討すべき。   看護・介護・保育など現場で働く方々の処遇改善に向けた取組、同一労働同一賃金制度の徹 底等を通じ、正規・非正規、男女間の賃金格差を是正し、賃金底上げを進めるべき。 賃金上昇と生産性向上の両立に向け、リスキリング・学び直し支援の充実、成長産業・分野へ の円滑な労働移動、そして、その基盤となる雇用のセーフティーネットや共助・包摂社会に向 けた環境整備をセットで行い、労働移動推進型の雇用政策を目指すべき。   政府は職業訓練と就労支援の有機的な連携、ワンストップでのキャリアコンサルティングなど 労働市場を補完するマッチング機能を強化すべき。その際、GX・DXだけでなく、医療・介護、ヘルスケア(HX)など公的部門の規制・制度改革を 徹底して民間の投資・人材・スタートアップを呼び込み、賃金・所得の増加につなげるべき。

3.「稼ぐ力」の向上と経済構造の強化→外需を取り込み、我が国の「稼ぐ力」を高めるべき。円安メリットを地域の活性化につなげるイ ンバウンド需要の回復と受入れ整備、特に長期滞在やリピーター、富裕層向けなどインバウ ンド需要の質の変化に対応した観光産業の高付加価値化、さらには地域を支える中小企業の 輸出力強化や農林水産品の輸出拡大を政策的に支援すべき。 あわせて、日本の発展に必要な高度人材の受入れ、対日直接投資の誘致を進め、グローバ ル人材との連携による地域の賃金上昇、地方発イノベーションやスタートアップ創出など地域 が直接海外と結びつくことで「稼ぐ力」を高めるべき。国境を越えたリモートワークなど新たな 働き方を日本でし易い環境整備を進め、グローバル人材に選ばれる日本とすべき。   ゼロエミッション電源や省エネ政策の抜本強化を通じて輸入化石燃料への依存度を引き下げ るとともに、経済安全保障の視点を踏まえたサプライチェーンの見直しや企業の国内回帰(オ ンショアリング)、半導体・蓄電池を始めとする国際協調の下でのサプライサイド投資など経済 界とも連携してショックに強い経済基盤整備を進めるべき。   地域の優良技術を海外に広めることなどを通じ、サステナブルファイナンスを始め社会課題 解決に向けた国際的な資金の流れを日本に呼び込むべき。その資金を国内での更なる技術 開発に生かすなど「稼ぐ力」の向上と資金の好循環の相乗効果を目指すべき。

4.「新しい資本主義」の早期実現に向けた工夫→重点投資分野(人への投資、科学技術・イノベーション、スタートアップ、GX・DX)について、予 算、税制、規制・制度改革が相互に連携した姿を示し、目標だけでなく政策手段についても、 官と民が共有できるようにすべき。   民間の予見可能性を高めつつ、その実行にあたっては官民連携のプラットフォームなど実行 を担保する仕掛けを設け、活用すべき。 そのためにも、政府はGX等のロードマップ作成などを通じて多年度にわたる投資資金の確保 に向けた道筋を明確にすべき。あわせて、投資実行の成果(例えばCO2排出量の削減)を示 すなど投資のリターン(費用対効果)を国民に分かり易く伝えるべき。 政策遂行に当たっては、インセンティブとディスインセンティブを組み合わせたメリハリの効い た政策誘導を行うべき。例えば、人材投資に積極的な企業には負担減等のインセンティブ、収 益に比して投資に消極的な企業にはディスインセンティブなど制度設計を工夫すべき。   コロナ禍や物価高での低所得者支援など、本来は所得だけでなく資産等の情報も踏まえて対 象者を特定すべきである。政府は、より公平でより迅速な支援が可能となるよう、マイナンバ ーの利便性向上に向けた基盤整備と国民の理解促進に向けた取組を徹底して進めるべき。


◎資料1−2 総合経済対策に向けて(参考資料)(有識者議員提出資料)
○日本経済を取り巻く環境
→世界経済の減速、輸入インフレに伴う物価高など日本経済を取り巻く環境は厳しさを増している。⇒ 図1 世界経済は減速、インフレ抑制の利上げも続く見込み、 図2 輸入インフレ、円安、物価上昇に対応し 継続的な賃金上昇を。参照。
○継続的な賃金上昇、成長力を高める大胆な投資促進→物価上昇に負けない継続的な賃金上昇が不可欠。成長分野への大胆な投資で収益力を高め、賃上げ原資を拡大。⇒ 図3 賃上げの鍵は中小企業。収益力を高める環境整備を。図4 成長分野への大胆な投資拡大を。
○更なる賃上げを可能とするマクロ環境整備→更なる賃上げを可能とするマクロ経済運営。経済対策をブースターに実質2%〜2%台半ばの一段高い成長を。⇒図5 持続的な賃上げに向けたマクロ経済環境整備、図6 経済対策で一段高い成長経路へ。


◎資料2−1 「成長と分配の好循環」の起点となる人への重点投資(有識者議員提出資料)
物価高の下で、実質所得の減少を防ぐために、賃上げが喫緊の課題。我が国の所得面を展望→中長期的にも賃上げが重要であることに変わりはないが、同時に、DX・GX等の推進によるヘルスケア分野などでの雇用創出、労働者のリスキリングによるAI等に 代替されない職種を含めた成長分野への円滑な労働移動、女性雇用の正規化、最低賃金の引上げを実現させることが不可欠。そのため、今こそ「人への投資」に関する大胆な財政支援と官民の取組を支える制度改革を実施すべき。その際、働く意志があれば、有業・無業・雇用 形態を問わず教育訓練を受けられるようにし、我が国雇用の7割にあたる中小企業の従業員を含め、その効果が行き届くようにすることが重要。それによる生産性や賃金の上昇は、分厚い中間層の拡大や消費の安定的な増加につながり、「成長と分配の好循環」の起点となる。 このスタートダッシュを図るため、次のような施策について、まずは今次総合経済対策において人への投資の総合パッケージを盛り込む、中長期的に人への投資の計画的な推進を図り、今後、5年程度で持続的・安定的成長経路への移行を目指すべき。

1.誰もが教育訓練を受けられるための財政面での大胆な支援→誰もが教育訓練を受けられ、最終的に個人の能力が発揮できる職につけることが重要。この ため、教育訓練の社会的便益も考慮して雇用保険非受給者も含め、セーフティネットと教育訓 練機会の格差是正に取り組むべき。⇒雇用保険非受給者を対象とする「求職者支援制度」→内閣府・厚生労働省で進めて いる求職者支援訓練に関するEBPMの検討や、時限的な特例措置1 の効果検証を踏まえ、 より多くの利用者が適切に職につながるよう拡充を図っていくべき。 企業に人材投資に関する情報開示を求め、それに対する企業の取組姿勢に応じてインセ ンティブとディスインセンティブを使い分けるなど、生産性と賃金の上昇に向けた政府の明 確な意思を示すべき。  労働者の自発的な投資を引き出すために、例えば、個人の教育訓練投資を人的資産とみ なし、その費用を複数年に渡って所得税から控除する税制上の措置 など、あらゆる施策を 選択肢から排除せずに必要な施策を講ずべき。

2.官民連携による労働移動促進に向けた教育訓練の質向上と環境整備→教育訓練に対する個人の自主性を高め、リスキリングが着実に就業に結び付くようにするため、官民連携の下で、教育訓練が現状どう就業に結び付いているかを明らかにするとともに、 企業ニーズに合うよう訓練メニューを徹底して見直すべき。さらに、雇用調整助成金の特例措 置を始めとする雇用維持政策の早期縮減や労働移動を促す制度改革を進めると同時に、セー フティネットも官民連携で強化するため、NPO等共助の力が発揮される環境を整備すべき。
バツ1 教育訓練や資格取得の出口として、そのスキル・資格に対して、どのような求人がありどの 程度の賃金を得ることができるのかを官民連携で見える化すべき。そのために次のような デジタルツールを積極活用し、個人が得た高いスキル・資格がより高い賃金へと着実に結 び付く環境を整備すべき。 ⇒職業情報を見える化する「jobtag」(日本版O-NET) は、職業ごとに必要なスキル・資格と その習得のための講座等の情報や、スキル・資格ごとにまとめた求人情報、転職の決 め手となる賃金情報の拡充 を実施すべき。  個人の資格・能力を見える化する「マイジョブ・カード」(ジョブカードのデジタル化)は、今年度中に確実に開始するとともに、jobtagとの連携により、例えば、適性のある業種・ジョブや適正な賃金水準等の情報を個人が得られるよう整備を進めるべき。   教育訓練給付(個人の自発的な訓練費の一部を支援)のうち、特に支援が手厚い「専門実践教育 訓練給付」は、講座開設が事業者からの申請方式となっており、デジタル関連の講座が少ないなどの訓練分野の偏りや地域偏在が見られる。地域ごとに産官学の協議会を設けるなど、企業ニーズを汲み取り、地域主導で必要な講座を開設する仕組みを創設すべき。

3.女性雇用の正規化の推進による様々な課題の解決→非正規労働者の正規雇用への転換が重要である中、とりわけ女性雇用の正規化は、労働力の増加、マクロの賃金上昇と男女の賃金格差是正、貧困からの脱却など、幅広い課題解決に つながる。子育て支援を含め女性雇用の正規化を強力に支援すべき。⇒「キャリアアップ助成金」(従業員の正規化を行う事業者を支援)は、コロナ禍でも年間10万人程度 の正規雇用への転換を生み出しており、女性雇用の正規化を下支えしているとみられる。 雇用保険二事業内の企業への教育訓練支援と組み合わせて、更にその効果を高めるべき。 勤務地や勤務時間、職務などが限定される多様な正社員の広がりは、女性が正規化しや すい環境を生む。日本に合った職務給への移行に向けて、必要となる就業場所・業務の変 更の範囲の明示といった労働契約関係の明確化等の環境整備を推進すべき。  最低賃金の引上げは、それ自体が正規・非正規間の待遇格差の是正につながる。また、社 会保障について働き方に中立的な制度改革を進めていけば、将来的には、女性の就労を 妨げる、いわゆる106万円の壁など就労調整の解消にも寄与する。こうした観点からも、で きる限り早期に1,000円以上となること目指すべき。また、福祉等の現場で働く方々の処遇 改善に向けた取組も推進すべき。


◎資料2−2 「成長と分配の好循環」の起点となる人への重点投資(参考資料)(有識者議員提出資料)
○DX・GX等の推進による雇用創出
→DX・GX等の推進によりヘルスケアなどの分野で雇用を創出し、成長分野への労働移動を促す必要。そのためには、「人へ の投資」による労働者のリスキリングが不可欠。⇒図1 DX・GXの推進による労働需要の変化(2020年→2030年、人口減少の影響を除くベース) 〜ヘルスケアやDX・GXに係る消費・投資財を生み出す産業等で労働需要が拡大〜
○中長期的な賃金上昇に向けて取り組むべき課題→中長期的に高い賃金上昇を実現させていくには、賃上げの継続に加え、「人への投資」により、成長分野への転職の活発化、 最低賃金引上げの継続、女性雇用の正規化を通じた賃金上昇を生み出す必要がある⇒表2 足下の実績を踏まえた賃金上昇の姿、図3 雇用形態別の賃金の伸び  参照。
○雇⽤保険⾮受給者を受け⽌めるセーフティネットの強化を→求職者支援制度は、コロナ禍の特例措置の効果検証等を踏まえ、雇用保険を受給できない失業者の受け皿として拡充が 必要。
⇒図4 失業状況と対応する教育訓練の支援制度(2020年度) 〜雇用保険を受給できない者約140万人に対して求職者支援制度の利用者数は2万人程度〜
⇒図5 求職者支援制度の利用状況 〜コロナ禍で近年増加も、利用水準は低い〜
⇒図6 コロナ禍で講じている特例措置(2023年3月末までの時限措置) 参照。
○税制を活⽤してより多くの⽅にスキルアップ⽀援を→高等教育には、将来の税・保険料収入増等の社会的便益がある。無業者など幅広い個人のリスキリングを支援する税制上の措置を実現すべき。⇒図7 高等教育を受けることによる将来に渡る社会的便益 (一人当たり、2015年) 〜高等教育は、将来の税・保険料収入増等の社会的便益が 公的支援による財政負担を上回る〜
⇒図8 所得税における研修費等の所得控除制度 〜現行制度は、有業者の在職中の業務に必要な研修費等の一部を 当年度に控除する仕組み〜  それぞれ参照。
○デジタルを活⽤したマッチングを⽀援する環境整備の加速を→ジョブ型雇用の下で、労働移動促進を図るには、職業情報の更なる見える化が不可欠。jobtag(日本版O-NET)について、転 職に必要な資格等に関する情報を拡充し、整備を加速すべき。⇒図9 転職に当たっての行政への要望(2020年) 〜個人の情報提供への要望は大きい〜。図10 米国版O*NETの掲載情報 〜米国版では、職業ごとに必要なスキルと、それを習得する ための地域別の講座が結び付けられている〜➜日本版O-NETでも、職業からスキル・資格へのつながりを見える化するとともに、スキル・資格から職業へのつながりも見える化し、 マッチングを支援すべき。
○教育訓練⽀援は企業ニーズにマッチした講座開設が必要→労働移動を促進するには、企業ではなく個人向けの給付である教育訓練給付の活用が重要。専門実践教育訓練給付には、 訓練分野ごとあるいは地域ごとの偏在があり、是正が必要。⇒図11 教育訓練給付制度の概要。図12 専門実践教育訓練給付の目標資格別対象講座 (2022年10月時点) 専門実践 〜デジタル関連での講座開設はわずかにとどまる〜。図13 専門実践教育訓練給付の都道府県別対象講座(2022年10月時点)〜都道府県別の被保険者数に対し、 講座数にはバラつきがある〜

次回も続き「資料3−1 GXを通じた持続可能な経済構造の構築」からです。

令和4年第11回経済財政諮問会議 [2022年10月02日(Sun)]
令和4年第11回経済財政諮問会議(令和4年9月14日)
《議事》(1)経済財政諮問会議における年後半の重点課題 (2)マクロ経済運営
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/0914/agenda.html
◎資料1−1 新内閣の経済財政運営と年後半の重点課題(有識者議員提出資料)
1.「政策断行内閣」における経済財政運営の課題→そのカギは、官民の適切な連携による投資の喚起と分厚い中間層の維持・拡大。

(1) まずは、経済活動の正常化を急ぐ、影響の大きな低所得者等に向けた物価高騰対策を進めることで、日本経済へのダメージを最小 限にとどめる必要。特に、→水際対策⇒内外の感染状況等も踏まえつつ、更なる段階的な緩和を進め、できるだけ早期にコロナ前のインバウンド水準に回帰できるようすべき。また、これまでの3年間 の経験を踏まえ、次なる感染症の波が来ても、経済活動に支障が出ない体制の整備を急ぐべき。 資源・エネルギー⇒今冬・来夏の需要期やそれ以降も見据え、安全には十分配慮 しつつ、休止中原発の再稼働の拡大も含め、電力の安定供給に向け対応を急ぐべき。国民 の理解と信頼に足るベストなエネルギーミックスが構築されるべき。 日本の物価と為替水準⇒輸出面での価格競争力を大きく高めており、官民連携で、輸出 振興に取り組むべき。海外からの資金移動を戦略的に図っていくべき。
(2) 同時に、官民連携で投資を喚起し、「新しい資本主義」の目指す姿を実現しなければ、持続的・安定的な成長は実現できない。今年から来年にかけて、重点投資を前に進める総合的な 方策をはじめ、政策を総動員して、こうした取組のロケットスタートを促すべき。 特に、成長力を高めるための人への投資、科学技術・イノベーション、スタートアップ、GX、 DX といった重点分野への官民それぞれの投資を推進すべき。同時に、労働移動や社会参 加することを通じて所得を引上げ、将来への展望を持てるセーフティネットを整備することで、 若年層を含めた、中間層を維持・拡大し、活発な消費・投資につなげ、さらなる成長のエンジ ンとする。2022-2024 年度を目途に、更なる投資拡大・サプライサイド強化、更なる分配拡大 へとつながる好循環の拡大を図り、5年程度のうちに持続的・安定的な成長経路への移行を 実現する。
(3) 2%程度の持続的・安定的な経済成長を実現できれば、財政も安定的に健全化することが 可能になる。一方、当面、官民それぞれの投資強化に向けた公的支出、現下の国際情勢の下での安全保障の強化、待ったなしの少子化対策等への大胆な財政支出は不可欠。そうした中で、財政健全化目標を堅持しながら、どのような道筋で財政規律を確保するか、多年度 にわたる経済財政フレームを明確化すべき。

2.年後半の経済財政諮問会議の審議の進め方
<骨太方針を踏まえた総合的な対応策の政策効果の最大化に向けて>
→ 足元の経済物価動向を十分フォローし、景気の持ち直しへの適時適切な取組とともに、成長と 分配の好循環の実現に向け、総合的な対応策の在り方を議論し、秋に策定する総合経済対策 につなげる。また、金融政策・物価等に関する集中審議を開催し、賃金・所得の動向、低所得層 への影響等をはじめとして、物価動向、金融市場、金融政策の効果の状況を検証していく。
<官民連携による成長力強化に向けた一体的な取組と重点課題の明示>→ 新しい資本主義に向けた重点投資、社会課題の解決に向けた取組や、中長期的に持続可能 な社会保障・財政の実現の要諦は、分野ごとにバラバラに取り組むのではなく、政策課題に向け た諸施策・プロジェクトの相互の間の連関と、諸施策・プロジェクトを推進する官民の主体の間の 連携、つまり、総合的・一体的な取組により、相乗効果が生まれるエコシステムを構築することに ある。「成長と分配の好循環」の実現に向けて、関係する課題ごとに、政府の効果的・効率的な 支出を呼び水に民需が大きく引き出されるよう、解決すべき課題と官民それぞれの取組の道筋 を明確にし、官民連携を促進するプラットフォームを起動して実行していくべき。
<多年度にわたる経済財政フレームに基づくメリハリのついた経済財政一体改革の実行> →新経済・財政再生計画に沿って経済財政運営を行いつつ、同計画の多年度にわたる経済財 政フレームとしての機能強化を進めるほか、中長期試算、経済財政一体改革の枠組みも活用 し、予算の単年度主義の弊害是正、社会保障・社会基盤・地方行財政・文教科技等の各分野に おけるワイズスペンディングに向けた取組を進める。またコロナ対応や物価高騰対策として実施 された施策の効果について検証を行う。 また、令和5年度当初予算に向けてメリハリある予算編成の基本方針を策定するとともに、5年程度での持続的・安定的な成長経路への移行を念頭に置いて、新経済・財政再生計画改革 工程を策定し、来年度以降の経済見通し・中長期の経済財政試算を点検しながら、ロケットスタ ートを実効あるものとすべき。


◎資料1−2新内閣の経済財政運営と年後半の重点課題(参考資料)(有識者議員提出資料)
○中⻑期の経済財政運営の課題↓

・「成⻑と分配の好循環」のカギとなる官⺠投資と中間層拡⼤により、3〜5年間程度で持続的経済成⻑経路に移⾏。
・「⼈への投資」を起爆剤に、労働移動、多様な働き⽅の強化を通じ賃⾦・所得を向上。ソーシャルセクターの強化、 マイナンバーカードの徹底利活⽤、資産倍増等を通じて、安⼼・安全な社会を実現。
・財政健全化の旗は降ろさない。3〜5年程度で持続的経済成⻑経路に移⾏させることを前提に、多年度にわたる経済
・ 財政フレームを明確化し、重点投資と多年度での財源へのコミットメントを通じて、成⻑実現と財政規律を両⽴。


◎資料2−1 年後半のマクロ経済運営の課題(有識者議員提出資料)
年後半のマクロ経済運営の課題は、的を絞った物価高対策を切れ目なく行う
とともに、欧米各国 で進む金融引き締めによる世界経済の減速リスクを十分視野に入れ、我が国の国内経済をより強 靱でダイナミックなものに変革することである。カギとなるのは「新しい資本主義」を目指した官民 の適切な連携による課題解決型重点投資であり、コロナ禍で停滞した投資や労働移動の促進によ る生産性向上と持続的な賃金・所得の上昇である。これらは現下の物価上昇や海外への所得流 出に対する本質的な対応策ともなる。
1.投資と雇用を動かす政策運営を
・企業の投資意欲は高まっている。この機を活かし、秋にまとめる総合経済対策は、骨太方針 2022や新しい資本主義に向けたグランドデザイン・実行計画で示した官民連携の重点投資 を前に進める具体的な政策パッケージを含め、世界経済の減速懸念が強まる2023年に向 けた早期の成長力強化に資するものとすべき

・一方、我が国はコロナ禍からの生産性の回復に遅れ。緊急時の雇用維持や倒産防止など経 済を守る政策から、経済を動かして生産性を高める政策に政策資源を重点化すべき。このため、雇用調整助成金の特例措置を縮減し、成長分野への労働移動やスキルアップを促 す施策に重点化すべき。資金繰り支援についても、実質無利子・無担保融資といった緊急措 置から中小企業の収益力向上に政策資源をシフトすべき。
・賃上げできるマクロ環境整備とともに労働移動を通じた賃金・所得の増加を目指すべき。「人への投資」を税制も含めた政策面で大胆に支援するとともに、人材投資に積極的な企業には 負担減等のインセンティブ、逆に消極的な企業にはディスインセンティブも辞さないなど政府 は賃上げ促進に向けた明確な意思表示をすべき。また、スキルアップ支援と併せ、兼業・副業、転職など個々人の能力を最適な場所で最大限発 揮できるステップアップを支援すべき。人材投資に関する情報開示など企業間の競争インセ ンティブを与える施策を推進すべき。
・兼業・副業→リモートワークや地方への関心、スタートアップとの親和性(パートタ イムアントレプレナーや出向起業)など様々な好循環を生む可能性。本年7月改定の「副業・ 兼業の促進に関するガイドライン」に沿って副業条件などの情報開示を進め、働き手の関心と 企業側の懸念のミスマッチを解消し、兼業・副業を成長分野への労働移動の契機とすべき。

2.長期目標と整合的な物価高対応
・物価上昇への対応
→エネルギーと食料品に集中した対応を行い、負担の相対的 に大きな低所得者を支援すべき。また、特定国に依存した化石燃料や化学肥料等からの脱却、原子力を含むゼロエミッション電 源の最大限の活用、肥料や農作物の国産化など中長期的な政策目標と整合的な政策を進めるべき。
・あわせて、政策効果発現までの時間効果が高い省エネルギーへの投資を重視すべき。省エネ基準等の規制強化と合わせたインセンティブ措置を拡充すべき。スマートメーターなどデジタル技術を活用した省エネやディマンドレスポンスを一層推進すべ き。特に、需要規模の大きい産業向けのディマンドレスポンスを促す省エネDXを加速すべき。

3.外需の取込みで海外への所得流出を抑制
・海外への所得流出を反転させるためにも、ゼロエミッション電源活用や省エネ政策など輸入 化石燃料への依存度を下げるとともに、インバウンド需要、中小企業の輸出力強化、対日直 接投資の促進など円安メリットを生かした外需の取込みで我が国の「稼ぐ力」を高め、対外収 支の早期改善と経済構造の強化を図るべき。
・インバウンド需要→コロナ前は4.6兆円規模のGDP押し上げ効果があった。内外 の状況を踏まえた水際対策の緩和を進めるとともに、観光産業の高付加価値化(客単価上昇) に取り組み、円安メリットを地域経済の強化に活用すべき。 中小企業を中心に輸出拡大を目指す企業が増加する一方、現地での販売・営業や人材不足 が課題となっている4 。情報提供やマッチングなど中小企業の輸出力を高める施策をパッケー ジ化して対応すべき。農林水産物の輸出拡大とともに、外需取り込みを地域と中小企業の活 性化につなげるべき。 バツ1 対日直接投資についても、価値観を共有できる国(Like-Minded Countries)とのサプライチェー ンの整備等を通じて、技術人材の育成や賃金上昇、地方発イノベーションや輸出拠点の強化、 スタートアップ創出など我が国の経済構造を強化する触媒とすべき。


◎資料2−2 年後半のマクロ経済運営の課題(参考資料)(有識者議員提出資料)
○日本を取り巻く経済環境
→日本を取り巻く経済環境に厳しさ。世界経済の減速リスクを十分視野に入れ、官民連携で成長力強化を急ぐべき。
○投資と雇用を動かす政策運営を→経済を守る政策から、経済を動かして生産性を高める政策に政策資源を重点化すべき。
○労働移動を通じた賃金・所得の増加を→労働移動は賃金・所得が増加する大きな契機となり得る。人への投資、スキルアップを通じた労働移動に政策の軸足を。
○外需の取込みで海外への所得流出を抑制→円安メリットを生かした外需の取込みで我が国の「稼ぐ力」を高め、海外への所得流出の抑制を。

◆令和4年会議情報一覧
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/index.html

次回は新たに「成年後見制度利用促進専門家会議 第1回成年後見制度の運用改善等に関するワーキング・グループ」からです。

令和4年第10回経済財政諮問会議 [2022年08月15日(Mon)]
令和4年第10回経済財政諮問会議(令和4年7月29日)
《議事》(1)中長期の経済財政に関する試算 (2)予算の全体像 (3)令和5年度予算の概算要求基準
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/0729/agenda.html
◎資料1−1 中長期の経済財政に関する試算(2022 年7月)のポイント(内閣府)
<中長期的なマクロ経済の姿>
→成長実現ケースでは、潜在成長率が着実に上昇し、実質2%程度、名目3%程度の成長率が実現。この結果、名目GDPが概ね600兆円に達する時期は、2025年度頃と見込まれる。 ベースラインケースは、近年の実績を踏まえ、潜在成長率を下方改定。
<中長期的な財政の姿>→PBは、成長実現ケースでは、歳出自然体の姿で2025年度に対GDP比で▲0.1%程度の赤字となり、黒字化は2026年度。これまでの歳出効率化努力を継続した場合、黒字化は2025 年度と1年程度の前倒しが視野に入る。一方、ベースラインケースでは赤字が継続。 公債等残高対GDP比は、成長実現ケースでは試算期間内において低下し、ベースラインケースでは試算期間後半に上昇することが見込まれる。

◎資料1−2 中長期の経済財政に関する試算(2022 年7月)(内閣府)
○目次のみ

試算の想定と今後の展望
 1初めに
 2経済に関するシナリオと想定
 3財政面における主な想定
 4経済再生と財政健全化の進捗状況と今後の展望
主な試算結果
計数表
参考資料
 参考1前回試算との比較
 参考2コロナ前の試算との比較
 参考3経済変動に対する感応度分析


◎資料2−1 中長期試算を踏まえて(有識者議員提出資料)
1. 短期のマクロ政策運営→
新型感染症の影響等から経済の底割れを防ぎ、国民生活を維持するため、政府支出(移転 支出等)を増加したことにより、2020〜22 年度までの国・地方PBは、対 GDP 比▲5〜9%の大 幅な赤字となった。ただし、2023 年度以降は、投資・消費が喚起され、一定の成長が確保されて いくとの見通し(IMFも同様)の中で、財政は、下支えのための緊急支出が減少し、コロナ禍前の水準(同▲1.9%)まで大幅に改善される見込みとなっている。 こうしたシナリオを着実に実現していくためには、以下の点が重要 →民需主導の着実な回復に向けた、消費の面では物価上昇に対応できる継続的・安定的な 賃上げ、投資の面では骨太方針2022に掲げた人への投資(質の高い雇用拡大や労働 移動等を含む)をはじめとする重点分野への官民連携による投資拡大。  財政面では、これまでの下支えのための国・地方の財政支出について、できる限り早期の 正常化と民需拡大を牽引する財政支出への転換。  引き続き、国際経済情勢等の下方リスクが存在しており、必要に応じて機動的な対応を行 い、経済を底割れさせないこと。

2. 中長期の政策運営→2025年度のPB黒字化に向けては、これまで以上に、経済成長力の強化、歳出・歳入面の取組の抜本的な強化を進めなければ、約6兆円程度のPB赤字が残る。成長実現ケースを実現し、財政規律もしっかりと守るため、以下の点が決定的に重要。→ 新しい資本主義のジャンプスタートを進めるとともに、重点分野への投資を中期的かつ計画的に実行し、コロナ禍前の水準に戻すのみならず、それを越えたレベルに潜在成長率を着実に引き上げるべき。   民間投資を誘発する規制改革に加え、官民連携による民需誘発、公助から共助へのシフト、インセンティブ設計の強化、マイナンバーの活用など、徹底したワイズスペンディングを進めるべき。 骨太方針で財源確保が求められた事項については、しっかりその道筋を明らかにして歳 出を実行すべき。 コロナ禍から回復する中での足元の税収増について、景気回復の影響やその他の要因を 分析すべき。

◎資料2−2 中長期試算を踏まえて(参考資料)(有識者議員提出資料)
○当面及び中長期的な政策運営

・新型感染症の影響等から経済の底割れを防ぎ、国民生活を維持するため、政府支出(移転 支出等)を増加したことにより、2020〜22 年度までの国・地方PBは、対 GDP 比▲5〜9%の大 幅な赤字となった。ただし、2023 年度以降は、投資・消費が喚起され、一定の成長が確保されて いくとの見通し(IMFも同様)の中で、財政は、下支えのための緊急支出が減少し、コロナ禍前の 水準(同▲1.9%)まで大幅に改善される見込み。
・2025年度のPB黒字化に向けては、これまで以上に、経済成長力の強化、歳出・歳入面の 取組の抜本的な強化を進めなければ、約6兆円程度のPB赤字が残る。。成長実現ケースを実現 し、財政規律もしっかりと守ることが重要。


◎資料3−1 令和5年度の予算の全体像 →わが国経済は、コロナ禍からの経済活動の回復や高水準の企業収益を背景とした消費や設備投資によって、緩やかに持ち直している。先行きについても、経済社会活動の正常化が進む中で、各種政策の効果もあって、景気は持ち直していくことが期待されている。一方、足下では、 世界の金利上昇等金融資本市場の変動や原材料価格の上昇、供給面での制約等に十分注意 する必要がある。今後、こうしたリスク要因に対応しつつ、景気の本格的な回復と着実な成長を 実現するため、以下に示すマクロ経済運営及び令和5年度予算編成に向けた考え方に沿って取 り組みを進める
1.当面のマクロ経済運営→年央試算で示された 2022 年度の実質成長率 2.0%を実現するべく、景気持ち直しの動きを持続させ、民需主導の持続的な回復を実現させる。このため、当面のエネルギー・食料価格高騰による物価上昇・家計負担増大への対応を進めるとともに、国内旅行喚起や9月末に期限が来 る各種支援策への対応等を行いつつ、現下の物価情勢を踏まえ、最低賃金引き上げ、賃上げを誘導するインセンティブ設計などを通じて継続的な賃上げを図り、ウィズコロナの下でも経済活動の水準を引き上げ、個人消費が腰折れしないよう、消費喚起に取り組んでいく。 その上で、経済財政運営と改革の基本方針(「骨太方針」)2022 と「新しい資本主義 のグランドデザイン及び実行計画」を実現するための「総合的な対応策」及び令和5年度予算によって、わが国が直面する中長期的な課題の解決と経済活動のダイナミズムを取り戻すことで 潜在成長率の底上げを図り、今般の中長期試算で示す「成長実現ケース」が描く成長経路の実 現に向けた取り組みを進める。

2.令和5年度予算編成に向けて→上記マクロ経済運営の方向性を踏まえ、令和5年度予算編成に当たっては、骨太方針 2021 及 び 2022 に基づき、経済・財政一体改革を着実に推進。ただし、重要な政策の選択肢をせば めることがあってはならない。 コロナ対策の下で膨れ上がった地方創生臨時交付金等の各種支援措置については社会活 動の正常化とともに着実な見直しと正常化を図っていく。新たな「中期防衛力整備計画」の初年 度に係る施策、少子化対策・こども政策、GX への投資などの重要政策⇒予算編成過 程において検討。 特に、重点分野への投資⇒政策の長期的方向性や予見可能性を高めるよう、予算の単年度主義の弊害を是正するとともに、予算、税制、財政投融資、規制改革を含めた各種措置を呼び水にして民間投資を活性化するための仕組み・制度改革を具体化する。 一方、デジタル技術の活用等によって歳出改革を徹底強化し、社会課題解決に向けた官民連 携の強化、民間経済の活力強化や市場拡大に資するワイズスペンディングを推進。経済・ 財政一体改革における、見える化、先進・優良事例の全国展開、インセンティブ改革、公的部門の産業化、PPP・PFI や共助も含めた民間活力の最大活用などの取組を抜本強化するとともに、 EBPM の手法を前提とした PDCA の取組を推進する。また、コロナ禍での累次の補正予算や基 金の利活用状況について、その使い道、成果の見える化・検証を進める。 さらに、物価上昇という新しい環境を踏まえ、物価上昇の下でも政策効果が着実に発揮される よう適切な対応を行う。 なお、国債発行に当たっては、新型コロナ対応で短期化した平均償還年限を是正しつつ、市 場のニーズを踏まえたものとする。 このため、骨太方針 2022 に基づき、別紙の取組を進める。

(別紙)
1.マクロ経済財政
→当面のエネルギー・食料価格高騰による物価上昇・家計負担増大への対応、エネルギー・ 食料の需要面・供給面における構造的対応。 ジャンプスタートのための「総合的な対応策」の効果の最大発揮、「成長と分配の好循環」の 早期の実現。 安定成長経路の下での財政健全化:内外の厳しい環境変化を踏まえた中長期の視点に立 った持続可能な経済財政運営
2.重点分野への投資促進等→新しい資本主義に向けた重点分野(「人への投資」、「科学技術・イノベーションへの投資」、「スタートアップへの投資」、「GXへの投資」、「DXへの投資」)への計画的で大胆な重点投資。 人への投資:働く意思を有する幅広い人を対象とする、有業・無業、雇用形態を問わない、 個人のスキルアップ投資の支援と積極的労働市場政策の強化、円滑な労働移動の促進。 こども・子育て:予想を上回る少子化(2021 年出生数 81.2 万人(▲2.9 万人減))を踏まえ、十分なエビデンスを有する集中的かつ抜本的な少子化対策の検討。 科学技術イノベーションと防衛費:スタートアップ含め国内防衛生産・技術基盤の維持・強 化、CSTI等との連携強化、デュアル・ユース技術の活用など。 GX:10 年間 150 兆円の官民投資を実現するための高い予見可能性を有する仕組みづくり。サステナブルファイナンス市場の拡大に向けた分野横断的な取組。 環境変化への対応:外交・安全保障、経済安全保障、エネルギー安全保障、食料安全保障 等の強化、防災・減災、国土強靱化の推進等
3.歳出改革・ワイズスペンディングの推進
(1)社会保障
→医療・介護・住まいの一体的な検討・改革等地域共生社会づくりの推進。マイナンバーカードの保険証利用、マイナポータルの利活用拡大をはじめ、マイナンバーの利活用の徹底的な拡大を通じた医療・介護を始めとする公的給付の DX 化。 セルフメディケーションの推進、ヘルスリテラシーの向上、インセンティブ付けなどを通じた、 予防・重症化予防・健康づくりの推進、利用者負担見直しを含む介護保険の持続性確保。 給付と負担のバランスの確保、現役世代の負担上昇の抑制、マイナンバーの利活用、後期 高齢者医療制度の保険料賦課限度額の引上げを含む保険料負担の在り方等各種保険制 度における能力に応じた負担の在り方等の総合的な検討
(2)非社会保障→新型コロナ対策として行われた国から地方への財政移転についての成果と課題の早期検証。 社会課題の解決のための共助社会づくり、社会的起業家の支援強化、NPO 法人の活動促 進に向けた環境整備。 新技術の導入促進等による予防保全型メンテナンスへの転換とそのための財源確保。予 算単年度主義の弊害を是正し、公共事業執行の平準化による支出の効率化。 新たなアクションプランに基づいた PPP/PFI の自律的展開のための基盤形成、スタジアム・アリーナ等へのコンセッション導入、インフラの維持管理・更新での活用対象の拡大。 学びの基盤的な環境整備、大学への財政支援の配分のメリハリ強化等による教育及び研 究開発の質及び生産性の向上。

◎資料3−2 令和5年度の予算の全体像(参考資料)(有識者議員提出資料)
○令和5年度予算編成に向けた課題@(新たな課題への対応⑴
→令和5年度予算編成に当たっても、経済・財政⼀体改⾰を着実に推進。物価上昇の下でも政策効果の着実な発揮が必要。 安全保障環境の変化を受けて、防衛費に関しては予算編成過程において検討。スタートアップ含め国内防衛⽣産・技術基盤 の維持・強化、CSTI(総合科学技術・イノベーション会議)等との連携強化、デュアル・ユース技術の活⽤が必要。⇒図1〜4参照。
○令和5年度予算編成に向けた課題A(新たな課題への対応⑵)→グリーントランスフォーメーション(GX)や「⼈への投資」など重点分野において、計画的で⼤胆な重点投資が必要。 来年度予算編成においては、GXや少⼦化対策・こども政策等においても、社会課題解決に向けた官⺠連携の強化や経済⼒ 強化、市場拡⼤に資するワイズスペンディングを推進。図5〜9参照。
○令和5年度予算編成に向けた課題B(歳出改⾰の必要性の⾼まり)→その他分野でも歳出改⾰・ワイズスペンディングを⼀層進める必要。


◎資料4 令和5年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について(案)(鈴木議員提出資料)
○重要政策推進枠
→裁量的経費を義務的経費とともに検討。さらに、聖域を設けることなく施策・制度の抜本的見直し
・予算編成過程における検討事項→新型コロナウイルス感染症対策、原油価格・物価高騰対策等を含めた重要政策(上記 や為替変動への適切な対応を含む)⇒必要に応じ て、「重要政策推進枠」や事項のみの要求も含め、適切に要求・要望を行い、予算編成過程において検討。 新たな「中期防衛力整備計画」に係る経費⇒「基本方針2022」で示された方針を踏まえ、予算編成過程において検討。 少子化対策・こども政策に係る経費⇒「基本方針2022」で示された方針を踏まえ、予算編成過程において検討。 GXへの投資に係る経費⇒「基本方針2022」で示された方針を踏まえ、予算編成過程において検討。

○(参考)経済財政運営と改革の基本方針2022(令和4年6月7日閣議決定)(抄)
・第2章 新しい資本主義に向けた改革
1.新しい資本主義に向けた重点投資分野
(4)グリーントランスフォーメーション(GX)への投資   
2.社会課題の解決に向けた取組
(2)包摂社会の実現 (少子化対策・こども政策) (4)経済安全保障の徹底
・第3章 内外の環境変化への対応
1.国際環境の変化への対応 (1)外交・安全保障の強化
・第5章 当面の経済財政運営と令和5年度予算編成に向けた考え方
2.令和5年度予算編成に向けた考え方→ A 令和5年度予算において、本方針及び骨太方針2021に基づき、経済・財政一体改革を着実に推進する。 ただし、重要な政策の選択肢をせばめることがあってはならない。 B 新しい資本主義の実現に向け、「人への投資」、「科学技術・イノベーションへの投資」、「スタートアップへの投資」、「GXへの投資」、「DXへの投資」 の分野について、計画的で大胆な重点投資を官民連携の下で推進する。

○「令和5年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」
(令和4年7月◯日閣議了解)の骨子(案)
1.要求・要望→「年金・医療等」「地方交付税交付金等」「義務的経費」「その他の経費」
・新しい資本主義の実現に向け、人への投資、科学技術・イノベーションへの投資、スタートアップへの投資、GXへの投資及びDXへの投資への 予算の重点化を進めるとともに、エネルギーや食料を含めた経済安全保障を徹底し新しい資本主義実現の基礎的条件である国家の安全保障 を確保する等のため、「基本方針 2022」及び「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」(令和4年6月7日閣議決定)等を踏まえた重要 な政策について、「重要政策推進枠」を設ける。 各省大臣は、前年度当初予算におけるその他の経費に相当する額と要望基礎額の差額に 100 分の 300 を乗じた額及び義務的経費が前年 度当初予算の額を下回る場合にあっては、当該差額に 100 分の 300 を乗じた額の合計額の範囲内で要望。
2.要求期限→8月末日の期限を厳守。

○令和5年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について (案)
令和4年7月○日 【閣議了解】
1.要求・要望について→(1) 年金・医療等に係る経費 (2) 地方交付税交付金等 (3) 義務的経費 (4) 東日本大震災からの復興対策に係る経費 (5) その他の経費
(6) 重要政策推進枠→令和5年度予算においては、新しい資本主義の実現に向け、人 への投資、科学技術・イノベーションへの投資、スタートアップ への投資、グリーントランスフォーメーション(GX)への投資 及びデジタルトランスフォーメーション(DX)への投資への予 算の重点化を進めるとともに、エネルギーや食料を含めた経済 安全保障を徹底し新しい資本主義実現の基礎的条件である国家 の安全保障を確保する等のため、「基本方針 2022」及び「新しい 資本主義のグランドデザイン及び実行計画」(令和4年6月7日 閣議決定)等を踏まえた重要な政策について、「重要政策推進枠」 を措置する。
(7) 行政事業レビュー 上記の要求・要望に当たって、各省大臣は、「行政事業レビュ ーの実施等について」(平成 25 年4月5日閣議決定)に沿って、 各府省庁における行政事業レビューの結果を適切に反映し、実効 性あるPDCAを推進する。

2.要求期限等→8月末日
3.予算編成過程における検討事項→(1)〜(8)まで。  参照のこと。

◆令和4年会議情報一覧↓
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/index.html#tab0725

次回は新たに「第1回「障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)」資料」からです。

令和4年第9回経済財政諮問会議 [2022年08月02日(Tue)]
令和4年第9回経済財政諮問会議(令和4年7月25日)
《議事》(1) 金融政策、物価等に関する集中審議 (2) 年央試算
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/0725/agenda.html
◎資料1 黒田議員提出資料 →「わが国の経済・物価情勢」「展望レポート(2022年7月)の見通し」「日本銀行の金融政策運営」「(参考)先行きの金融政策運営の考え方」→次第に持ち直してきている。(◆令和4年会議情報一覧参照。議事要旨あり。)


◎資料2−1 「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」のフォローアップについて(内閣府)
○総合緊急対策の進捗状況について
・フォローアップの対象
→本年4月に決定した、「コロナ禍における『原油価格・物価高騰等総合緊急対策』」の実施状況につい て、直近時点での進捗状況を確認。
・対応状況→「コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」に基づき、物価高騰等の影響を受ける家計・事業者の方々に対する支援が実施されており、その効果もあってわが国の物価上昇率は国際的 にみて低位に抑えられている。 物価高騰等に対応するための1兆円の特別枠を設置した地方創生臨時交付金⇒低所得者への給付金の上乗せ、給食費支援等の個人向け支援や、電気料金等の高騰に対応するための地 場産業支援金等の事業者向け支援など、地域の実情に応じたきめ細やかな取組が進展。今月中に予備費を措置し、実質的な電気代負担の軽減、食料品価格の上昇抑制に対応する新たな 枠組みを設け、早急に実行に移す。 今後とも、緊張感を持って状況を把握し、予備費(5.5兆円)を機動的に活用しつつ、状況に応じた迅 速かつ総合的な対応に切れ目なく取り組む。
○別紙 足下の物価動向
→(1)国際的な原材料価格の推移 (2)主な品目の物価上昇率の各国比較 (3)G20諸国の消費者物価上昇率(総合、6月)⇒国際的にみて低位。
○主な施策の進捗状況について
1.原油価格高騰対策→交付決定額(6月末時点)。令和4年4月25日の週からは基準価格を168円、支給額上限を 35円とし、更なる超過分も1/2支援。7月14日〜20日においてはガソリン1ℓ当たり36.9円 を支給。なお、左記の1.6兆円は交付決定額であり、うち支払済額は0.6兆円程度。その他あり。
2.エネルギー・原材料・食料等安定供給対策→こどもみらい住宅支援事業など5対策に。
3.新たな価格体系への適応の円滑化に向けた中小企業対策等→中小企業へのセーフティネッ ト貸付【財務省・経産省等】など3対策。
4.コロナ禍において物価高騰等に直面する生活困窮者等への支援→低所得子育て世帯に対する特 別給付金【厚労省】など3対策。
○地方創生臨時交付金の活用も念頭に置いた地方公共団体の取組例→<生活者の支援に関する事業><事業者の支援に関する事業>⇒それぞれ5分野の支援あり。


◎資料2−2 「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」のフォローアップについて(参考資料)(内閣府)
【予算】→燃料油価格の激変緩和事業【令和3年度予備 費、令和4年度予備費、令和4年度補正】など67支援策あり。
【資金繰り支援】→原油価格高騰等の影響を受けた中小企業等に 対する日本公庫等のセーフティネット貸付等【令和4年度当初等】。新型コロナの影響を受けた事業者に対する実 質無利子・無担保融資及び危機対応融資等【令 和3年度補正等】。
【非予算】→原油価格高騰への対処を目的とした産油国への増産働きかけ、24の取り組み。
【公共投資】→早期執行に向けた取組 参照。

◎資料3−1 令和4年度内閣府年央試算(ポイント)(内閣府) ↓
・2022年度→海外経済の減速等により外需が押下げ要因となる一方、コロナ禍からのサービス消費 の回復が見込まれること等により、GDP成長率は実質で2.0%程度、名目で2.1%程度と見込まれる。
2023年度→コロナ禍からの回復ペースが巡航速度に戻る中で、消費と投資が着実に増加していくこ とにより、GDP成長率は実質で1.1%程度、名目で2.2%程度と見込まれる。


◎資料3−2 令和4年度内閣府年央試算(内閣府)
我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による強い下押し圧力を受けな がらも、持ち直しの動きを続けてきた。その動きはロシアのウクライナ侵略 に伴う世界的な資源価格・物価上昇の下でも維持されている。消費者物価⇒エネルギーや食料品を中心に上昇はしているものの、全体として 見れば諸外国に比べて低い伸びにとどまっている。 今後⇒感染拡大の防止と経済社会活動の両立を維持する中、各 種政策の効果もあって、消費や投資を中心とした回復が期待される。ただし、 ウクライナ情勢の長期化等による原材料価格の更なる上昇や供給制約、国内 外の感染症の動向、金融資本市場の変動等に十分注意する必要。 政府は、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を具体化する令和3年度補正予算及び令和4年度予算を迅速かつ適切に執行、現下の物価状況に対応した「コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急 対策」」を着実に実行する。あわせて、「物価・賃金・生活総合対策本部」において、予備費を機動的に活用しながら、物価・景気両面の状況に応じた迅 速かつ総合的な対応に切れ目なく取り組む。 その上で、経済財政運営と改革の基本方針 2022 及び新しい資本主義のグラ ンドデザイン・実行計画を前に進めるための総合的な方策を早急に具体化し実行に移す。 こうした政策の基本的方針を踏まえ、2022 年度(令和4年度)の経済の姿を試算⇒海外経済の減速等により外需が押下げ要因となる一方、コロ ナ禍からのサービス消費の回復が見込まれること等により、GDP成長率は 実質で 2.0%程度、名目で 2.1%程度と見込まれる。また、消費者物価上昇率(総合)は 2.6%程度と見込まれる。 2023 年度(令和5年度)の経済の姿について、当該年度のマクロ経済を考 えるための参考として一定の想定の下に試算すると、コロナ禍からの回復ペ ースが巡航速度に戻る中で、消費と投資が着実に増加していくことにより、 GDP成長率は実質で 1.1%程度、名目で 2.2%程度と見込まれる。また、消 費者物価上昇率(総合)は 1.7%程度と見込まれる。
○主要経済指標
○(参考1) 令和5(2023)年度 参考試算
○(参考2) 主な経済指標
○内閣府年央試算に関する付注


◎資料4−1 年央試算を受けたマクロ経済運営について(有識者議員提出資料)
世界経済の関心がインフレ抑制に移る中、我が国においても、輸入比率の高いエネルギーや食料品を中心に物価上昇圧力が高まっている。まずは、世界的なエネルギー市場や穀物・商品市況 の急騰から日本経済を守ることを第一に、的を絞った激変緩和措置を講じて生活者や事業者への 急激な影響を抑えるべきであり、実際、その効果もあって我が国の物価上昇率は2%程度と欧米 諸国の4分の1程度の上昇率にとどまっている。 その上で、年後半の日本経済にとって最も重要なことは、ある程度の物価上昇を前提とした持続 可能な政策運営を行い、物価上昇という新しい環境の下でも国民の可処分所得を継続的に拡大し、 成長と分配の好循環につなげていくこと。そのためには、新たな成長経路に向けた人への 投資を始めとする国内投資の大幅な拡大と最低賃金を含めた賃上げモメンタムの維持・拡大、成長分野への人材の柔軟な移動といった経済のダイナミズムを回復することが極めて重要。 こうした問題意識の下、今後のマクロ経済運営について以下提言する。
1.コロナ禍からの回復モメンタムの拡大と物価上昇への対応
(変異株の特性を踏まえたコロナ対応と経済活動の拡大)
→日本経済は、年初来のオミクロン株の特性を踏まえた感染防止と経済社会活動の両立により、 小売や外食、旅行といったコロナ禍で落ち込んだサービス消費にもようやく明るい兆しが出始めた。実質GDPで見た経済活動水準も、本年4−6月期にはコロナ前水準を回復した見込み。 この経験を活かし、1日も早い平常時の経済社会活動を実現するためにも、変異株の特性を 踏まえた的を絞った対策を行うことはもとより、ワクチン接種の着実な推進、さらには感染状況 や科学的知見の蓄積に基づいた60歳未満の4回目接種の対象拡大などの感染・重症化予防 策、骨太方針2022で定めた感染拡大時の即応病床の増床や医療人材派遣の円滑化といっ た医療提供体制の強化に万全を期すべき。その上で、海外との人流拡大を含め、できるかぎりウィズコロナの下でも経済活動の水準を引 き上げていくべき。特に、夏の旅行需要が一服した後の地域観光やサービス消費の継 続的な拡大、さらには、これまでの円安メリットを最大限活用するインバウンドの拡大や中小企 業を中心とする輸出展開を一層推進すべき。 また、ウィズコロナの下での経済社会活動を進めるためにも、新型コロナの感染症法における 位置づけを含め、コロナを日常的な医療提供体制の中に位置付ける検討を進めるべき。
(物価上昇への対応)→現下の物価上昇が景気の腰折れをもたらす最大のリスクは、物価上昇といった新しい環境にもかかわらず賃金上昇や下請け企業の価格転嫁が進まないリスクである。特に、コロナ禍で 既に厳しい状況にある方々に物価上昇のしわ寄せが行ってしまうこと。政府は、物価上昇の影 響を丁寧に分析し、真に必要な方々に対してエネルギーや食料品に集中的な対策を講じるなど、物価・景気両面の状況に応じて5.5兆円の予備費を機動的に活用して適切かつ効果的な 対応策を講じるべき。 日本銀行⇒経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を持続的・安 定的に実現する金融政策運営を行うことを期待する。今後とも、政府・日銀は経済財政諮問会 議等の場を活用して緊密に連携し、物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向けて一 体となって取り組むべき。なお、為替⇒過度な変動や無秩序な動きが経済・金融の 安定に悪影響を与え得るとの認識の下、動向を注視し、必要に応じて適切に対応すべき。
(公共料金、エネルギー政策等)→ 今後、エネルギー価格や生産コストの上昇がラグを持って、日常生活に密接な公共料金(国や 地方公共団体が決定や改定に直接関わる公的な価格)の上昇圧力が強まることが見込まれる。 今後予定される公共料金の改定について、所管省庁は家計や中小企業等への影響や価格改 定のタイミングなどを十分に検討した上で、必要に応じ、消費者庁との協議や経済財政諮問会 議への報告等を通じて、政府全体として国民負担への影響を把握すべき。 エネルギー価格の上昇とともに、電力を始めとするエネルギー不足が国民生活や経済活動の 足かせとならないよう、国民にとって最適なエネルギーミックスを進め、安全が確認された原 子力の最大限の活用を含めたエネルギーの安定供給に向けた対応、需要側の効率使用イン センティブへの取組を進めるべき。 同時に、脱炭素に向けた再エネの最大限の導入や水素・アンモニアを始めとするカーボンニュートラル技術の実用・商用化、国内に資金を呼び込むサステナブルファイナンス市場の拡大など、海外への所得流出を防ぎ、資金の国内循環を促すグリーントランスフォーメーション(GX) に向けた取組を加速すべき。今後策定される「骨太方針や新しい資本主義に向けたグランドデザインと実行計画をジャンプスタートさせるための総合的な方策」においては、GXの加速を最 重要課題の一つとすべき。 また、政府としても、物価上昇という新しい環境を踏まえ、今年度の予算執行や来年度予算の 編成過程において、物価上昇の下でも政策効果が着実に発揮されるよう適切な対応を行うべ き。

2.新たな成長経路に向けた人への投資・国内投資の持続的な拡大
(物価上昇環境での賃上げ・人への投資)
→ 成長と分配の好循環を進め、経済を持続的な成長軌道に乗せていくためには賃上げの継続的 な拡大が不可欠。最低賃金⇒官民が協力して引き上げ、骨太方針2022で定めた ように、できる限り早期に全国加重平均が 1,000 円以上となることを目指して取り組むべき。その際、現下の物価上昇を踏まえた実質的な生計費や賃金、賃金支払能力を考慮した改定とすること。その上で、今後の賃上げ全体についても、ある程度の物価上昇を前提として、今年度の賃上 げ率(2.07%(連合集計))を更に上回る賃上げモメンタムが可能となるよう、政府は人への投 資を抜本的に強化する政策運営を行い、産業構造の変化に応じた人材のスキルアップと労働 市場の柔軟化、成長分野への労働移動を通じた生産性の向上と賃金上昇の継続、物価上昇を 上回る賃金上昇が実現する経済環境の整備に万全を期すべき。 あわせて、中小企業の持続的な成長や賃金支払能力を高めるためにも、コスト増加分を適正 に価格転嫁できる発注企業と受注企業のパートナーシップ構築や取引適正化に向けた対策、 新たな販路拡大や新分野への挑戦など生産性向上に向けた投資環境の整備を行い、成長と 分配の好循環が中小・下請企業に行き渡る政策運営を行うべき。 さらに、所得の改善を持続的な消費の拡大につなげるためにも、全ての世代が安心できる社 会保障制度に向けた対応を加速すべき。給付と負担のバランスを図りつつ、年齢ではなく負担 能力に応じた制度に改革し、経済と財政・社会保障をともに持続可能なものとすべき。その際、 給付と負担の双方をより効果的かつ効率的に行うツールとしてマイナンバーの活用を徹底す べき。
(新たな成長経路に向けた国内投資の持続的拡大)→マクロ経済運営に当たっては、これらの賃上げに相応しい経済成長率の確保が必要。前述のように、まずはコロナ禍からの回復モメンタムの拡大と物価上昇への対応など当面のマクロ経 済運営に万全を期し、その上で、骨太方針2022や新しい資本主義に向けたグランドデザイ ン・実行計画をジャンプスタートさせるための総合的な方策を具体化し、一気に実行すべき。これにより、今年度から来年度にかけて成長力を更に高め、2023年度は内閣府年央試算で示 された成長見通しを上回る一段高い成長経路に日本経済を乗せていくべき。 そのためにも、成長力強化に向けた人的・物的投資の拡大が不可欠。特に民間企業の投資は、 コロナ下で大幅に下方シフトしており、2023年度時点で依然としてコロナ前の水準(2019年度) を下回る見込みとなっている。社会課題の解決に向けた重点投資分野(人への投資、科学技術・イノベーションへの投資、スタートアップへの投資、GX・DXへの投資)を国内投資の起爆剤にして、官が火付け役となり、官民協力して計画的で大胆な投資をスピーディに実行すべき。 その際、人への投資の中心的役割を果たす労働保険特別会計等による質・量両面での人的 投資の抜本強化や時代のニーズに対応した教育・人材育成の見直し、科学技術・イノベーショ ン投資における個別戦略間の業際連携の強化、デュアルユースを含む先端技術分野のスタ ートアップ支援、GX・DX分野において民需を誘発するワイズスペンディングと規制・制度改革 の具体的組み合わせ等について、検討を進めるべき。


資料4−2 年央試算を受けたマクロ経済運営について(参考資料)(有識者議員提出資料)
○ウイズコロナの下での経済活動との両立→
的を絞った効果的な対応により、持続可能な政策運営を。欧米諸国に比べ、政策の平時モードへの移行に遅れ。
○物価上昇への対応→物価上昇の影響をセグメント別に丁寧に分析し、厳しい状況にある方々への適切かつ効果的な対応策を講じていくべき。
○賃上げモメンタムのさらなる拡大→今年度の賃上げ率(2.07%)を更に上回る賃上げモメンタムが可能となるよう、人への投資を抜本的に強化。スキルアップと 成長分野への労働移動を通じた生産性の向上と賃金上昇の継続、物価上昇を上回る賃金上昇の実現を。
○将来所得を生み出す投資の持続的拡大→コロナ禍を経て投資のトレンドは下方シフト。経済をもう一段高い成長軌道に乗せていくには、人的・物的投資の大幅な底上げ(シフトアップ)が必要。 企業収益・キャッシュフローの増加を投資拡大に結びつけるため、社会課題解決に向けた計画的で大胆な投資を官民が協 力して進めるべき。

◆令和4年会議情報一覧↓
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/index.html#tab0725

次回は新たに「第6回「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」」からです。

第121回労働政策審議会障害者雇用分科会(資料) [2022年07月06日(Wed)]
第121回労働政策審議会障害者雇用分科会(資料)(令和4年6月16日)
《議題》(1)意見書(案)について (2)その他
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26270.html
◎資料1−1今後の障害者雇用施策の充実強化について(案)(労働政策審議会障害者雇用分科会 意見書)
○目 次

第1 はじめに
第2 雇用の質の向上に向けた事業主の責務の明確化
第3 障害者雇用と障害者福祉の連携の促進
1 アセスメントの機能強化
2 障害者就労を支える人材の育成・確保
3 地域の就労支援機関の役割分担
第4 多様な障害者の就労ニーズを踏まえた働き方の推進
1 障害者雇用率制度における障害者の範囲
(1)週所定労働時間 10 時間以上 20 時間未満の障害者の取扱い
(2)障害者手帳を所持していない精神障害者、発達障害者及び難病患者の取扱い
(3)就労継続支援A型事業所の利用者の取扱い
2 精神障害者に対する障害者雇用率等の算定
(1)精神障害者の算定特例の延長
(2)精神障害者に係る重度の取扱い
3 長期継続雇用の評価
第5 障害者雇用の質の向上の推進
1 障害者雇用調整金、報奨金による対応
2 障害者雇用納付金の適用範囲の拡大
3 障害者雇用を推進する事業主の取組に対する支援
第6 その他の諸課題
1 在宅就業障害者支援制度の活用促進
2 有限責任事業組合の算定特例の全国展開
3 除外率の引下げによる障害者雇用の促進
4 その他
第7 おわりに→今般、新たに措置することが適当とされた週 10 時間以上 20 時間未満の障害者に対する 雇用率制度における特例、除外率の引下げや、長期継続雇用の推進等、個別の施策を進め るに当たり、雇用の質の向上という観点では合理的配慮の提供が重要であり、事業主は合 理的配慮の提供について、その意義を改めて認識し対応することが適当。


◎資料1−2 意見書(案)※第 120 回意見書(案)からの変更点
・変更点は赤い字で。⇒資料1-1が(労働政策審議会障害者雇用分科会 意見書)。

◎参考資料1 労働政策審議会障害者雇用分科会委員名簿 →20名。

◎参考資料2 障害者のテレワーク雇用に向けた企業向けコンサルティング を実施します
・生労働省は、障害者のテレワーク雇用に向けた企業向けコンサルティングを実 施しています。障害者をテレワークで雇用するにあたり生じる個別具体的な課題に ついて、電話・メール・事業所訪問・オンラインで最大5回まで無料でご相談いた だけます。

・テレワークは、障害者の多様な働き方のひとつであり、自宅でも働くことができ る機会として大きな可能性があるとともに、企業の方にとっても、全国から優秀な 人材を確保することができるというメリットがあります。こうしたことを踏まえ、 昨年度は支援機関や企業での事例の紹介等を行う全国フォーラム(※1)、障害者 雇用におけるテレワークの具体的な導入に向けた手順等について説明する企業向け ガイダンスを開催しました(※2)。
・コンサルティングの詳細及びお申し込み先⇒別添の「コンサルティングリーフレット」及びホームページ(https://mhlw-twconsulting.com/)をご参照ください。
(※1)当フォーラムの動画は厚生労働省動画チャンネル(Youtube)よりご覧いただけます。 https://www.youtube.com/playlist?list=PLMG33RKISnWi7aYfEFqPnC6M1dKpSvnmn
(※2)企業向けガイダンスは今年度も実施予定です。詳細は追ってお知らせします。

次回は新たに「第15回 社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」(資料)」からです。