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令和4年第11回経済財政諮問会議 [2022年10月02日(Sun)]
令和4年第11回経済財政諮問会議(令和4年9月14日)
《議事》(1)経済財政諮問会議における年後半の重点課題 (2)マクロ経済運営
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/0914/agenda.html
◎資料1−1 新内閣の経済財政運営と年後半の重点課題(有識者議員提出資料)
1.「政策断行内閣」における経済財政運営の課題→そのカギは、官民の適切な連携による投資の喚起と分厚い中間層の維持・拡大。

(1) まずは、経済活動の正常化を急ぐ、影響の大きな低所得者等に向けた物価高騰対策を進めることで、日本経済へのダメージを最小 限にとどめる必要。特に、→水際対策⇒内外の感染状況等も踏まえつつ、更なる段階的な緩和を進め、できるだけ早期にコロナ前のインバウンド水準に回帰できるようすべき。また、これまでの3年間 の経験を踏まえ、次なる感染症の波が来ても、経済活動に支障が出ない体制の整備を急ぐべき。 資源・エネルギー⇒今冬・来夏の需要期やそれ以降も見据え、安全には十分配慮 しつつ、休止中原発の再稼働の拡大も含め、電力の安定供給に向け対応を急ぐべき。国民 の理解と信頼に足るベストなエネルギーミックスが構築されるべき。 日本の物価と為替水準⇒輸出面での価格競争力を大きく高めており、官民連携で、輸出 振興に取り組むべき。海外からの資金移動を戦略的に図っていくべき。
(2) 同時に、官民連携で投資を喚起し、「新しい資本主義」の目指す姿を実現しなければ、持続的・安定的な成長は実現できない。今年から来年にかけて、重点投資を前に進める総合的な 方策をはじめ、政策を総動員して、こうした取組のロケットスタートを促すべき。 特に、成長力を高めるための人への投資、科学技術・イノベーション、スタートアップ、GX、 DX といった重点分野への官民それぞれの投資を推進すべき。同時に、労働移動や社会参 加することを通じて所得を引上げ、将来への展望を持てるセーフティネットを整備することで、 若年層を含めた、中間層を維持・拡大し、活発な消費・投資につなげ、さらなる成長のエンジ ンとする。2022-2024 年度を目途に、更なる投資拡大・サプライサイド強化、更なる分配拡大 へとつながる好循環の拡大を図り、5年程度のうちに持続的・安定的な成長経路への移行を 実現する。
(3) 2%程度の持続的・安定的な経済成長を実現できれば、財政も安定的に健全化することが 可能になる。一方、当面、官民それぞれの投資強化に向けた公的支出、現下の国際情勢の下での安全保障の強化、待ったなしの少子化対策等への大胆な財政支出は不可欠。そうした中で、財政健全化目標を堅持しながら、どのような道筋で財政規律を確保するか、多年度 にわたる経済財政フレームを明確化すべき。

2.年後半の経済財政諮問会議の審議の進め方
<骨太方針を踏まえた総合的な対応策の政策効果の最大化に向けて>
→ 足元の経済物価動向を十分フォローし、景気の持ち直しへの適時適切な取組とともに、成長と 分配の好循環の実現に向け、総合的な対応策の在り方を議論し、秋に策定する総合経済対策 につなげる。また、金融政策・物価等に関する集中審議を開催し、賃金・所得の動向、低所得層 への影響等をはじめとして、物価動向、金融市場、金融政策の効果の状況を検証していく。
<官民連携による成長力強化に向けた一体的な取組と重点課題の明示>→ 新しい資本主義に向けた重点投資、社会課題の解決に向けた取組や、中長期的に持続可能 な社会保障・財政の実現の要諦は、分野ごとにバラバラに取り組むのではなく、政策課題に向け た諸施策・プロジェクトの相互の間の連関と、諸施策・プロジェクトを推進する官民の主体の間の 連携、つまり、総合的・一体的な取組により、相乗効果が生まれるエコシステムを構築することに ある。「成長と分配の好循環」の実現に向けて、関係する課題ごとに、政府の効果的・効率的な 支出を呼び水に民需が大きく引き出されるよう、解決すべき課題と官民それぞれの取組の道筋 を明確にし、官民連携を促進するプラットフォームを起動して実行していくべき。
<多年度にわたる経済財政フレームに基づくメリハリのついた経済財政一体改革の実行> →新経済・財政再生計画に沿って経済財政運営を行いつつ、同計画の多年度にわたる経済財 政フレームとしての機能強化を進めるほか、中長期試算、経済財政一体改革の枠組みも活用 し、予算の単年度主義の弊害是正、社会保障・社会基盤・地方行財政・文教科技等の各分野に おけるワイズスペンディングに向けた取組を進める。またコロナ対応や物価高騰対策として実施 された施策の効果について検証を行う。 また、令和5年度当初予算に向けてメリハリある予算編成の基本方針を策定するとともに、5年程度での持続的・安定的な成長経路への移行を念頭に置いて、新経済・財政再生計画改革 工程を策定し、来年度以降の経済見通し・中長期の経済財政試算を点検しながら、ロケットスタ ートを実効あるものとすべき。


◎資料1−2新内閣の経済財政運営と年後半の重点課題(参考資料)(有識者議員提出資料)
○中⻑期の経済財政運営の課題↓

・「成⻑と分配の好循環」のカギとなる官⺠投資と中間層拡⼤により、3〜5年間程度で持続的経済成⻑経路に移⾏。
・「⼈への投資」を起爆剤に、労働移動、多様な働き⽅の強化を通じ賃⾦・所得を向上。ソーシャルセクターの強化、 マイナンバーカードの徹底利活⽤、資産倍増等を通じて、安⼼・安全な社会を実現。
・財政健全化の旗は降ろさない。3〜5年程度で持続的経済成⻑経路に移⾏させることを前提に、多年度にわたる経済
・ 財政フレームを明確化し、重点投資と多年度での財源へのコミットメントを通じて、成⻑実現と財政規律を両⽴。


◎資料2−1 年後半のマクロ経済運営の課題(有識者議員提出資料)
年後半のマクロ経済運営の課題は、的を絞った物価高対策を切れ目なく行う
とともに、欧米各国 で進む金融引き締めによる世界経済の減速リスクを十分視野に入れ、我が国の国内経済をより強 靱でダイナミックなものに変革することである。カギとなるのは「新しい資本主義」を目指した官民 の適切な連携による課題解決型重点投資であり、コロナ禍で停滞した投資や労働移動の促進によ る生産性向上と持続的な賃金・所得の上昇である。これらは現下の物価上昇や海外への所得流 出に対する本質的な対応策ともなる。
1.投資と雇用を動かす政策運営を
・企業の投資意欲は高まっている。この機を活かし、秋にまとめる総合経済対策は、骨太方針 2022や新しい資本主義に向けたグランドデザイン・実行計画で示した官民連携の重点投資 を前に進める具体的な政策パッケージを含め、世界経済の減速懸念が強まる2023年に向 けた早期の成長力強化に資するものとすべき

・一方、我が国はコロナ禍からの生産性の回復に遅れ。緊急時の雇用維持や倒産防止など経 済を守る政策から、経済を動かして生産性を高める政策に政策資源を重点化すべき。このため、雇用調整助成金の特例措置を縮減し、成長分野への労働移動やスキルアップを促 す施策に重点化すべき。資金繰り支援についても、実質無利子・無担保融資といった緊急措 置から中小企業の収益力向上に政策資源をシフトすべき。
・賃上げできるマクロ環境整備とともに労働移動を通じた賃金・所得の増加を目指すべき。「人への投資」を税制も含めた政策面で大胆に支援するとともに、人材投資に積極的な企業には 負担減等のインセンティブ、逆に消極的な企業にはディスインセンティブも辞さないなど政府 は賃上げ促進に向けた明確な意思表示をすべき。また、スキルアップ支援と併せ、兼業・副業、転職など個々人の能力を最適な場所で最大限発 揮できるステップアップを支援すべき。人材投資に関する情報開示など企業間の競争インセ ンティブを与える施策を推進すべき。
・兼業・副業→リモートワークや地方への関心、スタートアップとの親和性(パートタ イムアントレプレナーや出向起業)など様々な好循環を生む可能性。本年7月改定の「副業・ 兼業の促進に関するガイドライン」に沿って副業条件などの情報開示を進め、働き手の関心と 企業側の懸念のミスマッチを解消し、兼業・副業を成長分野への労働移動の契機とすべき。

2.長期目標と整合的な物価高対応
・物価上昇への対応
→エネルギーと食料品に集中した対応を行い、負担の相対的 に大きな低所得者を支援すべき。また、特定国に依存した化石燃料や化学肥料等からの脱却、原子力を含むゼロエミッション電 源の最大限の活用、肥料や農作物の国産化など中長期的な政策目標と整合的な政策を進めるべき。
・あわせて、政策効果発現までの時間効果が高い省エネルギーへの投資を重視すべき。省エネ基準等の規制強化と合わせたインセンティブ措置を拡充すべき。スマートメーターなどデジタル技術を活用した省エネやディマンドレスポンスを一層推進すべ き。特に、需要規模の大きい産業向けのディマンドレスポンスを促す省エネDXを加速すべき。

3.外需の取込みで海外への所得流出を抑制
・海外への所得流出を反転させるためにも、ゼロエミッション電源活用や省エネ政策など輸入 化石燃料への依存度を下げるとともに、インバウンド需要、中小企業の輸出力強化、対日直 接投資の促進など円安メリットを生かした外需の取込みで我が国の「稼ぐ力」を高め、対外収 支の早期改善と経済構造の強化を図るべき。
・インバウンド需要→コロナ前は4.6兆円規模のGDP押し上げ効果があった。内外 の状況を踏まえた水際対策の緩和を進めるとともに、観光産業の高付加価値化(客単価上昇) に取り組み、円安メリットを地域経済の強化に活用すべき。 中小企業を中心に輸出拡大を目指す企業が増加する一方、現地での販売・営業や人材不足 が課題となっている4 。情報提供やマッチングなど中小企業の輸出力を高める施策をパッケー ジ化して対応すべき。農林水産物の輸出拡大とともに、外需取り込みを地域と中小企業の活 性化につなげるべき。 バツ1 対日直接投資についても、価値観を共有できる国(Like-Minded Countries)とのサプライチェー ンの整備等を通じて、技術人材の育成や賃金上昇、地方発イノベーションや輸出拠点の強化、 スタートアップ創出など我が国の経済構造を強化する触媒とすべき。


◎資料2−2 年後半のマクロ経済運営の課題(参考資料)(有識者議員提出資料)
○日本を取り巻く経済環境
→日本を取り巻く経済環境に厳しさ。世界経済の減速リスクを十分視野に入れ、官民連携で成長力強化を急ぐべき。
○投資と雇用を動かす政策運営を→経済を守る政策から、経済を動かして生産性を高める政策に政策資源を重点化すべき。
○労働移動を通じた賃金・所得の増加を→労働移動は賃金・所得が増加する大きな契機となり得る。人への投資、スキルアップを通じた労働移動に政策の軸足を。
○外需の取込みで海外への所得流出を抑制→円安メリットを生かした外需の取込みで我が国の「稼ぐ力」を高め、海外への所得流出の抑制を。

◆令和4年会議情報一覧
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/index.html

次回は新たに「成年後見制度利用促進専門家会議 第1回成年後見制度の運用改善等に関するワーキング・グループ」からです。

令和4年第10回経済財政諮問会議 [2022年08月15日(Mon)]
令和4年第10回経済財政諮問会議(令和4年7月29日)
《議事》(1)中長期の経済財政に関する試算 (2)予算の全体像 (3)令和5年度予算の概算要求基準
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/0729/agenda.html
◎資料1−1 中長期の経済財政に関する試算(2022 年7月)のポイント(内閣府)
<中長期的なマクロ経済の姿>
→成長実現ケースでは、潜在成長率が着実に上昇し、実質2%程度、名目3%程度の成長率が実現。この結果、名目GDPが概ね600兆円に達する時期は、2025年度頃と見込まれる。 ベースラインケースは、近年の実績を踏まえ、潜在成長率を下方改定。
<中長期的な財政の姿>→PBは、成長実現ケースでは、歳出自然体の姿で2025年度に対GDP比で▲0.1%程度の赤字となり、黒字化は2026年度。これまでの歳出効率化努力を継続した場合、黒字化は2025 年度と1年程度の前倒しが視野に入る。一方、ベースラインケースでは赤字が継続。 公債等残高対GDP比は、成長実現ケースでは試算期間内において低下し、ベースラインケースでは試算期間後半に上昇することが見込まれる。

◎資料1−2 中長期の経済財政に関する試算(2022 年7月)(内閣府)
○目次のみ

試算の想定と今後の展望
 1初めに
 2経済に関するシナリオと想定
 3財政面における主な想定
 4経済再生と財政健全化の進捗状況と今後の展望
主な試算結果
計数表
参考資料
 参考1前回試算との比較
 参考2コロナ前の試算との比較
 参考3経済変動に対する感応度分析


◎資料2−1 中長期試算を踏まえて(有識者議員提出資料)
1. 短期のマクロ政策運営→
新型感染症の影響等から経済の底割れを防ぎ、国民生活を維持するため、政府支出(移転 支出等)を増加したことにより、2020〜22 年度までの国・地方PBは、対 GDP 比▲5〜9%の大 幅な赤字となった。ただし、2023 年度以降は、投資・消費が喚起され、一定の成長が確保されて いくとの見通し(IMFも同様)の中で、財政は、下支えのための緊急支出が減少し、コロナ禍前の水準(同▲1.9%)まで大幅に改善される見込みとなっている。 こうしたシナリオを着実に実現していくためには、以下の点が重要 →民需主導の着実な回復に向けた、消費の面では物価上昇に対応できる継続的・安定的な 賃上げ、投資の面では骨太方針2022に掲げた人への投資(質の高い雇用拡大や労働 移動等を含む)をはじめとする重点分野への官民連携による投資拡大。  財政面では、これまでの下支えのための国・地方の財政支出について、できる限り早期の 正常化と民需拡大を牽引する財政支出への転換。  引き続き、国際経済情勢等の下方リスクが存在しており、必要に応じて機動的な対応を行 い、経済を底割れさせないこと。

2. 中長期の政策運営→2025年度のPB黒字化に向けては、これまで以上に、経済成長力の強化、歳出・歳入面の取組の抜本的な強化を進めなければ、約6兆円程度のPB赤字が残る。成長実現ケースを実現し、財政規律もしっかりと守るため、以下の点が決定的に重要。→ 新しい資本主義のジャンプスタートを進めるとともに、重点分野への投資を中期的かつ計画的に実行し、コロナ禍前の水準に戻すのみならず、それを越えたレベルに潜在成長率を着実に引き上げるべき。   民間投資を誘発する規制改革に加え、官民連携による民需誘発、公助から共助へのシフト、インセンティブ設計の強化、マイナンバーの活用など、徹底したワイズスペンディングを進めるべき。 骨太方針で財源確保が求められた事項については、しっかりその道筋を明らかにして歳 出を実行すべき。 コロナ禍から回復する中での足元の税収増について、景気回復の影響やその他の要因を 分析すべき。

◎資料2−2 中長期試算を踏まえて(参考資料)(有識者議員提出資料)
○当面及び中長期的な政策運営

・新型感染症の影響等から経済の底割れを防ぎ、国民生活を維持するため、政府支出(移転 支出等)を増加したことにより、2020〜22 年度までの国・地方PBは、対 GDP 比▲5〜9%の大 幅な赤字となった。ただし、2023 年度以降は、投資・消費が喚起され、一定の成長が確保されて いくとの見通し(IMFも同様)の中で、財政は、下支えのための緊急支出が減少し、コロナ禍前の 水準(同▲1.9%)まで大幅に改善される見込み。
・2025年度のPB黒字化に向けては、これまで以上に、経済成長力の強化、歳出・歳入面の 取組の抜本的な強化を進めなければ、約6兆円程度のPB赤字が残る。。成長実現ケースを実現 し、財政規律もしっかりと守ることが重要。


◎資料3−1 令和5年度の予算の全体像 →わが国経済は、コロナ禍からの経済活動の回復や高水準の企業収益を背景とした消費や設備投資によって、緩やかに持ち直している。先行きについても、経済社会活動の正常化が進む中で、各種政策の効果もあって、景気は持ち直していくことが期待されている。一方、足下では、 世界の金利上昇等金融資本市場の変動や原材料価格の上昇、供給面での制約等に十分注意 する必要がある。今後、こうしたリスク要因に対応しつつ、景気の本格的な回復と着実な成長を 実現するため、以下に示すマクロ経済運営及び令和5年度予算編成に向けた考え方に沿って取 り組みを進める
1.当面のマクロ経済運営→年央試算で示された 2022 年度の実質成長率 2.0%を実現するべく、景気持ち直しの動きを持続させ、民需主導の持続的な回復を実現させる。このため、当面のエネルギー・食料価格高騰による物価上昇・家計負担増大への対応を進めるとともに、国内旅行喚起や9月末に期限が来 る各種支援策への対応等を行いつつ、現下の物価情勢を踏まえ、最低賃金引き上げ、賃上げを誘導するインセンティブ設計などを通じて継続的な賃上げを図り、ウィズコロナの下でも経済活動の水準を引き上げ、個人消費が腰折れしないよう、消費喚起に取り組んでいく。 その上で、経済財政運営と改革の基本方針(「骨太方針」)2022 と「新しい資本主義 のグランドデザイン及び実行計画」を実現するための「総合的な対応策」及び令和5年度予算によって、わが国が直面する中長期的な課題の解決と経済活動のダイナミズムを取り戻すことで 潜在成長率の底上げを図り、今般の中長期試算で示す「成長実現ケース」が描く成長経路の実 現に向けた取り組みを進める。

2.令和5年度予算編成に向けて→上記マクロ経済運営の方向性を踏まえ、令和5年度予算編成に当たっては、骨太方針 2021 及 び 2022 に基づき、経済・財政一体改革を着実に推進。ただし、重要な政策の選択肢をせば めることがあってはならない。 コロナ対策の下で膨れ上がった地方創生臨時交付金等の各種支援措置については社会活 動の正常化とともに着実な見直しと正常化を図っていく。新たな「中期防衛力整備計画」の初年 度に係る施策、少子化対策・こども政策、GX への投資などの重要政策⇒予算編成過 程において検討。 特に、重点分野への投資⇒政策の長期的方向性や予見可能性を高めるよう、予算の単年度主義の弊害を是正するとともに、予算、税制、財政投融資、規制改革を含めた各種措置を呼び水にして民間投資を活性化するための仕組み・制度改革を具体化する。 一方、デジタル技術の活用等によって歳出改革を徹底強化し、社会課題解決に向けた官民連 携の強化、民間経済の活力強化や市場拡大に資するワイズスペンディングを推進。経済・ 財政一体改革における、見える化、先進・優良事例の全国展開、インセンティブ改革、公的部門の産業化、PPP・PFI や共助も含めた民間活力の最大活用などの取組を抜本強化するとともに、 EBPM の手法を前提とした PDCA の取組を推進する。また、コロナ禍での累次の補正予算や基 金の利活用状況について、その使い道、成果の見える化・検証を進める。 さらに、物価上昇という新しい環境を踏まえ、物価上昇の下でも政策効果が着実に発揮される よう適切な対応を行う。 なお、国債発行に当たっては、新型コロナ対応で短期化した平均償還年限を是正しつつ、市 場のニーズを踏まえたものとする。 このため、骨太方針 2022 に基づき、別紙の取組を進める。

(別紙)
1.マクロ経済財政
→当面のエネルギー・食料価格高騰による物価上昇・家計負担増大への対応、エネルギー・ 食料の需要面・供給面における構造的対応。 ジャンプスタートのための「総合的な対応策」の効果の最大発揮、「成長と分配の好循環」の 早期の実現。 安定成長経路の下での財政健全化:内外の厳しい環境変化を踏まえた中長期の視点に立 った持続可能な経済財政運営
2.重点分野への投資促進等→新しい資本主義に向けた重点分野(「人への投資」、「科学技術・イノベーションへの投資」、「スタートアップへの投資」、「GXへの投資」、「DXへの投資」)への計画的で大胆な重点投資。 人への投資:働く意思を有する幅広い人を対象とする、有業・無業、雇用形態を問わない、 個人のスキルアップ投資の支援と積極的労働市場政策の強化、円滑な労働移動の促進。 こども・子育て:予想を上回る少子化(2021 年出生数 81.2 万人(▲2.9 万人減))を踏まえ、十分なエビデンスを有する集中的かつ抜本的な少子化対策の検討。 科学技術イノベーションと防衛費:スタートアップ含め国内防衛生産・技術基盤の維持・強 化、CSTI等との連携強化、デュアル・ユース技術の活用など。 GX:10 年間 150 兆円の官民投資を実現するための高い予見可能性を有する仕組みづくり。サステナブルファイナンス市場の拡大に向けた分野横断的な取組。 環境変化への対応:外交・安全保障、経済安全保障、エネルギー安全保障、食料安全保障 等の強化、防災・減災、国土強靱化の推進等
3.歳出改革・ワイズスペンディングの推進
(1)社会保障
→医療・介護・住まいの一体的な検討・改革等地域共生社会づくりの推進。マイナンバーカードの保険証利用、マイナポータルの利活用拡大をはじめ、マイナンバーの利活用の徹底的な拡大を通じた医療・介護を始めとする公的給付の DX 化。 セルフメディケーションの推進、ヘルスリテラシーの向上、インセンティブ付けなどを通じた、 予防・重症化予防・健康づくりの推進、利用者負担見直しを含む介護保険の持続性確保。 給付と負担のバランスの確保、現役世代の負担上昇の抑制、マイナンバーの利活用、後期 高齢者医療制度の保険料賦課限度額の引上げを含む保険料負担の在り方等各種保険制 度における能力に応じた負担の在り方等の総合的な検討
(2)非社会保障→新型コロナ対策として行われた国から地方への財政移転についての成果と課題の早期検証。 社会課題の解決のための共助社会づくり、社会的起業家の支援強化、NPO 法人の活動促 進に向けた環境整備。 新技術の導入促進等による予防保全型メンテナンスへの転換とそのための財源確保。予 算単年度主義の弊害を是正し、公共事業執行の平準化による支出の効率化。 新たなアクションプランに基づいた PPP/PFI の自律的展開のための基盤形成、スタジアム・アリーナ等へのコンセッション導入、インフラの維持管理・更新での活用対象の拡大。 学びの基盤的な環境整備、大学への財政支援の配分のメリハリ強化等による教育及び研 究開発の質及び生産性の向上。

◎資料3−2 令和5年度の予算の全体像(参考資料)(有識者議員提出資料)
○令和5年度予算編成に向けた課題@(新たな課題への対応⑴
→令和5年度予算編成に当たっても、経済・財政⼀体改⾰を着実に推進。物価上昇の下でも政策効果の着実な発揮が必要。 安全保障環境の変化を受けて、防衛費に関しては予算編成過程において検討。スタートアップ含め国内防衛⽣産・技術基盤 の維持・強化、CSTI(総合科学技術・イノベーション会議)等との連携強化、デュアル・ユース技術の活⽤が必要。⇒図1〜4参照。
○令和5年度予算編成に向けた課題A(新たな課題への対応⑵)→グリーントランスフォーメーション(GX)や「⼈への投資」など重点分野において、計画的で⼤胆な重点投資が必要。 来年度予算編成においては、GXや少⼦化対策・こども政策等においても、社会課題解決に向けた官⺠連携の強化や経済⼒ 強化、市場拡⼤に資するワイズスペンディングを推進。図5〜9参照。
○令和5年度予算編成に向けた課題B(歳出改⾰の必要性の⾼まり)→その他分野でも歳出改⾰・ワイズスペンディングを⼀層進める必要。


◎資料4 令和5年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について(案)(鈴木議員提出資料)
○重要政策推進枠
→裁量的経費を義務的経費とともに検討。さらに、聖域を設けることなく施策・制度の抜本的見直し
・予算編成過程における検討事項→新型コロナウイルス感染症対策、原油価格・物価高騰対策等を含めた重要政策(上記 や為替変動への適切な対応を含む)⇒必要に応じ て、「重要政策推進枠」や事項のみの要求も含め、適切に要求・要望を行い、予算編成過程において検討。 新たな「中期防衛力整備計画」に係る経費⇒「基本方針2022」で示された方針を踏まえ、予算編成過程において検討。 少子化対策・こども政策に係る経費⇒「基本方針2022」で示された方針を踏まえ、予算編成過程において検討。 GXへの投資に係る経費⇒「基本方針2022」で示された方針を踏まえ、予算編成過程において検討。

○(参考)経済財政運営と改革の基本方針2022(令和4年6月7日閣議決定)(抄)
・第2章 新しい資本主義に向けた改革
1.新しい資本主義に向けた重点投資分野
(4)グリーントランスフォーメーション(GX)への投資   
2.社会課題の解決に向けた取組
(2)包摂社会の実現 (少子化対策・こども政策) (4)経済安全保障の徹底
・第3章 内外の環境変化への対応
1.国際環境の変化への対応 (1)外交・安全保障の強化
・第5章 当面の経済財政運営と令和5年度予算編成に向けた考え方
2.令和5年度予算編成に向けた考え方→ A 令和5年度予算において、本方針及び骨太方針2021に基づき、経済・財政一体改革を着実に推進する。 ただし、重要な政策の選択肢をせばめることがあってはならない。 B 新しい資本主義の実現に向け、「人への投資」、「科学技術・イノベーションへの投資」、「スタートアップへの投資」、「GXへの投資」、「DXへの投資」 の分野について、計画的で大胆な重点投資を官民連携の下で推進する。

○「令和5年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」
(令和4年7月◯日閣議了解)の骨子(案)
1.要求・要望→「年金・医療等」「地方交付税交付金等」「義務的経費」「その他の経費」
・新しい資本主義の実現に向け、人への投資、科学技術・イノベーションへの投資、スタートアップへの投資、GXへの投資及びDXへの投資への 予算の重点化を進めるとともに、エネルギーや食料を含めた経済安全保障を徹底し新しい資本主義実現の基礎的条件である国家の安全保障 を確保する等のため、「基本方針 2022」及び「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」(令和4年6月7日閣議決定)等を踏まえた重要 な政策について、「重要政策推進枠」を設ける。 各省大臣は、前年度当初予算におけるその他の経費に相当する額と要望基礎額の差額に 100 分の 300 を乗じた額及び義務的経費が前年 度当初予算の額を下回る場合にあっては、当該差額に 100 分の 300 を乗じた額の合計額の範囲内で要望。
2.要求期限→8月末日の期限を厳守。

○令和5年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について (案)
令和4年7月○日 【閣議了解】
1.要求・要望について→(1) 年金・医療等に係る経費 (2) 地方交付税交付金等 (3) 義務的経費 (4) 東日本大震災からの復興対策に係る経費 (5) その他の経費
(6) 重要政策推進枠→令和5年度予算においては、新しい資本主義の実現に向け、人 への投資、科学技術・イノベーションへの投資、スタートアップ への投資、グリーントランスフォーメーション(GX)への投資 及びデジタルトランスフォーメーション(DX)への投資への予 算の重点化を進めるとともに、エネルギーや食料を含めた経済 安全保障を徹底し新しい資本主義実現の基礎的条件である国家 の安全保障を確保する等のため、「基本方針 2022」及び「新しい 資本主義のグランドデザイン及び実行計画」(令和4年6月7日 閣議決定)等を踏まえた重要な政策について、「重要政策推進枠」 を措置する。
(7) 行政事業レビュー 上記の要求・要望に当たって、各省大臣は、「行政事業レビュ ーの実施等について」(平成 25 年4月5日閣議決定)に沿って、 各府省庁における行政事業レビューの結果を適切に反映し、実効 性あるPDCAを推進する。

2.要求期限等→8月末日
3.予算編成過程における検討事項→(1)〜(8)まで。  参照のこと。

◆令和4年会議情報一覧↓
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/index.html#tab0725

次回は新たに「第1回「障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)」資料」からです。

令和4年第9回経済財政諮問会議 [2022年08月02日(Tue)]
令和4年第9回経済財政諮問会議(令和4年7月25日)
《議事》(1) 金融政策、物価等に関する集中審議 (2) 年央試算
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/0725/agenda.html
◎資料1 黒田議員提出資料 →「わが国の経済・物価情勢」「展望レポート(2022年7月)の見通し」「日本銀行の金融政策運営」「(参考)先行きの金融政策運営の考え方」→次第に持ち直してきている。(◆令和4年会議情報一覧参照。議事要旨あり。)


◎資料2−1 「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」のフォローアップについて(内閣府)
○総合緊急対策の進捗状況について
・フォローアップの対象
→本年4月に決定した、「コロナ禍における『原油価格・物価高騰等総合緊急対策』」の実施状況につい て、直近時点での進捗状況を確認。
・対応状況→「コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」に基づき、物価高騰等の影響を受ける家計・事業者の方々に対する支援が実施されており、その効果もあってわが国の物価上昇率は国際的 にみて低位に抑えられている。 物価高騰等に対応するための1兆円の特別枠を設置した地方創生臨時交付金⇒低所得者への給付金の上乗せ、給食費支援等の個人向け支援や、電気料金等の高騰に対応するための地 場産業支援金等の事業者向け支援など、地域の実情に応じたきめ細やかな取組が進展。今月中に予備費を措置し、実質的な電気代負担の軽減、食料品価格の上昇抑制に対応する新たな 枠組みを設け、早急に実行に移す。 今後とも、緊張感を持って状況を把握し、予備費(5.5兆円)を機動的に活用しつつ、状況に応じた迅 速かつ総合的な対応に切れ目なく取り組む。
○別紙 足下の物価動向
→(1)国際的な原材料価格の推移 (2)主な品目の物価上昇率の各国比較 (3)G20諸国の消費者物価上昇率(総合、6月)⇒国際的にみて低位。
○主な施策の進捗状況について
1.原油価格高騰対策→交付決定額(6月末時点)。令和4年4月25日の週からは基準価格を168円、支給額上限を 35円とし、更なる超過分も1/2支援。7月14日〜20日においてはガソリン1ℓ当たり36.9円 を支給。なお、左記の1.6兆円は交付決定額であり、うち支払済額は0.6兆円程度。その他あり。
2.エネルギー・原材料・食料等安定供給対策→こどもみらい住宅支援事業など5対策に。
3.新たな価格体系への適応の円滑化に向けた中小企業対策等→中小企業へのセーフティネッ ト貸付【財務省・経産省等】など3対策。
4.コロナ禍において物価高騰等に直面する生活困窮者等への支援→低所得子育て世帯に対する特 別給付金【厚労省】など3対策。
○地方創生臨時交付金の活用も念頭に置いた地方公共団体の取組例→<生活者の支援に関する事業><事業者の支援に関する事業>⇒それぞれ5分野の支援あり。


◎資料2−2 「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」のフォローアップについて(参考資料)(内閣府)
【予算】→燃料油価格の激変緩和事業【令和3年度予備 費、令和4年度予備費、令和4年度補正】など67支援策あり。
【資金繰り支援】→原油価格高騰等の影響を受けた中小企業等に 対する日本公庫等のセーフティネット貸付等【令和4年度当初等】。新型コロナの影響を受けた事業者に対する実 質無利子・無担保融資及び危機対応融資等【令 和3年度補正等】。
【非予算】→原油価格高騰への対処を目的とした産油国への増産働きかけ、24の取り組み。
【公共投資】→早期執行に向けた取組 参照。

◎資料3−1 令和4年度内閣府年央試算(ポイント)(内閣府) ↓
・2022年度→海外経済の減速等により外需が押下げ要因となる一方、コロナ禍からのサービス消費 の回復が見込まれること等により、GDP成長率は実質で2.0%程度、名目で2.1%程度と見込まれる。
2023年度→コロナ禍からの回復ペースが巡航速度に戻る中で、消費と投資が着実に増加していくこ とにより、GDP成長率は実質で1.1%程度、名目で2.2%程度と見込まれる。


◎資料3−2 令和4年度内閣府年央試算(内閣府)
我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による強い下押し圧力を受けな がらも、持ち直しの動きを続けてきた。その動きはロシアのウクライナ侵略 に伴う世界的な資源価格・物価上昇の下でも維持されている。消費者物価⇒エネルギーや食料品を中心に上昇はしているものの、全体として 見れば諸外国に比べて低い伸びにとどまっている。 今後⇒感染拡大の防止と経済社会活動の両立を維持する中、各 種政策の効果もあって、消費や投資を中心とした回復が期待される。ただし、 ウクライナ情勢の長期化等による原材料価格の更なる上昇や供給制約、国内 外の感染症の動向、金融資本市場の変動等に十分注意する必要。 政府は、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を具体化する令和3年度補正予算及び令和4年度予算を迅速かつ適切に執行、現下の物価状況に対応した「コロナ禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急 対策」」を着実に実行する。あわせて、「物価・賃金・生活総合対策本部」において、予備費を機動的に活用しながら、物価・景気両面の状況に応じた迅 速かつ総合的な対応に切れ目なく取り組む。 その上で、経済財政運営と改革の基本方針 2022 及び新しい資本主義のグラ ンドデザイン・実行計画を前に進めるための総合的な方策を早急に具体化し実行に移す。 こうした政策の基本的方針を踏まえ、2022 年度(令和4年度)の経済の姿を試算⇒海外経済の減速等により外需が押下げ要因となる一方、コロ ナ禍からのサービス消費の回復が見込まれること等により、GDP成長率は 実質で 2.0%程度、名目で 2.1%程度と見込まれる。また、消費者物価上昇率(総合)は 2.6%程度と見込まれる。 2023 年度(令和5年度)の経済の姿について、当該年度のマクロ経済を考 えるための参考として一定の想定の下に試算すると、コロナ禍からの回復ペ ースが巡航速度に戻る中で、消費と投資が着実に増加していくことにより、 GDP成長率は実質で 1.1%程度、名目で 2.2%程度と見込まれる。また、消 費者物価上昇率(総合)は 1.7%程度と見込まれる。
○主要経済指標
○(参考1) 令和5(2023)年度 参考試算
○(参考2) 主な経済指標
○内閣府年央試算に関する付注


◎資料4−1 年央試算を受けたマクロ経済運営について(有識者議員提出資料)
世界経済の関心がインフレ抑制に移る中、我が国においても、輸入比率の高いエネルギーや食料品を中心に物価上昇圧力が高まっている。まずは、世界的なエネルギー市場や穀物・商品市況 の急騰から日本経済を守ることを第一に、的を絞った激変緩和措置を講じて生活者や事業者への 急激な影響を抑えるべきであり、実際、その効果もあって我が国の物価上昇率は2%程度と欧米 諸国の4分の1程度の上昇率にとどまっている。 その上で、年後半の日本経済にとって最も重要なことは、ある程度の物価上昇を前提とした持続 可能な政策運営を行い、物価上昇という新しい環境の下でも国民の可処分所得を継続的に拡大し、 成長と分配の好循環につなげていくこと。そのためには、新たな成長経路に向けた人への 投資を始めとする国内投資の大幅な拡大と最低賃金を含めた賃上げモメンタムの維持・拡大、成長分野への人材の柔軟な移動といった経済のダイナミズムを回復することが極めて重要。 こうした問題意識の下、今後のマクロ経済運営について以下提言する。
1.コロナ禍からの回復モメンタムの拡大と物価上昇への対応
(変異株の特性を踏まえたコロナ対応と経済活動の拡大)
→日本経済は、年初来のオミクロン株の特性を踏まえた感染防止と経済社会活動の両立により、 小売や外食、旅行といったコロナ禍で落ち込んだサービス消費にもようやく明るい兆しが出始めた。実質GDPで見た経済活動水準も、本年4−6月期にはコロナ前水準を回復した見込み。 この経験を活かし、1日も早い平常時の経済社会活動を実現するためにも、変異株の特性を 踏まえた的を絞った対策を行うことはもとより、ワクチン接種の着実な推進、さらには感染状況 や科学的知見の蓄積に基づいた60歳未満の4回目接種の対象拡大などの感染・重症化予防 策、骨太方針2022で定めた感染拡大時の即応病床の増床や医療人材派遣の円滑化といっ た医療提供体制の強化に万全を期すべき。その上で、海外との人流拡大を含め、できるかぎりウィズコロナの下でも経済活動の水準を引 き上げていくべき。特に、夏の旅行需要が一服した後の地域観光やサービス消費の継 続的な拡大、さらには、これまでの円安メリットを最大限活用するインバウンドの拡大や中小企 業を中心とする輸出展開を一層推進すべき。 また、ウィズコロナの下での経済社会活動を進めるためにも、新型コロナの感染症法における 位置づけを含め、コロナを日常的な医療提供体制の中に位置付ける検討を進めるべき。
(物価上昇への対応)→現下の物価上昇が景気の腰折れをもたらす最大のリスクは、物価上昇といった新しい環境にもかかわらず賃金上昇や下請け企業の価格転嫁が進まないリスクである。特に、コロナ禍で 既に厳しい状況にある方々に物価上昇のしわ寄せが行ってしまうこと。政府は、物価上昇の影 響を丁寧に分析し、真に必要な方々に対してエネルギーや食料品に集中的な対策を講じるなど、物価・景気両面の状況に応じて5.5兆円の予備費を機動的に活用して適切かつ効果的な 対応策を講じるべき。 日本銀行⇒経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、2%の物価安定目標を持続的・安 定的に実現する金融政策運営を行うことを期待する。今後とも、政府・日銀は経済財政諮問会 議等の場を活用して緊密に連携し、物価安定の下での持続的な経済成長の実現に向けて一 体となって取り組むべき。なお、為替⇒過度な変動や無秩序な動きが経済・金融の 安定に悪影響を与え得るとの認識の下、動向を注視し、必要に応じて適切に対応すべき。
(公共料金、エネルギー政策等)→ 今後、エネルギー価格や生産コストの上昇がラグを持って、日常生活に密接な公共料金(国や 地方公共団体が決定や改定に直接関わる公的な価格)の上昇圧力が強まることが見込まれる。 今後予定される公共料金の改定について、所管省庁は家計や中小企業等への影響や価格改 定のタイミングなどを十分に検討した上で、必要に応じ、消費者庁との協議や経済財政諮問会 議への報告等を通じて、政府全体として国民負担への影響を把握すべき。 エネルギー価格の上昇とともに、電力を始めとするエネルギー不足が国民生活や経済活動の 足かせとならないよう、国民にとって最適なエネルギーミックスを進め、安全が確認された原 子力の最大限の活用を含めたエネルギーの安定供給に向けた対応、需要側の効率使用イン センティブへの取組を進めるべき。 同時に、脱炭素に向けた再エネの最大限の導入や水素・アンモニアを始めとするカーボンニュートラル技術の実用・商用化、国内に資金を呼び込むサステナブルファイナンス市場の拡大など、海外への所得流出を防ぎ、資金の国内循環を促すグリーントランスフォーメーション(GX) に向けた取組を加速すべき。今後策定される「骨太方針や新しい資本主義に向けたグランドデザインと実行計画をジャンプスタートさせるための総合的な方策」においては、GXの加速を最 重要課題の一つとすべき。 また、政府としても、物価上昇という新しい環境を踏まえ、今年度の予算執行や来年度予算の 編成過程において、物価上昇の下でも政策効果が着実に発揮されるよう適切な対応を行うべ き。

2.新たな成長経路に向けた人への投資・国内投資の持続的な拡大
(物価上昇環境での賃上げ・人への投資)
→ 成長と分配の好循環を進め、経済を持続的な成長軌道に乗せていくためには賃上げの継続的 な拡大が不可欠。最低賃金⇒官民が協力して引き上げ、骨太方針2022で定めた ように、できる限り早期に全国加重平均が 1,000 円以上となることを目指して取り組むべき。その際、現下の物価上昇を踏まえた実質的な生計費や賃金、賃金支払能力を考慮した改定とすること。その上で、今後の賃上げ全体についても、ある程度の物価上昇を前提として、今年度の賃上 げ率(2.07%(連合集計))を更に上回る賃上げモメンタムが可能となるよう、政府は人への投 資を抜本的に強化する政策運営を行い、産業構造の変化に応じた人材のスキルアップと労働 市場の柔軟化、成長分野への労働移動を通じた生産性の向上と賃金上昇の継続、物価上昇を 上回る賃金上昇が実現する経済環境の整備に万全を期すべき。 あわせて、中小企業の持続的な成長や賃金支払能力を高めるためにも、コスト増加分を適正 に価格転嫁できる発注企業と受注企業のパートナーシップ構築や取引適正化に向けた対策、 新たな販路拡大や新分野への挑戦など生産性向上に向けた投資環境の整備を行い、成長と 分配の好循環が中小・下請企業に行き渡る政策運営を行うべき。 さらに、所得の改善を持続的な消費の拡大につなげるためにも、全ての世代が安心できる社 会保障制度に向けた対応を加速すべき。給付と負担のバランスを図りつつ、年齢ではなく負担 能力に応じた制度に改革し、経済と財政・社会保障をともに持続可能なものとすべき。その際、 給付と負担の双方をより効果的かつ効率的に行うツールとしてマイナンバーの活用を徹底す べき。
(新たな成長経路に向けた国内投資の持続的拡大)→マクロ経済運営に当たっては、これらの賃上げに相応しい経済成長率の確保が必要。前述のように、まずはコロナ禍からの回復モメンタムの拡大と物価上昇への対応など当面のマクロ経 済運営に万全を期し、その上で、骨太方針2022や新しい資本主義に向けたグランドデザイ ン・実行計画をジャンプスタートさせるための総合的な方策を具体化し、一気に実行すべき。これにより、今年度から来年度にかけて成長力を更に高め、2023年度は内閣府年央試算で示 された成長見通しを上回る一段高い成長経路に日本経済を乗せていくべき。 そのためにも、成長力強化に向けた人的・物的投資の拡大が不可欠。特に民間企業の投資は、 コロナ下で大幅に下方シフトしており、2023年度時点で依然としてコロナ前の水準(2019年度) を下回る見込みとなっている。社会課題の解決に向けた重点投資分野(人への投資、科学技術・イノベーションへの投資、スタートアップへの投資、GX・DXへの投資)を国内投資の起爆剤にして、官が火付け役となり、官民協力して計画的で大胆な投資をスピーディに実行すべき。 その際、人への投資の中心的役割を果たす労働保険特別会計等による質・量両面での人的 投資の抜本強化や時代のニーズに対応した教育・人材育成の見直し、科学技術・イノベーショ ン投資における個別戦略間の業際連携の強化、デュアルユースを含む先端技術分野のスタ ートアップ支援、GX・DX分野において民需を誘発するワイズスペンディングと規制・制度改革 の具体的組み合わせ等について、検討を進めるべき。


資料4−2 年央試算を受けたマクロ経済運営について(参考資料)(有識者議員提出資料)
○ウイズコロナの下での経済活動との両立→
的を絞った効果的な対応により、持続可能な政策運営を。欧米諸国に比べ、政策の平時モードへの移行に遅れ。
○物価上昇への対応→物価上昇の影響をセグメント別に丁寧に分析し、厳しい状況にある方々への適切かつ効果的な対応策を講じていくべき。
○賃上げモメンタムのさらなる拡大→今年度の賃上げ率(2.07%)を更に上回る賃上げモメンタムが可能となるよう、人への投資を抜本的に強化。スキルアップと 成長分野への労働移動を通じた生産性の向上と賃金上昇の継続、物価上昇を上回る賃金上昇の実現を。
○将来所得を生み出す投資の持続的拡大→コロナ禍を経て投資のトレンドは下方シフト。経済をもう一段高い成長軌道に乗せていくには、人的・物的投資の大幅な底上げ(シフトアップ)が必要。 企業収益・キャッシュフローの増加を投資拡大に結びつけるため、社会課題解決に向けた計画的で大胆な投資を官民が協 力して進めるべき。

◆令和4年会議情報一覧↓
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/index.html#tab0725

次回は新たに「第6回「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」」からです。

第121回労働政策審議会障害者雇用分科会(資料) [2022年07月06日(Wed)]
第121回労働政策審議会障害者雇用分科会(資料)(令和4年6月16日)
《議題》(1)意見書(案)について (2)その他
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26270.html
◎資料1−1今後の障害者雇用施策の充実強化について(案)(労働政策審議会障害者雇用分科会 意見書)
○目 次

第1 はじめに
第2 雇用の質の向上に向けた事業主の責務の明確化
第3 障害者雇用と障害者福祉の連携の促進
1 アセスメントの機能強化
2 障害者就労を支える人材の育成・確保
3 地域の就労支援機関の役割分担
第4 多様な障害者の就労ニーズを踏まえた働き方の推進
1 障害者雇用率制度における障害者の範囲
(1)週所定労働時間 10 時間以上 20 時間未満の障害者の取扱い
(2)障害者手帳を所持していない精神障害者、発達障害者及び難病患者の取扱い
(3)就労継続支援A型事業所の利用者の取扱い
2 精神障害者に対する障害者雇用率等の算定
(1)精神障害者の算定特例の延長
(2)精神障害者に係る重度の取扱い
3 長期継続雇用の評価
第5 障害者雇用の質の向上の推進
1 障害者雇用調整金、報奨金による対応
2 障害者雇用納付金の適用範囲の拡大
3 障害者雇用を推進する事業主の取組に対する支援
第6 その他の諸課題
1 在宅就業障害者支援制度の活用促進
2 有限責任事業組合の算定特例の全国展開
3 除外率の引下げによる障害者雇用の促進
4 その他
第7 おわりに→今般、新たに措置することが適当とされた週 10 時間以上 20 時間未満の障害者に対する 雇用率制度における特例、除外率の引下げや、長期継続雇用の推進等、個別の施策を進め るに当たり、雇用の質の向上という観点では合理的配慮の提供が重要であり、事業主は合 理的配慮の提供について、その意義を改めて認識し対応することが適当。


◎資料1−2 意見書(案)※第 120 回意見書(案)からの変更点
・変更点は赤い字で。⇒資料1-1が(労働政策審議会障害者雇用分科会 意見書)。

◎参考資料1 労働政策審議会障害者雇用分科会委員名簿 →20名。

◎参考資料2 障害者のテレワーク雇用に向けた企業向けコンサルティング を実施します
・生労働省は、障害者のテレワーク雇用に向けた企業向けコンサルティングを実 施しています。障害者をテレワークで雇用するにあたり生じる個別具体的な課題に ついて、電話・メール・事業所訪問・オンラインで最大5回まで無料でご相談いた だけます。

・テレワークは、障害者の多様な働き方のひとつであり、自宅でも働くことができ る機会として大きな可能性があるとともに、企業の方にとっても、全国から優秀な 人材を確保することができるというメリットがあります。こうしたことを踏まえ、 昨年度は支援機関や企業での事例の紹介等を行う全国フォーラム(※1)、障害者 雇用におけるテレワークの具体的な導入に向けた手順等について説明する企業向け ガイダンスを開催しました(※2)。
・コンサルティングの詳細及びお申し込み先⇒別添の「コンサルティングリーフレット」及びホームページ(https://mhlw-twconsulting.com/)をご参照ください。
(※1)当フォーラムの動画は厚生労働省動画チャンネル(Youtube)よりご覧いただけます。 https://www.youtube.com/playlist?list=PLMG33RKISnWi7aYfEFqPnC6M1dKpSvnmn
(※2)企業向けガイダンスは今年度も実施予定です。詳細は追ってお知らせします。

次回は新たに「第15回 社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」(資料)」からです。

令和4年第8回経済財政諮問会議(令和4年6月7日) [2022年07月05日(Tue)]
令和4年第8回経済財政諮問会議(令和4年6月7日)
《議事》(1) 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(案)(2) 経済財政運営と改革の基本方針 2022(案)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/0607/agenda.html
◎資料2 渋澤委員提出資料
◎第九回「新しい資本主義実現会議」コメント
1.今までの経済政策の実行計画では無かった特長 右矢印1 「インパクト」 にあり。↓

「3.民間も公的役割を担う社会を実現 p.3→て「インパクト」を測定し、「課題解 決」を資本主義におけるもう一つの評価尺度」「4.インパクト投資の推進 p.26→官民ファンド等によるインパクト投資を推進」「5.グローバルヘルス(国際保健) p.34→や投資インパクトの可視化を行う」
右矢印1「新しい資本主義」は、新しい時代において取り残さない包摂性ある資本主義
右矢印1これで世界をリードするという意気を、8月の TICAD など世界の舞台で示していた だきたい。

2.新たな法人形態として民間の社会的活動の財源 and スタートアップを支えるエコ システムのストックづくり↓
「H社会的課題を解決するスタートアップの環境整備として法人形態の在り方の検討 p.17→社会的起業家の起業をサポートす る観点から民間で公的役割を担う新たな法人形態の創設を検討」「1.民間で公的役割を担う新たな法人形態・既存の法人形態の改革の検討 p.25→新たな法制度の必要性の有無について検討すること とし、新しい資本主義実現会議に検討の場を設ける。」
右矢印1米「5%ペイアウトルール」を参考にした「ソーシャル・インベストメント・コーポレーシ ョン」(仮称)の検討をファローアップでお願いしたい。(第6回 資料7をご参照)
右矢印1上記を、休眠預金のより有効的な活用、日銀が保有する ETF の出口戦略としても 活用できるかを検討。

3,新しいお金の流れをつくるには、新しい担い手の育成も重要 (人への投資)
「B個人金融資産及びGPIF等の長期運用資金のベンチャー投資への循環 p16→GPIF等 の長期運用資金が、ベンチャー投資に循環する流れを構築する」
右矢印1公的資金がベンチャー投資のスタートアップ(1号ファンド)にも出資できるガイドラ インの検討をお願いしたい。

4.資産所得倍増を達成するためには、全国民が使いやすい制度設計を優先
「(3)貯蓄から投資のための「資産所得倍増プラン」の策定 P11→ 個人金融資産を全世代的に貯蓄から投資にシフト。子供世代が資産形成を行いやすい環境整 備等を図る。」
右矢印1最も使いやすい「つみたて NISA」の恒久化・未成年解禁で、子供世代を含む全国 民が参加できる制度拡充の検討を優先していただきたい。

5.「社会」の非財務的価値の情報開示のグローバル基準づくりに参画。
「(6)人的資本等の非財務情報の株式市場への開示強化と指針整備 p11→人的資本をはじめとする非財務情報を見える 化し、株主との意思疎通を強化」
右矢印1 人的資本をはじめとする「社会」の非財務的価値の情報開示の基準について、 様々な国内外のステークホルダー対話の場を官民が連携して設けていただきたい。 (6)人的資本等の非財務情報の株式市場への開示強化と指針整備 p11


◎資料3 内閣総理大臣からの諮問第 47 号について
令和4年6月7日
経済財政諮問会議議長 岸田 文雄 殿   
内閣総理大臣 岸田 文雄
諮問第47号→ 当面の経済財政運営と改革の基本方針の在り方いかん。

◎資料4−1 経済財政運営と改革の基本方針 2022(案)
○目次のみ

第1章 我が国を取り巻く環境変化と日本経済
1. 国際情勢の変化と社会課題の解決に向けて
2. 短期と中長期の経済財政運営
(1) コロナ禍からの回復とウクライナ情勢の下でのマクロ経済運営
(2) 中長期の経済財政運営
第2章 新しい資本主義に向けた改革
1.新しい資本主義に向けた重点投資分野
(1)人への投資と分配
(2)科学技術・イノベーションへの投資
(3)スタートアップ(新規創業)への投資
(4)グリーントランスフォーメーション(GX)への投資
(5)デジタルトランスフォーメーション(DX)への投資
2.社会課題の解決に向けた取組
(1)民間による社会的価値の創造
(2)包摂社会の実現
(3)多極化・地域活性化の推進
(4)経済安全保障の徹底 第3章 内外の環境変化への対応
1. 国際環境の変化への対応
(1)外交・安全保障の強化
(2)経済安全保障の強化
(3)エネルギー安全保障の強化
(4)食料安全保障の強化と農林水産業の持続可能な成長の推進
(5)対外経済連携の促進
2. 防災・減災、国土強靱化の推進、東日本大震災等からの復興
3. 国民生活の安全・安心
第4章 中長期の経済財政運営
1. 中長期の視点に立った持続可能な経済財政運営
2. 持続可能な社会保障制度の構築
3. 生産性を高め経済社会を支える社会資本整備
4. 国と地方の新たな役割分担
5. 経済社会の活力を支える教育・研究活動の推進
第5章 当面の経済財政運営と令和5年度予算編成に向けた考え方
1. 当面の経済財政運営について
2. 令和5年度予算編成に向けた考え方

◎資料4−2 経済財政運営と改革の基本方針 2022(案)概要
財政運営と改革の基本方針2022 (令和4年6月7日 閣議決定)
新しい資本主義へ〜課題解決を成長のエンジンに変え、持続可能な経済を実現〜


T.我が国を取り巻く環境変化と日本経済
・我が国を取り巻く環境変化(新型コロナウイルス感染症、ロシアのウクライナ侵略、気候変動問題等)や国内における構造的課題(輸入資源価格の高騰、人口減少・少子高齢化、 潜在成長率の停滞、災害の頻発化・激甚化等)など、内外の難局が同時かつ複合的に押し寄せている。
・世界経済の不確実性が大きく増す中、我が国のマクロ経済運営
⇒当面、2段階のアプローチで万全の対応を行う。↓
【第1段階】 総合緊急対策を講じることにより、国民生活や経済への更なる打撃を抑制し、 厳しい状況にある方々を全力で支援。コロナ禍からの回復を確かなものに。 予備費の活用等により予期せぬ財政需要にも迅速に対応し、国民の安心を確保。
【第2段階】 骨太方針2022や新しい資本主義に向けたグランドデザイン・実行計画をジャンプスタートさせるための総合的な方策を早急に具体化し、実行へ。
・大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を一体的に進める経済財政運営の枠組みを堅持。民需主導の自律的な成長とデフレからの脱却に向け、 躊躇なく機動的なマクロ経済運営を行う。
・持続的な経済成長に向けて、官民連携による計画的な重点投資を推進する。危機に対する必要な財政支出は躊躇なく行い、万全を期す。 経済あっての財政であり、経済をしっかり立て直す。そして、財政健全化に向けて取り組む。

U.新しい資本主義に向けた改革→社会課題の解決に向けた取組それ自体を付加価値創造の源泉として成長戦略に位置づけ、官と民が協力して計画的・重点的な投資と改革を行い、課題解決と経済成長を同時に実現。
○新しい資本主義に向けた重点投資分野↓
1.人への投資と分配
→「スキルアップ、多様な働き方の推進」「質の高い教育」「賃上げ・最低賃金の引上げ(全国加重平均1000円以上)」「「資産所得倍増プラン」(NISAの抜本的拡充、iDeCo制度の改革等)」。 2.科学技術・イノベーションへの投資→「量子、AI、バイオテクノロジー・医療分野への官民が連携した 投資の抜本拡充」。 3.スタートアップ(新規創業)への投資→ 「スタートアップ育成5か年計画を本年末に策定(5年10倍増)」。 4.グリーントランスフォーメーション(GX)への投資→「150兆円超の官民投資に向けた成長志向型カーボンプライシング構想の具体化やGX経済移行債(仮称)の検討」。 5.デジタルトランスフォーメーション(DX)への投資→「テクノロジーマップの整備・実装、マイナンバーカードの普及」。
○社会課題の解決に向けた取組↓
・民間による社会的価値の創造
→ ・PPP/PFIの活用等による官民連携の推進 ・社会的インパクト投資、共助社会づくり ・イノベーションを促す競争環境の整備
・包摂社会の実現→「少子化対策・こども政策、女性活躍」「共生社会づくり、孤独・孤立対策、就職氷河期世代支援」
・多極化・地域活性化の推進→「デジタル田園都市国家構想」「分散型国づくり、地域公共交通ネットワークの再構築」「多極化された仮想空間へ」「中堅・中小企業の活力向上、債務増大への対応」「観光立国の復活、文化芸術・スポーツの振興 」
・経済安全保障の徹底

V.内外の環境変化への対応
○国際環境の変化への対応 ↓

・外交・安全保障の強化→「安全保障環境が一層厳しさを増す中、外交・安全保障双方の大幅な強化」「防衛力を5年以内に抜本的に強化」
・経済安全保障の強化→「経済安全保障推進法の着実な施行」「エネルギー安全保障の強化 」「省エネ促進、再エネ、原子力など脱炭素効果の高い電源を最大限活用」
・食料安全保障の強化と農林水産業の持続可能な成長の推進→「食料安定供給、みどり戦略、輸出促進(2030年5兆円目標) 、スマート農林水産業 」
・対外経済連携の促進→「国際連携の強化(DFFT、TPP11、RCEP、IPEF等)」「対日直接投資の推進(2030年80兆円目標)」「外国人材の受入れ・共生」
○防災・減災、国土強靱化の推進、東日本大震災等からの復興 国民生活の安全・安心

W.中長期の経済財政運営、X.当面の経済財政運営と令和5年度予算編成に向けた考え方
・財政健全化の「旗」を下ろさず、これまでの財政健全化目標に取り組む。経済あっての財政であり、現行の目標年度により、状況に応じたマクロ経済政策の選択肢が歪められてはならない。必要な政策対応と財政健全化目標に取り組むことは決して矛盾するものではない。経済をしっかり立て直し、そして財政健全化に向けて取り組んでいく。ただし、感染症及び直近の物価高の影響を始め、内外の経済情勢等を常に注視していく必要がある。このため、状況に応じ必要な検証を行っていく。
・官民連携による計画的な重点投資の推進、単年度予算の弊害是正、効果的・効率的な支出(ワイズスペンディング)の推進とEBPMの徹底強化、税制改革。
・全世代型社会保障をはじめとする持続可能な社会保障制度の構築、その他歳出分野(社会資本整備、地方行財政、教育・研究活動の推進)の取組を実施。
・令和5年度予算において、本方針及び骨太方針2021に基づき、経済・財政一体改革を着実に推進。ただし、重要な政策の選択肢をせばめることがあってはならない。

次回は新たに「第121回労働政策審議会障害者雇用分科会(資料)」からです。

令和4年第8回経済財政諮問会議 [2022年07月04日(Mon)]
令和4年第8回経済財政諮問会議(令和4年6月7日)
《議事》(1) 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(案)(2) 経済財政運営と改革の基本方針 2022(案)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/0607/agenda.html
W.社会的課題を解決する経済社会システムの構築→個社の短期的収益を重視する視点から、社会的価値を重視する視点への転換を図る。 短期的に企業収益が上がりさえすれば良いという考え方は成り立たない。社会面、環境面での責任(人的資本・人権、気候変動、ダイバーシティ等)を企業が果たすことが、 事業をサステナブルに維持していくためには不可欠。金銭的リスク・リターンに加え社会面・環境面のインパクトを考えるマルチステークホルダー型企業社会を推進。課題先進国といわれる我が国⇒世界に先んじて社会的課題を成長エネルギーとして捉え解決していく仕組みを経済社会の中にビルトインしていく。

1.民間で公的役割を担う新たな法人形態・既存の法人形態の改革の検討→社会がより複雑化している中で、孤独・孤立対策や環境保護等に加え、医療、介護、教育等、これまで官が担ってきたサービスにおいても、多様なニーズにきめ細 かく対応するため、民間の主体的な関与が期待されている。こうした中、我が国⇒社会的課題と経済的成長の二兎を追いたい起業家が増えている。 従来の株式会社では、株主利益の追求が大前提である一方、非営利組織は、事業実施主体として限界があり、資金調達の柔軟性が低いことから、大規模な 課題解決が難しいとの指摘もある。 欧米では、ベネフィットコーポレーション等の新たな法制度が整備されつつある。 米国では、2010年から2017年までの間に7,704社のベネフィットコーポレーション が設立されており、全米に広く拡大した。ベネフィットコーポレーションへの投 資額も、5年間で6倍に、1件当たりの投資額も4倍に増加している。投資家も、インパクト投資家だけでなく、通常の利益追求型の投資家も投資を行っている。 新たな官民連携の形として、このような新たな法制度の必要性の有無について検 討することとし、新しい資本主義実現会議に検討の場を設ける。あわせて、民間にとっての利便性向上の観点から、財団・社団等の既存の法人形態の改革も検討する。

2.競争当局のアドボカシー(唱導)機能の強化→競争当局は独占禁止法の施行事務以外に、取引慣行や規制により競争が働いていない分野について調査をし、取引慣行の改善や規制の見直しを提言(アドボカシー)する機能を有している。我が国の公正取引委員会についても、DX等の社会の変革の 中でアドボカシー機能に対する期待が強い。 ここ数年では、携帯電話料金や銀行間送金手数料、スタートアップの新規株式公開等について競争関係の実態調査を行い、アドボカシー(唱導)を実施してきたが、体制を整備し、アドボカシー機能を抜本的に強化する。
3.寄付文化やベンチャー・フィランソロフィーの促進など社会的起業家への支援強化→ 米国では、成功した起業家をはじめ、幅広い者がビジネスで得た果実等を社会に還元し、社会的課題の解決に貢献する、いわゆるフィランソロフィーの概念が確立している。 SDGs実現を含む社会的課題に取り組む民間の活動に対し、休眠預金の活用を検討する。その際、投融資の在り方等について検討を進め、本年度中に結論を得る。 また、民間の寄付やクラウドファンディング等の資金・人材を呼び込む社会的ファイナンスの活用を促進するとともに、上述の新たな法人形態の創設、財団・社団等 の既存の法人形態の改革を検討。 また、起業家教育に当たっては、社会的起業家を育成するシステムの強化を検討する。

4.インパクト投資の推進→社会的起業家への投資、官民ファンド等によるインパクト投資(経済的利益の獲得 のみでなく社会的課題の解決を目指した投資)を推進。ソーシャルボンド(調達した資金が社会的課題の解決に貢献するプロジェクトのみに充当 される債券)について、プロジェクトの実施による社会的な効果を適切に開示できる ようにする。ガイドラインの整備を図り、社会的課題ごとに、発行主体の参考とな る指標の例を示す。
5.孤独・孤立など社会的課題を解決するNPO等への支援→ 長引くコロナ禍により、貧困を抱える世帯の生活が厳しくなるとともに、孤独・ 孤立の問題が深刻な社会問題となっている。困難を抱える方々と行政の橋渡しをす るNPOは重要であり、孤独・孤立対策に取り組むNPO等の活動をきめ細かく支援。 地域の課題解決に向けた自治体と企業・NPO等とのマッチングを促進するため、官民連携プラットフォームの機能強化を図る。 また、企業の人材を自治体に派遣する取組を進めるため、企業版ふるさと納税のPRを進める。

6.コンセッション(PPP/PFIを含む)の強化→公共施設の民間事業者による運営を行うコンセッション(公共施設等運営事業)等を加速する。 空港分野⇒運営権対価の最大化を図りつつ、地方管理空港を含め、原則として全ての空港へのコンセッション(公共施設等運営事業)の導入を促進する。 空港容量の拡大等の機能強化が引き続き必要であるため、例えば羽田空港⇒ 2020年3月に導入した都心上空新経路により拡大した空港容量を確保すべく、経路下の地域との調整を着実に進める必要がある。また、成田空港⇒まずは 第三滑走路の建設を含む機能強化事業を着実に実施する必要がある。 今後、コロナ禍の経験等を踏まえたリスク分担の在り方に加え、空港における機能強化の進捗や地域との関係等を踏まえつつ、コンセッション(公共施設等運営事業) の実施について検討する。 鉄道、バス、タクシー等を接続する公共交通ターミナルである「バスタ」⇒コンセッション(公共施設等運営事業)の導入を推進する。スタジアム、アリー ナ等についても導入を推進。 林業分野⇒樹木採取権制度に基づき、パイロット的に選定された10か所について、樹木採取権の設定を進める。より大規模・長期間のものも含めた今後の樹木 採取権設定に関する具体的方針を本年末までに策定する。 また、新たに策定したアクションプランに基づき、PPP/PFIを拡大するため、その導入を自治体が優先的に検討する取組の改善を促す等、取組を強化する。

X.経済社会の多極集中化→デジタル田園都市国家構想の推進により、一極集中から、多極集中への転換を図 る。
新しい資本主義の象徴は地方・地域である。これまで、我が国の経済社会は、人々の暮らし、企業活動、国土形成等において一極集中を進めてきた。日本では、 総人口のうち、50万人以上の大都市に住んでいる割合が73%にのぼり、65%の米国、 56%の英国など欧米各国を上回り、大都市に人口が集中している。 しかしながら、コロナの拡大は経済社会の分極化の重要性を再認識させた。コロ ナ禍以降、大都市において、都心部から周辺部へ人口が移動し、地方移住への関心が高まっている。特に、20代や30代の若者層の関心が高い。理由としては、自然豊 かな環境に魅力を感じたこと(31.5%)に加え、テレワークによって地方でも働ける ようになったこと(24.3%)を挙げている。 デジタル技術の発達(DX)は、一極から多極への転換を可能とする力をもたらした。デジタルサービスは、新しい付加価値を生み出す源泉であり、日本の地方が 直面する少子高齢化や、過疎化といった課題を解決するための鍵である。デジタルの力で、物理的距離がマイナス要素ではなくなる中、我が国を支える農山漁村の存 在やゆとりある生活など地方・地域の豊かな魅力を核に、新しいライフスタイルの支援を幅広く展開する。小さくともキラリと光る地域でのデジタル実装を数多く生 み出し、また発見し、横展開していく。東京・首都圏と地方がウィンウィンとなる 関係性を構築する。 多様な地域、企業、人材等が広がりつつネットワーク内でつながり、付加価値を 生み出す多極型の経済社会を作っていく。
1.デジタル田園都市国家構想の推進
(1)デジタル田園都市国家の実現に向けた基盤整備→ @光ファイバ・5G・データセンター等の全国津々浦々への整備
→「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」に基づき、都市と地方を一体的に、 デジタル基盤を整備していく。 光ファイバについて、2027年度末までに世帯カバー率99.9%を必達目標とし、さらに必要とする全地域の整備を行う。 5Gの整備⇒2030年度末に人口カバー率で99%の整備を必達目標とする。あわせて、ローカル5G等の地域のデジタル基盤の構築を推進。 データセンター⇒急増するデータ需要や東京圏一極集中是正のため、 十数か所の地方拠点を5年程度で整備。 通信回線の中継拠点(インターネット接続点)の地方分散や、海底ケーブルと陸上 ネットワークの中継拠点(陸揚局)の地方分散を促進するとともに、日本を周回する 国内海底ケーブル(「デジタル田園都市スーパーハイウェイ」)を2025年度までに完成させる。 高齢者などデジタル技術に不慣れな方が身近な場所でデジタル機器の使用方法を 学べるようにするため、デジタル推進委員を配置し、誰一人取り残されないデジタ ル化の実現を目指す。 A地域協議会の設置→地域におけるデジタル基盤のインフラ整備とデジタル実装のマッチングのため、自治体、通信事業者、社会実装関係者が参加する地域協議会を県単位等で設置する。 Bデジタル田園都市国家構想実現ファンドの創設→計画的な地方のデジタル技術の実装のため、意欲のある基礎自治体(市町村 ) が 民間事業者と連携して行うハード・ソフト事業を支援する措置を検討する。 Cデジタル田園都市国家構想・甲子園の開催→地域における未来サービスの先駆事例やアイディアを発掘・横展開するため、地 方自治体・企業・国民の参加の下、優れた取組を表彰するデジタル田園都市国家構 想・甲子園(Digi田甲子園)を開催する。本年夏に地方自治体向けの夏のDigi田甲子 園を開催するとともに、本年末にかけて、幅広く国民や企業の方にも参加いただく Digi田甲子園を開催する。 Dデジタルによる中山間地の生活環境改善→中山間地域では、人口減少や高齢化が急速に進行しており、集落単体では農用地 等の維持・管理と農業生産活動の継続のみならず、集落機能の維持も困難になる集 落が増加している。 こうした中、高齢農家の農産物集荷と買物困難者のための移動販売を行う等、単 一では成立しにくい事業について、デジタルを活用してサービスを複合化すること で効率的に実施する事例が現れてきている。 このような取組を横展開していくため、広域的な範囲で支え合う組織づくりを推進する。 E規制・制度の一括改革と実証事業の実施→デジタル臨時行政調査会において、@)目視規制、A)定期検査・点検規制、B) 実地監査規制、C)常駐・専任規制、D)書面掲示規制、E)対面講習規制、F) 往訪閲覧・縦覧規制、の7項目のアナログ規制について、集中的に改革を実施する。 この際、既存の規制・制度をデジタル技術で代替することが可能か確認するため、 実証事業を実施する。 また、デジタル田園都市国家構想を先導することが期待されるスーパーシティ及 びデジタル田園健康特区の取組を推進する。
(2)デジタル田園都市国家を支える農林水産業、観光産業、教育の推進→ @食料安全保障の確立に向けた、みどりの食料システム戦略など農林水産業の振興→我が国の食料安全保障の確立に向けて、足腰の強い農林水産業を構築することで、 食料自給率の向上を図る。 化学肥料原料や飼料の国際価格が高い水準で推移しているため、これらの安定的 な調達を含め、対策の構築等の検討を進める。→ @)みどりの食料システム戦略の実施⇒ 化学農薬・肥料の利用の低減や有機農業を推進し、生産段階における環境負荷低 減の効果が消費者に的確に評価されるよう見える化を進める等、生産から消費に至 る各段階の取組を推進。A)農林水産物・食品の輸出拡大⇒2030年5兆円の目標達成に向け、2025年2兆 円の達成を目指す。品目別の輸出促進団体を認定して需要開拓等を支援するととも に、輸出向けの施設整備等を支援し、輸出にチャレンジする事業者の投資を促進する。 B)スマート農林水産業⇒ デジタルを活用した農林水産業の成長産業化を通じて、若者に魅力のある産業に していく。このため、スマート農業機械のシェアリングを行う農業支援サービスの 育成・支援や人材育成を進め、デジタル技術を実装するスマート農林水産業を推進する。関係者が参加する地域コンソーシアムを形成し、デジタル実装の局面を点から面へと広げる。 Aインバウンドの復活など地域の実情に応じた産業支援⇒観光産業について、安全・安心を確保しながら、国内需要を喚起するとともに、 観光地の再生及び高付加価値化を推進する。 このため、個人旅行に対応した宿泊施設の改修や顧客管理システムの導入を進め る。また、国内外の感染状況を見極めながら、インバウンドの回復に向けた外国人 旅行客の受け入れ環境の整備を進める。 B教育のICT環境の整備⇒ 一人一台の端末や高速通信ネットワークを整備し、デジタル技術の活用により、 空間的、時間的制約にとらわれず、子供達の最適な学びを実現するGIGAスクー ル構想を推進する。 このため、端末のトラブル対応や学校のICT対応を支援する体制を整備すると ともに、教員のICT研修の充実を図る。2024年度のデジタル教科書の本格的な導 入開始に向けて、利点や課題を整理するための実証を実施する。
(3)デジタル田園都市国家構想の前提となる安心の確保↓
@国土強靱化、防災・減災投資の加速
→「国土強靱化基本計画」に基づき、必要・十分な予算を確保し、自助・共助・公 助を適切に組み合わせ、ハード・ソフト一体となった取組を強力に推進する。 中長期的な目標の下、取組の更なる加速化・深化のため、追加的に必要となる事 業規模等を定めた「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を推進し、 引き続き、災害に屈しない国土づくりを進める。また、AIやドローン等のデジタ ル技術を活用した防災・減災対策の高度化を進める。 国土強靱化基本法の施行から10年目を迎える中、これまでの成果や経験を生かし、「5か年加速化対策」後も、中長期的かつ明確な見通しの下、継続的・安定的に国 土強靱化の取組を進めていくことの重要性等も勘案して、次期「国土強靱化基本計画」に反映する。
A豊かな田園都市国家を支える交通・物流インフラの整備⇒ 地方の暮らしや経済成長を支えるため、高速道路、整備新幹線、リニア中央新幹 線等の高速交通ネットワーク、国際拠点空港、港湾等の整備・活用を進める。特にリニア中央新幹線⇒水資源・環境保全等の課題解決に向けた取組を進め つつ、三大都市圏やその周辺地域をつなぐ高速かつ安定的な交通インフラとして、 早期の整備を促進する。 MaaS(Mobility as a Service)や自動運転等の新技術の実装を進めつつ、バス や鉄道等の地域交通ネットワークの再構築を図る。地域交通と医療・介護等の他分 野を組み合わせた共創型の事業モデルの実証を行うなど地域交通サービスの利便性 の向上を図る。 全国版空き家・空き地バンクの活用や、空き家等を活用したサテライトオフィス 等の環境整備を促進する。

2.一極集中管理の仮想空間から多極化された仮想空間へ →様々な社会活動のデジタル化が進む一方、特定のプラットフォームによるデータ の囲い込みや勝者総取りによる富の偏在、データの取扱いに対する不安など、結果 としてデジタル空間が中央集権型となっていることに伴う問題が顕在化してきている。 こうした中、より分散化され、信頼性を確保したインターネットの推進や、ブロックチェーン上でのデジタル資産の普及・拡大等、ユーザーが自らデータの管理や 活用を行うことで、新しい価値を創出する動きが広がっており、こうした分散型の デジタル社会の実現に向けて、必要な環境整備を図る。
(1)インターネットにおける新たな信頼の枠組みの構築→特定のサービスに依存せずに、個人・法人によるデータのコントロールを強化する仕組み、やり取りするデータや相手方を検証できる仕組み等の新たな信頼の枠組みをインターネットの上に付加するトラステッド・ウェブ(Trusted Web)の実現に 向けて、機能の詳細化を進める。様々な産業分野におけるユースケースの支援・検証を行い、国際標準化に向けた取組を進める。
(2)ブロックチェーン技術を基盤とするNFT(非代替性トークン)の利用等の Web3.0の推進に向けた環境整備→ブロックチェーン技術を基盤とするNFT(非代替性トークン)やDAO(分散型自律組織)等のイノベーションが到来している。ブロックチェーン技術は、自立した ユーザーが直接相互につながるなど仮想空間上の多極化を通じ、従来のインターネットの在り方を変え、さらに社会変革につながる可能性を秘めている。Web3.0の推 進に向けた環境整備について、検討を進める。
(3)メタバース(仮想空間)も含めたコンテンツの利用拡大→ デジタル化、ネットワーク化を成長の機会とすべく、メタバースも含めたコンテ ンツの利用に関して、膨大で多種多様な著作物の利用許諾について、簡素で一元的 な権利処理を可能とする措置を検討し、来年の通常国会に関連法案の提出を図る。 コンテンツ産業等の高度化を図る。
(4)Fintechの推進→事業者のセキュリティトークン(トークンという形でデジタル化された証券:デジタル 証券)での資金調達機会を拡大させ、個人投資家を含めた幅広い投資家層に投資機会を提供し資産形成を促す。現在、セキュリティトークンのセカンダリー取引は、 証券会社との店頭取引に限られているが、私設取引システムにおいてもセキュリティトークンを取り扱うことができるよう、速やかに制度整備を行う。 暗号資産交換業者が取り扱う暗号資産を新たに追加する際、認定自主規制団体の 事前審査に長期間を要している。利用者保護に配慮しつつ、審査基準の緩和を行う。 ブロックチェーン上で発行されるデジタルなアイテムやコンテンツ等のうち、同種のものが複数存在する場合、それが暗号資産に該当するかが不明確である。決済 手段としての経済機能を有するか否か等を念頭に、解釈指針を示す。

3.企業の海外ビジネス投資の促進→コロナ後の世界経済において、日本の成長力強化及び経済安全保障の観点から、 日本が技術的優位性を持つ分野での世界展開が重要。事業運営・サービス等 ソフト面を含め、日本企業は多くの分野で高い技術を有しているが、海外ビジネス 特有のリスクやハードルを前に判断が保守的になる傾向があることから、政府として、中小企業による製品開発や販路開拓を含め、技術と意欲ある企業の海外ビジネス投資をサポートしていく。こうした取組は、国内親会社への配当を通じ資金の国内還流を増加させ、裾野の広い賃金引上げや研究開発投資増にもつながりうる。 具体的には、国内外において、関係省庁、政府機関、在外公館等を含め政府ワンチームで投資案件組成を初期段階からサポートする体制を整備。情報提供や資 金ファイナンス等を通じ、上流から下流までを支援するとともに、政府機関の共同出資機能の活用を促進する。また、脱炭素、デジタル等の分野で、より多くのビジネス機会につなげるため、日本がリードして国際機関、友好国政府、グローバル投資家等に働きかけ、協調案件の組成を目指す。 こうした施策の企画立案を行い関係省庁との調整を進めるため、内閣官房に海外 ビジネス投資支援室(仮称)を設置する。

Y.個別分野の取組
1.国際環境の変化への対応
(1)経済安全保障の強化→
経済安全保障推進法に基づき、サプライチェーン強靱化及び官民技術協力を速やかに実施。 具体的には、デジタル化やカーボンニュートラルの基盤ともなる半導体、レアアースを含む重要鉱物、電池のほか、医薬品等も含め、重要な物資の安定供給を早急に確保するため、サプライチェーン上の供給途絶リスクを将来も見据えて分析した上で、中長期的な支援措置を整備する。また、AI・量子・宇宙・海洋等の先端的な重要技術の実用化に向けたプロジェクトを強化し、速やかに5,000億円規模とすることを目指す。 さらに、重要情報を取り扱う者への資格付与のための所要の措置について、国際 共同研究等における具体的事例の検証を踏まえ、検討を進める。 先端技術・機微技術を保有する等、次世代に不可欠な技術の開発・実装の担い手となる民間企業の資本強化を含めた支援の在り方について検討を行う。官民で協力しつつサイバー攻撃への対策の強化を図ることが重要であることを踏 まえ、我が国においても、サイバーに係る教育・研究基盤の更なる拡充といった人 材育成策の強化に加えて、サイバーセキュリティの確保に向けた官民連携の強化に ついて制度整備を含めた所要の措置を講ずるべく検討を進める。
(2)対外経済連携の促進→日本は、これまでも、これからも、貿易・投資立国であり続ける。世界とつながり、世界と人、モノ、カネ、デジタルが自由に往来することで、日本は成長していく。これからも、世界に開かれた国造りを進める。 我が国が提唱し、推進する「自由で開かれたインド太平洋」の考え方は、多くの 国から支持を得ている。米国、豪州、インド、ASEAN、欧州等の国・地域とも連携し、日米豪印の取組等も活用しながら、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた取組を戦略的に推進する。 インド太平洋経済枠組み(IPEF:Indo-Pacific Economic Framework)⇒サプライチェーン強靱化、脱炭素・クリーンエネルギー、デジタル経済等について、今後、参加国間で議論を進める。我が国としては、インド太平洋地域の持続可能で包摂的な経済成長を実現するため、米国及びASEAN諸国を含むパートナー国と連携して、できるものから早期に具体的な成果を出すことを目指す。 本年1月に発効したRCEP協定について、締約国による履行確保を進める。ま た、TPP11協定について、高いレベルを維持しつつ、英国の加入手続の議論を主 導する。 我が国の先進技術を活用した質の高いインフラ整備を通じて、アジア太平洋地域 の社会的課題の解決と持続的な経済成長への貢献を同時に達成する。 信頼性ある自由なデータ流通、DFFT(Data Free Flow with Trust)の実現に向け、国際的なルール作りにおいて、中心的な役割を果たす。

2.宇宙→大規模災害等があった際に、夜でも、雨や雪が降っていても、宇宙から被災状況 を迅速に把握できるよう、多数の小型衛星が連携するコンステレーションを官民連携の下、2025年までに構築する。また、通信速度の高速化・大容量化を図るととも に、通信の傍受や干渉の懸念を解消するため、宇宙光通信ネットワーク等の次世代 技術の開発・実証を推進する。 さらに、今後拡大する民間衛星等の打上げを国内で実施できるよう、H3ロケッ ト等の基幹ロケットの国際競争力強化に向けた取組を進めるとともに、民間の小型 ロケットの事業化、宇宙港の整備及びこれらを支える人材育成を促進する。 また、いわゆるG空間社会を実現するため、他国のGPSに頼らずより精緻な測 位を可能とする準天頂衛星システムの体制を強化。あわせて、集中豪雨・台風 予測の精度向上に向けて、観測能力を大幅に強化した静止気象衛星ひまわりの後継機を整備する。 加えて、火星衛星探査計画及び月での有人活動等を行うアルテミス計画を推進し、 世界初の火星圏からのサンプル採取や2020年代後半の日本人宇宙飛行士の月面着陸 の実現を図る。

3.海洋→海のデータの官民での共有・活用を図るとともに、2026年度の就航に向けて北極 域研究船の建造を着実に進める。 排他的経済水域での海洋観測の高度化や、沖縄周辺海域等での海底における熱水 鉱床、メタンハイドレート、レアアース泥等の国産海洋資源の開発のため、大深度 海域で利用できる自律型無人探査機の技術開発等を行う。また、無人海洋観測システムの開発を進める。 海の次世代モビリティである小型無人ボート、遠隔操作型無人潜水機の実証等を行う。 洋上風力による適切な海域利用、国内サプライチェーンの構築や海洋産業の重要な技術の国産化を進め、海運・造船業の競争力強化を図る。

4.金融市場の整備
(1)四半期決算短信 →金融商品取引法上の四半期報告書を廃止して、取引所の四半期決算短信に「一本化」することとし、具体策を本年内に検討した上で、関連法案を提出する。 (2)国際金融センターの実現とアセットマネージャーの育成→国際金融センターの実現を目指し、今後、より多くの海外の金融事業者を日本の 金融資本市場に呼び込むため、プロモーションや登録審査等を全て英語で行う「拠点開設サポートオフィス」を通じたビザ取得・AI多言語翻訳技術の活用等による 外国語対応・住宅や医療等の生活面を含む官民一体の金融創業支援を進める。 これにより、運用能力の高い海外金融事業者や高度金融人材の誘致を図り、雇用創出や経済活性化を実現するほか、国内事業者や国内人材との交流を進め、アセットマネージャー(資産の運用者となる機関)を含む高度な金融人材の育成・拡大を進める。また、新たに資産運用業を行う事業者の資金繰り支援のため、信用保証制度の対象に資産運用業者を追 加する。
(3)銀行の業務範囲及び銀証ファイアウォール(防火壁)規制の見直し→ 昨年の銀行法等の改正により、業務範囲が限定的だった銀行グループは、デジタ ル化や地方創生等に資する業務を行うことができるようになった。これを踏まえ、 銀行の新事業の実施状況をフォローアップしつつ、銀行がデジタル化や地方創生等 に資する事業に積極的に取り組むよう促す。 また、金融機関によるワンストップの融資・資金調達を図る観点から、銀証ファ イアウォール規制(金融グループの銀行・証券間で、顧客の非公開情報を同意なく共有する ことを禁止する規制)について、顧客が外国法人や上場企業等である場合にはその同 意を不要とする等の見直しを行った。今後、中堅・中小企業等の情報に関する銀証 ファイアウォール規制について、利益相反や優越的地位の濫用等の弊害の防止に留 意しつつ、その取扱いについて検討する。
(4)金融機関の取組を通じた貯蓄から投資の促進→家計による資産形成を進める上で、より適切な助言や勧誘を金融機関から受けら れるようにすることが重要。 金融商品取引法上、助言の対価の有無により適用されるルールが異なり、同様の助言であっても、収受する手数料等の整理によって制度上の取扱いが異なること等から、証券会社等によるコンサルティング・アドバイスに係る柔軟なビジネスや手 数料の設計を妨げている可能性が指摘されている。このようなコンサルティング・ アドバイスに係るビジネスを進展させつつ、顧客本位の業務運営の観点から国民の 安定的な資産形成に資する適切な助言や勧誘が行われるよう、制度等の見直しを図る。 顧客の利益につながる金融商品の供給を資産運用会社等に促すため、プロダクト ガバナンス(顧客ニーズに沿った金融商品組成や手数料設定、適切な商品選択に資する情報提供、これらの評価及び検証等を行うこと)の推進やその確保のための資産運用会社等の ガバナンス強化に向けた措置を講ずる。
(5)事業性融資への本格的かつ大胆な転換→DXやGX等に伴う産業構造の変化が生じている中、工場等の有形資産を持たないスタートアップ等にとっては、不動産担保や個人保証なしに融資を受けることは 難しく、また、出資による資金調達だけでは経営者の持分が希薄化するため、成長資金を経営者の意向に応じて最適な方法で調達できるよう環境整備することが必要。 こうした観点から、金融機関⇒不動産担保等によらず、事業価値やその将来 性といった事業そのものを評価し、融資することが求められる。スタートアップ等 が事業全体を担保に金融機関から成長資金を調達できる制度を創設するため、関連 法案を早期に国会に提出することを目指す。

5.グローバルヘルス(国際保健)→グローバルヘルス(国際保健、ユニバーサルヘルスカバレッジ)分野への民間資金の呼び込みに向けて、健康投資・栄養対策等の取組事例の普及や投資インパクトの可視化を行う。国際機関等における日本企業からの医薬品・医療機器等の調達を増やすため、国際機関等の調達情報の収集・提供や調達部門との関係構築等の伴走支援を 行う。
6.文化芸術・スポーツの振興→ 文化財の保存・活用、文化芸術教育を進めるとともに、子供の鑑賞・体験機会の 確保を図る。文化芸術活動への支援、アート市場活性化等により、産業の振興を図る。 映像作品のロケ誘致活動やeスポーツ等、文化関連産業の振興を図る。 スポーツDX、国際展開の促進等により、スポーツの成長産業化を図る。

7.福島をはじめ東北における新たな産業の創出→福島イノベーション・コースト構想を推進し、浜通り地域等において新たな産業 基盤の構築を目指す。福島国際研究教育機構の長期・安定的な運営に政府を挙げて 取り組むとともに、研究開発や産業化、人材育成の取組を加速させる。 また、モニタリング等を通じた安全性への理解の醸成、漁業者等の事業の継続・ 拡大への支援をはじめ、東京電力福島第一原子力発電所の処理水放出による風評影 響等への対応を含め、東日本大震災からの復旧・復興に全力を尽くす。

Z.新しい資本主義実現に向けた枠組み
1.工程表の策定とフォローアップ
→本実行計画を具体的に推進するため、5年間を目途とする工程表を作成し、毎年度、実行状況についてフォローアップを行い、PDCAサイクルを進める。
2.官と民の連携 →新しい資本主義は、官と民がそれぞれ自らの役割を果たすことによって、初めて 実現する。個々の項目について、官と民の役割分担を明確にして、進めていく。 官はこれまで以上に、民の力を最大限引き出すべく行動し、これまで官の領域と されてきた社会的課題の解決に、民の力を大いに発揮してもらう。
3.経済財政運営の枠組み→大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして 民間投資を喚起する成長戦略の3本の矢の枠組みを堅持する。 厳しい財政状況の中で、財政の中長期的な持続可能性に留意しつつ、二つの意味で、改革を行う。 第一は予算の単年度主義。単年度主義の予算だけでは、国の長期的方向性が見え にくく、また予見可能性も少なく、国が将来の期待成長率を導き出すことも困難。事業の性質に応じて基金等を活用して、予算単年度主義の弊害を是正する。 第二に、税制改正において、その将来にわたる効果を見据えた動的思考を活用する

次回も続き「資料2 渋澤委員提出資料」からです。

令和4年第8回経済財政諮問会議 [2022年07月03日(Sun)]
令和4年第8回経済財政諮問会議(令和4年6月7日)
《議事》(1) 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(案)(2) 経済財政運営と改革の基本方針 2022(案)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/0607/agenda.html
V.新しい資本主義に向けた計画的な重点投資
2.科学技術・イノベーションへの重点的投資
→コロナ禍でワクチンが切り札になったように、科学技術・イノベーションには、 感染症・地球温暖化・少子高齢化等、世界が直面する様々な社会的課題を解決する力がある。 同時に、権威主義的国家による挑戦も顕在化する中で、最終的な勝者を決めるのは、科学技術の力である。例えば、先端半導体を開発・生産できる力を持っている ことが、国際競争力、更には国家安全保障を左右する。 研究開発による社会的収益率は、他社への外部効果により、研究開発を行った企 業自身の私的収益率よりも大きいことが知られている。すなわち、個々の企業の研究開発費の増加によるその企業の売上高の増加(私的な限界収益率)と他社の会社全 体への正・負の外部効果(社会全体の限界収益率)を比較すると、外部効果は正であ り、かつ、社会全体の収益率は私的な収益率の2.5倍以上と推計されるとの研究がある。このため、研究開発は私企業のみに任せると過少投資となりやすく、官民で取り組むことが重要である。 しかしながら、我が国においては、研究開発投資額の伸び率が他の先進国に比して低い。官が明確な国家戦略を示すことで、将来の成長期待を民間が共有できる等、新たな官民連携により、研究開発投資を活発化させ、社会的な投資効果を最大化する必要がある。 このため、民間の現預金を活用した研究開発投資に対するインセンティブを強化する。具体的には、オープンイノベーションを更に加速し、研究開発投資全体を押し上げられるよう、民間企業の研究開発投資を促進するための税制の在り方について検討を進める。 特に、量子、AI、バイオテクノロジー・医療分野は、我が国の国益に直結する 科学技術分野である。このため、国が国家戦略・国家目標を提示するため、国家戦略を策定し、官民が連携して科学技術投資の抜本拡充を図り、科学技術立国を再興する。 その上で、研究開発投資を増加する企業に対しては、インセンティブを付与して いく。あわせて、総理に対する情報提供・助言のため、総理官邸に科学技術顧問を 設置する。
(1)量子技術→「新たな量子技術に関する戦略」に基づいて、計画的に取組を進める。 量子技術は、演算分野(コンピュータ・シミュレーション)や通信・暗号分野に強み がある。量子コンピュータを活用することで、医薬品候補探索の高速化や、化学材料の改良、渋滞解消等、様々な分野への応用が期待されている。 量子コンピュータの大規模化・高機能化の研究開発については、半導体やBeyond 5G等の他の技術分野との融合やこれを応用する分野の研究も視野に入れた上で、日本単独で考えるのではなく、先行する有志国の企業との連携を実施するなどグロ ーバルな対応を進める。このため、量子コンピュータ等の次世代計算基盤に不可欠 な次世代半導体の設計・製造能力の確保に向けて、日米の官民が連携し、2020年代 に設計・製造基盤を構築するためのプロジェクトを進める。 また、量子技術の実証環境を整備し、量子コンピュータや量子暗号通信⇒エネルギー、金融、創薬・医療、材料化学、航空、モビリティ等、幅広い分野で、 実証を進める。加えて、産業化に向けた拠点整備を進める。さらに、現状の量子暗号通信は、遠距離(数十km以上)では中継器が必要であり、セキュリティの低下が懸念される。量子状態を保ったまま通信できる量子ネットワ ーク技術の開発を進める。
(2)AI実装→AI技術は、社会実装段階へ入り、産業化に向けた開発が活発化しているが、日本企業における導入割合は米国企業に比して低い。 AI技術を基にした実践・試行錯誤の蓄積が重要であり、ディープラーニングを 重要分野として位置付け、企業による具体的ニーズを念頭に置き、その実装・開発を推進。この際、気候変動や防災関連等に加えて、物理・化学や機械等、日本が強みを有する分野とAIの融合を図り、競争力の高い製品やサービスを生み出していく。 また、大学等や国の機関が保有するデータは、それぞれの機関に分散し、データ 形式もバラバラとなっているが、他のデータ基盤との接続を可能とし、民間企業等 の利活用を進める。 データをできるだけ多く利用できる環境を整えるべく、プライバシー等の理由に より秘匿化された情報について、秘匿化したままで機械学習の処理を行うことがで きるよう、技術開発を推進。 グローバルに多額の投資がされており、継続して発展しつつあるAIの技術につ いて、民間企業による実践を通じたAIの実装を促すため、国立研究所等は積極的 に技術情報の提供を行う。また、国立研究所等におけるAIの研究開発について、 体制の見直しを行いながら、充実を図る。
(3)バイオものづくり →バイオものづくりは、遺伝子技術により、微生物が生成する目的物質の生産量を 増加させたり、新しい物質を生産するテクノロジーであり、海洋汚染、食糧・資源 不足など地球規模での社会的課題の解決と、経済成長との両立を可能とする、二兎を追える研究分野である。 米国や中国では兆円単位の投資が行われ、国際的な投資競争が激化している。大規模生産・社会実装まで視野に入れた、微生物設計プラットフォーム事業者と異分野事業者との共同研究開発の推進、味噌・醤油・酒類など全国の事業者が強みを有 する微生物の発酵生産技術やゲノム合成・編集技術等の基盤技術の開発支援・拠点 形成や人材育成等、この分野に大胆かつ重点的な投資を行う。
(4)再生・細胞医療・遺伝子治療等 →@再生・細胞医療・遺伝子治療
→再生・細胞医療・遺伝子治療⇒新たな医療技術の臨床研究・治験の推進、これらの医療技術の製品化に向けた研究開発、治療に用いる細胞・ベクター(ウイルスなど細胞へ遺伝子を導入するための媒介)の製造基盤強化、人材育成等を進め、 有効な技術を実用化につなげる。再生・細胞医療と遺伝子治療の垣根を取り払い、遺伝子治療におけるゲノム編集技術を再生・細胞医療に応用するなど一体的な研究 開発や臨床研究拠点の整備を進める。 ゲノム編集技術に加え、分化効率が高い又は拒絶反応が低い次世代のiPS細胞、 それぞれの人の特性に合った薬効等を試験できるオルガノイド(試験管内で人工的に作られるミニ臓器)、細胞から分泌されるエクソソームの病気の診断や治療への活用 に向けた研究開発等、革新的な研究開発を進める。 Aゲノム医療の推進→ がん・難病に係る創薬推進等のため、臨床情報と全ゲノム解析の結果等の情報を 連携させ搭載する情報基盤を構築し、その利活用に係る環境を早急に整備。 なお、当該結果等には、10万ゲノム規模を目指した解析結果のほか、マルチ・オ ミックス(網羅的な生体分子についての情報)解析の結果等を含む。 B治療薬・ワクチンの開発 世界的に医薬品市場が成長を続ける中、我が国においても、創薬を成長産業とす べく取組を進める。特に、今後の感染症危機に備えるため、治療薬やワクチンの開 発に取り組む。
(5)大学教育改革→ 世界と伍する研究大学を作るため、研究力に加え、研究と経営の分離、若手研究 者の登用等、優良なガバナンスを導入する大学に対し、10兆円規模の大学ファンドで支援。この際、大学改革の中心となる高い経営能力を持った人材の下で、研 究力強化につながる取組に対して重点的に資金が配分される制度とする。 また、官民のイノベーション人材育成を強化するため、大学の学部再編や文系理 系の枠を超えた人材育成の取組を加速。このため、産業界からの人材需要等も考慮して、進学者のニーズに対応できるよう、大学に対する規制を大胆に見直すと ともに、学部再編に要する初期投資や再編後の当面の運営経費に対する継続的な支 援を行うことで、大学の学部再編を促進する。 さらに、理系女子の活躍促進に向けて、女子学生枠の確保に積極的に取り組む大 学等への支援を強化するとともに、女性の在籍・登用状況等の情報開示を促進。 また、高校段階でも、文理横断教育を推進する。
(6)2025年大阪・関西万博→ 2025年開催の大阪・関西万博は、「未来社会の実験場」であり、新技術による未 来への希望を喚起する起爆剤である。新しい技術のショーウインドウとして、日本 の最新技術による社会への貢献を提示する。 アクションプランを順次改訂しつつ、規制改革面、経費面を含め円滑に準備を進 める。

3.スタートアップの起業加速及びオープンイノベーションの推進↓
(1)スタートアップ育成5か年計画の策定
→規模拡大を重視する視点から、新規創業を重視する視点への転換を図り、新たな 付加価値の創造を行う。 経済学者のジョセフ・シュンペーターは、イノベーションの源泉について著書で 2つの矛盾するように見える見解を示している。第一の見解は、イノベーション の源泉は新規参入するスタートアップにあるとする見解である(「シュンペーターMarkT」)。第二の見解は、イノベーションの源泉は内部に豊富な資金を抱え、価値 を獲得できるプラットフォームを持つ、大企業にあるとする見解である(「シュンペ ーター MarkU」)。 新規企業だけの競争市場でもイノベーションは生まれにくいし、大企業だけによ って寡占化した市場でもイノベーションは生まれにくい。ちょうどその両方が成立 する市場環境において、イノベーションが促進される。現実は、MarkTとMarkU が混合された状況である。すなわち、イノベーションを促進するには、@スタート アップの創業促進と、A既存大企業がオープンイノベーションを行う環境整備、の 双方が不可欠。 また、企業の参入率・退出率の合計(創造的破壊の指標)が高い国ほど、一人当た り経済成長率が高い。さらに、若い企業(スタートアップ)の方が付加価値創造の 貢献率が高い。他方、我が国の開廃業率は、米国や欧州主要国と比べ、低い水準で推移。 スタートアップの育成は、日本経済のダイナミズムと成長を促し、社会的課題を 解決する鍵である。
このため、以下の項目等について、実行のための司令塔機能を明確化し、新しい資本主義実現会議に検討の場を設け、5年10倍増を視野に5か年 計画を本年末に策定。→ @公共調達の活用とSBIR制度のスタートアップへの支援の抜本拡充⇒スタートアップを育成する際、公共調達の活用が重要である。SBIR制度 (Small Business Innovation Research)について、創業間もない企業(スタートアップ) への支援の抜本拡充を図る。このため、SBIR制度に基づく指定補助金等につい て、拡大を行うとともに、スタートアップ又はスタートアップが加わった一定の要 件を満たすコンソーシアムに限って支出できる特別枠を設定する。 あわせて、民間事業者による調達においても、スタートアップを積極的に活用していくことが望まれる。民間事業者は、「スタートアップとの事業連携及びスター トアップへの出資に関する指針」を遵守し、スタートアップとの建設的な関係を築 いていく。 A海外のベンチャーキャピタルも含めたベンチャーキャピタルへの公的資本の投資⇒拡大 ベンチャーキャピタルの投資を受けた企業はそうでない企業と比較して、雇用の 拡大やイノベーションに積極的であることが実証されている。 米国では、開業率は減少しているが、ベンチャーキャピタルの投資額は増加しており、有望な起業家へのベンチャーキャピタルの投資は増加している。 他方で、ベンチャーキャピタルによる投資額は、米国は36兆円に対し、日本は 0.23兆円に過ぎない(2021年)。このため、国内外のベンチャーキャピタルに対する有限責任投資による資金供給 等を抜本的に拡大するとともに、長期的視野を持って、ベンチャーキャピタルと協 調した助成の拡大を行う。これにより、国内のベンチャーキャピタルの育成に加えて、海外の投資家・ベンチャーキャピタルからの投資を呼び込む。 これらの実施体制を確保するため、産業革新投資機構の運用期限を2050年まで延長する。これにより、ファンドの投資期限に制約があることによって、成長に時間 を要するスタートアップへの投資が制限されている課題を解決する。 B個人金融資産及びGPIF等の長期運用資金のベンチャー投資への循環⇒ 2,000兆円に及ぶ日本の個人金融資産がスタートアップの育成に循環するととも に、GPIF等の長期運用資金が、ベンチャー投資やインフラ整備等に循環する流 れを構築する。 C優れたアイディア、技術を持つ若い人材への支援制度の拡大 ⇒優れたアイディア、技術を持つ若い人材を選抜して支援することは、スタートア ップ育成として有意義。日本では、IT分野において、このような人材を発掘・育成するプロジェクトである情報処理推進機構(IPA)の「未踏事業」が存在 している。「未踏事業」からは、これまで300人が起業又は事業化を達成しており、 評価する声が高いが、規模が限定的である。このため、ビジネスアドバイスを与える仕組み作りをした上で、国家レベルの支援に拡大する。 さらに、IT分野以外においても、優れたアイディア、技術を持つ若い人材を選 抜して支援する取組を開始する(産業技術総合研究所、新エネルギー・産業技術総合開発 機構等)。 これらにより、その選抜規模を年間70人程度から500人程度に5年間で拡大する。 Dスタートアップが集積するグローバル・スタートアップ・キャンパス⇒内外の大学の誘致を含め、スタートアップが集積するキャンパス作りを推進。 E創業時に信用保証を受ける場合に経営者の個人保証を不要にする等の制度の見直し⇒起業に関心がある層が考える失敗時のリスクとして、8割の方が個人保証を挙げている。創業時に信用保証を受ける場合には、経営者による個人保証を不要にする等、個人保証の在り方について見直す。 すなわち、経営者による個人保証を徴求しない創業時の新しい信用保証制度を創 設する等、金融機関が個人保証を徴求しない創業融資の促進措置を講ずる。 さらに、今後の中小企業金融の方向性の検討を行い、経営者保証に依存しない融資慣行の確立に向けた施策を本年度内に取りまとめる。 FIPO(「Initial Public Offering」)プロセスの改革実行とSPAC(特別買収目的会社)の検討⇒日本におけるIPO1件当たりの調達額は、米国の3億ドル、欧州の2億ドルと比べて、0.6億ドルと小さい。また、日本のIPOでは、初値(上場初日に市場で成立する株価)が公開価格(上場時に起業家が株を売り出す価格)を大幅に上回っている (+9%)。このため、IPOによる起業家の資金調達額が相対的に小さい。 今回、スタートアップ企業の成長を積極的に支援していく観点から、本年4月に IPOプロセスの見直しを図ったところであり、これに基づき、証券業界や競争当 局による改革を実行する。 SPAC(特別買収目的会社)に関しては、導入した場合に必要な制度整備につい て、グローバル・スタンダードを踏まえて、投資家保護に十分に配慮しつつ検討を進める。 G事業化まで時間を要するスタートアップの成長を図るためのストックオプション等の環境整備⇒ディープテック(科学的な発見や革新的な技術に基づいて、世界に大きな影響を与える問題を解決する取り組み、13分野)など事業化まで時間を要するスタートアップや、グローバル展開 を含め長期間をかけて大きな成長を目指すスタートアップを後押しするため、スト ックオプション等の環境整備について検討。 H社会的課題を解決するスタートアップの環境整備として法人形態の在り方の検討⇒若い世代は、スタートアップの創業を検討する際、環境問題や子育て問題等の社会的課題の解決を目的にすることが多くなってきている。いわゆる社会的起業家の起業をサポートする観点から、民間で公的役割を担う新たな法人形態の創設を検討。 I従業員を雇わない創業形態であるフリーランスの取引適正化法制の整備⇒創業の一形態として、従業員を雇わない、フリーランスの形態で仕事をされる方が我が国でも462万人と増加している。他方で、フリーランスは、報酬の支払遅延 や一方的な仕事内容の変更といったトラブルを経験する方が増えており、かつ、 特定の発注者(依頼者)への依存度が高い傾向にある。 フリーランスは、下請代金支払遅延等防止法といった旧来の中小企業法制では対象とならない方が多く、相談体制の充実を図るとともに、取引適正化のための法制度について検討し、早期に国会に提出。 J未上場株のセカンダリーマーケットの整備⇒スタートアップが拙速に上場(IPO)することを強いられないよう、非上場のまま、時間をかけて成長することもできる環境を整備する。このため、既存株主が容 易に発行済み株式を取引(セカンダリー取引)できるようにすることが重要である。米国では、プロ投資家を対象に、民間事業者による発行済み非上場株式の売買を マッチングするオンラインプラットフォームが複数存在。このため、プロ投資家の対象範囲を拡大するとともに、証券取引所を通さず、証券会社が運営するシステムを使用して取引所のように取引できる私設取引システム(PTS)において、プロ投資家向けに非上場株式を取り扱うことを可能とする等の 制度整備を行う。 K海外における起業家育成の拠点の創設⇒ スタートアップが集積するシリコンバレー等に拠点を設け、起業を志す若手人材 を受け入れ、現地の投資家や起業家等から指導を受ける起業家育成プログラムを提供する。 L起業家教育⇒産業界の協力を得て、起業家を教育現場に派遣いただき、初等中等教育等におけ る起業家教育を推進する。また、高等専門学校・大学においては、AIやディープ テックの活用を含めた起業家教育を横展開する。 Mスタートアップ・大学における知的財産権の戦略の強化⇒スタートアップが大学の知的財産権を事業化する環境整備に向け、大学の国際特 許出願に対する支援強化、共有特許ルールの見直し、大学による株や新株予約権の取得に際しての制限の撤廃等を進める。
(2)付加価値創造とオープンイノベーション→既存企業について、売上重視から、新たな付加価値を創造する視点への転換を図る。 優良企業が成長率を維持することは簡単ではないが、最近の実証分析によると、 旧来技術を用いてきた既存企業でもスタートアップが持ち込む新技術を導入した場合、持続的に存続可能であることが分かってきた。 既存企業がスタートアップ等と連携するオープンイノベーションを後押しするた めに、経営不振の事業から撤退し、経営資源を成長性、収益性の見込める事業に投 入して、新陳代謝を進めていくことが重要。→ @事業再構築のための私的整理法制の整備⇒日本企業の債務残高は、コロナ禍前に比べ、70兆円以上増加。加えて、 債務の過剰感があると回答した企業のうち、債務が事業再構築の足かせになっていると回答した企業の割合は、大企業で32.3%、中小企業で34.5%にのぼる。 コロナ禍の収束が長引いた場合に事業再生を検討する可能性があると答えた企業 に対し、事業再生を検討する上で最も重視する点を聞いたところ、手続が現在の事 業・取引に影響を与えないこと(45.2%)、手続が簡潔で長期間を要しないこと (30.9%)、が重視されている。 欧州各国⇒我が国と異なり、倒産処理手続に加え、全ての貸し手の同意は必要とせず、裁判所の認可の下で事業再構築等に向けて多数決により権利変更 (金融債務の減額等)を行う制度も存在する。 コロナ後に向けた我が国企業の事業再構築を容易にするため、新たな事業再構築 のための法制度について検討し、早期に国会に提出する。 また、特に中小企業⇒中小企業活性化パッケージに基づき、全国3万 以上の認定支援機関による伴走支援を行うとともに、中小企業の事業再生等に関するガイドラインに基づき、経営者の退任を原則としない形での事業再生を推進する。 A既存企業のオープンイノベーションの推進のための税制等の在り方やルールの見直し⇒日本における事業会社によるスタートアップ企業に対する投資額は、欧米と比べ て極めて低い水準にある。スタートアップに対するM&Aの件数についても、日本は欧米に比べて極めて少ない。 スタートアップに投資し、さらに買収することが、スタートアップの出口戦略と しても、既存の大企業のオープンイノベーションの推進策としても重要である。このため、オープンイノベーションを促進するため、税制等の在り方をこれまでの効果も勘案し再検証。また、投資家保護に配意しつつ、M&Aを目的とする公募増資の円滑化に向け、来年の夏までに公募増資ルールの見直しを図る。すなわち、上場企業がM&Aを目 的として公募増資を行う場合、原則1年以内にM&Aを実行することや、実行され なかった場合の代替使途を公表することが日本証券業協会の自主規制において求められている。こうした自主規制がM&Aを実行するための公募増資を制限している との指摘がある。 B企業経営改革(マークアップ率向上、国際競争力向上) ⇒労働生産性は、売値マイナスコストを基礎とするため、コストが高い場合だけで なく、売値が低くても、生産性は低くなる。製造コストの何倍の価格で販売できているかを示すマークアップ率をみると、日本はG7諸国の中で最も低い。コストカットにより、いかに安く売るかではなく、新製品や新サービスを投入し、付加価値 をつけて適正な価格で売る、という価値観を国内に広める。 日本企業のマークアップ率と国際競争力の向上に向けて、経営改革を加速するた め、新興国企業との連携を通じた新製品・新サービスの創出による現地の社会的課 題解決と日本への逆輸入(リバースイノベーション)を進める。 C長期的視点で投資ができる企業環境の整備⇒新しい資本主義への変革の中で、価格競争による過当競争で短期的な収益を得よ うとする企業行動から脱却する。このため、320兆円ある企業の現預金を活用して、 重要分野への集中的な投資や研究開発を進めることで長期的な企業価値の向上を達成できる日本企業を目指す。引き続き企業統治改革を進めるとともに、投資家との コミュニケーションの円滑化を図るため、開示制度の充実を進める。 Dディープテック系スタートアップとのオープンイノベーションの促進⇒技術力はあるが実績がないスタートアップにとって、国による支援は実績作りのみならず、大企業とのオープンイノベーションの促進にも有効である(NEDO等)。 このような取組をディープテック系スタートアップ等で進めていく。

4.GX(グリーン・トランスフォーメーション)及びDX(デジタル・トランス フォーメーション)への投資
(1)GXへの投資
→ 気候変動問題は、新しい資本主義の実現によって克服すべき最大の課題。 2030年度46%削減、2050年カーボンニュートラルに向け、経済社会全体の大変革に取り組む。ウクライナ情勢によって、日本は、資源・エネルギーの安定的な確保に向けてこ れまで以上に供給源の多様化・調達の高度化等を進めロシアへの資源・エネルギー 依存度を低減させる必要がある。 エネルギーの安定的かつ安価な供給の確保を大前提に、脱炭素の取組を加速させ、エネルギー自給率を向上させる。そのため、徹底した省エネルギーを進めるととも に、再生可能エネルギー、原子力などエネルギー安全保障に寄与し、脱炭素効果の 高い電源を最大限活用する。再生可能エネルギー→S+3E(エネルギーの安定供給(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境への適合(Environment)、安全性(Safety))を大前提に、 主力電源として最優先の原則の下で、国民負担の抑制と地域との共生を図りながら 最大限の導入に取り組む。また、電力需給ひっ迫を踏まえ、同様の事態が今後も起 こり得ることを想定し、供給力の確保、電力ネットワークやシステムの整備をはじ め、取り得る方策を早急に講ずるとともに、脱炭素のエネルギー源を安定的に活用 するためのサプライチェーン維持・強化に取り組む。 脱炭素化による経済社会構造の大変革を早期に実現できれば、我が国の国際競争力の強化にも資する。
エネルギー安全保障を確保し、官民連携の下、脱炭素に向けた経済・社会、産業 構造変革への道筋の大枠を示したクリーンエネルギー戦略中間整理に基づき、本年内に、今後10年のロードマップを取りまとめる。→ @新たな政策イニシアティブ 国際公約達成と、我が国の産業競争力強化・経済成長の同時実現に向けて、今後 10年間に官民協調で150兆円規模のグリーン・トランスフォーメーション(GX) 投資を実現する(現状比で3倍増以上が必要との国際機関の試算もある)。 その実現のためには、民間企業が今後10年超を見通して、脱炭素に向けて野心的 な投資を前倒しで大胆に行うことが必須。このため、政府は、規制・市場設計・政府支援・金融枠組み・インフラ整備等を包括的に「GX投資のための10年ロードマップ」として示す。そのロードマップには、企業投資のための予見可能性を 大きく高め、多くのプレーヤー間の市場取引を最大限活用することを可能とする、 新たな5つの政策イニシアティブを盛り込む。 @)GX経済移行債(仮称)の創設⇒企業の予見可能性を高めるため、民間投資に対する「呼び水」として、長期民間 投資を強く促すとの国家意思を形あるものとして示し、それを活用しながらあらゆ る方策を駆使してGXを実現する必要がある。このため、政府は今後10年間のGX 促進のための支援資金を可及的速やかに先行して調達し、民間セクターや市場に政 府のコミットメントを明確にする。 今後10年間に150兆円超の投資を実現するため、成長促進と排出抑制・吸収を共 に最大化する効果を持った、「成長志向型カーボンプライシング構想」を具体化し、 最大限活用する。 同構想においては、150兆円超の官民の投資を先導するために十分な規模の政府 資金を、将来の財源の裏付けをもった「GX経済移行債(仮称)」により先行して 調達し、新たな規制・制度と併せ、複数年度にわたり予見可能な形で、脱炭素実現 に向けた民間長期投資を支援していくことと一体で検討する。 A)規制・支援一体型投資促進策⇒国による大規模かつ中期・戦略的な財政出動に当たっては、規制・制度的措置を 組み合わせて効果を最大化する。省エネ基準の強化等の規制的手法の活用や、水 素・アンモニア等の新たなエネルギーや脱炭素電源の導入拡大に際し、事業の収益 性や投資の予見可能性を高める新たな制度的枠組みを創設する。 B)GXリーグの段階的発展・活用⇒GXリーグについては、約440社(我が国のCO2排出量の4割以上)の賛同を得て、本 年度中に試行を開始し、来年度から自主的な排出量取引の推進やカーボンクレジッ ト市場の整備を含め本格的に取組を実施する等、将来的に大きく発展させる。 C)新たな金融手法の活用⇒国による大規模かつ中期・戦略的な財政出動等を呼び水として、世界のESG資 金を呼び込む。グリーン・ファイナンスの拡大に加え、トランジション・ファイナ ンスや、イノベーション・ファイナンス等の新たな金融手法を組み合わせる。 企業の情報開示の充実に加え、ESG評価機関の信頼性向上やデータ流通のため の基盤整備等を行う。 D)アジア・ゼロエミッション共同体構想など国際展開戦略⇒アジア・ゼロエミッション共同体構想の実現等により、アジア諸国の脱炭素化を 進めるための協力体制を強化するとともに、米国等の先進国ともクリーンエネルギー分野のイノベーション協力を進める。 以上の@)〜D)について、その具体化に向けて、本年夏以降に官邸に新設する 「GX実行会議」において議論・検討した上で、速やかに結論を得る。
A具体的な取組例 ↓
(水素・アンモニア
)→国産水素・アンモニアの大量導入も見据えつつ、国内・国外のサプライチェーン構築に向けて、他燃料との燃料価格差を早期に縮小さ せるための支援や、拠点整備の支援を行う。 (洋上風力等の再生可能エネルギー)→再生可能エネルギーについては、S+3Eを大前提に、主力電源として最優先の 原則の下で、国民負担の抑制と地域との共生を図りながら最大限の導入に取り組む。 特に、洋上風力について、案件形成と浮体等のコスト削減、適正な環境影響評価を進めるとともに、国内サプライチェーン構築に向け新たなプレーヤーの参入加速、 国際標準化等を進める。 (CCS) →2030年までの事業開始に向けて、CCSを運営する事業者が負う法的責任の明確 化や事業実施に必要な支援措置を含めたロードマップを本年内に取りまとめ、法整 備を含め事業化の検討を加速させる。 (カーボンリサイクル)→合成燃料、SAF(持続可能な航空機燃料)、合成メタン、コンクリート、バイオ ものづくり等のCO2の有効利用を可能とする技術について、コストの削減に向けた 研究開発や製造設備の大規模化、利用時のCO2排出に係るルール整備等を進める。 (自動車)→将来の合成燃料の内燃機関への利用も見据え、2035年までに乗用車の新車販売を いわゆる電動車(電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車及びハイブ リッド自動車)100%とする等の目標に向け、購入・インフラ整備、蓄電池の国内製 造立地推進、中小サプライヤーの前向きな業態転換等に対する支援を行う。2050年 に生産・利用・廃棄を通じたカーボンニュートラルの実現に向けて、技術開発等を 通じて多様な選択肢を追求し、我が国の基幹産業である自動車産業が、引き続き国 際競争力を維持・強化し世界をリードしていけるよう、あらゆる施策を講じていく。 (住宅・建築物)→2025年度までに住宅・建築物の省エネ基準への適合を義務化するとともに、先進 的な省エネ投資を支援することで、2030年度以降新築される住宅・建築物→ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)・ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル) の水準の省エネ性能が確保されることを目指す。 (省電力性能に優れた半導体)→大量のデータを処理する計算基盤や増大するエネルギー量に対応するため、日米 連携を基軸とした先端半導体の研究開発と人材育成、電動化対応に不可欠な半導体 及び製造装置・素材の生産能力の増強を支援する。 (蓄電池)→蓄電池・材料の製造基盤を拡大するため、国内の設備投資強化や上流資源の確保、 戦略的な海外展開、次世代電池開発、人材育成等を支援。 (その他産業部門の脱炭素化)→産業部門の熱需要や製造プロセスの脱炭素化のため、産業用ヒートポンプなど既 に利用可能な技術・設備の導入拡大に向け、中小企業を中心に詳細なエネルギー診 断や設備投資を支援。鉄鋼産業や化学産業の電化やガス転換等のエネルギー転 換を進めるため、大規模な設備投資を引き出す支援を行う。 水素還元製鉄やCO2の分離・回収・利用をはじめとする産業構造の転換に資する 革新的な技術に加えて、次世代太陽電池、革新的地熱発電、革新原子炉(革新軽水炉、小型炉、高温ガス炉、高速炉等)といったエネルギー需給構造の転換に資する革新的な 技術開発・人材育成や産業基盤の維持・強化に向けた支援策を切れ目無く継続する ため、グリーンイノベーション基金の拡充等、支援策の強化を検討する。ITER 計画等の国際連携や民間企業の技術開発を通じ、核融合研究開発を着実に推進。 (地域・くらしの脱炭素化)→人材育成、財政支援等による地域の脱炭素トランジションへの投資を含む地域脱炭素加速化、ポイント制度等による消費者意識・行動変容、中小企業対策、森林吸収源対策、資源自律、循環経済移行、熱中症対策等を進める。
(2)DXへの投資→DXは新しい付加価値を生み出す源泉であり社会的課題を解決する鍵であるため、 X.1で記載のとおり、デジタル田園都市国家構想を推進する。また、分権型のデジタル社会の実現に向けて、X.2に記載のとおり、一極集中管理の仮想空間から多極化された仮想空間へ必要な環境整備を図る。これらに加え、DXへの投資について、下記の個々の政策を推進。→ @ポスト5G、6Gの実現に向けた研究開発→ ポスト5Gの情報通信システムの開発を進めるとともに、次世代の通信インフラ であるいわゆる6Gについては、2030年頃の導入を見据えて、ネットワークから端 末まで全てに光通信技術を活用することで、現在の100倍の通信速度と100分の1の 超低消費電力を実現する技術を5年程度で確立。 Aデジタル市場の環境整備→デジタルプラットフォーム取引透明化法に基づき、本年度に、規制対象事業者の デジタルプラットフォーム運営に係る評価を行い、その結果を公表する。また、同 法の対象にデジタル広告市場を追加する。 スマートフォンのオペレーティングシステムを供給するプラットフォーム事業者 等がデジタル市場における競争環境に与える影響について、最終報告の取りまとめ に向けて引き続き競争評価を行う。 Bクレジットカードのインターチェンジフィーを透明化→ クレジットカード加盟店の手数料の7割を占めるとされるインターチェンジフィ ー(クレジットカードでの決済があった際に、お店と契約する決済会社が、利用者と契約する 決済会社に支払う手数料)について、公正取引委員会が競争政策上望ましい行為と独 占禁止法上問題となる行為について明確化した。これを踏まえ、クレジットカード 会社に対し、インターチェンジフィーの標準料率の公開を求め、競争を促進する。 Cデジタルヘルスの普及 デジタルヘルスを普及するため、承認アプリを活用した際の診療報酬上の加算を 行う。また、ヘルスケア製品・サービスについて、自主的な認証制度の実施を支援 する。 Dマイナンバーカードの普及→デジタル社会のパスポートであるマイナンバーカードについて、健康保険証とし ての利用や運転免許証との一体化、スマートフォンへの機能搭載等により、国民の 利便性の向上を図るとともに、国際標準のセキュリティ認証を取得したシステム面 でのセキュリティ対策の安全性やメリットの周知を通じて、その普及を加速する。 E中小企業等のDX→ 中小下請企業については、取引適正化とともに、生産性の向上を通じた競争力の 強化が重要である。中小企業のDXを促進するため、経営課題を診断するツールの 普及、専門家による伴走支援、IT導入に対する支援を行う。 大企業についても、ルールの整備など基盤的な仕組みを整備する。 F医療のDX→ 全国医療情報プラットフォームの創設、電子カルテ情報の標準化等及び診療報酬 改定に関するDXの取組を行政と関係業界が一丸となって進めるとともに、医療情 報の利活用について法制上の措置等を講ずる。そのため、政府に総理を本部長とし 関係閣僚により構成される「医療DX推進本部(仮称)」を設置する。 G建築・都市のDX→建築物の形状、材質、施工方法に関する3次元データ(BIM:Building Information Modeling)、都市空間における建築物や道路の配置に関する3次元モ デル(PLATEAU)、土地や建物に関する固有の識別番号(不動産ID)の活用を促 進する。 Hサイバーセキュリティ→ 大企業から中小企業までが含まれたサプライチェーン上の弱点を狙って攻撃対象 への侵入を図るサイバー攻撃が生じている。企業、行政機関等におけるセキュリティ人材の育成を進めるとともに、中小企業のセキュリティシステムの導入を助成し、 サプライチェーン全体でサイバーセキュリティを強化。中小企業が製造するIoT機器のサイバーセキュリティ対策を支援する。 また、サイバー攻撃が高度化・複雑化する中、サイバー攻撃対策やシステムの脆 弱性の分析能力を国が主導して強化する。

次回も続き「W.社会的課題を解決する経済社会システムの構築」からです。

令和4年第8回経済財政諮問会議 [2022年07月02日(Sat)]
令和4年第8回経済財政諮問会議(令和4年6月7日)
《議事》(1) 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(案)(2) 経済財政運営と改革の基本方針 2022(案)
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/0607/agenda.html
◎資料1 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画(案)
○はじめに
→ 本「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」は、新しい資本主義実現 会議及び与党における検討を踏まえ取りまとめを行い、閣議決定を行うもの。
T.資本主義のバージョンアップに向けて
1.市場の失敗の是正と普遍的価値の擁護
→1980年代から2000年代にかけて、市場や競争に任せればうまくいくという「新自由主義」と呼ばれる考え方が台頭し、グローバル化が進展することで経済は活力を取り戻し、世界経済が大きく成長した。新自由主義は、成長の原動力の役割を果たしたと言える。 一方で、経済的格差の拡大、気候変動問題の深刻化、過度な海外依存による経済 安全保障リスクの増大、人口集中による都市問題の顕在化、市場の失敗等による多くの弊害も生んだ。 特に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、特定国・地域に依存するサプラ イチェーンでは、国民の健康や国家の経済安全保障が確保できないことを明らかに する等、各国において危機管理リスクが増大。 さらに、今般のロシアによるウクライナ侵攻は、国際経済における地政学的リスクの存在や権威主義的国家による挑戦も顕在化させている。 実際、権威主義的国家資本主義とも呼べる体制を採用する国は、自由経済のルー ルを無視した、不公正な経済活動等を進めることで、急速な経済成長をなしとげ、 国際政治における影響力を拡大してきた。自由と民主主義は、権威主義的国家資本主義からの挑戦にさらされている。 また、各国では、デジタル化、最先端技術の開発、グローバルサプライチェーンの再構築等、コロナ後の経済・社会システムの再構築を見据えて、大規模投資を官 民一体となって、推進している。 我々日本も、変革を迫られている。

2.「市場も国家も」による課題解決と新たな市場・成長、国民の持続的な幸福実現 →資本主義は過去に2回、大きな転換を遂げた。自由放任主義は、2つの世界大戦を経験する中で、政府による社会保障を重視する福祉国家の考え方に取って代わられた。その後、冷戦構造の中で、競争力を失いつつあった経済を立て直すため、新自由主義の考え方が台頭。今回は、資本主義の歴史上、3回目の大きな転換の契機であり、新しい資本主義すなわち資本主義の第4ステージに向けた改革を進めなければならない。 資本主義を超える制度は資本主義でしかあり得ない。新しい資本主義は、もちろ ん資本主義である。 しかし、これまでの転換が、「市場か国か」、「官か民か」の間で振り子の如く 大きく揺れ動いてきたのに対し、新しい資本主義においては、市場だけでは解決で きない、いわゆる外部性の大きい社会的課題について、「市場も国家も」、すなわ ち新たな官民連携によって、その解決を目指していく。その際、課題を障害物としてではなく、エネルギー源と捉え、新たな官民連携に よって社会的課題の解決を進め、それをエネルギーとして取り込むことによって、 包摂的で新たな成長を図っていく。 新しい資本主義は一人ひとりの国民の持続的な幸福を実現するものでなければならない。官民連携による社会的課題の解決とそれに伴う新たな市場創造・成長の果 実は、多くの国民・地域・分野に広く還元され、成長と分配の好循環を実現していく。また、気候変動、少子高齢化等の社会的課題への取組を通じて、国 民の暮らしにつながる、誰一人取り残さない、持続可能な経済社会システムを再構築し、国際社会を主導する必要がある。
以上のとおり、新しい資本主義を貫く基本的な思想は、@「市場も国家も」、「官も民も」によって課題を解決すること、A課題解決を通じて新たな市場を創る、すなわち社会的課題解決と経済成長の二兎を実現すること、B国民の暮らしを改善し、課題解決を通じて一人ひとりの国民の持続的な幸福を実現すること、である。 特に、資本主義の持続可能性と強靱性を高め、全ての人が成長の恩恵を受けられるようにするためには、人的資本蓄積・先端技術開発・スタートアップ育成という、 市場だけでは進みにくい分野に対して、重点的に官民が連携し、大規模に実行を進 める必要がある。このことは、少子高齢化の中で今後労働力人口が不足する我が国においては、決定的に重要である。 その際、男女間賃金格差の是正等を通じた経済的自立等、横断的に女性活躍の基盤を強化することで、日本経済・社会の多様性を担保し、イノベーションにつなげ ていくことも重要。 加えて、いつでも、どこでも、だれでもが希望する働き方で働ける働き方の改革、子育て支援の充実、少子高齢化を迎えて国民が能力に応じて支え合う社会保障の実現が求められるとともに権力、資力、資源等が集中しない、Web3.0やブロックチェーン等の分権型の経済社会の追求も重要。

3.経済安全保障の徹底→国民を豊かにする新しい資本主義の実現のための基礎的条件は、国家の安全保障。現下の絶えず変化する国際情勢を背景として、エネルギーや食料を含めた 経済安全保障を強化することは新しい資本主義の前提。 新しい資本主義では、外交・防衛のみならず、持続可能で包摂性のある国民生活 における安全・安心の確保を図る。 また、権威主義的国家の台頭に対しては、自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を重視する国々が団結し、自由で開かれた経済秩序の維持・強化を進め、自由貿易を推進するとともに、不公正な経済活動に対する対応を強化する必要がある。

U.新しい資本主義を実現する上での考え方
1.分配の目詰まりを解消し、更なる成長を実現
→資本主義は、市場メカニズムをエンジンとして、経済成長を生み出してきた。新 しい資本主義においても、徹底して成長を追求していく。しかし、成長の果実が適切に分配され、それが次の成長への投資に回らなければ、更なる成長は生まれない。 分配はコストではなく、持続可能な成長への投資である。 我が国においては、成長の果実が、地方や取引先に適切に分配されていない、さらには、次なる研究開発や設備投資、そして従業員給料に十分に回されていないといった、「目詰まり」が存在する。その「目詰まり」が次なる成長を阻害している。 待っていても、トリクルダウンは起きない。積極的な政策関与によって、「目詰まり」を解消していくことが必要。 分厚い中間層の形成は、民主主義の健全な発展にとって重要であり、新たな資本 主義における経済社会の主要な担い手である中間層が潤うことで、格差の拡大と固 定化による社会の分断を回避し、サステナブルな経済社会を実現できる。このため、 賃金引上げや中小企業への取引の適正化等のフロー、教育・資産形成等のストック 両面から中間層への分配を進めるとともに、今後の人手不足時代に対応したデジタル投資等への支援を通じて持続可能な分配を下支えする

2.技術革新に併せた官民連携で成長力を確保→AI・量子等のデジタル技術、クリーンエネルギー・マテリアル技術、バイオテクノロジー・医療の分野でのイノベーションは、多くの社会的課題解決の可能性を 秘めるとともに、新時代の競争力の源泉ともなりうることから、各国は、コロナ後の経済・社会システムの再構築を見据えて、大胆な投資を実施している。 しかしながら、我が国企業における研究開発投資や設備投資は諸外国に大きく遅 れをとっている。 我が国においても、新たな官民連携により、イノベーションを大胆に推進し、我 が国の経済・社会システムをバージョンアップしていくことが不可欠であり、コストカットによる競争から付加価値の創造へ大胆に変革していく。 また、アイディアが実用化されるスピードが速く、新たな技術が高速でアップデ ートされ続けるDX・GX時代には、競争力の源泉は、従来型の機械設備等のモノではなく、モノよりコト、有形資産より無形資産が重要になっている。そのような 時代においては、創造的なイノベーションと経済成長は、人の力が最大限発揮され ることによってもたらされる。女性、若者、高齢者等が、それぞれの能力と経験を生かせる社会を実現するとともに、人への惜しみない投資により、一人ひとりのス キルを不断にアップデートしていくことが重要である。

3.民間も公的役割を担う社会を実現→多くの社会的課題を国だけが主体となって解決していくことは、困難。社 会全体で課題解決を進めるためには、課題解決への貢献が報われるよう、市場のルールや法制度を見直すことにより、貢献の大きな企業に資金や人が集まる流れを誘因し、民間が主体的に課題解決に取り組める社会を目指す必要がある。また、社会的課題の解決の担い手も、既存企業のみならず、スタートアップ、社会的起業家、 大学やNPO等、多様化していくことが不可欠であり、民間が公的役割を担える社 会を実現していく。特に、近年、子育て問題や環境問題等、社会的課題の解決を図 る社会的起業家を目指す方が増加している。こうした社会的起業家の取組についても、新たな官民連携の形として全面的にサポートしていく。 こうした観点から、従来の「リスク」、「リターン」に加えて「インパクト」を 測定し、「課題解決」を資本主義におけるもう一つの評価尺度としていく必要がある。 その際、課題解決の一つの鍵になるのは、デジタル技術の活用。規制・制度をデジタル時代に合致したものにアップグレードすることで、デジタル技術を活用して課題解決を進めることを可能にするとともに、民間の力が最大限発揮できるよう、新しい時代にふさわしい公正な競争を確保する競争政策を推進していくことが重要である。

V.新しい資本主義に向けた計画的な重点投資
→「新しい資本主義」の実現により、経済を立て直し、新たな成長軌道に乗せていくため、必要不可欠な財政出動や税制改正は中長期的観点から機動的に行う。この 際、人への投資、科学技術・イノベーションへの投資、スタートアップへの投資、 GX及びDXへの投資の4本柱に、投資を重点化する。

1.人への投資と分配→モノからコトへにも象徴されるように、DX、GXといった大きな変革の波の中 にあって創造性を発揮するためには、人の重要性が増しており、人への投資が不可欠。また、これまで、ともすれば安価な労働力供給に依存してコスト カットで生産性を高めてきた我が国も、労働力不足時代に入り、人への投資を通じ た付加価値の向上が極めて重要となっている。 さらに、気候変動問題への対応や少子高齢化・格差の是正、エネルギーや食料を 含めた経済安全保障の確保といった社会的課題を解決するのは人であり、人への投資は最も重要な投資である。 このため、賃金等のフローはもとより、教育・資産形成等のストックの面からも 人への投資を徹底的に強化する。また、子供期・現役期・高齢期のライフサイクル に応じた環境整備を強化する。
(1)賃金引上げの推進→先進国の労働分配率(雇用者報酬を国民総所得(GNI)で割った値)は、趨勢的に低下傾向にある。 さらに、先進国の家計消費と可処分所得の動向を見ると、可処分所得が伸びると、 家計消費が伸びる傾向にある。日本の家計消費が伸び悩む理由は、可処分所得の伸 びが十分ではないことが主な理由。 我が国の大きな課題として、単位時間当たりの労働生産性の伸びは決して諸外国と比べても悪くないにもかかわらず、賃金の伸びが低い。賃金が伸びなければ、消 費にはつながらず、次なる成長も導き出せない。 労働生産性を上昇させるとともに、それに見合った形で賃金を伸ばすために、官 民で連携して取り組んでいく。 本年の春闘においては、ここ数年低下してきている賃金引上げの水準が反転し、新しい資本主義の時代にふさわしい、賃金引上げが実現しつつある。引き続き、官民が連携して、賃金引上げの社会的雰囲気を醸成していくことが重要。新しい資本主義実現会議において、価格転嫁や多様な働き方の在り方について合意づく りを進めるとともに、データ・エビデンスを基に、適正な賃金引上げの在り方について検討を行う。 また、人への投資のためにも最低賃金の引上げは重要な政策決定事項。物 価が上昇する中で、官民が協力して、引上げを図るとともに、その引上げ額⇒公労使三者構成の最低賃金審議会で、生計費、賃金、賃金支払能力を考慮し、しっかり議論していただくことが必要。 @賃上げ税制等の一層の活用→民間企業のより積極的な賃金引上げを支援するための環境整備として、賃上げ税制について税額控除率を大胆に引き上げる(大企業:20%→30%、中小企業:25%→40%) 等、抜本的に拡充を図った。全国各地での説明会の実施や地方局、労働基準監督署 等政府機関における周知に加え、商工会議所・商工会等の中小企業団体による説明 会の実施等による周知を徹底することを通じて、本税制の一層の活用を促進する。 また、税制の効果が出にくい、赤字の中小企業の賃金引上げを支援するため、ものづくり補助金や持続化補助金において、赤字でも賃金を引き上げた中小企業への 補助率を引き上げる特別枠を設けたほか、政府調達において、賃金引上げを行う企 業に対して、加点を行う等、調達方法の見直しを図った。これらの取組とあわせて、 賃金引上げをより一層推進していく。 A重点業種を示した政府を挙げた中小下請取引適正化→「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」(令和 3年12月)及び「取引適正化に向けた5つの取組」(令和4年2月)に基づき、中小企 業等が賃金引上げの原資を確保できるよう、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分の適切な転嫁に向けた環境整備を進める。 調査の結果、価格転嫁を困難にする主な阻害要因としては、値上げ要請を理由と する取引先の変更や取引の打切りのリスク、売り先の価格競争の影響による転嫁の 受け入れ困難、発注者の立場が強く価格交渉が困難である等の点が見受けられた。
こうした実態を踏まえ、サプライチェーンのつながりについて、@)生活関連商 品の製造・販売、A)部品・完成品のものづくり、B)サービスの提供の3つの類 型に整理し、22業種10万社程度を対象に独占禁止法上の優越的地位の濫用に関する 調査を行う。調査を踏まえ、立入調査を行う等、適正な取引環境の実現につなげる。 独占禁止法上の優越的地位の濫用に関して、問題となる事例を追加した、サプライチェーン全体における取引の適正化のためのガイドラインを策定する。 大企業と中小企業の共存共栄を目指すパートナーシップ構築宣言の実効性を強化 するため、宣言企業に対する調査を実施し、実行状況について、フォローアップを行う。 本年度の下請代金支払遅延等防止法の重点立入業種として、道路貨物運送業、金 属製品製造業、生産用機械器具製造業及び輸送用機械器具製造業を選定した。これ らの業種について、立入調査の件数を大幅に増加させる。 また、重点立入業種以外であっても、法違反が多く認められる業種⇒事業所管省庁と連名で、事業者団体に対して、法遵守状況の自主点検を行うよう要請する。 B介護・障害福祉職員、保育士等の処遇改善のための公的価格の更なる見直し→ 介護・障害福祉職員、保育士等や、コロナ対応等を担っている看護師等の収入を %程度引き上げる措置を講じた。 介護・障害福祉職員、保育士等の今後の具体的な処遇改善の方向性⇒公的価格評価検討委員会の中間整理を踏まえ、職種ごとに仕事の内容に比して適正 な水準まで収入が引き上がり、必要な人材が確保されるかといった観点から検討する。 看護師の今後の処遇改善⇒今回の措置の結果も踏まえつつ、全ての職 場における看護師のキャリアアップに伴う処遇改善の在り方について検討する。 これらの結果に基づき、引き続き、処遇改善に取り組む。
(2)スキルアップを通じた労働移動の円滑化→ @自分の意思で仕事を選択することが可能な環境(学びなおし、兼業推進、再就職 支援)⇒ストック面での人への投資⇒職業訓練、学びなおし、生涯教育等への投資が重要。 時代や社会環境の変化に応じて、需要のある職種は新しいものに入れ替わる。また、教育訓練を受けた従業員の割合が増えると、労働者一人当たりの労働生産性や 一人当たり平均賃金が上昇する効果があるとのデータがある。 このため、成長分野への円滑な労働移動を進め、労働生産性を向上させ、更に賃 金を上げていくためにも、個々の企業内だけでなく、国全体の規模で官民が連携して、働き手のスキルアップや人材育成策の拡充を図ることが重要。その際、 デジタル人材に加え、働く世代全体のデジタルスキルの底上げを図ることにウェイトを置く。 また、一般の方が企業間の労働移動が容易になるよう、転職やキャリアアップについて、キャリアコンサルティングを受けることができる体制を整備する必要がある。 従業員、経営者、教育サービス事業者など一般の方から募集したアイディアを踏 まえた、3年間で4,000億円規模の施策パッケージに基づき、非正規雇用の方を含め、能力開発支援、再就職支援、他社への移動によるステップアップ支援を講ずる。 およそ100万人程度の方が利益を受けると想定される。 更に教育訓練投資を強化して、企業の枠を超えた国全体としての人的資本の蓄積 を推進することで、労働移動によるステップアップを積極的に支援していく。 Off-JTの研修費用が低くとどまり、かつ、近年更に低下傾向にある日本企業の人的投資について、早期に少なくとも倍増させ、更にその上を目指していく。 A初期の失敗を許容し長期に成果を求める研究開発助成制度の奨励と若手の支援⇒初期の失敗を許容し研究内容の裁量性を認め長期に評価を行う助成制度と、プロジェクトベースで一定期間ごとに評価を行う通常の助成制度の効果を比較した研究 では、前者は後者の研究者と比べて、2倍の数のトップ論文(引用数上位5%)を生 む効果を挙げている。このため、初期の失敗を許容し長期に成果を求める研究開発 助成制度を奨励する。具体的には、ムーンショット型研究開発制度、創発的研究支 援事業をはじめとした複数年度に渡って支援する公募型の研究開発支援について、 初期の失敗を許容しより長期に評価を行う方向で改善・強化する。 さらに、若手の支援が重要である。NIH(米国国立衛生研究所)が大学卒業生の 若手を選抜するプログラム(「アソシエイトトレーニングプログラム」)に選ばれた若手 は、後年、ノーベル賞など大きな業績を上げる確率が高いことが実証された。プログラム選抜者同士の人的交流、評判を形成する効果等が考えられる。我が国でも、 一部に試み(「未踏」プロジェクト等)があるが、国家規模への拡大を検討すべき。この際、選抜を行い、研究の指導を行う名伯楽を内外から集めることを検討する。 Bデジタル人材育成・専門能力蓄積 →企業が賃金を引き上げるためには付加価値を高める必要があり、そのためにもデ ジタル分野を中心に人的投資を進めていくことが必要。大企業、中小企業、IT企業で求める人材が異なる中、デジタル実装を進め、地 域が抱える課題の解決を牽引するデジタル人材について、現在の100万人から、本 年度末までに年間25万人、2024年度末までに年間45万人育成できる体制を段階的に構築し、2026年度までに合計330万人を確保する。 このため、オンライン上のプラットフォームを整備し、デジタル人材の育成に取り組む大学・教育機関や企業の参画を求め、デジタル人材に共通して求められる教 育コンテンツの提供や、企業の事例に基づいた実践的なケーススタディ教育プログ ラム等を実施する。 あわせて、地方大学も含め、全国の大学等において、AI・データサイエンス・ 数理等の教育を強化し、文系、理系を問わずこれらを応用できる人材を育成する。 また、地域のデジタル人材を育成するとともに地域への還流を促進し、デジタル 人材が地域にとどまれるよう環境を整備する。 デジタル実装が進むにつれて重要性が高まるサイバーセキュリティ人材の育成⇒上記の取組のほか、企業、行政機関等におけるサイバーセキュリティ人 材を、V.4(2)Hに記載のとおり、育成する。また、経済安全保障の観点から、より高度で複雑な攻撃への対応を強化するため、Y.1(1)に記載のとおり、取 組を進める。 C副業・兼業の拡大 →従業員1,000人以上の大企業では、特に副業・兼業の解禁が遅れている。副業を 通じた起業は失敗する確率が低くなる、副業をすると失業の確率が低くなる、副業を受け入れた企業からは人材不足を解消できた、といった肯定的な声が大きい。 成長分野・産業への円滑な労働移動を進めるため、さらに副業・兼業を推し進める。 このため、労働者の職業選択の幅を広げ、多様なキャリア形成を支援する観点から、企業に副業・兼業を許容しているか否か、また条件付許容の場合はその条件について、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を改定し、情報開示を行うこ とを企業に推奨する。
(3)貯蓄から投資のための「資産所得倍増プラン」の策定→我が国個人の金融資産2,000兆円のうち、その半分以上が預金・現金で保有され ている。この結果、米国では20年間で家計金融資産が3倍、英国では2.3倍になっているが、我が国では1.4倍である。 家計が豊かになるために家計の預金が投資にも向かい、持続的な企業価値向上の 恩恵が家計に及ぶ好循環を作る必要がある。 このため、個人金融資産を全世代的に貯蓄から投資にシフトさせるべく、NIS A(少額投資非課税制度)の抜本的な拡充を図る。また、現預金の過半を保有してい る高齢者に向けて、就業機会確保の努力義務が70歳まで伸びていることに留意し、 iDeCo(個人型確定拠出年金)制度の改革やその子供世代が資産形成を行いやすい環境 整備等を図る。これらも含めて、新しい資本主義実現会議に検討の場を設け、本年 末に総合的な「資産所得倍増プラン」を策定する。 高校生や一般の方に対し、金融リテラシー向上に資する授業やセミナーの実施等 による情報発信を行う。 働き方の変化に応じて、将来受給可能な年金額を試算できる公的年金シミュレー ターを本年4月に導入したが、民間アプリとの連携を図り、私的年金や民間の保険 等を合わせた全体の見える化を進める。
(4)子供・現役世代・高齢者まで幅広い世代の活躍を応援→安定的な財源を確保しつつ、以下の取組を進める。 @こども家庭庁の創設→こども政策を我が国社会の真ん中に据えて、様々な課題にこどもの視点に立って 適切に対応し、縦割りを排した行政を進めていくための司令塔として、こども家庭 庁を来年4月に創設し、幼稚園、保育所、認定こども園の教育・保育内容の共通化 等を進めていく。 A保育・放課後児童クラブの充実 「新子育て安心プラン」等に基づく保育サービスの基盤整備や放課後児童クラブ の整備等を着実に実施すること等を通じて、親の負担を軽減し社会全体で子育てを 支援する。 B出世払い型奨学金の本格導入 減額返還制度を見直すほか、在学中は授業料を徴収せず卒業後の所得に応じて納 付を可能とする新たな制度を、教育費を親・子供本人・国がどのように負担すべきかという論点や本制度の国民的な理解・受け入れ可能性を十分に考慮した上で、授 業料無償化の対象となっていない学生について、安定的な財源を確保しつつ本格導 入することに向け検討する(注)こととし、まずは大学院段階において導入するこ とにより、ライフイベントも踏まえた柔軟な返還・納付(出世払い)の仕組みの創 設を行う。(注)法制的な位置付けの検討を含む。 あわせて、理工系や農学系の分野に進学する女子学生への官民共同の修学支援プ ログラムを創設する。 C子育て世代の住居費の支援 子育て世代の住居費の負担を軽減するため、UR賃貸住宅、セーフティネット住 宅を活用するとともに、省エネ性能の高い住宅の取得や改修を推進する。若い世代 の結婚による新生活の立上げの際の引越費用や家賃等の負担を軽減する。このほか、 結婚支援や出産支援等に取り組む。 D家庭における介護の負担軽減 高齢化の進展により今後、要介護高齢者が大幅に増加するとともに、単身・夫婦 のみの高齢者世帯が増え、家族の介護力の低下が予想される。これを前提に、圏域 ごとの介護ニーズの将来予測を踏まえ、介護サービスの基盤整備を着実に実施する。 E認知症対策充実、介護予防の充実・介護休業の促進等 今後も認知症の方が増加することを踏まえ、認知症に関する総合的な施策を推進 することとし、地域包括支援センター等の身近な拠点を活用した認知症の方を含む 要介護者及び家族介護者等への伴走型支援や、成年後見・権利擁護支援等について 議論を進める。 また、ヤングケアラーへの支援について、ICTも活用しつつ、その実態をしっ かり把握するとともに、モデル事業の検証も踏まえて、効果的な支援策を講ずる。 在宅高齢者について、医療・介護連携体制の強化等、地域全体でのサービス基盤 を整備していくとともに、介護予防や社会参加活動の場の充実の観点から、地域全 体での活動を支援していく。 介護休業制度のより一層の周知も含め、男女ともに介護離職を防ぐための対応を 行う。 新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえ、メンタルヘルス対策を推進する。 F健康経営の推進 企業と保険者が連携して健康経営を推進するとともに、そのスコアリングの方法 等を見直す。

(5)多様性の尊重と選択の柔軟性→多様性を尊重し、性別にかかわらず仕事ができる環境を整備することで、選択の 柔軟性を確保していく。 @多様性の尊重 日本の大企業は、ともすれば、中高年の男性が中心となって経営されてきたが、 これからは組織の中でより多様性を確保しなければならない。日本企業が多様性を成長につなげることを応援する。 同一労働同一賃金制度の徹底とともに、短時間正社員制度、勤務地限定正社員制 度、職種・職務限定正社員制度といった多様な正社員制度の導入拡大を、産業界に 働きかけていく。また、女性・若者等の多様な人材の役員等への登用、サバティカ ル休暇の導入やスタートアップへの出向等の企業組織の変革に向けた取組を促進す る。 A男女間の賃金差異の開示義務化 正規・非正規雇用の日本の労働者の男女間賃金格差は、他の先進国と比較して大 きい。また、日本の女性のパートタイム労働者比率は高い。 男女間の賃金の差異について、以下のとおり、女性活躍推進法に基づき、開示の 義務化を行う。 ・情報開示は、連結ベースではなく、企業単体ごとに求める。ホールディングス (持株会社)も、当該企業について開示を行う。 男女の賃金の差異は、全労働者について、絶対額ではなく、男性の賃金に対す る女性の賃金の割合で開示を求めることとする。加えて、同様の割合を正規・ 非正規雇用に分けて、開示を求める。 (注)現在の開示項目として、女性労働者の割合等について、企業の判断で、更に細かい雇用管 理区分(正規雇用を更に正社員と勤務地限定社員に分ける等)で開示している場合がある が、男女の賃金の割合について、当該区分についても開示することは当然、可能とする。 ・男女の賃金の差異の開示に際し、説明を追記したい企業のために、説明欄を設 ける。 ・対象事業主は、常時雇用する労働者301人以上の事業主とする。101人〜300人 の事業主については、その施行後の状況等を踏まえ、検討を行う。 ・金融商品取引法に基づく有価証券報告書の記載事項にも、女性活躍推進法に基 づく開示の記載と同様のものを開示するよう求める。 ・本年夏に、制度(省令)改正を実施し、施行する。初回の開示は、他の情報開 示項目とあわせて、本年7月の施行後に締まる事業年度の実績を開示する。 B女性の就労の制約となっている制度の見直し等 女性の就労の制約となっている社会保障や税制について働き方に中立的なものに していくことが重要である。 被用者保険の適用拡大が図られると、女性の就労の制約となっている、いわゆる 「130万円の壁」を消失させる効果があるほか、いわゆる「106万円の壁」について も、最低賃金の引上げによって、解消されていくことが見込まれる。 多様な働き方に中立的でない扱いは、企業の諸手当の中にも見られる。配偶者の 収入要件がある企業の配偶者手当は、女性の就労にも影響を与えている。労働条件 であり強制はできないが、こうした点を認識した上で労使において改廃・縮小に向 けた議論が進められることを期待する。 C勤労者皆保険の実現 働き方の多様化が進む中で、働き方に対して「中立」な社会保障制度の構築を進める必要がある。 まずは、企業規模要件の段階的引下げ等を内容とする令和2年年金制度改正法に 基づき、被用者保険(厚生年金・健康保険)の適用拡大を着実に実施する。さらに、 企業規模要件の撤廃も含めた見直しや非適用業種の見直し等を検討する。 フリーランス・ギグワーカー等への社会保険の適用については、被用者性等をど う捉えるかの検討を行う。その上で、労働環境の変化等を念頭に置きながら、より 幅広い社会保険の適用の在り方について総合的に検討を進める。 D勤務間インターバル・育休促進・転職なき移住等の働き方改革の推進 時間外労働の上限規制の法遵守の徹底とともに、勤務間インターバル制度の普及 を図り、長時間労働の是正を図る。 男性の育児休業について、本年秋に施行する「産後パパ育休」の周知と検証等を 行うとともに、取得日数・取得率の男女差の縮小に向けて、取得促進に取り組む。 地方からデジタル技術の実装を進め、地方におけるサテライトオフィスの整備や テレワークを活用した移住を支援することで、転職なき移住を推進する。
(6)人的資本等の非財務情報の株式市場への開示強化と指針整備→「費用としての人件費から、資産としての人的投資」への変革を進め、新しい資 本主義が目指す成長と分配の好循環を生み出すためには、人的資本をはじめとする 非財務情報を見える化し、株主との意思疎通を強化していくことが必要。 米国市場の企業価値評価においては、無形資産(人的資本や知的財産資本の量や質、ビジネスモデル、将来の競争力に対する期待等)に対する評価が大宗を占める。これに対し、日本市場では、依然として有形資産に対する評価の比率が高く、企業から株式 市場に対して、人的資本など非財務情報を見える化する意義が大きい。本年内に、 金融商品取引法上の有価証券報告書において、人材育成方針や社内環境整備方針、これらを表現する指標や目標の記載を求める等、非財務情報の開示強化を進める。 他方で、日本の上場企業のCFOに対するアンケート調査によると、サステナビ リティ情報開示に向けた課題として、「モニタリングすべき関連指標の選定と目標 設定」、「企業価値向上との関連付け」、「必要な非財務情報の収集プロセスやシステムの整備」と回答した企業が多い。 このため、企業側が、モニタリングすべき関連指標の選定と目標設定、企業価値 向上との関連付け等について具体的にどのように開示を進めていったらよいのか、 参考となる人的資本可視化指針を本年夏に公表する。 また、今後、資本市場のみならず、労働市場に対しても、人的資本に関する企業 の取組について見える化を促進することを検討。人的資本以外の非財務情報についてもその開示は重要であるので、価値協創ガイダンス等の活用を企業に推奨していく。

次回も続き「2.科学技術・イノベーションへの重点的投資」からです。
令和4年第7回経済財政諮問会議 [2022年06月15日(Wed)]
令和4年第7回経済財政諮問会議(令和4年5月31日)
《議事》 経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)に向けて
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/0531/agenda.html
◎資料1 経済財政運営と改革の基本方針 2022(仮称)原案
第1章 我が国を取り巻く環境変化と日本経済
1. 国際情勢の変化と社会課題の解決に向けて
→成長と分配をともに高める「人への投資」、科学技術・イノベーションへの投資、スタートアップへの投資、グリーントランスフォーメーション(GX)、デジタル トランスフォーメーション(DX)への投資を柱とする「新しい資本主義」の実現に向けた重点投資分野についての官民連携投資の基本方針を示す。 新しい資本主義が目指す民間の力を活用した社会課題解決に向けた取組や 多様性に富んだ包摂社会の実現、一極集中から多極化した社会をつくり地域を活性化する改革の方向性を示す。 世界に開かれた貿易・投資立国であることをこれからも維持しつつ、厳しさ を増す東アジア情勢や権威主義的国家の台頭など国際環境の変化に応じた戦略的な 外交・安全保障や同志国との連携強化、経済安全保障等についての方向性を示す。、強靱で持続可能な経済社会に向けた防災・減災、国土強靱化の推進や東日本大 震災等からの復興、国民生活の安全・安心に向けた基本的な方針を示していく。 その上で、これらの政策遂行の基盤となる強固で持続可能な経済・財政・社会保障制度の構築に向けた経済・財政一体改革の取組方針を示し、短期と中長期の整合性を確保した経済財政運営の方針と令和5年度予算編成の考え方を提示する。
2. 短期と中長期の経済財政運営
(1)コロナ禍からの回復とウクライナ情勢の下でのマクロ経済運営
→(当面のマクロ経済運営)(経済社会活動の正常化に向けた感染症対策)
2)中長期の経済財政運営→危機に対する必要な財政支出は躊躇なく万全を期す。経済あっての財政であり、順番を間違えてはならない。経済をしっかり立て直す。そして、財政健全化に向 けて取り組む。

第2章 新しい資本主義に向けた改革
1.新しい資本主義に向けた重点分野
(1)人への投資
→(人的資本投資、多様な働き方の推進)(質の高い教育の実現)(賃上げ・最低賃金)(「貯蓄から投資」のための「資産所得倍増プラン」)
2)科学技術・イノベーションへの投資
(3)スタートアップへの投資
→起業拠点の整備を含めて大学等も存分に活用しつつ、知的財産の保護・活 用の推進、規制・制度改革等を通じて世界に伍するスタートアップエコシステムを作り上 げ、大規模なスタートアップの創出に取り組む。
(4)グリーントランスフォーメーション(GX)への投資
(5)デジタルトランスフォーメーション(DX)への投資
2.社会課題の解決に向けた取組
(1)民間による社会的価値の創造
→(PPP/PFIの活用等による官民連携の推進)(社会的インパクト投資、共助社会づくり)(イノベーションを促す競争環境の整備)
(2)包摂社会の実現 →(少子化対策・こども政策)(女性活躍)(共生社会づくり)(孤独・孤立対策)(就職氷河期世代支援)
(3)多極化・地域活性化の推進→東京一極集中の是正、多極集中、社会機能を補完・分散する国土構造の実現に向け、デジタル田園都市国家構想の実現による個性を活かした地方の活性化を強力に進める。(デジタル田園都市国家構想)(分散型国づくり・地域公共交通ネットワークの再構築)(多極化された仮想空間へ)(関係人口の拡大と個性を活かした地域づくり)(中堅・中小企業の活力向上)(債務が増大している企業や家計への対応)(観光立国の復活)(文化芸術・スポーツの振興)
(4)経済安全保障の徹底→ 新しい資本主義実現のための基礎的条件は国家の安全保障である。第3章で詳述するように、エネルギーや食料を含めた経済安全保障の徹底は、国際環境の変化に応じた新しい 資本主義の根幹。新しい資本主義では、外交・防衛のみならず、持続可能で包摂性 のある国民生活における安全・安心の確保を図る。

第3章 内外の環境変化への対応
1.国際環境の変化への対応
(1)外交・安全保障の強化
(2)経済安全保障の強化
(3)エネルギー安全保障、食料安全保障の強化
→(エネルギー安全保障)(食料安全保障の強化と農林水産業の持続可能な成長の推進)
(4)対外経済連携の促進→(国際連携の強化)(対日直接投資の推進)(外国人材の受入れ・共生)
2.防災・減災、国土強靱化の推進、東日本大震災等からの復興→(防災・減災、国土強靱化)(東日本大震災等からの復興)
3.国民生活の安全・安心

第4章 中長期の経済財政運営
1. 中長期の視点に立った持続可能な経済財政運営
→財政健全化の「旗」を下ろさず、これまでの財政健全化目標に取り組む。経済あっての 財政であり、現行の目標年度により、状況に応じたマクロ経済政策の選択肢が歪められて はならない。必要な政策対応と財政健全化目標に取り組むことは決して矛盾するものでは ない。経済をしっかり立て直し、そして財政健全化に向けて取り組んでいく。ただし、感 染症及び直近の物価高の影響をはじめ、内外の経済情勢等を常に注視していく必要がある。 このため、状況に応じ必要な検証を行っていく。(官民連携による計画的な重点投資の推進)(単年度予算の弊害是正)(持続可能な債務管理に向けて)(効果的・効率的な支出の推進とEBPMの徹底強化)(税制改革)
2. 持続可能な社会保障制度の構築→(全世代型社会保障の構築)(社会保障分野における経済・財政一体改革の強化・推進)
3. 生産性を高める社会資本整備→5Gネットワーク等の整備拡大による超高速・超低遅延・多数同時接続環境を活かし、 大学・民間等の技術開発の促進に向けたインフラデータのオープン化・データ連携の推進、 中小建設企業へのICT施工の普及支援等による i-Construction の推進など、インフラ 分野のDXを加速し、生産性を高める。
4. 国と地方の新たな役割分担
5. 経済社会の活力を支える教育・研究活動の推進
→ 多様な子供たちの特性や少子化など地域の実情等を踏まえ、誰一人取り残さず、可能性 を最大限に引き出す学びを通じ、個人と社会全体の Well-being の向上を目指す。

第5章 当面の経済財政運営と令和5年度予算編成に向けた考え方
1. 当面の経済財政運営について
→現状、民需に力強さを欠く状況にある中、海外への所得流出を伴う物価高騰に直面して いるほか、ロシアによるウクライナ侵略は、エネルギー等の安全保障をめぐる環境を一変させた。こうした中にあって、経済財政運営においては、大胆な金融政策、機動的な財政 政策、民間投資を喚起する成長戦略のもと、適切な実行を図るとともに、構造変化を牽引 しつつ、「成長と分配の好循環」を拡大していく必要がある。 このため、第1章で示したとおり、2段階のアプローチで万全の経済財政運営を行う。 当面は、「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」を具体化する令和3年度補正予算 及び令和4年度予算を着実に執行するとともに、令和4年度予備費等を活用した「コロナ 禍における「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」」を迅速かつ着実に実行し、景気の下振 れリスクに対応し、消費や投資をはじめ民需中心の景気回復を着実に実現するべく、賃上 げや価格転嫁など「成長と分配の好循環」に向けた動きを確かなものとしていく。 その上で、本基本方針や新しい資本主義に向けたグランドデザインと実行計画を前に進 めるための総合的な方策を早急に具体化し実行に移す。人への投資、デジタル、グリー ンなど、社会課題の解決を経済成長のエンジンとする新しい資本主義を実現するため、官 民が連携し計画的で大胆な重点投資を推進することで、供給力強化と持続的な成長に向 けた基盤を構築していく。
2.令和5年度予算編成に向けた考え方→@ 前述の情勢認識を踏まえ、景気の下振れリスクにしっかり対応し、民需中心の景気回 復を着実に実現することで、成長と分配の好循環に向けた動きを確かなものとしていく。 A 令和5年度予算⇒本方針及び骨太方針 2021 に基づき、経済・財政一体改革 を着実に推進する。 B 新しい資本主義の実現に向け、「人への投資」、「科学技術・イノベーションへの投資」、 「スタートアップへの投資」、「GXへの投資」、「DXへの投資」の分野について、計画 的で大胆な重点投資を官民連携の下で推進。 C 政策の長期的方向性や予見可能性を高めるよう、事業の性質に応じた基金の活用、年度を跨いだ予算執行が可能となる柔軟かつ適切な対応等により、単年度主義の弊害是正 に取り組む。また、歳出について、その中身をより結果につながる効果的なものとする よう、コロナ禍での累次の補正予算の使い道や成果を見える化するとともに、EBPM やPDCAの取組を推進し、効果的・効率的な支出(ワイズスペンディング)を徹底する。


◎資料2 活力ある持続可能な地域社会を実現するための地方税財政改革 についての意見の概要(地方財政審議会)(金子議員提出資料)
○活力ある持続可能な地域社会を実現するための地方税財政改革についての意見(概要)
・目指すべき地域の姿
→どのような地域であっても、どの時代に生まれても、 住民の安心と安全、満足度を高めて、 幸せをもたらし、活力ある持続可能な地域
・目指すべき地方財政のあり方→<持続可能な地方税財政基盤の構築>
 <地方財政の健全化> 臨時財政対策債に依存せず、巨額の債務に圧迫されない姿
⇒(歳入面)地域経済の立て直しによる自主財源の増加
⇒(歳出面)国の取組と基調を合わせた歳出改革

・新型コロナウイルス感染症への対応と原油価格・物価高騰等への対応→令和2年度は、感染症対策の財源のほとんどが国庫支出金等により措置されたことなどにより、地方自治体の財政運営に大きな支障は生じなかった。感染症収束までの間、地方自治体が躊躇なく取り組めるよう、感染状況に応じて、国は、必要な財政支援を迅速かつ丁寧に行っていくべき。感染症が収束した後にあっては、地方財政の構造が平時に戻ることとなる。地方自治体は、感染収束後、これまでのような国からの特例的な財政支援を前 提とせず、財政運営の持続可能性の確保に十分配意する必要。国は、地方自治体が原油価格高騰対策や生活困窮者等への支援等の取組を迅速かつ適切に執行できるよう、地方自治体の意見を踏まえた支援をすべき。
・地方税財政改革の方向→「一般財源総額の確保等」「地方財政の健全化に資する取組等」
・活力ある持続可能な地域社会に向けた取組→「デジタル田園都市国家構想」「グリーン社会の実現」「防災・減災、国土強靭化等」「水道・下水道事業広域化」「公立病院経営強化」

◆令和4年会議情報一覧
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/index.html

次回は新たに「これからの労働時間制度に関する検討会 第14回資料」からです。

令和4年第6回経済財政諮問会議 [2022年05月20日(Fri)]
令和4年第6回経済財政諮問会議(令和4年5月16日)
《議事》(1) マクロ経済運営(金融政策、物価等に関する集中審議) (2) 経済財政運営と改革の基本方針(骨子案)について
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/0516/agenda.html
◎資料1 黒田議員提出資料
○わが国の経済・物価情勢→(1)日米欧の実質GDP (2)わが国の品目別輸入価格 (3)消費者物価
○展望レポート(2022年4月)の見通し→「政策委員見通しの中央値」「経済・物価見通しのリスク」
○日本銀行の金融政策運営→「イールドカーブ・コントロール」「新型コロナ対応」
○(参考)先行きの金融政策運営の考え方→日本銀行は2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続 するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続 。マネタリーベース⇒消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年 比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。 当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、企業等の資金繰り支援と金 融市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩 和措置を講じる。政策金利⇒現在の長短金利の水準、または、それ を下回る水準で推移することを想定している


◎資料2 今後の経済財政運営について(有識者議員提出資料)
今週、本年 1-3 月期の GDP 速報が公表される。民間機関の見通しでは
、コロナの影響の下、 実質成長率は前期比マイナスの見込みとなっている。さらに、低成長・低金利・低い物価上昇が 継続していた世界経済では、ロシアのウクライナ侵攻を一つの契機に、内外の財・サービス、資金の流れが大きく変化し、我が国の企業活動や国民生活のコストも高まってきている。 以下、今後のポリシーミックスの在り方など、短期・中期の経済財政運営に向けて、提案する。

1. 短期・中期の経済財政運営に向けて→現状、海外への所得流出を伴う物価上昇に加え、民需に力強さを欠く状況にあるほか、ロシア のウクライナ侵攻の長期化に伴い、今後、エネルギー確保や平和維持のコストが拡大していく可 能性が高い。こうした中にあって、マクロ経済運営⇒機動的な財政政策、大胆な金融政策のもと、適切な実行を図るとともに、構造変化を牽引しつつ、成長と分配の好循環を拡大していく必要がある。
(経済)↓
・短期的には、企業の継続的な賃上げ努力を促すとともに、エネルギーや輸入物価の高騰に 伴う国民生活へのダメージの緩和、コロナ禍で影響を受けた観光・サービス消費の下支えなど、必要な激変緩和策を講ずる。
・その一方、中期的には、民間企業投資(成長)と継続的な所得上昇(分配)により成長力を 高めつつ需要創出を促すとともに、今後の成長分野(予防・健康、GX・DX、食料、ソーシャ ルセクター等)への労働移動を円滑に促していくことが不可欠。これらについても、先延ばし をせず、今から積極的に対処すべき。併せて、比較優位のメリットをこれまで以上に引き出 すとともに国内投資を喚起していくという観点から、省エネ・脱炭素を通じた国内所得の海外流出の抑制や同じ価値観を共有する国々との協力関係の強化、さらには、農水産品・インバウンド・中小企業の輸出振興といった取組を強化し、産業の構造変化を促すべき。
(財政) ↓
・今後、世界的なインフレ基調が続くと見込まれる中、ポリシーミックスにおいても、需要創出・成長促進の観点では財政政策の重要性が増していくと考えられる。財政面においては、必 要な者へのセーフティネットに万全を期す中で、経済や国民生活に係る重点を、上記に掲げ た構造変化を促すインセンティブ・仕組みの構築、成長と分配の好循環に資する官民投資 に移していくべき。
・同時に、今後、安全保障をはじめとする安全・安心に係る支出の重要性がより増していくと みられる中、経済・財政効果を効率的かつ最大限に引き出す観点から、予算をはじめとする 制度改革を強化するとともに、歳出の効率化を図ることが不可欠。具体的には、事業の性 質に応じた基金の活用等による単年度予算の弊害の除去、成果の徹底した見える化、PPP・PFIや共助など公的分野への民間活力の導入拡大、EBPMなくして財政支出なしの考え方の導入、を進めるべき。
・こうした財政面での取組を踏まえ、財政健全化の道筋、給付と負担の在り方について、しっ かりと検証し、進めていくべき。
(今後の進め方) ↓
・まずは、先般策定された「総合緊急対策」を早期に実行し、世界経済の減速懸念など、高まる経済の下振れリスクにしっかり対応し、民需中心の景気回復を着実に実現することで、 最低賃金を含む賃上げや価格転嫁など成長と分配の好循環に向けた動きを確かなものとすべき。
・新しい資本主義の実行計画や骨太方針をとりまとめ、これらを前進させるための総合的な 方策を打ち出すことにより、経済社会の構造変化を日本がリードすることが表明された。人への投資、デジタル、グリーンなど、社会課題の解決を経済成長のエンジンとする新しい資 本主義を実現するために不可欠な官民投資を抜本拡大し、供給力強化と持続的な成長に 向けた基盤を今こそ早急に構築すべき。
・来年の G7議長国として、新しい資本主義の考え方について、その理解を得て世界にアピー ルすべき。それに合わせて、世界に開かれた貿易・投資立国、世界の脱炭素のリーダーを目指すべく環境整備を強化するとともに、ルールメイキングや経済連携などの国際協調、日本の魅力についての国際発信の強化に取り組むべき。

2.来年度予算等に向けて 〜予見可能性の向上、中期の道筋に向けたPDCAの充実〜→機動的な財政政策を実現するとともに、官民連携を強化する観点からは、財政の単年度主 義の弊害を是正し、民間投資を引き出すための財政の有効活用が不可欠。
・新しい資本主義の実現に不可欠な投資拡大に向け、岸田政権の投資重点分野⇒2022 年度以降の多年度にわたる計画的な官民投資と税制や規制・制度を含めた改革のロードマップを策定すべき。その際の予算対応として、できる限り当初予算で重点的に措 置するなど、民間の予見可能性を高めるべき。また、適切かつ効果的な支出(ワイズスペン ディング)を推進するため、EBPM の手法の導入を前提とした PDCA の枠組みをロードマップ に盛り込むべき。
・年度末の「予算消化」の慣行など財政単年度主義に起因する弊害⇒年度を跨いだ柔軟な執行の中で無駄を排除すべき。また、コロナ禍での累次の補正予算⇒その使い道、成果について、しっかりと見える化すべき。PPP・PFIや共助など公的分野への 民間活力の導入拡大に向け、新規導入・導入拡大分野を明確にすべき。
・中長期試算に示された道筋を確固たるものとする観点から、ベースラインケースについて、 日本経済の潜在力や財政の道筋について的確に現状を反映するほか、将来の選択肢を加 味する等により、成長実現ケースへの移行に必要な政策対応の検討に資するべき。
・成長の源泉が、モノからコト(脱炭素や持続可能性といった社会課題の解決)、有形資産から無形資産(人材・研究開発等)、にシフトしている。GDP 統計における無形資産の捕捉強化、各政策分野でのKPIにおける well-being 指標の取込みを進めるべき。


◎資料3 「経済財政運営と改革の基本方針 2022(仮称)」骨子(案)
第1章 我が国を取り巻く環境変化と日本経済

1.本基本方針の考え方
2.短期と中長期の経済財政運営
(1)当面の経済財政運営(当面のマクロ経済運営、経済社会活動の正常化に向けた感染症対策)
(2)中長期の経済財政運営
第2章 新しい資本主義に向けた改革
1.新しい資本主義に向けた対応
<計画的な重点投資>
(1)人への投資
(2)科学技術・イノベーションへの投資
(3)スタートアップへの投資
(4)グリーントランスフォーメーション(GX)への投資
(5)デジタルトランスフォーメーション(DX)への投資
<社会課題の解決に向けた取組>
(1)民間による社会的価値の創造
(2)包摂社会の実現
(少子化対策・こども政策、女性活躍、孤独・孤立対策、就職氷河期世代支援など)
(3)多極化・地域活性化の推進
(デジタル田園都市、分散型国づくり、関係人口、中堅・中小企業の活力、農林水産業・ 食料安全保障、観光立国、文化芸術・スポーツ振興など)
2.国際環境の変化への対応 (1)対外経済連携の促進 (2)経済安全保障の強化 (3)外交・安全保障の強化
3.防災・減災、国土強靱化の推進
4.国民生活の安全・安心
第3章 中長期の経済財政運営
1.中長期の視点に立った持続可能な経済財政運営
2.持続可能な社会保障制度の構築
3.生産性を高める社会資本整備
4.国と地方の新たな役割分担
5.経済社会の活力を支える教育・研究活動の推進
第4章 当面の経済財政運営と令和5年度予算編成に向けた考え方
1.当面の経済財政運営について
2.令和5年度予算編成に向けた考え方


◎資料4 財政制度等審議会の建議の方向(鈴木議員提出資料)
T.総論
• ⽶国をはじめとする利上げへの転換
、オミクロン株の流⾏、ロシアによるウクライナ侵略などの事態が相次いで起きた。不確実性が増⼤する中、危機においても我が国が円滑に資⾦調達をできるよう、財政の対応余⼒を持っておく必要性が⾼まっている。
• 今後、貿易⾚字の定着のおそれがあり、円に対する市場の信認がこれまで以上に問われる中、仮に財政健全化⽬標を後退さ せれば信認を失うリスクが⼤きい。2025年度PB⿊字化等の⽬標を堅持し、歳出・歳⼊両⾯の改⾰を進める必要がある。
• 主要国においては、財政健全化に向けた取組が⾏われている。例えばEUでは、制裁措置の適⽤を停⽌しているものの、財政収⽀の均衡が⽬標であることに変わりはなく、「次世代EU」資⾦については、プラスチック賦課⾦などにより財源を確保している。
• 「デフレギャップを埋めるべき」といった予算規模ありきの議論から脱却すべき。経済成⻑のために「カネ」と「ひと」の⽬詰まり状態 を解消するための具体的政策が求められている。個々の予算において、定量的な成果⽬標と結果検証が求められる。その中で 「基⾦」も必要性の精査と効果検証の取組の強化が必要。

U.各論(主要分野において取り組むべき事項)
・社会保障
→コロナ禍での医療機関⽀援の在り⽅⾒直しと医療機関の経営実態の「⾒える化」、ワクチン接種費⽤等への財政⽀援の在り⽅⾒直し、雇調⾦の特例措置等の段階的縮減、効率的で質の⾼い医療提供体制整備(地域医療連携推進法⼈も活⽤した地域医療構想の着実な推進・かかりつけ医の制度化等)、リフィル処⽅箋の積極的活⽤、薬剤費を含む医療費適正化、介護サービス経営の⼤規模化等、介護給付費 適正化、⼦ども・⼦育て⽀援の充実と安定的な財源確保の検討を⾏うべき。
・ 地⽅財政→⼀般財源総額実質同⽔準ルールの堅持により⽣じる財源余剰を臨財債の圧縮に充てるなど、財政の健全化につなげていくべき。
• ⽂教・科学技術 ⾼等教育→経済社会のニーズとのミスマッチを解消するため、⼤学設置基準等の⾒直しや補助⾦配分のメリハリづけが必要。 修学⽀援新制度が、定員割れ⼤学の救済とならないよう要件を厳格化すべき。科学技術︓国際性・⼈材流動性の向上、基⾦事業の中間評価 に基づく資⾦配分⾒直し、効果的・効率的な研究費配分やマッチングファンド⽅式の拡⼤等を進めるべき。
• 社会資本整備→災害被害の軽減のみならず、⾏政効率化等を通じた財政の持続性の確保に向け、災害リスクの低い⼟地へのの居住等の集中 化・コンパクト化を進めるとともに、ストック効果の最⼤化を図りつつ、将来の維持管理コストも考慮に⼊れたアセットマネジメントを進めるべき。
• グリーン→⺠間の取組を促し、雇⽤と成⻑に繋がるよう、必要な財源を確保の上、施策の有効性・効率性を不断に検証しつつ取組むべき。
• 産業・中⼩企業→過⼤な公的⽀援には新陳代謝の阻害などの弊害。真に必要な先に⽀援が届くよう、メリハリ付けと施策の効果検証が必要。
• 防衛→軍事的有事に備え、抑⽌するため、防衛⼒強化は、経済・⾦融・財政⾯の「脆弱性」を低減するマクロ経済運営と⼀体で進めるべき。「真 に有効な防衛⼒」のためには、予算規模ありきでなく、防衛態勢・研究開発・防衛産業などの優先度を明らかにし、現実を直視した議論を⾏うべき。

◆令和4年会議情報一覧↓
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2022/index.html

次回は新たに「社会保障審議会障害者部会(第129回)」からです。

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